有価証券報告書-第102期(2023/04/01-2024/03/31)
② 戦略
イ.リスクと機会の認識について
当行は、持続可能な社会の実現に向けた気候変動への対応としてリスク(移行リスク、物理的リスク)及び機会の両面として捉え、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸に基づき、以下のとおり認識しております。
ロ.リスク
(ⅰ)シナリオ分析の実施
TCFD提言に基づく一定のシナリオのもと、低炭素経済への移行に伴いGHG排出量の多い金融資産の再評価によりもたらされる移行リスク、及び気候変動による洪水リスクの影響によりもたらされる物理的リスクについてシナリオ分析を実施いたしました。
(ⅱ)移行リスク
移行リスクについては、分析対象としてGHG排出量が比較的多いセクターである、エネルギー関連事業者(電力、ガス、石炭・石油関連の事業者)、鉄鋼関連事業者、運輸関連事業者を個社別に特定いたしました。
また、リスク重要度評価、事業インパクト評価を行い、大規模企業、上場企業については個社別分析を実施(ボトムアップアプローチ)、その他の事業計画・財務等の多くの情報が得られない先に対しては拡大推計(トップダウンアプローチ)を行い評価いたしました。
(ⅲ)物理的リスク
物理的リスクについては、気候変動による洪水リスクの影響を把握するためシナリオ分析を実施し、取引先の所在地や担保所在地についてハザードマップ(想定最大規模と計画規模)に基づく複数確率年の洪水の考慮を行い、当該災害発生時の債務者区分に与える影響(債務者区分影響)と保全に与える影響(保全影響)の分析を行いました。
債務者区分影響は、企業が保有する建物や有形固定資産の被害額(直接被害額)と営業停止に伴う被害額(間接被害額)を推計、企業の財務内容等に与える影響を算出、債務者区分を付与、引当の増加額を算出いたしました。保全影響は、建物等の担保棄損による引当の増加額を算出いたしました。
算出した引当の増加額を2050年までに発生する確率と気候変動による洪水頻度の増加を考慮し、複数シナリオでの引当増加額を算出いたしました。
また、同様に銀行本支店の洪水による固定資産の毀損についても推計を行いました。
(ⅳ)シナリオ分析の結果
今回の分析対象やシナリオの前提条件のもと、与信関係費用が移行リスクでは累計で34億円~36億円、物理的リスクが5億円~8億円、銀行本支店の資産の毀損は最大2億円となり、ポートフォリオ全体への影響は限定的であるとの結果となりました。
引き続き対象セクターの拡大など充実化へ取り組んでまいります。
(注)シナリオ分析に係る概要は、当行で把握した各種リスクを踏まえ分析しております。
(ⅴ)炭素関連資産
ハ.機会
当行は、地域とお客さまの環境負荷低減と脱炭素経営実現へ向けた取組みに積極的に関与することにより、環境や社会の課題解決に貢献するとともに、持続可能な社会実現と企業価値向上を図ってまいります。
また、脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの資金需要に対するファイナンスの提供やコンサルティング等ソリューションの提供を通じて脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。今後、より多くのビジネス機会を創出するため、お客さまの温室効果ガス削減やエネルギー効率の向上に向けた取組みの支援等、脱炭素化を支援するサービスを充実させてまいります。
⦅当行のサステナビリティ支援ソリューション⦆
イ.リスクと機会の認識について
当行は、持続可能な社会の実現に向けた気候変動への対応としてリスク(移行リスク、物理的リスク)及び機会の両面として捉え、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸に基づき、以下のとおり認識しております。
分類 | 種類 | 内容 | 時間軸 |
移行リスク | 政策・法規制 | ・気候変動に関する政策や規制の強化による、お客さまの事業への影響に伴う与信コストの増大 | 中・長期 |
技術・市場 | ・気候変動に起因する市場の変化により、資金調達が困難になる、ないし調達コストの上昇 | 中・長期 | |
・脱炭素社会への移行に伴う新たな技術等の導入や産業構造の変化による既存資産等の減損や収益悪化 | 中・長期 | ||
評判 | ・炭素排出セクターに対する投融資継続によるレピュテーション悪化 | 短・中・長期 | |
物理的リスク | 急性 慢性 | ・台風・豪雨による風水災に伴うお客さまの事業停滞による業績悪化影響及び担保価値の毀損を通じた与信コストの増大 | 短・中・長期 |
・異常気象等による当行資産の毀損に伴う事業継続への影響、管理コストの増加 | 短・中・長期 | ||
・海面上昇によるお客さま及び当行の営業拠点被災に伴う損失の発生 | 長期 | ||
機会 | 商品・サービス | ・気候変動に関するサステナビリティへの取組みに対するコンサルティングやファイナンスによる支援の増加 | 短・中・長期 |
資源効率化 | ・省資源、省エネ、再生可能エネルギーの活用による事業コストの低下 | 短・中・長期 |
ロ.リスク
(ⅰ)シナリオ分析の実施
TCFD提言に基づく一定のシナリオのもと、低炭素経済への移行に伴いGHG排出量の多い金融資産の再評価によりもたらされる移行リスク、及び気候変動による洪水リスクの影響によりもたらされる物理的リスクについてシナリオ分析を実施いたしました。
(ⅱ)移行リスク
移行リスクについては、分析対象としてGHG排出量が比較的多いセクターである、エネルギー関連事業者(電力、ガス、石炭・石油関連の事業者)、鉄鋼関連事業者、運輸関連事業者を個社別に特定いたしました。
また、リスク重要度評価、事業インパクト評価を行い、大規模企業、上場企業については個社別分析を実施(ボトムアップアプローチ)、その他の事業計画・財務等の多くの情報が得られない先に対しては拡大推計(トップダウンアプローチ)を行い評価いたしました。
項目 | 概要 |
リスクイベント | ・炭素税導入による費用増加 ・脱炭素社会への移行に伴う設備投資、研究開発費の増加 ・再生可能エネルギーへの転換に伴う市場影響 など |
シナリオ | NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)のシナリオ(NGFS Phase4)のうち、Net Zero 2050・Below2℃シナリオ ・Net Zero 2050:厳しい気候政策等により2050年にネットゼロを達成するシナリオ(1.5℃未満シナリオ) ・Below2℃:やや厳しい政策が導入され、温暖化を2℃以下に抑えるシナリオ(2℃以下シナリオ) |
分析手法 | ・ボトムアップアプローチ:個社別に2050年までの財務内容を推計 ・トップダウンアプローチ:個社別分析の結果をもとに利益率やコスト率の平均をベースに推計 |
分析対象 | エネルギー関連事業者(電力、ガス、石炭・石油関連の事業者)、鉄鋼関連事業者、運輸関連事業者 |
分析期間 | 2022年12月末を基準として2050年まで |
分析結果 | 与信関係費用:累計34億円~36億円 |
(ⅲ)物理的リスク
物理的リスクについては、気候変動による洪水リスクの影響を把握するためシナリオ分析を実施し、取引先の所在地や担保所在地についてハザードマップ(想定最大規模と計画規模)に基づく複数確率年の洪水の考慮を行い、当該災害発生時の債務者区分に与える影響(債務者区分影響)と保全に与える影響(保全影響)の分析を行いました。
債務者区分影響は、企業が保有する建物や有形固定資産の被害額(直接被害額)と営業停止に伴う被害額(間接被害額)を推計、企業の財務内容等に与える影響を算出、債務者区分を付与、引当の増加額を算出いたしました。保全影響は、建物等の担保棄損による引当の増加額を算出いたしました。
算出した引当の増加額を2050年までに発生する確率と気候変動による洪水頻度の増加を考慮し、複数シナリオでの引当増加額を算出いたしました。
また、同様に銀行本支店の洪水による固定資産の毀損についても推計を行いました。
項目 | 概要 |
リスクイベント | 洪水による ①融資先の事業の中断や事業拠点の直接被害に伴う財務内容の悪化 ②担保物件の毀損 ③銀行本支店の資産の毀損 |
シナリオ | IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によるRCP(代表的濃度経路)シナリオ(RCP2.6:2℃上昇シナリオ、RCP8.5:4℃上昇シナリオ) |
分析手法 | ・ハザードマップのデータ(想定最大規模、計画規模)から洪水発生時の取引先の直接被害額と間接被害額から財務への影響と担保(保全)への影響を算出したうえで、シナリオを踏まえ推計した2050年までの洪水発生確率・洪水頻度の増加を勘案し、与信関係費用の増加額を算出 ・銀行本支店については建物被害額を算出 |
分析対象 | 貸出のある国内法人・個人事業主・住宅ローン(プロパーのみ)、銀行本支店の固定資産 |
分析期間 | 2023年12月末を基準として2050年まで |
分析結果 | 与信関係費用:5億円~8億円、銀行本支店被害額:最大2億円 |
(ⅳ)シナリオ分析の結果
今回の分析対象やシナリオの前提条件のもと、与信関係費用が移行リスクでは累計で34億円~36億円、物理的リスクが5億円~8億円、銀行本支店の資産の毀損は最大2億円となり、ポートフォリオ全体への影響は限定的であるとの結果となりました。
引き続き対象セクターの拡大など充実化へ取り組んでまいります。
(注)シナリオ分析に係る概要は、当行で把握した各種リスクを踏まえ分析しております。
(ⅴ)炭素関連資産
当行の与信残高(※1)に占める炭素関連資産(※2)の割合は38.02%であります。 (※1)2024年3月末の貸出金、支払承諾、外国為替、銀行保証付私募債の合計(ただし、再生可能エネルギー発電事業として太陽光発電事業を除く)。セクターの分類方法については、日本銀行が制定した「業種分類一覧表」の分類を基に、当行が判定。 (※2)炭素関連資産:当行では2021年10月におけるTCFDの一部改訂を踏まえ、炭素関連資産を18のセクターに分類の上算定しております。 当行与信残高に占めるセクター毎の割合は右記のとおりであります。 なお、昨年度公表いたしました炭素関連資産の数値より増加しておりますが、各セクターの対象企業の見直しを行ったことによるものであります。 引き続きセクター分類の精緻化へ取り組んでまいります。 | ![]() |
ハ.機会
当行は、地域とお客さまの環境負荷低減と脱炭素経営実現へ向けた取組みに積極的に関与することにより、環境や社会の課題解決に貢献するとともに、持続可能な社会実現と企業価値向上を図ってまいります。
また、脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの資金需要に対するファイナンスの提供やコンサルティング等ソリューションの提供を通じて脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。今後、より多くのビジネス機会を創出するため、お客さまの温室効果ガス削減やエネルギー効率の向上に向けた取組みの支援等、脱炭素化を支援するサービスを充実させてまいります。
⦅当行のサステナビリティ支援ソリューション⦆
お客さまのニーズ | ![]() | 当行のソリューションラインナップ | |
サステナビリティに向けた実効的な取組みを始めたい | サステナブルファイナンスの提供 | ・ポジティブインパクト・ファイナンス | |
脱炭素に向けた課題把握や目標設定を行いたい | お取引のGHG排出量可視化、目標設定 | ・GHG排出量算定支援 | |
・SBT認証支援 | |||
SDGsに関する取組みを始めたい | SDGsに関する取組み支援 | ・ちばSDGsパートナー登録推進 |