有価証券報告書-第84期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 14:05
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【項目】
134項目
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、その企業活動の中で、「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」という『善の巡環』の精神を基本としております。この精神のもと、経営の使命・方向・主張を表現する経営理念「更なるCORPORATE VALUE(企業価値)を求めて」において、一貫して公正であることをあらゆる経営活動の基盤としております。当社グループは、こうした考えに沿って、より一層の企業価値の向上を図ることを目的としたコーポレート・ガバナンス体制の充実に取り組んでおります。当社のコーポレート・ガバナンスは、経営方針等の重要事項に関する意思決定機関及び監督機関としての取締役会、並びに、監査機関としての監査役会という機関制度を基本として、執行役員制度により、事業・業務執行を推進する体制を基本的な考え方としております。
提出会社の企業統治に関する事項
①会社の機関の内容
当社は監査役制度を採用しており、経営と執行の分離により、迅速な事業・業務執行を図ることを目的として、1999年6月に取締役会の改革と執行役員制度の導入による経営機構改革を実施しました。
(a)取締役及び取締役会
・取締役会は、会社法で規定される役割に加え、経営方針の策定・経営資源の配分及び執行役員による業務執行の監督等を行っております。
・取締役は、活発かつ十分な議論に基づく的確な意思決定を行うため、定款で員数を10名以内とし、併せて任期を1年としております。
・当社グループ連結経営の一層の強化を図っていくため、2003年6月より当社取締役会の構成をYKK AP㈱・ファスニング事業本部等から事業執行責任者を取締役に選任しています。加えて、当社グループ連結経営の更なる強化に向けてグローバル事業経営及び世界6極地域経営の観点より、社内取締役を選任し、また、2007年6月よりコーポレート・ガバナンス強化の観点並びに当社の経営ついて幅広い見識と豊富な経験に基づく助言・監督をいただくことを目的として、社外取締役2名を選任しております。
・取締役がグループ全体最適の実現に向けて専心する一方、執行役員は、取締役会で決定された方針に基づき、個々の事業・業務を、責任と権限をもって執行することにより、部門の目標を達成することを最大の役割としております。
・企業年金基金の運営は、母体企業である当社にとって重要な経営課題であるとの認識により、2004年4月に年金政策担当取締役を任命しました。
・2005年4月にはCFO(最高財務責任者)及びCRO(最高リスクマネジメント責任者)を任命し、更なる連結経営の強化を図っております。
・総務部による取締役会上程議案の社外取締役への事前説明など取締役への情報提供を充実させることにより、取締役会における更なる審議の効率化・活性化を図っております。
・当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めています。また、取締役の選任決議は、累積投票によらないとする旨定款に定めております。
(b)グループ執行役員制度の導入
当社グループは、中核となるファスニング事業とAP事業、そして両事業の一貫生産を支える工機によるグローバル事業経営と、日本を含めた世界6極による地域経営を推進しています。こうした当社グループ連結経営体制において、従来の執行役員制度に加えて、当社グループの企業価値の更なる向上を図ることを目的として、2004年4月より中核会社及び世界6極地域経営の地域統括会社等の執行責任者の中から、グループ執行役員を選任しております。
(c)アドバイザリーボードの設置
社外の有識者から、会長及び社長並びに関係取締役が経営全般及び重要経営課題に関する助言を受けることを目的として、2001年7月よりアドバイザリーボードを設置しております。
②内部統制システムの整備の状況及びリスク管理体制の整備の状況
内部統制システムの整備等の状況は以下のとおりです。
Ⅰ.YKKグループの業務遂行に関する内部統制体制
(a)当社の取締役及び使用人並びに当社子会社の取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
・当社取締役は、取締役会規定、取締役執務規定を遵守し、職務分掌に基づいて適切な業務執行を行っております。
・当社は、コンプライアンス担当取締役を任命するとともに、コンプライアンス担当執行役員のもとに法務・コンプライアンスグループを設置し、コンプライアンス社外アドバイザーと連携して、YKKグループのコンプライアンス態勢の整備を図っております。コンプライアンス担当取締役は、コンプライアンス態勢の整備・遵守の状況等につき、当社取締役・当社監査役に報告を行っております。
・当社は、上記のコンプライアンス態勢に加えて、事業経営という視点から適切なコンプライアンス推進活動を展開するため、コンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンスプログラムの運用状況、コンプライアンス課題への対応状況、最新法令動向について討議を行っております。
・当社取締役は、弁護士等によるコンプライアンス研修を定期的に受講し、取締役の職務遂行において法令を遵守する旨の誓約書を会社に提出しております。
・YKKグループ各社が、適切で効果的なコンプライアンスプログラムを確実に展開・実行することを目的としたコンプライアンス指標として、YKK Global Criteria of Compliance(YGCC)を2013年4月に設定し、コンプライアンス態勢の整備と運用を行っております。
また、YKKグループ各社において、コンプライアンス指標に基づく定期的な評価と改善活動を実施することにより、コンプライアンス態勢の維持と強化に努めております。
・法令違反、社内規則違反等の発生の抑止と通報者の保護を目的として、YKKグループ内部通報制度を2006年1月に設置しております。
・日本国内のYKKグループ各社において、反社会的勢力との関わりを防止するために、規定の整備、担当部門の指定及び契約書条項の見直し、並びに警察等の外部機関や関連団体との信頼関係の構築及び連携に努める等の社内体制の整備を行っております。
・内部監査部門は、年度監査計画に基づき、適法性・合理性等の観点からYKKグループ各社に対する内部監査を実施し、会長・社長・取締役会等に監査結果を随時報告しております。
(b)当社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
・当社は、文書管理規定・情報セキュリティ規定等の社内規定に基づき、重要な文書(電磁的記録含む)の保存年限を定め、適切な文書管理を実施しております。
・当社は、取締役会、経営戦略会議等の重要な会議の議事録については、議事の経過の要領、その結果及び重要な発言内容等を的確に記載し、所管部門が、各会議規定に基づき適切に保存・管理しております。
(c)YKKグループの損失の危険の管理に関する規程その他の体制
・当社は、CRO(最高リスクマネジメント責任者)を2005年4月に任命し、YKKグループにおけるリスクマネジメントを推進するため、品質委員会、貿易管理委員会、危機管理委員会、技術資産管理委員会、情報セキュリティ委員会の各種委員会を設置し、規定の整備とその運用を図っております。
・当社は、CFO(最高財務責任者)を2005年4月に任命し、YKKグループの財務リスク管理基本方針に基づいて、財務リスクを適切に管理しております。投資リスクに対しては、CFOが委員長となり2006年2月に投資審議会を設置し、YKKグループにおける投資リスクを適切に管理する体制を構築しております。また、CFOは、2008年4月より財務報告に係る内部統制を運用・推進しております。
・当社は、YKKグループにおけるリスクの発生時の対応については、「リスク対応ガイドライン」を作成し、適切かつ迅速な対応を行うよう規定しております。
(d)当社の取締役及び当社子会社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
・当社は、経営と執行の分離により迅速な事業・業務執行を図ることを目的として、1999年6月に執行役員制度を導入いたしました。これにより、取締役はグループ全体最適の実現に向けて専心する一方、執行役員は取締役会で決定された方針に従い、個々の事業・業務を責任と権限をもって執行しております。
・当社は、経営戦略会議を2003年7月に設置し、YKKグループの経営理念・経営方針・経営戦略及び重要な取締役会決議事項等に関して充分な討議を行い、その審議を経て取締役会の決議を行うことにより、取締役会における審議の効率化を図っております。
・当社は、経営戦略会議のもとに環境政策委員会を設置し、YKKグループにおける環境方針・政策の決定及びYKKグループにおける環境政策推進状況の監督を行っております。
(e)当社子会社の取締役の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制その他の当社及びYKKグループにおける業務の適正を確保するための体制
・YKKグループ連結経営体制において、重要な国内子会社(中核会社)及び世界6極地域経営の地域統括会社等の執行責任者の中からグループ執行役員を任命するとともに、各地域統括会社をYKK㈱本社の出先機関として位置付け、子会社の業務が適正に執行されるよう管理・監督する体制をとっております。
・子会社が執行する業務のうち重要事項については、取締役会規定に基づき、当社の取締役会で決議しております。
・当社の取締役会において、毎月担当取締役から連結月次業績報告を受けることにより、子会社の経営成績及び財政状態を適切に把握しております。
Ⅱ.監査役の職務遂行に関する事項
(a)当社の監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、当該使用人の当社の取締役からの独立性に関する事項及び当社の監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
・当社は、2007年4月1日付で監査役会事務局を設置し、監査役業務を補助する専任スタッフを配置しております。
・監査役会事務局の使用人の異動及び評価については、当社監査役の同意を必要としております。
(b)当社の取締役及び使用人並びに当社子会社の取締役、監査役及び使用人又はこれらの者から報告を受けた者が当社の監査役に報告をするための体制その他の当社の監査役への報告に関する体制
・当社及び当社子会社の主な業務執行及び内部統制システムの整備状況等について、適宜当社監査役に報告するほか、会社に重大な影響を及ぼす事実が発覚した場合には、速やかに当社監査役に報告しております。
・当社監査役が重要な国内子会社(中核会社)の監査役を兼任する体制をとり、また、国外の子会社の監査役及び内部監査担当部門は、定期的あるいは当社監査役からの要求に応じて随時、必要事項を報告しております。
・内部通報制度で重大な法令違反行為が発覚した場合、「YKKグループ内部通報制度事務局」は、当社監査役に通報内容と調査結果を報告しております。
(c)前号の報告を行った者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
・当社は、当社監査役へ報告を行った者に対し、当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを行うことを禁止しております。
(d)当社の監査役の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
・当社は、当社監査役がその職務の執行について、当社に対し、会社法第388条に基づく費用の前払等の請求をしたときは、担当部門において審議の上、当該請求に係る費用又は債務が当該監査役の職務の執行に必要でないと認められた場合を除き、速やかに当該費用又は債務を処理しております。
(e)その他当社の監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
・当社の監査役は、当社の取締役会に出席するほか、執行役員会議等の重要な会議に出席できるものとしております。
・当社の取締役会長及び社長は、当社監査役との意見交換会を定期的に実施しております。
・当社の内部監査部門等は、その活動内容について、適宜当社監査役へ報告する等、連携を図り、監査役監査の実効性の向上に協力しております。
③役員報酬の内容
当社における役員報酬は、短期報酬としての月額報酬と安定配当を重視した配当基本方針との整合性を勘案した役員賞与金及び長期報酬としての退職慰労金で構成しております。
当事業年度における報酬の額は次のとおりであります。
区分支給人数報酬等の額
取締役
(うち社外取締役)
12名
(2名)
426百万円
(24百万円)
監査役
(うち社外監査役)
4名
(3名)
57百万円
(34百万円)

(うち社外役員)
16名
(5名)
484百万円
(59百万円)

(注) 1. 株主総会決議による報酬限度額は、取締役の報酬額(執行役員兼務取締役の執行役員給与相当額を含む)が月額30百万円(2005年6月29日開催第70回定時株主総会決議)、監査役の報酬額が月額4百万円(1996年6月27日開催第61回定時株主総会決議)です。
2. 上記には、2018年6月28日開催の第83回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役2名が含まれております。
3. 上記の金額には、当事業年度の役員退職慰労引当金繰入額として費用処理した72百万円(うち社外取締役2百万円、社外監査役3百万円)が含まれております。
4. 上記の金額には、2019年6月27日開催の第84回定時株主総会において付議いたします役員に対する賞与支給予定額が、次のとおり含まれております。
取締役10名 83百万円(うち社外取締役2名 8百万円)
監査役4名 17百万円(うち社外監査役3名 12百万円)
5. 上記のほか、2018年6月28日開催の第83回定時株主総会決議に基づき、同総会終結の時をもって退任した取締役2名に対し退職慰労金として87百万円を支給しております。なお、この金額には当該事業年度前の事業年度に係る事業報告において開示した役員退職慰労引当金繰入額が含まれております。
④取締役及び監査役の責任免除
当社は、会社法第426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役及び監査役の賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨定款に定めております。これは、取締役及び監査役が期待される役割を充分に発揮できるようにするためのものであります。
⑤株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めております。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものであります。