有価証券報告書-第71期(2023/02/21-2024/02/20)
②戦略
a.シナリオ分析の実施
気候変動リスクには、政策や法規制の変化などがもたらす「移行リスク」と、自然災害の増加による資産の損害といった「物理的リスク」があります。当社は、気候変動に関する主なリスクと機会が事業へ与える影響を特定し、対応戦略を立案するために、シナリオ分析を行いました。なお、シナリオ分析は、下記のプロセスで行っています。
ア.シナリオ分析の前提
・使用したシナリオ
・分析対象
国内事業(株式会社しまむら)
・想定した時期
イ.シナリオ分析で想定した世界観(シナリオで想定する気温は、2100年までの平均気温の上昇。)
b.特定した気候変動に関する主なリスクと機会
c.当社への財務インパクト(2050年を想定)
d.対応戦略
a.シナリオ分析の実施
気候変動リスクには、政策や法規制の変化などがもたらす「移行リスク」と、自然災害の増加による資産の損害といった「物理的リスク」があります。当社は、気候変動に関する主なリスクと機会が事業へ与える影響を特定し、対応戦略を立案するために、シナリオ分析を行いました。なお、シナリオ分析は、下記のプロセスで行っています。
| 1 | 経営企画及びESGを担当する企画室がシナリオ分析を行います。 |
| 2 | 企画室から取締役会へシナリオ分析結果を報告します。 |
| 3 | 取締役会で審議されたうえで、決定します。 |
ア.シナリオ分析の前提
・使用したシナリオ
| 国際エネルギー機関(IEA) WEO 2021 | 気候変動に関する政府間パネル (IPCC)第6次評価報告書 | |
| 脱炭素シナリオ (1.5℃~2℃) | NZE(実質排出量ゼロシナリオ) SDS(持続可能な開発シナリオ) | SSP3-7.0,SSP5-8.5 |
| 温暖化進行シナリオ (2.7℃~4℃) | STEPS(公表政策シナリオ) | SSP1-1.9,SSP1-2.6 |
・分析対象
国内事業(株式会社しまむら)
・想定した時期
| 短期 | ~2024年2月(中期経営計画の期間) |
| 中期 | ~2030年2月(長期経営計画の期間) |
| 長期 | ~2050年 |
イ.シナリオ分析で想定した世界観(シナリオで想定する気温は、2100年までの平均気温の上昇。)
| 脱炭素シナリオ (1.5℃~2℃) | 法規制 | 脱炭素に向けて、炭素税や厳しい法規制が課される。 |
| エネルギー価格 | 化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が進み、電力価格が上昇する。 | |
| 自然災害 | 短~中期では、自然災害が頻発・激甚化する。 長期では、温暖化シナリオに比べて、自然災害の激甚化に歯止めがかかる。 | |
| 温暖化進行シナリオ (2.7℃~4℃) | 法規制 | 現行の法規制が継続し、炭素税が導入された場合も影響は軽微。 |
| エネルギー価格 | 化石燃料への依存が継続するため、原油価格が上昇する。 | |
| 自然災害 | 長期になる程、自然災害が頻発・激甚化する。 脱炭素シナリオに比べて、発生頻度・被害が大きい。 |
b.特定した気候変動に関する主なリスクと機会
| 分類 | 重要な変化 (発生時期) | 内容 | 影響度 | |
| 1.5~2℃ | 2.7~4℃ | |||
| 移行 リスク | 炭素税の導入や、 GHG排出規制 (短~長期) | 増税やエネルギー価格の上昇で、原材料価格・物流費が上昇することによる、商品調達コスト増加 | 非常に 大きい | 大きい |
| 増税やエネルギー価格の上昇による、光熱費等の店舗・商品センター運営のコスト増加 | 非常に 大きい | 大きい | ||
| 環境負荷の高い素材等への法規制に伴い、原材料・包装資材等の変更による、商品調達コストの増加 | 非常に 大きい | 大きい | ||
| 移行 機会 | 顧客行動の変化 (短~長期) | 消費者のサステナビリティへの意識の高まりに伴う、サステナブル商品の販売機会の増加 | 非常に 大きい | 大きい |
| 物理的 リスク | 平均気温の上昇 (長期) | 農作物収穫量が減少することによる、商品調達コストの増加 | 大きい | 非常に 大きい |
| 夏期が長くなり、冬期が短くなることに伴い、冬物商品の購買動機が縮小することによる販売機会の喪失 | 大きい | 非常に 大きい | ||
| 降水量の不安定 (短~長期) | 農作物収穫量が減少することによる、商品調達コストの増加 | 大きい | 非常に 大きい | |
| 台風・豪雨による 自然災害の増加 (短~長期) | 被災地の店舗の営業休止による販売機会の喪失 | 大きい | 非常に 大きい | |
| 被災地の商品センターの営業休止による、商品供給体制の寸断 | 大きい | 非常に 大きい | ||
| 被災地の建物被害による、店舗・商品センターの修繕コストの増加 | 大きい | 非常に 大きい | ||
c.当社への財務インパクト(2050年を想定)
| 炭素税導入 | 脱炭素シナリオ (1.5℃~2℃) | 1,541百万円 ・炭素税250US$/t-CO2(NZE) ・当社GHG排出量(2022年度・Scope1,2):45,867 t-CO2 |
| 温暖化進行シナリオ (2.7℃~4℃) | 554百万円 ・炭素税:90US$/t-CO2(STEPS) ・当社GHG排出量(2022年度・Scope1,2):45,867t-CO2 | |
| 災害による損失 | 脱炭素シナリオ (1.5℃~2℃) | 13百万円 ・災害発生率2.7倍(SSP3-7.0,SSP5-8.5) ・当社災害による損失(2013-2022年平均):90百万円 |
| 温暖化進行シナリオ (2.7℃~4℃) | 97百万円 ・災害発生率1.5倍(SSP1-1.9,SSP1-2.6) ・当社災害による損失(2013-2022年平均):90百万円 |
d.対応戦略
| 重要なリスク・機会 | 対応策 |
| 商品調達コスト増加 | ・生産国やサプライヤー(=メーカーや商社など商品の仕入れ先。約600社)の多様化・分散化によるリスク分散 ・サプライヤーとの連携により、素材(原材料)が調達できなくなる場合への早期対策(素材の早期予約や、代替素材への変更等)の実施 |
| 物流コスト増加 | ・物流の効率化(商品センターの自社運営、自社共同配送、直接物流、モーダルシフト) |
| 光熱費増加 | ・電力使用量削減のための設備導入(照明のLED化、省エネ型空調機への入替等) ・サステナブル店舗の開発(省エネ設備の導入、遮熱塗装、断熱材の増加等) |
| サステナブル商品の 販売機会の増加 | ・サステナブル商品の開発・販売の強化 |
| 冬物商品の 販売機会の喪失 | ・トレンド商品やキャラクター商品等の企画・提案力の強化により、天候や気温以外の購買動機を創出 |
| 店舗の営業休止による 販売機会の喪失 | ・多店舗展開によるリスク分散(約2,200店舗) ・営業復旧のための体制や実施策について記載したBCP(事業継続計画)の運用 |
| 商品センター営業休止に よる商品供給体制の寸断 | ・災害時の配送ルート等、体制や実施策について記載したBCP(事業継続計画)の運用 |
| 建物被害による 修繕コストの増加 | ・建物復旧のための体制や実施策について記載したBCP(事業継続計画)の運用 ・店舗開発時にハザードマップ等を確認したうえでの出店 ・浸水が予想される店舗へ止水シート設置等の災害対策を実施 |