有価証券報告書-第100期(2024/03/01-2025/02/28)
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方
イオンが目指す企業のあり方
イオンは創業以来、お客さま志向に徹し、お客さまや地域社会への限りない貢献、そして従業員の幸せの実現こそが小売業の永遠の使命であるとの信念を貫いてきました。
こうした価値観に基づき、イオンは「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」ことを基本理念に定め、全ての企業活動の指針としてきました。
この基本理念にあるように、イオンは、小売業が平和産業であり、人間産業であり、地域産業であると信じ、その使命を果たす企業集団として永続するために、お客さまを原点に絶えず革新し続けてゆきます。
平和は、戦争や災害からの復興にしても、平穏な生活の維持・増進にしても、能動的で意識的な関与なしにはもたらされません。こうした思いの原点には、岡田卓也名誉会長相談役の実体験があります。戦後、チラシを手にして店頭に並ばれたお客さまが「戦争が本当に終わったんだな」と涙された姿を見て、小売業の存在こそが平和の象徴であると実感したと言います。そこから、小売業が成り立つためには平和が大前提であり、小売業は平和の維持に貢献していかねばならないと決意したのです。
平和とは、戦争や暴力がないというだけに止まりません。心の安寧に加えて、戦争や災害さらにはさまざまな不幸から立ち上がり、乗り越える力をも含むものです。21世紀になっても戦争は止まず、大震災や異常気象などの自然災害が頻発しています。今こそ平和の価値があらためて問い直されています。平和はそのままで与えられるものではありません。平和は、わたしたちが能動的で意識的に関与することによってはじめて保たれるのです。
イオンは平和に反することは決して行いません。また、そうした行為や活動には与しません。イオンが目指すのは積極的な平和への貢献です。
人間に関しては、一人ひとりを信じ、尊重することで、その人の能力や思いが花開き、さらに人とつながることによって、より幸福な状態が生じます。
岡田名誉会長は、小売業を「人間くさい産業」と呼びました。それは「人の道」を重んじること、すなわち人間を尊重することです。個性、尊厳、自律性の尊重は言うまでもありません。それに加えて、人間が持つ可能性を信じ、仕事や学びを通じて成長し、よりよく人間的になることを後押しすることでもあります。人間はひとりで成長することは困難です。「人とのつながり」のなかで、他者とともによりよく人間的になっていくのです。それは幸福の実現であるとともに、人の間にある規範を求めるものでもあります。小売業は人々の幸福と規範の産業なのです。
地域もまた、地域ごとの多様性と自立性に敬意を払い、その特有のニーズに応え、手入れをし続けることによってはじめて豊かなコミュニティが実現します。
小売業はもともと地域に根ざした産業であり、地域とともに繁栄するものです。地域やそこにおけるコミュニティの豊かさを守っていくためには、不断に手入れを怠らないことが必要です。それは、小売業の重要な使命のひとつなのです。これからはますます、地域やコミュニティの重要性が増していきます。イオンは、地域に特有の産品を発展させ、地域の人々の豊かな暮らしを促進し、地域やコミュニティの繁栄に能動的に貢献してゆきます。
イオンが目指しているのは、こうした平和への積極的な関与・人間の幸福と規範の下支え・地域の繁栄への貢献です。それが「お客さまを原点に」、すなわちお客さまを第一にするということの重要な基盤なのです。
お客さまを第一にするということは、自分第一ではない、つまり自分たちの都合で考え、動くのではないということです。その反対に、常にお客さまを第一に考え、誠実に行動すること、これがイオンの基本です。これを自分を映す鏡とし、すべてのイオンピープルのあらゆる判断と行動の基準とします。ややもすれば自社や自分にとって有利なこと、都合が良いことに流されがちになりますが、そうした傾向を断固否定し、乗り越えてゆくことが求められています。
そのためには、イオンは革新し続ける企業集団でなければなりません。
企業にとって、成長し存続し続けることは最重要の課題です。しかし、革新し続けることなくしては、企業は衰退し滅亡してしまいます。たとえ現状を続けることが安定的で楽なことであっても、それに安住せず、常に自らを変えていかなければなりません。そして、革新し続けるためには、お客さまの変化やさまざまな社会の変化について、常に先を見る先見性や洞察力が必要です。イオンピープルの一人ひとりは、お客さまの生活や社会が求めるものの進化と変化を先取りしてゆく所存です。
家業から企業へ、そして産業へとイオンは変貌してきました。もともとダイナミックな企業文化を備えているのです。何よりも恐れているのは、ますます激しくなっていく変化の中で、求められる革新や企業家精神を失い、大企業に特有の停滞に陥っていくことです。変化することのない、現状のままが続くような静的な均衡は続きません。より新しい革新に取って代わられないためには、イオンが最大かつ最先端の革新者であり続けるしかありません。それは創業の精神を保持することで常に刷新し続け、時代を先取りした組織であるという覚悟なのです。
イオンは、以上のことの浸透と実践を通じて、平和、人間、地域の維持と発展に貢献しうると信じて、行動してゆきます。
このような認識の下、イオンの基本理念や革新のDNAを基盤とした長期的な視野に立った経営を、時代を超えて継続していくために、イオンのコーポレートガバナンスにおいて重視すべき価値観、経営姿勢、企業統治の基本的な考え方を、以下に示す「コーポレートガバナンスにおける基本姿勢」として定め、これを中核とした「コーポレートガバナンス基本方針」を制定し公表しています。
≪ コーポレートガバナンスにおける基本姿勢 ≫
1. お客さま基点、現場主義による価値創造
お客さまの幸福感の実現を最大の企業使命として、お客さまとの接点である現場主義を貫き、常にお客さま基点で考えることで、変化するお客さまのニーズに対応した最適な価値創造を追求します。
2. 最大の経営資源である人間の尊重
人間こそが最大の経営資源であるとの信念に基づき、従業員を尊重し、多様性を重視し、教育機会を積極的に提供することで従業員が自己成長に努め、強い絆で結ばれ、お客さまへの貢献を至上の喜びとする従業員で構成された企業を目指します。
3. 地域社会とともに発展する姿勢
地域社会の一員、心を持った企業市民として、同じ地域社会の参加者であるお客さま、従業員、株主、取引先とともに発展し、地域社会の豊かさ、自然環境の持続性、平和に貢献することを目指します。
4. 長期的な視野と絶えざる革新に基づく持続的な成長
お客さま、地域社会の期待に応え続けるために、変化する経営環境に対応するための絶えざる革新に挑戦することで、長期的な視野に立った価値創造を伴う持続的な成長と、グループ全体の継続的な価値向上を志向する経営に努めます。
5. 透明性があり、規律ある経営の追求
お客さま、ステークホルダーとの積極的な対話に努め、評価を真摯に受け止め、常に自らを律することで、透明性と規律がある経営を追求します。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
当社は、指名委員会等設置会社であり、取締役会、監査委員会、指名委員会、報酬委員会を設置しています。
1) 「指名委員会等設置会社」形態を採用する理由
当社は、グループ全体を視野に入れた基本理念に基づく経営、透明かつ持続性と安定性を持った経営、お客さまを原点とした絶えざる革新、これらを実践するための最適な企業統治体制として、指名委員会等設置会社を選択しています。指名委員会等設置会社は、当社にとって現時点における最適な経営統治形態であると判断しています。
2) 業務執行の仕組み
当社は指名委員会等設置会社であるため、取締役会が執行役に業務執行の執行権限を大幅に委譲し、迅速な意思決定を行う体制をとっています。取締役会の決議により執行役に委任された事項のうち、重要な業務執行方針や重要案件については、代表執行役をはじめとする経営幹部で構成する「イオン・マネジメントコミッティ」で審議・決定することとしています。
3) 設置機関の概要
(注)社外取締役 キャリー ユー氏の登記上の氏名は、「キャリー イップ」となります。
<コーポレート・ガバナンス体制 模式図>
4) 取締役会及び各委員会の活動状況
i 取締役会の活動状況
当事業年度は取締役会を7回開催し、各取締役の出席率は100%です。
個々の取締役の出席状況は次のとおりです。
(注)1 土谷 美津子氏の出席状況は、当事業年度での取締役就任以降の出席状況です。
2 リシャール コラス氏の出席状況は、当事業年度での取締役就任以降の出席状況です。
取締役会では会社法等に定められた決議や報告事項に加え、当社の持続的な成長と企業価値の向上を目指し、長期的な視点から経営に関する重要事項について活発な議論を行いました。2024年度はグループ事業ポートフォリオ改革における具体的な対応策や、リスク及びコンプライアンス問題について深く議論しました。
また、取締役会を補完する関連会議を通じて、中期経営計画の主要政策に関する重要な議論を行いました。これらは、事前説明会や月次レポートを通じた幅広い情報共有及び進捗状況のフォローアップが効果的に機能し、取締役会での充実した議論につながっています。
さらに、社外取締役による国内・外のグループ事業の視察機会を充実させ、既成概念に縛られない多様な視点を取り入れ、中長期的な観点から取締役会の議論に反映させています。2025年度は、新たな中期経営計画につなげる最終年度であるため、2024年度の議論をさらに深化させるとともに、取締役会の実効性を一層向上させてまいります。
ⅱ 監査委員会の活動状況
当事業年度は監査委員会を8回開催し、各委員の出席率は100%です。
個々の委員の出席状況は次のとおりです。
(注)1 リシャール コラス氏の出席状況は、当事業年度での監査委員就任以降の出席状況です。
監査委員会における主な決議事項は、年度の監査方針、監査報告書の作成、会計監査人の再任、会計監査人の報酬同意等です。さらに、会計監査人の監査計画・四半期レビュー報告、経営監査室の監査報告、執行部門によるリスクマネジメントの取り組み、内部通報制度の運用状況、お客さまの声への対応状況、財務・経理の状況等について報告を受け、執行役の職務執行の状況と内部統制のシステムに関する理解を深めるための対話を行っております。加えて、会計監査人の独立性を確保するため、非保証業務提供に関し、IESBA(国際会計士倫理基準審議会)の基準に従い、会計監査人等の非保証業務提供に関する事前了解の基本方針に則り、適切に運用されていることを確認しています。
ⅲ 指名委員会の活動状況
当事業年度は指名委員会を3回開催し、各委員の出席率は100%です。
個々の委員の出席状況は次のとおりです。
新任取締役候補者の選任、株主総会に提出する取締役選任議案について審議・決定を行いました。また、取締役の適正人数や構成、サクセッションについて議論を行いました。
ⅳ 報酬委員会の活動状況
当事業年度は報酬委員会を3回開催し、各委員の出席率は100%です。
個々の委員の出席状況は次のとおりです。
2024年度業績報酬支給額及び株式報酬型ストックオプション発行数の審議・決定、2025年度の取締役及び執行役の報酬の審議・決定、グループ役員報酬ガイドラインの改定について審議を行いました。
③ 企業統治に関するその他の事項等
1) 当社の内部統制システムの状況
当社は、全てのステークホルダーに対する責任を果たすことを目的に、経営の透明性、公正性を担保し、持続的で安定的な経営の実践に努めています。これらを支える仕組みとしての内部統制に係る体制整備やコンプライアンス、リスクマネジメントの進化に常に取り組んでいます。
内部統制システムの整備にあたっては、まずその基盤となる企業倫理推進体制の強化に取り組んでいます。グループ全従業員に対して、イオンが共有する日常行動の基本的な考え方や判断基準の周知徹底をはかるとともに、コンプライアンス意識の向上やイオンの基本理念の共有を目的とした研修を継続して実施しています。
また、法令や倫理規定に違反する行為の未然防止及び早期発見を目的に、当社及び社外の連絡先を窓口とするグループとしての内部通報窓口を設置しています。通報・相談内容に対しては、関連部署が調査確認し是正・再発防止策を講じています。
内部統制全体の整備・運用状況については内部監査部門が監視し、イオン・マネジメントコミッティ及び監査委員会に報告しています。
2) リスク管理体制の整備の状況
リスク管理体制については、リスクマネジメント管掌を配置し、リスクマネジメント委員会を開催しています。同委員会では、リスクアセスメント等により優先順位の高いリスクを抽出したうえで、対応及びその効果について進捗管理を実施しています。
反社会的勢力の排除に向けては、取引を含め、防犯規程等の社内規程の整備や調査を実施し捜査機関等との緊密な連携を通じ、組織として対応しています。
3) 会社の支配に関する基本方針
i 基本理念に基づく経営の実践
イオンは、基本理念に基づく長期的な視点での地域や社会と共生する経営、広範かつ複合的な事業展開が、グループ全体の企業価値向上に資するとの考え方を基本としており、基本理念に賛同し、その具現化に向けた経営を志向する真摯な提案であれば、歓迎します。一方で、基本理念にそぐわない経営方針への変更は、グループへ与える影響が大きく、同時に地域社会への影響も懸念され慎重な対応が求められます。
経営方針の変更に関しては、90万人を超える株主の皆さまが適切にご判断いただけるよう、十分かつ正確な情報と時間の確保が必要であると考えます。加えて、地域のインフラ機能の役割を果たすための責任があります。
グループの経営にあたっては、多くのステークホルダーとの間に築かれた関係、財務資本のみならず、人的資本、社会・関係資本、自然資本等の価値を十分にご理解いただきたいと考えております。
ⅱ 大量株式取得が行われた場合の対応方針の内容
この対応方針は、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株式等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株式等の買付行為(以下、このような買付行為を「大量株式取得」といい、大量株式取得を行い又は行おうとする者を「大量株式取得者」といいます。)に関する対応方針であり、情報提供に関するルールと当社による対抗措置の発動をその内容とします。
情報提供に関するルールとは、①大量株式取得者は当社取締役会に対して大量株式取得に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならず、②当社取締役会が当該情報を検討するために必要である一定の評価期間が経過した後にのみ、大量株式取得者は大量株式取得を開始することができるというものです。
大量株式取得者がルールを遵守しない場合、当社取締役会は、当社及び当社株主全体の利益を守ることを目的として、新株予約権の無償割当て又はその他法律及び当社定款により認められる対抗措置により、当該大量株式取得に対抗する場合があります。具体的にいかなる手段を講じるかについては、その時点で最も適切と当社取締役会が判断したものを選択します。
当社取締役会は、ルールの透明・公平な運用のために大量株式取得者から大量取得に向けた意向表明書を受領し次第、独立委員会を設置、独立委員会は、株主全体の利益を損なうものかどうか等について総合的に評価・判断を行い、その意見及び理由を当社取締役会に提出します。当社取締役会は、独立委員会の意見を最大限尊重し、さらに弁護士、公認会計士を含む外部専門家等の助言を受け、当社取締役会としての評価、判断及び意見等を慎重にとりまとめ、公表します。
大量株式取得者がルールを遵守した場合は、原則として当社は当該大量株式取得に対する対抗措置は取りません。但し、当社取締役会又は独立委員会において、当該大量株式取得が「当社株主全体の利益を著しく損なうもの」に該当するとの評価に至った場合は、大量株式取得者が本件ルールを遵守しない場合に準じます。
なお、ルールを含む本件方針は、定期的な見直しを行うために、2027年に開催予定の定時株主総会の終結時までとしています。本件方針の廃止について特段の制約は設けていません。当社取締役会が、本件方針の内容について当社株主の皆さまに実質的に影響を与えるような変更を行う場合には、改めて当社株主総会に付議し株主の皆さまのご判断を仰ぎます。
(注) 1 特定株主グループとは、
(1) 当社の株式等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等をいいます。)の保有者(同法第27条の23第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。以下同じとします。)及びその共同保有者(同法第27条の23第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。)または、
(2) 当社の株式等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の買付け等(同法第27条の2第1項に規定する買付け等をいい、取引所金融商品市場において行われるものを含みます。)を行う者及びその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)を意味します。
2 議決権割合とは、
(1) 特定株主グループが、注1の(1)記載の場合は、当該保有者の株式等保有割合(金融商品取引法第27条の23第4項に規定する株券等保有割合をいいます。この場合においては、当該保有者の共同保有者の保有株式等の数(同項に規定する保有株券等の数をいいます。)も加算するものとします。)または、
(2) 特定株主グループが、注1の(2)記載の場合は、当該大量株式取得者及び当該特別関係者の株式等保有割合(同法第27条の2第8項に規定する株券等所有割合をいいます。)の合計をいいます。
各株式等保有割合の算出にあたっては、総議決権(同法第27条の2第8項に規定するものをいいます。)及び発行済株式の総数(同法第27条の23第4項に規定するものをいいます。)は、有価証券報告書、半期報告書、四半期報告書及び自己株券買付状況報告書のうち直近に提出されたものを参照することができるものとします。
3 「当社株式等」とは、金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等を意味します。
「大量株式取得者」とは、あらかじめ当社取締役会が同意したものを除き、また市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。
4 「当社株主全体の利益を著しく損なうもの」とは、大量株式取得者が、①真に会社経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で株式を会社関係者に引き取らせる目的で当社株式の買収を行っている場合、②会社経営を一時的に支配して当社の事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客等を当該大量株式取得者等に移譲させる等、いわゆる焦土化経営を行う目的で当社株式の買収を行っている場合、③会社経営を支配した後に、当社の資産を当該大量株式取得者等の債務の担保や弁済原資として流用する予定で当社株式の買収を行っている場合、④会社経営を一時的に支配して当社の事業に当面関係していない不動産、有価証券等高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って株式の高価売り抜けをする目的で当社株式の買収を行っている場合、⑤大量株式取得者の提示する当社株式買取方法が、2段階目の株式買取条件を1段階目よりも不利に設定する態様の2段階買取方式である場合、その他、株主の判断の機会または自由を制約し、事実上、株主に当社株式等の不利な売却を強要するおそれがあると判断される場合、⑥大量株式取得者の提示する対価が株主にとって著しく不利益またはハイリスクとなりうるオプション権である等、当社株式買付に関連する取引の仕組み、取得方法が株主共同の利益の観点から著しく不当である場合、⑦大量株式取得者の経営陣または主要株主に「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」第2条の定める暴力団、暴力団員等の反社会的勢力と関係を有する者が含まれている場合等、大量株式取得者が公序良俗の観点から当社の支配株主として不適切であると客観的かつ合理的な根拠をもって判断される場合を想定しています。
ⅲ 本件対応方針についての基本方針等との整合性に係る取締役会の判断
イオンは、経営方針の変更に際しては、株主の皆さまのために充分な情報提供や検討期間の確保を行う必要があること、経営方針の変更による地域社会への影響等、多くの議論を経て、2024年4月10日開催の当社取締役会において全員一致により決定の上、「当社株式の大量取得行為に関わる対応方針の承認の件」を2024年5月29日開催の第99期定時株主総会に付議し、株主の皆さまの承認を得ております。また、2025年4月11日開催の当社取締役会においても改めて本件対応方針について、総合的に評価を行いました。
独立社外取締役が過半数である当社取締役会は、上記対応方針は、基本方針及び当社の株主の共同の利益に沿うものであり、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しています。
4) その他
i 責任限定契約の概要
当社は、社外取締役として有用な人材を迎えることができるよう、社外取締役の各氏と、会社法第423条第1項 の責任につき、社外取締役の各氏が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、当社に対して賠償すべき額は、金1,500万円または法令の定める額のいずれか高い金額を限度とし、この限度を超える社外取締役の損害賠償義務を免除する旨の責任限定契約を締結しています。
ⅱ 役員等賠償責任保険契約の概要
イ 被保険者の範囲
当社の取締役、執行役及び一部の国内子会社の取締役、監査役、執行役員等
ロ 保険契約の概要
当社は、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険(D&O保険)契約を保険会社との間で締結しています。被保険者が会社の役員等の地位に基づき行った行為(不作為を含みます。)に起因して損害賠償請求がなされたことにより被保険者が被る損害賠償費用、訴訟費用等が補填されることになります。
ただし、当該保険契約では免責額を設け当該免責額までの損害は補填の対象としておりません。なお、保険料は全額会社負担としています。
ⅲ 取締役の定数
当社の取締役は12名以内とする旨を定款で定めております。
ⅳ 取締役の選任決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款で定めております。ただし、取締役の選任は累積投票によらないものとしております。
ⅴ 剰余金の配当等の決定機関
当社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議により定める旨を定款で定めております。
ⅵ 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的として、会社法第309条第2項に定める特別決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上にあたる多数をもって行う旨定款に定めております。
ⅶ 親子上場に関する考え方
当社では、子会社の経営の自主性・独自性を重視し、分権制によるグループ経営を実践することで、当社グループ全体の企業価値が向上するものと考え、各事業の核となる主要な連結子会社21社(国内16社、海外5社)が証券市場に株式を上場する親子上場の経営体制を敷いています。上場の可否については、特に事業・地域の特性を踏まえた自律的経営により持続的な成長が促進され、資本市場の規律によりその経営の質が向上すると見込まれるかどうかを、個社ごとに十分に検討したうえで決定しております。また、その独立性や少数株主保護の観点から、上場子会社に対し独立社外取締役の選任や独立役員による諮問委員会の設置を要請する等、構造的な利益相反リスクの軽減と上場子会社のガバナンス体制の実効性確保に努めております。
① コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方
イオンが目指す企業のあり方
イオンは創業以来、お客さま志向に徹し、お客さまや地域社会への限りない貢献、そして従業員の幸せの実現こそが小売業の永遠の使命であるとの信念を貫いてきました。
こうした価値観に基づき、イオンは「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。」ことを基本理念に定め、全ての企業活動の指針としてきました。
この基本理念にあるように、イオンは、小売業が平和産業であり、人間産業であり、地域産業であると信じ、その使命を果たす企業集団として永続するために、お客さまを原点に絶えず革新し続けてゆきます。
平和は、戦争や災害からの復興にしても、平穏な生活の維持・増進にしても、能動的で意識的な関与なしにはもたらされません。こうした思いの原点には、岡田卓也名誉会長相談役の実体験があります。戦後、チラシを手にして店頭に並ばれたお客さまが「戦争が本当に終わったんだな」と涙された姿を見て、小売業の存在こそが平和の象徴であると実感したと言います。そこから、小売業が成り立つためには平和が大前提であり、小売業は平和の維持に貢献していかねばならないと決意したのです。
平和とは、戦争や暴力がないというだけに止まりません。心の安寧に加えて、戦争や災害さらにはさまざまな不幸から立ち上がり、乗り越える力をも含むものです。21世紀になっても戦争は止まず、大震災や異常気象などの自然災害が頻発しています。今こそ平和の価値があらためて問い直されています。平和はそのままで与えられるものではありません。平和は、わたしたちが能動的で意識的に関与することによってはじめて保たれるのです。
イオンは平和に反することは決して行いません。また、そうした行為や活動には与しません。イオンが目指すのは積極的な平和への貢献です。
人間に関しては、一人ひとりを信じ、尊重することで、その人の能力や思いが花開き、さらに人とつながることによって、より幸福な状態が生じます。
岡田名誉会長は、小売業を「人間くさい産業」と呼びました。それは「人の道」を重んじること、すなわち人間を尊重することです。個性、尊厳、自律性の尊重は言うまでもありません。それに加えて、人間が持つ可能性を信じ、仕事や学びを通じて成長し、よりよく人間的になることを後押しすることでもあります。人間はひとりで成長することは困難です。「人とのつながり」のなかで、他者とともによりよく人間的になっていくのです。それは幸福の実現であるとともに、人の間にある規範を求めるものでもあります。小売業は人々の幸福と規範の産業なのです。
地域もまた、地域ごとの多様性と自立性に敬意を払い、その特有のニーズに応え、手入れをし続けることによってはじめて豊かなコミュニティが実現します。
小売業はもともと地域に根ざした産業であり、地域とともに繁栄するものです。地域やそこにおけるコミュニティの豊かさを守っていくためには、不断に手入れを怠らないことが必要です。それは、小売業の重要な使命のひとつなのです。これからはますます、地域やコミュニティの重要性が増していきます。イオンは、地域に特有の産品を発展させ、地域の人々の豊かな暮らしを促進し、地域やコミュニティの繁栄に能動的に貢献してゆきます。
イオンが目指しているのは、こうした平和への積極的な関与・人間の幸福と規範の下支え・地域の繁栄への貢献です。それが「お客さまを原点に」、すなわちお客さまを第一にするということの重要な基盤なのです。
お客さまを第一にするということは、自分第一ではない、つまり自分たちの都合で考え、動くのではないということです。その反対に、常にお客さまを第一に考え、誠実に行動すること、これがイオンの基本です。これを自分を映す鏡とし、すべてのイオンピープルのあらゆる判断と行動の基準とします。ややもすれば自社や自分にとって有利なこと、都合が良いことに流されがちになりますが、そうした傾向を断固否定し、乗り越えてゆくことが求められています。
そのためには、イオンは革新し続ける企業集団でなければなりません。
企業にとって、成長し存続し続けることは最重要の課題です。しかし、革新し続けることなくしては、企業は衰退し滅亡してしまいます。たとえ現状を続けることが安定的で楽なことであっても、それに安住せず、常に自らを変えていかなければなりません。そして、革新し続けるためには、お客さまの変化やさまざまな社会の変化について、常に先を見る先見性や洞察力が必要です。イオンピープルの一人ひとりは、お客さまの生活や社会が求めるものの進化と変化を先取りしてゆく所存です。
家業から企業へ、そして産業へとイオンは変貌してきました。もともとダイナミックな企業文化を備えているのです。何よりも恐れているのは、ますます激しくなっていく変化の中で、求められる革新や企業家精神を失い、大企業に特有の停滞に陥っていくことです。変化することのない、現状のままが続くような静的な均衡は続きません。より新しい革新に取って代わられないためには、イオンが最大かつ最先端の革新者であり続けるしかありません。それは創業の精神を保持することで常に刷新し続け、時代を先取りした組織であるという覚悟なのです。
イオンは、以上のことの浸透と実践を通じて、平和、人間、地域の維持と発展に貢献しうると信じて、行動してゆきます。
このような認識の下、イオンの基本理念や革新のDNAを基盤とした長期的な視野に立った経営を、時代を超えて継続していくために、イオンのコーポレートガバナンスにおいて重視すべき価値観、経営姿勢、企業統治の基本的な考え方を、以下に示す「コーポレートガバナンスにおける基本姿勢」として定め、これを中核とした「コーポレートガバナンス基本方針」を制定し公表しています。
≪ コーポレートガバナンスにおける基本姿勢 ≫
1. お客さま基点、現場主義による価値創造
お客さまの幸福感の実現を最大の企業使命として、お客さまとの接点である現場主義を貫き、常にお客さま基点で考えることで、変化するお客さまのニーズに対応した最適な価値創造を追求します。
2. 最大の経営資源である人間の尊重
人間こそが最大の経営資源であるとの信念に基づき、従業員を尊重し、多様性を重視し、教育機会を積極的に提供することで従業員が自己成長に努め、強い絆で結ばれ、お客さまへの貢献を至上の喜びとする従業員で構成された企業を目指します。
3. 地域社会とともに発展する姿勢
地域社会の一員、心を持った企業市民として、同じ地域社会の参加者であるお客さま、従業員、株主、取引先とともに発展し、地域社会の豊かさ、自然環境の持続性、平和に貢献することを目指します。
4. 長期的な視野と絶えざる革新に基づく持続的な成長
お客さま、地域社会の期待に応え続けるために、変化する経営環境に対応するための絶えざる革新に挑戦することで、長期的な視野に立った価値創造を伴う持続的な成長と、グループ全体の継続的な価値向上を志向する経営に努めます。
5. 透明性があり、規律ある経営の追求
お客さま、ステークホルダーとの積極的な対話に努め、評価を真摯に受け止め、常に自らを律することで、透明性と規律がある経営を追求します。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
当社は、指名委員会等設置会社であり、取締役会、監査委員会、指名委員会、報酬委員会を設置しています。
1) 「指名委員会等設置会社」形態を採用する理由
当社は、グループ全体を視野に入れた基本理念に基づく経営、透明かつ持続性と安定性を持った経営、お客さまを原点とした絶えざる革新、これらを実践するための最適な企業統治体制として、指名委員会等設置会社を選択しています。指名委員会等設置会社は、当社にとって現時点における最適な経営統治形態であると判断しています。
2) 業務執行の仕組み
当社は指名委員会等設置会社であるため、取締役会が執行役に業務執行の執行権限を大幅に委譲し、迅速な意思決定を行う体制をとっています。取締役会の決議により執行役に委任された事項のうち、重要な業務執行方針や重要案件については、代表執行役をはじめとする経営幹部で構成する「イオン・マネジメントコミッティ」で審議・決定することとしています。
3) 設置機関の概要
| 名称 | 目的・権限 | 構成員 |
| 取締役会 | 当社の経営の意思決定機関として法定事項を決議するとともに、経営の基本方針並びに業務執行上の重要な事項を決定・承認し、取締役及び執行役の職務の遂行を監督 | 岡田 元也(取締役会議長、代表執行役会長) 吉田 昭夫 羽生 有希 土谷 美津子 塚本 隆史(社外取締役) ピーター チャイルド(社外取締役) キャリー ユー(社外取締役) 林 眞琴(社外取締役) リシャール コラス(社外取締役) |
| 監査委員会 | 取締役及び執行役の業務遂行の監査並びに監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定 | 林 眞琴(委員会議長) 塚本 隆史 キャリー ユー リシャール コラス |
| 指名委員会 | 株主総会に提出する取締役の選任及び解任に関する議案の決定 | 塚本 隆史(委員会議長) ピーター チャイルド 岡田 元也 |
| 報酬委員会 | 取締役及び執行役が受ける個人別の報酬に関する方針と内容等の決定 | 塚本 隆史(委員会議長) ピーター チャイルド 岡田 元也 |
(注)社外取締役 キャリー ユー氏の登記上の氏名は、「キャリー イップ」となります。
<コーポレート・ガバナンス体制 模式図>

4) 取締役会及び各委員会の活動状況
i 取締役会の活動状況
当事業年度は取締役会を7回開催し、各取締役の出席率は100%です。
個々の取締役の出席状況は次のとおりです。
| 氏名 | 出席回数/開催回数 | 出席率 |
| 岡田 元也 | 7 / 7 | 100% |
| 吉田 昭夫 | 7 / 7 | 100% |
| 羽生 有希 | 7 / 7 | 100% |
| 土谷 美津子 (注)1 | 6 / 6 | 100% |
| 塚本 隆史 | 7 / 7 | 100% |
| ピーター チャイルド | 7 / 7 | 100% |
| キャリー ユー | 7 / 7 | 100% |
| 林 眞琴 | 7 / 7 | 100% |
| リシャール コラス (注)2 | 6 / 6 | 100% |
(注)1 土谷 美津子氏の出席状況は、当事業年度での取締役就任以降の出席状況です。
2 リシャール コラス氏の出席状況は、当事業年度での取締役就任以降の出席状況です。
取締役会では会社法等に定められた決議や報告事項に加え、当社の持続的な成長と企業価値の向上を目指し、長期的な視点から経営に関する重要事項について活発な議論を行いました。2024年度はグループ事業ポートフォリオ改革における具体的な対応策や、リスク及びコンプライアンス問題について深く議論しました。
また、取締役会を補完する関連会議を通じて、中期経営計画の主要政策に関する重要な議論を行いました。これらは、事前説明会や月次レポートを通じた幅広い情報共有及び進捗状況のフォローアップが効果的に機能し、取締役会での充実した議論につながっています。
さらに、社外取締役による国内・外のグループ事業の視察機会を充実させ、既成概念に縛られない多様な視点を取り入れ、中長期的な観点から取締役会の議論に反映させています。2025年度は、新たな中期経営計画につなげる最終年度であるため、2024年度の議論をさらに深化させるとともに、取締役会の実効性を一層向上させてまいります。
ⅱ 監査委員会の活動状況
当事業年度は監査委員会を8回開催し、各委員の出席率は100%です。
個々の委員の出席状況は次のとおりです。
| 氏名 | 出席回数/開催回数 | 出席率 |
| 塚本 隆史 | 8 / 8 | 100% |
| キャリー ユー | 8 / 8 | 100% |
| 林 眞琴 | 8 / 8 | 100% |
| リシャール コラス (注)1 | 5 / 5 | 100% |
(注)1 リシャール コラス氏の出席状況は、当事業年度での監査委員就任以降の出席状況です。
監査委員会における主な決議事項は、年度の監査方針、監査報告書の作成、会計監査人の再任、会計監査人の報酬同意等です。さらに、会計監査人の監査計画・四半期レビュー報告、経営監査室の監査報告、執行部門によるリスクマネジメントの取り組み、内部通報制度の運用状況、お客さまの声への対応状況、財務・経理の状況等について報告を受け、執行役の職務執行の状況と内部統制のシステムに関する理解を深めるための対話を行っております。加えて、会計監査人の独立性を確保するため、非保証業務提供に関し、IESBA(国際会計士倫理基準審議会)の基準に従い、会計監査人等の非保証業務提供に関する事前了解の基本方針に則り、適切に運用されていることを確認しています。
ⅲ 指名委員会の活動状況
当事業年度は指名委員会を3回開催し、各委員の出席率は100%です。
個々の委員の出席状況は次のとおりです。
| 氏名 | 出席回数/開催回数 | 出席率 |
| 塚本 隆史 | 3 / 3 | 100% |
| ピーター チャイルド | 3 / 3 | 100% |
| 岡田 元也 | 3 / 3 | 100% |
新任取締役候補者の選任、株主総会に提出する取締役選任議案について審議・決定を行いました。また、取締役の適正人数や構成、サクセッションについて議論を行いました。
ⅳ 報酬委員会の活動状況
当事業年度は報酬委員会を3回開催し、各委員の出席率は100%です。
個々の委員の出席状況は次のとおりです。
| 氏名 | 出席回数/開催回数 | 出席率 |
| 塚本 隆史 | 3 / 3 | 100% |
| ピーター チャイルド | 3 / 3 | 100% |
| 岡田 元也 | 3 / 3 | 100% |
2024年度業績報酬支給額及び株式報酬型ストックオプション発行数の審議・決定、2025年度の取締役及び執行役の報酬の審議・決定、グループ役員報酬ガイドラインの改定について審議を行いました。
③ 企業統治に関するその他の事項等
1) 当社の内部統制システムの状況
当社は、全てのステークホルダーに対する責任を果たすことを目的に、経営の透明性、公正性を担保し、持続的で安定的な経営の実践に努めています。これらを支える仕組みとしての内部統制に係る体制整備やコンプライアンス、リスクマネジメントの進化に常に取り組んでいます。
内部統制システムの整備にあたっては、まずその基盤となる企業倫理推進体制の強化に取り組んでいます。グループ全従業員に対して、イオンが共有する日常行動の基本的な考え方や判断基準の周知徹底をはかるとともに、コンプライアンス意識の向上やイオンの基本理念の共有を目的とした研修を継続して実施しています。
また、法令や倫理規定に違反する行為の未然防止及び早期発見を目的に、当社及び社外の連絡先を窓口とするグループとしての内部通報窓口を設置しています。通報・相談内容に対しては、関連部署が調査確認し是正・再発防止策を講じています。
内部統制全体の整備・運用状況については内部監査部門が監視し、イオン・マネジメントコミッティ及び監査委員会に報告しています。
2) リスク管理体制の整備の状況
リスク管理体制については、リスクマネジメント管掌を配置し、リスクマネジメント委員会を開催しています。同委員会では、リスクアセスメント等により優先順位の高いリスクを抽出したうえで、対応及びその効果について進捗管理を実施しています。
反社会的勢力の排除に向けては、取引を含め、防犯規程等の社内規程の整備や調査を実施し捜査機関等との緊密な連携を通じ、組織として対応しています。
3) 会社の支配に関する基本方針
i 基本理念に基づく経営の実践
イオンは、基本理念に基づく長期的な視点での地域や社会と共生する経営、広範かつ複合的な事業展開が、グループ全体の企業価値向上に資するとの考え方を基本としており、基本理念に賛同し、その具現化に向けた経営を志向する真摯な提案であれば、歓迎します。一方で、基本理念にそぐわない経営方針への変更は、グループへ与える影響が大きく、同時に地域社会への影響も懸念され慎重な対応が求められます。
経営方針の変更に関しては、90万人を超える株主の皆さまが適切にご判断いただけるよう、十分かつ正確な情報と時間の確保が必要であると考えます。加えて、地域のインフラ機能の役割を果たすための責任があります。
グループの経営にあたっては、多くのステークホルダーとの間に築かれた関係、財務資本のみならず、人的資本、社会・関係資本、自然資本等の価値を十分にご理解いただきたいと考えております。
ⅱ 大量株式取得が行われた場合の対応方針の内容
この対応方針は、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株式等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株式等の買付行為(以下、このような買付行為を「大量株式取得」といい、大量株式取得を行い又は行おうとする者を「大量株式取得者」といいます。)に関する対応方針であり、情報提供に関するルールと当社による対抗措置の発動をその内容とします。
情報提供に関するルールとは、①大量株式取得者は当社取締役会に対して大量株式取得に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならず、②当社取締役会が当該情報を検討するために必要である一定の評価期間が経過した後にのみ、大量株式取得者は大量株式取得を開始することができるというものです。
大量株式取得者がルールを遵守しない場合、当社取締役会は、当社及び当社株主全体の利益を守ることを目的として、新株予約権の無償割当て又はその他法律及び当社定款により認められる対抗措置により、当該大量株式取得に対抗する場合があります。具体的にいかなる手段を講じるかについては、その時点で最も適切と当社取締役会が判断したものを選択します。
当社取締役会は、ルールの透明・公平な運用のために大量株式取得者から大量取得に向けた意向表明書を受領し次第、独立委員会を設置、独立委員会は、株主全体の利益を損なうものかどうか等について総合的に評価・判断を行い、その意見及び理由を当社取締役会に提出します。当社取締役会は、独立委員会の意見を最大限尊重し、さらに弁護士、公認会計士を含む外部専門家等の助言を受け、当社取締役会としての評価、判断及び意見等を慎重にとりまとめ、公表します。
大量株式取得者がルールを遵守した場合は、原則として当社は当該大量株式取得に対する対抗措置は取りません。但し、当社取締役会又は独立委員会において、当該大量株式取得が「当社株主全体の利益を著しく損なうもの」に該当するとの評価に至った場合は、大量株式取得者が本件ルールを遵守しない場合に準じます。
なお、ルールを含む本件方針は、定期的な見直しを行うために、2027年に開催予定の定時株主総会の終結時までとしています。本件方針の廃止について特段の制約は設けていません。当社取締役会が、本件方針の内容について当社株主の皆さまに実質的に影響を与えるような変更を行う場合には、改めて当社株主総会に付議し株主の皆さまのご判断を仰ぎます。
(注) 1 特定株主グループとは、
(1) 当社の株式等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等をいいます。)の保有者(同法第27条の23第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。以下同じとします。)及びその共同保有者(同法第27条の23第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。)または、
(2) 当社の株式等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の買付け等(同法第27条の2第1項に規定する買付け等をいい、取引所金融商品市場において行われるものを含みます。)を行う者及びその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)を意味します。
2 議決権割合とは、
(1) 特定株主グループが、注1の(1)記載の場合は、当該保有者の株式等保有割合(金融商品取引法第27条の23第4項に規定する株券等保有割合をいいます。この場合においては、当該保有者の共同保有者の保有株式等の数(同項に規定する保有株券等の数をいいます。)も加算するものとします。)または、
(2) 特定株主グループが、注1の(2)記載の場合は、当該大量株式取得者及び当該特別関係者の株式等保有割合(同法第27条の2第8項に規定する株券等所有割合をいいます。)の合計をいいます。
各株式等保有割合の算出にあたっては、総議決権(同法第27条の2第8項に規定するものをいいます。)及び発行済株式の総数(同法第27条の23第4項に規定するものをいいます。)は、有価証券報告書、半期報告書、四半期報告書及び自己株券買付状況報告書のうち直近に提出されたものを参照することができるものとします。
3 「当社株式等」とは、金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等を意味します。
「大量株式取得者」とは、あらかじめ当社取締役会が同意したものを除き、また市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。
4 「当社株主全体の利益を著しく損なうもの」とは、大量株式取得者が、①真に会社経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で株式を会社関係者に引き取らせる目的で当社株式の買収を行っている場合、②会社経営を一時的に支配して当社の事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客等を当該大量株式取得者等に移譲させる等、いわゆる焦土化経営を行う目的で当社株式の買収を行っている場合、③会社経営を支配した後に、当社の資産を当該大量株式取得者等の債務の担保や弁済原資として流用する予定で当社株式の買収を行っている場合、④会社経営を一時的に支配して当社の事業に当面関係していない不動産、有価証券等高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って株式の高価売り抜けをする目的で当社株式の買収を行っている場合、⑤大量株式取得者の提示する当社株式買取方法が、2段階目の株式買取条件を1段階目よりも不利に設定する態様の2段階買取方式である場合、その他、株主の判断の機会または自由を制約し、事実上、株主に当社株式等の不利な売却を強要するおそれがあると判断される場合、⑥大量株式取得者の提示する対価が株主にとって著しく不利益またはハイリスクとなりうるオプション権である等、当社株式買付に関連する取引の仕組み、取得方法が株主共同の利益の観点から著しく不当である場合、⑦大量株式取得者の経営陣または主要株主に「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」第2条の定める暴力団、暴力団員等の反社会的勢力と関係を有する者が含まれている場合等、大量株式取得者が公序良俗の観点から当社の支配株主として不適切であると客観的かつ合理的な根拠をもって判断される場合を想定しています。
ⅲ 本件対応方針についての基本方針等との整合性に係る取締役会の判断
イオンは、経営方針の変更に際しては、株主の皆さまのために充分な情報提供や検討期間の確保を行う必要があること、経営方針の変更による地域社会への影響等、多くの議論を経て、2024年4月10日開催の当社取締役会において全員一致により決定の上、「当社株式の大量取得行為に関わる対応方針の承認の件」を2024年5月29日開催の第99期定時株主総会に付議し、株主の皆さまの承認を得ております。また、2025年4月11日開催の当社取締役会においても改めて本件対応方針について、総合的に評価を行いました。
独立社外取締役が過半数である当社取締役会は、上記対応方針は、基本方針及び当社の株主の共同の利益に沿うものであり、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しています。
4) その他
i 責任限定契約の概要
当社は、社外取締役として有用な人材を迎えることができるよう、社外取締役の各氏と、会社法第423条第1項 の責任につき、社外取締役の各氏が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、当社に対して賠償すべき額は、金1,500万円または法令の定める額のいずれか高い金額を限度とし、この限度を超える社外取締役の損害賠償義務を免除する旨の責任限定契約を締結しています。
ⅱ 役員等賠償責任保険契約の概要
イ 被保険者の範囲
当社の取締役、執行役及び一部の国内子会社の取締役、監査役、執行役員等
ロ 保険契約の概要
当社は、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険(D&O保険)契約を保険会社との間で締結しています。被保険者が会社の役員等の地位に基づき行った行為(不作為を含みます。)に起因して損害賠償請求がなされたことにより被保険者が被る損害賠償費用、訴訟費用等が補填されることになります。
ただし、当該保険契約では免責額を設け当該免責額までの損害は補填の対象としておりません。なお、保険料は全額会社負担としています。
ⅲ 取締役の定数
当社の取締役は12名以内とする旨を定款で定めております。
ⅳ 取締役の選任決議要件
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款で定めております。ただし、取締役の選任は累積投票によらないものとしております。
ⅴ 剰余金の配当等の決定機関
当社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議により定める旨を定款で定めております。
ⅵ 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的として、会社法第309条第2項に定める特別決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上にあたる多数をもって行う旨定款に定めております。
ⅶ 親子上場に関する考え方
当社では、子会社の経営の自主性・独自性を重視し、分権制によるグループ経営を実践することで、当社グループ全体の企業価値が向上するものと考え、各事業の核となる主要な連結子会社21社(国内16社、海外5社)が証券市場に株式を上場する親子上場の経営体制を敷いています。上場の可否については、特に事業・地域の特性を踏まえた自律的経営により持続的な成長が促進され、資本市場の規律によりその経営の質が向上すると見込まれるかどうかを、個社ごとに十分に検討したうえで決定しております。また、その独立性や少数株主保護の観点から、上場子会社に対し独立社外取締役の選任や独立役員による諮問委員会の設置を要請する等、構造的な利益相反リスクの軽減と上場子会社のガバナンス体制の実効性確保に努めております。