有価証券報告書-第86期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/24 13:54
【資料】
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【項目】
138項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
当社グループは、「企業理念」並びに「経営理念」の下、水産物販売事業を中核とし、冷蔵倉庫事業など食料品に関する多様な事業を営んでおります。
水産物販売事業では、卸売市場法に基づき、京阪神地区を中心とした卸売市場において水産物卸売会社として、集荷・分荷・価格形成等を公正かつ透明性をもって行い、生鮮食料品等を安定して供給する食品流通の核としての役割を担っております。
当社グループの属する水産流通業界は、海洋環境や気候変動等の影響により水産物の漁獲状況が増減するなど様々な要因が経営成績に影響しております。また消費者のライフスタイルの変化とともに水産物に求められるものが変わってきております。
こうした環境下で、国内の水産物消費は減少傾向が続いていますが、海外での需要は高まっています。
当社グループは、こうした水産物の調達面と流通面の変化を捉えて、水産物流通の核としての役割は堅持しつつ、新たな需要の開拓や付加価値の向上に努めてまいります。
『企業理念』
大水グループは、自然の恵みに感謝し、古(いにしえ)からの食文化を守り、新たな食の創造に挑戦していきます
<企業理念に込めた思い>水産資源の持続的利用と地球環境の保全につながる思い
⇒「自然の恵みに感謝する」
歴史ある日本の食文化の伝統や卸売市場の役割を支えていきたい思い
⇒「古(いにしえ)からの食文化を守る」
様々な環境変化を先取りし、食を通じて人々の健康と幸福に貢献したい思い
⇒「新たな食の創造に挑戦する」
『経営理念』
①水産物流通の担い手として誇りを持ち、人々の健康と幸福に貢献します。
②企業も社員も常に質の向上を目指し、変革を推進していきます。
③社員全員が働きがいの持てる企業を創っていきます。
④企業として顧客、仕入先、株主など関係者からの期待に応え、社会的信頼を高めます。
⑤関西を基盤に世界を視野に入れた活動をしていきます。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、成長性と収益性を確保するという観点から、企業収益の基本的な指標となる「取扱高(注)」及び「経常利益」を収益性判断の重要な指標として位置づけております。
現在の3カ年中期経営計画の最終年度である2022年3月期の数値目標(連結ベース)は、取扱高1,350億円(注)、経常利益7億円であります。しかし、昨年年初からの新型コロナウイルス感染症拡大により社会・経済活動が停滞し、当社グループの2021年3月期の経営成績は大きく影響を受けました。加えて本年3月以降感染力の強い変異株の影響等により、感染の収束に向けては予測不可能な不透明な状況です。従って2022年3月期は、連結ベースで取扱高1,200億円(注)、経常利益3億円を業績予想(2021年5月11日付「2021年3月期決算短信」にて開示)といたしましたが、引き続き上記の中期経営計画の数値目標達成に向け取り組んでまいります。
(注)2021年3月期に適用した会計基準による売上高であります。2022年3月期には「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)を適用いたします。
(3)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの中心となる水産物卸売事業を取り巻く事業環境は、大変厳しい状況が続いています。イカ、サケ、サンマなどの主要な魚種の漁獲が不安定であったり、水産物流通の多様化により卸売市場を経由しての取扱量が減少したり、消費者ニーズの変化により水産物消費の減少傾向が続いております。加えて、昨年来の新型コロナウイルス感染症の拡大により社会、経済活動が停滞し、飲食業を中心に総じて水産物の需要が減少しています。
一方、健康志向の高まりや魚のおいしさが見直されつつあるなど、水産物に対する潜在需要はあると思われます。また世界での水産物の生産量は中長期的には増加傾向にあり、水産業は成長産業と言われております。
こうした環境下で、2020年6月より改正卸売市場法が施行されました。卸売市場は従来通り食品流通の核と位置付けられつつ、新規需要の開拓や付加価値の向上など新たな役割が求められています。また同年12月より改正漁業法が施行されています。科学的根拠に基づき適切に水産資源の管理を行い、持続的な水産業を進めていくことが明示されました。
水産流通業を取り巻く需要と供給、制度面等の急激かつ大きな環境変化のなかではありますが、2021年度を最終年度とする中期経営3カ年計画で当社グループの<目指す姿>とその実現のために掲げた<5つの課題>を確実にかつスピードをもって実行していくことが、当社グループの社会的使命でありステークホルダーの皆様の期待に応えるものと考えております。
また、当社は2020年4月1日付けで株式会社別府魚市の全株式を取得しました。同社を当社のグループ会社とすることで、大分県を中心とした集荷・販売体制を強化し、更なる事業拡大と企業価値向上を図っていきます。
<目指す姿>生産者とお客様の求めるものを最適につなぐ水産物を中心とした卸売企業になる
<5つの課題>①営業力と調達力を強くして、成長する。
生産者との関係をより強化する他、流通及び加工の最適な仕組み作りや差別化できる商品を取り扱っていく。
②収益力を高めて、質の向上を図る。
業務の見直しを行い生産性の向上を図り、価値の高い仕事への取り組みや仕事の質を向上させることで収益力の向上につなげていく。また、物流費及び管理費の見直しを行うほか、IT機器の活用を推進していく。
③社員が誇りを持ち、働きがいのある職場にする。
働き方改革を推進し、業務の標準化、IT化等で生産性を高めていくとともに、人事制度の見直し、社員教育の充実を図っていく。
④企業として社会からの信頼を高め、一段上を目指す。
財務体質の強化及びコンプライアンス・ガバナンス体制の強化を図る。また、SDGsへの取り組みや社会貢献活動を充実させていく。
⑤関西を基盤に、世界の水産物市場を視野に入れて活動する。
京阪神を中心に7市場を持つ強みを生かすとともに、グループ会社との連携をより強化し企業価値の向上を図る。またM&Aや業務提携にも積極的に取り組み事業の拡大を目指す。