有価証券報告書-第34期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 9:22
【資料】
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【項目】
118項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針、経営戦略等
① 経営方針
当社は、「創造性のある製品を社会に提供することにより新たな価値を創造し、人類のテクノロジーの発展に貢献する」会社を目指し、経営を行ってまいりました。
具体的には、「創造性を持った技術であること」、「インターナショナルな企業であること」、「変化に対応できる個人重視の企業であること」、「科学技術を通して社会の発展に貢献できる企業であること」を企業方針として、社員一人一人の能力を最大限に引き出し、それを有機的に調和・集結して製品の創造に結実させていくことで社会の発展に貢献することを目的としております。
当社を取り巻く環境は、技術進歩の急激な進展等により大きく変化する厳しい時代でありますが、当社の持つ電子ビーム技術を軸として変化に適切に対応すべくユーザーの幅広いニーズに対応し企業価値の最大化に努めてまいります。
② 経営戦略等
現在、当社が主力製品としている電子ビームを使用したマスク寸法測定装置は、今後も更なる微細化の進展によりマーケットは成長していくものと思われます。しかしながら、当マーケットにおいては競合企業の参入により、経営環境はこれまでになく厳しいものとなっております。当社はこのマーケットにおいて、技術力向上による競争力を強化・確保していくことを目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社は、売上高及び売上高総利益率を経営上の重要指標としております。特に売上高総利益率は技術力による高付加価値製品を提供することを目的としている当社にとっては、他社との差別化ができているかを判断できる重要な経営指標となっております。
具体的な数値としては売上高総利益率が50%を上回ることを目指しており、売上高の成長とともにお客様に高付加価値の製品を提供し高い売上高総利益率を確保することが、株主価値を向上できるものと考えております。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
① CD-SEMの性能向上
当社の主力製品であるフォトマスク用CD-SEMは、半導体の大規模生産に使われているフォトマスク上に描いた電子回路図(パターン)の微小線幅を計測する装置です。
フォトマスク上のパターンを光でシリコンウェハにパターン転写(リソグラフィー)してICチップを製造しますが、分解能を向上させるためこれまではArFエキシマレーザー(波長193nm)が使用されてきました。しかし、高集積度と生産性向上のためにパターン線幅の微細化は急速に進んでおり、リソグラフィーではArFエキシマレーザーの波長が限界にきております。
この問題は半導体業界において十数年前から取り上げられ、パターンをウエハ上へ電子ビームを使用して直描画する方法や、パターンの型(モールド)を作ってウエハに押す方法でパターン転写するナノインプリントリソグラフィー(NIL)が開発されました。そして従来のフォトマスクによるパターン転写の延長である極端紫外線と呼ばれる非常に短いEUV光(波長13.5nm)を用いたリソグラフィーが主流になり量産レベルに達してきました。
EUVマスクは従来のフォトマスクと比べ材質や、パターン線幅、高さなどが異なっているため、計測精度、速さ、検査項目なども厳しく要求されています。そのため、顧客に満足していただけるよう更なる性能向上とアプリケーションの多様化に努めることが課題であると考えております。
② 新機種の開発
当社顧客におきましてもEUV露光装置の導入が開始され、半導体製造プロセスの見直しが必要になってきており、従来使われていない工程で使用する装置の開発も検討されています。当社に対しても新機種の装置開発依頼の相談があることから、長年の課題である単一製品の受注変動に起因する売上高の不安定要因を解消する絶好のチャンスと受取り、協力会社と共同で開発に取り組んでおります。
③ 人材の育成
半導体業界は活況で、CD-SEMの受注は好調に推移しております。このような状況のもと、当社におきましても、短期間の製造、納入に対応するために製造部員の技能向上が急務になっております。これまでは組み立て、調整など担当部員を決めて装置の製造を行っておりましたが、より幅広い分野の技術、技能を各部員が習得することで製造現場及び納入現場での作業効率を上げ、一人当たりの売上げアップに貢献ができるよう全社を挙げて取り組んでおります。