有価証券報告書-第76期(2025/03/01-2026/02/28)

【提出】
2026/05/26 12:30
【資料】
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【項目】
180項目
② 戦略
気候変動による事業へのリスクを予防・軽減、適切に管理・対応し、将来に渡るビジネスへの財務影響を最小限にすることを目的に中長期的な戦略を策定しています。戦略策定の一環として、売上の約90%を占めるアパレル・雑貨関連事業に関して、2050年までのリスクと機会を2℃シナリオと4℃シナリオに別けて分析しています。特に重要性が高いと評価したリスクと機会については、気候変動による事業及び財務への影響を定量的に試算しています。
2℃シナリオ
分類要因事業へのインパクト








カーボンプライシングの導入炭素税等の導入によって化石燃料の調達コストが増加し、生産・物流・店舗営業等のコストが増加するリスク
再生可能エネルギーの調達競争の激化再生可能エネルギーの調達競争に優位に立てなかった場合、価格合理性の低い再生可能エネルギーを調達することによってコストが増加、又は再生可能エネルギーの確保ができなくなるリスク
環境指標における情報開示の厳格化情報開示に対応できずESG評価が下がる、又は対応コストが増加するリスク
商品の環境負荷値をLCA(ライフサイクルアセスメント)で評価されることが義務化された場合、トレーサビリティの確保が困難、又は確保に時間とコストがかかるリスク
環境負荷の高い素材に対する使用規制商品の原料、付属品、包装資材等の見直しにより環境配慮型素材を使用することで調達コストが増加するリスク
拡大生産者責任の高まりによる、販売数量に応じた衣料品回収の義務化衣料品回収活動の回収量が増えることに伴い、資源再生コストが増加するリスク

お客様による環境志向の高まり(環境負荷の少ない商品を好まれるようになる)ニーズに対応できない場合、売上が低下するリスク
お客様の購買行動の変化(新しく衣服を購入することが少なくなる)小売以外のサービス・事業が拡大しない場合、売上が低下するリスク

ESG投資の拡大取り組みが不十分だった場合、ESG評価によりレーティングが低下し、資本調達コストが増加するリスク
学生など将来世代の価値観の変化(サステナビリティに注力する企業を就職先として選択する)当社グループの取り組みが不十分だった場合、採用が困難となり採用のためのコストが増える、又は人員不足により事業自体が継続できなくなるリスク




EC購買率の拡大スタッフボードの活用やインスタグラムのライブ配信など、ECの売上が拡大
店舗内装投資や保証金、敷金など、資産の保有を抑えてアセットライトな経営へとシフト
学生など将来世代の価値観の変化(サステナビリティに注力する企業を選択する)当社グループのサステナビリティへの取り組みが評価され、優秀な人材を獲得しやすくなる
拡大生産者責任の高まりによる、販売数量に応じた衣料品回収の義務化衣料品回収活動「Play Cycle!」によって衣料品を回収・循環させる仕組みを構築しており、対応のための追加コストが僅少、また効率の良い衣料品回収が可能







お客様による環境志向の高まり(環境負荷の少ない商品を好まれるようになる)環境に配慮した商品やサービスが支持され、売上が拡大
環境配慮型素材へのニーズの高まりと素材開発部による独自素材の開発環境配慮型素材の需要が高まり、素材開発部によるBtoB事業の売上が拡大
環境負荷低減を目的とした3DCG等の新技術の活用商品の企画効率が上がり、トレンド性ある商品をスピーディーに生産できるため、売上が拡大

サーキュラーエコノミー市場の拡大オフストア店舗でのリセール展開を含むサーキュラー事業等、サーキュラーエコノミー型ビジネスの拡大による事業機会の獲得





再生可能エネルギープログラムへの参加及び省エネ対策の採用安価で質の高い再生可能エネルギー・水素の調達により、エネルギーコストの削減、企業イメージの向上


4℃シナリオ
分類要因事業へのインパクト






大規模な自然災害による店舗の休業店舗が営業できないことによって売上が低下するリスク
大規模な自然災害によるサプライチェーンの断絶納品遅れ、商品破損等により在庫が不足し売上が低下するリスク


気候パターンの変化気候の変化から商品企画やお客様のニーズを予測することが困難となり、当社がニーズに対応できない場合、売上が低下するリスク







気候パターンの変化気温の上昇に対応した素材開発や商品企画が行えた場合、当社グループの市場シェアが拡大

気候変動に関するリスク・機会への対応戦略
衣料品の原材料は綿、羊毛、木など自然資本に依存するものが多く、気候変動がサプライチェーンに及ぼす影響とその適応策について、2℃シナリオ、4℃シナリオのそれぞれで明らかにしています。
・2℃シナリオ:21世紀末の世界平均気温が産業革命以前と比べて1.6~1.9℃上昇する世界であり、脱炭素経済活動が活発化し、規律型社会への移行が進みます。各国政府の炭素排出規制が強化されることで、当社の温室効果ガスに関連する排出責任と環境対策がバリューチェーン全体に拡大し、コストの上昇が予想されます。環境意識の高まりが消費者の行動変容につながり、売上にも影響を及ぼすと想定されます。当社は素材開発、生産地域の分散化、省エネ・節水など環境に配慮された生産体系を構築するとともに、ポートフォリオの多様化で持続可能な事業成長を図ります。
・4℃シナリオ:21世紀末の世界平均気温が産業革命以前と比べて3.5~3.9℃上昇する世界であり、地球温暖化が著しく進行します。自然災害の発生頻度の増加とその被害が深刻化し、衣料品や食料の入手が不安定になる可能性が高まります。このような状況の中で、当社グループは安定した事業を継続するため、中国やASEAN諸国を中心とした原材料調達、生産背景、ロジスティクスの分散・多角化を図ることで、強靭なサプライチェーンを構築し事業運営におけるリスクを軽減します。
これらの分析結果を受け、2℃と4℃、どちらのシナリオが現実化した場合においても、事業レジリエンスを保ちながら、持続可能な成長が可能と考えています。
気候移行計画が依って立つ主要な前提及び依存条件
アパレル事業の主要原料である綿花やウールなどの天然素材は気候影響を大きく受けます。また、ポリエステルのような石化由来原料については資源枯渇のリスクに晒されています。例えば、私たちは綿花の栽培で消費される大量の水資源、多量の農薬使用、児童労働、債務労働といった環境・社会リスクが潜在していることを認識しており、地球温暖化や生物多様性への影響、人権問題などに取り組む必要があります。これら原材料は当社グループのビジネスにとって不可欠であり、もしも公正で倫理的な調達活動への対応が遅れた場合、ブランドイメージが毀損し、売上が低下するリスクがあります。そのため、CSRモニタリングを気候移行計画の重要な施策のひとつに位置づけ、レピュテーションリスク発生の防止に取り組んでいます。また、地方や郊外、都心といった地理的格差による購買機会の差異、豪雨や豪雪など局地的な気象変化による購買機会ロスを軽減させることを目的に、EC購買を拡充しています。さらに、気候変動による環境影響への関心の高まりを受けて、環境に配慮した商品やサービスが支持され、売上が拡大すると予測しています。そのため、環境配慮型素材の導入、気温上昇に対応した快適な機能性素材の開発、環境負荷低減を目的とした新技術の活用などを行い、ファッショントレンドはもちろん、機能性・利便性・環境配慮を兼ね備えた商品をスピーディーに生産し市場で展開できるサプライチェーンを構築します。
アパレル小売ビジネスにおいては以下のような依存関係があります。
・サプライヤーとの関係:アパレル事業は、多くのサプライヤーとの関係を有しています。サプライヤーは主に、製品の製造や素材の調達に関与しており、気候変動への対応や持続可能な製造プラクティスのノウハウ導入に協力する必要があります。気候移行計画では、サプライヤーとのコラボレーションや持続可能なサプライチェーンの構築が重要な要素となり得ます。
・エネルギー使用と排出量:製品の製造や輸送において多くのエネルギーを使用し、CO2などの温室効果ガスを排出しています。気候移行計画では、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの導入や排出量の削減策の実施が重要であり、排出量の計測や報告、削減目標・指標を設定します。
・持続可能な素材の使用:アパレル事業では、石油由来の合成繊維や化学物質を多く使用しています。気候移行計画では、持続可能な素材の使用を促進することが重要であり、オーガニックコットンや再生繊維の利用、化学物質の削減や代替品の採用などが挙げられます。
・消費者の意識と需要:消費者の意識や需要も気候移行計画に関連しています。持続可能な製品やブランドへの需要が高まることで、アパレル事業での気候変動対応を促進する契機となり得ます。消費者への情報提供や啓発、持続可能な製品の開発やマーケティングなどを進めます。
気候移行計画の策定に関するリソースとして、以下を想定します。
・専門知識と技術:気候変動や持続可能性に関する専門知識や技術が必要であるため、エネルギー管理や排出量計測の専門家、持続可能な素材の研究開発者、サプライチェーン及び生産技術の知見を有する専門家などを社内外で確保すべきと認識しています。
・データと分析:気候変動の影響や排出量の計測、持続可能な素材の調達などに関するデータシステムと分析が必要であり、これにより現状の評価や目標の設定、進捗のモニタリングが可能となります。
・ファイナンス:気候移行計画の実行には資金が必要であり、資金調達や助成金の活用、持続可能なビジネスモデルの開発などがこれに関連します。
・パートナーシップとコラボレーション:アパレル事業は、サプライヤーや他企業、NGO、政府機関などとのパートナーシップが重要であり、共同プロジェクトの推進、ベストプラクティスの共有などを行います。
財務インパクト評価
[移行リスク]
項目財務
インパクト
時間軸可能性事業へのインパクト2℃4℃
カーボン
プライシング制度
間接費
の増加
中期高い化石燃料の調達コストが増加し、生産・物流・店舗営業等の経費が増加する可能性があります。
現在の店舗営業に関わるScope1・2排出量に対して炭素税が課されたと仮定すると、財務影響額は全店舗排出量:27,192t-CO2×120米ドル/t=3,263,040米ドル、日本円で約300~400百万円のコスト増の影響が出る可能性があります。
約300~400百万円
(年間)
炭素税は
導入されないと想定

※算出前提:120米ドル/t-CO2(IEA「World Energy Outlook2021」より試算)、2030年時点
[物理的リスク]
項目財務
インパクト
時間軸可能性事業へのインパクト2℃4℃
洪水店舗休業に
伴う
売上減少
短期高い気候変動に起因する洪水等の浸水リスクにより店舗休業を余儀なくされ、売上が減少する可能性があります。2021年度においては大雨の影響により、福山、鳥取、平塚にある3店舗の営業時間短縮の影響が発生しました。
同地域の洪水ハザードマップによると、0.5m~3m未満の浸水予想となっており、実際浸水した場合には3店舗合計で最大67.6日間の休業を余儀なくされ、売上に対して27百万円の影響が出る可能性があります。気候変動が進行した場合、日本においては洪水発生頻度が4倍に至ると想定されており、108百万円の影響がでる可能性があります。
59百万円108百万円

※算出前提:2021年度の浸水店舗の実績を用いてハザードマップ及び国土交通省「治水経済調査マニュアル」より試算

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