有価証券報告書-第27期(2021/11/01-2022/10/31)

【提出】
2023/01/26 11:14
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは『食の戦前回帰』を企業理念とし、添加物を含まない、素材そのものの味わいを求め、「食」が安心・安全だった戦前のバランスの取れた理想的で健康的な食生活を取り戻すという理念のもと、創業以来全食材から『四大添加物(化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料)』を完全に排除した商品を開発・提供してまいりました。
当社の企業理念“食の戦前回帰”を貫くことが、「食の本来あるべき姿をお客様に提供する」こととなり、社会に貢献できるものと考えております。さらには、日本の食文化の代表である寿司を通して、世界の人々の幸せに貢献できる企業を目指してまいります。
(2)経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に係るまん延防止等重点措置が2022年3月に終了し、感染症対策としてワクチン接種が進んだものの、新たな変異株(オミクロン株)による感染拡大など、前期に引き続き厳しい状況が続きました。また、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化によるエネルギー価格や原材料価格の上昇に急激な円安の進行も加わり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
(3)目標とする経営指標
当社は、2024年10月期を最終年度とする「中期経営計画」を公表しております。計画の基本方針は、「コロナ禍をいち早く乗り越え、国内事業を安定的な成長軌道に戻し、海外事業の拡大を積極的に進める3ヶ年とする」とし、連結売上2,200億円、連結経常利益率5%以上、海外売上比率20%以上を目標値として設定しております。
(4)中長期的な会社の経営戦略
競合他社との差別化を図り、「くら寿司」ブランド認知を推し進め、回転すし業界の中で確固たる地位を築いてまいります。出店形態は直営店のみとし、地域間格差のない均一の品質・サービス等を提供できる体制の構築を図っております。また、より一層人材の育成を行い、さらなる店舗運営システムの向上を図るとともに、費用対効果を追求し、経営基盤の強化、業績の向上に努めてまいります。さらに、世界の人々に日本の食文化のすばらしさを伝え、幸せに貢献するため、蓄積してきたノウハウと、ゆるぎない企業理念をもって海外展開を加速してまいります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の外食産業は、エネルギー価格や原材料価格の上昇によるインフレの進行により、消費者の節約志向が強まり、外食産業には厳しい経営環境が続くものと予想されます。
また、引き続き新型コロナウイルス感染症の感染拡大抑止への徹底的な対応が求められ、お客様の感染症に対する懸念は当面継続するものと考えております。当社では「スマートくら寿司」や抗菌寿司カバー「鮮度くん」などの高いレベルの感染症対策を進めてまいります。また、全ての食材から化学調味料等『四大添加物』の除去等、安全で高品質な商品の提供を徹底することにより、競合との一層の差別化を進めてまいります。
① 効率的な店舗運営
“安心・おいしい・安価”そして“楽しい”食事を提供し続けるため、コストパフォーマンスの向上に取り組み、AIの導入などさらにIT化を推進するとともに、アミューズメント機能を充実させ、顧客満足度を高めてまいります。ますます多様化するお客様のニーズを敏感に捉えた商品・サービスの提供を迅速かつ確実にするためにDXへの取り組みを強化してまいります。
② 出店戦略
「くら寿司」ブランドを広く認知していただけるよう出店地域の拡大を図りつつ、出店条件の厳格化及び一層のコスト削減に取り組みます。今後につきましては従来手薄であった都市部への出店も強化してまいります。
次期の国内出店は25店舗以上、アメリカにおいて9~11店舗、台湾につきましては5~10店舗の出店を予定しております。
③ 顧客満足度の向上
入店から退店までお客様が従業員と接することなく飲食できるセルフ会計やセルフレジを備えた「スマートくら寿司」を全店に導入し、感染症対策を強化するとともにお客様の利便性を向上いたしました。引き続きサービスの改善による顧客満足度の向上を図ることにより、来店客数の増加、既存店売上高の維持・向上に努めてまいります。
④ 人材の確保・育成
競争が激化する外食産業におきましては人材の確保・育成が重要な課題と認識しております。「貝塚事務所」におきましては、“教育日本一企業”を目指し、社長が講師を務める“社長塾”をはじめ、パート・アルバイト従業員を対象にした研修会を実施しております。また、各分野に精通したプロフェッショナル人材の積極的な中途採用も行っております。さらに海外展開に対応したカリキュラムも充実させ、台湾子会社の社員研修を貝塚事務所で行うなど、グローバルな人材育成にも注力してまいります。
⑤ 商品戦略
日本固有の食文化である寿司をベースに食の可能性を追求し、高付加価値商品の開発と既存商品の価値拡大に努めます。日本の漁業の持続性を念頭に多くの漁協様と連携し、海に囲まれた日本の天然魚を消費者に届け、商品競争力を向上させることによって、成熟市場の中でシェアの拡大及び収益の向上を図ってまいります。
⑥ ESGの取り組み
多くの魚介類を取り扱い、飲食インフラの一端を担う企業として、水産資源の保全と漁業の持続的な発展に貢献すべく、水産事業者との協力や養殖事業への参入を通じて安定的・持続的な魚介類の調達を目指します。高品質でリーズナブルな商品の提供により他社との差別化を目指します。また、子供たち向け体験型出張授業の更なる取り組み拡大を通じて、日本の「魚食文化」を守り、子や孫の代までおいしいお寿司が食べられる持続可能な社会づくりに貢献してまいります。
⑦ 海外戦略
当社グループは現在、米国及び台湾において子会社を設立し、それぞれ現地株式市場に上場しております。「海外での出店を促進し、日本の食文化を世界に広げる」との考えのもと、新たな成長のため、日本で築き上げたフォーマットを海外に移植し、積極的に海外展開を行ってまいります。
今後も、上記課題を克服し、高付加価値を生み出す企業体質を構築していくことで、全てのステークホルダーの皆様のご期待に応えてまいります。