有価証券報告書-第71期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/26 11:52
【資料】
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【項目】
58項目

業績等の概要

(1) 業績
当期における世界経済は、中国経済に対する懸念の高まり、英国のEU離脱問題などによる不安定な情勢はあったものの、その後の中国経済の持ち直しの動きやアメリカ経済の穏やかな伸びにより、全体的には底堅く推移しました。当グループでは、米州やインドなどで受注台数が減少したものの、英国・タイを中心にホンダCIVIC用シートのフルモデルチェンジが受注台数の増加に寄与したほか、中国でのSUV需要の高まりに後押しされ、受注台数は堅調に推移しました。
このような状況の中、当グループは第12次中期経営計画の最終年度となった当期も、様々な収益改善施策に取り組んでまいりました。米州においては、売上が減少するなかではあるものの、生産ロス改善や合理化等を進め、体質改善を図りました。中国においては、広州の拠点移転が完了し、生産効率を改善した新工場が稼動を開始しました。また、アジアにおいては、更なる収益向上に向けた裁断・縫製を行う子会社の稼動を開始するなど、部品競争力の向上につながる各種施策を実施いたしました。
当連結会計年度の売上収益は、主要客先からの受注台数の増加があったものの、円高による為替換算影響等により、4,257億94百万円と前連結会計年度に比べ329億37百万円(7.2%)の減収となりました。利益面では、積極的な原価低減を展開いたしましたが、為替を中心とする減収影響に加え、新機種モデルへの切替に伴う一時的な労務費の増加等により、営業利益は345億57百万円と前連結会計年度に比べ47億22百万円(12.0%)の減益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は196億22百万円と前連結会計年度に比べ39億5百万円(16.6%)の減益となりました。
なお、2017年1月10日に「当社グループ製品搭載車種の市場回収処置(リコール)について」で公表しました当該事象に伴う当グループ負担見込み額を織り込んでおります。
※USドル/円平均為替レート・・・前連結会計年度累計平均:120.1円⇒当連結会計年度累計平均:108.4円
セグメントごとの事業概況及び業績は次のとおりです。
(日本)
新型モデルの立ち上がりはなかったものの、鈴鹿地区における軽自動車等の小型機種へ特化した高効率生産体制の確立、その他国内拠点の自動供給・運搬装置による効率化とその内製化、溶接工程ラインのレイアウト見直し等により、原価低減に取り組みました。
日本セグメントの業績は下記のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期前期比増減額前期比増減率
売上収益92,07191,830△240△0.3%
営業利益9,1527,343△1,809△19.8%

前連結会計年度との主な増減理由
売上収益機種構成の良化はあったものの、円高による為替影響により微減となりました。
営業利益機種構成の良化はあったものの、為替影響に加え、開発費の増加等により減益となりました。

(米州)
北米でホンダCR-V用シート及び内装品やホンダNSX用シートなどの生産を開始しました。
厳しい競合環境が続く米州市場での競争力を更に強化するため、生産性の向上を目的として新型一括溶接設備を、CR-Vのモデルチェンジに合わせ、各拠点に導入しました。また、TS TECH ALABAMA, LLC.においては、増築した建屋でフォルクスワーゲン新型SUV向け3列目シートフレームの生産を開始したほか、ブラジルにおいて、同社向けトリムカバーを受注するなど、他販※ビジネスにも積極的に取り組みました。
米州セグメントの業績は下記のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期前期比増減額前期比増減率
売上収益247,087213,008△34,078△13.8%
営業利益14,32712,365△1,961△13.7%

前連結会計年度との主な増減理由
売上収益円高による為替換算影響や機種構成の変化により減収となりました。
営業利益積極的な原価低減を展開いたしましたが、減収影響及び為替換算影響等により減益となりました。

※他販:主要客先以外の完成車メーカーへの販売
(中国)
ホンダAVANCIER用シートやホンダGIENIA用シートなどの生産を開始しました。
広州市増城区の都市開発計画に伴う広州提愛思汽車内飾系統有限公司の工場移転が完了し、稼動を開始しました。同工場は、一貫生産ラインによる製造物流導線の最適化や、当グループ最速での生産が可能となった新型一体発泡成型機の導入など、生産効率の改善に取り組み、一層の競争力向上を図りました。
中国セグメントの業績は下記のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期前期比増減額前期比増減率
売上収益96,51394,990△1,522△1.6%
営業利益16,17116,4252531.6%

前連結会計年度との主な増減理由
売上収益主要客先からの受注台数の増加や、機種構成の良化はあったものの、円高による為替換算影響等により微減となりました。
営業利益為替換算影響や労務費等の増加はあったものの、機種構成の良化等により微増となりました。

(アジア・欧州)
英国においてホンダCIVIC用シートを、インドにおいてホンダBR-V用シートなどの生産を開始しました。
また、更なる四輪シート部品のコスト競争力向上を目的に、当グループのトリムカバーのグローバル補完基地として、裁断・縫製を行うTS TECH BANGLADESH LIMITEDが稼動開始しました。
アジア・欧州セグメントの業績は下記のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期前期比増減額前期比増減率
売上収益59,25759,8255671.0%
営業利益4,6713,313△1,357△29.1%

前連結会計年度との主な増減理由
売上収益円高による為替換算影響はあったものの、主要客先からの受注台数の増加等により微増となりました。
営業利益積極的な原価低減を展開いたしましたが、新機種モデルへの切替費用や諸経費の増加に加え、当期一過性費用の発生や為替換算影響等により、減益となりました。

また、事業別の売上収益については下記のとおりです。
(単位:百万円)
2016年3月期2017年3月期前期比増減額前期比増減率
構成比構成比
二輪事業6,3021.4%5,7131.3%△588△9.3%
四輪事業445,88597.2%414,44797.4%△31,437△7.1%
(シート)398,23086.8%361,84385.0%△36,387△9.1%
(内装品)47,65510.4%52,60412.4%4,94910.4%
その他事業6,5431.4%5,6321.3%△911△13.9%
合計458,732100.0%425,794100.0%△32,937△7.2%

(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度に比べ55億71百万円増加し、当連結会計年度末残高は960億8百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、340億45百万円と前連結会計年度に比べ134億86百万円の減少となりました。これは、税引前利益が49億74百万円の減少となったこと、営業債権及びその他の債権の増減額が前連結会計年度の52億36百万円の減少から125億10百万円の減少となったこと、及び営業債務及びその他の債務の増減額が前連結会計年度の117億31百万円の増加から49億62百万円の増加となったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、124億9百万円と前連結会計年度に比べ128億90百万円の減少となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が66億83百万円の減少となったこと、及び定期預金の預入及び払戻による純増減額が前連結会計年度の49億19百万円の支出から15億25百万円の収入となったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、142億14百万円と前連結会計年度に比べ18億94百万円の増加となりました。これは、短期借入金の純増減額が前連結会計年度の7億77百万円の減少から1億33百万円の減少となったものの、非支配持分からの子会社持分取得による支出が34億70百万円発生したこと等によるものです。
(3) 並行開示情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに関する項目との差異に関する事項につきまして、日本基準に基づく連結財務諸表を作成しておらず、差異の金額を算定することが困難であるため、以下の通り定性的な情報を記載しています。
(表示科目の組替)
日本基準では「営業外収益」「営業外費用」「特別利益」「特別損失」に表示していた項目を、IFRSでは財務関連項目を「金融収益」「金融費用」に、その他の項目を「その他の収益」「その他の費用」「持分法による投資利益」に表示しています。
(開発費の資産化)
開発費について、日本基準では発生時に費用処理していましたが、IFRSでは無形資産の要件を満たしているものを資産計上しています。
(開発資産の償却)
資産として認識した開発費の償却は、対象製品の量産開始時点から開始し、見積耐用年数(主に5年)にわたり定額法により行っています。
(金型取引のリース化)
得意先から受領する金型代金について、日本基準では売上計上していましたが、IFRSでは契約の実質的判断に基づき、貸手としてのファイナンス・リースとして処理しています。
また、取引先に支払う金型代金(当グループが所有する金型に係る代金を除く)について、日本基準では発生時に費用計上していましたが、IFRSでは借手としてのファイナンス・リースとして処理しています。