有価証券報告書-第67期(2023/04/01-2024/03/31)
対処すべき課題
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針及び経営環境
①経営理念
当社グループは、「創造・先取り・挑戦」を経営理念とし、それらを綱領として定めております。この理念は1958年の創業時から現在に至るまで、グループ全社員に共有され、企業経営の礎となっております。
「綱領
バローグループの全社員は実業人としての自覚を持ち、地域社会の繁栄と社会文化の向上に寄与せんことを期す。このために一人一人は「誠」をモットーとして業務に当たり、創造、先取り、挑戦の姿勢で目標を高く掲げ、強い団結の下に英知と努力をもって徹底的に力闘するものなり」
②経営戦略
当社グループは、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、スポーツクラブなど、多様な事業を展開しております。その背景には、当社グループが郊外より事業を拡大してきた経緯から、地域のニーズに幅広く対応して顧客との接点を持ち、複数の事業で収益を支えながら経営の安定性を求めてきたことがあります。また、調達・製造から流通・販売までを一貫して担う「製造小売業」としてのビジネスモデル構築を志向し、製造・加工拠点、物流センター等のインフラを整備し、自ら中間流通機能を担いながら、流通経路の効率化や商品力の向上に努めております。さらに、当社グループでは、複数の業態を組み合わせた商業施設を開発するほか、グループ全体で中間流通機能の活用を進めるなど、経営資源を組み合わせてシナジーを創出しながら、企業価値の向上に取り組んでおります。
次項に記載する中長期経営方針「バローグループ・ビジョン2030」、「サステナビリティ・ビジョン2030」の実現に向けて、今後は店舗のみならず、EC(電子商取引)や自社電子マネーLu Vit(ルビット)カード、Lu Vitクレジットカードも活用し、顧客との接点を更に強化してまいります。また、商品力で選ばれる「デスティネーション・カンパニー」への移行には、製造機能の強化に加え、調達・製造拠点や企業間連携の広がりに対応した効率的なサプライチェーンの構築が不可欠であることから、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を通じて情報連携を図り、ビジネスモデルを進化させてまいります。
③中期3ヵ年経営計画
当社グループは、企業価値の向上に向けて、2011年3月期より中期経営計画を策定・遂行してまいりました。最初の5ヵ年は「事業規模の拡大」を戦略目標に掲げ、スーパーマーケット及びドラッグストアの出店を加速し、規模拡大に対応すべく、物流、製造・加工機能等のインフラを整備・拡充しました。「経営効率の改善」を課題とした2016年3月期からの3ヵ年は、スーパーマーケットの既存店改装とインフラの効率改善を進めながら、ドラッグストアをグループの成長を牽引する事業と位置づけ、高水準の出店を継続しました。そして、2019年3月期からの3ヵ年は、スーパーマーケットを中心に来店動機となる商品・カテゴリーを有する「デスティネーション・ストア」への転換を進めるとともに、その構成要素である商品力の向上に注力し、基本方針「店舗数から商品力へのパラダイムシフト」にあるとおり、出店による成長からの転換を果たしました。
同時に、企業間連携を通じて包括的な協働取り組みも進め、商品調達を始めとする領域で成果が現れつつありますが、経営効率の一層の向上を達成するためには、多様な経営資源を活かしきる必要があると考えております。また、日常生活に欠かせない商品を安定供給するという変わることのない社会的使命と、新たな生活様式・消費行動に合わせて商品・サービスの提供方法を変える必要性の双方を認識し、当社グループが社会の中でどのような存在でありたいか、どのように価値創造を図るのかを改めて整理いたしました。
その結果、2030年を見据えた中長期経営方針「バローグループ・ビジョン2030」、「サステナビリティ・ビジョン2030」を定め、その実現に向けて「バローグループ中期3ヵ年経営計画」を策定いたしました。企業理念に掲げる「創造・先取・挑戦」の姿勢で、持続的な成長と持続可能な社会の実現を目指して取り組んでまいります。
1. 中長期経営方針(2022年3月期~2030年3月期)
(1) ビジョン
(2) 進化させるビジネスモデル
現在、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター等の1,200店舗以上の販売網があり、お客様に近いという利点を有しておりますが、今後は店舗のみならず、ECや自社電子マネーLu Vitを通じ、顧客との接点を強化してまいります。また、「デスティネーション・カンパニー」への移行には、製造機能の強化に加え、調達・製造拠点や企業間連携の広がりに対応した効率的なサプライチェーンの構築が不可欠であることから、DXを通じて情報連携を図り、ビジネスモデルを進化させてまいります。
(3) 基本方針
①商品で繋ぐ
・「デスティネーション・ストア」を構成し、「バローグループにしかない」魅力ある商品を提供します。
・店舗を中心とする物流網から調達・製造等の機能全体を包括した効率的なサプライチェーン・インフラへの転換を図ります。
②顧客と繋がる
・店舗での販売に加え、ECやLu Vitカード・アプリ、Lu Vitクレジットカードの活用に注力します。
・EC戦略として2つの重点領域を設定し、主要業態がドミナントを形成する地域で自社の経営資源を中心に展開する「ドミナント自社EC」、アマゾンジャパン合同会社と展開するネットスーパー事業のように、自社で足りない技術を協業によって補完する「広域協業EC」に取り組みます。特に、「ドミナント自社EC」では、事業所向け配送事業ainoma(アイノマ)、ドライブスルーによる商品受け取り、その他無店舗販売事業を通じ、複数の接点を持ちながら、地域が抱える課題に対応します。
③社会との繋がりを意識した経営
・取締役会の実効性を高め、経営の透明性を確保するとともに、グループ企業に対する監督を強化し、当社の特徴であるグループ経営についてガバナンスを更に強化します。
・ビジネスモデルに関わる3つの重点領域「地球環境」「地域社会」「人材の多様化」について、6つの分科会(食品廃棄物の削減・資源循環の推進、気候変動対策・水の管理、廃棄物の削減・リサイクルの推進、買物課題の解決・健康増進支援、地域貢献、多様な人材の活躍支援)を設置し、グループ全従業員で取り組みます。
(4) 中長期定量目標(2030年3月期)
(注) 1.2022年3月期の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用。
2.ROICは税引後営業利益(税効果会計適用後の法人税等の負担率を使用)÷(有利子負債+自己資本+非支配株主持分)で算出。
(5) サステナビリティKPI
(注) 食品廃棄物の削減についての基準は、株式会社バロー、株式会社タチヤ、株式会社食鮮館タイヨーで算出。今後はスーパーマーケット事業全体に対象を拡大。
2. 中期3ヵ年経営計画(2025年3月期~2027年3月期)
(1) 定量目標(2027年3月期)
(2) 戦略目標
「コネクト2030 ~商品・顧客・社会を繋ぐ」
(3) 基本方針
2030年3月期における営業収益1兆円到達に向けて、経営改革を進め、①ホールディングスによるグリップ力の強化、②主力であるスーパーマーケット事業を支えるグループ企業群の再編成、③関西エリアへの出店強化を含めたダイナミズムの創出を目指します。
(4) 重点施策
①成長戦略
当社グループの主要事業であるスーパーマーケット事業、ドラッグストア事業、ホームセンター事業において、来店目的を明確化させたデスティネーション・ストアモデルを確立し、本業の成長を促進しながら、ECや移動販売、行政機関との連携等の店舗販売以外の収益獲得モデルを目指します。また、将来における商圏の人口動態を含めた変化を先取りし、人口の多い関西エリアでのデスティネーション・ストアの横展開や、人口減少エリアにおける地域のライフラインとしての役割も備えた新業態の確立を目指します。
②収益性戦略
様々な経費が上昇する高コスト環境下に備えるために、グループ各社の基礎体力を高める目的に沿ってグループ再編を進めます。また、流通業界を取り巻く人手不足に対応するため、省人化に向けたインフラ投資、DX投資を進め生産性を向上させます。その上で、グループ営業収益1兆円を見据えた調達構造の変革(グループ共通PB商品、製造小売型商品等)を行います。
③持続性戦略
当社は「人をつくる会社」であることを掲げ、次世代幹部育成、時代に即した採用戦略を柱とする人材戦略とともに、複雑化・多様化するグループ企業集団の財務面でのコントロールをホールディングスが主導します。また、従業員が働きがいを感じられる社会貢献活動を含めたサステナビリティ活動にも注力いたします。
④差別化戦略
次世代の当社グループの他社との差別化を目指し、多業態経営ならではの流通技術を磨きこみます。決済・マーケティング領域では、Lu Vitカード・アプリ、Lu Vitクレジットカードを通じ、1人1人のお客様に沿ったマーケティングやキャッシュレス化に伴う決済コストの低減を目指します。また、自動発注をはじめとするDX領域については、店舗在庫にとどまらない中間流通在庫も含めた在庫の効率化を目指します。
(5)セグメント別の取り組み
①スーパーマーケット事業
・「デスティネーション・ストア(DS)」化の促進
・1店舗あたり売上高10億円未満の店舗を対象にしたインフラの活用+ローコストオペレーション(ネオDS化)
・プロセスセンターへの投資
②ドラッグストア事業
・1店舗あたり売上高の拡大(4億円へ)
・PB商品の強化、グループシナジーを活かした生鮮・デリカ食品の強化
・調剤取扱店舗併設率の拡大
③ホームセンター事業
・PB売上構成比の向上
・プロ向けショップ等の新業態店舗の出店強化
④スポーツクラブ事業
・スクール等の専門性強化による早期の収益適正化
(6) 新中期経営計画の主な設備投資とキャッシュ・フロー
①キャッシュ・フローの創出と成長投資
・2027年3月期までの3ヵ年累計1,200億円以上の営業キャッシュ・フローを創出します。
・M&Aを除き、2027年3月期までの3ヵ年累計1,000億円程度の設備投資を行います。
・設備投資の内訳は、新店投資35%程度、既存店投資30%程度、DX関連を含むその他投資35%程度とします。
③財務政策・株主還元
・デット・エクイティ・レシオ0.6倍を目処に、有利子負債を圧縮します。
・資本コストや資本収益性を意識した経営の実現に向けて、成長投資のための内部留保とのバランスに配慮しつつ、持続的な利益成長を通じて株主還元を行うことを基本方針としております。この方針に基づき、連結配当性向30%を目処に従来からの「累進配当」を継続します。また、単年度の業績の影響を受けにくい株主資本配当率(DOE)を採用し、2%を下限として安定的な株主還元を目指します。
(2)優先的に対処すべき課題等
2024年3月期までの中期3ヵ年経営計画を終えた当社グループは、スーパーマーケット事業のデスティネーション化による収益改善は進展したものの、グループシナジー創出のためのホールディングス機能の強化への対応が課題として残りました。2030年を見据えた中長期経営方針「バローグループ・ビジョン2030」、「サステナビリティ・ビジョン2030」のもと、その実現に向けて「バローグループ新中期3ヵ年経営計画」を策定しました。2030年3月期に営業収益1兆円到達に向けて、経営改革を進め、①ホールディングスによるグリップ力の強化、②主力であるスーパーマーケット事業を支えるグループ企業群の再編成、③関西エリアへの出店強化を含めた異質競争によるダイナミズムの創出を目指します。
上記ビジョンに基づく新中期3ヵ年経営計画は、最終年度にあたる2027年3月期における財務KPIとして、営業収益9,100億円、営業利益272億円、経常利益300億円を掲げるとともに、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を進め、グループ・ガバナンスの強化、脱炭素化社会の実現及び食品廃棄物の削減など、サステナビリティ・マネジメントを引き続き推進いたします。
2025年3月期の設備投資につきましては、「デスティネーション・ストア」への転換を推進するため、引き続き積極的な既存店投資を行うとともに、スーパーマーケット事業やドラッグストア事業においても関西地域への出店を予定しております。
新店投資につきましては、スーパーマーケット12店舗、惣菜専門店等11店舗、ドラッグストア26店舗、ホームセンター(専門業態を含む)4店舗、スポーツクラブ1店舗、ペットショップ9店舗の計63店舗の新設を計画しております。
(1) 経営方針及び経営環境
①経営理念
当社グループは、「創造・先取り・挑戦」を経営理念とし、それらを綱領として定めております。この理念は1958年の創業時から現在に至るまで、グループ全社員に共有され、企業経営の礎となっております。
「綱領
バローグループの全社員は実業人としての自覚を持ち、地域社会の繁栄と社会文化の向上に寄与せんことを期す。このために一人一人は「誠」をモットーとして業務に当たり、創造、先取り、挑戦の姿勢で目標を高く掲げ、強い団結の下に英知と努力をもって徹底的に力闘するものなり」
②経営戦略
当社グループは、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、スポーツクラブなど、多様な事業を展開しております。その背景には、当社グループが郊外より事業を拡大してきた経緯から、地域のニーズに幅広く対応して顧客との接点を持ち、複数の事業で収益を支えながら経営の安定性を求めてきたことがあります。また、調達・製造から流通・販売までを一貫して担う「製造小売業」としてのビジネスモデル構築を志向し、製造・加工拠点、物流センター等のインフラを整備し、自ら中間流通機能を担いながら、流通経路の効率化や商品力の向上に努めております。さらに、当社グループでは、複数の業態を組み合わせた商業施設を開発するほか、グループ全体で中間流通機能の活用を進めるなど、経営資源を組み合わせてシナジーを創出しながら、企業価値の向上に取り組んでおります。
次項に記載する中長期経営方針「バローグループ・ビジョン2030」、「サステナビリティ・ビジョン2030」の実現に向けて、今後は店舗のみならず、EC(電子商取引)や自社電子マネーLu Vit(ルビット)カード、Lu Vitクレジットカードも活用し、顧客との接点を更に強化してまいります。また、商品力で選ばれる「デスティネーション・カンパニー」への移行には、製造機能の強化に加え、調達・製造拠点や企業間連携の広がりに対応した効率的なサプライチェーンの構築が不可欠であることから、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を通じて情報連携を図り、ビジネスモデルを進化させてまいります。
③中期3ヵ年経営計画
当社グループは、企業価値の向上に向けて、2011年3月期より中期経営計画を策定・遂行してまいりました。最初の5ヵ年は「事業規模の拡大」を戦略目標に掲げ、スーパーマーケット及びドラッグストアの出店を加速し、規模拡大に対応すべく、物流、製造・加工機能等のインフラを整備・拡充しました。「経営効率の改善」を課題とした2016年3月期からの3ヵ年は、スーパーマーケットの既存店改装とインフラの効率改善を進めながら、ドラッグストアをグループの成長を牽引する事業と位置づけ、高水準の出店を継続しました。そして、2019年3月期からの3ヵ年は、スーパーマーケットを中心に来店動機となる商品・カテゴリーを有する「デスティネーション・ストア」への転換を進めるとともに、その構成要素である商品力の向上に注力し、基本方針「店舗数から商品力へのパラダイムシフト」にあるとおり、出店による成長からの転換を果たしました。
同時に、企業間連携を通じて包括的な協働取り組みも進め、商品調達を始めとする領域で成果が現れつつありますが、経営効率の一層の向上を達成するためには、多様な経営資源を活かしきる必要があると考えております。また、日常生活に欠かせない商品を安定供給するという変わることのない社会的使命と、新たな生活様式・消費行動に合わせて商品・サービスの提供方法を変える必要性の双方を認識し、当社グループが社会の中でどのような存在でありたいか、どのように価値創造を図るのかを改めて整理いたしました。
その結果、2030年を見据えた中長期経営方針「バローグループ・ビジョン2030」、「サステナビリティ・ビジョン2030」を定め、その実現に向けて「バローグループ中期3ヵ年経営計画」を策定いたしました。企業理念に掲げる「創造・先取・挑戦」の姿勢で、持続的な成長と持続可能な社会の実現を目指して取り組んでまいります。
1. 中長期経営方針(2022年3月期~2030年3月期)
(1) ビジョン
◆バローグループ・ビジョン2030 | |||
バローグループの商品・サービス・決済で地域を便利に、豊かに繋ぐ「バロー経済圏」の構築と商品力で選ばれる「デスティネーション・カンパニー」を目指します。その実現に向けて、顧客との接点を強化し、「製造小売業」としてのビジネスモデルを進化させます。 | |||
◆サステナビリティ・ビジョン2030 | |||
バローグループは、持続可能な社会の実現に向け、事業活動を通した全員活動によって地域社会の発展と社会文化の向上に貢献します。 |
(2) 進化させるビジネスモデル
現在、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター等の1,200店舗以上の販売網があり、お客様に近いという利点を有しておりますが、今後は店舗のみならず、ECや自社電子マネーLu Vitを通じ、顧客との接点を強化してまいります。また、「デスティネーション・カンパニー」への移行には、製造機能の強化に加え、調達・製造拠点や企業間連携の広がりに対応した効率的なサプライチェーンの構築が不可欠であることから、DXを通じて情報連携を図り、ビジネスモデルを進化させてまいります。
(3) 基本方針
①商品で繋ぐ
・「デスティネーション・ストア」を構成し、「バローグループにしかない」魅力ある商品を提供します。
・店舗を中心とする物流網から調達・製造等の機能全体を包括した効率的なサプライチェーン・インフラへの転換を図ります。
②顧客と繋がる
・店舗での販売に加え、ECやLu Vitカード・アプリ、Lu Vitクレジットカードの活用に注力します。
・EC戦略として2つの重点領域を設定し、主要業態がドミナントを形成する地域で自社の経営資源を中心に展開する「ドミナント自社EC」、アマゾンジャパン合同会社と展開するネットスーパー事業のように、自社で足りない技術を協業によって補完する「広域協業EC」に取り組みます。特に、「ドミナント自社EC」では、事業所向け配送事業ainoma(アイノマ)、ドライブスルーによる商品受け取り、その他無店舗販売事業を通じ、複数の接点を持ちながら、地域が抱える課題に対応します。
③社会との繋がりを意識した経営
・取締役会の実効性を高め、経営の透明性を確保するとともに、グループ企業に対する監督を強化し、当社の特徴であるグループ経営についてガバナンスを更に強化します。
・ビジネスモデルに関わる3つの重点領域「地球環境」「地域社会」「人材の多様化」について、6つの分科会(食品廃棄物の削減・資源循環の推進、気候変動対策・水の管理、廃棄物の削減・リサイクルの推進、買物課題の解決・健康増進支援、地域貢献、多様な人材の活躍支援)を設置し、グループ全従業員で取り組みます。
(4) 中長期定量目標(2030年3月期)
規模 | 営業収益(注)1 | 1兆円超 |
営業利益 | 480億円超 | |
経常利益 | 500億円超 | |
経営効率 | ROIC(投下資本利益率)(注)2 | 9% |
(注) 1.2022年3月期の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用。
2.ROICは税引後営業利益(税効果会計適用後の法人税等の負担率を使用)÷(有利子負債+自己資本+非支配株主持分)で算出。
(5) サステナビリティKPI
基準 | 2030年3月期 | (ご参考)2050年3月期 | |
脱炭素化社会 の実現 | サプライチェーン上の 温室効果ガス排出総量 | 40%削減 (2021年3月期比) | ゼロ |
食品廃棄物 の削減 | 食品廃棄物発生量 18,983t (2017年3月期実績) | 45%削減 (2017年3月期比) | 55%削減 (2017年3月期比) |
(注) 食品廃棄物の削減についての基準は、株式会社バロー、株式会社タチヤ、株式会社食鮮館タイヨーで算出。今後はスーパーマーケット事業全体に対象を拡大。
2. 中期3ヵ年経営計画(2025年3月期~2027年3月期)
(1) 定量目標(2027年3月期)
規模 | 営業収益 | 9,100億円 |
営業利益 | 272億円 | |
経常利益 | 300億円 | |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 140億円 | |
経営効率 | ROE | 6.4% |
ROIC | 7.7% | |
D/Eレシオ | 0.6倍 |
(2) 戦略目標
「コネクト2030 ~商品・顧客・社会を繋ぐ」
(3) 基本方針
2030年3月期における営業収益1兆円到達に向けて、経営改革を進め、①ホールディングスによるグリップ力の強化、②主力であるスーパーマーケット事業を支えるグループ企業群の再編成、③関西エリアへの出店強化を含めたダイナミズムの創出を目指します。
(4) 重点施策
①成長戦略
当社グループの主要事業であるスーパーマーケット事業、ドラッグストア事業、ホームセンター事業において、来店目的を明確化させたデスティネーション・ストアモデルを確立し、本業の成長を促進しながら、ECや移動販売、行政機関との連携等の店舗販売以外の収益獲得モデルを目指します。また、将来における商圏の人口動態を含めた変化を先取りし、人口の多い関西エリアでのデスティネーション・ストアの横展開や、人口減少エリアにおける地域のライフラインとしての役割も備えた新業態の確立を目指します。
②収益性戦略
様々な経費が上昇する高コスト環境下に備えるために、グループ各社の基礎体力を高める目的に沿ってグループ再編を進めます。また、流通業界を取り巻く人手不足に対応するため、省人化に向けたインフラ投資、DX投資を進め生産性を向上させます。その上で、グループ営業収益1兆円を見据えた調達構造の変革(グループ共通PB商品、製造小売型商品等)を行います。
③持続性戦略
当社は「人をつくる会社」であることを掲げ、次世代幹部育成、時代に即した採用戦略を柱とする人材戦略とともに、複雑化・多様化するグループ企業集団の財務面でのコントロールをホールディングスが主導します。また、従業員が働きがいを感じられる社会貢献活動を含めたサステナビリティ活動にも注力いたします。
④差別化戦略
次世代の当社グループの他社との差別化を目指し、多業態経営ならではの流通技術を磨きこみます。決済・マーケティング領域では、Lu Vitカード・アプリ、Lu Vitクレジットカードを通じ、1人1人のお客様に沿ったマーケティングやキャッシュレス化に伴う決済コストの低減を目指します。また、自動発注をはじめとするDX領域については、店舗在庫にとどまらない中間流通在庫も含めた在庫の効率化を目指します。
(5)セグメント別の取り組み
①スーパーマーケット事業
・「デスティネーション・ストア(DS)」化の促進
・1店舗あたり売上高10億円未満の店舗を対象にしたインフラの活用+ローコストオペレーション(ネオDS化)
・プロセスセンターへの投資
②ドラッグストア事業
・1店舗あたり売上高の拡大(4億円へ)
・PB商品の強化、グループシナジーを活かした生鮮・デリカ食品の強化
・調剤取扱店舗併設率の拡大
③ホームセンター事業
・PB売上構成比の向上
・プロ向けショップ等の新業態店舗の出店強化
④スポーツクラブ事業
・スクール等の専門性強化による早期の収益適正化
(6) 新中期経営計画の主な設備投資とキャッシュ・フロー
①キャッシュ・フローの創出と成長投資
・2027年3月期までの3ヵ年累計1,200億円以上の営業キャッシュ・フローを創出します。
・M&Aを除き、2027年3月期までの3ヵ年累計1,000億円程度の設備投資を行います。
・設備投資の内訳は、新店投資35%程度、既存店投資30%程度、DX関連を含むその他投資35%程度とします。
③財務政策・株主還元
・デット・エクイティ・レシオ0.6倍を目処に、有利子負債を圧縮します。
・資本コストや資本収益性を意識した経営の実現に向けて、成長投資のための内部留保とのバランスに配慮しつつ、持続的な利益成長を通じて株主還元を行うことを基本方針としております。この方針に基づき、連結配当性向30%を目処に従来からの「累進配当」を継続します。また、単年度の業績の影響を受けにくい株主資本配当率(DOE)を採用し、2%を下限として安定的な株主還元を目指します。
(2)優先的に対処すべき課題等
2024年3月期までの中期3ヵ年経営計画を終えた当社グループは、スーパーマーケット事業のデスティネーション化による収益改善は進展したものの、グループシナジー創出のためのホールディングス機能の強化への対応が課題として残りました。2030年を見据えた中長期経営方針「バローグループ・ビジョン2030」、「サステナビリティ・ビジョン2030」のもと、その実現に向けて「バローグループ新中期3ヵ年経営計画」を策定しました。2030年3月期に営業収益1兆円到達に向けて、経営改革を進め、①ホールディングスによるグリップ力の強化、②主力であるスーパーマーケット事業を支えるグループ企業群の再編成、③関西エリアへの出店強化を含めた異質競争によるダイナミズムの創出を目指します。
上記ビジョンに基づく新中期3ヵ年経営計画は、最終年度にあたる2027年3月期における財務KPIとして、営業収益9,100億円、営業利益272億円、経常利益300億円を掲げるとともに、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を進め、グループ・ガバナンスの強化、脱炭素化社会の実現及び食品廃棄物の削減など、サステナビリティ・マネジメントを引き続き推進いたします。
2025年3月期の設備投資につきましては、「デスティネーション・ストア」への転換を推進するため、引き続き積極的な既存店投資を行うとともに、スーパーマーケット事業やドラッグストア事業においても関西地域への出店を予定しております。
新店投資につきましては、スーパーマーケット12店舗、惣菜専門店等11店舗、ドラッグストア26店舗、ホームセンター(専門業態を含む)4店舗、スポーツクラブ1店舗、ペットショップ9店舗の計63店舗の新設を計画しております。