日本経済は、一進一退の動きとなりました。実質GDP(国内総生産)は、2018年4-6月期は前期比年率2.2%の増加と堅調でしたが、7-9月期は同2.5%減少しました。10-12月期に同1.6%の増加に転じた後、2019年1-3月期も同2.1%の増加となりましたが、1-3月期については他の景気指標はむしろ弱めであり、景気の実勢としてはむしろ弱めであったと考えられます。2018年4-6月期までは、グローバル景気拡大による輸出の増加が景気を主導し、国内需要も全体として堅調でした。しかしその後は、グローバル景気が循環的な鈍化局面に入ったことに加え、米国と中国の貿易摩擦が激化して景気の先行き不透明感が強まったことで、輸出の景気けん引力が弱まりました。7-9月期には、国内において自然災害が多く発生し、特に台風の影響で関西国際空港の機能が一時停止したことが輸出の減少につながったほか、国内需要も全般的に弱まりました。10-12月期にGDPが増加したのは、自然災害で減少した7-9月期からの反動によるところが大きいと見られますが、反発力は強くはありませんでした。2019年1-3月期は、アジア向けを中心に輸出が弱く、グローバル景気減速の影響が引き続き日本の景気に影響しています。この間、失業率が低水準で推移するなど雇用環境は比較的良好に推移しましたが、賃金上昇率は低い状態が続いており、消費者心理も悪化傾向をたどりました。2018年末にかけて耐久消費財の売れ行きが堅調だったのは、2019年10月に予定されている消費増税を意識した動きだった可能性はありますが、株価の下落とともに年明け後の個人消費は軟調となりました。また、人手不足に対応するための省力化需要などを背景に、企業の設備投資計画は比較的強めであるものの、グローバルな経済環境が不透明な中で慎重姿勢が強まり、設備投資の先行指標は2018年秋以降弱めの動きとなっています。
企業業績については、国内外の景気減速が鮮明になったことから、経常利益は2017年度比で小幅な増益になった模様です。米中貿易摩擦を背景に中国を中心に設備投資意欲が減退したことから、2017年度は好調であったFA(工場自動化)システムを中心とした産業用機械の増益率は鈍化、あるいは減益に転じたと見られます。また、保有株式の時価変動による未実現持分証券評価損の計上や、検査不正および品質問題対応といった特殊要因も利益を押し下げました。好調であったと見られる業種は、原油などの資源価格の高止まりで資源分野が好調に推移し、生活産業関連など非資源分野も堅調な商社や、半導体シリコンや黒鉛電極などの市況上昇を享受した化学、車載向け製品などが好調だった電子部品、高水準の受注残を抱えた半導体製造装置などが挙げられます。2019年3月期の主要企業(Russell/Nomura Large Cap)の推定経常利益は前期比1.1%増益となりました。3年連続の増益を維持したものの、増益率は2018年3月期の同15.3%増益から大幅に鈍化しました。2019年3月期のROE(株主資本利益率)は9.3%と、37年ぶりの高水準となった2018年3月期の10.3%を下回りました。
株式市場では、米中貿易摩擦をはじめとする不透明な市場環境やクレジット・スプレッドの拡大等を背景に、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。2018年度の日本株は、2017年度末の株価下落からの反発で始まりましたが、米中貿易摩擦や欧州政治不安、世界景気の先行きなどを巡る不透明な市場環境を背景に、年度前半は一進一退の動きとなりました。9月には米国が中国に対して新たな通商交渉を提案したことで、米中関係改善への期待が高まりました。日経平均株価は2018年10月1日に終値で24,245.76円と1991年11月以来の高値に達しました。しかし、その後はFRB(米連邦制度準備理事会)の米国金融政策正常化による金融環境の引き締まりを受けた米国長期金利上昇が重石となりました。2018年末にかけて世界の主要な株式市場は調整を余儀なくされて、日経平均株価も一時2万円を割り込む場面がありました。しかし、FRBが金融引き締めを休止する意向を示したことに加えて、年度末にかけては米中貿易協議の進展への期待が高まりました。これらに後押しされて、世界の主要な株式市場は年度末に向けて反発しました。代表的な株価指数である東証株価指数(TOPIX)は2018年3月末の1,716.30ポイントから、2019年3月末には1,591.64ポイントと7.3%下落しました。また、日経平均株価は2018年3月末の21,454.30円から、2019年3月末には21,205.81円と1.2%下落しました。
2024/06/25 12:33