有価証券報告書-第34期(平成30年7月1日-令和1年6月30日)

【提出】
2019/09/27 13:41
【資料】
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【項目】
141項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年9月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
21世紀のキーテクノロジーとして期待されるバイオテクノロジーは、分子生物学及び先端医療の進歩促進をはじめ、高齢化社会問題、環境・食料問題、エネルギー問題など、様々な問題の解決に重要な役割を果たすものです。当社グループは、「バイオ産業のトータル・システム・インテグレータとして、人類の健康と幸福に貢献していく」ことを企業理念にかかげ、世界のバイオ産業の発展に寄与することを通じて、自らも中長期的な発展・成長を実現し、株主、取引先、従業員等のステークホルダーに貢献していきたいと考えております。
(2) 目標とする経営指標
2019年8月30日に公表した中期事業計画に従い、2021年6月期を最終年度として、連結売上高5,400百万円、連結営業利益200百万円を達成することを目指します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
① ラボ自動化分野の事業拡大
当社は、DNA自動抽出装置を主力製品として、研究所や検査センターなどのラボ施設の自動化を事業の中心に取り組んでまいりました。この事業は、OEMを主体としたワールドワイド展開により、一定の成功を収めたものと考えております。今後も、顧客要求に基づく性能改善やコストダウンなどの製品力強化に注力していく方針であります。
また、近年は、単なるDNA抽出ではなく、遺伝子が正常に機能しているかを解析するエピジェネティクス研究分野、遺伝子の配列を高速に決定する次世代シーケンサーの前処理など、様々な研究分野における複雑な前処理工程の自動化ニーズが起きているため、こういった要望に応えることにより、DNA自動抽出装置の応用範囲の拡大にも努めていく方針であります。
② 臨床検査分野の事業拡大
これまで当社は、免疫検査の臨床診断装置をOEM先を通じて製造販売してまいりましたが、バイオ関連業界もようやく、遺伝子検査の臨床診断分野への実用化が始まりました。当社のオリジナル製品である全自動の遺伝子検査装置「geneLEAD」は、遺伝子の抽出から増幅・測定を一貫自動化した製品であり、ウィルスやバクテリアなどの感染症診断分野あるいは抗ガン剤などを対象とした個人の体質に応じた薬効を見極めるための投薬前診断などの遺伝子検査の領域に事業展開していく方針であります。
また、臨床診断分野においては各国における臨床規制規格対応が必要となっていますが、OEM供給をしている免疫検査の全自動臨床診断装置は臨床規制規格に対応して全世界で販売されていることから、この実績と経験を活かして遺伝子検査の臨床規制規格対応にも展開をしていく方針であります。
③ 試薬・消耗品事業の拡大
当社はバイオ関連業界における遺伝子診断市場のトレンドを捉え、事業領域を研究開発分野から臨床診断分野へ移行するとともに、製品構成は装置中心から試薬・消耗品(専用プラスチックカートリッジ)ビジネスへの事業転換を掲げています。今後は試薬及び消耗品の販売拡大が予想されることから、大館試薬センターにおける自動化設備投資等による量産コストダウン対応が要求されており、事業の成長のための重要な課題となっています。
④ OEM供給事業と自社販売事業の共存
バイオ関連業界において、新たな技術を製品化し、世界を相手に販売活動を行っていくには、大手企業と提携しOEM供給を行うことが、最も合理的で成功確率の高い方法であると認識しています。したがって、上記①②③の事業について、然るべき大手企業に提案し、OEM供給事業としての道筋をつけていく方針であります。
その一方で、OEM供給事業は、提携相手の方針転換や内部事情などの影響を受けやすい点に危うさもあり、近年は、自社販売事業にも注力しております。最終ユーザーに販売するためには、システムに搭載する試薬や測定項目が必要であるため、試薬の品揃え強化にも注力しております。また、OEM先との販売地域の区割りが必要となる場合もあります。いずれにせよ、製品仕様や販売地域などの細かな設定を行うことで、当面の間は、OEM供給事業と自社販売事業の共存が必要と考えております。
これらの対処すべき課題を踏まえつつ、売上拡大と利益確保を推し進めるために策定した中期事業計画の方針として、1)既存OEM取引の深耕及び新規OEM契約の獲得、2)自社製品のラインアップの充実と販売強化、3)試薬・消耗品をはじめとする製品コストダウンによる利益率の向上を掲げており、適宜戦略の見直しを行っています。