有価証券報告書-第49期(令和2年2月21日-令和3年2月20日)

【提出】
2021/05/14 9:21
【資料】
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【項目】
152項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」というロマン(志)を社員一人ひとりの行動の原点として共有し、当社グループの力を結集して長期ビジョンの実現に全力を尽くすことを企業活動の指針としております。
そのため、グローバルチェーンの確立により、世界のより多くのお客様に、品質が維持された商品をお求めになりやすい価格で提供すること、並びに住空間をトータルコーディネートする楽しさを提案することを基本方針としております。
(2) 目標とする経営指標
[2022年度ビジョン1,000店舗1兆円 2032年度ビジョン3,000店舗3兆円 / 買上客数2億人以上]
当社グループでは、これまで社会貢献のバロメーターは増え続けるお客様の数であるとし、より多くのお客様に豊かな暮らしを提供すべく、日本そして世界へと店舗展開を拡大し、グローバルチェーン網の整備を進めてまいりました。2011年2月期には店舗数244店、買上客数4,400万人でしたが、2021年2月期店舗数は661店(島忠を除く。)となり、1億人を超えるお客様にニトリグループをご利用いただいております。今後、社会で益々デジタル化が進み、お客様のEコマースとリアル店舗における消費行動もシームレス化が促進されることが予測されますが、当社グループでは引き続きお客様の数を増やし続ける基盤として、店舗数の拡大を目標として掲げ邁進してまいります。全国に有する店舗・営業所網を一層拡充することによって、「拠点引き取り」「全国対応のアフターサービス」等のサービスを拡充出来るうえ、O2O(Online to Offline)によるオンラインとオフライン融合の加速により競争優位を実現できると考えております。また、お客様の数の増加につきましても、単に店舗やECを拡大した結果ということではありません。人口動態や消費行動が変化するなかで、一人ひとりのお客様と継続的な関係を構築し、より便利に楽しく弊社グループを繰り返しご利用いただくことで実現できるものと考えております。2022年度1,000店舗1兆円、2032年3,000店舗3兆円のビジョン実現に向け長期的な視点に立ち戦略を策定するとともに、中期的に実行すべき改革テーマを策定し2025年度2億人を超えるお客様へ商品とサービスを提供してまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」というロマンを実現するために、中長期ビジョンである「2022年1,000店舗、2032年3,000店舗」の達成に向けた経営戦略を策定しております。足元の経済環境が不透明性を増すなか、日本国内の人口減少・少子高齢化・単身世帯や共働き世帯の増加・低所得化の進行や、テクノロジーの進化による購買行動や価値観の多様化等、大きなビジネス環境の変化に直面しています。確実に変容してゆく生活者の姿と行動・ニーズに応えるため、創業以来扱ってまいりました家具やホームファッション用品に加え、海外への事業展開、生活関連の新分類や新サービスへの展開を始め、事業領域の拡大・総合化を図り、ホームセンターやアパレルも含めた「ライフスタイル総合提案企業」へ進化してまいります。また、その実現を下支えする仕組みとして、創業以来培ってきたサプライチェーン全般を自社及び自社ネットワークでコントロールする「製造物流小売業」の姿を、近年いっそう重要性が増すデジタルテクノロジーの活用により「製造物流IT小売業」へと進化させ、自社の持つ店舗網・物流網・EC等の強みを最大限に活用することで成長を加速してまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
[5カ年計画 戦略実行の基本方針]
当社グループは中長期的な持続成長に向け、上記に掲げた中長期経営戦略に基づき、コロナ禍の社会要請も踏まえ改革テーマを中心とした5カ年計画(2021年度から2025年度)を策定し、実行してまいります。
[5カ年で実行する改革テーマ]
1. 既存事業による成長の押上げ
国内事業については、ニトリに加え小型フォーマットであるデコホーム、アパレルブランドNプラス、子会社化したホームセンターの島忠等により事業領域を広げながら店舗数を拡大しドミナントエリアを構築します。また、島忠をはじめとするグループ企業・事業・ブランド間のシナジー最大化と、オンラインとオフラインの融合により買い物環境を変革してまいります。
海外事業につきましては、これまで戦略的に踊り場を作り、仕組み・システムの構築に集中してまいりました。今後中国を中心に出店を再加速させてまいります。
これらによりグローバルで1,400店舗を目標とし、2億人以上のお客様にニトリグループをご利用いただけるよう様々な施策を実行してまいります。
① 国内主力事業(ニトリ・デコホーム・通販事業)
・人口のピークアウト・構造変化、価値観や消費行動の変化により、従来のマスマーケティングで捉えきれない消費者を「個客」として捉えるビジネスに進化させるため、アプリを中核とした顧客分析機能の強化と、アプリ会員を中心としたお客様との継続的な関係構築を強力に進めてまいります。2025年度におけるアプリ会員数の目標を2,500万人とし、アプリを通じたオンラインとオフラインの融合施策により、お客様の買物利便性を向上させ、購買頻度や年間買上品目数の増加、更にはLTV(ライフタイムバリュー)の向上につなげてまいります。
・大型店・小型店の明確な役割分担に沿った店舗規模別の品揃え改革を実行し、地域のお客様にとっての買物利便性を最大化するドミナント戦略を進めてまいります。既存商品の分類・SKU数を店舗規模別に適正にしたうえで、未来対策であるベビー・家電・ホームセンター・アパレル等の新分類・強化分類を導入し総合化を推進することで、売場効率を最大化してまいります。また、当社グループが培ってきたコーディネートも強化し、売場を進化させてまいります。
・テクノロジーの進化・消費者の価値観や購買行動変化に加え、コロナ禍における消費者のショートタイムショッピング・非接触・セルフサービス等のニーズの高まりを踏まえ、接客の無人化・セルフレジ導入・BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)導入等の業態変革を推進してまいります。
・既存のEC基盤については、上記新分類・新サービスも含めて提供できるECモールへ発展させ、売上を倍の1,500億円規模へ拡大いたします。
② 海外販売事業
・中国事業につきましては、これまで人材の育成・店舗の標準化・不採算店舗の整理に注力してまいりましたが、出店を加速してまいります。また、これまでに得られたノウハウを、他地域におけるブランドやグローバルサプライチェーンの確立に活用してまいります。
③ その他育成事業
・30代~50代の大人の女性のアパレルブランドNプラスは、年齢を重ねながらも若々しさや感性を失わない『大人の女性』が毎日着たいと思うファッションを提案していきます。早急にビジネスモデルを確立させ多店舗展開を行ってまいります。
2.子会社化した島忠とのシナジーの早期実現
当社グループは、兼ねてよりホームセンター業界への参入を検討してまいりましたが、この度ホームセンター業界における有力事業者である株式会社島忠を子会社化いたしました。これにより、弊社グループのロマンである「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」、そして2022年1,000店舗1兆円のビジョンに向け、大きく前進するため、強力な社内統合推進体制を構築し、早期に以下のシナジーを実現してまいります。
・高品質な家具の販売機会の拡大及び幅広い顧客層の豊かな暮らしの実現への貢献
・商品の相互補完による販売拡大とプライベートブランド商品開発の推進
・物流機能の共同利用によるコスト削減、資産効率改善
・サプライチェーン上の機能・ノウハウ提供によるコスト削減と改善スピード加速
・ニトリモール、デコホーム事業とのシナジー追求
・首都圏・都心部へのshop in shop型店舗の相互出店かつより広域な出店戦略
・Eコマースでの販売体制強化
・共通ポイントの導入による相互送客と新規顧客獲得
3.ロジスティクス戦略
DC拠点の最適な配置と機能の集約を柱とし、オペレーション、発送・宅配網の整備、業務プロセスを改革テーマとして掲げ、未来対策として5年間で2,000億円超の大規模戦略投資を実施いたします。これによるローコストの実現とともに在庫やリードタイムの適正化を図り、お客様の不平・不満・不便を解消してまいります。
4.アライアンスの検討・推進
ライフスタイル総合提案企業への進化に向け、事業強化・機能強化の両面からM&Aも視野に入れた戦略的なアライアンスを模索してまいります。