有価証券報告書-第118期(2023/04/01-2024/03/31)
(2)戦略
①気候変動関連のリスク・機会の特定
気候変動に伴うリスク(移行リスク・物理的リスク)と機会については、短期(3年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で、定性的な分析を行っております。
②炭素関連資産の状況
TCFD提言で気候関連の財務影響を受けやすいとされる「エネルギー(注)」「運輸」「素材・建築物」「農業・食料・林産物」セクターを炭素関連資産としており、当行の融資残高に占める炭素関連資産の割合は、24.50%となっております。
(単位:億円)
(注)水道事業、再生可能エネルギー発電事業者は除いております。
③シナリオ分析
移行リスク及び物理的リスクについて、複数の温度帯シナリオを用いて当行の与信関連費用の増加額を推計いたしました。
<移行リスク>移行リスクは、炭素税導入や将来需要の変化のほか、電源構成の変化等を考慮して、当行の信用リスクへの影響が高いと考えられる、「エネルギーセクター」を分析対象といたしました。分析にあたっては、国際エネルギー機関(IEA)におけるNZEシナリオ(1.5℃シナリオ)などを参考に推計いたしました。
<物理的リスク>物理的リスクは、融資先の業種ごとの特性だけでなく、企業や当行担保物件の所在地にも左右されると考えられることから、分析対象は地域を特定したうえで法人全体と個人(住宅ローンとアパートローン)といたしました。分析にあたっては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のRCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)及びRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)を前提に、ハザードマップを利用して推計いたしました。
(注)浦安市、市川市、船橋市、習志野市、千葉市、市原市、袖ケ浦市、木更津市、君津市、富津市
①気候変動関連のリスク・機会の特定
気候変動に伴うリスク(移行リスク・物理的リスク)と機会については、短期(3年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で、定性的な分析を行っております。
| 概要 | 時間軸 | |
| 移行リスク | ・GHG排出に関する規制の強化や炭素税導入によりお客さまの業績が悪化し、当行の与信関連費用が増加するリスク ・脱炭素社会の移行に伴う技術の進歩等によりお客さまの事業が座礁資産化するリスク | 中期~長期 |
| ・地球温暖化対策の取り組み不足や情報開示不足等が当行のレピュテーション悪化につながり、資金調達環境が悪化する等のリスク | 短期~長期 | |
| 物理的リスク | ・台風・洪水等の急性的な自然災害の激甚化や、降水量増加等の慢性的な気候変化により、お客さまの業績悪化や担保物件棄損が発生し、当行の与信関連費用が増加するリスク ・事業が継続できないリスクや、事業継続にかかる対策・復旧によるコスト増加のリスク | 短期~長期 |
| 機会 | ・気候変動関連ビジネス(コンサルティング、商品・サービスの提供)需要の増加 ・再生可能エネルギー関連融資をはじめとするサステナブルファイナンス等の取引拡大 ・異常気象災害へ備えるインフラ投資、被害を低減させるための設備投資等への資金支援が増加 | 短期~長期 |
②炭素関連資産の状況
TCFD提言で気候関連の財務影響を受けやすいとされる「エネルギー(注)」「運輸」「素材・建築物」「農業・食料・林産物」セクターを炭素関連資産としており、当行の融資残高に占める炭素関連資産の割合は、24.50%となっております。
(単位:億円)
| セクター | 業種 | 融資残高 | 割合 | |
| エネルギー(注) | 石油・ガス、電力 | 275 | 0.65% | |
| 運輸 | 空運、海運、陸運、自動車 | 1,128 | 2.68% | |
| 素材・建築物 | 金属・鉱業、化学、建築資材・資本財、不動産管理・開発 | 8,484 | 20.14% | |
| 農業・食料・林産物 | 飲料・食品、農業、製紙・林業 | 432 | 1.03% | |
| 炭素関連資産の合計 | 10,320 | 24.50% | ||
| 融資残高の合計 | 42,115 | 100.00% | ||
(注)水道事業、再生可能エネルギー発電事業者は除いております。
③シナリオ分析
移行リスク及び物理的リスクについて、複数の温度帯シナリオを用いて当行の与信関連費用の増加額を推計いたしました。
| シナリオ | 想定される主な動き | リスクへの影響 |
| 1.5℃シナリオ | 抜本的な気候変動対応・対策を行うことにより2100年の地球の平均気温が産業革命前と比べて1.5℃未満の上昇に抑えるシナリオ | 移行リスクの増加が見込まれる |
| 4℃シナリオ | 従来通り化石燃料等への依存による二酸化炭素排出量を継続した場合、2100年の地球の平均気温が産業革命前と比べて2.7℃~5.4℃上昇するシナリオ | 物理的リスクの増加が見込まれる |
<移行リスク>移行リスクは、炭素税導入や将来需要の変化のほか、電源構成の変化等を考慮して、当行の信用リスクへの影響が高いと考えられる、「エネルギーセクター」を分析対象といたしました。分析にあたっては、国際エネルギー機関(IEA)におけるNZEシナリオ(1.5℃シナリオ)などを参考に推計いたしました。
| 分析対象 | エネルギー |
| シナリオ前提 | 炭素税の導入に伴う融資先企業の追加費用発生、消費者の需要変化、座礁資産の推計値による資産償却費用発生及び融資先企業の今後の脱炭素対応を踏まえ、当行の信用リスクへの影響を推計 |
| 使用シナリオ | IEA Net-Zero Emissions by 2050シナリオ(1.5℃シナリオ) |
| 分析期間 | 2050年まで |
| 分析結果 | 増加が想定される与信関連費用は、累積で18億円程度 |
<物理的リスク>物理的リスクは、融資先の業種ごとの特性だけでなく、企業や当行担保物件の所在地にも左右されると考えられることから、分析対象は地域を特定したうえで法人全体と個人(住宅ローンとアパートローン)といたしました。分析にあたっては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のRCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)及びRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)を前提に、ハザードマップを利用して推計いたしました。
| 分析対象 | ・洪水:千葉県内全域における法人全体と個人(住宅ローン、アパートローン) ・高潮:東京湾岸の県内10市(注)における法人全体と個人(住宅ローン、アパートローン) ・浸水により影響を受ける融資残高は5,807億円 |
| シナリオ前提 | 急性リスク顕在化による水災の発生頻度と被害増加をハザードマップから想定し、当行担保物件と融資先企業の業績への影響を踏まえた信用リスクへの影響を推計 |
| 使用シナリオ | IPCC RCP2.6(2℃シナリオ)及びIPCC RCP8.5(4℃シナリオ) |
| 分析期間 | 2050年まで |
| 分析結果 | 増加が想定される与信関連費用は、2℃シナリオで最大17億円程度、4℃シナリオで最大22億円程度 |
(注)浦安市、市川市、船橋市、習志野市、千葉市、市原市、袖ケ浦市、木更津市、君津市、富津市