訂正有価証券報告書-第21期(2023/04/01-2024/03/31)
| 戦略 |
1) Scope1、Scope2の削減
当社は、CO2排出の削減は脱炭素社会実現に向けた当社グループの責務であると考えています。したがって、当社グループによるCO2排出(Scope1とScope2)の削減を加速し、来たる脱炭素社会への耐性を高めると共に、この社会移行を新たな機会と捉え、幅広い分野におけるビジネスを進めていきます。2021年3月には、「サステナビリティ チャレンジ」を実践すべく脱炭素対応方針を策定し、Scope1とScope2の削減目標(後述)を設定しました。
2) Scope3、Scope4の計測と把握
当社は、脱炭素社会の実現のためには、当社グループのCO2排出(Scope1とScope2)削減に加えて、サプライチェーン全体のCO2排出(Scope3)までを含めた取り組みが必要であると考えています。また、Scope3の多い産業とそのサプライチェーン上の工程においては現在又は将来的に排出削減ストレスがかかる可能性が高いと考え、リスクとしてその計測と把握を行っています。具体的には、外部専門家を起用して、当社が事業を行っている産業のサプライチェーンにおいてScope3の多い所を特定し、リスクが高い、又は高まる箇所として分析し、その結果を示したものが次のCO2分析図です。縦軸に当社グループが関わっている一般的にCO2排出が多い産業分野を、横軸にサプライチェーン上の工程を置き、当社グループにとってのリスクがある所を濃いオレンジ色で表しています。当社グループへの影響が特に大きいと考えられる発電、製鉄分野からScope3の計測による定量把握を進めており、順次計測範囲を拡大しています。一方で、Scope3が多い所はCO2削減貢献による新たな事業創出の機会のある所でもあると捉え、削減貢献事業の取り組みを推進すると共に、その削減貢献量をScope4として定義づけ計測と把握を行っています。
| リスク(Scope3) | CO2排出が多い所ほど一般的にはCO2排出削減のストレスが高まり、移行リスクとして、脱炭素に向けての規制の強化、政策の変更、市場における需給の変化、技術革新が生じ代替される脅威にさらされやすくなります。 |
| 機会(Scope4) | 当社グループは、脱炭素又は低炭素のエネルギー事業、省エネ事業、循環型製品・サービス事業を通じて既存・競合他社の製品・サービスに代替し、あるいは新たに創出された市場、セグメントでの優位な位置を獲得することによる収益化を目指します。 |
<サプライチェーン上のCO2分析図>

注:2024年3月期データ。GHGプロトコルが規定する、Scope3の15のカテゴリーを簡略化して作成しています。
カテゴリー別の詳細は、https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/e/data/ をご参照ください。
* Scope4の計算方法:(IEAが公表する2022年の世界火力発電原単位(832g/kWh)- 当社発電原単位)×発電量
3) 脱炭素ロードマップ
当社は注力分野として再生可能エネルギー事業、トランジション事業を含む「エッセンシャルインフラ」や「エネルギー・素材ソリューション」を掲げていますが、それらの戦略の下敷きの1つとして、下記、脱炭素ロードマップがあります。「社会動向」や「必要な技術」を年代ごとに想定し、当社の「リスク」と「機会」を整理したもので、今後も定期的に見直していきます。
- 増加している再生可能エネルギーやサーキュラービジネスは恒常的に拡大し、将来的には余剰再エネ電力を使用したグリーン水素の活用が見込まれます。
- ただし、脱炭素社会への移行には、再生可能エネルギー普及時の不安定さを下支えするトランジション期間が必要と考えています。
- 当社は、トランジション事業として、高効率のガス火力発電や省エネサービス事業を推進することで、脱炭素社会への移行を事業機会につなげていきます。
- なお、技術動向は刻々と変わるため、随時見直しを行い、当社の対応の方向性を定期的に更新していきます。
<脱炭素ロードマップ>

4) シナリオ分析
● 移行リスク
外部調査、内部分析も踏まえ、「リスク」と「機会」が、当社グループの経営戦略、事業活動、財務計画に対する影響がより大きいと考えられる事業分野について順次シナリオ分析を行い財務への影響を分析しています。具体的には、CO2排出量の多いリスクのある所(<サプライチェーン上のCO2分析図>を参照)の中で当社グループが事業を行っており、特に影響が大きいと考えられる石炭権益事業と発電事業における移行リスクについてシナリオ分析を行いました。
<シナリオ分析>
| リスク | リスク | 機会 |
| 石炭権益事業 | ・分析手法 1.5℃シナリオを前提として、2050年までの石炭需要と価格見通しを想定し、当社保有資産の財務影響を分析。 ・財務影響 1.5℃シナリオが現実化した際には、生産コストの増加の影響で一部資産に劣化の可能性はある。 | 当社グループが分析するいずれのシナリオにおいても、再生可能エネルギーの需給増加が見込まれています。当社グループは、再生可能エネルギー事業などの脱炭素事業に加え、トランジション事業として、高効率のガス火力発電や省エネサービス事業を推進することで、脱炭素社会への移行を事業機会につなげます。 |
| 発電事業 | ・分析手法 1.5℃シナリオを前提として、炭素価格と需給変動の影響を踏まえ、当社保有資産の財務影響を分析。 ・財務影響 炭素価格や需給変動の影響を受ける発電所は限られており、財務影響は限定的。 |
● 物理的リスク
気候変動が抑制できず温暖化が進行した場合の物理的リスクについては、まず、海岸洪水や河岸洪水などの水に関するリスク(急性リスク)に注目して分析を行っています。具体的には、世界資源研究所(World Resources Institute)が提供する水リスクの分析ツールAqueductの評価「Extremely High」と「High」の地点に所在する事業・資産(製造・加工工場などの非オフィス)が水リスクにさらされていると考え、その2024年3月末現在の有形固定資産額(リース資産は除く)を財務影響額として分析しました。その結果、東南アジア地域を中心に、一部の事業拠点における海岸洪水・河岸洪水の水リスクが高いことを確認し、財務影響のある資産(有形固定資産)の額は約300億円になると算定しました。