有価証券報告書-第164期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/22 13:33
【資料】
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【項目】
172項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針について
当社グループは紙流通業界のリーディングカンパニーとして、社会・産業・文化の発展を支え、人々の営みにおいて欠くことのできない紙・板紙の安定供給を通じ、循環型社会の構築に貢献していくことを基本方針としております。
また、社会と地球環境のより良い未来を拓くことをグループの使命として、グループ役職員が、誠実・公正・調和を大切にすべき価値観とし、変革・挑戦・創造を積極的に実践することにより、全てのステークホルダーの皆様から信頼される企業グループを目指しております。
(2) 当社を取り巻く経営環境と事業環境
当期における我が国経済は、雇用・所得環境の改善に加え、企業の設備投資の回復及び公共投資等の政策効果を背景に、緩やかな景気の回復基調で推移いたしました。一方、世界経済におきましては、一部地域で景気の持ち直しの動きがみられるものの、米国の通商政策の動向、依然として高水準にある金利環境、中国における物価下落の継続、東欧・中東地域における地政学的リスクの高まり、イラン情勢に起因する原油価格の変動等、不確実性の高い状況が続いており、景気の下振れリスクには引き続き留意が必要な状況にあります。
当社グループを取り巻く環境については、国内市場において、人口減少などの構造的要因やデジタル化の進展等を背景として、印刷・情報用途を中心とした紙需要の縮小傾向が続く一方、EC需要の拡大等を背景とした包装用途の板紙及び機能材料製品向けの需要は比較的堅調に推移すると見込んでおります。また、物流費の上昇や人件費をはじめとする販売関連コストは高水準で推移しており、収益環境への影響が懸念されております。
海外市場においても、先進国においてはデジタル化の進展に伴いグラフィック用紙の需要減少は継続する一方、パッケージング用紙やサイン&ディスプレイ用途、環境配慮型製品向けの需要は堅調に推移するとみております。また、新興国においては、人口増加や経済成長に伴う生活水準の向上及び工業化の進展により紙・板紙需要の拡大が引き続き見込まれております。
(3) 中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び事業上の対処すべき課題
当社グループは、長期ビジョン『OVOL長期ビジョン2030 “Paper, and beyond”』(以下、「長期ビジョン2030」)を策定し、2030年のあるべき姿を掲げ、その実現を目指しております。
(当社グループのあるべき姿)
「世界最強の紙流通企業グループ」
「持続可能な社会と地球環境に一層貢献する企業グループ」
「紙業界の枠を超えたエクセレントカンパニー」
長期ビジョン2030の実現に向け、2024年度からの3ヵ年(2025年3月期~2027年3月期)を対象とした中期経営計画『OVOL中期経営計画2026』を策定しております。当中期経営計画では、当該中計期間を2030年に当社グループがあるべき姿を実現するための経済価値と社会価値を創造する「具体的な仕組みづくり・仕掛けづくりの3年間」と位置づけ、以下の3つの基本方針に基づく施策を実行することにより、長期ビジョン2030の実現を目指すこととしております。
「グループ内外のコミュニケーションを拡充し、機能やサービスなどの提供価値を圧倒的に高める」
「人材力を引き上げるとともにワークエンゲージメントを飛躍的に高める」
「M&Aを駆使して既存領域および新規領域での事業を躍進的に拡大する」
OVOL中期経営計画2026の最終年度における連結財務目標は以下のとおりです。
連結経常利益220億円
ROE(自己資本利益率)8.0%以上
ROA(総資産利益率)5.0%以上
ROIC(投下資本利益率)7.0%以上
ネットD/Eレシオ1.0倍以下

OVOL中期経営計画2026においては、最終年度(2027年3月期)の連結経常利益目標を220億円として掲げておりますが、「今後の見通し」に記載のとおり、足もとの事業環境等を踏まえますと、当該目標の達成は現時点において困難な見通しとなっております。このような状況においても、当社グループは、当該中期経営計画において掲げた基本方針に基づき、各種施策・取り組みの一層の推進・加速に努めてまいります。これにより、引き続き収益力の強化及び資本効率の向上を図るとともに、長期ビジョン2030の実現並びに中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
セグメント別には次の方針を掲げております。
(セグメント別方針)
「国内卸売セグメント」
グループの総合力を駆使し収益の最大化を実現
「海外卸売セグメント」
安定的な収益構造の構築と収益源のさらなる多様化
「製紙加工セグメント」
地球環境保全への積極的な取り組みと安定収益の基盤構築
「環境原材料セグメント」
循環型ビジネスを通じた持続可能な社会と地球の未来への貢献
「不動産賃貸セグメント」
保有不動産からの安定収益の継続と不動産ポートフォリオの最適化
(4) 財務上の対処すべき課題
当社グループの資本政策は、成長投資に必要な資金を確保し、積極的かつ安定的な株主還元に継続的に取り組み、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めることを基本としております。また、経常利益率、資本効率を高め、キャッシュ・フローの拡大に努めることで、ROA、ROE、ROICの向上など、持続的な成長を目指してまいります。
(5) セグメントごとの経営環境と対処すべき課題
① 国内卸売セグメント
紙の需要は国内における人口の減少や少子化の進行、情報発信・収集手段としてのSNSの定着等を背景に今後も縮小していくものと想定しております。板紙につきましては、日用品・通販向けの需要やインバウンド需要を背景に、パッケージ用途の需要は底堅く推移することが期待されております。
そのような市場の中で取引先として選ばれるためには、物流改革やDX推進によるサプライチェーンにおける当社グループの機能や価値の提供に加え、製紙加工及び環境原材料セグメントなど、卸売事業以外に拡大しているグループの総合力が勝ち残りのための競合他社との差別化につながると考えており、これらを駆使して収益の最大化を実現してまいります。また、紙の価値普及に向けた取り組みを実施し、紙の特性、魅力、環境優位性等を改めて社会に伝えることで、紙需要のすそ野拡大を図るとともに業界イメージの向上にも貢献してまいります。
② 海外卸売セグメント
海外卸売セグメントにおいては、各市場に根差した卸商経営の拡充を基本としており、現在では、アメリカ、イギリス、アイルランド、ドイツ、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、ホンコン、シンガポール、マレーシア、インドにおいて、自前の在庫・物流機能を有する有力紙商を展開しており、世界最強の紙流通企業グループの実現に向けたグローバルプラットフォームの構築が着実に進展しております。一方で、前連結会計年度にグループ化したドイツ子会社につきましては、業績回復に遅れがみられておりますが、当連結会計年度に実施した事業構造改革を通じて、収益性の改善に取り組んでおります。
各市場においては、デジタル化の進展に伴いグラフィック用紙の需要減少が継続しておりますが、当社グループは、グローバルなサプライソースの活用と、各拠点の在庫・物流機能を最大限に発揮することで、取引先ニーズを確実に取り込み、販売機会の拡大を図っております。加えて、サイン&ディスプレイ、軟包装材、インダストリアルパッケージなどの高付加価値製品の取り扱いを一層強化し、事業ポートフォリオの高度化を推進しております。さらに、補完的M&Aを継続的に実施することで、各市場におけるシェアと事業領域を拡大し、安定的な収益基盤の強化と収益源の多様化を進めてまいります。
③ 製紙加工セグメント
当社グループは、再生原料である古紙の回収から製紙、加工、流通に至るまで、紙のサプライチェーンの川上から川下までをグループ内でカバーする事業体制を構築しております。この事業体制を活かして、古紙を原料とした段ボール原紙、印刷用紙及び家庭紙の製紙事業を展開し、安全操業と環境対応の管理を徹底しつつ、環境に配慮した商品を効率的に生産し、安定的にお客様へ供給する事業を展開しております。
段ボール事業では、段ボール原紙製造会社と、多様なニーズに対応する段ボール製品の製造加工会社による総合パッケージサプライヤーとしての体制を国内及びインドネシアにおいて構築しており、国内の原紙製造においては木質バイオマス発電や水力発電等の再生可能エネルギーも活用し、CO2排出量削減に取り組んでおります。
再生家庭紙事業においては、同分野のリーディングカンパニーであるコアレックスグループによる安定的な生産・供給体制を構築しており、災害発生時のトイレットペーパーの供給支援や災害に備えた備蓄推進活動も行っております。また高度なリサイクル技術により難再生古紙の再資源化を実現し、限られた資源の有効活用と紙ごみの削減にも貢献するとともに、製造工程における徹底した効率化の推進によりCO2排出量削減にも取り組んでおります。
段ボール事業、再生家庭紙事業ともに原燃料価格や副資材、物流費等のコストについては高水準で推移することが見込まれるものの、効率的生産への取り組みや徹底したコスト削減を継続するとともに、CO2排出量削減や省力化に向けた投資も積極的に行うことで、地球環境保全への積極的な取り組みと安定収益の基盤構築を進めてまいります。また、物流面においても、段ボール事業ではグループ内での横断的戦略の実行、再生家庭紙事業ではグループ外とのアライアンスを拡大させることで、日本全国をカバーする物流体制を構築し、販売力を高めてまいります。
④ 環境原材料セグメント
イ 古紙再資源化事業:
当社グループは、福田三商㈱を中心に日本全国をカバーする古紙事業のネットワークを構築しており、当社グループ内を含む国内製紙メーカーへの原料古紙の安定供給を最優先に古紙の発生減に対応した仕入・調達力の強化に取り組んでおります。国内の古紙リサイクルシステムの維持と古紙利用率の向上に貢献しつつ、採算とのバランスを勘案しながらアジア諸国への輸出も行っております。また、米国及びインドにおいても事業拠点を有し、事業を展開しております。
ロ 総合リサイクル事業:
㈱エコポート九州が熊本県にてプラスチックや木質系廃棄物の総合リサイクル事業を行っております。2022年4月に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)」を受けて、増加が見込まれるプラスチック廃棄物のリサイクルに対応するため、同県にて第2工場の建設を計画しております。
ハ 再生可能エネルギー事業:
当社グループが参画している発電事業会社は、環境原材料セグメントにおいては、岩手県及び島根県での木質バイオマス発電事業会社2社、北海道、岩手県及び宮城県での太陽光発電事業会社3社の計5社であり、各事業会社で発電した電力はすべて再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活用し社会に提供しております。なお、製紙加工セグメントにおいても、岐阜県の木質バイオマス発電事業会社である川辺バイオマス発電㈱が、主に段ボール原紙製造会社の大豊製紙㈱へ電力を供給しております。
また、マレーシアにて木質バイオマス燃料の一つであるPKSの集荷と輸出を行うOVOL New Energy Sdn. Bhd.では、今後の一層の供給力拡大に向け第3ヤードの設立工事を進めており、近く稼働開始を予定しております。稼働後は取扱量の拡大を図ってまいります。
以上の3つの事業によって、循環型ビジネスを通じた持続可能な社会と地球の未来への貢献を進めてまいります。
⑤ 不動産賃貸セグメント
当社が東京・大阪・京都等に所有する不動産は立地条件に恵まれており、オフィス・集合住宅等での活用及びホテル事業者への賃貸により得られる賃貸料収入は、当社グループ業績に対して継続して安定的に寄与するものと見込まれております。物価上昇に伴う維持管理費等の増加が見込まれますが、上昇している賃料相場に合わせた契約更新などに取り組んでおります。
一方で不動産マーケットの活況を背景に、当社保有主要物件の評価額は大きく上昇しており、資本効率向上の観点から売却も視野に入れた最適な活用の検討を進めてまいります。

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