有価証券報告書-第56期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/12 15:00
【資料】
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【項目】
110項目

有報資料

(1)会社の経営の基本方針
経営理念
①人を育てる
②技術を育てる
③クリーン、ヘルス、セーフティの分野で新市場を育てる
当社グループは、『クリーン、ヘルス、セーフティ』を事業領域とし、オリジナリティの高い技術をベースとした製品を供給して社会に貢献することを経営の基本方針としております。
この方針の下、「世の中にない」「真に役立つ」を研究開発の出発点とし、“大きい企業”ではなく、規模の拡大はゆっくりであっても、世界にない、当社にしかできない「オンリーワン」「ナンバーワン」の技術・製品をもつ“強い企業” =「技術立社」になることが私たちの目標です。そして、市場や顧客の“ニーズ”に素早く対応することよりも、顧客が未だ気づいていない“ウォンツ”を他社に先駆けて見出して製品化を行い、市場そのものを創造することを常に目指します。
その実現の為に、人間の尊厳である“イマジネーション”と“クリエーション”の発揮を社員全員に求め、結果として「他社に追随しない」「徹底して研究する」ことで、新たな技術革新と独創的な製品開発を続けて参ります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、堅実性と成長性をともに重視し、企業収益の拡大を目指しております。そして、その事業展開に際し、営業利益の拡大及び営業利益率の向上を目標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
マスク関連事業においては、国内産業用マスクのトップメーカーとしての地位を一層強固なものにするとともに、医療及び一般市場におけるマスクシェアの安定的拡大を図って参ります。
その他事業(環境関連事業等を含む)においては、オープンクリーンテクノロジーという考えに基づく気流制御とナノファイバーフィルタ製造という2つの世界初の新技術を用いたクリーン分野での成長を促進させて参ります。また、医療現場に存在する健康被害リスクを低減する内視鏡洗浄消毒装置や換気装置等を医療市場で浸透させること、新開発の抗菌剤による、既存製品の高付加価値化、医療機器や抗菌製品の開発、抗菌剤としての素材提供などを行い、事業の柱として育成して参ります。
(4)会社の対処すべき課題
当社グループは、企業価値の更なる向上と持続的な発展・成長を実現するために、3つの経営理念「人を育てる」「技術を育てる」「クリーン、ヘルス、セーフティの分野で新市場を育てる」を基に、それぞれの課題に継続して取り組んでおります。
①人を育てる
当社グループは、社員の生きがいと企業の存続を両立させてこそ企業としての存在価値があり、また社員の幸福や生きがいは、雇用された社員の尊厳が、企業の活動の中にも存在していることが重要との考えに立った人事管理制度「興研トータル人事システムHOPES(ホープス)」を確立し、20年以上に亘って運用して参りました。
この人事制度「HOPES」は、専門能力、業務実績達成能力、管理能力をそれぞれ別の能力と見て、社員一人ひとりを3つの角度(3軸)で独立して評価・運用した多様性を受容する人事システムで、年齢、性別、勤続年数を問わず活躍の場が与えられ、常に意欲のある人材を適所に登用しております。
事業の発展・拡大には、適所適材の人材配置が必要であり、そのための継続的育成が不変の課題となります。当社グループは、専門知識・能力向上を図る社内研修プログラムによって計画的に人材育成を進めております。
管理職を目指す女性社員が少ないという現状に合わせて、かねてより「HOPES」の3軸の評価と昇格制度を有する人事制度を運用してきたことにより、今では女性社員のうち45%が主任以上の資格役職者となり、42%がマイスターという専門能力の資格を取得しています。資格役職者の比率は現在男性社員を上回っておりますが、更に管理職を含めて、女性がより総合的に活躍できる企業体となることを目指し、取り組んでおります。
②技術を育てる
当社グループが創業以来、守り続けてきた「他社に追随しない」「徹底的に研究する」という研究開発の理念を技術開発員一人ひとりに徹底・浸透させるため、マトリクス型の研究開発体制や技術専門能力を高めるマイスター制度、技術開発員と取締役が全員参加する月例研究発表会といった当社グループ独自の仕組みを作り、運用しています。その結果、オンリーワン、ナンバーワン製品が次々と生まれ、特許、意匠、商標、先使用権を合わせた知的財産権は、2018年12月末現在、国内167件、海外120件を保有するに至っております。
技術立社としての成長を目指す当社グループにとって知的財産は事業戦略・経営戦略上、常に重要課題です。社内に「知財会議」「発明審査委員会」を設け、出願方針の決定はもとより職務発明の評価及び知的財産に関わる規程類を整備・確立し、開発段階からの保有特許技術の活用についても常に検討を重ねております。
現在も国内20件、海外61件を特許出願中であり、引き続き知的財産の質・量ともに向上させ、新技術の実用化・事業化に向けた戦略的取り組みを実行して参ります。
2018年9月、当初の計画通り興研株式会社「先進技術センター」を竣工いたしました。当センターは、各事業所に分散していた研究開発部門の集結による経営の効率化、社外の諸機関・企業との連携や共同研究の推進及び研究開発の強化と人材育成を主たる目的として建設したものです。
今後、当センターを中心として「技術を育てる」力を大きく成長させ、持続的な発展、企業価値の向上を目指します。
③クリーン、ヘルス、セーフティの分野で新市場を育てる
当社グループは、独自技術を「クリーン、ヘルス、セーフティ」の各分野に提供することで、新しい市場の開拓とその発展に貢献し続けます。
<クリーン>技術・生産の飛躍的進化への貢献を目指します
オープンクリーンシステム「KOACH(コーチ)」は、『スーパークリーン(世界最上級の清浄度)』を、周りを囲うことなく短時間かつ低消費電力で形成する革新的なクリーンシステムです。当社グループは、この「KOACH」を先進的技術開発を支える必須デバイスとして世界最先端の研究機関・施設から、クリーンルームを高嶺の花と捉えていた中小企業に至るまで、広く普及させることを使命的課題として取り組んでおります。
市場投入時は「KOACH」が作り出す『スーパークリーン』という特長を訴求する営業展開を行い、そのスペックを渇望していた研究機関・施設など、限られた分野での先行導入が進みました。
そして現在は、「KOACH」によってもたらすことができる、本質的要求である『アクチュアルクリーン(実際の作業時の清浄度)』が各導入先で実証されて「KOACH」の評価が更に高まり、その採用分野、市場は確実に拡大しています。
従来のクリーンルームはその清浄度を維持するには、汚染物質を「持ち込まない」、「発生させない」、「堆積させない」という原則を守るための『厳格なクリーン管理』が求められ、大きな負担がかかっていました。それに対し「KOACH」は、独自のクリーン化技術によって、汚染物質を「持ち込んでも直ちに排出できる」、「発生させても直ちに排出できる」、「空気が滞留しないため堆積しない」ことから、その管理は簡便で済み、その負担は極めて少なくなります。「KOACH」はクリーンルームの原則のあり方そのものを覆してしまうクリーンデバイスであり、この特長が高く評価され需要が拡大しています。
当社グループは今後も作業中の清浄度を重視する『アクチュアルクリーン』の啓発を続けて参ります。そして従来型のクリーンデバイスに必要な『厳格なクリーン管理』に伴う大きな負担に対し、「KOACH」導入による負担緩和で大きな顧客メリットが得られる提案営業など、「KOACH」が持つ様々な新技術の革新性を訴求することで、科学技術や日本の製造業の飛躍的進化に大いに貢献できるものと確信しております。
<ヘルス>製品開発を加速させ新事業の展開を図ります
使い捨て式マスク「ハイラック」シリーズは、フィット性能の高さが認められ、医療機関向けとして販売が着実に拡大しています。フィット性能の高いマスクが必要なお子様や妊婦の方々、鼻・咳アレルギー症状に悩む方々への普及拡大に努めて参ります。
確実な洗浄消毒と低ランニングコストを実現する全自動内視鏡洗浄消毒装置「鏡内侍(かがみないし)」については、次世代機の開発にも取り組み、ユーザー満足度の高いサービスの提供をベースに、積極的な営業展開を図ります。
高い抗菌作用、防カビ性、抗ウイルス性を持ち合わせながら、生体安全性が高く、環境にも優しい乳酸銅塩系抗菌剤「イマディーズ®」については、他の多くの抗菌剤との差別的な特長を見出して、共同研究を含め市場化に向けた研究を続けて参ります。
<セーフティ>マスクの更なる普及を目指します
本分野の主力製品であるマスクは、製造業が主要顧客ですが、近年、その就業者数は漸減傾向にあります。一方、昨年厚生労働省より示された第9次粉じん障害防止総合対策では電動ファン付き呼吸用保護具の使用が勧奨されるなど、有害物質の規制及び呼吸用保護具の使用の徹底・強化は年々高まっており、電動ファン付き呼吸用保護具をはじめとする高機能・高付加価値製品の需要が見込まれます。
女性の社会進出によって、最近では製造業、建設・土木業など作業用マスクを必要とする現場にも女性の姿が見られるようになってきました。当社グループは、そこで働く女性も安全で快適に作業できるマスクが必要と考え、開発に着手しました。既に製品化を完了しており、まもなく発売を開始する予定です。
当社グループは、今後も女性を含めた働く人々のより安全で快適な作業を支えるため、需要拡大が見込まれる電動ファン付き呼吸用保護具「ブレスリンク」シリーズや使い捨て式マスク「ハイラック」シリーズをはじめとした高機能・高付加価値製品の開発・普及を通じ、これまで培ってきた安全・安心の興研ブランドを更に高めることに注力して参ります。
また、これまで自衛隊装備品である防護マスクを「4形(1985年~1999年)」、「00式(2000年~2018年現在)」と2世代に亘って製造・納入して参りましたが、この度次世代防護マスクの開発が進められることとなり、当社グループでは、独自技術“呼吸追随システム”など、様々な革新的技術を搭載した試作マスクの納入を行いました。その結果、“呼吸追随システム”などの新技術を採用した次世代防護マスク「18式個人用防護装備防護マスク」が仕様書化され、先般、当「18式防護マスク」の契約締結に至りました。これで、「4形」「00式」に次いで「18式」と3世代の防護マスクを続けて納入することになります。
昨今の震災や台風被害など、自然災害の復旧・復興作業において、フィットするマスクの重要性が益々認識される中、当社グループは、全国各地の自治体等に対し、エマージェンシー対策製品の備蓄、装着訓練の推奨活動を続けております。
2018年5月には、福島県と災害時の物資調達に関する協定を締結するなど、今後も官民を問わず国民の安全・安心に役立つマスクの開発、供給に努めて参ります。

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