有価証券報告書-第66期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 13:03
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【項目】
103項目

対処すべき課題

当社グループは、「もの造りサポーティングカンパニー」として、社憲「私たち一人ひとりのはたらきで 心豊かな暮らしをつくり出し 喜びあえる未来にしよう」を共有し、社是「誠実」のもとコーポレート・ガバナンスの強化と環境への配慮、企業の社会的責任を果たすべく経営を行ってまいります。
加えて「顧客第一」で商圏・商材の拡大・拡充・深耕と不断のコスト見直しによる収益の継続的拡大を図るとともに資本効率を高めて自己資本利益率(ROE)の向上に取り組んでまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、株主の皆様、お客様、社員とその家族、地域社会が当社グループを支えてくださる基盤と認識するとともに、企業市民としての社会的責任を果たすべく、社是である「誠実」のもと経営を推進しております。今後も全てのステークホルダーの皆様にご満足いただけるよう企業価値の向上を実現し、社会的責任を果たすべく経営を行ってまいります。
以上を踏まえ、経営の基本方針を以下の通り定め、実践しております。
①社会的責任
国・地方自治体への納税を基本とし、かつ世界の将来を担う世代や教育機関を対象とした継続的な寄付と、地域社
会や災害復興を目的とした寄付を行ってまいります。
②投資家の皆様
配当性向を50%とした場合の配当総額と純資産配当率(DOE)を3%とした場合の配当総額のうち、いずれか高
い値を配当総額の基準として、各事業年度の利益状況や将来の事業展開等を総合的に勘案し、配当を行います。
③お客様
お客様が望む商品・ソリューションを的確に提案し、商品品質・サービス品質を向上させるとともに、お客様の多
様なニーズに適切かつ迅速にお応えし、お客様の満足度を高めてまいります。
④社員
社憲「私たち一人ひとりのはたらきで心豊かな暮らしをつくり出し喜びあえる未来にしよう」を共有し、社員は自
己の能力を最大限に発揮し、会社は個人を尊重して働きがいのある場を提供し、会社も個人も共に成長できる経営
を行ってまいります。
⑤共育
お客様の満足度を高めるため、社員一人ひとりに適切な教育・訓練及び経験の機会を提供し「共に育つ」を教育理
念としてまいります。
⑥地域社会
循環型社会構築に向け地域社会との融和を図り、企業市民として順法・地球環境の向上・安全を基本として活動し
てまいります。活動を具体化するため、環境方針を定め行動します。
(2)目標とする経営指標
当社は、効率化経営と自己資本の効率的活用による収益性を重視する観点から自己資本利益率(ROE)を
経営指標としてまいります。
(3)当社グループを取り巻く経営環境
当社グループを取り巻く昨今の経営環境は、国内景気の伸びが鈍化すると見込まれるものの、当社グループの主力販売先であります電気機器・電子部品・産業機械業界においては、省力化・生産性向上への投資が引き続き緩やかに増加するものと予想されます。また、半導体製造装置関連の主要顧客においては、不透明な部分もあるものの、微細化・積層化投資が継続するものと予想しております。
(4)中長期的な会社の経営戦略
企業価値向上を目指す経営戦略を基本に、「もの造りサポーティングカンパニー」として、もの造りの現場(工場などの生産現場・建築現場等)への設備・機器・部品・サービス等の供給とサポートを行ってまいります。
また、品質・生産性・効率化の更なる向上をめざし、受注業務の集約や物流機能の効率化等、IT化とロボット化を中心とした投資に加え、教育体系を更に充実させ社員一人ひとりがレベルアップできるよう取り組みを継続してまいります。
①営業戦略
成長市場と成長分野への経営資源の選択と集中を行うとともに「顧客第一」の精神で商圏の拡大・拡充・深耕による業績の向上を図ってまいります。
人手不足の解消や生産性の向上に大きく貢献し、成長が見込めるロボット市場については、専任部門として設置したロボット販売営業所を中心に、従来の産業用ロボットと比べて安全性や汎用性が高く、人のそばで作業する「協働型」と呼ばれるロボットをはじめとして、労働力不足などの環境変化の課題解決に向けたトータルソリューションを提供してまいります。また、これまでも中長期的に力を入れてきた医療機器関連市場、医療現場・介護関連市場をはじめとするメディカル市場や、産業の裾野が広い自動車業界においては、お客様のご要望に応じた提案を実行することで更なる業績の拡大を図ってまいります。
インターネットビジネスでは、通販サイトである「FAUbon(エフエーユーボン)」の機能拡充と取扱商品の拡大を重点戦略とするとともに大手顧客の集中購買への対応等、様々なサービスを付加し、業績拡大を図ってまいります。
大和工場(宮城県黒川郡)は、当社の「もの造り」拠点として組立パソコン・端子台・ユニット製品等の組立加工やアッセンブリー加工等を行い、高付加価値製品の提供と高度なSCM要求に対応できる体制を一層強化してまいります。
また、販売促進策としては、当社施設を利用しての独自展示会やお客様の施設を利用させていただいて開催する出前展示会をはじめ、大規模展示会への出展で新規顧客の獲得と当社の商材・機能等をより深くご理解いただく活動を行ってまいります。
②商品戦略
「品質、環境(省)、安全」をキーワードとした商材の開拓やメカトロ・セーフティ商材、機器組込み用商材、基板搭載用商材、環境関連商材等の販売を更に強力に推し進めてまいります。
特にメカトロニクス商材においては、メーカー研修を含め、メカトロニクスに精通した人材の育成を加速し、提案力の強化を継続してまいります。
また、電気通信事業法に基づく「仮想移動体通信事業者(MVNO)」登録を行い、IoT/M2M専用モバイルインターネットサービス「スズデンMOBILE」を発売いたしました。「スズデンMOBILE」をご活用いただくことにより、従来、有線による通信ネットワーク構築が難しかった現場でのデータ収集や、広大・広域な範囲における設備の遠隔監視・保守など、様々なシーンにおいて新たなソリューションを提供してまいります。
オリジナルブランド「Ubon(ユーボン)」では、主力の配線アクセサリーや盤内パーツを更に充実するとともに、カスタムパソコン等の高付加価値商品や検定キット等の顧客ニーズを先取りした商材の開発を加速し、顧客の利便性向上と収益拡大を図ってまいります。
(5)対処すべき課題
①コーポレート・ガバナンスの強化
当社は、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するうえで、株主の権利・利益が守られ、平等に保障されることが重要であり、全てのステークホルダーの権利・利益の尊重と円滑な関係の構築が企業価値向上には欠かせないものと認識しております。
当社は平成28年6月24日開催の当社第64回定時株主総会において、必要な定款変更等のご承認をいただき「監査等委員会設置会社」に移行いたしました。
取締役会の監督機能強化と透明性の高い経営、迅速な意思決定を実現するために取締役会に監査等委員を置き、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実させるとともに、コーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえ、今後とも経営体制の強化を行ってまいります。
平成30年3月31日現在、取締役(監査等委員である取締役を除く)は5名(うち社外取締役は1名)、監査等委員である取締役は4名(うち社外取締役は3名)の、計9名の体制となっております。また、独立役員は3名となっております。
②環境への配慮
電気・電子機器及び情報・通信関連機器の商社として、地球の環境保全が人類共通の最重要事項のひとつであることを充分に認識し、その販売事業活動、商品及びサービスにおいて環境問題に積極的に取り組む環境配慮型商社を標榜しております。
具体的には、ISO14001を基盤とした「環境方針」を定め、環境マネジメントシステム及びパフォーマンスを定期的に見直して継続的改善及び汚染の予防を図るとともに、商品が環境に及ぼす影響を最小限にする為に化学物質情報管理、紛争鉱物情報管理を充実させるとともに、環境配慮型商品の販売を推進してまいります。
③コンプライアンス及びCSR(企業の社会的責任)の整備と強化
コンプライアンス及びCSR(企業の社会的責任)の整備と強化を社憲、社是を根幹として推し進めてまいります。子会社社員、派遣社員・パート社員等を含む当社グループの社員全員に行動指針を示した「スズデンCSR要綱」を配布して啓発に努めております。
社会貢献の一環として、東日本大震災において被災された地域を中心に、修学が困難となった学生等への支援を目的として、平成24年より10年間にわたり毎年3月11日(休日の場合は直前の営業日)の当社売上額の1%を寄付することとしております。
④商圏・商材の拡大・拡充・深耕
商圏の拡大を図るため、既存顧客への深耕と成長市場へ経営資源を集中するとともに、新規顧客の開拓、地場の顧客を主力とした営業所の展開、Webビジネスの拡充等による商圏の拡大に注力してまいります。
商材では、オリジナルブランド「Ubon(ユーボン)」の品揃えの充実を柱に商材の拡大を図るとともに「もの造り」拠点である「大和工場」での高付加価値製品の生産体制を確立してまいります。
海外への対応は、海外営業部による国内製造業の海外生産拠点への輸出業務の拡大と斯咨電貿易(上海)有限公司(SUZUDEN TRADING (SHANGHAI)CO.,LTD)の強化による中国市場での業容の拡大を図ってまいります。
⑤財務報告の信頼性の向上
会社法に基づく経営体制の整備とコーポレート・ガバナンス、内部統制システムの一層の強化や、内部統制報告制度への対応を通じて、財務報告の信頼性の一層の向上を継続的に行ってまいります。
⑥生産性・効率性の向上
IT投資の継続による合理化や経費の見直しを推進し、スピード化するビジネス環境への対応力、即応力を強化するとともに、ISO9001を基盤として業務改善を図りながら、生産性・効率性の向上を図ってまいります。
⑦人材育成(共育)
当社グループにとって、人材の育成は最重要課題として位置付けており、上司・部下双方が共に育つという理念のもと「共育」を実施しております。
具体的には、当社グループ独自のカリキュラムによる「スズデンカレッジ」の充実、通信教育・資格取得の促進、OJT等を通じて、人材の育成を行ってまいります。
⑧事業継続マネジメント(BCM:Business Continuity Management)の構築
様々なリスクによって生じる事業活動の中断に対する対策を策定し、事業継続の効率的な確保と健全な企業経営を行うため、事業継続マネジメントの構築を継続して行ってまいります。
また、災害時や停電等での初期対応を中心に事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を充実してまいります。
⑨働きやすい職場環境づくり
男女が共に働きやすい職場環境づくりとワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現に取り組んでま いります。