有価証券報告書-第44期(平成26年3月1日-平成27年2月28日)

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2015/05/21 12:51
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業績等の概要

(1) 業績
当期におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融政策により、企業収益や雇用環境の改善傾向が続き、輸出関連企業を中心に緩やかな景気回復基調となりましたが、消費税増税に伴う個人消費の低迷が長引いていることに加え、急激な円安による輸入原材料価格の高騰や電気料金の値上がりなど、経済環境は依然として不透明な状況で推移いたしました。
当社グループが属する小売業界におきましても、消費者の節約志向、同業他社や他業態との競争激化など、引き続き厳しい状況が続くものと思われます。
このような状況のもと、当社グループは、グループシナジーをさらに高め、企業価値を最大化できるよう取り組みました。昨年5月に女性従業員で組織された「スタイルワン研究所」の中で様々な意見を取り入れ、試作品の開発を繰り返して商品化した価値訴求型PB「プライムワン」の「こだわりの贅沢食パン」を販売し、2月の販売から当社グループ合計販売数650万食を突破するなど、美味しさや上質へのこだわりが高い支持を受けております。価値訴求型PB「プライムワン」では、今後もお客様のニーズ、美味しさ、高品質をコンセプトに、付加価値の高い商品を開発・拡大し、グループシナジーの強化を図ってまいります。業態開発においては、㈱サークルKサンクスのコンビニエンスストアのノウハウにユニー㈱の強みである生鮮仕入・販売のノウハウを融合させた「サークルKフレッシュ」や時間節約型のコンビニエンスストアに時間消費型のカフェを併設した「K's CAFE 」などを新たにオープンさせました。また、顧客囲い込みとGMS・CVS間の相互送客を狙いとした電子マネー「ユニコ」は取り扱い拠点を拡大し、ユニーグループで使える便利でお得な電子マネーとしてお客様から高い支持を頂き、会員数113万人を突破しました。今後も電子マネー「ユニコ」を活用したロイヤルカスタマー化に取り組んでまいります。
この結果、当連結会計年度のグループ連結業績は、営業収益(売上高と営業収入の合計)1兆189億59百万円、営業利益202億37百万円、経常利益204億88百万円、当期純損失24億8百万円となりました。
なお、前連結会計年度が決算期変更により1年と8日間決算となっているため、前連結会計年度との対比は記載しておりません。
セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、セグメントの業績につきましては、事業会社である各社の事業年度末日が従来どおりであるため、全連結会計年度との対比を記載しております。
① 総合小売業
総合小売業は営業収益7,773億27百万円(前年同期比2.8%減)、営業利益90億13百万円(前年同期比26.3%減)となりました。
ユニー㈱におきましては、「お客様のより良い生活実現のために奉仕する」ことをお客様に対する変わることのない理念とし、企業ビジョンである「新生活創造小売業」の実現に向け、各出店地域においてお客様から信頼される小売業を目指しております。
各業態については、GMS(総合小売業)業態のアピタは、「日常生活向上店」として、生活解決、生活提案に力を入れて、時代の先端のポケットのような店舗を創ることを目標とし、SM(スーパーマーケット)業態のピアゴは、「日常生活便利店」として、生活コスト引き下げに力を入れて、毎日楽しくお買物ができる、身近で心地の良い店舗を目標としています。当期におきましては、「関東プロセスセンター」を本格稼動し、関東地方および福島県・新潟県下の店舗の精肉加工作業を集約して、品質の安定化による商品力向上と集中加工による店舗作業の効率化を実施しました。また、7月よりユニーグループである㈱99イチバが運営するミニピアゴ全店舗への商品供給も開始いたしました。今後は取り扱う商品の拡大も視野に入れ、多品種少量による品揃えの強化など、お客様のニーズに対応した商品の提供に努めてまいります。
商品面では、ユニーグループのPB「スタイルワン」の拡充、価値訴求型PB「プライムワン」の「こだわりの贅沢」シリーズの販売を開始するなど、グループ開発力を活かした品揃えの強化を実施しました。PB「スタイルワン」では、近年高まる健康志向を背景に、美味しさを追求しながらも栄養バランスやカロリーを抑えたいという、お客様のニーズを反映した「健康に配慮した食品」として、スタイルワン「ヘルシー」シリーズの展開を新たに開始しました。また、女性の視点から働き女子の悩みを解決することを目的として、ユニー㈱及びグループ会社の女性社員で構成された働き女子のキモチ研究所「デイジーラボ」を発足しました。仕事、家事子育てに忙しい女性の気持ちに寄り添って、毎日をもっと楽しく、もっと嬉しくするアイテムを衣・食・住、バラエティ豊かに提案していきます。
営業企画としては、ユニー初となるアピタ全店と約4,500の専門店の大規模合同企画「プライムフェスティバル(プラフェス)」を開催し、増税後の消費の冷え込みや客動数の減少の解消、新たなロイヤルカスタマー作りを進めました。
既存店売上高につきましては、消費税増税後の反動減に加え、天候不順や台風の影響による客数減が続き、前年同期比2.9%減(衣料6.9%減、住居関連4.7%減、食品1.7%減)となりました。
当セグメントの営業費用は、電気料金の値上がりによる水道光熱費の増加等がありましたが、「ローコスト経営」の継続に努めたことにより、7,683億14百万円(前年同期比2.5%減)となりました。
また、当期より中国の上海で小売業を行う優友(上海)商貿有限公司を連結範囲に含めております。
ユニー㈱の当期末店舗数は出店6店舗、閉店9店舗により226店舗、ユニー香港は3店舗、㈱99イチバは出店15店舗、閉店1店舗により90店舗、優友(上海)商貿有限公司は出店1店舗により1店舗となりました。
② コンビニエンスストア
コンビニエンスストアは営業収益1,481億10百万円(前年同期比0.3%減)、営業利益76億13百万円(前年同期比19.5%減)となりました。
㈱サークルKサンクスにおきましては、少子高齢化や単身者世帯の増加、小売店舗の減少など社会環境の変化に合わせ、小さな商圏内でも幅広いお客様にご来店いただける店舗づくりを目指し、「現場力」「商品力」「改善力」を高める3つの成長戦略に取り組みました。
店舗運営面では、生鮮品や日用品、惣菜などの内食・中食商品から日用品にいたるまで日常生活に必要な商品の品揃え強化に取り組んだほか、アイランドチルドケースや冷凍平台ケースの導入を継続して進め、店舗のミニスーパー化を推進しました。また、ユニー㈱が平成17年に導入し効果を上げている生産性改善活動「カイゼン」を直営店に導入し、加盟店への拡大に向けて作業ノウハウの構築に取り組みました。
商品面では、ユニーグループのPB「スタイルワン」の拡充に加え、価値訴求型PB「プライムワン」からワンランク上の「こだわりの贅沢シリーズ」の販売を開始するなど、グループの開発力を活かした商品開発に注力いたしました。また、女性客比率向上を目的として社内外の女性メンバーによる商品開発チーム「CKS Woman」を結成し、女性の視点による米飯や惣菜などのファーストフードの開発に取り組みました。
サービス面では、新たなポイントカード戦略として、平成26年10月から楽天スーパーポイントが貯まる、使える「Rポイントカード」の取り扱いを開始しました。同時にサークルKサンクス独自の会員組織「+K(プラスケイ)」を立ち上げ、会員限定の単品ボーナスポイントなどの販促策を実施し、売上向上に努めました。
しかしながら、消費税増税後の消費意欲の低下、市場変化によるたばこの売上減少、夏場の天候不順による夏物商材の伸び悩み等により、既存店売上高が前年を下回った結果、営業収益は減少しました。
営業費用は、広告販促関連費用の効率的な運用に取り組みましたが、店舗数増加に伴う賃借料の増加等により、1,404億97百万円(前年同期比1.0%増)となりました。
当期末店舗数は出店348店舗、閉店244店舗により6,069店舗となりました。なお、非連結のエリアフランチャイザーを含む合計店舗数は6,353店舗となりました。
③ 専門店
専門店の営業収益は583億4百万円(前年同期比9.5%減)、営業損失11億64百万円(前年同期は営業損失7億4百万円)となりました。
㈱さが美におきましては、接客業としての基本に立ち返り、お客様本位の価値観を全社員が再確認し、お客様満足を高めること等により、業績の早期回復に取り組みました。しかしながら、きもの事業におきましては、消費税増税後、客数の減少が続き、客単価の改善では補いきれず、販売契約高は前年同期比5.1%減、売上高は前年同期比3.8%減と落ち込みました。ホームファッション事業におきましても、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動が大きかったことにより、売上高は前年同期比14.1%減と落ち込みました。営業費用は、消費税増税による売上の下ぶれリスクに対応するため、全社をあげてコストの見直しに努めた結果、販管費は6億18百万円(前年同期比4.7%減)減少しました。その結果、営業収益216億20百万円(前年同期比5.3%減)、営業損失4億70百万円(前年同期は営業損失3億87百万円)となりました。当期末店舗数は出店7店舗、閉店23店舗により253店舗となりました。
㈱パレモにおきましては、経営体質の改善改革をテーマに事業基盤の再構築、基幹事業の収益回復、販売サービス変革及び不採算店舗閉店による赤字額削減・営業費低減などの諸施策に取り組みました。その結果、下半期においては営業損益が前期に比べ、3億77百万円の改善となるなど、ローコスト化は進捗しました。しかしながら、通期においては雑貨事業が堅調に推移する一方で、アパレル全般において厳しい衣料消費環境が続く中、シーズン主力商品の販売が伸び悩み、既存店売上高は前年同期比9.1%減となりました。その結果、営業収益は318億75百万円(前年同期比12.2%減)、営業損失は6億79百万円(前年同期は営業損失4億79百万円)となりました。当期末店舗数は、出店14店舗、閉店94店舗により700店舗となりました。
④ 金融
金融の営業収益は184億28百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益38億99百万円(前年同期比4.0%増)となりました。
㈱UCSにおきましては、確固たる増収増益体質を確立するため、カード会員、ショッピング取扱高及び電子マネー事業の拡大やローコストオペレーションの徹底などの重点課題に取り組みました。カード事業におきましては、包括信用購入あっせんはグループ営業企画等の実施による請求単価の増加やカード稼働率の向上を図り、ショッピング取扱高拡大に取り組んだこと等により堅調に推移しました。しかしながら、融資は貸金業法改正の影響により、取扱高、残高ともに厳しい状況が継続しました。また、平成25年11月よりサービスを開始した電子マネー「ユニコ」におきましては、全国のサークルK・サンクス、アピタ・ピアゴ内の一部専門店及び首都圏のスーパーマーケットのベンガベンガにおいても取り扱いを開始し、利用拠点の拡大に取り組んだことにより、電子マネーの取扱高は前年同期比588.0%増の1,064億71百万円と好調に推移しました。保険リース事業におきましても損害保険が堅調に推移いたしました。
当セグメントの営業費用は、与信管理と債権管理の強化による回収率の向上により貸倒損失は減少しましたが、ショッピング取扱高増加に伴うポイント費用等が増加したことにより、145億29百万円(前年同期比7.2%増)となりました。
⑤ その他
その他の事業の営業収益は544億22百万円(前年同期比112.2%増)、営業利益8億31百万円(前年同期比8.5%増)となりました。
その他の事業におきましては、当社グループ内のサービス会社としてコスト削減を行いつつ、当社グループ外への事業拡大に努めました。前期より惣菜、米飯等の製造等を行う㈱ナガイを完全子会社化により新規連結し、当期より総合広告業を行う㈱ユニコムを連結の範囲に含めたため、増収増益となりました。
(注) 1.上記の数値のうち、セグメント別の営業収益には売上高及び営業収入を含み、また、セグメント間の取引を含んでおります。
2.記載金額は、すべて消費税等を含まない金額としております。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度より6億20百万円減少し、538億55百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、578億42百万円の収入(前年同期は353億85百万円の収入)となりました。前年同期との比較では、税金等調整前当期純利益が減少したことに対し、流動資産(その他)の減少及び減損損失の増加等により、224億57百万円の収入増となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、533億35百万円の支出(前年同期は605億23百万円の支出)となりました。前年同期との比較では、有形固定資産の取得による支出が減少したことや、定期預金の払戻しによる収入が増加したこと等により、71億87百万円の支出減となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、68億33百万円の支出(前年同期は717億14百万円の収入)となりました。前年同期との比較では、長期借入れによる収入が増加したことに対し、コマーシャル・ペーパーの減少額が増加したこと等により、785億48百万円の支出増となりました。