有価証券報告書-第55期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 11:02
【資料】
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【項目】
148項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、1965年の創業以来「かけがえのない生命のために」という創業精神の下、「医療を必要とする人と支える人の架け橋となり、健康でより豊かな生活に貢献することですべての人々を笑顔にします」という企業理念を実現するため、医療現場の課題を的確に捉え、その解決に真に役立つ価値の創造と提供に努めております。こうした企業活動を通じて、株式会社として適正かつ効率的な運営を図り、健全な利益を確保して企業価値を高め、株主・患者さん・医療従事者・取引先・地域住民等すべてのステークホルダーの皆様の利益・幸せを実現することを当社グループの経営方針としております。
(2)経営環境
当社グループを取り巻く環境は、医療現場において新型コロナウイルス感染症との闘いとともに医療を守るための瀬戸際の対応が続いております。その一方で、海外においては、高齢化の進展と医療の高度化に伴い、米国、欧州において多くの病院が新技術の導入に積極的であります。米国では、ヘルスケア領域におけるデジタルイノベーションを加速する政策が実行され、臨床現場で手術支援ロボット等の先端技術を活用した医療機器の積極的な導入が続くとともに、欧州では、新技術を実装した医療ロボットやAI等の導入が進展しております。また、中国、アセアン等の新興国においては、慢性疾患の早期診断、治療ニーズの高まりから医療機器市場は安定成長が続いております。日本国内においては、引き続き高齢化の進展に伴い治療機器需要が増加する一方、病院の機能統合による急性期病院の減少を受け、医療機器市場は緩やかな成長となっております。
(3)中期経営戦略
前中期経営計画《GAIN 2020》は「顧客起点での事業展開」と「全社的な生産性向上」を基本戦略として、国内では機構改革を行ったビジネスユニットを軸に顧客起点での事業戦略を推進し、海外では中国、アセアンを中心にグローバル展開を進めました。その結果、掲げた業績目標には届かなかったものの、収益性の着実な改善等一定の成果を残せた半面、成長スピードと安定収益に課題を残しました。
前中期経営計画の取り組みを確実に引き継ぎながら、そこで認識した課題や環境変化を踏まえ、新たな施策を織り込んだ中期経営計画《GAIN-RG 2023》を策定しました。「顧客起点の深化」、「収益向上への変革」を基本戦略として、5つの取り組み ①事業ポートフォリオの最適化、②グローバル体制の強化、③次世代事業の創出、④グループ経営基盤の強化、⑤持続可能な社会の実現を進めてまいります。
なお、新型コロナウイルスによる感染拡大の影響により、各セグメントにおける販売及び生産活動の一時的な停止等がありますが、2021年3月期末までに収束するものと仮定し、「(5)目標とする経営指標」を算定しております。また、影響を軽減すべく対策を実施するとともに、急変していく状況に応じて必要な対応を継続してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの事業活動としましては、ホスピタルプロダクツ ビジネスユニットでは輸液・栄養領域を、サージカル&セラピー ビジネスユニットでは透析領域及び外科治療領域を、ブラッドマネジメント&セルセラピー ビジネスユニットでは血液・細胞領域を中心にそれぞれ事業を展開し、製品の開発、生産、販売を進めております。
(2)の経営環境を踏まえ、(1)及び(3)に記載の、経営方針及び中期経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は領域別に次のとおりであります。
(輸液・栄養領域)
輸液領域では、院内感染制御、注入制御、医療事故対策の課題を解決する製品を開発上市しトータルシステムでの価値提供を行うことで、栄養領域では、栄養管理からリハビリ・回復までの栄養療法のトータルコーディネーターとなることで、医療現場での揺るぎない信頼を確立してまいります。また、国内主力製品のグローバル展開を積極的に推進することにより、当社グループにおける主要事業として収益拡大を進めてまいります。
(透析領域)
日本国内において、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を支える安心、安全かつ高度な透析医療を提供する企業を目指し、各種装置から情報システム、消耗品、腹膜透析液等を取り揃え、血液透析、腹膜透析の選択療法の啓発、普及を推進しております。海外においては、日本の優れた透析医療を中国に普及させるとともに、慢性腎臓病が増加しているアジア諸国へ販売を拡大してまいります。
(外科治療領域)
自社開発から製造、販売による高い信頼性の強みを生かし、独自の製品及びサービスで、トータルシステムとして、安心、安全の提供ができるよう、人々の健康寿命に貢献すべく顧客ニーズの実現への対応を進めてまいります。
(血液・細胞領域)
血液領域では、高品質な製品の製造と販売を通じ、全血献血と成分献血の両分野において「採血から輸血まで」の各プロセスで欠くことのできないメーカーになることを、細胞領域では、血液や細胞の「採取から投与まで」に必要とされるデバイスを開発し、細胞・再生事業におけるイノベーションマネジメント企業になることを目指して活動を進めてまいります。
(5)目標とする経営指標
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益であり、中期経営計画の最終期となる2023年3月期の目標値は売上高640億円、営業利益26億円であります。当該指標の各数値については、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。