有価証券報告書-第171期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/24 14:16
【資料】
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【項目】
131項目
(1)会社の経営の基本方針
<ミッション(使命・存在意義)・ビジョン(目指す姿)>当社グループは「私たちは、お客様の立場に立って、よきものづくりに支えられた健全で活力ある社会の発展に貢献することを使命とします。この使命を達成するために、全員がたゆまぬ努力と研鑚を積み最高のソリューションを提供することにより、産業界の発展に寄与します」を経営理念とし、さらに「私たちは、それぞれの立場でお客様を最も知る企業となることを目指し、エレクトロニクスソリューションズ・カンパニーとしてお客様にトータルメリットを提供できるベストパートナーとしてかけがえのない存在となり、社会の持続的な発展に寄与します」を基本方針としております。
(2)中期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標
2025年度を最終年度とする中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025(ES・C2025)』では、持続的な成長に向けた収益構造の強化を図り、価値を提供し、社会課題の解決に貢献できる「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」となることを目指す5年間とします。
お客様を最も知るベストパートナーであり続けるため、技術力・企画力を高め、パートナー企業やグループ内の連携を強化し、オリジナルソリューションの提供を通し、高付加価値ビジネスを追求すると共に、社会の変化に即応し持続的に成長できる企業を目指します。
さらに、公明正大な経営を実践するため、コーポレート・ガバナンス体制をより一層強化すると共に、社員一人ひとりが倫理・遵法意識を高く持ち、健全で誠実な事業活動を推し進めてまいります。
新中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025(ES・C2025)』
<基本方針>SDGsへの取り組みを通じて、社会的課題の解決に貢献し持続的な成長を実現する「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」となる。
・グループ理念の実践「お客様を最も知るベストパートナー」
・成長性に重きを置いた戦略の実行と、必要な経営資源を積極的に投入する。
・高付加価値ビジネスを拡大し、収益性の向上を図る。
<基本戦略>持続的成長に向けた収益構造の強化
①「深化・進化」による競争力の強化
当社グループ内・パートナー企業との連携強化を図り、システム構築力やエンジニアリング力を強化することで、お客様の企業価値向上に寄与するオリジナルソリューションを企画・提供し、差別化・競争力を強化する。
②社会課題の解決を図るため、今後も成長性が高い分野への取り組みを強化
環境問題や労働力不足といった社会的課題の解決を図り持続的な社会の発展に寄与する、環境・エネルギー分野やロボット・自動化分野を始め、今後成長が見込まれる5G・IoT・AI対応分野への積極的な取り組みとそれぞれに対応する技術力の強化を図る。
③カナデンDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
デジタイゼーションによる業務標準化・効率化にとどまらず、デジタライゼーションによるビジネスモデルの変革を実現し、提案内容の高度化・品質向上につなげると共に、当社が蓄積してきた情報資産を最大限に活用し、企業間コミュニティを活性化するコンソーシアムの形成を目指す。
④多様な人材が能力を十分に発揮できる風土・仕組みづくり
人権の尊重と差別の禁止を徹底すると共に、多種多様な人材がライフイベントとキャリアを両立できるよう積極的な施策を講じ、当社の持続的な発展を担う人材を確保・育成する。
また、ビジネススキル向上やグループ理念の浸透を通して個人の「挑戦と革新」の資質を高めると共に、組織として事業環境の変化に柔軟に対応し、常に変化を志向する。
⑤戦略的投資政策の実行
技術力強化に向けたパートナー企業との連携や、新分野への事業領域の拡大を図るためのM&Aの実践。
⑥公明正大な経営
外部規律や社会的要請に適うガバナンス体制を構築し、より健全で透明性の高い経営を実践すると共に、全員が高い倫理観を持ち、健全で誠実な事業活動を実践する。
<経営目標数値>目標数値(2025年度)
・営業利益 57億円,営業利益率 4.5%以上
・ROE 8.0%以上
・戦略的投資等による、売上高 100億円の創出
<基本戦略に基づく施策>(共通)
・全社プロジェクトによる既存重点分野(自動化、エネルギーマネジメント等)の取組強化と共に、新市場、新商材の開拓を推進する。
・エリア戦略の推進
国内:各ビジネスユニット戦略とエリア戦略のマトリックス経営の推進
海外:ASEAN地区におけるソリューション提案体制の強化
・技術教育を拡充し、ソリューション提案力の強化による差別化を図る。
・カナデンコンソーシアムの形成、活用による創発的な企業間コミュニティへの移行を図り、ビジネスモデルの継続的創出につなげる。
・セグメント横断的なアカウントマネジメント体制の確立による複合販売の推進。
・インサイドセールス機能を整備し、フィールドセールスとのハイブリッド対応による営業力強化を図る。
・成長分野におけるスタートアップ企業との協業による事業創出と、企業再編の活用によるバリューチェーンの拡大を目指す。
(FAシステム)
・ソリューション提案力を強化し、コンポーネントからソリューション、コンサルティングビジネスへの変革を図る。
・蓄積した製造現場の知見やAI・IoT等の新技術の活用や自動化によるお客様の課題解決やものづくりの進化、安全で働きがいのある職場づくりを支援する。
・海外でのシステム対応力強化に向けたパートナー企業との連携強化。
(ビル設備)
・ビルマネジメントシステムの展開を強化し、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)提案の強化を図り、環境負荷の低いエネルギー利用の普及を促進し快適性の向上と消費エネルギーの抑制を両立させる。
・工事、保守サービスを含め一貫したソリューションの展開強化。
(インフラ)
・社会インフラとしての「安心・安全・快適」を支え、進化させるという使命を果たし続けると共に、交通・公共分野におけるお客様のビジネスモデルの変革に対応し、従来の領域にとらわれないソリューション提案の拡大を図る。
・気候関連災害や自然災害に備える監視・防災・減災ソリューションの提供により社会や産業の基盤強化に貢献する。
(情通・デバイス)
・医療・介護・健康分野におけるデジタル技術を活用したソリューションの提供推進。
・セキュリティビジネスからトータルICTビジネスへの進化(デジタル分野への拡大)。
・IoTデバイスの進化や5Gの導入による、データの新たな活用や連携方法を可能にする商材の発掘、ソリューションの構築を目指す。
・自動車分野への参入加速。
<配当方針>剰余金に関する基本方針を、堅実性と成長性を併せ持った「健全経営」を確実に推し進めていくため、将来の事業展開と企業体質の強化に必要な内部留保を確保しつつ、配当性向を35%に定め、株主の皆様に対し当該連結会計年度の収益状況に応じた適正な利益還元に努めてまいります。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループは、2020年度を最終年度とする3ヵ年中期経営計画『CI・J-3(Challenge & Innovation・Joint)』において、“Joint~つなぐ、つながる~”をテーマとし、お客様を最も知るベストパートナーであり続けるため、お客様との“つながり”を大切にし、パートナー企業やグループ内の連携(つながり)を強化することで提案力、技術力の向上を図り、高付加価値ビジネスを追求し、成長を持続できる企業となることを目指してまいりました。
その結果、システムソリューションビジネスの拡大や技術力の向上、パートナー企業やグループ内の連携強化には一定の成果がありましたが、既存ビジネスの収益性が低下し、戦略的投資政策の実行も限定的な成果にとどまりました。更に、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により市場環境が一変し、先行き不透明感からの設備投資抑制や事業活動の制限の影響を受け、経営目標数値は大きく未達となりました。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に関しては、日本を含む各国でワクチン接種が開始されておりますが、依然として終息の目途はたっておらず長期化することが想定され、市場環境の改善は緩やかに推移し、本格的な改善には時間を要するものと予測されます。特に、鉄道事業者や飲食業、サービス業が関連するビジネスにおいてはその影響が大きく、当社グループの経営成績及び財務状況への影響も長期化することが想定されます。
これらの経済情勢や当社を取り巻く事業環境の変化を踏まえ、2025年度を最終年度とする中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025(ES・C2025)』を新たに策定しました。中期経営計画『ES・C2025』では、持続的な成長に向けた収益構造の強化を図り、お客様へ価値を提供し、社会課題の解決に貢献できる「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」となることを目指す5年間とします。
今後もグループ内・パートナー企業との連携強化を図り、お客様の企業価値向上に寄与するオリジナルソリューションを企画・提供することで、差別化・競争力を強化し、収益構造の強化を図ります。
併せて、環境問題や労働力不足といった社会的課題の解決に貢献し、持続的な社会の発展に寄与するため、環境・エネルギー分野やロボット・自動化分野を始め、今後成長が見込まれる5G・IoT・AI対応分野への積極的な取り組みとそれぞれに対応する技術力の強化を図ってまいります。
新型コロナウイルス感染症は、人々の価値観や働き方にも大きな変化をもたらし、既存の概念に囚われない柔軟かつスピード感のある対応が求められています。当社グループといたしましては、テレワークの導入等、取りうる限りの対策を行い感染拡大の抑止に全力で取り組むと共に、インサイドセールス機能を整備し、フィールドセールスとのハイブリッド対応により営業力の強化を図ってまいります。
さらに、公明正大な経営を実践するため、コーポレート・ガバナンス体制をより一層強化すると共に、社員一人ひとりが倫理・遵法意識を高く持ち、健全で誠実な事業活動を推し進めてまいります。