有価証券報告書-第42期(平成28年3月1日-平成29年2月28日)

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2017/05/31 13:26
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におきましては、「1000日全員実行プロジェクト」を立ち上げ、次世代コンビニエンスストアモデルの構築に向け、事業活動を展開してまいりました。高齢化や核家族化などによる、マチ(地域)のニーズの変化や、業界再編の動きなどもあり、コンビニエンスストア業界は大きな変化に直面しています。当社は、当期からの3年間を重要な節目ととらえ、「1000日全員実行プロジェクト」のもと、小商圏型製造小売業としてのビジネスモデルを進化させ、従来にないレベルに店舗生産性を高めることにより、お客さまの生活全般のニーズを満たす「マチの暮らしにとって、なくてはならない存在」を目指してまいります。
また、三菱商事株式会社による当社普通株式の公開買付けが完了し、同社が当社の総株主等の議決権の過半数を所有することになったため、当社は2月15日付で同社の連結子会社となりました。同社は、当社の上場及びその経営の自主性を維持しながら連携を強化する方針です。引き続き、当社は、独立した上場会社としての適切なガバナンスと、三菱商事グループ各社とのシナジー効果を最大限実現できる体制づくりを目指してまいります。
なお、2016年度内部統制基本方針に基づき、当社グループ全体の内部統制の充実と事業リスクへの対応にも注力してまいりました。今後ともより一層、内部統制の充実を図ってまいります。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(国内コンビニエンスストア事業)
国内コンビニエンスストア事業につきましては、様々なお客さまに日常づかいのお店としてご来店いただけるように、プライベートブランド「ローソンセレクト」商品の拡充や、既存店舗の改装、広告販促費の積極投入などを進め、品揃え強化に取り組んでまいりました。
[店舗運営の状況]
店舗運営につきましては、3つの徹底(①心のこもった接客②マチのニーズに合った品揃えの徹底③お店とマチをきれいにする)の強化に加えて、要冷機器及び冷凍平台ケースの増設や、棚を高くして棚段数を増やすなど、既存店舗の改装を積極的に推し進め、惣菜や冷凍食品、調味料などの品揃えを充実させました。
[商品及びサービスの状況]
商品につきましては、日配食品や冷凍食品など日常的に購入されるカテゴリーを中心とする「ローソンセレクト」の品揃えや、和惣菜やサラダなどデリカカテゴリーの品揃えの充実を図りました。加えて、お客さまの健康に配慮した商品の販売にも注力いたしました。例えば、積極的に野菜を摂取できる商品として、ナチュラルローソンブランドの「グリーンスムージー」が女性や健康志向の強いお客さま層を中心に多くのご支持をいただいているほか、1日の必要量の約1/2の野菜が摂れる「肉野菜炒め弁当」も人気を集めました。また、カウンターファストフードでは、従来の焼鳥より重量を約20%増やした、ローソン史上最も大きい「でか焼鳥」を1月に発売し、多くのお客さまから好評を得ております。
全国23か所で展開しているローソンファームは、当社グループの店舗やオリジナル商品の工場へ安全で新鮮な野菜や果物を供給する役割を担っております。当社はローソンファームの適切な農場管理体制を構築するため、農業生産工程管理手法「JGAP」の認証に取り組んでおり、7月には、当社とローソンファーム社長会の取り組みがGAP*1の普及に最も貢献した取り組みとして、アジアGAP総合研究所が主催する「GAP 普及大賞2016」を受賞いたしました。引き続き、当社グループでは、このような取り組みを通じて、安全・安心な商品の提供に努めてまいります。
これらの商品強化のほかにサービスの強化も行っており、「ギフトカード」*2の取扱高は、引き続き堅調に推移しております。
また、1月から世界最大級のモバイル決済サービス「支付宝(Alipay)」と、コミュニケーションアプリ“LINE”内にある送金・決済サービス「LINE Pay」のバーコード決済の取扱いを、業界で初めて全店舗で開始いたしました。
販売促進施策につきましては、ローソンセレクトの冷蔵・冷凍食品各種やカウンターケース内の一部商品が10%引きになる「ローソン得市!」を毎月開催し、お買い上げ点数の向上に努めました。また、「おにぎり100円セール」やエンタテイメント分野の強みを生かした「E-girls」や「三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE」などの「スピードくじ」、Ponta会員限定の夕夜間ポイント5倍キャンペーンなど、集客効果の高い施策も展開いたしました。
*1 GAP:Good Agricultural Practice (農業生産工程管理手法)
*2 ギフトカード:インターネット上での決済に使用することのできるプリペイドカードの総称
⦅国内コンビニエンスストア事業の商品別チェーン全店売上高⦆
商品群別前連結会計年度
(自 平成27年3月1日
至 平成28年2月29日)
当連結会計年度
(自 平成28年3月1日
至 平成29年2月28日)
前期比(%)
売上高(百万円)構成比率(%)売上高(百万円)構成比率(%)
加工食品1,033,44852.71,073,04452.5103.8
ファストフード463,43123.7481,26723.6103.8
日配食品276,88614.1294,14114.4106.2
非食品186,4999.5194,8339.5104.5
合計1,960,266100.02,043,287100.0104.2

(注) 上記表は、株式会社ローソンと株式会社ローソン山陰の合計となります。
また、「ローソン・スリーエフ」及び「ローソン・ポプラ」が含まれております。
[店舗開発の状況]
出店につきましては、引き続き収益性を重視した店舗開発に努めました。
他チェーンとの提携につきましては、株式会社セーブオンと、前期に締結したメガフランチャイズ契約に基づき、山形県・福島県・茨城県で展開する「セーブオン」54店舗を、順次「ローソン」店舗に転換いたしました。さらに、第4四半期には、群馬県・栃木県・新潟県・埼玉県・千葉県においてもメガフランチャイズ契約を締結いたしました。同地区にある「セーブオン」503店舗(12月末現在、長野県2店舗含む。)を、平成29年夏頃から平成30年中に順次「ローソン」店舗に転換する予定となっております。
また、株式会社スリーエフとの間では、2月までに23店舗の「スリーエフ」を「ローソン」店舗に転換したほか、9月に設立した合弁会社「株式会社エル・ティーエフ」が、「スリーエフ」から「ローソン・スリーエフ」に転換された89店舗(当期末現在)を展開しております。
一方、株式会社ポプラとの間では、両社の共同出資となる「株式会社ローソン山陰」が、鳥取・島根地区でのエリアフランチャイズ事業を開始いたしました。同社は、株式会社ポプラが展開するコンビニエンスストアのうち「ローソン・ポプラ」へのブランド移行を希望した店舗と、当社鳥取支店・島根支店の店舗を統合し、当期末現在で287店舗(うち「ローソン・ポプラ」56店舗)を展開しております。
さらに、調剤薬局、ドラッグストアチェーンとの提携により、一般用医薬品や化粧品、日用品などの品揃えを加え、通常のローソンよりも多くの商品を取り揃えたヘルスケア強化型店舗を継続して展開しております。このようなヘルスケア強化型店舗も含めた一般用医薬品の取扱店舗数は、当期末現在で157店舗(うち、調剤薬局併設型店舗数は41店舗)となりました。また、介護相談窓口併設型店舗数は、7月に広島県で初のケア(介護)拠点併設型店舗となる「ローソン呉広長浜店」を加え、当期末現在で9店舗となりました。引き続き、高齢化や健康意識の高まりなどに対応したコンビニエンスストアモデルの構築にも取り組んでまいります。
「ローソンストア100」につきましては、前年度に引き続き、適量・小分けで税抜き価格が100円という商品の構成比を高めるなど、バリューニーズに対応するとともに、お客さまからのご支持が高かった青果の販売を強化いたしました。その結果、当連結累計期間の既存店売上高は前年を上回る実績となりました。
なお、当連結累計期間における「ローソン」「ナチュラルローソン」「ローソンストア100」の国内の出店数は1,108店舗、閉店数は413店舗となり、当期末現在の国内総店舗数は12,575店舗となりました。*3
また、当期末現在で、持分法適用関連会社である株式会社ローソン高知が高知県で展開する「ローソン」が135店舗、株式会社ローソン南九州が鹿児島県で展開する「ローソン」が191店舗、株式会社ローソン沖縄が沖縄県で展開する「ローソン」が210店舗あります。
*3 出店数、閉店数、国内総店舗数は、いずれも株式会社ローソンと株式会社ローソン山陰の合計です。
⦅国内店舗数の推移⦆
平成28年2月29日
現在の総店舗数
期中増減平成29年2月28日
現在の総店舗数
ローソン10,93769911,636
ナチュラルローソン1347141
ローソンストア100809△11798
合計11,88069512,575

(注) 上記表は、株式会社ローソンと株式会社ローソン山陰の合計となります。
また、「ローソン・スリーエフ」及び「ローソン・ポプラ」が含まれております。
⦅国内地域別店舗分布状況(平成29年2月28日現在)⦆
地域店舗数地域店舗数地域店舗数地域店舗数
北海道637茨城県193京都府328愛媛県214
青森県234東京都1,588滋賀県154徳島県134
秋田県188神奈川県872奈良県128福岡県473
岩手県169静岡県256和歌山県137佐賀県68
宮城県227山梨県122大阪府1,048長崎県106
山形県105長野県173兵庫県663大分県176
福島県130愛知県629岡山県172熊本県145
新潟県148岐阜県164広島県199宮崎県104
栃木県157三重県131山口県122国内合計12,575
群馬県115石川県104鳥取県137
埼玉県599富山県186島根県149
千葉県550福井県110香川県131

(注) 上記表は、株式会社ローソンと株式会社ローソン山陰の合計となります。
また、「ローソン・スリーエフ」及び「ローソン・ポプラ」が含まれております。
[その他]
ホームコンビニエンスの取り組みにつきましては、ローソン店舗を拠点とした注文・受取り・宅配サービス網を活用する「オープンプラットフォーム」の構築を進め、お客さまの利便性の向上に努めました。
物流の取り組みにつきましては、冷蔵・冷凍・常温の3つの温度帯を統合した物流センターを3月から稼働いたしました。同センターの自社運営の取り組みなどを通じて、サプライチェーン全体のさらなる効率化や店舗生産性の改善を目指してまいります。
「ローソン型次世代コンビニエンスストア」のモデル構築の取り組みにつきましては、「ローソンパナソニック前店」(大阪府守口市)において、RFID(電子タグ)を使用した、業界初となる完全自動セルフレジ機「レジロボ®」の実証実験を行いました。将来的には、精算時のスキャン登録をなくしたスピーディな精算により、お客さまの利便性の向上と複雑化する店舗業務の効率化を目指し、生産性革命を進めてまいります。
これらの結果、国内コンビニエンスストア事業の営業総収入は4,246億8百万円(前期比6.5%増)、セグメント利益は598億65百万円(同0.2%減)となりました。
(成城石井事業)
食にこだわる高品質スーパーマーケット「成城石井」の直営店舗数は、当期末現在で132店舗となりました。売上は引き続き好調に推移し、4月には、アトレ恵比寿西館に「成城石井」と「Le Bar a Vin 52」の一体型店舗を初めてオープンいたしました。商品につきましては、新たにプライベートブランド「desica (デシカ) 」を立ち上げ、その販売は好調に推移しております。また、「成城石井」で販売しているワインの「ナチュラルローソン」での展開や、菓子の共同輸入、ナッツ、カップスープなどの共同開発など、国内コンビニエンスストア事業との協業を推進いたしました。引き続き、2月に創業90周年を迎えた株式会社成城石井のブランド力や企業価値の向上に努めるとともに、同社が持つ商品開発力、製造小売業としてのノウハウ、販売手法などの強みを国内コンビニエンスストア事業の強化に繋げてまいります。
これらの結果、成城石井事業の営業総収入は858億24百万円(前期比24.4%増)、セグメント利益は69億11百万円(同37.2%増)となりました。なお、株式会社成城石井は当期において決算期を変更しております。決算期の変更に伴い、セグメント利益は14か月分の集計を行っております。
(エンタテイメント関連事業)
エンタテイメント関連事業の中核をなす株式会社ローソンHMVエンタテイメントは、引き続き業界トップクラスのチケット取扱高を維持するとともに、音楽CD、DVD等を販売する「HMV」は、アナログレコードとCDの中古専門店「HMV record shop」の2店舗目を新宿にオープンし、好評を得ております。当期末現在のHMVの店舗数は55店舗となりました。今後ともエンタテイメント事業の領域を拡大するなど、これまで以上にお客さまのニーズに応える商品、サービスの充実を図ってまいります。また、ユナイテッド・シネマ株式会社は、4月に、映画を鑑賞しながら、食事を楽しむ新しいスタイルの映画館「プレミアム・ダイニング・シネマ」を日本で初めて福岡市にオープンいたしました。当期末現在では、全国38サイト、340スクリーンの映画館(運営受託を含む)を展開しております。
これらの結果、エンタテイメント関連事業の営業総収入は729億36百万円(前期比2.8%減)、セグメント利益は39億88百万円(同2.1%減)となりました。
(その他の事業)
当社グループには、上記以外に、海外事業、金融サービス関連事業などがあります。
海外事業につきましては、中華人民共和国、タイ、インドネシア、フィリピン、米国ハワイ州におきまして、各地域の運営会社が「ローソン」店舗を展開しております。
中華人民共和国におきましては、日系のコンビニエンスストアとして初めて上海に進出してから7月で20周年を迎えており、5月には、湖北省武漢市に新たに進出いたしました。また、2月には、中華人民共和国内の店舗数が合計で1,000店舗を突破いたしました。
⦅海外地域別ローソンブランド店舗分布状況⦆
出店地域平成28年2月29日
現在の総店舗数
期中増減平成29年2月28日
現在の総店舗数
中国 上海市と
その周辺地域
458207665
中国 重慶市11026136
中国 大連市532982
中国 北京市341448
中国 武漢市-7272
タイ473885
インドネシア38△236
フィリピン161430
米国 ハワイ州2-2
合計7583981,156

金融サービス関連事業を営む株式会社ローソン・エイティエム・ネットワークスは、ローソン店舗などへのATMの設置台数が増加いたしました。新たな金融機関との提携も推し進め、当期末現在でサービスを提供している金融機関数はネット銀行も含め全国で87金融機関(前期末比7金融機関増)、全国のATM設置台数は11,912台(前期末比711台増)となりました。また、11月には、これまで展開してきた金融サービスを基盤とし、関係当局の許認可等を前提に銀行の設立準備を進めるため、ローソンバンク設立準備株式会社を設立いたしました。
これらの結果、その他の事業の営業総収入は551億47百万円(前期比17.5%増)、セグメント利益は29億99百万円(同12.5%減)となりました。
(社会・環境への取り組み)
環境負荷を低減するための取り組みとして、ローソン店舗のみならず、サプライチェーン全体において、省エネルギー・省資源・廃棄物削減を進めてまいりました。特に、店舗の電気使用量の削減のため、「ノンフロン(CO2冷媒)冷凍・冷蔵システム」の導入を推し進め、当期末までに約2,000店舗に導入いたしました。これにより、従来の機器を使用していた場合に比べ、1店舗当たりの電気使用量を約12%削減することができます。このシステムを軸にした省エネパッケージモデルの実用化により、「平成32年度の1店舗における電気使用量を平成22年度に比べ20%の削減」を目指してまいります。さらに2月には、「スマートエネルギーストア」を目指す最新の環境配慮モデル店舗を、東京都小平市にオープンいたしました。この店舗は、経済産業省の「バーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業」の採択をコンビニエンスストアで初めて受け、IoT化による機器の遠隔制御・節電を通じて、電力リソースの創出を図る実証事業を行っています。
廃棄物の削減につきましては、商品の発注に「セミオート(半自動)発注システム」等を導入し、発注精度の向上に努めております。また、店舗の売れ残り食品や廃食油のリサイクルに努め、売れ残り食品は飼料や肥料に、廃食油はバイオディーゼル燃料等に再生しています。特に鳥取県では、境港市の店舗から発生する売れ残り食品を堆肥に加工し、それを「ローソンファーム鳥取」で活用して、おでんの大根を生産しています。
社会貢献活動につきましては、「ローソングループ“マチの幸せ”募金」の活動を継続するとともに、熊本地震や台風10号災害、新潟県糸魚川市大規模火災等の災害時における募金活動も行いました。
当社グループはこれからも、社会の一員として、FC加盟店、お客さま及びお取引先さまと一緒に社会・環境の課題解決に向けた取り組みを推進してまいります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ21億1百万円減少し、676億92百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の増減額、仕入債務の増減額の増減影響などにより、前連結会計年度と比べ123億40百万円減少し、998億64百万円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出の増加、無形固定資産の取得による支出の増加などにより、前連結会計年度と比べ75億70百万円減少し、△762億27百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額の増加などにより、前連結会計年度と比べ245億63百万円増加し、△256億38百万円となりました。