有価証券報告書-第12期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/31 10:53
【資料】
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【項目】
126項目
下記の文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営の基本方針
当社グループは、経営理念に「価値ある豊かさの創造」を掲げ、人々の生活がより豊かになるよう「食」を通じ
た社会貢献をめざしており、パーパス(存在意義)、ミッション、長期ビジョン、戦略ビジョン、バリューを以下の通り定めています。
当社グループの社会における存在意義は、「食の未来を創造し、豊かな生活と社会の発展に貢献します」と認識しております。そして当社グループでは、ビジョンに、[人] 一人ひとりの豊かな生活の実現、[社会] 豊かな社会づくりへの貢献、[環境] 環境への配慮を掲げており、当社グループの成長とともに「食」を通じてより一層の社会貢献を実現し、社会のインフラとしての企業価値を高めることです。
■ 経営理念
価値ある豊かさの創造
■ パーパス(存在意義)
食の未来を創造し、豊かな生活と社会の発展に貢献する
■ ミッション
ひとりでも多くのお客様に、安くておいしい料理を、気持ちのよいサービスで、快適な空間で味わっていただく
■ 長期ビジョン
一人ひとりの豊かな生活の実現/豊かな社会づくりへの貢献/環境への配慮
■ 戦略ビジョン
強固な基盤を構築し、一人ひとりの挑戦で地域一番店となり、連続成長を達成する
~すべてはお客様の笑顔のために~
■ バリュー
① お客様: お客様の笑顔が私たちのやりがいです
② 現場主義: いつも現地、現物、現実を観て行動します
③ 職場環境・働きがい:働く仲間と協力して明るい職場をつくります
④ 知識・技術の向上: 仕事に誇りを持ち、日々知識と技術の向上に努めます
⑤ 目標達成: スピードを大切に、よい店づくりのために挑戦し続けます
これらの基本方針のもと、当社グループでは、お客様の幅広いニーズと期待に確実にお応えするため、和洋中を中心とした多様なテーブルサービスレストランを約3,000店舗展開しています。安全で高品質な食材を、当社グループの購買・製造・品質管理・物流・店舗の垂直統合されたインフラを活用して、毎日お客様のテーブルにお届けしています。国内で年間約3億人ものお客様にご利用いただいており、企業としての社会的責任の大きさを重要な課題と捉えております。一人ひとりのお客様の生活がより豊かになり、より快適に過ごしていただけるよう、地域に根ざした店舗作りを通じ、社会への責任を果たしていきます。
当社グループは、このような経営の基本方針に基づいて事業を展開し、株主利益の拡大を図ってまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、キャッシュ・フロー経営を重要視し、成長のための投資、株主還元、有利子負債返済へバランス良く配分する事で、株主へのリターンを最大化することを目指しています。ITデジタル、業態転換やリモデルなど成長に向けた投資を継続し、適切なレバレッジを考慮しながら有利子負債の水準を下げることで、バランスシートの体質を強化します。調整後当期利益に対して約30%の還元を配当政策の基本方針と定めており、株主還元の最大化も重要視してまいります。
以上のことから、当社グループでは、EBITDA、調整後EBITDA及び調整後当期利益(損失)を重要な経営指標として位置づけております。
なお、EBITDA、調整後EBITDA及び調整後当期利益(損失)を以下の算式により算出しております。
EBITDA=税引前利益(損失)+支払利息+期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益+その他の金融関連費用(期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益を除く)-受取利息-その他の金融関連収益+減価償却費及び償却費+長期前払費用償却費+長期前払費用(保証金)償却費
・その他の金融関連費用は、連結純損益計算書上はその他の費用として記載しています。
・その他の金融関連収益は、連結純損益計算書上はその他の収益として記載しています。
調整後EBITDA=EBITDA+固定資産除却損+非金融資産の減損損失-非金融資産の減損損失の戻入れ+株式発行関連費用等
調整後当期利益(損失)=当期利益(損失)+株式発行関連費用等+期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益+IFRS第9号「金融商品」(2014)適用に伴う金融負債の条件変更に係る関連損益(会計方針変更による遡及適用に伴う影響額の再調整含む)+調整項目の税効果調整
(3)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染者数拡大に伴うまん延防止等重点措置の解除以降、少しずつ回復の兆しが見えてきました。コロナ禍で顕著になった、外食の際のより厳しい商品や店舗の選定、家では体験できないモノ・コト・空間への需要、テイクアウトや宅配など外食以外の選択肢の利活用は定着してきています。しかしながら、足元では物価高騰で生活防衛意識が高まったことにより消費マインドが低下しているとともに、想定以上の円安の進行、ロシア・ウクライナ情勢の長期化を背景とした地政学上のリスクなどの影響による原材料費・物流費・光熱費の高騰などのコストプッシュが継続することが予想され、事業環境が悪化する中、今後外食市場が淘汰の時代に入っていくことが考えられます。
財務面では、こうした新型コロナウイルス感染症の事業への影響の長期化並びにコストインフレによる収益回復の遅れにより、借入金に付された財務制限条項に抵触するリスクが生じておりましたが、借入金融機関と協議し、2023年2月13日付で全借入金融機関より財務制限条項の一部緩和についての変更契約を締結しております。これにより財務制限条項に抵触するリスクは大きく低下したものと考えております。
当社グループが描くポストコロナのロードマップでは、下記に記載の3段階のフェーズで更なる成長を目指しております。全てのフェーズに於いて基軸となるのは、1.デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進 2.人財育成、オペレーション改革 3.ESGの推進 の3軸です。
■ 第1フェーズ(2021年~2022年)
コロナ禍により急変した事業環境に迅速に適応しました。不採算店舗の閉店や、コスト削減を実施したことでキャッシュアウトを抑制し、DXを活用して生産性向上に繋げました。また、デリバリーやテイクアウトなど店内飲食以外の事業を拡大し、価格戦略を通じて売上を確保しました。
■ 第2フェーズ(2023年~2025年)
消費者のライフスタイルの変化や原材料費、エネルギーコスト、人件費の高騰などポストコロナの課題に対応しながらビジネスを拡大いたします。既存店の収益改善プロジェクトやDXの推進及び進化による全社生産性の向上、徹底したコスト削減と原価低減により、既存店の収益構造を改革します。顧客支持の拡大と売上成長を目的として、メニュー開発やプロモーションを戦略的に実施します。同時に、時代に即したストアポートフォリオを再構築するために新規出店や業態転換を進めるとともに、新業態も開発します。また、次世代ビジネスモデルである外販・通販事業の拡大を図るとともに海外事業の本格的な多店舗展開を準備します。
■ 第3フェーズ(2025年~)
M&Aによる事業規模拡大、第1・第2フェーズで着手・実行した事業の収益拡大をさらに推進するなど、外食に加え、内食の事業領域においても業界シェア拡大を目指します。
約3年間に及ぶコロナ禍を経て、お客様の選択眼はより厳しいものとなりました。足元では円安の進行や地政学上のリスクなどの影響による原材料費、物流費、光熱費の高騰などコストプッシュの事業環境の継続が懸念されます。この厳しい事業環境の先にある淘汰の時代を乗り越えていくには、堅牢な経営基盤を作り上げることが不可欠です。第2フェーズでは、この事業環境に迅速に対応するために、2022年度から進めている「収益構造改革」をより一層深化・加速させると共に、「売上成長」に向けた戦略を着実に実行することで、業績回復とさらなる成長を目指してまいります。
① 「収益構造改革」の取り組み
高収益体質への変革に向けては、既存店の収益力の大幅改善が最大の課題であると認識しています。2022年度は各業態のモデル店において食材ロスや水光熱費の削減、調理と接客の両方に対応できるスタッフの育成など、従来のオペレーションを抜本的に見直し収益力を高める実験を実施し、店舗段階の営業利益は平均10%以上増加するなど高い実験効果を得ることができました。検証結果を踏まえ、2023年度は利益増加に効果的に寄与する取り組みや成功事例をマニュアル化して全店に展開させ、店舗収益構造の底上げを推し進めます。
これまで、店舗のDX投資を積極的に実施してきており、2022年度末にはフロアサービスロボット3,000台の導入の完了、新型POSレジへの切り替えの全店完了、セルフレジの導入により、接客作業の簡略化と効率化が進みました。調理作業についてもメニューの絞り込みによる調理スタッフの習熟度の向上など、生産性の向上が進んでいます。
また、コロナ禍で短縮していた閉店時間を延長し、最適な営業時間への変更を計画しています。主要ブランド約2,000店舗においては、閉店時間を24時まで延長します。夜間・早朝の外食ニーズの高い一部の店舗では、24時間営業を含め深夜営業を再開し、さらなる売上収益の確保に繋げていきます。
さらに、食材価格高騰の打ち返しとして、購買・生産・メニュー開発の部門横断の原価低減プロジェクトを始動させ、約30億円の利益改善を目指し、大量購買や長期契約による調達価格のコントロール、外注品の内製化や製造工程の見直し、レシピの見直しなどの取り組みを進めています。
② 当社グループの「売上成長」戦略
(i) メニュー・価格戦略
インフレ対策の一貫で、2022年7月と10月にガストをはじめ主要各ブランドで価格改定を実施しました。これにより、客単価の上昇に加え、人件費率の低下と粗利率の維持を実現しました。全国に展開するガストでは地域別価格を導入し、都市部と地方で異なる消費動向に対応しています。物価高騰による生活防衛から地方の客数回復が遅れている状況にあり、地方に特化したバリュー価格のメニューの導入等も計画しています。また、お手頃価格の小さいおかずやデザートを導入し、メニューを選ぶ楽しさと併売率の向上を図り、客数増と客単価上昇の両方を追求します。
プロモーションについては、コロナ禍の2022年度までは活動を抑制していましたが、2023年度は本格的に再開すると共に、デジタルとアナログを最適に組み合わせ戦略的なプロモーションを展開することで、客数回復に弾みをつけたい考えです。
(ii) 出店戦略と新業態開発
コロナ禍で抑制していた新規出店も本格的に再開します。2023年度は約50店舗を計画しており、首都圏の駅前商業地区を中心に、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、むさしの森珈琲など、立地マーケットに最適なブランドを出店します。
業態転換は、エリアのマーケットポテンシャルを引き上げて売上拡大に寄与する戦略として、La Ohana(ハワイアンリゾート気分を楽しめるレストラン)やむさしの森珈琲(高原リゾートをイメージしたゆとりと癒し空間のカフェ)などお客様から高い支持を持つブランドを中心に展開します。
また、2022年度からアフターコロナを見据えた新業態の開発を進めてきましたが、2023年1月18日に「八郎そば」、2月1日に「飲茶テラス 桃菜」の2つの新ブランドをグランドオープンしました。いずれの業態もオープン以降の売上実績は連日計画を上回って好調に推移しており、お客様からも高い評価をいただいています。「八郎そば」は「旨いめしを腹いっぱい食べたい」をコンセプトに日常の食を応援する業態として、「飲茶テラス 桃菜」は、中国茶を楽しみながら点心を味わう食文化とライフスタイルを提案する業態として、今後の新規出店や業態転換の新たな業態候補として収益構造を固めていきます。
マルチブランドを有する強みと業態開発力を発揮させ、時代の変化やマーケットニーズに対応したブランドポートフォリオを常に進化させながら、新たな時代の成長をけん引する出店戦略を実行していきます。
(iii) 海外事業・外販通販事業
海外展開、外販通販ビジネスについても着実に事業規模を拡大しています。
現在68店舗を展開する台湾は、コロナ前の売上水準まで回復しています。2023年4月には「むさしの森珈琲」1号店のオープンを予定しており、実績を見ながら多店舗展開を検討していきます。マレーシアでは「しゃぶ葉」の4号店を2023年2月16日にオープンしたところで、米国でも「しゃぶ葉」2号店の出店を計画中です。
外販は、現在60以上のスーパー・量販店ですかいらーくの人気メニューを商品化して販売しています。通販も、楽天とアマゾンに加え、自社サイトも開設して販売拡大に力を入れています。2022年度は前年比4倍の売上を達成し、2023年度はさらなる売上成長を計画しています。
③ ESGへの取り組み
ESGへの取り組みは持続可能な成長に向けた重要な戦略として、また、持続可能な社会の実現に貢献するため、継続的に推進していきます。
「食品廃棄物削減」「CO2削減」「人権尊重」など重要課題に対して部門横断で推進する体制の整備や、食品ロス対策としての持ち帰り容器の利用促進をはじめとした環境配慮の活動など、2020年に設置したサステナビリティ委員会を通じて当社の長期ビジョン「一人ひとりの豊かな生活の実現/豊かな社会づくりへの貢献/環境への配慮」の実現に向けた様々な取り組みを推進しています。その結果、「CDP気候変動」や「FTSE Russell」といったESG関連の外部機関の評価も向上しています。
当社グループのESGへの取り組みは、調達・生産から店舗運営まで、当社の商品・サービス・企業活動を通じた地球環境保全と持続可能な社会の発展に貢献し、当社グループの成長を同時に実現するものです。
・ 宅配・テイクアウトの包装容器やカトラリー、レジ袋などの使い捨てプラスチック製品について、バイオマス素材や紙原料、木製などへの切り替えを進め、石油由来プラスチック使用量の削減を推進しています。2023年1月からはレジ袋の有料化を通じて使用量全体の抑制を推進しております。
・ CO2削減の取り組みとして、節電活動や省エネ化、物流の最適化等を進めるとともに、今後代替エネルギーや再生エネルギーへの移行のために準備研究を進め、脱炭素に向けての取り組みを加速させていきます。当社グループでは『2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする』ことを目標に設定しました。同時に、短期目標として売上1百万円に対するCO2排出量の年平均1%以上の改善、中期目標として2030年までに2018年比50%削減を目標に設定しております。
・ 当社グループは事業を通じて社会的責任を果たすべく、購買管理規程を設け、法令を遵守することはもとより、安全で高品質な食材購買の推進、社会的課題への対応を取り組んでいます。サプライヤーの選定においては、財務的な信頼性、品質の安定性のみならず、サプライヤーの従業員管理(労働安全衛生確保等)、人権配慮(児童労働、強制労働、差別、結社の自由、団体交渉、長時間労働等)、環境への配慮(エネルギー、気候変動、水資源、生物多様性、その他環境問題、食品ロス、資源利用等)、その他の反社会的行為の状況について確認し、社会的責任を果たしているサプライヤーから優先して選定しています。問題のある場合は取引を開始しない、という厳格なポリシーを実行することで責任ある調達に努めています。また、サプライヤースタッフに対して、当社環境方針に関する情報提供や当社とのコミュニケーション、トレーニング等への理解と協力を求め、共に企業活動と社会・環境の共存共栄を目指します。
・ 厳しい調達基準に基づき、環境・社会・人権への配慮、生物多様性につながる持続可能な原材料調達に努めています。紙製品におけるFSC/PEFC認証取得製品を積極的に採用(紙ストローや木製カトラリー、コピー用紙等)している他、主要業態のガストをはじめ複数業態で提供しているコーヒーは、レインフォレスト・アライアンス認証豆30%配合を使用しています。さらにフライ用オイルはRSPO認証を取得したパーム油導入に向けサプライヤーと協議しています。今後は国産野菜・米におけるJGAP認証またはそれに準じる農場管理基準を持つ産地比率を増やす新規産地開発を行っていく方針です。また、2022年6月に一部カテゴリにおいて、持続可能な調達の国際規格ISO20400認証を取得しました。
・ お客様に安心してお食事を楽しんで頂けるよう、塩分値やカロリー、アレルギー物質の表示、主要食材原産地情報の開示などに取り組んでいます。また、アレルギー反応の重篤性を鑑み、メニューからも、指定アレルゲンからもアレルギー物質情報を検索いただけるアレルギー情報サイトをご提供しております。
・ 「食」を扱う企業として、食品ロス問題への対応も重要な責務です。当社は全国10か所の工場で必要な分だけ生産し発注された分だけをほぼ毎日店舗に配送する仕組みを導入したり、工場の食品廃棄物をおよそ90%リサイクルしたりするなど、食材廃棄の低減に努めています。
・ 店舗では、ご飯の量を選択可能にし、単品メニューをご提供するなど、お客様に残さず召し上がっていただける工夫をしています。また、2020年9月から、持ち帰り専用容器「すかいらーくもったいないパック」®を導入し、店内のデジタルメニューブックやホームページで食べきれなかった料理のお持ち帰りを推奨するなど、食品ロス削減への取り組みを強化しています。
・ ダイバーシティを推進し、すべての従業員にとって働きがいのある職場環境を整備します。
・ 健康経営宣言のとおり、社員の健康診断受診100%、禁煙運動の継続実施、BMIコントロール対策を中心に健康経営の推進を行なっております。
※当社のESGに関する各種取り組みは、ホームページに開示しています。
https://corp.skylark.co.jp/sustainability/
※健康経営については、以下のサイトに開示しています。
https://corp.skylark.co.jp/sustainability/basic_policy/health/
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への対応
当社グループでは以下の通りTCFD提言が求める情報開示に対応しております。関連情報は当社ホームページで詳しく掲載しております。(URL: https://corp.skylark.co.jp/sustainability/environment/climate/)
ガバナンス当社は取締役会による監督のもと、サステナビリティに関わる取り組みの意思決定機関として代表取締役会長、代表取締役社長及び全執行役員、グループ会社社長で構成される「グループサステナビリティ委員会」を設置しています。同委員会ではサステナビリティに係わる全社方針や目標、施策の策定、重要課題であるマテリアリティの特定、モニタリングと定期的な見直し、及び、サステナビリティ推進体制の構築や整備などを継続的に実施しています。
サステナビリティ推進活動については取締役会への報告を行っております。なお、同委員会には、社外役員もアドバイザリーとして関与し、社外の視点での指摘、アドバイスを受ける体制としています。
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戦略当社が認識している短期・中期・長期の気候関連リスクと機会、それらリスクと機会が当社のビジネスに及ぼす影響は以下「気候変動による主なリスクと機会」(抜粋)の表に示した通りです。
炭素税の影響額を試算したところ、当社の炭素排出量が2021年と同等の排出量の場合、55.7億円という結果になりましたが、2030年までの目標としている、対2018年比で排出量50%減を達成できると炭素税影響は39.9億円まで削減されます。さらに、2050年目標であるCO2排出量実質ゼロを実現することで炭素税の負担は軽減されると見込んでおり、今後も排出量削減に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。
2022年度は炭素税影響についてのみ財務影響額を算出しました。その他の各リスク・機会の財務上の影響ならびに対応策については今後対応予定です。
2022年度は2℃及び4℃の将来気候シナリオに基づいて想定されるリスクと機会を把握し、これらのリスクと機会が当社事業に与える影響に関する定性評価を実施しました。これらのリスクと機会に対する当社戦略のレジリエンスの評価については今後対応してまいります。

「気候変動による主なリスクと機会」(抜粋)
※短期(0~2年)、中期(3~5年)、長期(2030年)
※より詳しい内容は当社ホームページをご覧ください。
(URL: https://corp.skylark.co.jp/sustainability/environment/climate/)
主なリスク当社事業への影響度主な機会当社事業への影響度
短期・中期■異常気象や気象災害による調達コスト増加
■環境課題への対応の遅れによるブランドイメージ低下
■サステナビリティ推進によるブランドイメージ改善
長期■炭素税導入による原材料価格や物流費の高騰
■電力価格上昇
■気温上昇による原材料価格高騰、電気使用量増加、従業員生産性低下
■消費者嗜好の変化に応じた商品・サービス開発による売上増加

リスク管理気候変動関連リスクを含むグループ全体のリスクマネジメントを統括する組織として、代表取締役社長を委員長、代表取締役会長や全執行役員を委員とする「グループリスク・コンプライアンス委員会」を設置しています。同委員会では気候変動関連リスクを含むさまざまなリスクを一元的に洗い出し、リスクの影響度合いなどを勘案して対処すべきリスクを特定しています。なお、リスクの影響度合いは環境変化に応じて常に変動するため、年に1度、再評価を行っています。
グループリスク・コンプライアンス委員会での審議内容は社外役員へも情報共有されており、リスクマネジメント体制の透明性確保に努めています。また、社外役員を同委員会のアドバイザリーとしており、社外の視点での指摘やアドバイスを受ける体制としています。
指標
及び
目標
気候関連のリスク及び機会を評価する際に用いる指標は以下「気候関連指標、目標、実績一覧」に示す内容を当社ホームページに掲載しております。
(URL: https://corp.skylark.co.jp/sustainability/environment/climate/)

「気候関連指標、目標、実績一覧」
1)脱炭素、水資源の保全、脱プラスチックに関する指標及びKPI
2)マテリアリティごとのKPI
3)当社スコープ1、スコープ2、スコープ3の温室効果ガス排出量
4)当社の温室効果ガス排出量に関連するリスクと機会
5)脱炭素、水資源の保全、脱プラスチックに関する目標 については以下のページに掲載しております。
https://corp.skylark.co.jp/sustainability/environment/climate/
6)各指標の2022年度までの実績は以下のページに開示しております。
https://corp.skylark.co.jp/sustainability/environment/achievements/
④ 食の安全・安心に向けた取り組み
すかいらーくグループで提供する食材は、調達から加工・流通・調理・提供に至るすべての工程で予見されるさまざまなリスクに対して、品質・衛生管理に関する基準を設け、徹底した管理を行うことを基本方針とすることを「品質保証憲章」に定めています。
国内の自社セントラルキッチン(10工場)、購買部門、メニュー開発部門、品質管理部門、内部監査部門を対象に、国際的な食品安全マネジメント規格であるISO22000の認証を取得し、店舗ではHACCPの考え方を取り入れた衛生管理手法を取り入れることで、サプライチェーン全体の食品安全管理体制を構築しています。