有価証券報告書-第44期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/27 12:03
【資料】
PDFをみる
【項目】
105項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、政府の景気対策や日銀の金融緩和策等により企業収益の改善が見られるなど、緩やかな回復基調が続いたものの、中国をはじめとするアジア新興国経済の景気減速や英国のEU離脱問題、米国の大統領選挙の影響や新政権の経済政策への危惧等により、為替の変動や株式市場の混乱が見られ、先行きが不透明な状況が続きました。
流通業界におきましては、雇用情勢や所得環境の改善の効果が期待されましたが、消費者の将来への不安感や実質所得の伸び悩みにより節約志向が高まり、インバウンド(訪日外国人旅行者)需要も減速するなど、個人消費は総じて低調に推移いたしました。
このような状況下で、当社グループは積極的に事業展開を進めましたが、当連結会計年度の売上高は56,747百万円(前期比0.4%減)と微減収となり、営業利益は4,465百万円(同6.3%減)、経常利益は4,526百万円(同6.6%減)とそれぞれ減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失179百万円(同20.1%増)、関係会社貸倒引当金繰入額57百万円等を特別損失に計上したため、2,658百万円(同10.9%減)となりました。連結自己資本当期純利益率(ROE)は、10.6%となりました。
なお、当社グループの報告セグメントは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
事業部門ごとの状況は、以下のとおりであります。以下の数値につきましては、事業部門内の取引消去後かつ事業部間の取引消去前のものを記載しております。
⦅小売事業等⦆
小売事業については、「伝える」をテーマに掲げ、価値観の高い商品の提案、従業員の商品知識や接客技術、ディスプレイ技術の向上、スマートフォンのアプリによる店舗情報、商品情報の提供等を図ってまいりました。
価値観の高い商品として、国内外の品質や機能、素材等にこだわった商品の導入拡大を進めて販売強化に努めましたが、一方では節約志向の高まりにより低価格品に対する需要も徐々に強まり、全体として商品単価は前年並みに止まりました。
従業員の商品知識や接客技術、ディスプレイ技術については、さまざまな研修や店舗のタブレット端末を利用した情報提供等による教育を行なうとともに、その実践の場として接客コンテスト、ディスプレイコンテストを開催して、従業員の意識向上に努めてまいりました。
平成28年8月にはスマートフォン用の「サックスバーアプリ」を導入し、店頭で配布する「サックスバーマガジン」と連携して、お客様に商品情報、在庫情報、店舗情報等をタイムリーに提供するとともに、さまざまなお得なクーポンを発行して、店舗への誘導、購買促進を図ってまいりました。
また、インバウンド売上につきましては、大量購入や高額品購入のいわゆる「爆買い」がほとんど見られなくなり、特にトラベルバッグや国産のメンズバッグや財布等の売上が低下しました。一方、平成28年5月から免税の対象となる最低購入金額が「10,000円超」から「5,000円以上」に引き下げられたこともあり、低価格帯の人気商品の品揃えを充実させて、新たな需要を喚起してまいりました。
店舗につきましては、大型ショッピングセンターを中心に、駅ビル、ファッションビル、小商圏ショッピングセンター等、さまざまなタイプの商業施設に出店しました。また、大型商業施設には複数店舗の出店を行ない、年間出店数は34店舗となりました。地域別内訳は、北海道・東北地区3店舗、関東地区10店舗、中部地区7店舗、近畿地区7店舗、中国・四国地区5店舗、九州地区2店舗であります。ショップブランドでは、主力ブランドである「SAC’S BAR」、「GRAN SAC’S」、「LAPAX」に加えて「Booth by FILTERS」、「efffy’s closet」を、アクセサリー取扱店舗としては「Amatone Accesso’rio」、「Beau Atout」を出店いたしました。
一方、不採算店21店舗を退店し、期末店舗数は655店舗となりました。
品種別の売上の状況は、ハンドバッグは、プライベートブランドである「kissora」、「efffy」のオンリーショップ以外の「SAC’S BAR」、「GRAN SAC’S」等の店舗への導入を拡大し、また、「SNOOPY」等の提携ブランドやその他プライベートブランドの商品の販売拡大に努めた結果、前期比15.5%増の8,470百万円と伸長しました。インポートバッグは、同0.4%増の4,163百万円とほぼ前年並みとなりました。カジュアルバッグは、前期第4四半期から売上減少に転じたF1層(20歳~34歳までの女性)向け提携ブランド商品の売上減少が続き、F1層向け以外の商品の品揃えを強化したものの、同6.9%減の6,511百万円に止まりました。財布・雑貨類のうち、財布はF1層向け提携ブランド商品の売上減少等により同1.7%減とやや減少し、雑貨は同0.2%減とほぼ前年並みとなりましたが、財布・雑貨類としては同1.2%減の14,832百万円となりました。メンズ・トラベルバッグは、インバウンド需要の減少の影響を受け、メンズバッグは同0.7%減の12,574百万円となり、トラベルバッグは、さらに海外のテロの影響による大型キャリーケースの売上不振が加わり、同6.5%減の7,133百万円となりました。
既存店売上前期比は、カジュアルバッグの売上減少やインバウンド売上の減速等により95.6%とやや低調に推移しました。
この結果、当事業部門の売上高は53,839百万円(前期比0.4%減)となりました。
また、ハンドバッグ、トラベルバッグ、雑貨はプライベートブランド商品、メーカーコラボレート商品の売上拡大により粗利益率が改善しましたが、高粗利のF1層向けブランドの売上低下に伴い、カジュアルバッグ、財布の粗利益率が低下したこと等により、売上総利益率は前期比0.1ポイント改善の48.0%に止まりました。一方、販売費及び一般管理費率は、経費節減に努めたものの、既存店売上が低調に推移したため、前期比1.0ポイント増加の40.6%となりました。
⦅製造・卸売事業⦆
製造・卸売事業については、インバウンド需要の減少、大型スーツケースの不振が続く環境の中で、商品開発に注力するとともに、営業力の強化により、売上の維持・拡大を図ってまいりました。
この結果、当事業部門の売上高は3,473百万円(前期比2.9%増)となりました。また、売上総利益率は、円高の影響等により39.5%となり、前期比4.8ポイントのプラスと大幅に改善しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べて406百万円増加し、3,440百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて953百万円収入が増加し、3,002百万円のプラスとなりました。
主な収入要因は、税金等調整前当期純利益の計上額4,205百万円であります。
一方、主な支出要因は、たな卸資産の増加額596百万円、法人税等の支払額1,740百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて1,827百万円支出が減少し、1,312百万円のマイナスとなりました。
主な支出要因は、新規出店及び改装等に伴う設備投資1,223百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて304百万円支出が増加し、1,282百万円のマイナスとなりました。
主な支出要因は、配当金の支払額794百万円、リース債務の返済による支出424百万円であります。