有価証券報告書-第69期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/24 13:15
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【項目】
138項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
新型コロナウイルス感染症や米中対立の長期化・複雑化は、当社グループを取り巻く事業環境にも大きな影響を及ぼしております。当社グループはこれらの未曾有の災禍と国際秩序の構造変化を乗り越え、さらにパンデミック収束後の新しい環境にも適応するべく、2021年度から2024年度を計画期間とする中期経営計画「Change & Co-Create 2024」を策定し、2021年4月30日に以下のとおり公表しております。
(事業環境)
当社グループが主力事業を展開しているエレクトロニクス業界は、自動車技術の高度化や通信機器の高機能化、AIやIoTの進展などにより、今後も成長が見込まれておりますが、市場の変化スピードはますます速くなっていくものと思われます。また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生活様式や社会経済活動の変容は新たな需要を生み出す一方で、サプライチェーンやバリューチェーンの変化をもたらすものと考えられます。
このような状況において、エレクトロニクス商社とケミカルメーカーを併せ持つ当社グループに求められる役割も大きく変化しつつあります。エレクトロニクス業界では仕入先・販売先の再編による大規模化や応用技術の進化などにより、また、工業薬品業界では販売先の統合やSDGsに代表される環境意識への高まりなどにより、市場ニーズが大きく変化しており、これまでの役割・機能の提供のみでは、当社グループの存在意義や顧客価値の相対的地位は後退し、電子部品事業においては収益性の低下、電子・電気機器事業と工業薬品事業においては成長性の鈍化が大きな課題となっております。
(基本方針)
以上の認識のもと、当社グループが持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、環境の変化に即して事業構造を変革し、顧客企業と共に新しい価値を創造できる特色ある技術商社とケミカルメーカーを目指す必要があるとの考えにより、以下の3つの施策を基本的な柱とする中期経営計画を策定いたしました。
● 第1の施策・・・本中期経営計画に基づく収益力の向上によるオーガニックな成長
● 第2の施策・・・投資効率の高い戦略的投資の実行によるノンオーガニックな成長
● 第3の施策・・・株主還元等、財務的な施策による資本効率の向上
(全社戦略)
第1の施策と第2の施策については、全社的に以下の戦略を展開することにより持続的な成長を実現し、併せて事業ポートフォリオを転換することにより収益力と効率性の向上を図ります。
① 高収益事業への資源の投下
● 収益性の高い事業への資源の配分を高め、事業拡大を図る一方、収益性の低い事業については、効率化を徹底し収益性の向上を図る
② 部門を横断した情報・技術の連携による価値の創造
● 全部門横断の新規事業プロジェクトにより、将来、第5の収益の柱となる事業を創出する
● 部門間の連携を活性化することにより、共同ビジネスを促進し事業展開する
③ 業務改革の実現を加速させるDX戦略
● フロントエンドのDXにより、マーケティングの強化や情報の共有化を図り、お客様に対する付加価値の提供力やビジネスの提案力を強化する
● バックエンドのDXに取り組み、全社を通じて業務プロセスを改善することにより業務の効率化を徹底する
④ 外部資源との連携(オープンイノベーション)
● 従来の自前主義から脱却し、外部との連携を深め、新たな技術の創造を促進する
● 外部資源を活かし技術商社の強みである技術を強化することにより、他社にはないソリューション提供を実現する
⑤ 外部との協業及びM&A
● 今後成長が期待できる分野においては、外部との協業やM&Aを積極的に展開し、オーガニックな成長を上回る拡大を目指す
(セグメント別事業戦略及び海外事業戦略)
各事業セグメント及び海外事業において、下記の戦略に基づき施策を展開してまいります。なお、電子部品事業については、取扱製品群により半導体デバイスと電子コンポーネントに区分しております。
① 電子部品事業(半導体デバイス)
● 業務の効率化と収益性の高いビジネスへの販売強化により収益性を改善する
● 技術力、提案力を高め、ソリューションビジネスへの進化を図る
② 電子部品事業(電子コンポーネント)
● 人員の投入によりマーケティング機能を強化し、新規事業の展開と新規販売先の拡大を図る
● 営業体制の見直しにより海外販売を強化し、事業エリアの拡大を目指す
③ 電子・電気機器事業
● 新商品や自社製品の販売比率を高め、独自の技術、装置、販路を強化する
● 自社製品の付加価値を高めるため、材料や川上製品の取り扱いを拡大する
● 医療、環境、エネルギーなど新たな領域への参入を図る
④ 工業薬品事業
● 外部との協業により技術の強化を図り、新たな用途による新規ビジネスを創出する
● 堅調な拡大を続ける化粧品原料ビジネスの強化を図る
⑤ 海外事業
● 海外拠点における業務プロセスを見直し、業務効率化を実現する
● 中華圏及びASEAN地域にエリア統括者を配置し、エリアに応じた戦略を展開する
(定量目標)
当計画の最終年度となる2024年度(2025年3月期)における経営目標は以下の通りですが、2025年度以降も安定的に営業利益50億円以上を計上できる企業体質を確立してまいります。
連結営業利益連結営業利益率ROE
50億円以上3.0%以上6.0%以上

(株主還元方針)
当社グループでは、資本効率の改善を経営上及び財務上の重要課題と位置づけ、第3の施策として、本計画期間中は配当と自己株式の取得により、「総還元性向100%」を目標とした株主還元を実施することを基本方針といたします。
● 配当は引き続き安定配当を実施する
● 成長投資や高い投資効率が期待できる投資案件等(M&A等戦略的投資、事業効率化投資)があれば、これを優先する
本計画の着実な遂行により、収益性と資本効率の改善を図り、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現できる企業へと変革してまいります。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは、各事業における存在意義や付加価値の低下、あるいは成長性の鈍化を優先的に対処すべき事業上の課題と認識しております。パンデミック収束後の新しい環境においても持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、当社グループの中長期ビジョン=「専門商社、スペシャリティケミカルメーカーならではのニッチな情報(製品・技術)の提供を通じて、国際貿易と国内産業の発展に貢献する企業集団」の実現に向けて、中期経営計画「Change & Co-Create 2024」の諸施策を着実に実行することにより、各事業セグメントの事業価値を高めることが必須と考えております。
各事業セグメントにおける優先的に対処すべき事業上の課題、並びに財務上の課題は以下のとおりであります。
(電子部品事業)
電子部品事業は、当社グループにおいて最大の売上規模があり、また、過去5期においても順調に売上高を拡大しておりますが、セグメント利益は必ずしも売上高の増加に伴わず、利益率については低減傾向となっております。これは、同事業の売上高の約7割を占める半導体デバイス部門が近年車載分野や5G通信分野などにおいて積極的に商権を拡大してきたものの、仕入先・得意先の再編による大規模化により、その間に挟まれる商社の交渉力や役割が低下しているという外的要因に加えて、得意先のニーズを踏まえた提案営業や組織的な対応の遅れ、技術で対価を得る仕組みの不足、低採算商権の移管受入なども収益悪化の要因になっていたものと認識しております。
したがって、同事業における対処の方向性は、従来の単品販売ビジネスから「情報力×技術力×提案力」で対価を得るソリューションビジネスへの進化を志向することにより、存在価値を高めて利益創出を目指すこと、また、組織については、従来の仕入先別縦割り組織から特定顧客向けの横串の販売体制を整備して効率的な営業体制へ再編するとともに、労働生産性改善のためにDX・デジタル化による業務効率化とコスト削減を着実に推進し、収益改善を図ることと考えております。
(電子・電気機器事業)
電子・電気機器事業は、当社グループにおいては電子部品事業と同水準のセグメント利益を生み出している比較的高収益な事業と位置付けておりますが、過去5期の売上高はほぼ横ばいで推移しております。これは、同事業が取り扱う商品群が最先端のエレクトロニクス技術に基づくため、技術革新による商品の競争力の低下や陳腐化の影響を受けやすいという外的要因に加えて、安定した既存仕入先に依存する中での新規開拓(事業・商材)の仕組み不足、自前主義での成長を探索する中での自社製品確保や海外代理店開拓の遅れなども成長性鈍化の要因になっていたものと認識しております。
したがって、同事業における対処の方向性は、短期的には新規開拓の仕組みを組織化することにより、既存の事業領域以外の育成を図り、長期的には共同開発やM&Aを通じて、独自の商材を積極的に獲得するとともに、医療・環境・エネルギー分野などの事業領域にも進出し、他社と差別化されたバリューチェーン及びポートフォリオの拡大を目指すことと考えております。
(工業薬品事業)
工業薬品事業は、当社グループにおいては高収益で特色あるメーカー部門と位置付けておりますが、他のセグメントと比較すると成長性、規模ともに劣後しております。これは、同事業の既存マーケットが主に国内の石油・石油化学産業、紙・パルプ産業であるという外的要因に加えて、メーカーの屋台骨である技術強化投資の不足、新製品開発に係る研究開発や海外展開における外部リソースの活用不足、注力市場を明確化するためのマーケティング機能や顧客の潜在ニーズ発掘の仕組み不足なども要因になっていたものと認識しております。
したがって、同事業における対処の方向性は、外部との共同研究による技術強化や製品開発力の向上により事業領域を拡大し、協業を通じた海外の販路・製造・サービス機能の強化により海外事業展開を進めるとともに、マーケティング部門を組成して短期間で参入市場を明確化し、顧客ニーズの充足を図ることと考えております。
[参考]:過去5期のセグメントごとの売上高、及びセグメント利益(金額単位:百万円)
決算期2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期
電子部品事業売上高
セグメント利益
98,554
447
107,331
1,426
107,668
1,331
123,708
576
135,390
1,121
電子・電気
機器事業
売上高
セグメント利益
19,191
804
21,146
1,254
21,544
1,418
18,286
900
19,029
1,770
工業薬品事業売上高
セグメント利益
9,828
867
10,244
904
10,886
932
11,160
838
10,962
890

(財務上の課題)
当社グループでは、近年の売上高利益率の低下に加えて、ROE(自己資本利益率)の低位固定化及び運転資本の増大に伴うバランスシートの肥大化なども優先的に対処すべき財務上の課題と認識しております。
そのため、2021年度から2024年度を計画期間とする中期経営計画「Change & Co-Create 2024」では、計画期間中は配当と自己株式の取得による「総還元性向100%」を目標とした株主還元を実施することにより、資本効率や資本コストを意識した経営を実践することを基本方針としております。また、事業面においては、事業セグメントごとに連結ベースのバランスシートを展開して運転資本とROIC(投下資本利益率)を算出し、各セグメントの特性に応じたベンチマークを設定することにより、売上高利益率や資産回転率などの財務指標の改善とフリーキャッシュ・フローの創出を図ることを対処の方向性としております。

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