有価証券報告書-第214期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 9:00
【資料】
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【項目】
173項目

対処すべき課題

以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。
経営方針
当行は次の方針に基づき経営活動を行っております。
(経営の基本方針)
経営理念:『地域社会の繁栄に貢献するため銀行業務を通じ最善をつくす』
ブランドスローガン: 『感動を、シェアしたい。』
当行の経営理念は、「社会における役割・責任・目標、そして共通の価値観」を明示しており、行員一人ひとりがこの使命を銘記し、銀行業務を全力で遂行してまいります。
また、経営理念にうたわれた使命を達成するために、地域の皆さまと一緒になって地域社会の発展に寄与するとともに、お客さまに感動していただけるサービスをお届けするという目標に向かって前進してまいります。
(中長期的な経営戦略)
大きな時代の変化の中にあっても、当行が地域と共に永続的に成長、発展していくため、当行では2011年度以降の10年間に亘る長期の経営計画である「長期経営計画2011」を策定しており、2019年度からの2年間においては、その最終ステップである「中期経営計画2019」に取り組んでおります。
「中期経営計画2019」では、基本方針を「CSV(※)の進化」と定め、「高付加価値を実現する営業の進化」、「環境変化を先取りする態勢の進化」、「進化を支える基盤の強化」の3つの重要課題に基づく各種施策を展開しております。(※)Creating Shared Value:地域と当行の共有価値の創造
また、より筋肉質な経営体質への転換に向けた生産性向上への取組みとして、生産性向上PTが中心となり生産性向上施策の試行・展開拡大や、営業体制の再構築、店舗施策の実行などにも鋭意取り組んでおります。
加えて、「中期経営計画2019」と価値観を共有しているSDGsへの取組みとしては、2020年1月に環境省と中・南九州の4行にて「中・南九州の地域循環共生圏に関する連携協定」を締結し、同じく2月には、当行グループとしてのSDGs宣言を公表するなど、取組みを強化しております。
当行は引き続き地域と一体となって成長、発展していくため、「地域密着化戦略」に全行一丸となって取り組み、「長期経営計画2011」の総仕上げに向けた「中期経営計画2019」の各種施策を実践していく所存です。
「中期経営計画2019」において目標とする経営指標は、以下のとおりです。
2020年3月期 目標2020年3月期 実績2021年3月期 目標
連結当期純利益(収益性) (注)45億円50億円45億円
OHR(効率性・生産性)81.8%72.6%82.6%
自己資本比率(健全性)10.05%10.01%10.07%

(注)「親会社株主に帰属する当期純利益」を中期経営計画の経営指標に合わせ、「連結当期純利益」と表示しております。
経営環境
2019年度の国内経済は、海外経済の減速などの影響から輸出や生産で弱さが続くものの、雇用・所得の改善を背景に、基調としては緩やかな回復の動きが続きました。個人消費は雇用・所得の改善を背景に緩やかに増加しましたが、年度末にかけては新型コロナウイルス感染症の影響で一部に弱さがみられました。公共投資と設備投資は増加しました。一方、生産活動は海外経済の減速や自然災害の影響から減少し、住宅投資は横ばい圏内で推移しました。有効求人倍率は高水準で推移しました。先行きは、新型コロナウイルス感染症の影響により個人消費を中心に下押しされ、厳しい状況になることが見込まれます。
県内経済は、全体として横ばい圏内を維持していましたが、年度末にかけては弱含みで推移しました。設備投資は、製造業・非製造業ともに増加し、とりわけ非製造業において大幅に増加しました。生産活動は海外経済の減速から鉄鋼業を中心にやや弱い動きとなりました。個人消費は、前半は横ばいで推移しましたが、後半は消費増税や暖冬の影響から弱含みとなりました。住宅投資は、貸家など一部に弱い動きがみられました。また、公共投資は防災・減災工事を中心に持ち直しました。観光はラグビーワールドカップが開催された一方、日韓関係の悪化で韓国人観光客が激減したことから全体として横ばいで推移しましたが、年度末にかけては新型コロナウイルス感染症の影響から、弱い動きとなりました。有効求人倍率は高水準で推移しました。
対処すべき課題等
現在取り組んでいる「中期経営計画2019」では、引き続き「コンプライアンス」を全ての施策の大前提に据え、基本方針「CSVの進化」に取り組むことによって、地域と当行自身のサステナビリティ(持続可能性)を最大化していくことが、対処していくべき最大の課題であると認識しております。
足下では、新型コロナウイルス感染症の影響が全世界に広がり、我が国においても緊急事態宣言が発せられるなど未だその収束が見えない状況下、社会活動の制約は生産や消費などの経済活動の収縮を引き起こしています。
また、社会的な課題に目を向けても、地方を中心に人口減少・少子高齢化や企業における人材の不足、後継ぎのない中小企業の廃業増加等に直面しており、地域経済にとって大きな正念場を迎えております。
そうした厳しい経営環境の中、地域のリーディングカンパニーとして、そして「地域密着化戦略」を掲げる地域金融機関として、地域の人や企業に寄り添い、共有価値の創造を実現してまいります。
地方銀行として収益を確保して存続を図っていく私企業であるとともに、持続可能な地域社会を創造する役割を担う、公益性の高い使命を全うし、地域と当行のサステナビリティの最大化を両立させていくことを通じて、企業価値の向上に努めてまいります。
株主の皆さまには、当行の取組みに対しまして、なお一層のご理解とご支援を賜りますよう心からお願い申し上げます。