有価証券報告書-第22期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/16 15:03
【資料】
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【項目】
172項目
戦略

脱炭素社会実現への挑戦
当社は、再生可能エネルギー事業やトランジション期間を支える事業である「エッセンシャルインフラ」及び「エネルギー・素材ソリューション」を注力分野として掲げています。その戦略の基盤となるのが、脱炭素ロードマップです。このロードマップでは、「技術・社会動向の見立て」を年代ごとに想定し、それに対応した当社の新エネルギー・脱炭素プロジェクトや事業を具体的に記載しています。技術動向は常に変化しているため、リスクと機会を定期的に見直し、対応方針を更新しながら、自社の持続可能な成長と脱炭素社会の実現に貢献していきます。
脱炭素ロードマップにおける当社の考え方は以下のとおりです。
■ 脱炭素社会に向けた年代ごとの技術や社会動向を「機会」と捉えています。
■ 再生可能エネルギーの利用は今後も拡大し、将来的には余剰再エネ電力を活用したグリーン水素の利用が見込まれますが、脱炭素社会への移行には、再生可能エネルギーの普及に伴う不安定さを補完し、需給を下支えするトランジション期間が必要です。当社は、高効率のガス火力発電や省エネルギーサービス事業を推進することで、トランジション事業を通じて脱炭素社会への移行を事業機会につなげていきます。
■ 一方で、バイオ燃料・合成燃料、クリーン水素やアンモニア等の新エネルギーは、脱炭素社会に向けた中長期的な技術革新及び燃料転換の中心的な役割を担うものとして位置づけていますが、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、技術開発・社会実装を進めていくことが不可欠です。
■ また、新エネルギー・脱炭素領域では、技術成熟度の違いや、収益化の時期も異なるため、それらの実情を踏まえながら、当社の強みを活かしたバリューチェーン構築やソリューション提供を目指すべく、最適な資源配分のポートフォリオを見極めながら推進していきます。
<脱炭素ロードマップ>
1) シナリオ分析
● 移行リスク
外部調査、内部分析も踏まえ、「リスク」と「機会」が、当社グループの経営戦略、事業活動、財務計画に対する影響がより大きいと考えられる事業分野について随時シナリオ分析を行い、財務への影響を分析しています。具体的には、GHG排出量の多いリスクのある箇所(サプライチェーン上のGHG排出量分析図(26ページ))の中で、特に影響が大きいと考えられる石炭権益事業と発電事業における移行リスクについてシナリオ分析を行いました。
<シナリオ分析>
リスクリスク機会
石炭権益事業・分析手法
1.5℃シナリオを前提として、2050年までの石炭需要と価格見通しを想定し、当社保有資産の財務影響を分析。
・財務影響
一部資産に一定程度影響はあるものの、原料炭の需要は維持されると見込んでおり、財務影響は限定的。
当社グループの分析において、再生可能エネルギーの需給増加が見込まれています。当社は、再生可能エネルギー事業や脱炭素事業に加え、トランジション期間に必要な事業として高効率ガス火力発電や省エネサービス事業も推進しています。脱炭素社会への移行を事業機会と捉え、脱炭素ロードマップに基づいて対応していきます。
発電事業・分析手法
1.5℃シナリオを前提として、炭素価格と需給変動の影響を踏まえ、当社保有資産の財務影響を分析。
・財務影響
炭素価格や需給変動の影響を受ける当社保有の発電所は限られており、財務影響は限定的。

● 物理的リスク
気候変動が抑制できず温暖化が進行した場合の物理的リスクについては、特に海岸洪水や河岸洪水などの水リスク(急性リスク)に注目して分析を行っています。具体的には、世界資源研究所(World Resources Institute)が提供する水リスク分析ツール「Aqueduct」の評価において、「Extremely High」及び「High」とされた地点に所在する事業・資産(製造・加工工場などの非オフィス)が水リスクにさらされていると考え、その2025年3月末現在の有形固定資産額(リース資産は除く)を財務影響額として分析しました。その結果、東南アジア地域を中心に、一部の事業拠点における海岸洪水・河岸洪水の水リスクが高いことを確認し、財務影響のある資産(有形固定資産)の額は約290億円になると算定しました。
2) Scope1、Scope2の削減
当社は、GHG排出の削減は脱炭素社会実現に向けた当社グループの責務であると考えています。そのため、当社グループはGHG排出(Scope1とScope2)の削減を加速し、脱炭素社会への耐性を高めると共に、この社会移行を新たな機会と捉え、幅広い分野におけるビジネスを進めていきます。2021年3月には、「サステナビリティ チャレンジ」を実践すべく脱炭素対応方針を策定し、Scope1とScope2の削減目標(後述)を設定しました。
中計2026では、Scope1とScope2の削減目標の達成に向けて、当社グループにおける脱炭素推進施策の実行と、それを後押しする仕組みを作りました。今後も脱炭素社会の実現に向けた取り組みの拡大を推進していきます。
3) Scope3、Scope4(削減貢献量)の計測と把握
脱炭素社会の実現には、当社グループのGHG排出(Scope1とScope2)削減に加えて、サプライチェーン全体のGHG排出(Scope3)削減が必要であると考えています。また、Scope3の多い産業とそのサプライチェーン上の工程においては現在または将来的に排出削減のストレスがかかる可能性が高いと考えています。一方で、当社は、国内外のネットワークを活用し、多岐にわたる分野で事業を展開していることから、Scope3の計測と把握は非常に複雑で困難です。その中で、外部専門家を起用して、当社のサプライチェーンにおいてScope3の多い箇所を、まずは特定しました。その結果、2021年3月期より当社グループへの影響が特に大きいと考えられた発電、製鉄分野から計測、その後順次計測セクターを拡大し、2024年3月期において全セクターの把握を実施完了しました。
その結果を示したものが26ページの<サプライチェーン上のGHG排出量分析図(Scope3、Scope4(削減貢献量))2025年3月期速報値ベース)>です。一方で、Scope3が多い所はGHG削減貢献を行う新たな事業創出の機会のある箇所でもあると捉え、削減貢献事業を推進し、その削減貢献量をScope4として定義し、計測と把握を行っています。
<参考>当社グループの2024年3月期におけるカテゴリー別Scope3の全量データ
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/e/data/
2025年3月期の実績値は、追って当社ウェブサイト及び統合報告書にて開示予定です。
リスク
(Scope3)
GHG排出が多い箇所ほど一般的にはGHG排出削減のストレスが高まり、移行リスクとして、脱炭素に向けた規制の強化、政策の変更、市場における需給の変化、技術革新による代替の脅威にさらされやすくなります。
機会
(Scope4(削減貢献量))
当社グループは、脱炭素または低炭素のエネルギー事業、省エネルギーサービス事業、循環型製品・サービス事業を通じて既存・競合他社の製品・サービスに代替するか、新たに創出された市場やセグメントで優位な位置を獲得することによる収益化を目指します。


<サプライチェーン上のGHG排出量分析図(Scope3、Scope4(削減貢献量)) 2025年3月期(速報値ベース)>横軸に当社グループが関わる「GHG排出が多い産業」を、縦軸に「サプライチェーンの各工程」を配置し、当社にとってのリスクと機会を定性・定量的に分析・特定しています。
(下図の発電・製鉄セクターのScope3、Scope4(削減貢献量)は、有価証券報告書提出日現在の速報値)
リスク(Scope3):GHG排出が多い箇所ほど、濃いオレンジ色で示しています。一般的に「GHG排出削減の圧力」
や「代替される脅威」にさらされやすくなります。
機会(Scope4(削減貢献量)):最下段は代替となる新規事業の機会であり、当社は削減貢献量として積み上げていきます。
なお、WBCSDのガイダンス(注)に基づき、削減貢献量は、当社の脱炭素目標及びその進捗の排出量と相殺しておりません。
(注) World Business Council for Sustainable Development(持続可能な発展のための世界経済人会議)で公表された削減貢献量ガイダンスを指す。

(注) 1 2025年3月期データ(速報値ベース)。GHGプロトコルが定める、Scope3の15カテゴリーを簡略化して作成しています。
<詳細>カテゴリー別
https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/e/data/
2 Scope4(削減貢献量)の計算方法:(IEAが公表する2023年の世界火力発電原単位(843g/kWh)-当社発電原単位)×発電量

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