有価証券報告書-第36期(平成25年2月1日-平成26年1月31日)

【提出】
2014/04/25 9:10
【資料】
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【項目】
83項目

事業等のリスク

以下において、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。また、当社としては必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資判断、あるいは当社の事業内容を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 特定の業界に依存していることについて
① 半導体業界への依存について
当事業年度の売上高は半導体市場向けが高い割合を占めており、当社の業績は半導体デバイスメーカーの生産動向の影響を大きく受ける傾向にあります。特に、半導体製造前工程のCVD工程及びエッチング工程を得意とする当社は、シリコンウェハの生産動向に特に大きく影響を受ける傾向にあります。
そのため、今後市況が大きく変化し、縮小傾向に転じた場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社では、そうしたリスクを防止あるいは分散するため、半導体市場のうち、刻々と変化する先端開発分野における変化を先取りするとともに、市況サイクルの異なる国内市場と海外市場のバランスを取りつつ、他方、これまでの半導体業界依存の軽減のため、太陽電池向け化学材料等他分野を開拓することに注力し対処していく所存であります。
② 競合の状況について
当社は、最先端の半導体に用いられる高純度の化学材料において、技術的な優位性やノウハウを保持していることや、ニッチな市場であることから、現状、実質的な競争相手となる企業が少なく、高いシェアを有しております。
しかし、今後、新規に当社と競合する分野、製品に他企業が参入した場合、競争の激化によって当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 原材料の市況変動について
当社の製品はその原料として、市況変動に左右される化学薬品や金属材料を多く使用し、他方金属容器については、同様に市況変動に左右されるステンレス材料を使用しております。当社では、市況変動に大きく左右されないよう市況価格に鑑みながら取引先との価格交渉にあたっておりますが、今後市況価格の暴騰があった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業遂行上のリスクについて
① 財務の状況
当社が販売している高純度化学材料は、主に最先端の半導体に用いられているため、極めて高い純度や特性が要求されており、これらの要求に応えられる高純度化学材料を開発するために多額の研究開発費が先行して発生することや、高純度の化学材料を生産するための製造設備等を設けることなどから、事業を遂行する上では、多額の資金が必要となっております。当社は、必要な資金の多くを主に金融機関からの借入金で調達していることから、有利子負債への依存度が高くなっており、当事業年度末現在における当社の総資産に占める有利子負債の割合は32.0%となっております。
当社としては、生産体制の見直し、研究開発活動の管理の徹底による効率化等によって利益率の向上を図り、有利子負債への依存度を低下させる方針であります。
しかしながら、現状の有利子負債依存度の状態で借入金利が上昇した場合、支払利息の増加により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 為替変動リスクについて
当社は、製品等の輸出入及び原材料の輸入において外貨建取引を行っていること並びに外貨建の資産を保有していることから、急激な為替変動があった場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
③ 品質管理について
当社は、ISO9001品質マネジメントシステムの採用で、社内生産に関しては当然のこと、主たる協力会社にも同様の体制整備を要請しながら、総合的な品質保証体制と継続的な改良・改善体制の運用に努めてまいりました。そのことにより、不良品発生の低減に注力しておりますが、クレーム発生の可能性は皆無ではありません。また、製造物賠償に関してはPL保険に加入しており、現時点におきましては、企業の存続やユーザーの事業継続を脅かすような甚大なクレームや製造物責任につながる事態は考えられません。しかしながら、万一そうした事態が発生した場合には、クレームに対する補償、対策が製造原価の上昇を招き、当社の業績及びブランドの評価に大きな影響を与える可能性があります。
④ 人材の確保について
当社は刻々変化する市場環境に対応して、常時、高度な研究開発を継続していく必要があり、そのため優秀な人材の確保と維持は事業展開上非常に重要な事項となっております。そのため、当社が必要とする人材の獲得に困難が発生したり、あるいは当社の人材が社外に流出した場合には、当社の業務運営に支障が発生する可能性があります。
⑤ 顧客情報の漏洩及び技術ノウハウの流出について
当社は、半導体メーカーの最先端の半導体に係る製造工程や材料の特性等の情報を知った上で、高純度の化学材料の開発、提案を行っております。従って、当社の従業員が事業上知り得た顧客の技術情報を外部に漏洩した場合、当社の信用の失墜による取引関係の悪化や、技術情報の漏洩による損害に対する賠償を請求されることなどにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社が製造する高純度化学材料は、創業以来蓄積してきた高純度化や安定生産に係るノウハウが重要な要素となっており、当社が保有する高純度化のノウハウ等に係る情報が、何らかの形で社外に流出した場合、技術的な優位性を維持できなくなることにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 仕入先への高い依存度について
当社では高純度化学材料を充填するための容器を外部からの仕入により調達しておりますが、そのうち、当社の販売先である半導体メーカー等の半導体製造装置に合わせた特殊仕様の容器については、主に㈱下山工業から仕入れており、同社との取引関係が何らかの理由により解消となった場合、一時的に当社の仕入及び販売活動に支障が生じる可能性があります。
(3) 研究開発について
当社は、既存製品の改良や新規製品の研究開発等により、研究開発費、それに関連する設備投資が先行して発生しております。そのため、多大な研究開発費や設備投資費用を投入したにもかかわらず、製品開発等が軌道に乗らなかった場合には、当社の業務運営に支障が生じる可能性があります。
そうしたリスクを防止あるいは分散するため、研究開発段階でのマーケティングに注力してリスクを分散するとともに、研究開発プロジェクト管理の徹底を図り、他企業との提携を積極的に推進することで投資リスクを最小限に抑える体制を整備しております。
(4) 法的規制等について
当社の製造する製品には、毒物・劇物が含まれ、またそれらの製品を製造する際に使用する材料にも毒物・劇物が含まれております。また、当社は国内での営業取引のみならず、外国企業との輸出入取引を行なっている関係上、日本及び諸外国の法令等による諸規制を受けております。それらの製品及び材料取扱を規制する法律・法令等の主なものとしましては、「毒物及び劇物取締法」、「消防法」、「高圧ガス保安法」、「土壌汚染対策法」、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」、「化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律」などがあります。
当社では、国内外の法令等の遵守並びに運用状況・改訂動向に関する情報収集には万全を期しており、また、当社におきましてはISO14001環境マネジメントシステムにより、周辺環境への配慮を行っておりますが、現在又は将来の法律及び諸規制を遵守できなかった場合には、当社が債務を負ったり、免許・届出・認可等の取り消しや一定期間の停止を含む罰則の適用を受けたり、事業の中断を含む公的命令を受けたり、その後の事業の継続に障害となる信用の低下を被ったりすること等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 知的財産権等について
当社の事業分野に関する知的財産権については、特許権を取得しております。当該知的財産については、製品化に至る種々のノウハウと密接不可分の関係にあり、知的財産権を利用されることにより当社の業績が重大な影響を受ける可能性は少ないと考えております。しかしながら、万が一類似製品が登場した場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
他方、当社は第三者の知的財産権を侵害しないよう入念な事前調査を行っておりますが、当社の認識の範囲外のことで、これを侵害する可能性があり、これにより、当社が第三者と知的財産権をめぐって損害賠償、対価の支払あるいは使用差し止め等を請求され、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(6) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、役員及び従業員等に対するインセンティブを目的としてストックオプション制度を導入しており、平成13年改正旧商法第280条ノ20及び第280条ノ21の規定に基づく新株予約権を当社の役員、従業員等に対して付与しております。
現在付与している新株予約権の行使が行われた場合、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式数は668,000株であり、発行済株式総数7,239,160株の9.2%、潜在株式も含めた株式総数7,907,160株の8.4%に相当しております。
(7) 災害等について
地震等の自然災害や火災等の事故によって、当社の生産拠点等の設備が壊滅的な損害を被る可能性があります。この場合は当社の操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより売上高が低下し、さらに生産拠点等の修復のために多額の費用を要することとなる可能性があります。