有価証券報告書-第74期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/23 14:38
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(1)【人材戦略に関する基本方針等】
当社は、社員一人ひとりの才能と能力が企業の持続可能な成長の真の源泉であるとの認識のもと、人材育成を企業活動の中核に置いて取り組んでいます。中期経営計画「Hakuto 2028」(2025年4月策定、最終年度2029年3月期)においては、人材に関する基盤強化戦略として「イネーブラーとしての役割を果たす人材の確保と育成」を重要な柱に掲げました。
以下では、当社グループのビジネスモデルにおける人的資本の位置付けを起点に、経営戦略と人材戦略の連動とその関係について、人的資本の依存と影響、人的資本関連のリスク及び機会を整理したうえで、人材戦略の方向性、及びそれに基づく3つの基本アプローチごとの取り組みと対応指標、指標及び目標の全体表、ならびにガバナンス及びリスク管理を順に記載します。
1.当社における人的資本の位置付け
当社は、エレクトロニクスとケミカルの2つの事業領域に、商社機能とメーカー機能の双方を併せ持つハイブリッド企業です。商社機能においては、世界の主要メーカーと顧客との間で目利き力を活かした商材選定・技術サポートを担い、メーカー機能においては、現場の課題を起点とした研究開発と運用支援を担うことで、複合的な価値を提供しています。
当社グループが取扱う電子部品、電子・電気機器及び工業薬品は、技術革新とコモディティ化が進んでいます。このような事業環境において当社グループが競争優位を維持・強化するためには、顧客課題を起点として社内外のリソースを複合的に組み合わせ、顧客の事業成功・事業成長に必要な解を共創できる人材を確保・育成することが不可欠です。
当社は、この役割を担う人材を中期経営計画「Hakuto 2028」において「イネーブラー」と定義しました。イネーブラーとは、単に目の前の仕事を遂行するにとどまらず、新しいアイデアを持ち込み、革新を推進し、顧客や社会が直面する課題の解決に積極的に寄与できる人材です。当社グループの経営戦略の実現は、このような人材の確保と育成に依存しています。2.経営戦略と人材戦略の連動(1) 経営戦略の概要
当社は、中期経営計画「Hakuto 2028」において、2029年3月期に連結売上高2,800億円以上、連結営業利益率4.0%以上、ROE10%以上の達成を経営目標として掲げています。事業戦略の柱は、(i) 顧客課題に応じた提供価値の複合化と新規創出、(ii) M&A及び資本提携による新たな価値の獲得、(iii) 新規事業開発に特化した「ビジネスインキュベーションセンター」の新設による全社視点での事業・ソリューション開発です。
(2) 経営戦略の実現に必要となる人材(人的資本への依存)
上記の事業戦略の実現は、以下の人材を確保できるか否かに依存しています。
顧客課題を起点に、商品・サービス・技術・情報を組み合わせて複合価値/新たなビジネスを創出できる人材
半導体デバイス、先端機器及びケミカル各分野において顧客に付加価値を提供できる技術専門人材(フィールドアプリケーションエンジニア/フィールドサービスエンジニア、新規製品の研究開発エンジニアなど)
M&Aや外部との連携・提携など大きな事業インパクトをもたらす高難易度のプロジェクトを推進する人材
データサイエンス・AI・クラウド活用など、当DX戦略「全員参加型伯東デジタル改革」を牽引するDX人材
海外売上高比率約40%を支え、中華圏・ASEAN・インド等の現地ビジネスを担うグローバル人材
将来の経営を担う次世代経営人材
(3) 人材に対する投資(人的資本への影響)
当社は、上記の人材を確保し、その能力を最大限に発揮できる環境を整えるため、継続的に投資しています。これらの投資は、第3項で示す3つの基本アプローチのもと、その主な取り組みと対応指標を紐づけて管理します。
(4) 人的資本関連のリスク及び機会
上記(2)及び(3)で述べた経営戦略と人材の相互関係は、当社グループのキャッシュ・フロー等に重要な影響を与える可能性のある、人的資本関連のリスク及び機会を生じさせます。当社は、これらを「人材の量及び多様性」「人材の能力」「働く環境」の3つの観点で識別しています。
観点主要なリスク主要な機会
人材の量及び多様性売上高2,800億円規模への拡張を支える人材の絶対数が不足するリスクがあります。海外現地人材、女性管理職層、若手層の確保が困難となり、経営計画の実行が遅延する可能性があります。M&Aにより新たにグループインしたクリアライズ社(2024年9月)、インドRabyte社(2026年2月)等を通じた人材プールの拡大が見込まれます。多様性の向上が組織のイノベーション力強化につながる機会があります。
人材の能力ソリューション複合化を担う人材、半導体・ケミカル先端領域のエンジニア及びDX人材を確保・育成できないリスクがあります。商材のコモディティ化が進行する中で従来型の販売手法にとどまることにより、収益性が悪化する可能性があります。デジタルスキル習得を中心にリスキリングを基盤とした既存社員の戦略人材化、及びサクセッションプランによる次世代経営人材の輩出が機会として見込まれます。
働く環境組織風土の画一化により当社グループ固有の競争優位が失われるリスクがあります。エンゲージメントの低下による離職及び採用ブランドの悪化も懸念されます。柔軟な働き方とウェルビーイングの向上により、定着力の強化及び生産性向上につながる機会があります。健康経営優良法人認定等の対外評価を活用した採用ブランドの向上が見込まれます。

3.人材戦略:3つの基本アプローチと取組み・対応する指標
第2項で識別したリスク及び機会を踏まえ、当社は「イネーブラーを体現する人材の確保と育成」を人材戦略の基本方針に定めています。本項では、まず求める人材像を示したうえで、イネーブラー人材の確保と育成に向けた3つの基本アプローチごとに方針を定め、その主な取り組みと対応する指標を表形式で整理します。なお、指標の定義、2024年度実績値及び目標値は、第4項「指標及び目標(全体表)」に記載しています。
(1) 求める人材の再定義
当社は、中期経営計画「Hakuto 2028」の策定にあたり、当社グループが定めたShared Value(逆算思考、思いやる・高め合う、“つなぐ”をリードする)を基盤とし、イネーブラーを体現している人材が発揮している能力・行動を「Think(考える力)」「Drive(推進する力)」「Refine(磨く力)」の3つで構成される人材像として定義しました。この人材像を、イネーブラーを体現する基本要件とし、社員一人ひとりの成長の羅針盤として位置付けるとともに、OJT及びOff-JTの制度設計に活用し、当社の育成システムの核としています。
能力定義
Think(考える力)顧客起点のゴールを逆算思考で描き、情報への高い感度と収集力をもって変化を先取る力です。課題の本質を捉え、新しい視点で解決策を考えることを行動特性とします。
Drive(推進する力)迷わず選択して前進し、共に挑戦する仲間をつくりながら最後までやり遂げる力です。まずは相手に関心を持つことを起点に、組織横断で協働を推進することを行動特性とします。
Refine(磨く力)主体性をもってものごとに臨み、自らフィードバックを求めてそこから学ぶ力です。状況に応じて軌道修正し、常に最善を追求し続けることを行動特性とします。

(2) 3つの基本アプローチ① 多様かつこれまでにない人材の獲得
方針:多様な専門性を持つ人材が相互に補完し合うことで、顧客課題に対する複合的なソリューションを創出できると考えています。エレクトロニクス及びケミカルの両事業領域で先端技術を担う人材、DXを牽引する専門人材、異業種で経験を積んだ即戦力人材を、「イネーブラー」という人材像のもとに獲得していきます。
主な取り組み対応する指標(第4項の記号)
採用活動の強化:エンジニア人材及び理系人材の採用を最優先課題とし、大学・大学院との連携を強化します。DX領域の専門人材、異業種経験者、大学・研究機関で専門性を磨いた人材にも積極的にアプローチします。(a)理系&エンジニア人材比率

② 社員ひとりひとりの成長支援
方針:社員の自律的な学びを支援し、各自のキャリア及び挑戦に応じてスキルを継続的にアップデートできる環境を整備します。スキルの定義、現状の可視化、適切な学習機会の提供、現場での実践、振り返り・共有という一連のサイクルを通じ、社員一人ひとりの成長を組織全体の競争力に結び付けます。
主な取り組み対応する指標(第4項の記号)
タレントマネジメントシステムを活用して人材ポートフォリオを可視化し、「スキル定義→現状把握→処方箋の提供→現場実践→振り返り・共有」の育成サイクルを構築し、必要な教育投資を行っていきます(b) 1人当たり教育・研修費
学びの文化醸成:2025年度から全社員向けオンライン学習プラットフォーム「伯東の学び場」を展開し、DX・語学・マネジメント分野を中心にコンテンツを拡充しています。(c) 「伯東の学びの場」利用率
DX人材の育成:ITパスポート、G検定、データサイエンティスト検定、情報処理技術者試験等の段階的な資格取得を支援し、DX関連資格取得者数の拡大を目指します。
また、資格者数に留まらず、AI関連技術の習得に向けて実案件を通じて習得する「AI人材育成社内インターン制度」や部門横断でAI技術を学び合う場として「AIエンジニアLab」を開始しました。
(d) DX関連資格取得者数
グローバル人材・次世代経営人材の育成:海外子会社への出向、選抜型サクセッションプラン、社外取締役を含む指名・報酬委員との自由討議等を通じ、将来のリーダーを計画的に育成します。(j)外国籍社員数(うち管理職)

③ 新たな組織文化の醸成
方針:社員がビジョン及びShared Valueに共感し、各々の個性を発揮しながら互いに高め合える組織文化を醸成します。多様性を尊重するインクルーシブな職場づくり、エンゲージメントの定期的な可視化と改善、心身の健康を支えるウェルビーイング施策を通じ、変革への機運を全社に広げます。
主な取り組み対応する指標(第4項の記号)
ダイバーシティ&インクルージョンの推進:国籍・性別・価値観の違いを尊重し、外国籍社員の活躍、女性社員の職域拡大・キャリア開発・管理職登用を支援します。女性活躍推進を体系的に実行するため、2024年度には「伯東ウィメンズカレッジ」を開講しました。(h)女性管理職比率(i)男女賃金格差
(j)外国籍社員数(うち管理職)
エンゲージメントの可視化:毎年エンゲージメントサーベイを実施し、「サーベイ実施・検証→課題と打ち手の検討→フィードバック・施策の実行」のサイクルを通じて改善活動を行います。
加えて、新規入社者について、定期的にオンボーディングに関するパルスサーベイを実施し、採用後のフォローアップに取り組んでいます。
(e) 従業員エンゲージメントスコア(総合KPI)
(g)自己都合退職率
ビジョン・Shared Valueの浸透:経営層と社員がビジョン実現に向けた現在地と課題を語り合う座談会形式のワークショップ、及びShared Valueを体現した社員・チームを称えるアワードを実施しています。(f) ビジョン/シェアードバリュー共感度
ウェルビーイングと健康経営:フィジカルケア、メンタルヘルスケア、働き方改革の三本柱で取組みを進め、健康経営戦略マップに基づき、在宅勤務・時差出勤、仕事と家庭の両立支援、二次健診の受診促進等を強化します。(k)男性育児休暇取得率
(l)年次有給休暇取得率
(m) 健康経営度調査偏差値

(3) 従業員の給与(賞与を含む)その他の給付の額及び内容の決定に関する方針
当社グループにおける従業員の給与等の決定は、以下の方針に基づいて行っています。
基本給の決定方針 — 基本給は、社員の職務・職責、保有スキル及びキャリアコースに応じて決定します。外部労働市場における競合他社との給与水準も定期的に調査し、当社グループの競争力を確保します。
賞与の決定方針 — 賞与は、当社グループ全体の業績(連結業績指標)及び個人の職務遂行状況・成果に応じて決定します。個人の業績評価については、目標設定面談と期末評価を通じて行います。なお、管理職層においては、中期経営計画「Hakuto 2028」に連動する戦略遂行評価を併せて実施しています。
報酬体系の方向性 — 中期経営計画「Hakuto 2028」において「人事の透明性」と「自律的キャリア形成」に主眼を置いた新人事制度を運用しており、職務の重要度をより適切に反映した報酬体系への移行を継続的に進めています。また、イネーブラー人材として求められる専門性の高い人材の確保に向け、市場競争力のある報酬水準の設定に取り組んでいます。
執行役員(雇用型)及び上級幹部社員に対しては、2026年度より連結業績と個人別業績評価に基づく、業績連動型株式報酬制度を導入しました。
4.指標及び目標(全体表)
本項は、第3項の取組別表で参照した(a)〜(m)の指標について、詳細値を確認するための指標一覧です。記号、指標、測定目的、2024/25年度実績、目標値及び補足情報に限定して一覧化しています。
記号指標測定目的・位置づけ2024年度2025年度2028年度目標等注記・今後の扱い
(a)理系&エンジニア比率技術商社としての人材の厚さを示す指標理系53%&
エンジニア17%
理系51%&
エンジニア16%
(予定なし)人員構成のバランスを適宜判断
(b)1人当たり教育・研修費人材育成に対する投資額を把握する指標87,233円112,026円(予定なし)教育投資の継続的な増減を確認し、必要な投資判断を実施
(c)ラーニングプラットフォーム「伯東の学びの場」利用率自律的学習機会の利用状況を把握する指標51.6%70.9%全社員の
70%以上を
維持
アクティブユーザーの割合を算出
(d)DX関連資格取得者数DX人材育成の進捗を把握する指標22名38名全社員の
10%以上
(e)従業員エンゲージメントスコア(総合KPI)組織活力・共感・働きがいを把握する指標集計方法が
異なるため
比較不可
65.7%総合KPI
平均70%以上
エンゲージメントや従業員体験などのKPIの平均値を開示
(f)ビジョン・バリュー共感度従業員の意識変革の状態を把握する指標-50%共感度
70%以上
エンゲージメントサーベイにおいて項目を設定
(g)自己都合退職率定着力と組織状態の変化を把握する指標1.5%3.2%3%以下の
水準を維持
(h)女性管理職比率管理職層における多様性の進捗を把握する指標9.8%
(2025/1時点)
11%
(2026/4/1時点)
20.0%
(2030/4/1時点)
(i)男女賃金格差公正な機会提供と人材配置・登用の結果を把握する指標70.9%73.9%80.0%正規雇用労働者の数値
(j)外国籍社員数
(うち管理職)
多様なバックグラウンドを持つ人材基盤を把握する指標17名
(4名)
16名
(3名)
(予定なし)単体における数値を開示
(k)男性育児休暇取得率両立支援とインクルーシブな職場環境を把握する指標64.7%69.2%85%制度利用を促進し、働き方改革の定着を確認
(l)年次有給休暇取得率健康経営・働き方改革の定着を把握する指標81.3%73.5%80%以上80%以上の水準を維持
(m)健康経営度調査偏差値健康経営・働き方改革の定着を把握する指標57.059.760以上偏差値60以上の水準を維持

(注)1.目標値が設定済み又は目標水準が明示されている指標と、中期経営計画「Hakuto 2028」期間中に目標値の設定及び運用基盤整備を進める指標を併記しています。
(注)2.女性管理職比率は、2024年度が2025年4月1日時点の数値です。男女賃金格差は正規雇用労働者の数値です。
5.ガバナンス及びリスク管理
(1) 監督体制
取締役会は、中期経営計画「Hakuto 2028」のもとで策定した人材戦略及び人的資本投資に関する方針を承認し、その執行状況を監督する責任を担っています。サクセッションプラン(次世代経営人材の育成)については、社外取締役が過半数を占める指名・報酬委員会が同プランの進捗状況をモニタリングしているほか、経営課題に関する自由討議の場を通じて深く関与しています。
(2) 執行体制
当社は、2025年4月の組織変更により、ESGに特化した「ESG経営推進ユニット」を新設しました。同ユニットは、担当役員のもと、グループ全体のESG方針及び目標の立案・発信、社内での啓発・教育、KPI管理、社外への情報開示に至るまでを広く担っています。人材戦略に関わる各施策は、ESG経営推進ユニットと事業セグメント・人事部門の責任者が連携し、現場レベルで実行しています。
(3) リスク管理
当社は、「事業発展のために必要な人材が採用・育成できなかった場合や想定以上の人材が流出した場合には、中長期的に今後の事業計画や業績に影響を及ぼす可能性がある」ことを、人的資本に関する主要なリスクとして認識しています(「事業等のリスク」参照)。
当該リスクは、当社グループの全社的リスク管理の枠組みであるリスクマネジメント委員会(年4回開催、委員長:リスク管理担当取締役)において、他の事業リスクと統合的に管理しています。同委員会は識別したリスクを取締役会へ報告しています。リスクの顕在化状況は、同委員会を通じて継続的にモニタリングしています。社員の健康と労働安全に関するリスクについては、拠点毎の安全衛生委員会を統括する総合安全衛生管理委員会(年2回開催、委員長:コーポレートリレーション部担当役員)において、全社の安全衛生活動報告に基づき管理しています。
(4) 役員報酬との連動
経営層の人材戦略に対する長期的なコミットメントを担保する仕組みとして、役員の業績連動報酬の評価項目に人的資本関連指標(エンゲージメントスコア等)を組み入れることが決定しており、2026年度より制度運用を開始します。
  • 有価証券報告書-第74期(2025/04/01-2026/03/31)

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