訂正有価証券報告書-第89期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/07/04 14:00
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(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、その企業活動の中で、「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」という『善の巡環』の精神を基本としております。この精神のもと、経営の使命・方向・主張を表現する経営理念「更なるCORPORATE VALUE(企業価値)を求めて」において、一貫して公正であることをあらゆる経営活動の基盤としております。当社グループは、こうした考えに沿って、より一層の企業価値の向上を図ることを目的としたコーポレート・ガバナンス体制の充実に取り組んでおります。当社のコーポレート・ガバナンスは、経営方針等の重要事項に関する意思決定機関及び監督機関としての取締役会、並びに、監査機関としての監査役会という機関制度を基本として、執行役員制度により、事業・業務執行を推進する体制を基本的な考え方としております。
提出会社の企業統治に関する事項
①会社の機関の内容
当社は監査役制度を採用しており、経営と執行の分離により、迅速な事業・業務執行を図ることを目的として、1999年6月に取締役会の改革と執行役員制度の導入による経営機構改革を実施しました。
(a)取締役及び取締役会
・取締役会は、会社法で規定される役割に加え、経営方針の策定・経営資源の配分及び執行役員による業務執行の監督等を行っております。2023年度において、取締役会は、社外取締役2名を含む取締役10名で構成し、会社法及び当社取締役会規程に基づき、当社グループの経営の基本方針、中期経営計画及び年度事業計画のほか、重要な投資、人事政策の基本方針及びリスクマネジメントやコンプライアンス基本方針などの決定並びに当社及びその子会社の取締役や執行役員による事業執行状況(業績管理を含む)の監督等を実施しました。2023年度においては、取締役会を13回開催しており、個々の取締役の出席状況は以下のとおりであります。
氏名出席回数
猿丸 雅之全13回中13回
大谷 裕明全13回中13回
松嶋 耕一全13回中13回
池田 文夫全13回中13回
本田 聡全13回中13回
馬場 治一全3回中3回※2023年6月29日退任
吉田 明全3回中3回※2023年6月29日退任
湯本 克也全13回中13回
小林 喜峰全10回中10回※2023年6月29日就任
堀 秀充全10回中10回※2023年6月29日就任
小野 桂之介全13回中12回
岡田 英理香全13回中13回

・取締役は、活発かつ十分な議論に基づく的確な意思決定を行うため、定款で員数を10名以内とし、併せて任期を1年としております。
・当社グループ連結経営の一層の強化を図っていくため、2003年6月より当社取締役会の構成をYKK AP㈱・YKK㈱から各組織責任者を取締役に選任しています。加えて、当社グループ連結経営に不可欠なグローバル事業経営の観点より、社内取締役を選任し、また、2007年6月よりコーポレート・ガバナンス強化の観点並びに当社の経営について幅広い見識と豊富な経験に基づく助言・監督をいただくことを目的として、社外取締役2名を選任しております。
・取締役がグループ全体最適の実現に向けて専心する一方、執行役員は、取締役会で決定された方針に基づき、個々の事業・業務を、責任と権限をもって執行することにより、部門の目標を達成することを最大の役割としております。
・企業年金基金の運営は、母体企業である当社にとって重要な経営課題であるとの認識により、2004年4月に年金政策担当取締役を任命しました。
・2005年4月にはCFO(最高財務責任者)及びCRO(最高リスクマネジメント責任者)を任命し、更なる連結経営の強化を図っております。
・総務部による取締役会上程議案の社外取締役への事前説明など取締役への情報提供を充実させることにより、取締役会における更なる審議の効率化・活性化を図っております。
・当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めています。また、取締役の選任決議は、累積投票によらないとする旨定款に定めております。
(b)指名・報酬委員会の設置
当社は、取締役会の諮問委員会として指名・報酬委員会を設置しております。同委員会は、取締役会の決議により、社外取締役1名以上を含む3名以上で構成し、社長を含め執行役員を兼任する者は委員には含まれません。2023年度は社外取締役2名を含む5名で運営し、取締役会の諮問に基づき、取締役、執行役員等の報酬に関する方針・制度、報酬の基準・額、報酬内規の制定・改廃、業績評価等に関する事項を審議し、その結果を取締役会に答申することとしています。2023年度は全10回開催し、8月度、11月度、12月度、1月度及び3月度にそれぞれ欠席者が1名ありましたが、その他の回の委員の出席率は100%となっております。当年度の具体的な検討事項は、取締役・監査役候補者の選任、執行役員・専門役員の選任、内規の改定、業績評価等に関する事項となります。
(c)グループ執行役員制度の導入
当社グループは、中核となるファスニング事業とAP事業によるグローバル事業経営を推進しています。こうした当社グループ連結経営体制において、従来の執行役員制度に加えて、当社グループの企業価値の更なる向上を図ることを目的として、2004年4月より地域経営を担う地域統括会社等の執行責任者の中から、YKK㈱とYKK AP㈱の資本再編が行われた2020年以降はファスニング事業の地域経営を担う者としてグループ執行役員を選任しております。
(d)アドバイザリーボードの設置
社外の有識者から、会長及び社長並びに関係取締役が経営全般及び重要経営課題に関する助言を受けることを目的として、2001年7月よりアドバイザリーボードを設置しております。
②内部統制システムの整備の状況及びリスク管理体制の整備の状況
内部統制システムの整備等の状況は以下のとおりです。
Ⅰ.YKKグループの業務遂行に関する内部統制体制
(a)当社の取締役及び使用人並びに当社子会社の取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
・体制①
当社取締役は、取締役会規程その他の必要な社内規程を整備するなどして法令及び定款に適合した適切な業務執行を行います。
・運用状況①
当社取締役は、取締役会規程、取締役執務規程を遵守し、職務分掌に基づいて適切な業務執行を行っています。
・体制②
コンプライアンスに関する事項を担当する取締役及び執行役員を任命するほか、専任の組織を設置するなどして、コンプライアンス態勢の整備及び強化を図ります。コンプライアンス担当取締役は、当社取締役会に対し、定期的にコンプライアンス態勢の整備状況等について報告します。また、各組織における適切なコンプライアンス推進活動を展開するため、コンプライアンス委員会を設置します。
・運用状況②
当社は、コンプライアンス担当取締役を任命するとともに、コンプライアンス担当執行役員のもとに専任組織を設置し、YKKグループのコンプライアンス態勢の整備を図っています。コンプライアンス担当取締役は、当社取締役・当社監査役に、2023年度は4回にわたり報告しました。
また、2024年3月に、コンプライアンス委員会が開催され、主として各事業・各地域のコンプライアンス活動報告・重点施策及びYKK Global Criteria of Compliance(YGCC)監査結果等について報告及び討議しました。
・体制③
当社取締役、執行役員、グループ執行役員及び専門役員(以下執行役員、グループ執行役員及び専門役員を総称して、「執行役員等」といいます。)に対し、法令、定款及び社内規程等の遵守を徹底します。
・運用状況③
2023年度は、取締役及び執行役員等に対し、弁護士等による「ハラスメント防止」、「国際通商をめぐる近時の諸課題等」、「コンプライアンス経営の重要性」及び「労働法最新トレンド」をテーマとする研修を4回実施しました。また、研修終了後、出席者は、職務遂行において法令を遵守する旨の誓約書を当社に提出しました。
・体制④
当社及びその連結子会社(以下「YKKグループ各社」といいます。)の取締役及び社員が遵守すべき行動規範を策定し、その周知徹底を図るとともに、YKKグループ各社のコンプライアンスプログラムを効果的・効率的に実行するための指標を整備し、これを運用します。
・運用状況④
2008年に策定した「YKKグループ行動指針(YKK Group Code of Conduct)」を2021年に改定し、各種研修等を通じて、取締役及び社員に対する周知徹底を図っています。
また、YKKグループ各社が、適切で効果的なコンプライアンスプログラムを確実に展開・実行することを目的としたコンプライアンス指標として、YGCCを2013年4月に設定し、これを随時更新するとともに、YKKグループ各社において、YGCCに基づく定期的な評価と改善活動を実施しています。2023年度は、海外事業会社でのセルフチェックに加え、外部監査、当社及び各地域統括会社の監査チームによる内部監査を実施の上、必要な是正対策及び完了時期を定めるなどの対応をとりました。
・体制⑤
内部通報制度の整備と適切な運用を通じて、通報者の保護を図りつつ、コンプライアンス違反の早期発見と解決に努めます。
・運用状況⑤
日本国内において「YKKグループ内部通報制度」を2006年1月に設置し、継続運用しています。また、海外のYKKグループ各社においても、同様の内部通報制度を整備・運用しています。
・体制⑥
反社会的勢力との関係遮断を基本方針とし、便益の供与を請求された場合でも毅然とした態度で拒絶します。
・運用状況⑥
「YKKグループ行動指針」に反社会的勢力との関係遮断を明記していることに加え、反社会的勢力対応規程やその運用ガイドラインを制定・運用し、警察や暴力団追放運動推進都民センター等の外部機関との信頼関係の構築及び連携に努めるとともに、反社会的勢力との関わりを防止するための条項を各種取引契約書に設け、随時その見直しを行っています。
・体制⑦
当社に内部監査部門を設置してYKKグループ各社の業務執行状況を監査するなど、内部監査体制の充実を図ります。
・運用状況⑦
監査室は、年度監査計画に基づき、適法性・合理性等の観点からYKKグループ各社に対する内部監査を実施し、その結果を、社長を含む取締役や監査役会等に定期的に報告しています。2023年度は、販売管理、債権管理、購買管理、在庫管理、固定資産管理といった主要業務プロセスを主な監査対象プロセスとし、業務監査に貿易管理、品質管理、情報セキュリティ、技術資産管理、労務管理、下請法対応等のコンプライアンス監査を織り込みました。これに加えて、内部統制強化への取組として、個別の事業会社に対する業務監査での指摘事項をグループ全体で共有し、同様の不備の存在の確認及び不備が存在した場合の改善を行う活動、YKK Global Improvement Activityの運用を開始しました。
(b)当社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
・体制
当社の取締役の職務執行に係る情報及びその他の重要な文書について、関係法令及び社内規程に基づき、所管部門に対し適切に作成、保存及び管理させます。
・運用状況
当社は、取締役会、経営戦略会議等の重要な会議の議事録を作成し、議事の経過の要領、その結果及び重要な発言内容等を的確に記載し、所管部門が適切に保存・管理しています。
また、文書管理規程・情報セキュリティ規程等の社内規程に基づき、その他の重要な文書(電磁的記録を含みます。)の保存年限を定め、適切な文書管理を実施しています。
(c)YKKグループの損失の危険の管理に関する規程その他の体制
・体制
リスクマネジメントに関する事項を担当する取締役を任命するほか、リスクマネジメントを推進するのに必要となる委員会その他の組織を設置するなどして、リスクマネジメント体制の整備及び強化を図ります。
・運用状況
当社は、CRO(最高リスクマネジメント責任者)を2005年4月に任命しました。CROの下に、リスクの種類に応じて品質委員会、貿易管理委員会、危機管理委員会、技術資産管理委員会及び情報セキュリティ委員会の5つの委員会を設置し、これらにリスク毎の方針決定及び執行部門に対する監督機能を担わせています。2023年度は、各委員会をそれぞれ3回開催しました。
また、CFO(最高財務責任者)を2005年4月に任命し、YKKグループの財務リスク管理基本方針を策定しました。投資リスクに対しては、CFOを委員長とする2006年2月設置の投資審議会を2021年4月に投資委員会に改組し、YKKグループにおける投資リスクを適切に管理する体制を拡充しています。2023年度は投資委員会を12回開催しました。なお、CFOは、2008年4月より財務報告に係る内部統制を運用・推進しています。
さらに、当社は、YKKグループにおけるリスクの発生時の対応については、「リスク対応ガイドライン」を作成し、適切かつ迅速な対応を行うよう規定しています。
(d)当社の取締役及び当社子会社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
・体制①
当社は、経営の意思決定・監督と業務執行を分離することにより迅速な意思決定と業務執行を実現させるとともに執行状況を適切に監督します。
・運用状況①
当社は、経営と執行の分離により迅速な事業・業務執行を図ることを目的として、1999年6月に執行役員制度を導入しました。これにより、取締役はグループ全体最適の実現に向けて専心する一方、執行役員等は取締役会で決定された方針に従い、個々の事業・業務を責任と権限をもって執行しています。
また、2023年4月、7月、10月、2024年1月と四半期ごとに、執行役員の業務執行状況を把握するために執行役員会議を開催しました。
・体制②
YKKグループの経営理念・経営方針・経営戦略及び重要な取締役会決議事項等については、多面的で充分な討議を行った上で慎重に決定するために、当社に経営戦略会議を設置します。
・運用状況②
当社は、経営戦略会議を2003年7月に設置し、2023年度は13回開催されました。
・体制③
YKKグループが中長期的に持続的成長するための経営上の重要課題については、重要会議体を設置し、適切に審議し、管理監督します。
・運用状況③
2021年度の取締役会決議に基づき設置されたサステナビリティ委員会については、基本方針である持続可能な社会づくりへの貢献に基づき、YKKサステナビリティ・ビジョン2050目標の達成という観点から、関連する政策の2023年度進捗状況を、2023年8月及び2024年3月の経営戦略会議にて報告しました。
また、サステナビリティへの対応や事業環境の変化から、デジタル技術活用の動きが加速する中、当社はデジタル化を進める顧客へのデータ提供等のサービス強化を行うとともに、社内プロセスの効率化やデジタルツールを活かした新たな業務設計に取り組んでいます。
(e)当社子会社の取締役の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
・体制
ファスニング事業における経営体制については、地域統括会社によるガバナンスの役割と、商品や商流の特性等を考慮した事業地域ごとに置かれた事業総括による事業推進の役割を明確に分けた体制とします。
YKK AP㈱(以下「AP」といいます。)がAP事業を担当し、AP事業の特性に合わせた事業執行体制とします。当社の一部の取締役が、APの取締役を兼任することで、APの取締役会における業務執行状況等の報告を確認するほか、APの取締役又は関係執行役員が直接当社取締役会に対して定期的に業務執行状況等を報告します。
また、この体制のもとで任命された執行役員等の責任者に対し、関連する社内規程等に基づき重要な経営課題や経営成績等を当社の取締役会を含む重要会議体等で決議、又は報告させます。
・運用状況
ファスニング事業において、東アジア、Americas、EMEA、ASAO、中国の5つの地域に区分する地域経営体制とし、執行役員等が、2023年度に4回開催されたグループ執行役員会議において、その地域の子会社の資本管理とガバナンスの状況を当社に報告しています。また、日本、Americas、Europe、ISAMEA、ASEAN、中国の6つの事業地域を設け、各地域の事業総括を中心とした事業運営を行い、経営戦略会議、事業計画会議等において、当社に事業の状況を報告しています。
2023年度において、APの取締役会は、14回開催され、APの取締役を兼任する二人の当社の取締役は、そのすべての取締役会に参加しました。また、APの取締役等による当社取締役会への業務執行状況報告についても4回実施しました。
さらに、子会社が執行する業務のうち重要事項については、取締役会規程に基づき、当社の取締役会で決議し、又は報告させているほか、当社の取締役会において、毎月担当取締役から連結月次業績報告を受けることにより、子会社の経営成績及び財政状態を適切に把握しています。
Ⅱ.監査役の職務遂行に関する事項
(a)当社の監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、当該使用人の当社の取締役からの独立性に関する事項及び当社の監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
・体制
監査役の業務を補助するため、業務執行組織から独立した専任の組織及び補助者を配置します。当該補助者は監査役の指揮命令に従わなければならないものとし、その異動、評価については、監査役の同意を得て実施します。
・運用状況
当社は、2007年4月1日付で監査役会事務局を設置し、監査役の指揮命令の下で監査役業務を補助する専任スタッフを配置しています。また、監査役会事務局の使用人の異動及び評価については、当社監査役の同意を必要としています。
(b)当社の取締役及び使用人、当社子会社の取締役、監査役及び使用人又はこれらの者から報告を受けた者が当社の監査役に報告をするための体制その他の当社の監査役への報告に関する体制
・体制①
YKKグループの取締役及び使用人等(当社の子会社の監査役を含みます。)は、重要な職務の執行状況等について当社の監査役に適宜報告する体制を整備します。
・運用状況①
当社及び当社子会社の重要な業務執行及び内部統制システムの整備状況等について、適宜当社監査役に報告するほか、会社に重大な影響を及ぼす事実が発覚した場合には、速やかに当社監査役に報告しています。
また、当社監査役がAP、YKKビジネスサポート㈱及びYKK不動産㈱といった重要な国内子会社の監査役を兼任する体制をとり、また、国外の子会社の監査役及び内部監査担当部門は、定期的あるいは当社監査役からの要求に応じて随時、必要事項を報告しています。
・体制②
YKKグループの設置する内部通報窓口への重要な通報案件については、適宜当社監査役に報告します。
・運用状況②
YKKグループ内部通報制度事務局は、当社監査役に対し、内部通報窓口への通報状況を定期的に報告するほか、内部通報制度で重大な法令違反行為が発覚した場合、通報内容と調査結果を報告しています。
(c)前号の報告を行った者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
・体制
当社は、監査役に報告した者に対する不利な取扱いを禁止します。
・運用状況
当社は、当社監査役へ報告を行った者に対し、当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを行っていません。なお、「YKKグループ内部通報規程」において、通報者が通報をしたことを理由として、当該通報者に対していかなる不利益な取扱いも行ってはならない旨、及び通報者に対して、通報をしたことを理由として不利益な取扱いや嫌がらせ等を行った者(通報者の上司、同僚等を含みます。)には、就業規則等に従い処分することができる旨を定めています。
(d)当社の監査役の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
・体制
当社は、監査役の職務の執行について生ずる費用等を法令及び定款等の定めに従い適切に支弁します。
・運用状況
当社は、当社監査役がその職務の執行について、当社に対し、会社法第388条に基づく費用の前払等の請求をしたときは、担当部門において審議の上、当該請求に係る費用又は債務が当該監査役の職務の執行に必要でないと認められた場合を除き、速やかに当該費用又は債務を処理するなど、法令及び定款等の定めに従い適切に監査役職務の執行に関する費用等を支弁しています。
(e)その他当社の監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
・体制
当社は、監査役の監査の実効性確保を目的として、取締役会のほか重要な会議体に監査役が出席できる体制を整備するとともに取締役や内部監査部門その他監査役の要請する執行部門との意見交換の場を定期的に設定します。
・運用状況
当社の監査役は、当社の取締役会に出席するほか、経営戦略会議等の重要な会議に出席できるものとしています。
また、当社監査役は、2023年度は当社の会長との意見交換会を3回、当社の社長との意見交換会を6回実施しています。
さらに、当社の内部監査部門等は、その活動内容について、適宜当社監査役へ報告するなど、連携を図り、監査役監査の実効性の向上に協力しています。
③役員報酬の内容
取締役の個人別報酬等の決定に関する方針
当社は、2022年3月31日開催の取締役会において、取締役の個人別報酬等の決定に関する方針を決議しております。
取締役会は、当事業年度に係る取締役の個人別の報酬等について、報酬等の内容の決定方法及び決定された報酬等の内容が当該決定方針と整合していることを確認しており、当該決定方針に沿うものであると判断しております。
取締役の個人別報酬等の決定に関する方針の内容は次のとおりです。
(a)基本方針
当社の取締役の報酬は、企業価値を持続的に向上させ、株主に対する安定配当を実施することとの整合性を勘案し、かつ業績向上の意識を高めるべく当社業績を考慮した報酬体系とし、個々の取締役の報酬の決定に際しては各職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針とする。具体的には、取締役の報酬は、短期報酬としての基本報酬および役員賞与、ならびに長期報酬としての退職慰労金により構成する。報酬は金銭報酬とし、非金銭報酬は支給しない。
(b)基本報酬および退職慰労金の個人別の報酬等の額の決定に関する方針(報酬等を与える時期または条件の決定に関する方針を含む。)
基本報酬は、月額かつ固定とし、役位および職責に応じて他社水準、報酬決定時の業績、従業員給与の水準をも考慮しながら、総合的に勘案して決定するものとする。
退職慰労金は、役位および職責に応じて在籍1年ごとに加算される慰労金年額の累積額を基礎とし、取締役の在任期間中の功績や退任時の業績等を総合的に勘案して決定するものとし、退任時に支給する。
(c)業績連動報酬(役員賞与)の額の算定方法の決定に関する方針(報酬等を与える時期または条件の決定に関する方針を含む。)
業績連動報酬(役員賞与)は、事業年度ごとのグループ全体の業績向上に対する意識を高めるため、単年度の連結業績に応じて決定することを基本方針とする。具体的には、株主に対する安定配当を重視する当社の配当基本方針との整合性を勘案して、親会社株主に帰属する当期純利益を用いて算出した額を基準とし、毎年、事業年度末後の一定の時期に支給する。業績連動報酬の額は、基本報酬月額の12ヵ月分を上限とし、親会社株主に帰属する当期純利益がマイナスとなる場合には、支給しない。
(d)基本報酬および業績連動報酬(役員賞与)等の額の取締役の個人別の報酬等の額に対する割合の決定に関する方針
当社は、取締役の個人別の報酬等のうち、基本報酬の割合をより高く設定し、報酬体系全体として、中長期での企業価値向上を図る方針とする。
(e)取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する事項
基本報酬および役員賞与については、代表取締役会長が取締役会決議にもとづき委任を受け、個人別の報酬額の具体的内容を決定するものとする。代表取締役会長に委任する権限の内容は、各取締役の基本報酬の額および各取締役の役員賞与の配分とする。取締役会は、当該権限が代表取締役会長によって適切に行使されるよう、取締役の報酬に関する内規を定めるものとし、代表取締役会長は、当該内規の内容に従って当該権限を行使するものとする。
退職慰労金の金額については、株主総会の一任決議を経て、取締役会の決議によりこれを定める。
上記の権限が適切に行使されるよう、取締役会の諮問委員会として指名・報酬委員会を設置する。同委員会は、取締役会の決議により社外取締役1名以上を含む3名以上で構成する。同委員会は、取締役、執行役員等の報酬に関する方針・制度、報酬の基準・額、報酬内規の制定・改廃、業績評価等に関する事項を審議し、その結果を取締役会に答申する。取締役会および取締役会の委任を受けた代表取締役会長は、同委員会の審議結果を最大限尊重して意思決定を行う。
当事業年度における報酬の額は次のとおりであります。
区分報酬等の総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円)支給人数
(名)
基本報酬等業績連動報酬
取締役375百万円284百万円90百万円12
(うち社外取締役)(26百万円)(16百万円)(9百万円)(2名)
監査役60百万円41百万円19百万円5
(うち社外監査役)(35百万円)(22百万円)(13百万円)(4名)
436百万円326百万円110百万円17
(うち社外役員)(61百万円)(38百万円)(23百万円)(6名)

(注)1.上記の基本報酬等の総額には、基本報酬(月額かつ固定での金銭報酬)のほか、当事業年度の役員退職慰労引当金繰入額として費用処理した57百万円(うち社外取締役2百万円、社外監査役2百万円)が含まれております。
2.上記には、2023年6月29日開催の第88回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役2名、監査役1名(うち社外監査役1名)が含まれております。
3.業績連動報酬(役員賞与)については、事業年度ごとのグループ全体の業績向上に対する意識を高めるため、単年度の連結業績に応じて決定することを基本方針としております。具体的には、株主に対する安定配当を重視する当社の配当基本方針との整合性を勘案して、親会社株主に帰属する当期純利益を用いて算出した額を基準とし、毎年、事業年度末後の一定の時期に支給いたします。業績連動報酬の額は、基本報酬月額の12ヵ月分を上限とし、親会社株主に帰属する当期純利益がマイナスとなる場合には、支給いたしません。なお、2023年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、42,365百万円でありました。
4.取締役の報酬限度額は、2005年6月29日開催の第70回定時株主総会において月額30百万円(執行役員兼務取締役の執行役員給与相当額を含む)と決議いただいております。なお、上記決議時において、取締役の員数は9名でありました。
5.監査役の報酬限度額は、1996年6月27日開催の第61回定時株主総会において月額4百万円以内と決議いただいております。なお、上記決議時において、監査役の員数は5名でありました。
6.上記のほか、2023年6月29日開催の第88回定時株主総会決議に基づき、同総会終結の時をもって退任した取締役2名に対し退職慰労金として94百万円、監査役1名(うち社外監査役1名)に対し退職慰労金として17百万円(うち社外監査役17百万円)を支給しております。なお、この金額には当該事業年度前の事業年度に係る事業報告において開示した役員退職慰労引当金繰入額が含まれております。
7.取締役の個人別の報酬等の決定に係る委任に関する事項
当社取締役会は、当事業年度に係る取締役の個人別の報酬額については、株主総会で承認を得た範囲内で、各取締役の月額固定報酬及び賞与の総額を決定するとともに、報酬決定に係る機動的な対応を可能とするため、各取締役の月額固定報酬及び賞与の個別の報酬額を確定させることを代表取締役会長である猿丸雅之に一任し、同氏が当該個別の報酬額を決定いたしました。取締役会は、上記委任に際して、同氏により当該決定権限が適切に行使されるようにするための措置として、同氏は取締役の報酬に関する内規に従って当該権限を行使するものとし、かつ、指名・報酬委員会から取締役会に対する審議答申結果を最大限尊重しなければならないこととしております。
④取締役及び監査役の責任免除
当社は、会社法第426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役及び監査役の賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨定款に定めております。これは、取締役及び監査役が期待される役割を充分に発揮できるようにするためのものであります。
⑤責任限定契約の内容の概要
当社は、社外取締役及び社外監査役との間で会社法第427条第1項の規定及び当社定款の規定に基づき、同法第423条第1項に定める損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、同法第425条第1項に定める最低責任限度額といたします。なお、当該責任限定が認められるのは、当該社外役員が、責任の原因となった職務の遂行について善意かつ重大な過失がないときに限られます。
⑥補償契約の内容の概要
当社は、各取締役との間で会社法第430条の2第1項の規定に基づき、同項第1号の費用及び同項第2号の損失を法令の定める範囲内において当社が補償する補償契約を締結しております。なお、当該役員の職務の執行の適正性が損なわれないようにするため、当該費用・損失の原因となった当該役員の職務の遂行に故意または重大な過失がある場合は補償の対象としないこととしております。また、当該役員には報告義務、損失軽減義務及び資料提供義務を課し、これを怠る場合は補償の対象としないこととしております。
⑦役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しております。当該保険契約の被保険者の範囲は、当社及び当社子会社であるYKK AP㈱の全取締役、監査役、執行役員及び専門役員等であります。当該保険の保険料は全て当社及びYKK AP㈱が負担しており、被保険者が、その職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害賠償金や争訟費用等を当該保険契約により填補することとしておりますが、被保険者の職務の執行の適正性が損なわれないようにするため、法令違反の行為であることを認識して行った行為に起因して生じた損害は填補されないなど、一定の免責事由を設けております。
⑧剰余金の配当等の決定機関
当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、剰余金の配当等を株主総会の決議によらず取締役会の決議によっても定めることができる旨を定款に定めております。これは災害等の不測の事態が原因で株主総会を適時に開催することが困難であると判断される場合等、剰余金の配当について機動的・柔軟に決定する必要性が認められる場合において、株主総会の決議を要さずに剰余金の配当等を行うことを可能とすることを目的とするものであります。なお、会社法第460条第1項に基づく定款の定めはなく、剰余金の配当等についての株主総会決議を排除するものではありません。
⑨株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めております。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものであります。