有価証券報告書-第68期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/07/10 13:59
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有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
当社グループは、2016年度期初に5ヶ年の中期経営計画『E & C+2020』を策定し、エレクトロニクスとケミカルの複合企業として持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、収益基盤の強化や新市場・新規事業への積極的挑戦などの経営課題に取り組んでまいりました。米中貿易摩擦の激化と新型コロナウイルスの感染拡大によりマクロ経済環境が年々厳しさを増す中で、現在当社グループは中期経営計画の最終年度を迎えておりますが、現時点においてコロナショックによる当社グループの業績への影響を合理的に算定することが困難な状況となっております。
したがって、現下の状況においては「企業存続を図る」経営を最優先課題とし、同時に「社会の公器」としての社会的責任を果たすため、全てのステークホルダーの利益を守りつつ、BCPの観点から諸施策を実施することを基本方針としております。具体的には、従業員の健康や雇用の維持と手元流動性の確保を最優先としながら、サプライチェーンや株主利益の確保もグループ全体の重要な経営課題と位置付けております。
また、コロナショックによって激変する経営環境に速やかに対応して、再び成長軌道へと回帰するためには、手元流動性を十分確保しつつも、事業セグメントごとに拡大基調にある市場を見極めてリソースを集中的に投下し、事業を拡大していくことが重要と認識しております。
当社グループの各事業セグメントの経営環境及び経営方針・経営戦略等は以下のとおりであります。
(エレクトロニクス関連分野)
電子部品事業と電子・電気機器事業を展開しているエレクトロニクス業界においては、川上の半導体メーカーでは合従連衡が続き、川下の半導体を用いてものづくりを行う各種メーカー、特に日系メーカーでは、かつての主力分野であった携帯電話、PC、家電などの生産規模を年々縮小しております。一方で、デジタル技術の進展にともない半導体の需要は世界的に拡大を続け、5G 技術が急速に浸透する通信分野、人手不足解消などの観点で注目を集めるロボティクス分野、さらなるデジタル化が進む車載分野や医療分野などは今後も継続的な成長が見込まれております。
そのような見通しのもと、当社グループの特徴であるエンジニアによる技術サポート力や企画・設計から生産までの一貫対応力を活かして、電子部品事業では、車載分野でのADAS(先進運転支援システム)向け商品のラインナップ拡充、複数の電子部品を組み合わせたモジュール提案、無線技術で物流管理の高度化を助けるRFID システムなどに注力いたします。また、電子・電気機器事業では、自動車・産業機器部品の精密加工に活用できるレーザ加工システム「FINLASE」などの有力商品をラインナップに追加し、医療機器についても必要な許認可を新たに取得して取り扱いを拡大します。
(ケミカル関連分野)
工業薬品事業を展開しているケミカル分野においては、国内における石油化学・紙パルプの市場規模は縮小しているものの、東南アジア諸国では新たな工業団地が立ち上がり、プラント向け薬品の需要が拡大しております。また、個々の最終製品を見れば、通信販売の普及から紙パルプ製品の中でもダンボールなどは需要が拡大しております。
そのような見通しのもと、工業薬品事業では、伸びしろの大きい海外市場で好調な製品を分析し、新規顧客の開拓に向けた提案販売を推進しながら、同時に、国内市場でも製品開発力の向上と販売拡大を図ります。中でも、自社開発の化粧品材料「アルカシーラン」の販売拡大に向けて、原料生産体制の安定化、オリジナル化粧品ブランド「TAEKO」の浸透、OEMビジネスの拡大などに取り組みます。
(海外事業)
当社グループの主要海外拠点を置くアジア地域においては、米中貿易摩擦の影響により中国市場は不透明感が続いておりますが、ASEAN諸国では日系企業向け、現地企業向けともに販売が拡大傾向にあります。また、近年注力している車載向け電子部品事業で拠点展開を行っている欧米地域でも、ADAS(先進運転支援システム)分野などで中長期的な成長が期待されております。
1970年代からアジア地域に進出して事業を展開してきた当社グループは、これまで培ったノウハウやネットワークを活かして、それぞれの地域ごとに異なる成長分野、有望市場を見極めながら事業を拡大していくことが今後の課題となります。また、新型コロナウイルス感染症の影響による需要やサプライチェーンの変化に迅速に対応するためは、デジタル化の推進と本社・拠点間の連携強化により、機動的に事業展開を行うことも重要となります。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前述のとおり、新型コロナウイルス感染拡大の状況下においては、「企業存続を図る」経営を最優先課題としつつも、コロナショック後の経営環境においても持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、現下より収益基盤の強化を図るべく利益重視の観点から事業の選別を行い、特徴ある技術商社とケミカルメーカーを目指して事業モデルの再構築を進める必要があると認識しております。
電子部品事業は、当社グループにおいて最大の売上規模があり、また、過去5期においても順調に売上高を拡大しております。しかしながら、セグメント利益は必ずしも売上高の増加に伴わず、むしろ近年は減益傾向となっております。これは、車載分野や5G通信分野などにおいて積極的に商権を拡大してきたものの、競争の激化や商品のコモディティ化の進行により収益環境が悪化していることが原因と考えております。したがって、同事業においては顧客へのデザインイン力を高めて付加価値の向上を図るとともに、徹底的なシステム化、デジタル化により生産性向上とコスト削減を実現することが急務と認識しております。
電子・電気機器事業は、当社グループにおいては電子部品事業と同水準のセグメント利益を生み出している比較的高収益な事業と位置付けておりますが、過去5期の売上高はほぼ横ばいで推移しております。これは、同事業が取り扱う商品群が最先端のエレクトロニクス技術に基づいているため、技術革新による商品の競争力の低下や陳腐化の影響を受けやすい反面、新商品の開発や立ち上げに相応の時間を要することが原因と考えております。したがって、同事業においては技術動向や顧客ニーズを的確に捉えた商品開発を加速化するとともに、医療機器やエネルギー分野などの新市場開拓も積極的に推進することが課題となります。
工業薬品事業は、当社グループにおいては高収益で特色あるメーカー部門と位置付けておりますが、他のセグメントと比較すると成長性、規模ともに劣後しております。これは、同事業の既存マーケットが国内の石油・石油化学産業、紙・パルプ産業であることに起因していると考えております。したがって、同事業においてはアジア地域を中心に海外市場を開拓するとともに、化粧品やライフサイエンス分野などの新分野にも果敢に挑戦することが課題となります。
また、利益率の低下に加えて、営業活動によるキャッシュ・フローとROE(自己資本利益率)が低位で推移している現状に鑑み、資本効率や資本コストを意識した経営を実践することが、当社グループの優先的に対処すべき財務上の課題と認識しております。そのため、事業セグメントごとに連結ベースのバランスシートを展開して運転資本とROIC(投下資本利益率)を算出し、各セグメントの特性に応じたベンチマークを設定することにより、売上高利益率や資産回転率などの財務指標の改善とフリーキャッシュ・フローの創出を図ります。
[参考]:過去5期のセグメントごとの売上高、及びセグメント利益(金額単位:百万円)
決算期2016年3月期2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期
電子部品事業売上高
セグメント利益
88,098
1,152
98,554
447
107,331
1,426
107,668
1,331
123,708
576
電子・電気
機器事業
売上高
セグメント利益
18,477
1,018
19,191
804
21,146
1,254
21,544
1,418
18,286
900
工業薬品事業売上高
セグメント利益
9,694
587
9,828
867
10,244
904
10,886
932
11,160
838

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