有価証券報告書-第45期(平成27年3月1日-平成28年2月29日)

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2016/05/26 16:17
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業績等の概要

(1) 業績
当期におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融政策により、企業収益や雇用環境の改善傾向が続き、全体としては緩やかな景気回復基調で推移しました。しかしながら、中国を始めとする新興国や資源国の景気減速、日銀によるマイナス金利の導入等の影響もあり、経済環境は依然として不透明な状況が続いております。
当社グループが属する小売業界におきましても、消費税増税後の個人消費の回復が鈍く、消費者の節約志向、同業他社や他業態との競争激化など、引き続き厳しい状況が続くものと思われます。
このような状況のもと、当社グループは、グループシナジーをさらに高め、企業価値を最大化できるよう、経営方針を「①総合小売事業とコンビニエンスストア事業の2基幹事業を成長・拡大させる」「②金融・サービス事業の強化による顧客満足を向上させる」「③各事業会社の経営基盤の安定に向けた改革をする」「④既存事業の成長に寄与、あるいは将来ニーズに対応した新規事業を展開する」の4点としました。組織面では、PB商品「スタイルワン」「プライムワン」の開発において、品目数へのこだわりから質の追求への政策転換を図り、スーパーマーケット、コンビニエンスストアの異なる顧客ニーズへきめ細やかな商品開発を行うことを目的に、商品開発機能を事業会社であるユニー㈱と㈱サークルKサンクスに移譲する組織改編を実施しました。また、当社グループの店舗を軸に相互送客できる多様な販売チャネルを融合させたネットワークを構築するため、当社にオムニチャネル戦略部を新設しました。物流面では、「ユニーグループシナジー5ヶ年計画」に基づき、「物流センターの共有化」を進めており、ユニーグループの北陸エリアと静岡・山梨エリアの物流拠点となる「ユニーグループ北陸物流センター」、「ユニーグループ静岡物流センター」「ユニーグループ関東北物流センター 」の3拠点の稼動を開始しました。
この結果、当期のグループ連結業績は、営業収益(売上高と営業収入の合計)1兆387億33百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益223億67百万円(前年同期比10.5%増)、経常利益216億57百万円(前年同期比5.7%増)となりました。また、特別損失に減損損失を183億24百万円計上したこと等により、当期純損失28億73百万円(前年同期は当期純損失24億8百万円)となりました。
また、当社は平成27年10月15日に㈱ファミリーマートと経営統合することに関して基本合意書を締結し、平成28年2月3日開催の取締役会において、同社との間で吸収合併契約を、同社及び㈱サークルKサンクスの間で吸収分割契約をそれぞれ締結することを決議し、締結いたしました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 総合小売業
総合小売業は営業収益7,955億23百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益96億19百万円(前年同期比6.7%増)の増収増益となりました。
ユニー㈱においては、「お客様のより良い生活実現のために奉仕する」ことをお客様に対する変わることのない理念とし、企業ビジョンである「新生活創造小売業」の実現に向け、各出店地域においてお客様から信頼される小売業を目指しております。本年度の具体的な取り組みとしては、永続的な企業発展をめざし、『仕組みをつくり、仕組みを活かし、経営を変えていく』ことをポイントとし、「1.MD(マーチャンダイジング)改革:価値ある商品の販売・52週MD提案を通して、お客様満足をめざします。」「2.客数拡大:新規顧客の拡大、ロイヤルカスタマーの来店頻度アップをめざします。」「3.ローコスト運営:店舗作業の見直し、人員配置の適正化、作業集約をめざします。」「4.ショッピングセンター化:直営売場の品揃え見直し、テナント導入による魅力度アップをめざします。」の4つの取り組みを展開して参りました。
商品面では、ユニーの主な購入客層である女性に対して、女性ならではの視点を取り入れた商品開発に取り組み、女性バイヤーがつくった新感覚のフランスパン プライムワン「こだわりの贅沢 ソフトフランス」や、働く女性を応援する輝く女性のキモチ研究所「デイジーラボ」より、㈱豊田自動織機の女性社員が女性向け車両アイテムを企画する「Vitz 女子力向上委員会」との共同企画による「Vitz デイジーラボEDITION」の抽選福袋や30代女性ファッション雑誌で販売部数No.1を誇る「InRed(インレッド)」(宝島社)とコラボしたオリジナルショコラ「ショコラピタ(ChocolApita)」を販売しました。また、多くのお客様に支持をいただき、9月に販売数量1,000万食(4枚切換算)を突破したプライムワン「こだわりの贅沢食パン」をおいしさや上質にこだわりながら、お客様のニーズにあった飽きのこない味の実現を目指し、リニューアルしました。
営業企画としては、ユニー誕生45周年とUCS誕生25周年を記念したキャンペーン企画やサンリオファミリーミュージカル「ハローキティのラブリーステージ」の抽選企画、中日ドラゴンズ球団通算10,000試合達成記念企画などをUCSカードおよびユニコカード会員様限定で実施し、ロイヤルカスタマー戦略を推進しました。また、㈱サンリオの人気キャラクター「マイメロディ」をイースター・バニーに起用したユニー初の企画「アピタ・ピアゴ イースター春まつり」の開催やタツノコプロ作品のキャラクターをデザインしたオリジナルコラボTシャツを販売するなど、新たなロイヤルカスタマー作りを進めました。
ローコスト運営としては、中京・関西エリア、長野県下のアピタ・ピアゴの精肉・鮮魚加工を集約する「瀬戸プロセスセンター」の稼動を開始しました。加工作業の集中化による店舗作業の軽減や原料の一括仕入れによる商品原価の低減を図ることにより、今後もより付加価値の高い商品をよりお値打ち価格で提供していきます。
既設店売上高につきましては、衣料品は暖冬により冬物商品を中心に伸び悩み、住居関連品は前期の人気キャラクター玩具の反動減などにより前年を下回りましたが、食品が生鮮品の好調などにより11ヶ月連続で前年を上回ったこと等により、前年同期比1.0%増(衣料1.1%減、住居関連2.8%減、食品2.2%増)となりました。
当セグメントの営業費用は、円安の進行に伴う商品価格の高騰等による売上原価の増加や販売費の増加等により、7,859億4百万円(前年同期比2.3%増)となりました。
ユニー㈱の当期末店舗数は開店8店舗、閉店6店舗により228店舗、ユニー香港は3店舗、優友(上海)は1店舗、㈱99イチバは出店7店舗、閉店12店舗により85店舗となりました。
② コンビニエンスストア
コンビニエンスストアは営業収益1,563億8百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益70億27百万円(前年同期比7.7%減)となりました。
㈱サークルKサンクスにおいては、引き続き「欲しいモノ・コトがある身近なお店」の実現に取り組み、特に潜在市場として期待される30代~40代の女性をターゲットにしたペルソナ戦略を推進しました。店舗運営面では、小さな商圏内でも女性のお客様をはじめ幅広い客層のお客様にご来店いただける店舗づくりを目指し、時短・簡便ニーズに対応した品揃えの拡充を進めるとともに、接客・クリンネスの更なる向上に取り組みました。商品面では、売上拡大が続いている「淹れたてコーヒー」の新型コーヒーマシンの順次導入や、オリジナルデザート「シェリエドルチェ」のリニューアル、ファーストフードの品質向上に注力しました。「シェリエドルチェ」全面リニューアルの目玉商品として11月に販売した「シェリエドルチェ 濃厚焼きチーズタルト」は、特に女性のお客様に支持され、発売から3日間の販売数がシェリエドルチェ史上最速で100万個を突破しました。また、サークルKサンクス独自の会員組織「+K(プラスケイ)」会員への顧客ID別アンケートとID-POSによる購買パターンの分析を組み合わせた「リサーチ型CRM」の取り組みを10月より本格的に開始し、その仕組みを活用して女性の声を集めて開発した「だし香る和風すぱ」シリーズが堅調に推移しました。サービス面では、「+K(プラスケイ)」に会員登録されている楽天「Rポイントカード」をお持ちのお客様を対象に単品ボーナスポイントなどの販促策を実施し、売上向上に努めました。
以上の結果、営業収益は自営店舗数の増加による自営店売上高の増加などもあり前年を上回りましたが、当期の既存店前年比(単体ベース)は0.9%減となりました。また、当期よりサークルケイ四国㈱と「サークルKサンクスオンライン」を運営するときめきドットコム㈱を重要性が増したため、連結の範囲に含めたことにより、営業収益は増加しております。
営業費用については、新規連結会社2社の増加や自営店舗数の増加に伴う売上原価の増加により、1,492億80百万円(前年同期比6.3%増)となりました。
当期末店舗数は出店320店舗、閉店316店舗及び新規連結増加による169店舗増により6,242店舗となりました。なお、非連結のエリアフランチャイザーを含む合計店舗数は6,350店舗となりました。
③ 専門店
専門店の営業収益は526億36百万円(前年同期比9.7%減)、営業損失1億60百万円(前年同期は営業損失11億64百万円)となりました。
㈱さが美においては、きもの事業は展示即売会が前年実績を下回り、売上高は前年同期比2.6%減となりましたが、きものお手入れ、和装品の充実により平日の日販売上高が2桁増と着実に改善し、既設店売上高は前年同期比1.1%増と上回りました。ホームファッション事業は前年の消費税増税前の駆け込み需要の影響と期末比で11店舗減少していること等により、売上高は前年同期比7.0%減となりましたが、前年に消費税増税の影響で落ち込んだ5月度以降は既設店前年比が毎月度100%を超えて推移しており、既設店前年比は4.9%増と堅調に推移しました。その結果、営業収益209億59百万円(前年同期比3.1%減)、営業損失1億1百万円(前年同期は営業損失4億70百万円)となりました。当期末店舗数は出店14店舗、閉店36店舗により231店舗となりました。
㈱パレモにおいては、4つの変革「MD(マーチャンダイジング)変革」「サービス変革」「店舗基盤変革」「コスト変革」を柱とした事業構造改革に取り組むことで、基幹事業の収益力を回復させるとともに、個店ごとのマーケット環境と収益性を精査し不採算店舗の退店を進めることで、赤字額の削減ならびに営業費の低減に取り組んだことにより、営業利益は3期ぶりの黒字となり大幅に改善しました。売上高は、アパレル事業においてシーズンMDの精度向上による在庫低減、商品鮮度改善が進んだことで徐々に回復基調となりましたが、暖冬によるシーズン商品の販売伸び悩みや雑貨事業で昨年好調であったキャラクターグッズ商品が低調であったこと等により、既存店売上高は前年同期比4.5%減となりました。その結果、営業収益は273億2百万円(前年同期比14.3%減)、営業利益は60百万円(前年同期は営業損失6億79百万円)となりました。当期末店舗数は出店5店舗、閉店131店舗により574店舗となりました。
④ 金融
金融の営業収益は195億円(前年同期比5.8%増)、営業利益40億28百万円(前年同期比3.3%増)の増収増益となりました。
㈱UCSにおいては、カード事業において包括信用購入あっせんはアピタ・ピアゴで実施しているポイント2倍デーやUCSカード会員向けに発行している割引チケットの拡大、グループ内外の加盟店との営業企画の実施や優待サービスの拡充等による取扱高の拡大に取り組みました。また、平成27年10月より㈱サンリオの人気キャラクター「マイメロディ」をデザインしたクレジットカードを発行し、若年層の女性ユーザーなど新たな顧客の獲得に取り組んだこと等により、取扱高は6,395億74百万円(前年同期比5.8%増)と堅調に推移しました。一方、融資は貸金業法改正の影響が依然として残り、取扱高は125億70百万円(前年同期比7.5%減)と引き続き厳しい状況で推移しました。また、電子マネー「ユニコカード」は新規の会員獲得が順調に増加し、会員数156万人に達し、利用拠点拡大、アピタネットスーパーの割引開始、グループ営業企画やポイント企画の実施等により、取扱高は1,755億22百万円(前年同期比64.9%増)と好調に推移しました。その結果、カード事業の営業収益は181億43百万円(前年同期比5.8%増)となりました。保険リース事業においても、ニーズに合わせた商品提案や営業力強化に加え、複数社の保険商品を取り扱う総合ショップへのリニューアルにより、店舗活性化および集客促進を図り、生命保険の拡大に取り組んだ結果、営業収益は13億57百万円(前年同期比6.3%増)となりました。
⑤ その他
その他の事業の営業収益は551億32百万円(前年同期比1.3%増)、営業利益19億62百万円(前年同期比136.1%増)の増収増益となりました。
その他の事業は、当社グループ内のサービス会社としてコスト削減を行いつつ、当社グループ外への事業拡大に努めました。
(注) 1.上記の数値のうち、セグメント別の営業収益には売上高及び営業収入を含み、また、セグメント間の取引を含んでおります。
2.記載金額は、すべて消費税等を含まない金額としております。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度より256億41百万円増加し、794億97百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、842億12百万円の収入(前年同期は578億42百万円の収入)となりました。前年同期との比較では、仕入債務の増加及び売上債権の減少等により、263億69百万円の収入増となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、468億52百万円の支出(前年同期は533億35百万円の支出)となりました。前年同期との比較では、有形固定資産の取得による支出が増加したことに対し、有形固定資産の売却による収入及び投資有価証券の売却による収入が増加したこと等により、64億83百万円の支出減となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、129億86百万円の支出(前年同期は68億33百万円の支出)となりました。前年同期との比較では、長期借入れによる収入の減少が長期借入金の返済による支出の減少を上回ったこと等により、61億52百万円の支出増となりました。