有価証券報告書-第17期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/22 9:20
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業績等の概要

[金融経済環境]
当連結会計年度において、個人消費、企業の生産活動および輸出は、上期はおおむね横ばいで推移しましたが、下期には回復の動きがみられ、基本的には企業収益は高い水準を維持し、雇用情勢は着実に改善する等、日本経済は引き続き緩やかな回復が続きました。
こうしたなか、政府は平成28年6月に、消費税率10%への引き上げ延期や経済対策を盛り込んだ「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」及び「日本再興戦略」の改訂版を、同年8月にこれらを具体化する平成28年度第2次補正予算案を閣議決定し、円滑かつ着実な予算実施に取り組みました。平成29年3月には労働人口の減少に対応するため、企業の生産性向上を柱とする「働き方改革」等に重点配分した平成29年度予算を成立させ、さらに同改革の実行計画を取りまとめました。また、日銀は、金融機関が保有する日銀当座預金のうち、各金融機関の既往の残高等を上回る部分にマイナス0.1%の金利を適用する、いわゆるマイナス金利政策を含めた異次元の金融緩和策を引き続き推進しました。平成28年9月には異次元緩和に関する総括的検証の結果を踏まえて、これまでの量重視から金利重視に変更する金融政策の枠組みの修正を決定し、短期のマイナス金利幅を維持する一方、新たに長期金利(10年物国債利回り)をゼロ%程度に誘導する長短金利操作の方針等を示しました。今後は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、政府等による各種施策の効果もあって、景気の緩やかな回復が続くことが期待されますが、依然として英国の欧州連合(EU)離脱問題や米国新政権の政策動向等、海外経済の不確実性や不安定な金融市場の変動が景気の下押しリスクとなっており、引き続きこれらの動向を注視すべき状況にあるといえます。
金融市場を概観すると、国内金利については、日銀によるマイナス金利政策が継続するなかで、リスク回避の動きが強まったこともあって金利は一段と低下する展開で始まり、長期金利(10年国債利回り)については、平成28年3月末はマイナス0.05%程度であったものが、過去最低水準のマイナス0.3%付近まで一時低下しました。為替相場や日経平均株価については、英国のEU離脱問題や米国の利上げ時期を含めた経済動向の不透明感等を受けて、一時、米ドル・円は99円台、ユーロ・円は109円台まで円高が進み、日経平均株価は1万5千円を割り込みました。その後は、日銀による新たな長期金利の誘導目標(ゼロ%程度)や米国新政権による経済政策に対する期待感を背景に市況は反転し、平成28年12月には米国が約1年ぶりに利上げを再開する等、世界的な金利上昇や景気の回復期待もあって、国内の長期金利は上昇、為替相場は円安が進み、日経平均株価は上昇しました。平成29年が明けると、米国新政権の政策運営や欧州政治の先行き不透明感、ギリシャ債務問題の再燃等から、為替相場については円高に戻す動きも見られました。以上の結果、平成29年3月末には国内の長期金利は0.07%程度まで上昇、米ドル・円は111円台(平成28年3月末比約1円の円高)、ユーロ・円は119円台(同比8円の円高)となり、日経平均株価は平成29年3月末の終値で1万8,909円26銭(平成28年3月末比約2,150円の上昇)となりました。一方、国内の短期金利については、引き続き低水準で推移しました。
[事業の経過及び成果]
当行は、「グループ融合による革新的金融サービスの提供と、リーンなオペレーションによる卓越した生産性・効率性の実現」を目指す中長期ビジョンを踏まえて、平成29年3月期から平成31年3月期までを対象期間として、「事業の“選択と集中”とグループ融合による価値創出」、「経営管理機能の統合によるシナジー創出」を全体戦略とする「第三次中期経営計画」(以下「第三次中計」)を策定しております。当連結会計年度は第三次中計における初年度にあたり、計画の達成に向けて業務に邁進してまいりました。各ビジネス分野における取り組み状況は以下のとおりです。
(法人業務)
法人のお客さまに関する業務については、事業法人・公共法人・金融法人向けファイナンスやソリューションを提供する「法人業務」と、金融市場向けビジネスを行う「金融市場業務」により推進しております。
当連結会計年度は、当行グループは、専門性を有する分野、市場の成長性が見込まれる業務に重点的に経営資源を投下する「選択と集中」を図るとともに、グループ会社との一体運営を推進することで、顧客ニーズに即した付加価値の高い金融ソリューションの提供を強化するなど、積極的に各業務を展開しております。
成長分野であるストラクチャードファイナンス業務については、再生可能エネルギーの分野では、外資系事業者がスポンサーとなる優良なメガソーラーに対しても積極的に取り組んで案件を積み上げております。引き続き、太陽光、風力やバイオマス発電などのエネルギー源の多様化にも取り組んでおり、さらに幅広い事業者のファイナンスニーズに応えることで、日本の再生可能エネルギーの安定的な成長に貢献してまいります。海外でのプロジェクトファイナンスにおいては、アジア・オセアニアや欧州を中心として良質案件の取り込みに注力しております。また、不動産ファイナンスにおいては、個別案件のリスクのみならず不動産市況全体のリスクとリターンを慎重に考慮しつつ、
顧客ニーズに応じた案件組成を進めております。スペシャルティファイナンスにおいては、戦略的に本体から競争力のある事業などを切り出す案件が大手企業を中心に増えていることから、そうした案件へのファイナンス供与を積極的に取り組んでおり、平成28年12月に、日本みらいキャピタル株式会社(東京都千代田区)が助言するファンドが、出資する特別目的会社(SPC)を通じて行った日立金属株式会社(東京都港区)の情報システム事業の取得に対して、LBO(レバレッジド・バイ・アウト)ローンを供与しました。
事業法人向け業務では、新規開拓の継続的な推進やデリバティブ関連ビジネスの展開などにより顧客基盤の拡充を図っております。金融法人向け業務では、地域金融機関などのお客さまの資金運用ニーズに対しては、当行の専門性を活かした仕組商品やストラクチャードファイナンスなどの多様な運用商品を、本業強化のニーズに対しては、地域金融機関などの個人のお客さまを対象とした無担保ローンの保証やその他グループ会社の持つ機能を活用した業務提携などを通じて、グループ一体での金融ソリューションの提供に尽力しております。
プリンシパルトランザクションズ業務については、新生プリンシパルインベストメンツグループを中心に、クレジットトレーディング業務やプライベートエクイティ業務などで培った知見と専門性やグループ横断的なリソースを活用して、事業承継や転廃業ニーズのある中堅・中小企業へのアプローチを行い、投資や債務整理などの金融ソリューションの提供に取り組んでおります。また、プライベートエクイティ業務などにおいても、バイオベンチャー企業に投資するファンドに出資するなど、当行グループの有する専門性や特色を活かした業務展開を行っております。
昭和リース株式会社(以下「昭和リース」)においては、主力の中堅・中小企業向け産業・工作機械などのリースに加えて、中古機械の売買を行うバイセル事業、動産・債権担保融資、環境配慮型商品の導入推進や再生可能エネルギー関連のファイナンス付与、診療・介護報酬債権の買取(診療・介護報酬ファクタリング)など、当行グループと一体となることによって、同社の強みである中小企業取引や専門性を活かしたソリューションにグループ各社が有する各種機能を組み合わせた展開にも注力しております。
(個人業務)
個人のお客さまに関する業務については、銀行本体によるリテールバンキング業務および銀行本体や子会社によるコンシューマーファイナンス業務を推進しており、引き続き顧客基盤拡大と収益力の向上を目指して、当行グループが有する約1,000万人のグループ顧客基盤のフル活用を進めております。
当連結会計年度の各業務については、リテールバンキング業務では、当行は、まず資産運用商品については、引き続き円預金、外貨預金の取り込みとともに、投資信託などの拡販や保険窓販事業を強化しております。次に住宅ローンについては、お客さまが10年間毎月Tポイントを1,000ポイント受け取れる住宅ローン「Tポイント×新生銀行パワースマート住宅ローン」の取り扱いを平成28年10月から開始するなど、引き続き「パワースマート住宅ローン」の有するユニークで付加価値の高い商品性を活かして積極的に積み上げを図っております。さらに、人工知能(AI)を活用したマーケティング活動を平成29年2月から本格導入しております。これは、新生フィナンシャル株式会社(以下「新生フィナンシャル」)がビッグデータの収集・解析および人工知能の活用を目的に平成28年6月に設立したフィンテック合弁会社のセカンドサイト株式会社(東京都千代田区、以下「セカンドサイト」)が開発したモデルにより実現されるもので、お客さまの行動・購買予測に基づき、より最適な資産運用商品のご提案や、住宅ローンご利用ニーズの発掘などにつなげてまいります。
成長分野の無担保ローンを含むコンシューマーファイナンス業務では、当行の個人向け無担保ローン「新生銀行カードローン レイク」については、引き続き融資残高や顧客数が増加しており、さらなる事業拡大を進めております。また、新生フィナンシャルにおいては、既存顧客のサービス継続とともに、他の金融機関との提携による個人向け無担保ローンの信用保証業務の拡大やコンシューマーファイナンスシステムの提供に注力していることに加えて、今後は、新生フィナンシャルが保証提携する地域金融機関の保証与信審査やローン申込前の事前与信モデルへセカンドサイトが開発した人工知能を応用し、審査精度の向上も目指してまいります。さらに、株式会社アプラスフィナンシャル(以下「アプラスフィナンシャル」)については、傘下にある株式会社アプラス(以下「アプラス」)などの事業会社において、Tポイントなどのポイントサービスの活用や新しい決済ソリューションの提供をはじめ、顧客利便性の向上や業務の効率化などを進めて、各事業の業容拡大と収益性向上に努めております。平成28年4月に参入した中国人向けモバイル決済サービス「WeChat Pay(微信支付)」の日本での決済代行サービスについては、ラオックス株式会社やイオングループのスーパーマーケット、日本交通グループのタクシーや百貨店などでの利用が始まっております。
海外における業務展開については、大手民間商業銀行であるMilitary Joint Stock Commercial Bank(以下「MB Bank」)との共同出資により、ベトナムでの無担保ローン事業に進出いたします。これは平成28年11月に、MB Bankが設立した100%子会社Financial One Member Limited Liability Company Military Commercial Joint Stock Bank(以下「MB Finance」)へ当行が49%出資する契約を締結したものです。MB Financeは平成28年12月に開業し、ベトナムの携帯電話販売店や家電量販店と提携し、当該店舗のお客さまに対して携帯端末や家電商品を購入する際の割賦ローンや証書型ローンの提供から開始しております。今後の無担保ローン事業の展開に合わせて、新生フィナンシャルによるシステムやシステムメンテナンスの提供も予定しております。
上記に加えて、法人業務と個人業務の枠を超えた新しい取り組みについては、グループ融合を深化させ、各社が持つ知見や経験、ネットワークをフルに活用することで、中小企業・小規模事業者に対するファイナンスサービスやソリューションの提供強化を順次進めております。平成28年10月には、第三次中計における戦略取組分野である中小企業・小規模事業者向けソリューション強化の第一弾として、昭和リースとアプラスが連携して、ベンダーリース事業を開始いたしました。これはショッピングクレジット事業を展開するアプラスが信用判断機能を担い、昭和リースがリース機能や物件管理機能を提供する形で、アプラスの加盟店に対して、物品購入予定の個人事業者の資金調達としてリースを提案するもので、当行グループとして新たな顧客基盤の獲得強化につなげてまいります。なお、平成28年12月に、グループの意思決定をより迅速かつ機動的に行う組織体制とするため、株式交換により当行の連結子会社である昭和リースを完全子会社化いたしました。
グループの全体的な取り組みとしては、当行およびグループ各社が持つ間接機能の統合・一体運営を図るため、各社の間接機能を実質的に統合した「グループ本社」を平成29年4月に当行内に設置いたしました。これにより、各間接機能の高度化と、ノンバンクを含む広範な金融機能全てを含むグループでの全体最適を追求することで、グループガバナンスの強化を図るとともに、グループ各社で重複する機能を集約することで、生産性・効率性の向上を目指します。
(財務基盤)
当連結会計年度末には、バーゼルⅢ(国内基準)ベースでの連結自己資本比率は13.06%となり、引き続き十分な水準を確保しております。
当行では、第三次中計において目指すゴールの一つとしている公的資金返済の道筋をつける取り組みの一環として、当行の資本の状況や収益力、1株当たりの価値などに鑑み、平成28年5月11日開催の取締役会決議に基づき、平成28年8月4日までに65,564,000株の自己株式を取得し、平成29年1月31日開催の取締役会決議に基づき、平成29年3月7日までに10,000,000株の自己株式を取得いたしました。当行では、充分な資本の維持を前提としつつ、適切な資本政策の実施を通じて、1株当たりの価値の向上を目指してまいります。
[業績の概況]
(経営成績)
当連結会計年度において、経常収益は3,804億円(前連結会計年度比47億円増加)、経常費用は3,329億円(同比192億円増加)、経常利益は475億円(同比145億円減少)となりました。
資金利益については、マイナス金利政策導入による基準金利の低下やスプレッドの縮小による影響が計画の想定範囲に留まって推移した一方で、コンシューマーファイナンス業務での貸出増加による収益伸長等により、前連結会計年度並みとなりました。非資金利益(ネットの役務取引等利益、特定取引利益、その他業務利益の合計)及び金銭の信託運用損益(クレジットトレーディング関連利益等を含む)については、不安定な市場環境を背景にリテールバンキング業務での資産運用商品の販売関連収益が減少したものの、ストラクチャードファイナンス業務を中心とした手数料収益の増加や大口の有価証券売却益の計上に加えて、前連結会計年度に見られたファンド投資における評価替えによる損失がなくなったこと等により、前連結会計年度に比べて増加しました。次に、人件費・物件費といった経費については、引き続き効率的な業務運営を推進したものの、業務基盤拡充を図るためのシステム費及び税制改正の影響等により、前連結会計年度に比べて増加しました。与信関連費用については、前連結会計年度に見られた大口の不良債権処理に伴う貸倒引当金の取崩益がなくなったことに加えて、コンシューマーファイナンス業務及びストラクチャードファイナンス業務における貸出金増加等に伴い貸倒引当金繰入が増加した結果、前連結会計年度に比べて増加しました。利息返還損失引当金については、近時の利息返還動向に基づき、将来の過払負担をカバーするために、必要額を再計算した結果、アプラスフィナンシャル及び新生パーソナルローン株式会社において計51億円の追加繰入を実施いたしました。
さらに、特別損益、法人税等合計、非支配株主に帰属する当期純損益を加除した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は507億円(前連結会計年度比101億円減少)となりました。
セグメント別では、法人業務は、顧客基盤の拡充や収益力の強化に向けた取り組みが成果を上げつつあり、ストラクチャードファイナンス業務を中心とした手数料収益が増加するとともに、大口の有価証券売却益を計上したことや、前連結会計年度に見られたファンド投資における評価替えによる損失がなくなったこと等により、業務粗利益は前連結会計年度に比べて増加しましたが、前連結会計年度に見られた大口の不良債権処理に伴う貸倒引当金取崩益がなくなったことから、セグメント利益は前連結会計年度に比べて減少しました。
金融市場業務は、顧客基盤拡充に向けた継続的な取り組みに注力するとともに、他業務とも連携しつつ、お客さまのニーズに即した商品の開発・提供に努めており、デリバティブ取引を中心にお客さまとの取引が順調に推移したことや、前連結会計年度に見られた大幅な市場変動に伴う市場関連業務での損失計上がなくなったことから、セグメント利益は前連結会計年度に比べて増加しました。
個人業務について、まずリテールバンキングは、各業務を積極的に展開したものの、資産運用商品の販売が苦戦して業務粗利益が減少したことから、セグメント損益は前連結会計年度に比べて減少しました。
次にコンシューマーファイナンスは、レイクは引き続き順調に推移し、アプラスフィナンシャルにおいても住宅関連ローンやショッピングクレジット事業の取り扱いが増加したこと等から業務粗利益が前連結会計年度に比べて増加し、第三次中計を円滑に遂行するための諸施策の展開による経費の増加や、貸出金増加等に伴う与信関連費用の増加はあったものの、セグメント利益は前連結会計年度に比べて増加しました。
「経営勘定/その他」は、ALM業務を所管するトレジャリーにおいて国債等の債券関係損益が堅調に推移したこと等により、引き続き着実にセグメント利益を計上しました。
詳細は、「第5 経理の状況」中、1「(1)連結財務諸表」の「セグメント情報等」をご覧ください。
(財政状態)
当連結会計年度末において、総資産は9兆2,583億円(前連結会計年度末比3,295億円増加)となりました。
主要な勘定残高としては、貸出金は、法人向け貸出において資金需要の取り込みを図る上での厳しい競争が続く中、特にストラクチャードファイナンス業務で残高を積み上げたことや、個人向け貸出において住宅ローンが引き続き好調、コンシューマーファイナンス業務での貸出残高も着実に積み上がったことから、全体では4兆8,334億円(前連結会計年度末比2,705億円増加)となりました。有価証券は1兆146億円(同比2,132億円減少)となり、このうち、日本国債の残高は4,956億円(同比2,544億円減少)となりました。一方、預金・譲渡性預金は5兆8,629億円(同比619億円増加)となり、引き続き、当行の安定的な資金調達基盤の重要な柱である個人のお客さまからの預金を中心に各ビジネスを積極的に推進するのに十分な水準を維持しております。また、社債は、当行、アプラスフィナンシャル及び昭和リースにおいて普通社債(各100億円)を発行したこともあり1,126億円(同比174億円増加)となりました。
純資産は、公的資金返済の道筋をつけることを目指して、資本の状況や収益力、1株当たりの価値等に鑑み行われた平成28年5月11日及び平成29年1月31日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得を進めたことや、当行連結子会社である海外特別目的会社が発行した優先出資証券約62百万米ドルを平成28年7月に償還したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、8,207億円(前連結会計年度末比276億円増加)となりました。
不良債権については、金融再生法ベースの開示債権(単体)において、当事業年度末は104億円(前事業年度末は347億円)、不良債権比率は0.22%(前事業年度末は0.79%)と、引き続き低水準を維持しております。
銀行法に基づく連結自己資本比率(バーゼルⅢ、国内基準)は13.06%となり、引き続き十分な水準を確保しております。
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度における連結キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、債券貸借取引受入担保金の増加、資金運用による収入等と、貸出金の増加による支出等により1,756億円の収入(前連結会計年度は1,758億円の収入)、投資活動によるキャッシュ・フローは、国債等の有価証券の売却・償還による収入が、取得による支出を上回ったこと等により1,354億円の収入(同1,861億円の収入)、財務活動によるキャッシュ・フローは、劣後特約付借入金の返済、自己株式の取得等により615億円の支出(同1,078億円の支出)となりました。この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比2,495億円増加し、1兆3,298億円となりました。
国内・海外別貸出金残高の状況
○ 業種別貸出状況(末残・構成比)
業種別前連結会計年度当連結会計年度
金 額 (百万円)構成比(%)金 額 (百万円)構成比(%)
国内(除く特別国際金融取引勘定分)4,462,269100.004,730,061100.00
製造業197,3194.42198,9014.20
農業,林業610.0030.00
漁業1190.00550.00
鉱業,採石業,砂利採取業2270.003750.01
建設業10,5520.248,9870.19
電気・ガス・熱供給・水道業235,6075.28230,7884.88
情報通信業37,3150.8442,9140.91
運輸業,郵便業181,4684.07188,0433.98
卸売業,小売業104,3152.34114,5822.42
金融業,保険業541,43312.13573,80212.13
不動産業608,18413.63575,60012.17
各種サービス業308,2516.91330,1466.98
地方公共団体79,4961.7876,7121.62
その他2,157,91748.362,389,14650.51
海外及び特別国際金融取引勘定分100,654100.00103,391100.00
政府等7770.775820.56
金融機関8,5768.527,3667.13
その他91,30090.7195,44192.31
合計4,562,923-4,833,452-

(注)1.「国内」とは、当行及び国内連結子会社であります。
2.「海外」とは、海外連結子会社であります。
(単体情報)
(参考)当行の単体情報のうち、参考として以下の情報を掲げております。
1.損益状況(単体)
(1)損益の概要
前事業年度
(百万円)
(A)
当事業年度
(百万円)
(B)
増減
(百万円)
(B)-(A)
業務粗利益109,224111,1391,915
(除く金銭の信託運用損益)104,732106,6651,933
資金利益93,73890,960△2,777
役務取引等利益△304△2,978△2,673
うち金銭の信託運用損益4,4914,473△17
特定取引利益4,8334,070△763
その他業務利益10,95619,0878,130
うち債券関係損益5,75310,2654,512
経費(除く臨時処理分)75,23677,6202,383
人件費26,61926,925305
物件費43,52844,8571,328
うちのれん償却額234165△69
税金5,0885,837748
業務純益(一般貸倒引当金繰入前)29,49529,045△450
一般貸倒引当金繰入額(1)-1,8011,801
業務純益29,49527,243△2,251
実質業務純益33,98733,519△468
臨時損益(除く金銭の信託運用損益)15,7461,320△14,426
株式等関係損益△2,9512,7545,705
不良債権処理額(2)△20,1252,13022,256
貸出金償却4981,8781,379
個別貸倒引当金純繰入額-543543
特定海外債権引当勘定繰入額-△0△0
償却債権取立益(△)△3,505△2903,214
貸倒引当金戻入益(△)△17,119-17,119
その他の債権売却損等---
その他臨時損益△1,4276962,123
経常利益49,36632,858△16,508
特別損益△6,5327,98714,519
うち固定資産処分損益及び減損損失△537△230307
税引前当期純利益42,83440,845△1,988
法人税、住民税及び事業税△618△1616
法人税等調整額1,886△2,578△4,464
当期純利益41,56643,4251,859
(参考)
与信関連費用(1)+(2)△20,1253,93224,058

(注)1.業務粗利益=(資金運用収支+金銭の信託運用見合費用)+役務取引等収支+特定取引収支+その他業務収支+金銭の信託運用損益
金銭の信託運用損益はクレジットトレーディング関連利益等が含まれており、本来業務にかかる損益ととらえております。
2.業務純益=業務粗利益(除く金銭の信託運用損益)-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
3.実質業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)
4.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除されているものであります。
5.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。本表では、さらに金銭の信託運用損益を除いた金額を記載しております。
6.債券関係損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
7.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
8.前事業年度の貸倒引当金は全体で17,119百万円の取崩超(うち、一般貸倒引当金については、4,037百万円の繰入)のため、当該金額を貸倒引当金戻入益に計上しております。なお、当事業年度の貸倒引当金は全体で2,345百万円の繰入超(うち、一般貸倒引当金については、1,801百万円の繰入)となっております。
9.前事業年度は、関係会社株式及び出資金の評価損6,701百万円及び関係会社株式売却損135百万円を特別損失に計上しております。また当事業年度は、関係会社株式及び出資金の評価損1,077百万円及び関係会社清算損4百万円を特別損失に計上しております。
(2)営業経費の内訳
前事業年度(百万円)当事業年度(百万円)増減(百万円)
(A)(B)(B)-(A)
給料・手当21,68622,169483
退職給付費用2,6951,714△981
福利厚生費3,9723,889△82
減価償却費5,1927,3302,137
土地建物機械賃借料6,9487,00354
営繕費2,8062,86659
消耗品費45849335
給水光熱費723680△43
旅費525474△51
通信費1,1931,055△138
広告宣伝費6,9506,841△109
租税公課5,0885,837748
その他17,93018,679748
76,17379,0362,863

(注) 損益計算書中「営業経費」の内訳であります。
2.利鞘(国内業務部門)(単体)
前事業年度(%)当事業年度(%)増減(%)
(A)(B)(B)-(A)
(1)資金運用利回1.651.61△0.04
貸出金利回1.931.950.02
有価証券利回1.391.01△0.38
(2)資金調達原価1.341.31△0.03
資金調達利回0.170.10△0.07
預金利回0.110.08△0.03
(3)総資金利鞘①-②0.310.30△0.01
(4)資金運用利回-資金調達利回①-③1.481.510.03

(注)1.「国内業務部門」とは本邦店の居住者向け円建諸取引であります(但し特別国際金融取引勘定を除く)。
2.預金には譲渡性預金を含んでおります。
3.ROE(単体)
前事業年度(%)当事業年度(%)増減(%)
(A)(B)(B)-(A)
実質業務純益ベース4.504.23△0.26
業務純益ベース(一般貸倒引当金繰入前)3.903.67△0.23
業務純益ベース3.903.44△0.46
当期純利益ベース5.505.49△0.01

4.預金・貸出金の状況(単体)
(1)預金・貸出金の残高
前事業年度(百万円)当事業年度(百万円)増減(百万円)
(A)(B)(B)-(A)
預金(末残)5,965,7695,992,60926,839
預金(平残)5,735,8035,909,138173,335
貸出金(末残)4,300,1524,536,434236,282
貸出金(平残)4,210,4334,379,006168,572

(注) 預金には譲渡性預金を含んでおります。
(2)個人・法人別預金残高(国内)
前事業年度(百万円)当事業年度(百万円)増減(百万円)
(A)(B)(B)-(A)
個人4,819,4824,874,62355,141
法人845,004744,032△100,972
5,664,4865,618,655△45,831

(注) 譲渡性預金及び特別国際金融取引勘定分を除いております。
(3)消費者ローン残高
前事業年度(百万円)当事業年度(百万円)増減(百万円)
(A)(B)(B)-(A)
住宅ローン残高1,259,4891,340,54881,059
その他ローン残高205,673248,47042,797
1,465,1621,589,019123,856

(4)中小企業等貸出金
前事業年度当事業年度増減
(A)(B)(B)-(A)
中小企業等貸出金残高百万円2,811,9042,985,812173,908
総貸出金残高百万円4,200,7864,433,043232,256
中小企業等貸出金比率①/②%66.9467.350.42
中小企業等貸出先件数564,826640,90876,082
総貸出先件数565,330641,41876,088
中小企業等貸出先件数比率③/④%99.9199.920.01

(注)1.貸出金残高には、海外店分及び特別国際金融取引勘定分は含まれておりません。
2.中小企業等とは、資本金3億円(ただし、卸売業は1億円、小売業、飲食業、物品賃貸業等は5千万円)以下の会社又は常用する従業員が300人(ただし、卸売業、物品賃貸業等は100人、小売業、飲食業は50人)以下の会社及び個人であります。
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が
適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては粗利益配分手法を採用するとともに、マーケット・リスク規制を導入しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:億円)
平成28年3月31日平成29年3月31日
1.連結自己資本比率(2/3)14.20%13.06%
2.連結における自己資本の額8,0958,123
3.リスク・アセットの額56,98162,199
4.連結総所要自己資本額5,0135,513

単体自己資本比率(国内基準)
(単位:億円)
平成28年3月31日平成29年3月31日
1.自己資本比率(2/3)15.85%14.71%
2.単体における自己資本の額8,2608,284
3.リスク・アセットの額52,08556,300
4.単体総所要自己資本額4,3954,775

(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、3カ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
債権の区分平成28年3月31日平成29年3月31日
金額(億円)金額(億円)
破産更生債権及びこれらに準ずる債権5030
危険債権27136
要管理債権2638
正常債権43,40947,068