有価証券報告書-第89期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 11:59
【資料】
PDFをみる
【項目】
132項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と
いう。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による経済政策及び日銀の金融緩和策を背景に、企業収益の回
復、雇用や所得環境の改善やインバウンド需要の増加等により回復基調で推移しております。一方、円高傾
向、米国における保護主義政策の高まりによる中国との貿易摩擦が与える世界経済への影響等、景気の先行き
は不透明感が強まる傾向にあります。
このような環境のなか当社グループは、「活かそう KISCOグループネットワーク 心がけよう 丁寧な仕
事と効率化」の行動指針のもと、営業面では第三営業本部において活動の効率化を目的に組織の再編成を行う
とともに、エネルギー関連ビジネスへの取組みを加速するため、専門チームを新設いたしました。海外におい
ては、平成27年末に買収したSCS社とのシナジー効果を高めるべく事業の統合に向けた取組みを強化、アジア地
域ではアセアン・中国を基軸とした統括管理により営業活動の促進を図りました。業務面では管理本部各組織
のミッション明確化と専門性の向上を目的として組織の再編を行いました。
2 事業等のリスク(7)において、当社グループは継続企業の前提に関する重要事象等について記載して
おりますが、前期は順守できず財務制限条項に抵触することになりました。当該状況により、継続企業の前提
に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しましたが、前期においても主要取引銀行からの支援
体制が十分であることに加え、当期は財務制限条項に抵触していないことから、継続企業の前提に関する重要
な不確実性は認められないと判断しております。
加えて当該事象を生じさせる原因となった架空取引詐欺被害を受け、新たに設置された「取引・リスク審査
委員会」および「審査部」におきましては、外部の専門家からの助言に基づき各種リスクの検討や、従来の与
信管理に加えて取引審査(仕入・販売条件の確認、与信限度額の適正、法制面を含むコンプライアンスの観
点等)を実施、再発防止に努めました。
このような状況のなか、当連結会計年度末における財政状態は次のとおりの結果になりました。
流動資産は、前連結会計年度末比90億51百万円増加し、549億58百万円となりました。主な要因は、受取手
形及び売掛金の増加(56億30百万円)であります。
固定資産は、前連結会計年度末比65億67百万円減少し、422億98百万円となりました。主な要因は、投資有
価証券の減少(62億97百万円)であります。
流動負債は、前連結会計年度末比75億76百万円増加し、405億33百万円となりました。主な要因は、支払手
形及び買掛金の増加(33億18百万円)であります。
固定負債は、前連結会計年度末比72億23百万円減少し、329億14百万円となりました。主な要因は、長期借
入金の減少(55億38百万円)であります。
純資産の残高は、前連結会計年度末比21億31百万円増加し、238億9百万円となりました。主な要因は、利
益剰余金の増加(49億62百万円)であります。
また、このような状況のなか、当連結会計年度の当社事業は、既存ビジネスにおける売上高は堅調を維持
し、国内外子会社各社は好調に推移しております。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、当社グループの売上高1,026億98百万円(前年同期比14.4%増)、経常利益19億95百万円(同9.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益51億12百万円(前年同期は親会社株主
に帰属する当期純損失29億93百万円)となりました。
セグメント毎の経営成績は次のとおりであります。
合成樹脂
合成樹脂は、売上高552億93百万円(同13.9%増)、セグメント利益15億11百万円(同20.8%減)となりま
した。
化学品
化学品は、売上高256億30百万円(同22.5%増)、セグメント利益13億75百万円(同7.7%増)となりました。
電子材料
電子材料は、売上高217億46百万円(同7.1%増)、セグメント利益9億95百万円(同21.0%増)となりまし
た。
その他
その他は、売上高27百万円(同6.1%増)、セグメント利益44百万円(同24.7%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、売上債権の増加及び長期借入
による収入の減少等の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益が55億95百万円(前年同期
は税金等調整前当期純損失15億10百万円)と増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ13億65百万円増
加し、当連結会計年度末には121億32百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、23億75百万円(前年同期比675.7%増)となりました。これは主に、売上債権の増加の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益が55億95百万円(前年同期は税金等調整前当期純損失15億10百万円)と増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、10億14百万円(前年同期は45億37百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出の要因により一部相殺されたものの、投資有価証券の売却による収入が34億34百万円(前年同期比34億19百万円増)と増加したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、24億3百万円(前年同期は42億91百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入により一部相殺されたものの、長期借入金の返済による支出が53億36百万円(前年同期比17.1%増)と増加したこと等によるものであります。
③売上高並びに仕入高の実績
a.売上高実績
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
合成樹脂55,293,457113.9
化学品25,630,795122.5
電子材料21,746,409107.1
その他27,516106.1
合計102,698,178114.4

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の売上高及び当該売上実績の総売上高に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
b.仕入高実績
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
合成樹脂48,420,427113.5
化学品19,845,236131.1
電子材料18,872,235105.2
その他65,873127.5
合計87,203,772115.0

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.金額は仕入価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成さ
れております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における経営成績等は、各セグメントが売上を伸ばしたことから前年同期
比128億89百万円の売上増加となりましたが、売上原価及び営業費用等の費用が増加したことを要因に、営業
利益は57百万円減少しました。経常利益は、前年度支出した買収資金調達に係る支払手数料の支出がなかった
こと等を要因に1億69百万円増加しました。
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因としては、取引先及び当社海外子会社を取り巻く経済
環境の変化、原油価格等原材料の市況の変動、為替の変動、株価の変動、取引先の信用及びコンプライアンス
に関するものがあります。
当社グループは、運転資金、設備資金及び事業投資資金につきましては、内部資金、社債または借入により
資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期
借入金で、生産設備や事業投資などの長期資金は、社債または長期借入金で調達しております。
当連結会計期間末における、短期借入金及び1年内償還予定の社債の残高は147億92百万円、社債及び長期借
入金の残高は266億99百万円であります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、部門ごとに
「売上」、「売上総利益(粗利)」、「管理利益」の予算を定め、達成状況を管理しております。当社グルー
プは商社事業の比重が高いことから、「売上総利益」を重視し指標に取り入れております。また、販売費及び
一般管理費に加え金融費用を各部署の活動実態に合わせ配分することで、より実態に近い各部署の収益性を把
握するために「管理利益」を指標として採用しております。
  • 有価証券報告書-第89期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)