有価証券報告書-第74期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/29 13:02
【資料】
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【項目】
131項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針、経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持株会社として、グループ事業計画の遂行、グループの経営資源の最適な配分、ガバナンス体制の構築、グループの重要課題への対応等に取り組みました。2021年11月にはESGを重視した経営を推進することを宣言、「“やさしいみらい”を新たな文化に」をグループESGのスローガンとして新たに定めました。グループのすべての事業においてESGの取り組みを推進し、出版業界を含め各業界の持続可能性の向上、地球環境や労働環境を含む社会環境の改善、生活者のより豊かで持続的なくらしの実現を目指します。
(これまでのESGへの取り組みは、当社WEBサイトに掲載の「日販グループESGレポート2021」をご確認下さい。)
(環境)
当社グループの環境に関するマテリアリティ(重要課題)を、出版流通改革によるCO2排出量削減と定め、2030年までに返品率15%を実現することで、輸送に関わる部分を含めCO2の排出量を26%(2020年に対し)削減することを目標といたしました。当連結会計年度は、日販で自家配送エリアの輸送コース再編(首都圏・名古屋・関西エリアの再編が完了すると、約1,250t-CO2削減の見込み)に着手しました。王子流通センター3号館では太陽光パネルの設置の他、2022年4月からは、再生可能エネルギー由来の電力を導入することでカーボンニュートラルを実現(約660t-CO2削減)します。また、出版共同流通株式会社では、2020年10月より開始した株式会社トーハンとの雑誌返品業務の協業開始や重油による自家発電の停止により年間で約590t-CO2のCO2排出量の削減を実現しています。
(社会)
当社グループは、性別、国籍を問わずすべての社員が個々の力を発揮できる環境づくりのため、多様な人材の登用・活躍を促進していますが、特に女性リーダーの育成・登用をマテリアリティとし、2030年までに女性の管理職比率を30%以上にすることを目標と定めました(当連結会計年度末の女性の管理職比率は13%)。産前・産後休業、育児休業制度など出産・育児に関する制度を充実させ、休暇取得も進んでおります。
更に、日販は2022年4月から、介護を担う社員が継続して働けるよう、介護休業の取得上限日数を93日から365日に拡充しました。
当社グループは、地域社会への貢献も「社会」のマテリアリティとして定めており、グループの書店を含む地域の書店様を接点として様々な活動を行っております。
2022年4月には、出版業界としてのエコ活動を企画・支援する「ONE ECO PROJECT(ワンエコプロジェクト)」をスタートさせました。第一弾企画の「本袋」は、出版社様の人気コンテンツをあしらったエコバッグで、その売上の一部が環境保護活動を行うNPO団体に寄付されます。
(ガバナンス)
当社グループの持続的な成長と企業価値向上には、あらゆるステークホルダーの信頼が不可欠であり、そのためには経営の透明性・健全性を確保すること及びコンプライアンスを遵守していくことが重要と考え、コーポレートガバナンスの充実に取り組んでいます。
また、より透明性・客観性の高い経営の実現のため、本定時株主総会にて女性の独立社外取締役の新任を含む社外取締役3名を選任致しました。
(ESG推進体制)
2021年は、外部アドバイザリーをメンバーに含む女性キャリア促進プロジェクトや、ESGの取り組み企画から実行のモニタリングまでを行うESG推進プロジェクト等を立ち上げ取り組んでまいりましたが、ESG経営を更に加速するため、2022年4月に、当社に新たに代表取締役を委員長とするグループESG推進委員会を設置し、グループを横断する課題について検討することで企業価値向上を目指す体制を構築しました。また、各事業会社においてもESG推進委員会を設置し、グループ共通のテーマと各社の個別のテーマについてそれぞれ検討を開始しております。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症の収束が見えずその影響が継続する中、人々の暮らしや働き方、価値観等が変化し、それに伴い事業の構造の変化も加速しています。また自然災害の日常化・甚大化や地域の活性化問題を含め私たちを取り巻く社会的な問題はより深刻化しています。このような環境において、当社グループは事業活動を通じ、よりよい社会、よりよい未来を実現するために、以下3点を対処すべき重点課題として取り組んでおります。
① グループESG経営の推進
② 持続可能な出版流通の実現(出版流通改革)
③ 新たな顧客価値創造及び事業領域の拡大
① グループESG経営の推進
事業活動を通して、持続可能な社会の実現に貢献することが、当社グループの持続的発展と企業価値向上にもつながるとの考えから、ESGを経営の中核に据え、事業とサステナビリティが両立する事業構造への変革とESGの重点施策を推進しています。後述する「出版流通改革」は、環境と社会の両面に大きく貢献する最重要の事業構造改革と位置付けて取り組んでいます。
(環境)
環境マテリアリティと表裏一体の出版流通改革の実現を通して、2030年には取次事業にかかるC02排出量26%の削減を実現してまいります。あわせて、「駿河屋」等リユース事業や古紙などのリサイクル素材を活用した商品開発を通じて循環型社会の実現、オフィスや物流センターの緑化による自然との共生の実現についてもグループの各社と連携し取り組んでまいります。
(社会)
グループ全体で、健康・安心・安全かつ多様な働き方を実現する労働環境や制度の充実をはかるとともに、女性の活躍促進(2030年までに管理職比率30%以上の実現)を含め、ダイバーシティ&インクルージョンを、企業文化として定着させてまいります。また、地域社会の活性化を目指し、グループの書店が、人が集う地域コミュニティの起点となるよう、イベントや地域の方・企業と連携した様々な取り組みを行ってまいります。
(ガバナンス)
今まで以上に、経営判断の質と透明性の高い経営を実現するための社内制度の再点検と改定を行います。また、グループガバナンス委員会、内部統制委員会及びそのもとで運営されるグループ情報セキュリティ推進委員会、グループコンプライアンス委員会の充実をはかってまいります。
② 持続可能な出版流通の実現(出版流通改革)
街に書店様と本があり続けることが「こころの豊かさ」のためになくてはならないことから、持続可能な出版流通の構築を最重要のミッションとし、取引構造改革とサプライチェーン改革の2つの改革を軸とした「出版流通改革」に取り組んでおります。「出版流通改革」は、2023年度末までの実現をゴールと設定し、以下の目標の達成に取り組んでまいります。(出版流通改革の詳細な内容や進捗につきましては、日販のWEBサイトより「出版流通改革レポートVol1~3」をご確認下さい。)
・取引構造改革 書店様のマージン率30%以上
・サプライチェーン改革 全国配送網維持
ドライバーのコンプライアンス遵守
③ 新たな顧客価値創造及び事業領域の拡大
新型コロナウイルス感染症の影響により、社会のあり方や人々のライフスタイル、消費行動に不可逆的な変化が生じつつありますが、この変化は、事業リスクであるとともに、新たな成長の機会でもあります。
新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動を大きく制限されたエンタメ事業は、すでにwithコロナに対応する形で、オンライン&リアルのハイブリッド検定や、物販イベントのオンライン開催等に取り組んでいます。
2022年4月には、グループ事業領域拡大のため「生活者起点で場を創り、豊かな時間を提供する」事業を新たなドメインとする株式会社ひらくを設立、また、小売事業では書店と親和性の高い「駿河屋」の店舗開発・運営支援を担う株式会社駿河屋BASEを設立しました。
上記以外でも、各事業の中期事業計画に基づき、新しい商品、サービス、体験、その他顧客価値の創造に向けて、組織・体制を整え、すでに取り組んでおります。
当連結会計年度は、事業構造の変革や新たなアライアンスを目的とした投資を行っておりますが、今後も時代の変化に後れをとることなく、グループの各事業成長に向け、積極的な投資やリソースの投下を行い、新たな顧客価値・収益の創造に努めてまいります。
当社グループは、「人と文化のつながりを大切にして、すべての人の心に豊かさを届ける」という経営理念の実現に向けて、これからも様々な挑戦を続けてまいります。

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