訂正有価証券報告書-第66期(平成25年6月21日-平成26年6月20日)

【提出】
2015/09/11 14:27
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124項目

対処すべき課題

当社グループは、「基盤事業の強化」、「育成分野の成長・収益拡大」、「企業体質の強化」を中長期的な経営戦略の柱とし、変化する経済環境に対応しつつ、便利で快適な商品とサービスを提供し、お客様のニーズに応えてまいります。
まず、「基盤事業の強化」についてですが、当社の基盤事業は、ファイルを中心とする「ステーショナリー」と、ラベルライターを中心とする電子製品に大別されます。キングファイルを中心とするステーショナリーは、すでに成熟市場ではあるものの、新領域を開拓することで売上の拡大に努めました。書類を折りたたんでコンパクトに持ち運べるホルダー「オレッタ」は書類整理の新たな用途提案に成功し、市場に受け入れられました。また、スマートフォン連携商品として、専用アプリで箱の中身が確認できる収納ボックス「ニュートラルボックス」も投入いたしました。ステーショナリー事業にはまだ潜在需要があると認識しており、今後も積極的に新製品開発を推進してまいります。一方、電子製品については、「テプラ」が昨年11月に発売25周年を迎え、家庭でも使いやすいホームモデルのSR45、オフィスで共有できるネットワーク対応モデルのSR5900P、初代ダイアル式「テプラ」の復刻モデルSR55などの新製品を投入いたしました。これらの新製品効果もあり、本体、テープとも前期の売上金額を上回る結果となりました。今後もステーショナリーとテプラの積極的展開によって基盤事業の強化を図る予定です。
次に「育成分野の成長・収益拡大」については、デジタル文具事業が該当します。「ポメラ」を皮切りにヒットを量産している「デジタル文具」は、当期も多くの新製品を送り出しました。内蔵カメラでの撮影と同時に、画像をパソコンに取り込める「カメラ付マウス」や、周囲の騒音を約90%カットしながら人の呼びかけ声は良く聞こえる「デジタル耳せん」など、新製品を続々と投入いたしました。デジタル文具事業は重要な育成分野と定めており、楽しく便利な新製品を提供できるよう努めてまいります。
さらに、デジタル名刺整理用品を新たな育成分野と位置付け、既に発売中の名刺を画像データで管理できる「ピットレック」に加えて、デジタル名刺整理用品のラインアップを拡充しました。大量の名刺をまとめてデータ化し、管理できるデジタル名刺ボックス「ビズレージ」、名刺データをダイアル操作で登録・検索できるデジタル名刺ホルダー「メックル」を本年6月24日に対外発表いたしました。デジタル名刺管理ソフトを使って名刺データを一元管理することで、外出先で、デスクで、用途に合わせて名刺データを活用することができます。アナログの名刺整理用品を長年販売してきた当社だからできる名刺の活用術を提供することで、デジタル名刺整理用品を今後の事業の柱に育ててまいります。
最後に「企業体質の強化」のために、変動費、固定費の削減を進めております。中国企業の製造コストの上昇が続く中、原価の低減を進めている当社の海外生産拠点(ベトナム、インドネシア、マレーシア)の競争力が優位になってきています。この好機を逃さず、さらなる原価低減で競争力を高め、ファイル市場のシェア拡大と利益確保に努めてまいります。また、これら施策により得られたコストダウンメリットは、商品開発の強化や人材の育成に投入する予定です。
また、「株式会社の支配に関する基本方針」は下記のとおりであります。
株式会社の支配に関する基本方針
(1)基本方針の概要
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えています。当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式について大量買付がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
当社は、企業価値の確保・向上に努めておりますが、特に、当社の企業価値の源泉は、①情報活用環境での、秀でた商品開発力・提案力、②安心のブランド力、③広い販売力と顧客サポート力、さらには④全従業員に根付いた健全・研鑚・貢献・全員経営の企業風土にあります。当社株式の大量買付を行う者が当社の企業価値の源泉を理解し、これらを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。
当社としては、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては必要かつ相当な対抗をすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
(2)基本方針実現のための具体的取組みの概要
①基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社は、「基盤事業の強化」、「育成分野の成長・収益拡大」、「企業体質の強化」を柱とした事業展開を当社の基本的な成長戦略と位置付けております。
「基盤事業の強化」は、キングファイルを中心とするステーショナリー事業と電子製品のテプラ事業で構成されます。ステーショナリー事業においては、キングファイルの強化はもちろんのこと、機能性に優れた次世代ファイルを開発、投入し、新たな市場を開拓することでシェア№1の地位を築いてまいります。テプラ事業におきましては、オフィス向け、家庭向け、女性向けなどさまざまなニーズに対応した商品の開発、パソコン環境との連携の強化、テープの用途提案などにより事業の拡大を進めていきます。これらのステーショナリー事業とテプラ事業で安定した収益基盤を築き、今後の成長戦略の基礎といたします。
「育成分野の成長・収益拡大」は、主にデジタル文具事業、デジアナ文具事業などで構成されます。当社は「ポメラ」、「ピットレック」、「マウス型スキャナ」をはじめとする新ジャンルの商品を開発しました。これらの商品はデジタル文具事業として一つの事業に成長しました。他にも、「ショットノート」に代表されるアナログとデジタル技術の融合した次世代のノートはデジアナ文具事業として当社の売上の一部を構成するまでに至りました。これらの商品開発力は、「独創的な商品を開発」するという経営理念を具現化したものと言えます。今後も当社の開発力を生かして事業の育成と拡大に努めてまいります。
「企業体質の強化」については、営業、製造、管理部門などを含めた全社的コストの削減を推進すると同時に、海外の生産子会社のコストの削減により、将来にわたる収益力の向上に努めてまいります。また、販売拠点を上海、香港に置いておりますが、生産拠点のベトナム、インドネシアにも販売拠点を設置しております。これにより積極的な海外販売を進めていくことが可能になり、今後は成長著しい東南アジア市場に向けて販売を強化してまいります。
これらの3つの施策により、収益の安定供給と新たな収益源の育成、体質の強化、そしてグローバルな事業拡大を成長戦略と位置付け、企業価値の最大化に取り組んでまいります。
また、コーポレート・ガバナンス強化のため、平成15年より執行役員制度を導入し、業務執行のスピード化を図っております。当社は、経営の客観性を高めるため、当社から独立した社外取締役1名を選任しております。社外取締役は、月1回以上開催される取締役会に出席し、専門家の立場から各取締役の業務執行を監督しております。また、経営の公正性・健全性・透明性と監査の実効性をより高めるため、当社から独立した社外監査役3名を選任しております。社外監査役は、専門的かつ客観的、第三者的立場から監査しております。なお、当社は社外取締役1名および社外監査役3名を独立役員に指定して東京証券取引所に届け出ており、一般投資家の保護を図っております。これらのコーポレート・ガバナンスの強化の実を上げるため、当社は、コンプライアンスプログラムを経営理念・行動指針に次ぐ最上位規程として位置づけております。また、万一、コンプライアンス上疑義ある行為が行われ、また行われようとすることに気付いた者は、スピークアウト制度により、社外の顧問弁護士に通報することができる体制を採用しております。
②基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要
当社は、平成25年8月2日開催の取締役会において「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」の内容を一部改定した上で更新することを決議し(以下「本更新」といい、改定後のプランを「本プラン」といいます。)、同年9月19日開催の第65回定時株主総会において本プランの更新について承認を得ております。
本プランは、次の(a)又は(b)に該当する当社株券等の買付その他の取得又はこれらに類似する行為(これらの提案を含みます。)(当社取締役会が本プランを適用しない旨別途決定したものを除くものとし、以下「買付等」といいます。)がなされる場合を適用対象とします。買付等を行おうとする者(以下「買付者等」といいます。)には、予め本プランに定められる手続に従っていただくこととします。
(a) 当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付その他の取得
(b) 当社が発行者である株券等について、公開買付けを行う者の株券等所有割合およびその特別関係者の株券
等所有割合の合計が20%以上となる公開買付け
本プランは、これらの買付等が行われようとする際に、それに応じるべきか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために交渉を行うこと等を可能とするものです。また、上記基本方針に反し、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する買付等を阻止することにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを目的としております。
当社の株券等について買付等が行われる場合、当該買付等に係る買付者等には、買付内容等の検討に必要な情報および本プランを遵守する旨の法的拘束力のある誓約文言等を記載した書面の提出を求めます。その後、買付者等から提出された情報や当社取締役会からの意見や根拠資料、代替案(もしあれば)が、業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役[もしくはこれに準ずる監査役(過去に当社又は当社の子会社の社外取締役であったために、会社法第2条第16号の要件を充足しない監査役を含みます。以下同様とします。)]、又は社外の有識者(現時点においては業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役1名および社外の有識者2名)から構成される独立委員会に提供され、その評価、検討を経るものとします。独立委員会は、外部専門家等の助言を独自に得た上、買付内容の評価・検討、当社取締役会の提示した代替案の検討、買付者等との交渉、ならびに以下の勧告等を行います。
独立委員会は、買付者等が本プランに規定する手続を遵守しなかった場合、又は当該買付等の内容の検討、買付者等との協議・交渉等の結果、当該買付等が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付等である場合など本プランに定める要件に該当し、後述する新株予約権の無償割当てを実施することが相当であると判断した場合には、独立委員会規則に従い、当社取締役会に対して、新株予約権の無償割当てを実施することを勧告します。
また、当社取締役会は、本プランに定める場合には、本プランに従った新株予約権の無償割当てを実施するに際して、実務上可能な限り最短の期間で株主総会を開催できるように、速やかに株主総会を招集し、株主の皆様の意思を確認することができるものとします。
この新株予約権には、買付者等による権利行使が認められないという行使条件、および当社が買付者等以外の者から当社株式等と引換えに新株予約権を取得することができる旨の取得条項が付されております。この新株予約権を割り当てられた株主は、原則として、1円(を下限として当社株式1株の時価の2分の1の金額を上限とする範囲内で当社取締役会が新株予約権無償割当ての決議において定める金額)を払い込むことにより、新株予約権を行使し、当社株式1株を取得することができます。当社取締役会は、独立委員会の上記勧告を最大限尊重して新株予約権無償割当ての実施又は不実施等の決議を行うものとします。
本プランの運用に際しては、当社取締役会は、適用ある法令又は東京証券取引所の諸規程等に従い、本プランの各手続の進捗状況、独立委員会による勧告等の概要、当社取締役会の決議の概要、当社株主総会の決議の概要、その他独立委員会又は当社取締役会が適切と判断する事項について、適時に情報開示を行います。
本プランの有効期間は、平成25年9月開催の定時株主総会後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までです。但し、有効期間の満了前であっても、株主総会または取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。
本更新後であっても、新株予約権無償割当てが実施されていない場合、本プランによって株主の皆様に直接具体的な影響が生じることはありません。他方、本プランが発動され、新株予約権無償割当てが実施された場合、株主の皆様が新株予約権行使の手続を行わないとその保有する株式が希釈化される場合があります(但し、当社が当社株式を対価として新株予約権の取得を行った場合、株式の希釈化は生じません。)。
なお、本プランの詳細については、インターネット上の当社ウェブサイトに掲載されている平成25年8月2日付プレスリリースをご覧下さい。(http://www.kingjim.co.jp)
(3)具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
本プランは、当社の経営計画に基づく各施策、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定され更新されたものであり、まさに当社の基本方針に沿うものです。
また、本プランは、前記(2)②記載のとおり、企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる目的をもって更新されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。特に、本プランは、株主総会で承認を得て導入され更新されたものであること、その内容として合理的な客観的要件が設定されていること、業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役(もしくはこれに準ずる監査役)、又は社外の有識者によって構成される独立委員会が設置され、本プランの発動に際しては必ず独立委員会の判断を経ることが必要とされていること、独立委員会は当社の費用で外部専門家を利用することができるとされていること、有効期間が最長約3年と定められた上、取締役会によりいつでも廃止できるとされていることなどにより、その公正性・客観性が担保されており、企業価値ひいては株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。