訂正有価証券報告書-第71期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/09/22 15:42
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対処すべき課題

当社グループは、「もの造りサポーティングカンパニー」として、社憲「私たち一人ひとりのはたらきで 心豊かな暮らしをつくり出し 喜びあえる未来にしよう」を共有し、社是「誠実」のもとコーポレート・ガバナンスの強化と環境への配慮、企業の社会的責任を果たすべく経営を行ってまいります。
加えて「顧客第一」で商圏・商材の拡大・拡充・深耕と不断のコスト見直しによる収益の継続的拡大を図るとともに資本効率を高めて自己資本利益率(ROE)の向上に取り組んでまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、株主の皆様、お客様、社員とその家族、地域社会が当社グループを支えてくださる基盤と認識するとともに、企業市民としての社会的責任を果たすべく、社是である「誠実」のもと経営を推進しております。今後も全てのステークホルダーの皆様にご満足いただけるよう企業価値の向上を実現し、社会的責任を果たすべく経営を行ってまいります。
以上を踏まえ、経営の基本方針を以下の通り定め、実践しております。
①社会的責任
国・地方自治体への納税を基本とし、かつ世界の将来を担う世代や教育機関を対象とした継続的な寄付と、地域社
会や災害復興を目的とした寄付を行ってまいります。
②投資家の皆様
配当性向:80%を配当総額の基準として、各事業年度の利益状況や将来の事業展開等を総合的に勘案し、重点事業の競争力強化を図るための設備投資や人材育成などに向けた内部留保にも考慮しつつ、配当を行うことを基本方針といたします。
③お客様
お客様が望む商品・ソリューションを的確に提案し、商品品質・サービス品質を向上させるとともに、お客様の多様なニーズに適切かつ迅速にお応えし、お客様の満足度を高めてまいります。
④社員
社憲「私たち一人ひとりのはたらきで 心豊かな暮らしをつくり出し 喜びあえる未来にしよう」を共有し、社員は自己の能力を最大限に発揮し、会社は個人を尊重して働きがいのある場を提供し、会社も個人も共に成長できる経営を行ってまいります。
⑤共育
お客様の満足度を高めるため、社員一人ひとりに適切な教育・訓練及び経験の機会を提供し「共に育つ」を教育理念としてまいります。
⑥地域社会
循環型社会構築に向け地域社会との融和を図り、企業市民として順法・地球環境の向上・安全を基本として活動してまいります。活動を具体化するため、環境方針を定め行動します。
(2)目標とする経営指標
当社は、効率化経営と自己資本の効率的活用による収益性を重視する観点から自己資本利益率(ROE)を経営指標としてまいります。
(3)当社グループを取り巻く経営環境
当社グループを取り巻く昨今の経営環境は、資源価格の高騰や急速な円安の進行による物価上昇等により先行きに対する景気の不透明感は残ったものの、足元では企業の生産活動や設備投資需要は堅調に推移いたしました。世界的な景気後退による半導体需要の減速、ウクライナ情勢や米中対立等の外部環境における地政学的リスクなど引き続き不透明な状況は続くと予想しております。売上高につきましては、当社の主要顧客において、生産部材の在庫が積み上がったことによる受注減と併せて最終ユーザーでの設備投資の調整局面による需要減を想定しております。利益面につきましては、DX化に対応するための先行投資、電気代の高騰、輸送費や燃料費等の諸経費の増加を想定しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新型コロナウイルス感染症拡大がワクチン接種や感染防止対策等が進み、経済活動が回復する動きが見られたものの、新たな変異株の発生等のリスクも存在し、先行き不透明な状況で推移すると予想されます。
当社では、新型コロナウイルス感染症による事業への影響を最小限に抑えるべく対策本部を設置し、顧客・仕入先の動向及び生産状況等の情報を一元管理し、迅速な意思決定と必要な施策を実施しております。主要顧客からは新型コロナウイルス感染症がサプライチェーンに与える影響の懸念や、昨今の世界的な半導体不足により、一部商品において納期懸念が発生していることもあり、調達部材の一部前倒しの注文が発生しております。当社では顧客の生産動向や仕入先の納期情報を注視し先行手配による在庫量の拡充等を実施し安定供給に努めておりますが、今後もこの状況が続く場合には当社グループの調達や供給への影響が予想されるため、引き続き注視してまいります。また、収束時期が不透明な中、変異株等の感染拡大による事業環境の悪化に備えて、経費の見直しや業務の効率化による固定費削減などのコスト削減施策を実施してまいります。
また、当社は収益の継続的拡大と企業の社会的責任を果たすべく経営を行い、その実現のために以下の重点課題に取り組んでまいります。
①コーポレート・ガバナンスの強化
当社は、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するうえで、株主の権利・利益が守られ、平等に保障されることが重要であり、全てのステークホルダーの権利・利益の尊重と円滑な関係の構築が企業価値向上には欠かせないものと認識しております。
当社は、「監査等委員会設置会社」の形態を採用しており、取締役会が経営戦略の創出及び業務執行の監督を主として担い、監査等委員会が取締役の職務執行の監査等を担うことにより、業務執行の監督及び監視する体制を強化しております。2023年3月31日現在においては取締役11名、うち監査等委員である取締役は4名であります。また、社外取締役は5名、うち監査等委員でない社外取締役が2名、監査等委員である社外取締役は3名であります。なお、独立役員は5名となっております。
当社では、取締役の指名や報酬に係る基本方針及び手続きに関する事項の公正性・透明性・客観性の担保と、当社コーポレート・ガバナンスの充実を図るため、取締役会の任意の諮問機関として「指名報酬委員会」を設置しております。指名報酬委員会は、取締役会の決議により選定された取締役5名以上で構成し、その過半数を独立社外取締役とし、委員長は、指名報酬委員会における委員の互選で選出されております。2023年3月31日現在においては、取締役6名で構成されており、うち独立社外取締役は4名、委員長は非業務執行の社内取締役が務めております。
今後とも、取締役会の監督機能強化と透明性の高い経営、迅速な意思決定を実現するためにコーポレート・ガバナンス体制を一層充実させるとともに、コーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえ、経営体制の強化を行ってまいります。
②商圏・商材の拡大・拡充・深耕
商圏の拡大を図るため、既存顧客の深耕に注力し成長市場へ経営資源を集中するとともに、新規顧客の開拓やWEBビジネス、地場の顧客を主力とした営業所の展開等による商圏の拡大に注力してまいります。
商材では、オリジナルブランド「Ubon(ユーボン)」の品揃えの充実を柱に商材の拡大を図るとともに、「もの造り」拠点である大和工場(宮城県黒川郡)及び2023年4月に新設した松本ユーボン工場(長野県松本市)での高付加価値製品の生産と顧客要求事項に対応できる生産体制の確立をより一層強化してまいります。また、当社の商材・機能等をより深くご理解いただく活動として、インターネットを活用したWEB展示会やWEBセミナーを開催するなど販売促進策を行ってまいります。
海外への対応は、海外営業所による国内製造業の海外生産拠点への輸出業務の拡大を図ってまいります。
③コンプライアンス及びCSR(企業の社会的責任)の整備と強化
コンプライアンス及びCSR(企業の社会的責任)の整備と強化を社憲、社是を根幹として推し進めてまいります。子会社社員、派遣社員・パート社員等を含む当社グループの社員全員に行動指針を示した「スズデンCSR要綱」を配布して啓発に努めております。
社会貢献の一環として、東日本大震災において被災された地域を中心に、修学が困難となった学生等への支援を目的として、2012年より20年間にわたり毎年3月11日(休日の場合は直前の営業日)の当社売上額の一部を寄付することとしております。
④環境への配慮
FA機器、情報・通信機器、電子デバイス機器及び電設資材を取扱う商社として、地球の環境保全が人類共通の最重要事項のひとつであることを充分に認識し、その販売事業・製造事業活動、商品及びサービスにおいて環境問題に積極的に取り組む環境配慮型商社を標榜しております。
具体的には、ISO14001を基盤とした「環境方針」を定め、環境マネジメントシステム及びパフォーマンスを定期的に見直して継続的改善を図ってまいります。また、当社が販売する商品の含有化学物質管理、紛争鉱物調査など品質管理体制を充実させ汚染の予防に努め、環境にやさしい環境配慮型商品の販売を推進してまいります。
⑤ESG・SDGsへの対応
ESG(環境/社会/ガバナンス)の観点を重視した企業経営に取り組むこと及び当社の事業活動を通して、SDGs(持続可能な開発目標)など社会的課題解決への取り組みを推進することにより、持続的な社会の実現と企業価値向上を目指してまいります。
⑥財務報告の信頼性の向上
会社法に基づく経営体制の整備とコーポレート・ガバナンス、内部統制システムの一層の強化や、内部統制報告制度への対応を通じて、財務報告の信頼性の一層の向上を継続的に行ってまいります。
⑦生産性・効率性の向上
IT投資の継続による合理化や経費の見直しを推進し、スピード化するビジネス環境への対応力、即応力を強化するとともに、ISO9001を基盤として業務改善を図りながら、DX推進による生産性・効率性の向上を図ってまいります。
⑧人材育成(共育)
当社グループにとって、人材の育成は最重要課題として位置付けており、上司・部下双方が共に育つという理念のもと「共育」を実施しております。具体的には、当社グループ独自のカリキュラムによる「スズデンカレッジ」の充実、通信教育・資格取得の促進、OJT等を通じて、人材の育成を行ってまいります。
⑨事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)の構築
パンデミックや災害など様々なリスクによって生じる事業活動の中断に対する対策を策定し、事業継続の効率的な確保と健全な企業経営を行うため、事業継続マネジメントの構築を継続して行い、影響を最小限に抑えるための対応の整備を図ってまいります。
また、災害時や停電等での初期対応を中心に事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を充実してまいります。
⑩働き方改革と健康経営の推進
男女が共に働きやすい職場環境づくりと、ノー残業DAYや連続2日以上の有給休暇取得の推進等によるワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の向上に取り組むとともに、社員の健康診断100%受診と被扶養者の受診促進の支援及び社員の就業時間内禁煙の徹底等を行い、「働き方改革」と「健康経営」を推進してまいります。
当社は、健康保険組合連合会東京連合会より健康優良企業として「銀の認定」を取得しております。
(5)中長期的な会社の経営戦略
企業価値向上を目指す経営戦略を基本に、「もの造りサポーティングカンパニー」として、もの造りの現場(工場などの生産現場・建築現場等)への設備・機器・部品・サービス等の供給とサポートを行ってまいります。
また、品質・生産性・効率化の更なる向上をめざし、DX推進による業務や物流機能の効率化等、IT化とロボット化を中心とした投資に加え、教育体系を充実させ社員一人ひとりがレベルアップできるよう取り組み、持続的な成長及び企業価値向上に努めてまいります。
①営業戦略
成長市場と成長分野への経営資源の選択と集中を行うとともに「顧客第一」の精神で商圏の拡大・拡充・深耕による業績の拡大を図ってまいります。
重点的な取り組みとして、ロボットやIoT商材の販売による人手不足の解消や生産性の向上・品質管理の向上を図り、スマート工場の構築に向けた提案を進めてまいります。次に、エンジニアリング部門として設置したロボット・ソリューション課では、ロボットなどの機器選定からデータ蓄積及び活用までお客様の生産現場のスマート工場化に向けたトータルソリューションを提供してまいります。更に、AI、自動運転等の実用化及び技術開発の加速に伴い、今後も半導体業界では成長が見込まれることから、半導体製造装置や電子部品関連のお客様へ経営資源を集中させ注力してまいります。また、これまでも中長期的に力を入れてきた医療機器関連市場、医療現場・介護関連市場をはじめとするメディカル市場においては、お客様のご要望に応じた提案を実行することで更なる業績の拡大を図ってまいります。そして、買い方の多様化により今後も需要拡大が見込まれるインターネットビジネスにおいては、通販サイト「FAUbon(エフエーユーボン)」の機能拡充と取扱商品の拡大を重点戦略とし、業績の拡大を図ってまいります。
なお、大和工場(宮城県黒川郡)は、当社の「もの造り」拠点として端子台・ユニット製品等の組立加工等を行っており、更にもの造り機能の強化及び顧客要求事項に対応するため、同工場を増築し、半導体製造装置向けアルミフレームの組立等を行っております。今後も高付加価値製品の提供と高度なSCM要求に対応できる体制を一層強化してまいります。
②商品戦略
「もの造りサポーティングカンパニー」として、最先端の制御機器や電設資材の提案とともに、「品質、環境(省)、安全」といった生産現場が常に向上を求めているキーワードに対してメカトロニクス商材やセーフティ商材、環境関連商材等の販売を推し進めてまいります。成長分野であるロボット及びIoT分野については、メーカー研修を含め人材の育成による提案力の強化とシステムインテグレーターとの協業や当社エンジニアリング部門との連携による、お客様ニーズに沿った省力化・省人化・IoT化といったソリューション提案を展開してまいります。
オリジナルブランド「Ubon(ユーボン)」では、主力の配線アクセサリーや盤内パーツを更に充実するとともに、産業用パソコン等の高付加価値商品や検定キット等の顧客ニーズを先取りした商材の開発を加速し、顧客の利便性向上と収益拡大を図ってまいります。 また、更なる顧客ニーズに直結した「もの造り」を進めるため、2023年4月に松本ユーボン工場(長野県松本市)を新設し、「Ubon(ユーボン)」製品の加工や産業用パソコン等の生産を開始しており、今後も生産体制を強化してまいります。