有価証券報告書-第89期(2024/04/01-2025/03/31)
(2)戦略
(事業のリスクと機会)
気候変動による世界的な平均気温の4℃上昇が社会に及ぼす影響は甚大であると認識し、気温上昇を1.5℃以下に抑制することをめざす取り組みへの貢献が重要であると考えています。2℃以下シナリオ(1.5℃目標)への対応力を強化すべく、気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し、戦略の策定を進めています。
当社グループは、フィンテックを中心に、イベント、グッズ、サービス、共創投資、事業開発、 そして人・組織・働き方など、すべてを通じて「好き」を応援するビジネスを推進していきます。気候変動は、台風・豪雨等の水害による店舗・施設等への被害や規制強化にともなう炭素税の導入による費用の増加等のリスクが考えられます。一方、消費者の環境意識の向上に対応した商品・サービスの提供や環境配慮に取り組む企業への投資は当社グループのビジネスの機会であるととらえています。
(財務的影響の分析・算定)
事業への財務的影響については、気候変動シナリオ等に基づき分析し2050年までの期間内に想定される利益への影響額として項目別に算定しています。リスクについては、物理的リスクとして、気温上昇が1.5℃以下に抑制されたとしても急性的に台風・豪雨等での水害が発生しうると予測しています。店舗の営業休止による不動産賃貸収入等への影響(約19億円)および建物被害(約30億円)、被災地におけるクレジットカードの貸倒率上昇によるコスト影響(約0.5億円) を算定しています。移行リスクとしては、将来のエネルギー関連費用の増加を予測し、再生可能エネルギーの調達コストの増加(約8億円)および炭素税導入による増税(約22億円)を算定しています。機会については、環境意識が高い消費者へのライフスタイル提案による店舗収益への影響(約19億円)およびカード会員の増加による長期的収益(約26億円)、環境配慮に取り組む企業への投資によるリターン(約9億円)を算定しています。カード会員の再生可能エネルギー電力の利用によりリカーリングが増加しゴールドカード会員化につながることでの長期的収益(約20億円)、業界平均を下回る低貸倒率を維持する独自の与信システムにより、災害時の貸倒償却額を抑制(約0.2億円)、電力小売事業への参入による調達コストの削減(約3億円)および炭素税の非課税(約22億円)を算定しています。今後もさまざまな動向を踏まえ定期的に分析し、評価の見直しと情報開示の充実を進めていきます。
(前提要件)
(気候変動によるリスクおよび機会)
※ 1 ハザードマップに基づき影響が最も大きい河川(荒川)の氾濫を想定(流域の2店舗に3カ月の影響)
※ 2 バックアップセンター設置済みのため利益影響は無いと想定
※ 3 不動産賃貸収入の増加およびクレジットカード利用の増加
※ 4 クレジットカードの新規入会や利用による収益を算定
※ 5 リカーリング等でのゴールドカード会員の増加による収益を算定
(事業のリスクと機会)
気候変動による世界的な平均気温の4℃上昇が社会に及ぼす影響は甚大であると認識し、気温上昇を1.5℃以下に抑制することをめざす取り組みへの貢献が重要であると考えています。2℃以下シナリオ(1.5℃目標)への対応力を強化すべく、気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し、戦略の策定を進めています。
当社グループは、フィンテックを中心に、イベント、グッズ、サービス、共創投資、事業開発、 そして人・組織・働き方など、すべてを通じて「好き」を応援するビジネスを推進していきます。気候変動は、台風・豪雨等の水害による店舗・施設等への被害や規制強化にともなう炭素税の導入による費用の増加等のリスクが考えられます。一方、消費者の環境意識の向上に対応した商品・サービスの提供や環境配慮に取り組む企業への投資は当社グループのビジネスの機会であるととらえています。
(財務的影響の分析・算定)
事業への財務的影響については、気候変動シナリオ等に基づき分析し2050年までの期間内に想定される利益への影響額として項目別に算定しています。リスクについては、物理的リスクとして、気温上昇が1.5℃以下に抑制されたとしても急性的に台風・豪雨等での水害が発生しうると予測しています。店舗の営業休止による不動産賃貸収入等への影響(約19億円)および建物被害(約30億円)、被災地におけるクレジットカードの貸倒率上昇によるコスト影響(約0.5億円) を算定しています。移行リスクとしては、将来のエネルギー関連費用の増加を予測し、再生可能エネルギーの調達コストの増加(約8億円)および炭素税導入による増税(約22億円)を算定しています。機会については、環境意識が高い消費者へのライフスタイル提案による店舗収益への影響(約19億円)およびカード会員の増加による長期的収益(約26億円)、環境配慮に取り組む企業への投資によるリターン(約9億円)を算定しています。カード会員の再生可能エネルギー電力の利用によりリカーリングが増加しゴールドカード会員化につながることでの長期的収益(約20億円)、業界平均を下回る低貸倒率を維持する独自の与信システムにより、災害時の貸倒償却額を抑制(約0.2億円)、電力小売事業への参入による調達コストの削減(約3億円)および炭素税の非課税(約22億円)を算定しています。今後もさまざまな動向を踏まえ定期的に分析し、評価の見直しと情報開示の充実を進めていきます。
(前提要件)
対象期間 | 2020年~2050年 |
対象範囲 | 丸井グループの全事業 |
算定要件 | 気候変動シナリオ(IPCC・IEA等)に基づき分析 |
項目別に対象期間内に想定される利益影響額を算定 | |
リスクは事象が発生した際の影響額で算定 | |
機会は原則、長期的な収益(LTV)で算定 | |
公共事業等のインフラ強化やテクノロジーの進化等は考慮しない |
(気候変動によるリスクおよび機会)
世の中の変化 | 丸井グループのリスク | リスクの内容 | 利益影響額 | |
物 理 的 リ ス ク | 台風・豪雨等による水害※1 | 店舗の営業休止 | 営業休止による不動産賃貸収入等への影響 | 約19億円 |
浸水による建物被害(電源設備等の復旧) | 約30億円 | |||
システムセンター の停止 | システムダウンによるグループ全体の営業活動休止 | 対応済※2 | ||
貸倒コストへの 影響 | 被災地におけるクレジットカードの貸倒率上昇 | 約0.5億円 | ||
移 行 リ ス ク | 再エネ需要の 増加 | 再エネ価格の上昇 | 再エネ調達によるエネルギーコストの増加 | 約8億円 (年間) |
政府の 環境規制の強化 | 炭素税の導入 | 炭素税による増税 | 約22億円 (年間) |
世の中の変化 | 丸井グループの機会 | 機会の内容 | 利益影響額 | |
機会 | 環境意識の向上・ ライフスタイルの変化 | サステナブルな ライフスタイルの提案 | 環境配慮に取り組むテナント導入等による収益 | 約19億円 ※3 |
サステナブル志向の高いカード会員の増加 | 約26億円 ※4 | |||
環境配慮に取り組む企業への投資によるリターン | 約9億円 | |||
一般家庭の再エネ需要 への対応 | カード会員の再エネ電力利用による収益 | 約20億円 ※5 | ||
台風・豪雨等 による水害 | 低貸倒率により 抑えられた 貸倒の回避額 | 独自の与信システムにより業界平均を下回る低貸倒率により、災害時の最終貸倒償却額を少額に抑制 | 約0.2億円 | |
電力調達の 多様化 | 電力小売事業への参入 | 電力の直接仕入れによる中間コストの削減 | 約3億円 (年間) | |
政府の 環境規制の強化 | 炭素税の導入 | 温室効果ガス排出量ゼロの達成による炭素税非課税 | 約22億円 (年間) |
※ 1 ハザードマップに基づき影響が最も大きい河川(荒川)の氾濫を想定(流域の2店舗に3カ月の影響)
※ 2 バックアップセンター設置済みのため利益影響は無いと想定
※ 3 不動産賃貸収入の増加およびクレジットカード利用の増加
※ 4 クレジットカードの新規入会や利用による収益を算定
※ 5 リカーリング等でのゴールドカード会員の増加による収益を算定