有価証券報告書-第45期(2022/03/01-2023/02/28)

【提出】
2023/05/25 9:29
【資料】
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【項目】
118項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2023年2月28日)現在において、当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は北海道の地元企業として、お客さまに頼りにされるお店づくり、人づくりを実現させるとともに、イオングループの北海道における小売事業を担う企業として、グループ基盤をフルに活用し、お客さまに安全・安心で魅力的な商品・サービスを提供し続け、北海道にこだわり、北海道の発展に貢献していくことが役割であると考えております。そのために、お客さまの視点に立った小売業を営むことを経営の基本とし、各店のエリア・マーケットに基づく地産地消を中心とする地域に密着した売場づくり・品揃え・販売を徹底的に推進してまいります。そして、『北海道でNo.1の信頼される「お店」にしていく』ことの実現に向け、更なる成長と発展を図ってまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社が目標とする経営指標としては、売上高営業利益率を重視しております。スケールメリットによる値入率の改善に加え、自社開発商品の強化や、道内各地域それぞれに合わせた商品・売場への見直しにより、売場効率と商品在庫効率を高めてまいります。また、デジタルテクノロジーを活用した売場や後方作業の自動化やオペレーション改革をすすめローコスト運営を追求することで、営業利益の安定的確保を目指してまいります。そして食を中心に新規出店や既存店の活性化をすすめ、成長戦略の推進を図ってまいります。併せてROEの向上を目指し、経営効率を高め、企業価値の向上を図ってまいります。
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
新型コロナウイルス禍から徐々に経済社会活動の正常化が進んできており、外出関連を中心とした個人消費の回復が期待される一方で、ロシア・ウクライナ戦争や円安等の影響によるエネルギーコストや原材料価格の高騰、物価上昇などが、お客さまの家計の大きな負担となっています。そして、これらの価格高騰は、お客さまの商品購入価格に対する感度が更に高まることが予想されるとともに、当社においては、コストの増加基調に伴い経営環境が厳しくなることが懸念されます。
当社は、全国より早い少子高齢化と人口減少、市場の縮小や労働力の不足など、北海道における経営環境の本質的な課題に対する中長期的な経営戦略として、「食」を基軸に便利で楽しく、健康な毎日の暮らしをお手伝いする北海道のヘルス&ウエルネスを支える企業をありたい姿とし、中期経営計画をすすめております。その実現のためにも、この環境の変化に対応すべく収益構造の改革に注力し安定した収益基盤を確保して、事業基盤の強化に取り組んでまいります。
(4)対処すべき課題
当社は、中長期的な経営戦略を推進するために、中期5ヵ年経営計画(2021-2025)の4つの方針に沿って、施策をすすめております。特に、インフレ等当初想定を上回る環境変化が発生している現状を踏まえ、翌事業年度は収益力の向上につながる取り組みを強化してまいります。
①商品と店舗の付加価値向上
当社に対してお客さまが期待する価値を実現すべく、事業の核である商品と店舗の付加価値を上げ、地域一番の商品力、地域一番の便利な店の実現を目指します。
商品においては、食品の強化を最重点とし、安全・安心、鮮度、美味しさ、バリューを追求すべく、魅力ある自社商品の開発と、産地と連携した地場生鮮品を強化いたします。前事業年度に新設したイオン石狩PC(プロセスセンター)での開発商品の製造・供給によりサプライチェーンの強化を図るとともに、店舗作業の削減による効率化に取り組んでまいります。また、お客さまの生活防衛意識の高まりから、グループのプライベートブランドであるトップバリュ商品の品揃えを強化してまいります。また、翌事業年度は引き続き食品の強化をすすめるとともに、GMS店舗の改装等により衣料及び住居余暇商品の競争力と効率を高め、収益力を高めてまいります。
店舗においては、当事業年度にDS、SM、まいばすけっと各1店舗を新規出店いたしましたが、翌事業年度も品揃えや店舗機能を進化させながら新業態の開発もすすめ、SM3店舗を出店いたします。店舗機能ではお客さまの利便性と業務効率の向上を両立すべく、セルフレジをはじめとする店舗のデジタル化を加速してまいります。セルフレジは小型店を除く全店の7割以上に導入し、翌事業年度にはほぼ完了する計画です。Eコマースの店舗受取サービスの拡充などと合わせ、店舗機能を更に高め、引き続き便利でストレスフリーな店づくりをすすめてまいります。また、ネットスーパーでは、急激に高まるお客さまニーズにお応えすべく、引き続き品揃えと受注配送キャパシティ、地域ニーズ対応の店舗型拠点を拡充し、成長市場の取り込みを図ってまいります。
②顧客化の推進
お客さまニーズの変化やテクノロジーの進化により、販売チャネルの多様化や広告媒体の新旧交代が急激にすすむ中、お客さまと更なる絆を結ぶための新たな顧客戦略をすすめております。販売チャネルやキャッシュレス決済などの様々な顧客接点を強化するとともに、そこで得られるデータを利活用して一人ひとりのお客さまに最適な商品とサービスを提案・提供するためのOne to Oneマーケティング体制を構築し、イオンファンを増やしてまいります。当事業年度では、重要な顧客接点となるイオンのトータルアプリ「iAEONアプリ」会員の拡大と利用促進を図りましたが、翌事業年度は「iAEONアプリ」スマホ決済機能である「AEON Pay」の機能を拡充するなど、お客さまの利便性の更なる向上を図ってまいります。
③地域との連携
地域と共に地域課題の解決に取り組み、地域になくてはならない店と住み良いまちを実現するために、地域行政と協働し、防災・福祉・環境保全の推進や、「ご当地WAON」などを活用した商品・観光の振興など、双方が持つ資源を有効に活用するための協定を締結し、様々な取り組みを通じて地域経済の活性化や生活サービスの向上などに取り組んでまいります。また、有事の際も社会インフラの役割を果たし、地域のお客さまのくらしを支えるべく、当社店舗が所在するすべての市町村と防災協定を締結しており、今後も事業継続に備える取り組みを積極的に進めてまいります。環境保全においては、脱炭素の取り組みを最重点に、引き続きCO2排出削減、排出プラスチックの削減、食品廃棄物の削減に取り組んでまいります。
④収益構造の改革
成長を支える強固な経営基盤づくりとして、収益構造の改革をすすめております。グループのスケールメリットの活用や独自商品の開発・拡販等により値入改善をすすめるとともに、更なる成長が見込める高粗利部門の売上高構成比を高め粗利益率の改善を図ってまいります。また、デジタルテクノロジーを活用した省人省力化施策やプロセスセンターを活用し、人時生産性を高めるとともに、先行して実施した省エネ投資や省人・省力化投資の効果を最大化し、喫緊の課題である人件費や光熱費等の経費高騰に耐えうる収益構造を確立し、中期経営計画の実現を目指してまいります。