四半期報告書-第34期第3四半期(平成26年10月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/02/10 9:54
【資料】
PDFをみる
【項目】
33項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、米国経済が民間需要を中心に回復を続ける一方、欧州経済は低迷、また中国経済も不動産投資や民間設備投資不振により減速いたしました。
我が国経済は、消費税増税の駆け込み需要の反動に底打ち感がみられるものの消費は低調に推移し、夏場の天候不順や輸出の伸び悩みもあり景気低迷が続きました。
当社グループを取り巻く非鉄金属業界においてはスマートフォン・タブレット端末向け需要が引続き拡大を続ける一方、自動車向けも北米等の海外需要増加を受けて底堅く推移いたしました。
このような経済環境のもと、当社グループの売上面においては、電子材料分野のスマートフォン・タブレット端末関連部材、環境関連部材、太陽光発電関連部材の他、アルミ・銅スクラップ、金属珪素、チタン・タングステン・モリブデン等のレアメタル、及び国内連結子会社が製造する半導体製造装置用部品等が増加いたしました。また、レアアースについては電池、磁石、触媒用途での自動車向け取扱いが増加いたしましたが、単価の下落により売上高は前年同期に比べ減少いたしました。一方、空調機器向け銅管、及び電池材料用ニッケル粉末等の取扱いが減少いたしました。
利益面では、グループ全体の売上増加に伴う収益増に加え、第1四半期連結会計期間にケィ・マック株式会社を持分法適用関連会社とし、負ののれん発生益を含む持分法による投資利益を営業外収益に計上したことにより経常利益は大幅な増加となりました。これにより四半期純利益についても大幅な増益となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間における連結経営成績は、売上高151,606百万円(前年同期比10.5%増加)、営業利益3,810百万円(同31.7%増加)、経常利益4,410百万円(同64.1%増加)、四半期純利益3,221百万円(同31.1%増加)となりました。
当第3四半期連結累計期間におけるセグメントの業績は次のとおりであります。また、各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
・軽金属・銅製品事業
消費税増税の影響による国内住宅建材関係、空調関係資材の荷動きは停滞いたしましたが自動車、航空機、及び半導体製造装置向け等の取扱いは堅調に推移いたしました。特に半導体製造装置、航空機等の堅調分野を主な需要家とする国内製造子会社の好業績が連結業績に大きく貢献いたしました。また本年4月に持分法適用関連会社となったケィ・マック株式会社の負ののれん発生益を含む持分法による投資利益を営業外収益に計上したことにより、セグメント利益は大幅な増加となりました。
この結果、当セグメントにおける売上高は57,312百万円(前年同期比8.0%増加)、セグメント利益は2,699百万円(同145.3%増加)となりました。
・電子・機能材事業
スマートフォン・タブレット端末の関連部材は継続的な新機種の投入により安定的に伸長しており、また環境関連部材、太陽光発電関連部材も円安効果もあったことから堅調に推移いたしました。またチタン・ニッケル製品の輸出取引も、欧州向けを中心に需要復調や為替効果により回復基調となりました。
一方、レアメタル・レアアースの分野においてはタングステン、モリブデンの取扱いが増加したものの、電池、磁石、触媒用途におけるレアアースの取扱いは、単価の下落により売上高は前年同期に比べ減少いたしました。なお、セグメント利益は外貨借入金の期末時換算に伴い、為替差損を計上したために前年同期比で減少となりました。
この結果、当セグメントにおける売上高は59,195百万円(同11.0%増加)、セグメント利益は1,284百万円(同6.1%減少)となりました。
・非鉄原料事業
主たる需要先である国内自動車生産は、消費税増税以前の駆け込みもあり高水準を維持、また国内鉄鋼生産も堅調に推移したことから、当セグメントの取扱う自動車用輸入アルミ合金塊、鉄鋼用脱酸材、金属珪素、鉛地金、軽金属圧延用マグネシウムが堅調に推移いたしました。また、アルミ及び銅のリサイクル事業への進出も奏功し、アルミ・銅スクラップの取扱いが増加し連結業績に貢献いたしました。
この結果、当セグメントにおける売上高は27,199百万円(同17.5%増加)、セグメント利益は283百万円(同314.6%増加)となりました。
・建設・産業資材事業
国内建設市場は、消費税増税前の駆け込み需要の反動、及び人手不足により新設住宅着工戸数が低迷しており、民間設備投資においても回復の兆しはあるものの足元の需要は弱く、建設産業資材の取扱いは全体として低調でありました。また急激な円安進行に伴う輸入品のコスト上昇により、バルク貯槽や素形材の輸入取引も低調でした。一方、円安メリットによりバルブ類の海外取引が増加し、銅合金管の輸出取引も好調に推移いたしました。
この結果、当セグメントにおける売上高は10,846百万円(同6.7%増加)、セグメント利益は159百万円(同8.5%増加)となりました。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
該当事項はありません。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
(経営成績に重要な影響を与える要因について)
当社グループをとりまく事業環境は、消費や設備投資が好調な米国経済が引続き回復を続けるとみられるものの、欧州経済はウクライナ情勢や不安定な金融情勢により低迷が続き、中国経済も減速が続くものと見込まれます。また国内経済は消費税増税からの回復ペースが遅いこと、及び生産拠点の海外移転による輸出の伸び悩みにより、先行き緩やかな景気回復にとどまるものと見込んでおります。
このような環境において、当社グループにおいては需要が好調なスマートフォン、タブレット端末に関連した電子材料分野、半導体製造装置向け部品及び自動車関連向け素材及び部材を中心に引続き堅調に推移するものと見込んでおります。一方、レアアースの取扱いについては需要の回復が見込まれるものの、供給過多による単価低迷がしばらく続くものと見込まれます。
(当社グループの経営戦略の現状と見通し)
当社グループは中期経営計画に掲げる「連結ベースでの企業価値向上と持続的成長」の実現に向けて以下の施策を推進しております。
・営業収益力の強化
①電子材料分野
高成長ビジネスとして位置づける電子材料分野(結晶材料、金属粉末、液晶・電池材料、半導体関連素材、機能化学品等)、及びレアメタル・レアアースを取扱う電子・機能材事業のグローバル市場での強化を図っており、原料(レアメタル・レアアース)から製品(電子・機能材)までを網羅する一大勢力を築き、強固な収益体制を目指します。
②環境対応関連分野
太陽電池、燃料電池、エコカー、及び環境対応ディーゼル等の各種素材、並びに省エネとして脚光を浴びるLED用素材の取扱いを拡大いたします。また当社連結子会社における非鉄金属スクラップの国内ヤードオペレーションに加え、レアメタル・レアアースのリサイクル事業をグローバルに展開いたします。なお、平成26年11月1日には当社連結子会社で非鉄スクラップを手掛けるアルミ銅センター株式会社(旧 大阪アルミセンター株式会社)が株式会社稲田商会から銅スクラップ事業を譲受し北九州支店(稲田銅センター)として営業開始いたしました。同事業は下期以降の当社連結業績に寄与するものと見込まれ、今後、同社と当社非鉄原料事業部門との連携によりリサイクル事業の一層の拡大を図ります。
③海外事業展開
急成長する新興国を中心とした海外需要を取り込むべく、引続き海外ネットワークの整備・拡充を進めており、当社グループにおける海外ネットワークは11法人16拠点に拡大しております。今後はさらにインド、インドネシア、及び中南米等へ新たな拠点設立を推進してまいります。
・投資案件の推進
①M&A
業容拡大の柱として、国内外におけるM&Aを積極的に推進しております。M&Aは短期間での連結利益獲得と当社グループとのシナジーによる新たな商流の創出につながっております。今後も引続き非鉄金属を中心に鉄鋼、化学品を含む製造業、流通業、リサイクル分野等のM&Aを推進し、非鉄金属専門商社の枠組みを越えた事業展開を推進してまいります。
②事業投資
当社は、新たな商流の創出、資源確保を目的として国内外にて事業投資をおこなっております。当第3四半期連結累計期間においては持分法適用関連会社4社を含む30社に事業投資をしており、今後も国内外における金属・化学品分野の加工、販売事業への投資並びに合弁事業設立を推進します。またレアメタル・レアアース等の鉱山・製錬事業への投資による資源確保を目指してまいります。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、当社グループを取り巻く事業環境を鑑みますと、メーカー間での事業統合を含めた合従連衡、国内生産拠点の海外移転に伴う製造業の空洞化並びに輸出の低迷、中国をはじめとする資源ナショナリズムの台頭、非鉄金属市況の高騰がもたらす代替商品の開発等が予想を超えるスピードで進むことにより当社グループが収益機会を逸することが懸念されます。これらの問題に対応するため、当社グループは高い専門性を持つ人材の育成に努めるとともに常にアンテナを高くして顧客ニーズを先取りし「新たな素材へ」「新たな市場へ」「新たなサービスへ」「新たな分野へ」をモットーに挑戦し続けることで、ステークホルダー(株主、取引先、従業員、地域社会)との良好な関係を維持することが可能となり、結果として当社グループのプレゼンスを向上できるものと確信しております。