有価証券報告書-第162期(2023/04/01-2024/03/31)
(4) 戦略
① 気候変動への取り組み
当社グループは、気候変動が紙の主要な原料である森林資源の減少や、地球温暖化による物理的リスク等の様々なリスクを引き起こす可能性があると認識しております。当社グループを含めたサプライチェーン全体で排出する温室効果ガス(GHG)排出量の削減により、気候変動への影響を最小化していくことが企業としての責務であると捉え、グループ全体での温室効果ガス(GHG)排出量削減に関する中長期目標を策定し、目標達成に向けた取り組みを推進しております。
当社グループは、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)などの専門機関が作成した2つのシナリオ(気温上昇が1.5℃(2.0℃)未満に抑制されるケースと4℃以上になるケース)を用いて、紙・板紙卸売、製紙加工、環境原材料、不動産賃貸の4つの事業分野について、気候変動に伴うリスクと機会の抽出を行いました。気候変動がもたらすリスクと機会は、低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と物理的な影響(物理的リスク)に分類され、これらのリスクと機会を事業戦略に織り込むため、財務影響を短期・中期・長期の観点で定性的に評価いたしました。各事業分野に影響が及ぶ事象を集約したのち、短期・中期・長期にわたり中程度以上の影響を受ける項目を一覧として下記に示します。また、当社グループが晒されるリスクに関して財務インパクトとして定量的な分析を行いました。
・移行リスクと機会は、IEA(国際エネルギー機関)が発行するWorld Energy Outlookに記載のSTEPS,APS,SDS,NZE等、物理的リスクはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)にて採用されているRCP2.6,RCP8.5等をベースに分析しております。
・影響度は、事業の存続に大きな影響があるレベルを“大”、事業の戦略を大きく変更する必要があるレベルを“中”と表示しております。
・影響度(大・中)の定義は、Applying Enterprise Risk Management to Environmental, Social and
Governance-related Risks,COSO & WBCSD をもとに作成しております。
(※1)グリーン証書:再生可能エネルギーにより発電された電気の環境価値を取引可能な証書にしたもの
(※2)コーポレートPPA:企業が発電事業者や、電力小売業者と直接契約し、再生可能エネルギーの電力を調達する仕組み
(※3)インターナルカーボンプライシング:低炭素への取り組みを進めるために企業内部で設定する炭素価格
(※4)急性:異常気象による気象災害などの事象(突発的な急性リスク)
(※5)慢性:長期的な気候パターンや降雨パターンの変化による事象(緩行的な慢性リスク)
■財務インパクトの分析結果
財務インパクトに関するシナリオ分析の結果、移行リスクにおける炭素税の導入が当社グループの製紙事業を中心に大きな影響を与えると想定しております。一方、温室効果ガス(GHG)排出量の削減を推進することにより、その影響を軽減できると考えております。物理的リスクでは、洪水・台風といった異常気象による国内グループ主要拠点の被害想定額は、1.5℃(2.0℃)及び4℃シナリオで1.7~5.1億円程度と試算しております。また、当社グループの取引先が甚大な被害を受けた場合、サプライチェーンにおける工場の操業停止や製品及び原燃料などの輸送が寸断される可能性があり、試算額以上の被害が想定されます。
・対象範囲は、当社及び国内連結子会社です。
・財務インパクトの試算額については、炭素税は「IEA WEO2022」、電力価格は「IEA WEO2019」、洪水被害は国土交通省「気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言」、高潮被害は環境省「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ」及び「気候変動影響評価報告書」等で公表されているパラメーターを使用し算出しております。
(※)2050年のパラメーターが無いため、2040年の数値で分析しております。
② 人的資本・多様性に対する取組み
イ 当社グループにおける人材戦略
当社グループは、人材こそがグループの経済価値の創造を左右すると認識しております。今後さらなる持続的成長を遂げるため、「労働環境」と「ダイバーシティ&インクルージョン」を人材面のマテリアリティとして特定し、取り組みを進めております。
ロ 当社における人材育成方針
当社は人材育成を「持続的な成長のための投資」と考え、積極的に投資するとともに、人事データを元に戦略的な採用、教育などを実行する透明度の高いプロセスの確立を重要視して取り組みを進めております。
人材の採用については、質的にも量的にも高水準の人材を確保することを目指し、新卒採用に加え、キャリア採用にも力を入れております。人材育成については、「役割と責任を果たす人材の育成」「変革期に対応する自立型人材の育成」をコンセプトにプログラムを推進しており、各世代に応じた様々な研修を実施するとともに、社員の成長を促し、能力開発を目的とした育成型異動や、経営人材育成に向けたグループ会社への出向などを推進しております。これらの取組みを反映した人事データを、タレントマネジメントシステムを通じて人材ポートフォリオとして活用し、人材の戦略的配置を実施しております。
ハ 当社における社内環境整備方針
当社は魅力ある人材の採用・維持に注力するとともに、能力開発機会の提供、公正な評価・処遇や働きやすい労働環境の整備など、すべての従業員の活躍を促す仕組みを拡充していくことで、個々の従業員の能力向上と組織力の強化に取り組んでおります。その中で、役職員一人ひとりが自らの健康に責任を持ち、心身の健康維持・増進に主体的に取り組み、意欲をもって働くことが、個々の生活の質や仕事の質を高め、当社の生産性や企業価値向上につながると考え、健康経営への取り組みを強化しております。また今後、人的資本を強化していくために従業員エンゲージメントの向上が必要不可欠と考えており、2023年度からエンゲージメントサーベイを実施し、エンゲージメント向上に向けた取り組みを進めております。この他、多様な人材が活躍する基盤を整備するため、子育てサポートの環境整備や定年延長の実施など性別・年齢などに関係なく多様性が受け入れられる職場風土の醸成と制度の構築にも注力しております。

① 気候変動への取り組み
当社グループは、気候変動が紙の主要な原料である森林資源の減少や、地球温暖化による物理的リスク等の様々なリスクを引き起こす可能性があると認識しております。当社グループを含めたサプライチェーン全体で排出する温室効果ガス(GHG)排出量の削減により、気候変動への影響を最小化していくことが企業としての責務であると捉え、グループ全体での温室効果ガス(GHG)排出量削減に関する中長期目標を策定し、目標達成に向けた取り組みを推進しております。
当社グループは、気候変動への対応、温室効果ガス(GHG)の排出量削減への取り組みをより一層推進するとともに、TCFD提言に基づく情報開示を今後も積極的に進めてまいります。 (※1) 当社グループ事業は、国内卸売、海外卸売、製紙加工、環境原材料、不動産賃貸の5つのセグメントにより構成されておりますが、分析にあたっては業態の観点から、国内卸売及び海外卸売を一つとし、紙・板紙卸売として表示しております。 (※2) 気候変動に関する「ガバナンス」及び「リスク管理」についてはサステナビリティ推進体制に組み込まれております。詳細については(2)ガバナンス及び(3)リスク管理をご参照ください。 |
当社グループは、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)などの専門機関が作成した2つのシナリオ(気温上昇が1.5℃(2.0℃)未満に抑制されるケースと4℃以上になるケース)を用いて、紙・板紙卸売、製紙加工、環境原材料、不動産賃貸の4つの事業分野について、気候変動に伴うリスクと機会の抽出を行いました。気候変動がもたらすリスクと機会は、低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と物理的な影響(物理的リスク)に分類され、これらのリスクと機会を事業戦略に織り込むため、財務影響を短期・中期・長期の観点で定性的に評価いたしました。各事業分野に影響が及ぶ事象を集約したのち、短期・中期・長期にわたり中程度以上の影響を受ける項目を一覧として下記に示します。また、当社グループが晒されるリスクに関して財務インパクトとして定量的な分析を行いました。
| 分類 | 当社グループへの影響 | 対応策 | 影響度 | ||
| リスク | 移行 | 政策・法規制 | 製紙事業における、炭素税の導入・引き上げに伴う操業コストの著しい増加 | • 温室効果ガス(GHG)排出量の中長期削減目標設定 • 省エネルギーのさらなる推進 • 再生可能エネルギーへの切り替え及びグリーン証書(※1)購入、コーポレートPPA(※2)、インターナルカーボンプライシング(※3)の導入などの検討 • 荷役車両などの電化の推進 | 大 |
| 評判 | 気候変動対策の遅れに伴う企業価値の下落やステークホルダーからの信頼失墜などによる、売上収益の減少、資金調達への影響、ブランド力の低下 | • 温室効果ガス(GHG)排出量の中長期削減目標設定 • 省エネルギーのさらなる推進 • 適切な情報開示の推進 | 中 | ||
| 物理的 | 急性※4 | 風水害による拠点・設備・在庫・不動産物件等の甚大な被害 | • ハザード調査の実施、浸水防止対策への取り組み • 災害発生に備えた防災訓練の実施、BCM(事業継続マネジメント)の構築 | 中 | |
| 風水害によるサプライチェーンの途絶に伴う事業停止、及び売上収益の減少 | • サプライヤーに対する風水害発生時のBCMの構築とBCP(事業継続計画)整備の依頼 • 原料や製品のサプライヤー及び輸送手段の多様化による調達の安定化 | 中 | |||
| 慢性※5 | 海面上昇による臨海拠点の高潮等浸水被害の影響 | • ハザード調査の実施、浸水防止対策への取り組み • 災害発生に備えた防災訓練の実施、BCMの構築 | 中 | ||
| 機会 | 市 場 | 電化の進展に伴う電子部品関連機能材の需要増による業績への寄与 | • 電子部品関連機能材の需要動向のモニタリング、及び商品の開発、状況に応じた供給量の確保 | 中 | |
| 森林認証紙・再生紙など環境配慮型商品の需要増による業績への寄与 | • 環境配慮型商品の需要動向のモニタリング、及び商品の開発、状況に応じた供給量の確保 | 中 | |||
| 脱プラスチック化の進展に伴う紙製品の需要増による業績への寄与 | • 法規制及び需要動向のモニタリング、及び商品の開発、状況に応じた供給量の確保 | 中 | |||
・移行リスクと機会は、IEA(国際エネルギー機関)が発行するWorld Energy Outlookに記載のSTEPS,APS,SDS,NZE等、物理的リスクはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)にて採用されているRCP2.6,RCP8.5等をベースに分析しております。
・影響度は、事業の存続に大きな影響があるレベルを“大”、事業の戦略を大きく変更する必要があるレベルを“中”と表示しております。
・影響度(大・中)の定義は、Applying Enterprise Risk Management to Environmental, Social and
Governance-related Risks,COSO & WBCSD をもとに作成しております。
(※1)グリーン証書:再生可能エネルギーにより発電された電気の環境価値を取引可能な証書にしたもの
(※2)コーポレートPPA:企業が発電事業者や、電力小売業者と直接契約し、再生可能エネルギーの電力を調達する仕組み
(※3)インターナルカーボンプライシング:低炭素への取り組みを進めるために企業内部で設定する炭素価格
(※4)急性:異常気象による気象災害などの事象(突発的な急性リスク)
(※5)慢性:長期的な気候パターンや降雨パターンの変化による事象(緩行的な慢性リスク)
■財務インパクトの分析結果
財務インパクトに関するシナリオ分析の結果、移行リスクにおける炭素税の導入が当社グループの製紙事業を中心に大きな影響を与えると想定しております。一方、温室効果ガス(GHG)排出量の削減を推進することにより、その影響を軽減できると考えております。物理的リスクでは、洪水・台風といった異常気象による国内グループ主要拠点の被害想定額は、1.5℃(2.0℃)及び4℃シナリオで1.7~5.1億円程度と試算しております。また、当社グループの取引先が甚大な被害を受けた場合、サプライチェーンにおける工場の操業停止や製品及び原燃料などの輸送が寸断される可能性があり、試算額以上の被害が想定されます。
| 項目 | リスク | 分析内容 | 財務インパクト(2050年) | |
| 4℃シナリオ | 1.5℃(2.0℃)シナリオ | |||
| 炭素税 | 移行リスク | 炭素税導入による影響 | - | △66.3億円 |
| 電力価格 | 移行リスク | 電力価格変化による影響(※) | +2.3億円 | △2.9億円 |
| 洪水被害 | 物理的リスク | 年平均の洪水被害額(※) | △5.1億円 | △1.7億円 |
| 高潮被害 | 物理的リスク | 年平均の高潮被害額 | △0.3億円 | △0.1億円 |
| 営業停止損害(洪水) | 物理的リスク | 年平均の営業停止損害額(洪水) | △0.8億円 | △0.3億円 |
・対象範囲は、当社及び国内連結子会社です。
・財務インパクトの試算額については、炭素税は「IEA WEO2022」、電力価格は「IEA WEO2019」、洪水被害は国土交通省「気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言」、高潮被害は環境省「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ」及び「気候変動影響評価報告書」等で公表されているパラメーターを使用し算出しております。
(※)2050年のパラメーターが無いため、2040年の数値で分析しております。
② 人的資本・多様性に対する取組み
イ 当社グループにおける人材戦略
当社グループは、人材こそがグループの経済価値の創造を左右すると認識しております。今後さらなる持続的成長を遂げるため、「労働環境」と「ダイバーシティ&インクルージョン」を人材面のマテリアリティとして特定し、取り組みを進めております。
ロ 当社における人材育成方針
当社は人材育成を「持続的な成長のための投資」と考え、積極的に投資するとともに、人事データを元に戦略的な採用、教育などを実行する透明度の高いプロセスの確立を重要視して取り組みを進めております。
人材の採用については、質的にも量的にも高水準の人材を確保することを目指し、新卒採用に加え、キャリア採用にも力を入れております。人材育成については、「役割と責任を果たす人材の育成」「変革期に対応する自立型人材の育成」をコンセプトにプログラムを推進しており、各世代に応じた様々な研修を実施するとともに、社員の成長を促し、能力開発を目的とした育成型異動や、経営人材育成に向けたグループ会社への出向などを推進しております。これらの取組みを反映した人事データを、タレントマネジメントシステムを通じて人材ポートフォリオとして活用し、人材の戦略的配置を実施しております。
ハ 当社における社内環境整備方針
当社は魅力ある人材の採用・維持に注力するとともに、能力開発機会の提供、公正な評価・処遇や働きやすい労働環境の整備など、すべての従業員の活躍を促す仕組みを拡充していくことで、個々の従業員の能力向上と組織力の強化に取り組んでおります。その中で、役職員一人ひとりが自らの健康に責任を持ち、心身の健康維持・増進に主体的に取り組み、意欲をもって働くことが、個々の生活の質や仕事の質を高め、当社の生産性や企業価値向上につながると考え、健康経営への取り組みを強化しております。また今後、人的資本を強化していくために従業員エンゲージメントの向上が必要不可欠と考えており、2023年度からエンゲージメントサーベイを実施し、エンゲージメント向上に向けた取り組みを進めております。この他、多様な人材が活躍する基盤を整備するため、子育てサポートの環境整備や定年延長の実施など性別・年齢などに関係なく多様性が受け入れられる職場風土の醸成と制度の構築にも注力しております。
