有価証券報告書-第54期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 13:11
【資料】
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【項目】
119項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
企業理念
一.私たちは信用を重んじ、社会の発展と豊かな環境づくりに貢献します。
一.私たちは時代のニーズに対応し、常に変貌する企業を目指します。
一.私たちは社員相互の信頼のもと、人材を育成し、希望に満ちた企業を創造します。
一.私たちは常に学ぶ姿勢を持ち、自己と企業の進歩、改善を目指します。
当社グループは上記の企業理念のもと、社会インフラの整備・維持を担う企業として“ファスニング分野におけるエンジニアリングの専門家集団”を標榜し、技術力による新しい付加価値を提供することによって、活力ある国土づくりと社会の発展に貢献してまいる所存であります。
(2) 当社グループの経営環境
当社グループは昭和40年の創業以来、建築構造物のファスナーに関する専門業者として、また、トンネルを掘削するためのファスナーいわゆるNATM工法の先駆者として、常に新技術の導入と普及に努め、企業規模も順調に拡大してまいりました。しかしながら、平成9年の上場以降、社会全体の景気低迷や建設業界における需要の絶対量不足、受注競争の激化などにより、厳しい経営環境が続いております。このような情勢のもとで当社は、収益改善に向け総コストの圧縮や固有技術の一層の改良と新技術・新工法の開発を行うとともに管理面では情報の一元管理と共有化を目的とした社内情報システムの導入など、将来へ向けての取り組みを行っており、その効果は徐々にではありますが、着実に現れております。
(3) 中期的な会社の経営戦略
① 新たな50年を目指して
当社は昭和40年、日本初のあと施工アンカーの専門企業として設立され、ファスニング分野の先駆者としてアンカー、トンネル資材の販売はもとより、専門性の高い工事において国内外より高い評価を得てきました。 平成27年3月には皆様のおかげをもちまして、会社設立50周年を迎えることもできました。これを機に新たな50年、100年を目指して、今一度当社グループの原点である“現場重視”に徹し、ビジネス環境の変化に対応しお客様のニーズや市場動向などの最先端情報をいち早く経営に反映できる体制づくりを行ってまいります。
② 重点課題
中長期的な経営戦略としましては、低成長が続く時代にあっても、景気動向に左右されない常に安定した収益基盤を確保するために、当社グループが永年培ってまいりました技術力・営業力を結集し、社会のニーズに対応した新商品、新工法の開発に力を入れるとともに、既存事業の活性化や固定費の圧縮に取組んでおります。また、更なる企業競争力、企業体質の強化を目指し、下記の施策を積極的かつ継続的に推進してまいります。
ⅰ 「本業の再強化」
当社は創業以来、付加価値の高い営業活動を行い今日に至っておりますが、再度「技術力によって社会貢献を果たす」という当社の原点に立ち返り「本業の再強化」を行い、ユーザー・施主のニーズに対応した技術提案型営業を強化して他社との優位性を保ち「オンリー・ワン」企業を目指すとともに、各現場からの意見を取り入れた新しいコンセプトのあと施工アンカー及び特殊ボルト・ナット類や効率的な工法など、新商品・新工法の普及及び既存商品・工法の更なる改良を行ってまいります。
ⅱ 「持続的成長の実現」
建設市場が縮小し受注の絶対量が減少する中、収益基盤を改善するために「量」から「質」への転換を図り、「持続的成長の実現」を目指してまいります。具体的には
・徹底したコストダウンの追求と高品質な商品を提供するために、購買部を中心とした全社規模での集中購買体制を強化してまいります。
・競争激化に伴い低採算を余儀なくされていた一部の工事を見直し、選別受注による収益性・利益率の向上を目指してまいります。
ⅲ 「財務体質の強化」
上記経営戦略を通じて収益基盤の一層の強化と事業効率化を図り、将来にわたる安定的なキャッシュ・フロー創出を目指すとともに、グループの持続的成長を確保するために経営資源の適正配分と有利子負債の削減等を含めた「財務体質の強化」を行ってまいります。
ⅳ 「コンプライアンスの強化」
現在の厳しい市場環境やめまぐるしく変化する社会情勢に迅速かつ的確に対応するために、経営の効率化とスリムな経営を行うと同時に、上場会社としての責務である法令を始めとした諸ルールを遵守する体制を構築し、「コンプライアンスの強化」に取り組んでまいります。
③ 中期経営計画
建設業界におきましては、東京オリンピック・パラリンピックに向けた各種インフラ整備やリニア新幹線などの大型プロジェクト、堅調な民間設備投資等受注環境は一時的には追い風ではありますが相対的には減少傾向にあり、工事の対象が新設から維持・補修にシフトすることも予想されます。
また、原材料価格や労務単価の上昇、少子高齢化に伴う人材不足、若年層労働者の確保や働き方改革のよる労働環境の多様化など業界全体としては多くの課題を抱えている状況にあります。
このような不透明な状況である中で当社は、ファスニング分野のリーディングカンパニーとして、安心・安全を最優先とした社会インフラの新設・維持・補修を通じて社会の発展に貢献する企業を目指し本年5月31日に「ケー・エフ・シーグループ中期経営計画(2018年~2020年度)」を策定いたしました。
本計画は将来的に持続的成長を目指すケー・エフ・シーグループが「あるべき姿」に向かって経営資源を有効活用し、経営基盤のさらなる強化を推進してまいります。
また、あらゆる社会の変化に対しても迅速に対応するとともに、経営課題にしっかりと向き合い安定した経営を目指すことによって、すべてのステークホルダーの皆様から高い信頼と評価を得ることができるよう役職員一同一丸となって本計画の目標達成に向けて取り組んでまいります。
(4) 目標とする経営指標
利益配分の基本方針に従い、安定的な配当を継続するとともに、上記中期経営計画に従い、企業価値の増大による利益還元及び当社グループとして持続的成長の実現を行うため、自己資本を基盤とした財務体質の強化が必要と認識しており、従来の売上高経常利益率5%以上に加え、新たに自己資本利益率(ROE)15%以上を目標とする経営指標としております。
毎期、上記目標以上を達成できるよう企業努力を行ってまいります。
(5) 会社の対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、引き続き海外経済の不確実性や金融市場における変動の影響を注視する必要があり、なお予断を許さない状況が続くものと見込まれます。
一方、建設業界におきましては、東京オリンピック開催に向けての各種インフラ整備やリニア新幹線などの大型プロジェクト、堅調な民間設備投資等を含め、建設需要拡大の動きが継続することが見込まれ、堅調な受注環境が続くものと考えられます。
しかしながら、資機材価格の高騰や建設技術者、技能労働者の不足は深刻化しており、依然として企業収益への影響が懸念されております。
このような状況のなか、当社グループは、これまで培ってきたファスニング技術と道路やトンネルなどの維持補修技術を活用し、高度な社会インフラ整備の実現に向けた取り組みを継続してまいります。
具体的には新規プロジェクトへの積極的な技術提案と並行して、老朽化したインフラ構造物の長寿命化や安全対策の提案営業にも力を入れ、顧客と社会のニーズに対応するとともに、新商品、新工法の開発を継続し、既存事業の活性化と固定費の圧縮にも努めることで、企業競争力の強化を図ってまいります。
また、従来から取り組んでおります「本業の再強化」「持続的成長」「財務体質の強化」「コンプライアンスの徹底」の4つの重点課題にも一層注力し、これらの取り組みを総合的に実現することによって、ケー・エフ・シーグループ全体の企業価値の向上に努めてまいる所存であります。