有価証券報告書-第16期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)

【提出】
2021/05/28 16:18
【資料】
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【項目】
167項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものになります。
(1)経営の基本方針
当社は、2005年9月1日に、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社デニーズジャパンの3社の共同株式移転により設立された純粋持ち株会社です。流通業を中心として、傘下に148社の連結子会社を擁する当社は、お客様ニーズ、マーケット、そして急速な社会の変化に迅速に対応し、業務改革、事業構造の改革を不断に進めてまいります。また、グローバルに展開するグループのネットワーク、情報力とともに、コンビニエンスストア(CVS)、食品スーパー、大型スーパー(GMS)、百貨店、専門店、銀行、ネットビジネスなどあらゆるお客様のニーズに応える多業態を擁する世界に類を見ない流通グループとして、「信頼と誠実」、「変化への対応と基本の徹底」を基本方針に掲げ、総合的にシナジーを追求してまいります。そのために、当社は、ガバナンスの強化とグループシナジーの追求によりグループ企業価値の最大化に努めるとともに、グループを代表する上場会社としてステークホルダーに対する説明責任を果たしてまいります。また、各事業会社は与えられた事業範囲における責任を全うし、各々の自立性を発揮しながら、利益の成長及び資産効率の向上を追求してまいります。
また、当社グループは、国内47都道府県に約22,600店舗以上、世界では17の国と地域に約74,000店を超える店舗網を展開し、国内だけでも1日に平均約2,240万人のお客様をお迎えしています。このきわめて身近で多彩なお客様との接点は、私たちの最も重要な価値創出の基盤です。
(2)目標とする経営指標
当社は、持続的に企業価値を向上させるため、資本コストを上回るリターン(利益)を拡大するとともに、キャッシュフローの創出力を高めることを基本方針とし、連結KPIとして、連結自己資本当期純利益率(ROE)、ROICスプレッド、EPS成長率、フリーキャッシュフロー水準及びDebt/EBITDAを設定しております。
(3)中長期的な経営戦略
様々な社会構造の変化を背景としたお客様の購買行動の変化に対応すべく、お客様のライフステージ・ライフシーンに寄り添いながら、商品・サービスの提供を通じて暮らしの利便性を高め、地域になくてはならない親しみのあるグループを目指してまいります。その実現に向け、お取引先様、世の中の技術革新など、あらゆるリソースを活用し、商品やサービスの絶対価値を追求することで、顧客満足度と社会価値の最大化を目指してまいります。
(4)経営環境及び経営課題
当社グループを取り巻く環境は、大きく変化しており、またその変化のスピードも加速しております。国内においては、高齢化、世帯人数の減少、共働き世帯の増加等の社会構造変化が進むとともに、時代の変化に合わせてお客様のライフスタイルや価値観が多様化しております。一方、最低賃金の上昇や社会保険加入の拡大を受け、雇用環境は引き続き厳しい状況が続くことが想定されます。加えて、国内外を問わず、気候変動、海洋汚染、フードロス、持続可能な調達等の社会課題が深刻化しており、企業も社会を構成する一員として、その解決に対してこれまで以上に真剣に向き合う時代を迎えております。
また、2020年に全世界を覆った新型コロナウイルス感染症は、消費市場に多大な影響をもたらし、私たちの事業の存在意義を根本から見直す機会となりました。当社グループでは、新型コロナウイルス感染症によるお客様の消費行動の変化が一過性のものではなく、今後へとつながる「消費の潮目」であるととらえ、新型コロナウイルス感染症によって生じた消費・価値観・労働環境・産業構造の変化を徹底的に分析し、グループ全体で迅速な対応に向けた取り組みを進めております。
当社では、ステークホルダーとの対話を通して、当社グループの事業領域と親和性の特に高い社会課題を「5つの重点課題(マテリアリティ)」として特定し、様々な社会課題の解決を図りながら、企業価値を向上させてまいります。
5つの重点課題(マテリアリティ)
・高齢化、人口減少時代の社会インフラの提供
・商品や店舗を通じた安全・安心の提供
・商品、原材料、エネルギーのムダのない利用
・社内外の女性、若者、高齢者の活躍支援
・お客様、お取引先を巻き込んだエシカルな社会づくりと資源の持続可能性向上
グループ成長戦略の遂行
① 海外コンビニエンスストア事業戦略 ~新たな『成長領域』への挑戦~
海外コンビニエンスストアにおいては、米国でセブン‐イレブン事業を展開する7-Eleven, Inc.が、2000年以降成長を加速させており、近年では当社グループの利益成長の一端を担うまでになっています。7-Eleven, Inc.は、商品開発による商品力の強化やDXによるラストワンマイルのサービス拡充などを通じて、米国内での従来のCVSのイメージを一新し、顧客層の拡大に成果を上げています。
また、同社は、2020年8月3日付で、米国Marathon Petroleum Corporation(以下、「MPC社」といいます。)との間で同社が主にSpeedwayブランドにて運営するコンビニエンスストア事業及び燃料小売事業(但し、MPC社の小売部門のうちダイレクト・ディーラーに対する燃料小売事業等を除きます。)を運営する複数の会社の株式その他持分を取得する契約を締結し、7-Eleven, Inc.の完全子会社として設立されたSEI Speedway Holdings, LLCを通じて、2021年5月14日付で当該取得を完了いたしました。また、当該取得と同時に、取得した店舗への今後15年間におけるガソリン供給契約をMPC社と締結いたしました。Speedwayが持つブランドロイヤリティや立地を活かした集客力に加え、Speedway店舗に7-Eleven, Inc.のファスト・フード商品やプライベートブランド商品の導入を推進することなどによりシナジー発現の最大化及び早期化を図ってまいります。なお、当該取得について、米連邦取引委員会(FTC)の委員2名から特定の地域において競争法上の懸念が存在することを表明する声明がありましたが、当該取得は、待機期間を終了し、2021年5月14日付で適法に完了しております。本件につきましては、7-Eleven, Inc.は関係政府機関と密に連携しており、また今後も密に連携いたします。また、このようなプロセスを考慮し、新中期経営計画は、公表を延期しております。
セブン‐イレブンのライセンサーでもある7-Eleven, Inc.は、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンとともに世界のライセンシーへの支援強化、新規地域への展開などに力を注ぎ、新たな成長機会を創出してまいります。
② 国内コンビニエンスストア事業戦略 ~次の『便利』の扉を開く~
新型コロナウイルス感染症により顕著になった消費行動の変容により小商圏化が進み、個店ごとのお客様ニーズの違いが、よりいっそう顕在化しました。株式会社セブン‐イレブン・ジャパンではこれまでもお客様ニーズの変化に対応した店舗レイアウトの革新を進めてきましたが、2020年度からはさらにお客様ニーズの変化に対応した新レイアウトの導入を加速。全店一律ではなく、個店ごとの商圏のニーズにきめ細かく対応すべく、商品開発の強化や店舗の生産性向上への支援、DXによるネットコンビニなどのラストワンマイルへの取り組みやCRM(顧客連携管理)による新たな顧客体験の創出などにも力を注いでまいります。
また、不採算店舗の構造改革及び出店の際の候補地選定の精緻化・効率化を進めることで、年間1,000店舗の出店体制に向けた基盤を構築してまいります。さらに次世代型店舗の開発・テストにも積極的に取り組み、新たな成長軌道に向かう取り組みを加速してまいります。
③ グループ食品戦略 ~いま求められる『食』への挑戦~
国内では少子高齢化等による消費市場の縮小が指摘される中、家計支出における食品の構成は増加しております。当社グループでも、2020年のグループ全体の食品売上は約4兆7千億円、売上構成比は60%を超えております。そこには、質を重視した商品開発体制、味・鮮度など商品価値の最大化を図るサプライチェーンや物流体制など、これまでグループが進めてきたさまざまなインフラ整備やノウハウの積み重ねがあります。このようにグループ事業の共通基盤となっている「食品」において、今後グループのスケールメリットを活用したセントラルキッチン、プロセスセンターなどの共有インフラを整備し、高品質かつ効率の良い商品供給体制の実現を目指します。今後もさらにグループシナジーを活かした取り組みを進めることで、お客様の豊かな食生活に貢献してまいります。
④ 大型商業拠点戦略 ~豊かな『生活拠点』の創出~
株式会社イトーヨーカ堂、株式会社そごう・西武においては、個店ごとの成長性の評価に基づき既存店舗網の見直しと店舗構造改革を進めております。
株式会社イトーヨーカ堂では、構造改革店舗において商圏分析をあらためて行い、地域ニーズに合わせた品揃えへの見直しや、売場での生活シーン別の提案などにより一定の成果を上げております。さらに、ネットスーパーの大型センター化や、株式会社とくし丸との連携による移動販売も強化してまいります。
株式会社そごう・西武では、店舗ごとに商圏のニーズに合わせた店舗構造改革を進めております。また、プレミアムニーズに対応すべく外商の強化や商事事業等の非店舗事業を拡大してまいります。
両社においては、不採算店の譲渡・閉店を進めてまいりましたが、今後も要員構成の適正化も含め、事業構造改革を更に加速してまいります。また、優良立地にある店舗の磨き込みにより魅力ある館づくりを進めてまいります。
⑤ ラストワンマイルへの挑戦
新型コロナウイルス感染症により、お届け・移動販売のニーズが飛躍的に高まっています。当社グループは多様な業態を持つ優位性を最大限に活かし、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンのネットコンビニ、株式会社そごう・西武のe.デパチカなどのオンデマンド配送から、大型センター化を進めるネットスーパーによる定時配送、地域インフラとしての移動販売まで幅広いお客様ニーズに対応すべく、取り組みを拡大してまいります。
⑥ DX・金融戦略 ~お客様接点の拡大とセキュリティ基盤の構築~
グループ共通の価値基盤である顧客接点の強化では、DXの推進を通じて新たな体験価値の創造を図っています。当社グループではDXの推進を、大きく分けて2つの方向でとらえています。第一は、デジタル技術の活用により仕事の生産性を高め、人でなくてはできない創造性の高い業務に人の力を集中することです。第二は、お客様にいままでにない便利さなど新しい体験価値をお届けすることです。この点ではアプリ等を通じてお客様からご提供いただいたデータをCRM等に活かすことでお客様お一人おひとりとの関係強化を進めるとともに、ラストワンマイルや決済サービスの機能強化などに取り組んでいます。こうしたDXの推進に向け、2020年には「グループDX戦略本部」を立ち上げ、迅速かつ着実な施策の実行を図っています。
また、金融においては、新たな決済体験の提供とグループポイント戦略の強化に取り組むことで、便利な決済サービスとお得に貯まるグループポイントを提供することで、お客様のライフ・タイム・バリューをより一層向上させてまいります。
さらに、強固なセキュリティを構築するために「情報セキュリティ基本方針」を改定し、新たに設置したセキュリティ統括室による各事業会社のセキュリティ環境の構築支援や統制評価などを実施しております。さらに情報管理委員会のもとグループ全体のセキュリティを強化するとともにデジタル技術の進化に合わせてつねに見直しを進め、グループ全体で安全・安心の確保と徹底を図っています。
成長戦略を支える確かな経営基盤
⑦ 持続可能な社会の実現に向けて
当社グループでは、これまでも社会課題解決と企業価値向上の両立を経営の基本におき、積極的に取り組んできました。2012年には「国連グローバル・コンパクト」に署名し、その10原則の実践に継続的に取り組んでいます。また、2014年には「5つの重点課題(マテリアリティ)」を特定し、その後SDGs(国連「持続可能な開発目標」)の17の目標と関連づけながら、課題解決に取り組みを進めています。これらにより、本業を通じての社会課題および重点課題を起点とした新たなビジネスモデルの創出に取り組んでいます。
2019年5月には、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を定め、CO₂排出量削減、プラスチック対策、食品ロス・食品リサイクル対策、持続可能な調達の4つのテーマで、お客様・地域社会・お取引先様等のステークホルダーとも連携しながら、持続可能な社会の実現に取り組んでおります。
グローバル展開の強化に合わせ2020年には、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言が求める項目をホームページへ開示し、CO₂排出量削減目標の国際的認定「SBT」の認定に向けた登録も完了いたしました。また、セブン-イレブンESGグローバルフォーラムを開催し、世界のセブン-イレブンライセンシーとの共同によるCO₂の排出削減、プラスチック対策なども推進してまいります。
⑧ コーポレートガバナンスの更なる強化
コーポレートガバナンスにつきましては、組織体制を構築・整備するとともに、すべてのステークホルダーの皆様との対話に基づき、つねにその改善と拡充に努めてまいります。2020年5月には従来の指名・報酬委員会を指名委員会と報酬委員会に分離し、それぞれの委員会は独立社外取締役を過半数としました。これは経営の透明性および客観性の確保に向けた改善の一例です。また、紙媒体やWEB媒体など広範なツールを通じて情報開示の拡充を進め、皆様との対話がよりいっそう実り豊かなものとなるよう努めてまいります。
また収益機会、投資機会ともグローバルに広がる中で、財務の基本方針に基づいて財務規律のいっそうの強化を図っています。株主の皆様への還元につきましては、1株当たりの配当金を安定的に向上させることを基軸とし、機動的に検討してまいります。
⑨ 経営戦略と連動した人財政策
当社の成長力の源泉は人財です。とりわけ、DXおよびグローバル戦略の推進や社会価値と企業価値の両立を追求するうえで、経営戦略と人財戦略は不可分であると考えています。当社では経営戦略の推進と一体となった人財戦略に取り組み、専門的な知見や技能を有する人財を社外から求めるだけでなく、グループ内でも積極的に育成してまいります。人財育成にあたっては、「人財とともに成長する企業」という考え方に立ち、2020年8月には人事教育機能を独立させた「人財共育部」を新設いたしました。
積極的に社員に成長機会を提供して、自ら学び続け、つねにスキルアップを図り続ける人財の育成を図り、社員と会社の相互成長を目指してまいります。
また、働き方改革や生産性の向上を図ることで、誰もが働きやすい職場づくりを推進してまいります。
2012年に発足した「ダイバーシティ推進プロジェクト」は、社会環境等の変化を踏まえて活動を革新し続けており、現在「ダイバーシティ&インクルージョン推進プロジェクト」として、働く人々の多様性や違いを認め合う環境づくりや柔軟な働き方を支援する体制を整えてきました。とりわけ、女性のお客様を多くお迎えする当社グループの主要事業の在り方を踏まえ、女性をはじめ多様な人財が活躍できる組織・企業文化の育成に注力してまいります。
中長期的な企業価値向上による持続的成長に向け、今後とも当社グループでは、グループシナジーを強化して当社グループの強みをいっそう拡大し、すべてのステークホルダーの皆様にさらなる価値提供と適正な利益還元を進めてまいります。

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