有価証券報告書-第33期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 9:39
【資料】
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【項目】
126項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、当社グループの財政状態及び経営成績にとって重要であり、かつ相当程度の経営判断及び見積りを必要とする重要な会計方針は以下のとおりであります。
① 債権の回収可能性
当社グループの債権のうち、損失が合理的に予想される債権に対しては、貸倒引当金を計上しております。個別に回収が懸念される債権については、取引先の過去の支払実績、支払条件の変更、当該顧客の財政状態等を考慮の上、回収不能見込額を計上しております。その他、個別に回収懸念がない債権に関しても、過去の貸倒実績等に基づき、回収不能見込額を計上しております。
② 在庫商品の評価
当社グループの在庫商品のうち、収益性の低下、長期滞留化及び陳腐化した在庫商品に対しては、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に則り、社内で制定した一定のルールに基づき評価損を計上しております。
③ 投資有価証券の評価
当社グループの保有する投資有価証券は、市場性のある投資有価証券と非上場の投資有価証券に分類されます。市場性のある投資有価証券は、期末時点の市場価格に基づく時価法によっており、評価差額は全部純資産直入法により処理しております。期末における時価が取得価額に比べ50%以上下落している場合には全て、減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。
非上場の投資有価証券は、移動平均法による原価法により評価しております。また、投資先の実質純資産価額の当社持分と当社帳簿価額との比較により減損の検証を行っており、投資先実質純資産価額の当社持分が当社帳簿価額に対して50%以上低下している場合には、創業赤字等の一時性を考慮し、個別判断により回復可能性が見込まれるものを除き、減損処理を行っております。
④ 繰延税金資産
企業会計上の資産または負債の額と課税所得計算上の資産または負債の額に相違がある場合には、「税効果会計に係る会計基準」に基づき繰延税金資産・負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、将来の経営環境の変化等により課税所得の見積額が修正された場合には、繰延税金資産が減額される可能性があります。
⑤ 減損会計
当社及び国内連結子会社につきましては、原則として報告セグメントを基礎として、海外連結子会社につきましては、会社毎にグルーピングを行っております。地価の下落等により減損の対象となった固定資産については、資産または資産グループの帳簿価額が回収可能価額を下回った差額を、減損損失として計上する必要が生じます。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
・財政状態
① 流動資産
当連結会計年度末における流動資産は66,336百万円であり、前連結会計年度末に比べ10,981百万円の増加となりました。主な内訳は取引の増加等に伴う受取手形及び売掛金の増加5,613百万円、たな卸資産の増加3,346百万円、及び現金及び預金の増加1,843百万円であります。
② 固定資産
当連結会計年度末における固定資産は19,327百万円であり、前連結会計年度末に比べ4,300百万円の増加となりました。主な内訳は連結子会社の生産設備等有形固定資産の増加2,424百万円、無形固定資産の増加547百万円、及び株式取得と時価評価に伴う投資その他の資産の増加1,328百万円であります。
③ 流動負債
当連結会計年度末における流動負債は50,187百万円であり、前連結会計年度末に比べ10,090百万円の増加となりました。主な内訳は支払手形及び買掛金の増加4,894百万円、短期借入金の増加2,710百万円、固定負債からの振替による一年内返済予定の長期借入金の増加1,191百万円、未払法人税等の増加733百万円であります。
④ 固定負債
当連結会計年度末における固定負債は14,108百万円であり、前連結会計年度末に比べ358百万円の減少となりました。主な内訳は社債の流動負債への振替と償還による減少600百万円であります。
⑤ 純資産
当連結会計年度末における純資産は21,368百万円であり、前連結会計年度末に比べ5,550百万円の増加となりました。主な内訳は新株予約権の行使に伴う資本金並びに資本剰余金の増加がそれぞれ2百万円、利益剰余金の増加2,724百万円、上場株式の時価評価等によるその他有価証券評価差額金の増加220百万円、及び為替換算調整勘定の増加2,470百万円であります。
・経営成績
① 売上高
売上高の主な増加要因は、自動車部品向けアルミ原料、銅製錬用銅スクラップ、半導体製造装置・航空機部材向け軽金属切削加工部品、ハイブリッド車等自動車関連需要の増加に伴うタングステンの取扱い、省エネ対応空調機器の需要増加による銅管等伸銅品並びにアルミ製品の輸出取引等であります。主な減少要因は、欧州向けチタン・ニッケル製品の輸出取引、家電向け二次電池材料用ニッケル粉末等であります。レアアースについては、軽希土類が前期に比べ増加いたしましたが、重希土類は市況低迷と取引先の在庫調整が続き低調に推移いたしました。一方、第1四半期連結累計期間より収益取込を開始した連結子会社の売上が連結業績に寄与いたしました。
この結果、当連結会計年度における売上高は、前期比11.5%増加の183,749百万円となりました。
② 売上総利益
売上増加に加え、第1四半期連結累計期間より収益取込を開始した連結子会社の業績が寄与し、当連結会計年度における売上総利益は前年同期比25.5%増加の10,995百万円となりました。
③ 販売費及び一般管理費
第1四半期連結累計期間より収益取込を開始した連結子会社の費用計上により、当連結会計年度における販売費及び一般管理費は前期比37.2%増加の7,510百万円となりました。
④ 営業利益
上記の結果、当連結会計年度における営業利益は前期比6.0%増加の3,484百万円となりました。
⑤ 営業外収益、営業外費用
円安進行の鈍化から外貨建決済取引に係る為替差損が前期に比べ縮小したこと、国内連結子会社における受取保険金の計上等から、営業外収支(営業外収益-営業外費用)は116百万円の収入超となりました(前期は394百万円の費用超)。なお、上記の為替差損につきましては、円安を背景とした売上総利益の増益とトレードオフの関係にあります
⑥ 経常利益
上記の結果、当連結会計年度における経常利益は前期比24.5%増加の3,600百万円となりました。
⑦ 特別利益、特別損失
第1四半期連結累計期間より連結子会社化した国内連結子会社の株式取得、事業譲受に伴う負ののれん発生益839百万円、及び投資有価証券清算分配金110百万円を特別利益に計上した一方、その他特別損失として104百万円を計上いたしました。
⑧ 当期純利益
税金等調整前当期純利益4,509百万円から法人税等1,293百万円、国内及び海外連結子会社4社における少数株主利益70百万円を差引き、当連結会計年度における当期純利益は前期比119.8%増加の3,144百万円となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループをとりまく事業環境は、国内では消費税増税前の駆け込み需要の反動が予想されるものの、円安効果により輸出採算が改善した自動車産業、及び急速な市場拡大を遂げたスマートフォン・タブレット端末向け需要が底堅く推移するものと見込まれます。海外においてはウクライナ情勢や、中国等新興国における景気減速等の懸念材料がありますが、米国経済を中心に総じて回復傾向で推移し非鉄需要を押し上げるものと見込まれます。
このような環境において、当社グループにおいては円安継続に伴う輸出取引、及び海外での需要増を取り込む形での海外取引の増加が見込まれる一方、レアメタル・レアアースの取扱いについては、取引先における在庫調整一巡と、ハイブリッド車の需要増加等により底を打ち、回復に転じるものと見込んでおります。また本年4月に持分法適用関連会社化したケィ・マック株式会社の持分法投資利益が来期の連結経常利益に大きく貢献する見込みであります。なお、当期純利益につきましては当連結会計年度において国内連結子会社の株式取得及び事業譲受に伴う負ののれん発生益839百万円という一時的な増益があったため前期比減益を見込んでおります。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループは中期経営計画に掲げる「連結ベースでの企業価値向上と持続的成長」の実現に向けて以下の施策を推進しております。
(営業収益力の強化)
①電子材料分野
高成長ビジネスとして位置づける電子材料分野(結晶材料、金属粉末、液晶・電池材料、半導体関連素材、機能化学品等)、及びレアメタル・レアアースを取扱う電子・機能材事業のグローバル市場での強化をはかっており、原料(レアメタル・レアアース)から製品(電子・機能材)までを網羅する一大勢力を築き、強固な収益体制を目指します。
②環境対応関連分野
太陽電池、燃料電池、エコカー、及び環境対応ディーゼル等の各種素材、並びに省エネとして脚光を浴びるLED用素材の取扱いを拡大しております。また連結子会社における非鉄金属スクラップの国内ヤードオペレーションに加え、レアメタル・レアアースのリサイクル事業をグローバルに展開いたします。
③海外事業展開
急成長する新興国を中心とした海外需要を取り込むべく、引続き海外ネットワークの整備・拡充を進めており、当社グループにおける海外ネットワークは11法人16拠点に拡大しております。今後はさらにインド、インドネシア、及び中南米等へ新たな拠点設立を推進してまいります。
(投資案件の推進)
①M&A
業容拡大の柱として、国内外におけるM&Aを積極的に推進しております。M&Aは短期間での連結利益獲得と当社グループとのシナジーによる新たな商流の創出につながっております。当連結会計年度は、精密研削加工部品の製造を手掛ける大羽精研株式会社の株式を取得、連結子会社化いたしました。また前連結会計年度に連結子会社化いたしましたUNIVERTICAL HOLDINGS INC.及び大阪アルミセンター株式会社の収益が当連結会計年度の当社グループの連結経営成績に寄与いたしました。今後も引続き非鉄金属を中心に鉄鋼、化学品を含む製造業、流通業、リサイクル分野等のM&Aを推進し、非鉄金属専門商社の枠組みを越えた事業展開を推進してまいります。
②事業投資
当社は、新たな商流の創出、資源確保を目的として国内外にて事業投資をおこなっております。当連結会計年度末においては持分法適用関連会社3社を含む29社に事業投資をしており、今後も国内外における金属・化学品分野の加工、販売授業への投資並びに合弁事業設立推進します。またレアメタル・レアアース等の鉱山・製錬事業への投資による資源確保分野を目指してまいります。
なお、平成26年3月期の連結業績をふまえ、新たに数値目標を刷新した平成29年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、引き続き積極的にM&Aや事業投資を実施し業容拡大を図る一方、経営環境の変化にすばやく対応でき、安定収益と持続的成長を可能とする事業基盤を確立してまいります。具体的な数値目標及びその施策につきまししては「第2事業の状況、3.対処すべき課題、(2)当面の対処すべき課題の内容等」をご参照ください。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
「第2 事業の状況、1 業績等の概要、(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、当社グループを取り巻く事業環境を鑑みますと、国内における製造業全般の成長鈍化や工場の海外移転、メーカー間での事業統合を含めた合従連衡、中国をはじめとする資源ナショナリズムの台頭、非鉄金属相場の高騰がもたらす代替商品の開発等が予想を超えるスピードで進むことにより当社グループが収益機会を逸することが懸念されます。
これらの問題に対応するため、当社グループは高い専門性を持つ人材の育成に努めるとともに、常にアンテナを高くして顧客ニーズを先取りし、「新たな素材へ」「新たな市場へ」「新たなサービスへ」「新たな分野へ」をモットーに挑戦し続けることで業容拡大を図り、企業価値を向上させることにより、ステークホルダー(株主、取引先、従業員、地域社会)との良好な関係を維持することが可能となり、結果として当社グループのプレゼンスを向上できるものと確信しております。