訂正有価証券報告書-第115期(2018/04/01-2019/03/31)

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(1)業績の概況
以下の業績の概況は、「第1[企業の概況] 1[主要な経営指標等の推移]」および「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表]」の部とあわせてご覧ください。また、以下の内容には、一部、将来に対する予測が含まれており、その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれています。野村の実際の経営成績はここに記載されている将来に対する予測と大きく異なる可能性があります。
事業環境
日本
日本経済は、一進一退の動きとなりました。実質GDP(国内総生産)は、2018年4-6月期は前期比年率2.2%の増加と堅調でしたが、7-9月期は同2.5%減少しました。10-12月期に同1.6%の増加に転じた後、2019年1-3月期も同2.1%の増加となりましたが、1-3月期については他の景気指標はむしろ弱めであり、景気の実勢としてはむしろ弱めであったと考えられます。2018年4-6月期までは、グローバル景気拡大による輸出の増加が景気を主導し、国内需要も全体として堅調でした。しかしその後は、グローバル景気が循環的な鈍化局面に入ったことに加え、米国と中国の貿易摩擦が激化して景気の先行き不透明感が強まったことで、輸出の景気けん引力が弱まりました。7-9月期には、国内において自然災害が多く発生し、特に台風の影響で関西国際空港の機能が一時停止したことが輸出の減少につながったほか、国内需要も全般的に弱まりました。10-12月期にGDPが増加したのは、自然災害で減少した7-9月期からの反動によるところが大きいと見られますが、反発力は強くはありませんでした。2019年1-3月期は、アジア向けを中心に輸出が弱く、グローバル景気減速の影響が引き続き日本の景気に影響しています。この間、失業率が低水準で推移するなど雇用環境は比較的良好に推移しましたが、賃金上昇率は低い状態が続いており、消費者心理も悪化傾向をたどりました。2018年末にかけて耐久消費財の売れ行きが堅調だったのは、2019年10月に予定されている消費増税を意識した動きだった可能性はありますが、株価の下落とともに年明け後の個人消費は軟調となりました。また、人手不足に対応するための省力化需要などを背景に、企業の設備投資計画は比較的強めであるものの、グローバルな経済環境が不透明な中で慎重姿勢が強まり、設備投資の先行指標は2018年秋以降弱めの動きとなっています。
企業業績については、国内外の景気減速が鮮明になったことから、経常利益は2017年度比で小幅な増益になった模様です。米中貿易摩擦を背景に中国を中心に設備投資意欲が減退したことから、2017年度は好調であったFA(工場自動化)システムを中心とした産業用機械の増益率は鈍化、あるいは減益に転じたと見られます。また、保有株式の時価変動による未実現持分証券評価損の計上や、検査不正および品質問題対応といった特殊要因も利益を押し下げました。好調であったと見られる業種は、原油などの資源価格の高止まりで資源分野が好調に推移し、生活産業関連など非資源分野も堅調な商社や、半導体シリコンや黒鉛電極などの市況上昇を享受した化学、車載向け製品などが好調だった電子部品、高水準の受注残を抱えた半導体製造装置などが挙げられます。2019年3月期の主要企業(Russell/Nomura Large Cap)の推定経常利益は前期比1.1%増益となりました。3年連続の増益を維持したものの、増益率は2018年3月期の同15.3%増益から大幅に鈍化しました。2019年3月期のROE(株主資本利益率)は9.3%と、37年ぶりの高水準となった2018年3月期の10.3%を下回りました。
株式市場では、米中貿易摩擦をはじめとする不透明な市場環境やクレジット・スプレッドの拡大等を背景に、投資家のリスク回避姿勢が強まりました。2018年度の日本株は、2017年度末の株価下落からの反発で始まりましたが、米中貿易摩擦や欧州政治不安、世界景気の先行きなどを巡る不透明な市場環境を背景に、年度前半は一進一退の動きとなりました。9月には米国が中国に対して新たな通商交渉を提案したことで、米中関係改善への期待が高まりました。日経平均株価は2018年10月1日に終値で24,245.76円と1991年11月以来の高値に達しました。しかし、その後はFRB(米連邦制度準備理事会)の米国金融政策正常化による金融環境の引き締まりを受けた米国長期金利上昇が重石となりました。2018年末にかけて世界の主要な株式市場は調整を余儀なくされて、日経平均株価も一時2万円を割り込む場面がありました。しかし、FRBが金融引き締めを休止する意向を示したことに加えて、年度末にかけては米中貿易協議の進展への期待が高まりました。これらに後押しされて、世界の主要な株式市場は年度末に向けて反発しました。代表的な株価指数である東証株価指数(TOPIX)は2018年3月末の1,716.30ポイントから、2019年3月末には1,591.64ポイントと7.3%下落しました。また、日経平均株価は2018年3月末の21,454.30円から、2019年3月末には21,205.81円と1.2%下落しました。
債券市場では、日本銀行が長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みを維持する中、新発10年国債利回りは概ねマイナス0.1~0.15%程度での推移となりました。より具体的にみると、2018年4月から7月中旬まで、新発10年国債利回りは概ね0.2~0.6%の間で小動きでした。同年2月に新発10年国債利回りが0.1%を超えて上昇した際、日本銀行は金利上昇を抑えるための指値オペを実行しており、0.1%を大きく上回る金利水準を許容しない姿勢が示されていました。しかし7月半ば、日本銀行が金融政策の柔軟化を検討しているとの報道をきっかけに新発10年国債利回りは0.1%前後にまで上昇、実際日本銀行は7月30・31日の金融政策決定会合で、10年国債利回りの変動幅を従来のマイナス0.1~0.1%程度からマイナス0.2~0.2%程度へと拡大させる方針を決定しました。その直後には金利上昇の動きが強まり、8月2日には一時0.145%に達しましたが、日本銀行が臨時の長期国債買入オペを実施したことで0.1%前後での推移に戻りました。9月後半以降、海外金利上昇とともに新発10年国債利回りは上昇基調を強め、10月はじめには一時0.155%にまで達しましたが、FRBの利上げ姿勢が景気実勢と比較して強すぎるとの懸念から米国で株価が下落、11月中旬からは米国長期金利も低下傾向に転じたため、日本の新発10年国債利回りも低下しました。12月18・19日の米連邦公開市場委員会においてFRBが利上げ方針を維持すると、景気減速懸念から海外の金利とともに日本の金利もさらに低下し、0%前後の推移となりました。2019年初にFRBが景気を重視する姿勢を示した後は、株価が上昇基調に転じる一方で長期金利の低下に拍車がかかり、新発10年国債利回りは3月末に一時マイナス0.1%まで下落しました。
外国為替市場では、FRBが政策金利の引き上げを継続したことを背景に、1ドル=106円台で始まったドル円相場は緩やかにドル高・円安方向に推移し、10月に114円台まで達しました。しかし米中貿易摩擦の激化をうけて、ドル円レートの上値が重い展開が続きました。さらに10月以降は原油価格が急落、12月には米国株が大幅に調整するなど、総じて投資家はリスク回避姿勢を強めるなか、年末年始には急激な円高が進みました。特に、日本が休場だった1月3日には、薄商いも原因となり、ドル円レートが瞬間的に104円台をつけるなど、異常な動きがありました。その後、ドル円相場は緩やかに上昇を続けたものの、2019年1月以降はFRBが利上げをしばらく見送る姿勢を示したことで、上値も限定的となり、2019年3月末は1ドル=110.86円となりました。ユーロ円は2018年度に1ユーロ=130円台でスタートしたものの、ユーロ圏経済の景気減速やポピュリスト政党の台頭もあり、5月にユーロ円相場は125円台まで低下しました。その後、ユーロ圏は経済データの持ち直しを見せつつも、トルコでの政治情勢不安などを受け、ユーロ円相場は上値が限定的な横ばい圏での推移が続きました。さらに、年度末にかけては英国のEU離脱問題への不確実性が高まったことやECB(欧州中央銀行)が利上げ見通しを先送りしたことで、引き続きユーロ円相場の上値は重く、2019年3月末は1ユーロ=124.35円となりました。
海外
世界経済は、先進国、新興国ともに拡大しつつも、そのペースは鈍化しました。英国のEU離脱交渉や米中貿易摩擦など、保護主義的な政策への懸念が金融市場を不安定化させました。一方、主要中央銀行は全体として引き締め方向への動きを休止させつつあります。米国のFRBはおおむね3か月に一度のペースで利上げを継続してきましたが、2019年3月の会合では政策金利を据え置きました。日本銀行は依然として大規模な量的緩和政策を継続し、ECBは2018年12月末に資産購入プログラムを停止したものの、フォワードガイダンスを通じて少なくとも2019年末まで政策金利を据え置く姿勢を示しています。この間、新興国市場では、中国経済が債務抑制政策、対米貿易摩擦、ITセクターの業況悪化などによって減速傾向を強めました。インドは高成長を続けるものの、消費に減速感が見えています。資源国・産油国でも不透明感が増しています。
米国では、FRBが利上げを事実上停止したことで、金利が大幅に低下しました。2018年9月にはFOMC(連邦公開市場委員会)見通しで政策金利が2021年に3.375%と、長期的な水準の見通しである3.000%を超えていくことが示されていましたが、その後は利上げ見通しが下方修正され、2019年3月見通しでは政策金利が2021年2.625%と、長期水準見通し2.750%よりも下で止まることが示されました。これに合わせてFRBは2019年3月に利上げを見送り、2018年中に四半期に1回のペースで続いてきた利上げが、2018年12月の誘導目標レンジ2.25%~2.50%で止まりました。また、金融政策正常化方針の下で2018年中に続いてきたバランス・シート圧縮も、2019年3月に2019年半ばで止めることが決定されました。FRBが政策方針を大幅に転換させるきっかけになったのは、2018年後半の株価急落でした。2018年中には米中が追加関税と報復関税の応酬を行い、市場では貿易摩擦に対する懸念が高まりました。米国株価は2018年末にかけて大幅下落しました。その後、上記のとおりFRBがハト派化、さらに米国が関税引き上げを一旦先送りしたことで、2019年に入って株式市場は持ち直しました。2018年の実質GDP成長率は2.9%増と、2017年の2.2%増から加速しました。消費者物価上昇率は2018年3月の前年同月比2.4%増から2019年3月には同1.9%増へと減速しました。ダウ工業株30種平均株価は、2018年3月末の24,103ドルから、2019年3月末の25,929ドルへ7.6%上昇しました。米国財務省証券10年利回りは、2018年3月末の2.74%から、2019年3月末には2.41%と0.33%ポイント低下しました。
ユーロ経済は2018年7-9月期以降、減速基調を辿りました。中国経済の減速、主要国での自動車需要減退が、ユーロ圏最大の経済大国であるドイツ経済に悪影響を及ぼしました。英EU離脱が当初2019年3月29日に予定されていたため、2019年1-3月期にはユーロ圏においても英国のEU離脱懸念にともなう在庫投資需要が一時的に高まりましたが、域内の企業は景気の先行きに対しさらに慎重な見方を示しました。ECBは2018年12月に、2018年末に量的緩和政策の下での月額純資産購入額をゼロにするとして金融緩和の縮小を発表したものの、2019年3月にはドイツ経済の減速を踏まえ、少なくとも2019年末まで政策金利を据え置くと発表しました。ECBが当面の利上げに慎重な姿勢を示したことで、2019年3月下旬には独10年債利回りは2016年秋以来となる0%未満へ低下しました。英国では、メイ・英首相が円滑な英国のEU離脱を実現するために2018年11月にEUと合意した英EU離脱協定案が英下院で3回も否決、英国のEU離脱日は当初予定の2019年3月29日から2019年10月末に延期されました。
アジアでは、中国の2018年の実質GDP成長率は前年比6.6%増と、前年の同6.8%増から小幅に減速しました。金融引き締めで設備投資と国内消費が年後半に減速したことが主因です。金融政策は2018年後半から緩和姿勢に転じ、企業および家計向けの大規模減税も実施されました。ただし、輸出と設備投資は伸び悩みが見込まれます。景気減速の懸念が高まれば、追加的な消費刺激策、インフラ投資が打ち出されるとの市場期待が広がっています。この他のアジア諸国では、米中貿易摩擦など外部環境の不確実性が重石となっているものの、内需を中心に総じて底堅い経済成長が続いています。
エグゼクティブ・サマリー
当期の世界経済は景気拡大が続いたものの、一部の国・地域では景気拡大ペースが減速しました。米国では、実質GDP成長率が2017年から加速傾向が続きました。税制改革や歳出拡大を背景に個人消費や政府支出が伸長したほか、設備投資も堅調でした。一方で、金融市場の混乱を背景に、FRB(米連邦準備制度理事会)は2019年内に金融引き締めを休止する方針に転換しました。中国では、政府による債務削減政策により信用創造の動きが鈍化したことに加えて、米中貿易摩擦によって企業の設備投資意欲が減退しました。また、自動車購入促進政策終了後の自動車販売低迷など、個人消費も減速しました。欧州でも中国経済の成長減速を背景に、中国向け輸出が低迷しました。自動車排ガス規制導入後の自動車販売の低迷も欧州景気の重石となりました。英国では、EU離脱の先行きの不透明さから、企業の設備投資意欲が低い状態が続きました。
日本経済も同様に、景気拡大は続いたもののそのペースは鈍化しました。中国を中心とした世界景気減速の影響を受けて、輸出が伸び悩みました。また、豪雨や台風、地震等の相次ぐ自然災害の影響により、個人消費が低迷したほか、サプライチェーンの分断など企業の生産活動にも影響が及びました。しかし、人手不足を背景とした省力化投資などに後押しされる形で、企業の設備投資は堅調に推移しました。企業業績も景気減速の影響を受けて、主要企業の2018年度の増益率は2017年度から大幅に鈍化しました。また、米中貿易摩擦や米国金融政策が揺れ動く中、年度後半には市場のボラティリティ(変動性)が高まる場面がありました。
金融規制に関しては、自己資本比率・流動性比率・レバレッジ比率等、バーゼルⅢと呼ばれる規制の適用に加え、当社は「国内のシステム上重要な銀行」のひとつに指定されており、国内外の金融機関に対する監督強化のための広範囲な規制改革に引き続き注意深く対応することが必要となっております。また、各国中央銀行の金融政策正常化や、英国の欧州連合離脱(Brexit)にともなう先行き不透明感も見られる中、グローバルな事業環境の変化に注目し、適切な施策を検討・実施しております。
このように当社を取り巻く環境が大きく変動する中、野村グループでは、係争案件にかかる支払いや、過去の買収案件にかかるのれんの減損を進めてまいりました。「すべてはお客様のために」という基本観のもと、どのような事業環境においても持続的な成長ができるビジネス基盤を構築するため、国内におけるビジネス・モデルの変革の推進を継続するとともに、海外ビジネスの収益性のさらなる改善に努めてまいりました。また、2019年4月には未来共創カンパニーと呼ばれる全社横断的組織を新設し、デジタルを含めたイノベーションを活用することで、お客様へ新たなサービスを提供するためのプラットフォームを整えております。
当期の収益合計(金融費用控除後)は、前期比25.4%減の1兆1,168億円、金融費用以外の費用は同1.2%減の1兆1,545億円となりました。税引前当期純損失は377億円、当社株主に帰属する当期純損失は1,004億円となりました。自己資本利益率は△3.7%となり、また、当期のEPS(注)は前期の61.88円から△29.92円となっております。なお、2019年3月末を基準日とする配当金は、1株当たり3円とし、年間での配当は1株につき6円といたしました。
(注)希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益
2019年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比17.8%減の3,395億円、金融費用以外の費用は同6.4%減の2,900億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同52.0%減の495億円となりました。営業部門では、引き続き「すべてはお客様のために」という基本観のもと、お客様一人ひとりに寄り添い、多様化する要望にお応えして「最も信頼できるパートナー」を目指し、コンサルティング営業に取り組んでいます。当期は不透明な市場環境を背景にお客様の投資マインドが低下し、投資信託や株式の販売が低調でしたが、リテールチャネルにおいて、高齢者向け新組織(ハートフルパートナー)立ち上げによる入金等が寄与し、9ヵ月連続の現金本券差引のプラスを達成しました。今後は、さらにお客様の満足度向上を図るために、商品・サービスの継続的な開発や改善、本社からのサポートを強化すると同時に、よりお客様のニーズに応じたサービスを提供できる営業体制へシフトしてまいります。
2019年3月期のアセット・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比23.2%減の978億円、金融費用以外の費用は同4.1%増の637億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同48.3%減の342億円となりました。投資信託ビジネスでは、ETF、金融機関向け私募投信やSMA・ファンドラップ向けファンドへの資金流入が運用資産残高の増加へ寄与しました。投資顧問ビジネスでは、国内年金からの資金流出があったものの、海外ではハイ・イールド・プロダクトを中心に資金が流入しました。この結果、2019年3月末の運用資産残高は前期末比で増加しましたが、戦略的パートナーのアメリカン・センチュリー・インベストメンツ社の評価損益が業績に反映されたこともあり、前期比では減収となりました。
2019年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比22.4%減の5,554億円、金融費用以外の費用は、同8.5%増の6,668億円となりました。その結果、税引前当期純損失は1,114億円となりました。グローバル・マーケッツは、政学的な不透明要因やボラティリティの低下等を背景に、総じて顧客の投資行動は低調でマーケットも方向感がなく、ビジネス環境はとても厳しい年となりました。このような環境下、特にフィクスト・インカム関連ビジネスを中心に大きく減収となりました。一方、エクイティおよびストラクチャード関連ビジネスについては堅調に推移しており、前期比で若干の減収にとどまりました。インベストメント・バンキングは、グローバルに収益機会が減少する中で前期比減収となるも、地域や部門を越えた連携が奏功し、M&AやECM(株式等による資金調達関連ビジネス)ビジネスが収益を牽引しました。日本では武田薬品工業によるシャイアー社の買収やソフトバンクのグローバルIPO等、プロファイルの高い案件に多数関与し、引き続き国内外の顧客ニーズに応じた商品提供を行いました。海外では資金調達関連ビジネスが軟調に推移する一方、グローバル連携をてこにプロファイルの高いクロスボーダーM&A案件を執行するとともに、マーケットの変動を捉え、金利・為替などのソリューション案件を多数手掛けました。
経営成績
損益概況
野村の主要な連結損益計算書情報は以下のとおりであります。
2017年3月期
(百万円)
2018年3月期
(百万円)
2019年3月期
(百万円)
金融収益以外の収益:
委託・投信募集手数料327,129373,313293,069
投資銀行業務手数料92,580101,663101,521
アセットマネジメント業務手数料216,479245,616245,519
トレーディング損益475,587442,885342,964
プライベート・エクイティ投資関連損益1,371△8691,007
投資持分証券関連損益7,7082,683△6,983
その他153,626221,19281,057
金融収益以外の収益合計1,274,4801,386,4831,058,154
純金融収益128,717110,48658,616
収益合計(金融費用控除後)1,403,1971,496,9691,116,770
金融費用以外の費用1,080,4021,168,8111,154,471
税引前当期純利益(△損失)322,795328,158△37,701
法人所得税等80,229103,86657,010
当期純利益(△損失)242,566224,292△94,711
差引:非支配持分に帰属する当期純利益2,9494,9495,731
当社株主に帰属する当期純利益(△損失)239,617219,343△100,442
自己資本利益率(ROE)8.7%7.9%△3.7%

2019年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2018年3月期の1兆4,970億円から25%減少し、1兆1,168億円となりました。主に営業部門およびホールセール部門において、委託・投信募集手数料およびトレーディング損益が減少しました。委託・投信募集手数料は、株式買付額や投資信託募集買付額が減少したことから前期比21%減少し、3,733億円から2,931億円となりました。投資銀行業務手数料は前期比横ばいで、1,017億円から1,015億円になりました。武田薬品工業によるシャイアー社の買収案件、ソフトバンクのIPO案件などM&AやECMビジネスが収益に貢献しました。アセットマネジメント業務手数料は前期比横ばいで、2,456億円から2,455億円になりました。金融機関向け私募投信や投資一任向け商品へ資金が流入したことにより運用資産残高が拡大しました。トレーディング損益は、フィクスト・インカムビジネス、エクイティビジネスともに低調となり前期比23%減少し、4,429億円から3,430億円となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による収益2億円が含まれております。この損失は主にクレジット・スプレッドの拡大に起因するものであります。プライベート・エクイティ投資関連損益は、△9億円から10億円になりました。その他は、前期計上した海外子会社の実質的な清算によって生じた利益、朝日火災株式売却益が剥落したこと、およびアメリカン・センチュリー・インベストメンツ社関連損益が減少し前期比63%減少し、2,212億円から811億円になりました。

2018年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2017年3月期の1兆4,032億円から7%増加し、1兆4,970億円とな
りました。営業部門およびアセット・マネジメント部門が貢献し、委託・投信募集手数料、アセットマネジメント業
務手数料が増収となりました。委託・投信募集手数料は、株式買付額や投資信託募集買付額の増加により、株式委託
手数料や投信募集手数料が増加したことなどから前期比14%増加し、3,271億円から3,733億円となりました。投資銀
行業務手数料は、M&Aやファイナンスに付随するソリューション・ビジネスからの収益が増加したことなどから前期
比10%増加し、926億円から1,017億円になりました。アセットマネジメント業務手数料は、ETFや投資一任向け商品
への資金流入による運用資産残高の拡大などから前期比13%増加し、2,165億円から2,456億円になりました。トレー
ディング損益は、主にフィクスト・インカム関連ビジネスでの減収および特定の証券担保ローンから発生した損失に
より前期比7%減少し、4,756億円から4,429億円となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に
対して認識する自社クレジットの変化による損失額5億円が含まれております。この損失は主にクレジット・スプレ
ッドの縮小に起因するものであります。プライベート・エクイティ投資関連損益は、14億円から△9億円になりまし
た。その他は、海外子会社の実質的な清算によって生じた利益、朝日火災株式売却益を計上したことなどから前期比
44%増加し、1,536億円から2,212億円になりました。
2017年3月期、2018年3月期および2019年3月期の純金融収益は、それぞれ1,287億円、1,105億円、586億円でした。純金融収益は、トレーディング資産およびレポ・リバースレポ取引を含む総資産・負債の水準と構成、ならびに、金利の期間構造とボラティリティに左右されます。純金融収益は、トレーディング業務と不可分な1つの要素であり、野村は、特にグローバル・マーケッツについて、純金融収益と金融収益以外の収益との合計額で、ビジネス全体の収益性を評価しております。2019年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比33%増加、また、金融費用も前期比51%増加し、その結果、2019年3月期の純金融収益は2018年3月期から519億円減少しました。2018年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比33%増加、また、金融費用も前期比52%増加し、その結果、2018年3月期の純金融収益は2017年3月期から182億円減少しました。
野村は、投資持分証券関連損益として、2017年3月期、2018年3月期、および2019年3月期に、それぞれ77億円、27億円、△70億円を計上しています。この項目は、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。
2019年3月期の金融費用以外の費用は、2018年3月期の1兆1,688億円から1%減少し1兆1,545億円となりました。米州の過去の取引事案に関する約300億円強の引当が剥落したこと、および賞与を抑制したことにより人件費が減少した一方、ホールセール部門に帰属するのれんを814億円減損しました。
2018年3月期の金融費用以外の費用は、2017年3月期の1兆804億円から8%増加し1兆1,688億円となりました。繰延報酬により人件費が増加したことおよび過去の取引事案に関し米州において約300億円強の引当を計上したことにより前期比で増加しました。
税引前当期純利益(△損失)は、2017年3月期、2018年3月期、2019年3月期、それぞれ3,228億円、3,282億円、△377億円となりました。
野村は、日本においてさまざまな税金を課されており、日本の税法に基づき連結納税制度を適用しております。この連結納税制度は、国税だけを対象としています。国内の法定実効税率は、2017年3月期、2018年3月期、2019年3月期において、31%となっております。海外子会社は現地で課税を受けており、通常国内より低い税率が適用されています。そのため野村の各期の実効税率は、各地域での損益状況や、各地域で適用される特有の税務上の取扱いにも影響を受けています。
2019年3月期の税引前当期純損失に対する法人所得税等は570億円、実効税率は△151.2%となりました。この実効税率△151.2%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、損金に算入されない費用項目により110.3%実効税率が引き下げられた一方で、益金に算入されない収益項目により16.8%実効税率が引き上げられたことがあげられます。
2018年3月期の税引前当期純利益に対する法人所得税等は1,039億円、実効税率は31.7%となりました。この実効
税率31.7%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、海外の税制改正の影響により23.5%実効税率が引き上げられ
た一方で、評価性引当金の増減により22.8%実効税率が引き下げられたことがあげられます。
2017年3月期の税引前当期純利益に対する法人所得税等は802億円、実効税率は24.9%となりました。この実効税率24.9%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、評価性引当金の増減により10.8%実効税率が引き下げられた一方で、損金に算入されない費用項目により2.9%実効税率が引き上げられたことがあげられます。
当社株主に帰属する当期純利益(△損失)は2017年3月期、2018年3月期、2019年3月期、それぞれ2,396億円、2,193億円、△1,004億円となりました。自己資本純利益率(ROE)は、それぞれ8.7%、7.9%、△3.7%となりました。
事業セグメント別経営成績
野村の業務運営および経営成績の報告は、営業部門、アセット・マネジメント部門、ホールセール部門の区分で行われており、この部門体制に基づき、事業別セグメント情報を開示しております。営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社利益(損失)の持分額、本社勘定、その他財務調整項目等(マーチャント・バンキング部門の損益含む)は、事業セグメント別情報においては、“その他”として表示されています。営業目的で保有する投資持分証券評価損益は、セグメント情報には含まれておりません。なお、事業セグメント別経営成績については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 22 セグメントおよび地域別情報」にも記載がございます。また、そこでは、連結財務諸表数値と事業セグメント別数値の調整計算についても説明がありますのでご参照ください。
営業部門
野村の営業部門は、お客様へのコンサルティングとそれに基づく運用提案を中心とする営業活動を継続して行っており、その過程の中で手数料等を受け取っております。また、投資信託の運用会社からは野村が販売した投資信託の代行報酬を、保険会社からは野村が代理店として販売した保険の代理店手数料を受け取っております。
営業部門の経営成績
(単位:百万円)
2017年3月期2018年3月期2019年3月期
金融収益以外の収益369,503406,295331,743
純金融収益4,9316,6137,737
収益合計(金融費用控除後)374,434412,908339,480
金融費用以外の費用299,642309,771289,990
税引前当期純利益74,792103,13749,490

2019年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、不透明な市場環境を背景にお客様の投資マインドが低下し、株式や投信の売買が低調となった結果、2018年3月期の4,129億円から18%減少し、3,395億円となりました。
2018年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、好調な市場環境のもとで株式や投信の売買が増えた結果、2017年3月期の3,744億円から10%増加し、4,129億円となりました。
2019年3月期の金融費用以外の費用は、人件費の減少や償却期間満了にともなうシステム関連費用の減少により2018年3月期の3,098億円から6%減少し、2,900億円となりました。
2018年3月期の金融費用以外の費用は、システム関連費用の増加等から2017年3月期の2,996億円から3%増加し、3,098億円となりました。
税引前当期純利益は2017年3月期、2018年3月期、2019年3月期、それぞれ748億円、1,031億円、495億円となりました。
下の表は、2018年3月期、2019年3月期の商品別の金融収益以外の収益構成の内訳を示しています。
(単位:百万円)
2018年3月期2019年3月期
委託・投信募集手数料192,715142,764
株式委託手数料82,21060,167
投資信託募集手数料87,05557,880
その他手数料23,45024,717
トレーディング損益91,46955,829
投資銀行業務手数料25,95133,981
投資信託残高報酬93,58295,384
その他2,5783,785
金融収益以外の収益406,295331,743

2019年3月期の委託・投信募集手数料は、株式買付額や投資信託募集買付額が減少したことから、2018年3月期の1,927億円から26%減少し、1,428億円となりました。2019年3月期のトレーディング損益は、主に外国株式関連収入が減少したことから、2018年3月期の915億円から39%減少し、558億円となりました。2019年3月期の投資銀行業務手数料は、ソフトバンクのIPO案件等、ECMビジネスが収益に貢献し、2018年3月期の260億円から31%増加し、340億円となりました。2019年3月期の投資信託残高報酬は、2018年3月期の936億円から2%増加し、954億円となりました。2019年3月期のその他は、2018年3月期の26億円から47%増加し、38億円となりました。
営業部門顧客資産残高
下の表は、2018年3月末、2019年3月末の営業部門顧客資産残高と、その内訳を示しています。
(単位:兆円)
2018年3月31日
期首顧客資産残高資金流入額資金流出額時価評価損益期末顧客資産残高
株式66.313.7△11.97.675.7
債券17.631.5△30.1△1.117.9
株式型投資信託8.83.9△3.5△0.19.1
債券型投資信託7.30.8△0.5△0.57.1
外国投資信託1.30.1△0.1△0.11.2
その他6.40.8△0.60.16.7
合計107.750.8△46.75.9117.7

(単位:兆円)
2019年3月31日
期首顧客資産残高資金流入額資金流出額時価評価損益期末顧客資産残高
株式75.722.5△21.4△4.971.9
債券17.929.2△27.2△1.118.8
株式型投資信託9.12.9△2.7△0.39.0
債券型投資信託7.10.3△0.70.16.8
外国投資信託1.2-△0.10.01.1
その他6.70.9△0.60.17.1
合計117.755.8△52.7△6.1114.7

2019年3月末の営業部門顧客資産残高は、2018年3月末の117.7兆円から3.0兆円減少し、114.7兆円となりました。日本におけるマーケット環境の悪化や資金流出の増加により株式関連資産が2018年3月末の75.7兆円から3.8兆円減少し、71.9兆円となりました。また、2019年3月末の投資信託残高は、2018年3月末の17.4兆円から0.5兆円減少し、16.9兆円となりました。
2018年3月末の営業部門顧客資産残高は、2017年3月末の107.7兆円から10.0兆円増加し、117.7兆円となりました。日本におけるマーケット環境の好転や資金流入の増加により株式関連資産が2017年3月末の66.3兆円から9.4兆円増加し、75.7兆円となりました。また、2018年3月末の投資信託残高は、2017年3月末から横ばいの17.4兆円となりました。
アセット・マネジメント部門
アセット・マネジメント部門は、野村アセットマネジメントを中心に、野村證券を含む証券会社や銀行を通じて販売される投資信託の開発・運用や、内外の年金その他の法人顧客に対する投資顧問業を行い、投資信託の運用報酬や投資顧問報酬を受け取っています。
アセット・マネジメント部門の経営成績
(単位:百万円)
2017年3月期2018年3月期2019年3月期
金融収益以外の収益90,025118,54589,607
純金融収益9,4028,7928,238
収益合計(金融費用控除後)99,427127,33797,845
金融費用以外の費用57,09461,16763,660
税引前当期純利益42,33366,17034,185

2019年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、投資信託ビジネスや投資顧問ビジネスでの資金流入が運用資産残高の拡大に寄与し、引き続きビジネスは堅調だったものの、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益が収益を押し下げ、2018年3月期の1,273億円から23%減少し、978億円となりました。
2018年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、運用資産残高の大幅な拡大やアメリカン・センチュリー・インベストメンツ株式からの配当収入および評価益等が貢献し、2017年3月期の994億円から28%増加し、1,273億円となりました。
2019年3月期の金融費用以外の費用は、システム関連費用等の増加により、2018年3月期の612億円から4%増加し637億円となりました。
2018年3月期の金融費用以外の費用は、収益増加にともなう人件費や支払手数料が増加したことにより、2017年3月期の571億円から7%増加し612億円となりました。
税引前当期純利益は、2017年3月期、2018年3月期、2019年3月期、それぞれ423億円、662億円、342億円となりました。
下の表は、2018年3月末、2019年3月末のアセット・マネジメント部門の運用会社別の運用資産残高を示しています。
(単位:十億円)
2018年3月31日
期首運用
資産残高
資金流入額資金流出額時価評価
損益
期末運用
資産残高
野村アセットマネジメント47,42530,778△28,7882,96652,381
野村ファンド・リサーチ・アンド・テクノロジー2,839700△9131392,765
ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント2,357942△613△22,684
単純合計52,62132,420△30,3143,10357,830
グループ運用会社間の重複資産△8,262△2,0172,665△201△7,815
合計44,35930,403△27,6492,90250,015

(単位:十億円)
2019年3月31日
期首運用
資産残高
期首調整
(注)
資金流入額資金流出額時価評価
損益
期末運用
資産残高
野村アセットマネジメント52,381-24,988△23,850△14853,371
野村ファンド・リサーチ・アンド・テクノロジー2,765△2,765----
ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント2,684-902△7321573,011
単純合計57,830△2,76525,890△24,582956,382
グループ運用会社間の重複資産△7,8152,649△1,1871,521△176△5,008
合計50,015△11624,703△23,061△16751,374

(注)2018年4月の組織改正にともない、野村ファンド・リサーチ・アンド・テクノロジーはアセット・マネジメント部門からその他に帰属することとなりました。
2019年3月末におけるアセット・マネジメント部門の運用資産は51.4兆円で、2017年3月末比で7.0兆円の増加(うち資金流出入により4.4兆円、時価要因により2.6兆円それぞれ増加)、2018年3月末比で1.4兆円の増加(うち資金流出入により1.6兆円増加、時価要因により0.2兆円減少)となりました。投資信託ビジネスでは、ETF等の株式型投信への資金流入が続きました。
下の表は、2017年、2018年、2019年それぞれの3月末時点の、野村アセットマネジメントの日本の公募投資信託市場におけるシェア(純資産残高ベース)を示しています。
2017年3月31日2018年3月31日2019年3月31日
公募投資信託合計26%27%28%
株式型投資信託23%25%26%
公社債型投資信託44%44%45%

2019年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、35.6兆円と、対前期比1.5兆円、4%増加しました。その内訳は、2.2兆円の資金流入と0.7兆円の運用減によるものです。主に「TOPIX連動型上場投資信託」「日経225連動型上場投資信託」といった上場投資信託で残高が増加しました。
2018年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、34.1兆円と、対前期比4.8兆円、16%増加しました。その内訳は、3.3兆円の資金流入と1.5兆円の運用増によるものです。主に「TOPIX連動型上場投資信託」「日経225連動型上場投資信託」といった上場投資信託や、「野村インド株投資」といった外国株投資信託で残高が増加しました。
ホールセール部門
ホールセール部門の経営成績
ホールセール部門の経営成績はグローバル・マーケッツとインベストメント・バンキングにより構成されています。
(単位:百万円)
2017年3月期2018年3月期2019年3月期
金融収益以外の収益564,877587,474496,484
純金融収益174,379127,85958,904
収益合計(金融費用控除後)739,256715,333555,388
金融費用以外の費用577,809614,745666,787
税引前当期純利益(△損失)161,447100,588△111,399

2019年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は、2018年3月期の7,153億円から22%減少し、5,554億円となりました。フィクスト・インカムは、不透明な市場環境を受けて金利プロダクトを中心に収益が悪化、またエクイティも、顧客アクティビティの低下により減収、またインベストメント・バンキングは、武田薬品工業によるシャイアー社の買収案件やソフトバンクのIPO案件等、M&AやECMビジネスが収益に貢献したものの若干の減収となりました。
2018年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は、2017年3月期の7,393億円から3%減少し、7,153億円となりました。特定の証券担保ローンに関連して損失を計上したものの、年間を通じて株式市場が活況であり、顧客アクティビティが改善したことからエクイティが増収、また日本でM&Aの大型案件が多かったことからインベストメント・バンキングが増収となった一方で、フィクスト・インカムは、低ボラティリティの環境下で金利プロダクトを中心に減収となりました。
2019年3月期の金融費用以外の費用は、2018年3月期の6,147億円から8%増の6,668億円となりました。第3四半期に計上したのれん減損の影響に加え、ビジネス・ポートフォリオ見直しにともなう一時費用により増加しました。
2018年3月期の金融費用以外の費用は、2017年3月期の5,778億円から6%増の6,147億円となりました。エクイティビジネスの取引量増加にともない、支払手数料が増加、加えて人件費も増加しました。
税引前当期純利益(△損失)は、2017年3月期、2018年3月期、2019年3月期、それぞれ1,614億円、1,006億円、△1,114億円となりました。
次の表は、ホールセール部門における収益合計(金融費用控除後)における、グローバル・マーケッツおよびインベストメント・バンキングの内訳表であります。
(単位:百万円)
2017年3月期2018年3月期2019年3月期
ホールセール部門 収益合計(金融費用控除後):
グローバル・マーケッツ634,210603,197453,044
インベストメント・バンキング105,046112,136102,344
収益合計(金融費用控除後)739,256715,333555,388

2018年4月、野村はクライアント・ファイナンシング・アンド・ソリューション(以下「CFS」)を設立いたしました。CFSではグローバル・マーケッツとインベストメント・バンキングが協働するため、事業セグメント上はCFSから発生する収益をグローバル・マーケッツおよびインベストメント・バンキングに適宜按分しております。これにともなって従来グローバル・マーケッツに含めて表示していた収益の一部をインベストメント・バンキングに組み替えております。
グローバル・マーケッツ
野村は長年にわたって主に国内外の機関投資家を対象として、債券・株式や為替およびそれらのデリバティブ商品のセールスとトレーディングをグローバルに展開してきました。近年では、より多様化・複雑化するお客様からのご要望にお応えするため、トレーディング能力と商品組成能力の強化に取り組み、国内外の機関投資家のみならず、営業部門およびアセット・マネジメント部門にさまざまな高付加価値商品を提供すると同時に、インベストメント・バンキングとも協働し、付加価値の高いソリューションを提供しています。また、国内外の機関投資家に加えて、国内の富裕層・諸法人や地域金融機関、国内外の政府機関や金融機関・事業法人などと強固な関係を構築し、ビジネスを拡大しております。これにより、お客様がどのような商品を求めているかを把握し、そのニーズに合わせた商品を国内外のプロダクトラインにおいて迅速に開発・提供することが可能となっております。
2019年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)は、2018年3月期の6,032億円から25%減少し、4,530億円となりました。フィクスト・インカムの2019年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2018年3月期の3,416億円から2,328億円となりました。不透明なマクロ環境が影響し、金利プロダクトを中心に減収となりました。エクイティの2019年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2018年3月期の2,616億円から2,202億円となりました。不透明な市場環境下で顧客アクティビティが低下したことから、前期比で減収となりました。
2018年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)は、2017年3月期の6,342億円から5%減少し、6,032億円となりました。フィクスト・インカムの2018年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2017年3月期の4,019億円から3,416億円となりました。歴史的に低いボラティリティ環境下で、市場参加者の動きが低調となったことから、金利プロダクトを中心に減収となりました。エクイティの2018年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2017年3月期の2,323億円から2,616億円となりました。特定の証券担保ローンから損失を計上したものの、年間を通じて株式市場が活況であり、顧客アクティビティが改善したことから、前期比で増収となりました。
これらのグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)は管理会計ベースで作成された米国会計原則に基づかない指標であり、ホールセール部門の財務情報として有益であると考えております。また、グローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)を開示することにより、グローバル・マーケッツの動向を理解するうえで役立つと考えております。
インベストメント・バンキング
野村は、引受け、アドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しています。アジア、欧州、米国といった世界の主要な金融市場で、債券、株式、その他の引受業務を行っており、日本国内、クロスボーダーおよび海外のM&A/財務コンサルティング業務を継続的に強化してきました。また、グローバルでのオーダーメイド型サービス提供による、顧客との強固で長期的な関係を構築することを追求しております。
2019年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、地域や部門を超えた連携が奏功し、武田薬品工業によるシャイアー社の買収案件やソフトバンクのIPO案件等、M&AやECMビジネスが収益を牽引したものの、2018年3月期の1,121億円から9%減少し、1,023億円となりました。
2018年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、特定の証券担保ローン取引について損失を計上したものの、日本でM&Aの大型案件が多かったことから、2017年3月期の1,050億円から7%増加し、1,121億円となりました。
これらのインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は管理会計ベースで作成された米国会計原則に基づかない指標であり、ホールセール部門の財務情報として有益であると考えております。また、インベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)を開示することにより、インベストメント・バンキングの動向を理解するうえで役立つと考えております。
その他の経営成績
その他の経営成績には、経済的ヘッジ取引に関連する損益、営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社損益の持分額、本社勘定、その他の財務調整が含まれております。詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 22 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。
その他の経営成績は、2017年3月期、2018年3月期、2019年3月期、それぞれ376億円、564億円、△28億円の税引前当期純利益(△損失)となりました。
2019年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する利益2億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する損失7億円がその他の業績に含まれております。
2018年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する損失6億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益68億円がその他の業績に含まれております。
2017年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する損失166億円、カウンターパーテ
ィ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益88億円がその他の業績に含まれております。
サイバーセキュリティインシデント
2018年6月に、海外子会社において、当該子会社の顧客情報を含むシステムへの不正なアクセスがあったことが判明しました。当該事案により、野村のレピュテーションが害されること、ならびに法的責任および行政処分の対象となることによる経済的損失を被る可能性があります。また、当該事案に対する是正措置のみならず、他の野村グループ会社のサイバーセキュリティ強化により、費用が増加することが見込まれます。
地域別経営成績
地域別の収益合計(金融費用控除後)、税引前当期純利益(損失)については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 22 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。
キャッシュ・フロー
「(6)流動性資金調達と資本の管理」をご参照ください。
(2)トレーディング業務の概要
トレーディング目的資産負債
トレーディング目的資産および負債の内訳については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2 公正価値測定 および 3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」をご参照ください。
トレーディングのリスク管理
野村はトレーディング業務における市場リスクの測定方法として、バリュー・アット・リスク(VaR)を採用しております。
(1)VaRの前提
・信頼水準:99%
・保有期間:1日
・商品の価格変動等を考慮
(2)VaRの実績
2018年3月31日
(億円)
2019年3月31日
(億円)
株式関連1211
金利関連3128
為替関連3219
小計7558
分散効果△11△13
バリュー・アット・リスク(VaR)6445

2019年3月期
最大値(億円)最小値(億円)平均値(億円)
バリュー・アット・リスク(VaR)1063146

(3)重要な会計方針および見積もり
財務諸表作成上の見積もり
連結財務諸表の作成に際し、経営者は、特定の金融商品と投資の評価、訴訟の結果、税金の見積もり、のれんの帳簿価額の回収可能性、貸付金に対する貸倒引当金、繰延税金資産の回収可能性および資産負債の報告数値ならびに財務諸表の開示内容に影響を与えるその他の事項について見積もりを行っております。これらの見積もりは、その性質上、判断および入手し得る情報に基づいて行われることになります。したがいまして、実際の結果がこれらの見積もり額と異なることがあり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える場合や、近い将来調整が生じる可能性があります。
金融商品の公正価値
野村の金融商品の大部分は経常的に公正価値で計上され、公正価値の変動は損益もしくはその他の包括利益に計上されます。公正価値評価は米国会計原則により明確に適用が要求される場合と、野村が公正価値オプションを選択できる対象に選択して適用する場合があります。
その他の一義的な評価基準が公正価値に基づかない金融資産や負債は非経常的に公正価値評価されます。その場合、公正価値は当初認識以降の減損の測定など限定的な状況で使用されます。
米国財務会計基準審議会編纂書(以下「編纂書」)820「公正価値評価と開示」に基づき、公正価値で測定されたすべての金融商品はその測定に使用された基礎データの透明度によって3段階のレベルに分類されます。
レベル1
測定日現在の、同一の金融商品の(未調整の)取引価格を反映した観察可能な評価インプット
レベル2
レベル1に含まれる取引価格以外の、直接的に、または、間接的に観察可能な評価インプット
レベル3
野村の仮定や特定のデータを反映する観察不能な評価インプット
市場で観察可能なデータの利用可能性は、商品によって異なり、種々の要素の影響を受ける可能性があります。以下に限りませんが、有意な要素には、特に商品がカスタマイズされたものである場合には市場における類似する商品の普及度、例えば新商品であるかまたは比較的成熟しているかどうかというような市場での商品の様態、現在のデータが取得できる頻度および量などの市場から得られる情報の信頼性などが含まれます。市場が著しく変動している期間は、利用可能な観察可能なデータが減少する場合があります。そのような環境の下では、金融商品は公正価値評価の階層の下位レベルに再分類される可能性があります。
金融商品の分類を決定するのに用いる重要な判断には、商品が取引される市場の性質や商品が内包するリスク、市場データの種類と流動性、および類似する商品で観察された取引の性質が含まれます。
評価モデルに市場においてあまり観察可能でないデータあるいは観察不能なデータを使用する場合には、公正価値の決定過程には当社の重要な判断が含まれます。そのためレベル3の金融商品の評価は、レベル1やレベル2の金融商品の評価に比べてより多くの判断が含まれます。
市場が活発であるかどうかを当社が判断するための重要な基準には、取引数、市場参加者による価格決定の頻度、市場参加者間で取引される価格の多様性、および公表された情報の量などが用いられております。
毎期経常的に公正価値評価される資産の合計に対するレベル3に分類された資産の比率は、2019年3月31日現在で5%となりました。
(単位:十億円)
2019年3月31日
レベル1レベル2レベル3取引相手および現金担保との相殺合計
公正価値評価資産
(除くデリバティブ)
6,9328,313627-15,872
デリバティブ資産1614,786127△14,077852
合計6,94823,099754△14,07716,724

詳細につきましては「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2 公正価値測定」をご参照ください。
デリバティブ取引
野村は、トレーディング目的およびトレーディング目的以外として先物、先渡、オプションおよびスワップを含む多様なデリバティブ金融商品取引を行っています。すべてのデリバティブは公正価値で評価され、公正価値の変動はデリバティブの使用目的に応じて、連結損益計算書あるいは連結包括利益計算書で認識されます。
法的に拘束力のあるマスター・ネッティング契約を交わしたデリバティブの公正価値は、野村の連結貸借対照表では相殺して表示しております。加えて、現金担保の請求権および現金担保の返還義務はそれぞれ、相殺されたデリバティブ負債およびデリバティブ資産と相殺されております。
デリバティブ取引は、上場デリバティブおよび店頭デリバティブで構成されております。上場デリバティブの公正価値は取引所価格または評価モデルにより決定され、店頭デリバティブの公正価値は評価モデルにより決定されます。相殺後の上場デリバティブおよび店頭デリバティブの資産および負債は次のとおりです。
2018年3月31日
(十億円)
資産負債
上場デリバティブ74146
店頭デリバティブ950588
合計1,024734

2019年3月31日
(十億円)
資産負債
上場デリバティブ103241
店頭デリバティブ749574
合計852815

2019年3月31日現在における、契約上の残存満期年限ごとに分類した店頭デリバティブ資産および負債の公正価値は次のとおりです。
2019年3月31日
(十億円)
満期年限異なる満期間の相殺
(注)
公正価値の合計
1年以内1~3年3~5年5~7年7年超
店頭デリバティブ-資産1,2461,2549656482,896△6,260749
店頭デリバティブ-負債1,3701,1237796072,531△5,836574

(注)同じ取引相手先において、異なる満期間の公正価値を相殺する場合の相殺の金額を表示しております。同じ満期間の相殺はその年限内にて相殺しております。また、同じ取引相手先との現金担保の相殺を含んでおります。
デリバティブ取引の公正価値にはクレジットリスクに対する調整を含んでおり、これにはデリバティブ資産へのカウンターパーティクレジットリスクとデリバティブ負債への自社クレジットが含まれます。野村はポジションのクレジットリスクを軽減する目的でデリバティブ取引を行っており、この様なポジションとデリバティブのクレジットリスクの変動に関する損益を一体として認識しております。
のれん
企業結合の完了時に買収価額と純資産の公正価値との差額がのれんとして認識されます。当初認識以降、のれんは償却されず、減損の判定がレポーティング・ユニットのレベルで毎年第4四半期、あるいは減損の兆候の可能性を示す事象がある場合にはそれ以上の頻度で行われます。野村のレポーティング・ユニットは事業別セグメントと同じレベルまたはひとつ下のレベルになります。
野村は、それぞれのレポーティング・ユニットにつき、まず定性的に事象を検証し、レポーティング・ユニットの公正価値が簿価を下回っている可能性が高い(50%超)かどうかを判断します。もし公正価値が簿価を下回っていないという判断の場合には、それ以上の分析は必要とされません。もし公正価値が簿価を下回る可能性が高い場合には定量的な2段階のテストを行います。
まず第1段階ではのれんを含めたレポーティング・ユニットの簿価を現時点での見積公正価値と比較します。ここでもし公正価値が簿価を下回る場合には、第2段階に進みます。第2段階では、レポーティング・ユニットののれんの暗示的な現時点での公正価値を、あたかもレポーティング・ユニットを企業結合により買収したかのように、レポーティング・ユニットの純資産の公正価値とレポーティング・ユニットの公正価値を比較して決定します。のれんの簿価が暗示的な現時点での公正価値を上回る場合、減損損失が認識されます。
2019年3月期において、ホールセール部門に帰属するのれんの減損81,372百万円を認識しています。これは、ホールセール部門における昨今の業績状況および事業環境の変化を踏まえて減損テストを行った結果、ホールセール部門に計上していたのれんが減損したためです。これにより、2019年3月31日現在のホールセール部門に帰属するのれんの残高はありません。これらの減損損失は連結損益計算書上、金融費用以外の費用―その他に計上しております。なお、公正価値は割引現在価値法により決定されています。
一定の金融商品および取引先に対するエクスポージャー
市場環境は、野村が一定のエクスポージャーを有するさまざまな金融商品に影響を与え続けています。また、野村は通常の業務においても、特別目的事業体などの取引先に対し、一定のエクスポージャーを有しております。
レバレッジド・ファイナンス
野村は、顧客にレバレッジド・バイアウト、レバレッジド・バイインにかかる貸付金を提供しています。通常このような資金提供はコミットメントを通じて行われることが多く、野村は実行済および未実行コミットメントの双方においてエクスポージャーを有しております。次の表は、2019年3月31日現在における野村のレバレッジ・ファイナンスのエクスポージャーを対象企業の地域別に表しております。
(単位:百万円)
実行済残高未実行コミットメント残高合計
欧州12,22396,388108,611
米州10,926191,343202,269
アジア・オセアニア6,9973,01510,012
合計30,146290,746320,892

特別目的事業体
野村が行う特別目的事業体との関与は、これらの事業体を組成すること、またマーケットの状況に応じて、これらの事業体が発行する負債証券および受益権を引受け、売出し、販売することが含まれております。また野村は通常の証券化およびエクイティデリバティブ業務の中で、これらの事業体に対する金融資産の譲渡、これらの事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。さらに野村は、マーケットメーク業務、投資業務、組成業務に関連し、特別目的事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。特別目的事業体とのそのほかの関与には、債務保証やデリバティブ契約などが含まれます。
変動持分事業体への関与に関するより詳しい説明は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 7 証券化および変動持分事業体」をご参照ください。
新しい会計基準の公表
「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 1 会計処理の原則および会計方針の要旨:会計方針の変更および新しい会計基準の公表」をご参照ください。
(4)繰延税金資産の状況
1)繰延税金資産・負債の主な発生原因
2019年3月31日現在、連結貸借対照表上、その他の資産-その他として記載されている繰延税金資産、およびその他の負債として記載されている繰延税金負債の内訳は、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
2019年3月31日
繰延税金資産
減価償却、その他の償却、および固定資産の評価20,008
子会社・関連会社株式投資25,243
金融商品の評価差額71,806
未払退職・年金費用29,711
未払費用および引当金44,803
繰越欠損金369,286
その他9,213
繰延税金資産小計570,070
控除:評価性引当金△444,916
繰延税金資産合計125,154
繰延税金負債
子会社・関連会社株式投資133,936
金融商品の評価差額41,770
海外子会社の未分配所得2,039
固定資産の評価10,109
その他6,843
繰延税金負債合計194,697
繰延税金資産(負債)の純額△69,543

2)繰延税金資産の算入根拠
繰延税金資産は、米国会計基準に基づき、将来において実現すると予想される範囲内で認識しており、将来において実現が見込まれない場合には評価性引当金を計上しております。なお、将来の課税所得の見積期間は納税単位ごとに個別に判断し、適正な期間見積もっております。
3)過去5年間の課税所得および見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額
当社は、日本にて連結納税制度を採用しており、野村證券を含む主要子会社は当制度に含まれております。上記1)に記載されている繰延税金資産のうち、日本の連結納税グループにおける繰延税金資産(負債)の純額は△64,701百万円となっており、野村の連結財務諸表における繰延税金資産(負債)の純額の大部分を占めております。そのため、以下の記載では連結納税グループの合算数値を記載しております。
過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)
(単位:百万円)
2013年度2014年度2015年度2016年度2017年度
日本の連結納税グループ合算値△91,847252,152195,472160,76979,397

(注) 法人確定申告書上の繰越欠損金控除前の課税所得であり、その後の変動は反映しておりません。
見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額
日本の連結納税グループについては、5年を課税所得見積もり期間とし、見込み税引前当期純利益合計および見込み調整前課税所得合計はそれぞれ、571,558百万円、644,695百万円となっております。
(5)リスクについての定量・定性的開示
リスク・マネジメント
野村の事業活動は、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、その他外生的事象に起因するリスクなどのさまざまなリスクに晒されております。野村では、財務の健全性を確保し、企業価値を維持・向上するために、これらのリスクを総合的にコントロールし、モニタリングし、報告するためのリスク管理体制を構築しております。
グローバル・リスク管理体制
リスク管理
野村では、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、モデル・リスクなど業務運営によって生じる不測の損失により当グループの資本が毀損する可能性、および自社の信用力の低下または市場環境の悪化により円滑な資金調達ができなくなるという資金流動性リスク、さらに収益環境の悪化または業務運営の効率性もしくは有効性の低下により収益がコストをカバーできなくなるというビジネス・リスクをリスクとして定義しております。
そのうえで、野村では全社員が自らリスク管理を行う主体であると認識し、リスクに適切に対処することを基本理念としております。野村では、組織内の全階層において積極的なリスク管理がなされるよう推進し、かつ、リスクをリスク・アペタイトの範囲内に抑制するよう努めております。野村のリスク管理の枠組みはリスク・アペタイト、リスク管理のガバナンスおよび監督、財務的経営資源の管理、すべてのリスク・カテゴリーの管理、およびリスクの計測および管理プロセスで構成されています。これら主要な項目については次に詳述いたします。
リスク・アペタイト
野村は、規制上の資本、流動性、業務環境によって決定される制約条件を勘案のうえ、最大限取りうるリスク水準の範囲内で、戦略的な目標と事業計画の達成のために許容するリスクの種類およびリスク量を、リスク・アペタイト・ステートメントとして定めています。リスク・アペタイト・ステートメントは、リスク統括責任者(CRO)および財務統括責任者(CFO)により提案され、経営会議が承認することにより決定されます。リスク・アペタイト・ステートメントには、自己資本充実度とバランスシート、流動性リスク、市場および信用リスク、オペレーショナル・リスク、コンプライアンス・リスク、モデル・リスクが含まれており、当グループの事業遂行にともなうリスクが表されています。またリスク・アペタイトの各項目の主管部署は、定期的にモニタリングを行い、違反が発生することがないよう、適切に管理を行うこととしています。
野村のリスク・アペタイト・ステートメントについては、経営会議において年一回見直しがなされています。見直しは必要に応じて臨時で実施し、当社戦略に重大な変更があった場合には必ず見直しを行うことになっております。リスク・アペタイトは、野村のリスク管理体制の基礎をなすものです。
リスク管理の組織体制
野村では、効果的な事業運営とリスク管理のための会議体が設置されています。リスク管理体制は以下のとおりです。
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取締役会
取締役会は、野村グループの経営の基本方針、その他法令に定められた事項について決定し、取締役および執行役の職務執行状況を監督します。また取締役会は、経営会議規程の制定、改廃について決定する権限を有しております。
経営会議
経営資源の有効活用と業務執行の意思統一を図ることにより、野村における経営戦略および経営資源の配分ならびに経営にかかる重要事項を審議し、株主価値の増大に努めます。またリスク管理に関する審議事項の決定権限を統合リスク管理会議に委譲しています。経営会議の主要な役割は以下のとおりです。
・経営資源の配賦-各年度の開始にあたり、経営会議は経済資本や無担保調達資金等の各種経営資源の配賦や経営資源のリミットの設定を行います。
・事業計画-各年度の開始にあたり、経営会議は野村の事業計画や予算を承認します。また、期中における、重要な新規ビジネス、事業計画の変更、予算や経営資源の配賦を承認します。
・レポーティング-経営会議は経営会議の内容等を取締役会へ報告します。
統合リスク管理会議
業務の健全かつ円滑な運営に資することを目的として、経営会議の委任を受け、野村の統合リスク管理にかかる重要事項を審議、決定します。統合リスク管理会議は、野村のリスク・アペタイトを設定し、それに整合した統合リスク管理の枠組みの整備を行います。また、リスク管理の枠組みを整備することを通じて野村のリスク管理を監督します。リスク管理に関する重要な事項その他議長が必要と認める事項について、取締役会および経営会議に報告します。
加えて、統合リスク管理会議は、経営会議の委譲を受け、リスク管理規程を策定し、リスク管理の基本方針を含むグループ全体のリスク管理の枠組みについて定めております。
リスク審査委員会
統合リスク管理会議の委任を受けたリスク審査委員会は、統合リスク管理会議が定める野村の戦略的なリスク配分、リスク・アペタイトに基づいて、野村の市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスク、またはレピュテーショナル・リスクにかかる重要事案を審議・決定し、業務の健全かつ円滑な運営に努めております。審議内容や議長が必要と認める事項について、統合リスク管理会議に報告します。(なお、リスク審査委員会は、リスク・マネジメント・ガバナンス体制の見直しにより、6月24日付で廃止され、その機能は、CRO、統合リスク管理会議、またはグローバル・ポートフォリオ委員会が担うこととなりました。)
グローバル・ポートフォリオ委員会
統合リスク管理会議の委任を受けたグローバル・ポートフォリオ委員会は、特定のポートフォリオの管理にかかる事案を審議・決定し、野村のリスク配置およびリスク・アぺタイトに沿ったリスク・プロファイルを実現することを目的として運営しております。特定のポートフォリオとは、3つのカテゴリー(イベント・ファイナンシング、ターム・ファイナンシング、アセット・ベースド・ファイナンシング)の少なくとも1つに該当するビジネスまたは商品から構成されるポートフォリオとなります。
アセット・ライアビリティ・コミッティー
アセット・ライアビリティ・コミッティーは、経営会議および統合リスク管理会議の委任を受け、統合リスク管理会議が定める野村のリスク・アペタイトに基づきバランス・シート管理体制、財務的経営資源の配賦、流動性管理などを審議します。審議内容や議長が必要と認める事項について、統合リスク管理会議に報告します。
グローバル・リスク分析委員会およびモデル・リスク分析委員会
グローバル・リスク分析委員会およびモデル・リスク分析委員会は、リスク審査委員会の委任を受け、野村におけるリスク・モデルおよび評価モデルの開発、および管理に関する重要事項の審議・決定をします。モデル・リスク管理を担う両委員会は、新規モデルや既存モデルの大幅な変更の承認など、リスク・モデルおよび評価モデルの管理における統制および監督について責任を有します。重要事項の審議や決定について、定期的にリスク審査委員会に報告します。(なお、リスク審査委員会は、リスク・マネジメント・ガバナンス体制の見直しにより、6月24日付で廃止され、本項に関する機能は、CROが担うこととなりました。)
グローバル案件会議
グローバル案件会議は、リスク審査委員会およびグローバル・ポートフォリオ委員会の委任を受け、統合リスク管理会議が定める野村のリスク・アペタイトに沿って、個別取引の審議・承認を行い、業務の健全かつ円滑な運営に努めております。(なお、リスク審査委員会は、リスク・マネジメント・ガバナンス体制の見直しにより、6月24日付で廃止され、本項に関する機能は、グローバル・ポートフォリオ委員会が単独で担うこととなりました。)
担保管理運営委員会
担保管理運営委員会は、リスク審査委員会の委任を受け、担保集中、流動性、担保再利用、リミットおよびストレス・テストを通じた担保リスク管理について審議または決定を行います。また野村の担保戦略の方向性を示し、担保の規制要件を確実に遵守します。(なお、リスク審査委員会は、リスク・マネジメント・ガバナンス体制の見直しにより、6月24日付で廃止され、本項に関する機能は、CROが担うこととなりました。)
リスク管理統括責任者(CRO)
リスク管理統括責任者(CRO)は、リスク・マネジメント部門における全般的な戦略および方針を構築する責任を有します。また、野村のリスク・マネジメント部門を統括し、収益責任を負う部門等から独立した立場で、リスク管理の枠組みの有効性を維持する責任を負います。また、リスク管理の状況について、定期的に統合リスク管理会議へ報告するほか、リスク管理上必要な対応策の実施について統合リスク管理会議への付議または報告を行います。
財務統括責任者
財務統括責任者(CFO)は、野村全体の財務戦略を統括します。また、経営会議の委任を受け、流動性管理について執行権限および責務を有します。
リスク・マネジメント部門
リスク・マネジメント部門は、収益責任を負う部門等から独立して設置された、リスク管理を担当する部署または組織で構成されております。リスク・マネジメント部門は、リスク管理にかかるプロセスの構築と運用、方針および規程類の整備と周知、手法の有効性の検証に責任を負うほか、グループ各社からの報告の受領や、担当役員および統合リスク管理会議等への報告や、行政当局への報告およびリスク管理手法等の承認申請も必要に応じて行います。リスク管理に関する重要な事項はリスク・マネジメント部門がCROと緊密に連携します。CROやCo-CROは、定期的に経営会議や統合リスク管理会議にリスクに関する事項を報告します。
リスク・ポリシー管理の枠組み
ガバナンス上必要不可欠なツールであるリスク・マネジメント部門の規程や実施手続きには、野村のリスク管理を円滑に行うための基本方針、規則、基準や特定のプロセスが定義されております。リスク・マネジメント部門は、リスク管理に関する規程および実施手続きを策定するための共通の枠組みとして基本原則、プロセスおよび手続きを明確に規定したリスク・ポリシー管理の枠組みを定めております。リスク管理に関する規程および実施手続きはすべて当該枠組みに準拠し、適用除外事項については所定の手続きに従うものとします。
モニタリング、報告およびデータ管理
リスクに関する経営情報(以下「マネジメント・インフォメーション」)の算出と集計、報告およびモニタリングは、適切なリスク管理体制に不可欠です。マネジメント・インフォメーションの目的は、適切な上申と意思決定、および対応策の策定に資する情報を提供することです。リスク・マネジメント部門およびファイナンス部門は、リスク・アペタイトに対応するポジションの状況に関するマネジメント・インフォメーションを定期的に取りまとめる責任を有します。マネジメント・インフォメーションは、リスク・カテゴリー全般にわたる情報を含み、また各リスクの特定および評価のためのさまざまなリスク管理手法を使用して作成されます。リスク・マネジメント部門は、マネジメント・インフォメーションに関するデータを適切に管理する責任を有します。
財務的経営資源の管理
野村は、財務的経営資源を適切に使用するため、財務的経営資源の管理体制を構築しております。経営会議は、期初に、各部門に財務的経営資源の配賦を行います。各部門では、財務的経営資源の配賦により収益予算の策定を行います。財務的経営資源の主要な構成要素は以下のとおりです。
リスク・ウェイティド・アセット
経営会議は毎年、連結自己資本比率(連結Tier1比率)の最低基準値を決定します。自己資本比率を算出する際の重要な構成要素はリスク・ウェイティド・アセットとなり、このリスク・ウェイティド・アセットは経営会議により、各営業部門とそれ以下の階層に配賦されております。詳しくは第2「事業の状況」の「連結自己資本規制」の項目をご参照ください。
経済資本
野村の経済資本であるNCAT(Nomura Capital Allocation Target)は、野村がビジネスを行うにあたり必要となる資本に関する内部指標であり、野村にとって深刻な不利益を被るシナリオにより1年間に発生しうる予期せぬ損失を吸収するために必要な資本として計測されます。この深刻な不利益を被るシナリオとは、信頼水準99.95%で1年間に発生しうる損失として定量化されるものと定義されます。NCATは、ポートフォリオNCATおよびノン・ポートフォリオNCATにより構成されます。ポートフォリオNCATは、市場リスク、信用リスク、イベント・リスク、プリンシパル・ファイナンス/プライベート・エクイティに関するリスクおよび投資有価証券に関するリスク等、野村の資産価値に直接影響を及ぼすリスクを構成要素とし、ノン・ポートフォリオNCATは、ビジネス・リスクおよびオペレーショナル・リスク等、特定の資産価値に直接的には影響を及ぼさないリスクを構成要素とします。NCATリミットは経営会議の承認により設定され、各部門やそれ以下の階層に配賦されます。
社内資金
財務統括責任者は、野村グループ内に無担保で提供される資金の上限額を決定し、経営会議は各部門へ配分を行います。グローバル・トレジャリーは部門毎の資金使用量をモニタリングし、経営会議に報告します。
リスクの分類と定義
野村では、リスクを以下のとおり分類、定義したうえで、各リスクを管理する部署または組織を設置しております。
リスク・カテゴリーリスクの概要
市場リスク市場のリスク・ファクター(金利、為替、有価証券の価格等)の変動により、保有する金融資産および負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し、損失を被るリスクをいいます。
信用リスク債務者が、債務不履行、破産、または法的手続き等の結果として、予め合意した条件通りに契約上の義務を履行できないことにより、損失を被るリスクをいいます。信用リスクはオン・バランス、オフ・バランス双方のエクスポージャーを含みます。また、当該リスクはカウンターパーティの信用力低下を反映したクレジット・バリュエーション・アジャストメント(CVA)により損失を被るリスクを含みます。
オペレーショナル・リスク内部プロセス・人・システムが不適切であること、もしくは機能しないこと、または外生的事象が生起することから損失を被るリスクをいいます。当該リスクには、戦略リスク(経営陣の不適切な意思決定により損失を被るリスク)は含まれませんが、オペレーショナル・リスクの顕在化の結果、法令や規制等の違反に至るリスク、および野村グループ各社の評判の悪化に至るリスクを含みます。
モデル・リスクモデルの誤謬、またはモデルの不正確若しくは不適切な適用により、財務的損失を被るリスク、意思決定を誤るリスク、または顧客からの信頼低下を引き起こすリスクをいいます。
資金流動性リスク自社の信用力の低下または市場環境の悪化により必要な資金の確保が困難になる、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクをいいます。
ビジネス・リスク収益環境の悪化または業務運営の効率性もしくは有効性の低下により、収益がコストをカバーできなくなるリスク。野村の経営陣はビジネス・リスクを管理する責任を有します。

市場リスク管理
市場リスクは、市場のリスク・ファクター(金利、為替、有価証券の価格等)の変動により、保有する金融資産および負債(オフ・バランスを含む)の価値が変動し、損失を被るリスクです。
市場リスク管理プロセス
市場リスクを適切に管理するためには、複雑かつ不断に変動する市場環境をグローバルに分析し、損失に繋がる可能性のある傾向を把握したうえで、適時に適切な対応を取る能力が必要となります。
野村では継続して市場リスクを統計的に計測・モニタリングする主要な手段として、バリュー・アット・リスク(以下「VaR」)、ストレスVaR(以下「SVaR」)および追加的リスク(以下「IRC」)を利用しております。また、感応度分析やストレス・テストも市場リスクを評価・分析する手段として利用しております。感応度は、市場リスク・ファクターの単位当たりの変動によるポートフォリオ価値変化を示す尺度として利用されます。感応度は、資産種別によって異なり、通常、異なるリスク・ファクターに関する感応度を合算することはできません。ストレス・テストにおいては、ポートフォリオ・リスクやテイル・リスクをその非線形な性質を含めて分析し、グループ全体から各部門、個々のトレーディング・デスクに到るあらゆる階層で、市場リスク・ファクターを横断した合算が可能となります。市場リスクは、ビジネス部門やシニア・マネジメントに報告される日次レポートその他の経営情報により、社内手続きに基づいて承認されたリミット内であるかどうかモニタリングされます。
VaR
VaRは、株価、金利、クレジット・スプレッド、為替レート、コモディティ価格とこれらのボラティリティや相関を含む市場要因の不利な動きにより発生しうる損失額を計測するものです。
VaRメソドロジーの前提
野村は、グループ全体のトレーディングに関するVaRの計測にあたり、グローバルに実装された単一のVaRモデルを利用しています。野村は、このVaRモデルにおいてヒストリカル・シミュレーション法を採用しており、過去2年間のヒストリカルな市場の動きを、野村の現在のエクスポージャーに適用することにより収益分布を構成します。この分布を利用して、将来発生しうる損失を必要な信頼水準(確率)において推定することができます。なおVaRモデルが市場変動性の変化を反映するようシナリオの重みを付ける手法を採用しております。また野村は、同一のVaRモデルを、社内におけるリスク管理と規制上の報告の双方に使用しています。保有期間1日のVaRは、リスク管理やリスク・リミットに対するモニタリングに利用され、保有期間10日のVaRは規制資本の計算に利用されます。保有期間10日のVaRは、実際の10日間における市場変動のヒストリカル・データを利用して計算されます。野村は、これらのVaRの計算に加え、バーゼル2.5規制のもとでVaRを補完するためにSVaRの計算を行っています。SVaRはストレス下にある金融市場のある1年間のデータを利用して計測されます。このSVaRの対象期間は、定期的に調整されますが、SVaRに利用されるヒストリカル・データは、VaRの場合のように重みを付けていません。
野村のVaRモデルは、可能な限り、個々のヒストリカル・データを利用します。しかし、高品質な個別データが存在しない場合、代理変数ロジックにしたがって当該エクスポージャーに適切なヒストリカル・データを割り当てます。代理変数の水準は、内部のリスク管理プロセスを通じて慎重にモニタリングされると共に、VaR計算に利用されるヒストリカル・データの拡大にも継続的に取り組んでおります。
・VaRバックテスティング
野村のVaRモデルのパフォーマンスが、目的に合致しているかは、継続的にモニタリングされております。VaR検証の主な方法は、1日分の損益とそれに対応するVaR値の比較(バックテスティング)です。野村は、VaRモデルのバックテスティングを、さまざまな異なるレベルで行っており、バックテスティングの結果はリスク・マネジメント部門が月次でレビューしております。
2019年3月期において、グループ・レベルで信頼水準99%のVaRの超過はありません。
・VaRの限界と利点
VaRの主な利点は、さまざまな資産区分のリスクの合算が可能であることです。しかしながら、リスク計測方法としてのVaRには、リスク計測に利用する際に留意すべき点としてよく知られている限界があります。主な限界のひとつは、過去データに基づいたリスク計測であることです。つまり、目先の市場変動を推測する場合、直近の変動要因に基づく分布および相関から推測することが適していることを暗黙のうちに仮定しております。また、VaRは流動性のある市場におけるリスクの把握に適しておりますが、急に不連続に変動する市場要因の把握には適しておりません。それゆえに、VaRは厳しい事象の影響について、すべてを表しているとは言えません。
野村はVaRモデルが有する限界を認識しており、VaRを多様なリスク管理プロセスのひとつの要素としてのみ利用しております。
ストレス・テスト
野村は、VaRや感応度分析がすべてのポートフォリオ・リスクやテイル・リスクを捕捉できないという限界を有することから、市場リスクのストレス・テストを行っております。このストレス・テストは定期的に行われ、ストレス・シナリオはトレーディング・ストラテジーの特性に応じて柔軟に設定されます。野村では、デスク・レベルのみならず、市場変動が野村全体に与える影響を把握するためにグローバルに統一されたシナリオによるグループ・レベルでのストレス・テストも行っております。
ノン・トレーディング・リスク
野村におけるノン・トレーディング・ポートフォリオの主な市場リスクは、取引関係維持やビジネス推進を目的として長期的に保有している投資有価証券にかかるもので、主に日本の株式市場の変動の影響を受けます。このポートフォリオの市場リスクを推定する手法のひとつに、東京証券取引所第一部上場銘柄に対する主要インデックスであるTOPIXの変化に対する市場感応度分析があります。
野村では、TOPIXとビジネス推進を目的として保有する株式の直近90日間の市場価格の変動に基づく回帰分析を行います。野村の試算では、取引関係維持やビジネス推進を目的として保有する株式は、TOPIXが10%変動すると、2018年3月末で約117億円、2019年3月末で約100億円の損失が予想されました。TOPIXは2018年3月末が1,716.30ポイント、2019年3月末は1,591.64ポイントで引けております。このシミュレーションは、TOPIXとの回帰分析により算出された結果です。したがって、投資有価証券の個々の株式の価格変動により、実際の結果はこの試算とは異なる点にはご留意ください。
信用リスク管理
信用リスクとは、債務者が、債務不履行、破産、または法的手続き等の結果として、予め合意した条件どおりに契約上の義務を履行できないことにより、損失を被るリスクをいい、オフ・バランス資産にかかる損失を含みます。当該リスクはまた、カウンターパーティの信用力低下を反映したクレジット・バリュエーション・アジャストメント(CVA)により損失を被るリスクを含みます。なお、野村では、グローバルおよびリーガル・エンティティ単位で信用リスクを管理しています。
信用リスク管理体制
野村における信用リスクの計測、モニタリングおよび管理に関する事項は、グローバル・ポリシー、プロシージャーで規定しています。クレジット・リスク・マネジメント部門(以下「CRM」)は、リスク・マネジメント部門内のグローバルな組織として、これらのポリシーやプロシージャーの実装、および維持、管理に責任を負います。これらのポリシーは、統合リスク管理会議、グローバル・リスク・ストラテジック・コミッティ(以下「GRSC」)の承認を受けて制定され、信用リスク管理の基本方針のほか、クレジット・リミット設定にかかる承認権限を定めています。
信用リスク・エクスポージャーは、CRMならびに、グローバルおよび地域の各種リスク・コミッティにより管理されており、重大な信用リスクの把握やクレジット・リミットの遵守の徹底のほか、多額の与信の提供に関する承認や、シニア・マネジメントがリスクの集中に関する承認を行う態勢を確保しています。
信用リスク管理プロセス
CRMは、リスク・マネジメント部門内の信用リスクを管理するための組織であり、CROに報告します。野村における信用リスク管理プロセスには、以下を含みます。
・カウンターパーティの債務不履行の可能性の評価
・すべてのアクティブなカウンターパーティに対する内部格付の付与
・与信の供与およびクレジット・リミットの設定に関する承認
・時価および将来のポテンシャル・エクスポージャーの計測、モニタリングおよび管理
・契約書における信用リスクに関する条件の設定
・一括清算、担保徴求およびヘッジを含む適切な信用リスク削減手法の活用
信用リスク管理の対象には、カウンターパーティとの取引に加えて、ローン、プライベート・エクイティ投資、ファンド投資、投資有価証券のほか、信用リスク管理が必要と考えられる各種の債券や株式商品を含みます。
カウンターパーティの信用力の評価は、対象先の事業環境、競争力、経営陣や財務面での強みや柔軟性に関する詳細なデュー・ディリジェンスや分析に基づき行います。また、クレジット・アナリストは、会社の組織体制や、明示的なまたは暗黙の信用補完も考慮します。なお、CRMは、カウンターパーティのみでなく、カウンターパーティ・グループ単位でも信用リスクを評価します。
CRMは、信用分析の結果に基づき、カウンターパーティまたは債務者のデフォルト確率を評価し、格付機関と同様のアルファベット記号や所定の番号を付与します。クレジット・アナリストは、内部格付を付与するとともに、年1回以上、見直しを行う責任を負います。
野村の内部格付制度では、さまざまな格付モデルを使用して、グローバルに一貫性と正確性を確保しています。これらのモデルは、リスク・メソドロジー・グループにより開発され、見直しが行われています。内部格付は、野村におけるカウンターパーティの信用リスク管理における重要な構成要素として、以下のように活用されています。
・個々のカウンターパーティまたはカウンターパーティ・グループに対して野村が許容するカウンターパーティ・クレジット・リスクの上限額の設定(クレジット・リミットの設定)
・クレジット・リミット設定の承認権限の委譲にかかる基準額の決定(テナーを含む)
・クレジット・レビュー(クレジット・リミットの見直し)の頻度の決定
・カウンターパーティ・クレジット・リスクに関する野村のシニア・マネジメント向けの報告
・カウンターパーティ・クレジット・リスクに関する社外ステークスホルダー向けの報告
信用リスク管理部署(以下「CRCU」)はグローバル・モデル・バリデーション・グループ内に設置されており、CRMから独立した立場で、野村の内部格付制度に関する検証が適切に実施される体制を確保し、制度に問題があればその速やかな解決のために、シニア・マネジメントに報告します。CRCUは、内部格付制度が正確、かつリスクを予知できるものであることを確認し、シニア・マネジメントに対して定期的に制度に関する報告を行います。
野村は、規制自己資本を算出するための信用リスク・アセットの計算において、2011年3月より基礎的内部格付手法を採用しています。なお、信用リスク・アセットの計算において、重要性の低い一部のビジネスまたは資産については、標準的手法を採用しています。
クレジット・リミット/リスク計測
内部格付は、カウンターパーティに対してクレジット・リミットを設定するために必要不可欠なものです。また、野村のクレジット・リミットの枠組みは、リスク・アペタイトに沿って、適切に信用リスクを取ることができるように設計されています。グローバルのクレジット・ポリシーでは、内部格付に基づき、個々のカウンターパーティ・グループに対して設定できるクレジット・リミットおよびテナーの上限を定めた承認権限の表を定めています。
野村では、カウンターパーティ・エクスポージャーは、主にデリバティブ取引、証券貸借取引(以下、総称して「デリバティブ等取引」)により発生しています。カウンターパーティに対して発生するクレジット・エクスポージャーは、個々のカウンターパーティの信用力の分析に基づき設定するクレジット・リミットにより管理しています。信用リスクは、設定したクレジット・リミットによるクレジット・エクスポージャーのモニタリングや、カウンターパーティの信用力に関する継続的なモニタリングを通して、日次で管理しています。特定のカウンターパーティ、セクター、産業または国に対する野村のリスク・アペタイトを変更させるような状況下では、その内容、程度に応じて、内部格付やクレジット・リミットの変更を行います。
野村のグローバル・クレジット・マネジメント・システムには、カウンターパーティに対するすべてのクレジット・リミットおよびクレジット・エクスポージャーが記録されています。これにより、CRMは、クレジット・リミットの使用状況を把握、監視、管理し、リミット超過が発生した場合、適切に報告を行う態勢を確保しています。
野村では、デリバティブ等取引については、主に所定の信頼水準でのポテンシャル・エクスポージャーを計測するモンテ・カルロ・シミュレーション・モデルで信用リスクを計算しています。信用リスク管理に使用されるエクスポージャー計測モデルは、2012年12月より、期待エクスポージャー方式による連結自己資本規制比率の算出にも利用されています。
なお、ローンおよびローン・コミットメントは、使用分および未使用分の双方について、計測およびモニタリングを行っています。
ロング・ウェイ・リスク
ロング・ウェイ・リスクは、カウンターパーティに対するエクスポージャーが、当該カウンターパーティの信用力の悪化と高い相関関係にある場合に発生するリスクをいいます。野村は、ロング・ウェイ・リスクを管理するためのグローバルのポリシーを設置しています。また、ポートフォリオのロング・ウェイ・リスクの評価ではストレス・テストも活用し、クレジット・エクスポージャーや規制自己資本について必要に応じて調整を行っています。
ストレス・テスト
ストレス・テストは、野村の信用リスク管理において必要不可欠であり、定期的に実施するストレス・テストにより、カウンターパーティ、セクター、および地域ごとの信用リスクの評価を行っています。なお、ストレス・テストには、リスク・ファクター、デフォルト確率または格付遷移に一定のストレスを与えることでリスクの集中度合いを確認するテストも含まれます。
リスク削減手法
野村では、信用リスク管理において、金融商品、契約書、さらに一般的な取引慣行を活用しています。野村は、多くのカウンターパーティとの間で、国際スワップデリバティブ協会(以下「ISDA」)の基本契約書、またはそれに準ずる契約書(以下、総称として「マスター・ネッティング契約」)を締結しています。マスター・ネッティング契約を締結することで、債権、債務を相殺し、カウンターパーティのデフォルトにより発生する潜在的な損失額を減少させています。また、信用リスクをさらに削減するため、担保契約も活用し、取引開始時、またはエクスポージャーの水準、格付の変更、もしくはその他の事由が発生した際に、カウンターパーティから担保を受領できるようにしています。
デリバティブ等取引における与信相当額
以下は、2019年3月末における野村のトレーディング目的のデリバティブ等取引における与信相当額になります。カウンターパーティの信用格付と満期までの年限ごとに公正価値で表示しており、これらの信用格付は野村のCRMが付与した内部格付です。
(単位:十億円)
信用格付満期までの年限異なる満期間の相殺(1)公正価値の合計
(a)
受入担保額(b)再構築コスト(3)
(a)-(b)
1年未満1年から3年3年から5年5年から7年7年超
AAA203837868△14724123
AA14919114961387△72221526189
A759710452238951△2,91819261131
BBB23520114595572△95629258234
BB以下4646492055△1141022500
その他(2)3768133226863△1,403△76110
小計(店頭取引デリバティブ)1,2461,2549656482,896△6,260749407577
上場デリバティブ1011262--△1261031470
合計1,3471,3809676482,896△6,386852554577

(1)同一のカウンターパーティとのデリバティブ等取引の異なる満期の債権、債務の相殺額を表示しています。また、同一のカウンターパーティとの同一の満期の取引については、債権、債務の相殺後の金額を各年限の欄に表示しています。なお、編纂書210-20「貸借対照表-相殺」および編纂書815「デリバティブとヘッジ」に基づき、デリバティブ等取引にかかる現金担保による相殺効果も勘案されています。
(2)「その他」は、無格付のカウンターパーティおよび特定のカウンターパーティを対象としない、ポートフォリオ・レベルでの評価調整を含んでいます。
(3)受入担保額がデリバティブ等取引の公正価値の合計を上回っている場合、野村の与信相当額を適切に表示しないためゼロと表記しております。
カントリー・リスク
野村では、カントリー・リスクを、カウンターパーティや発行体に影響を及ぼし、金融債務の履行を不可能にさせるような、ある国特有のカントリー・イベント(政治、経済、法制度にかかるイベント等)に起因した損失発生の可能性と定義しています。野村において、カントリー・リスク管理の枠組みは、その他のリスク管理の枠組みを補完する役割を果たしていますが、この枠組みは、特定国に対するクレジット・エクスポージャーの集中を制限するためのカントリー・リミット、カントリー・レーティング、さらに役割分担や承認権限およびその委任等について定めたカントリー・リスク管理のポリシーやプロシージャーなど多数の管理ツールで構成されています。
野村のクレジット・ポートフォリオは、国別に十分に分散されており、集中がみられるのは、高格付の国のみとなっています。エクスポージャーの95%超は、投資適格級の国に対するものです。エクスポージャー残高の上位10か国の内訳は、以下のとおりです。
カントリー・エクスポージャー上位10か国(1)( 単位 : 十億円 )
(2019年3月31日)
日本………………………………………………………………………………………………2,867
米国………………………………………………………………………………………………2,562
英国………………………………………………………………………………………………500
インド……………………………………………………………………………………………242
ドイツ……………………………………………………………………………………………217
クウェート………………………………………………………………………………………196
シンガポール……………………………………………………………………………………158
ルクセンブルグ…………………………………………………………………………………117
サウジアラビア…………………………………………………………………………………106
韓国………………………………………………………………………………………………99

(1) 上表には、2019年3月末時点のカントリー・エクスポージャーの上位10か国を、対象国別に記載しています。カウンターパーティ・エクスポージャー、インベントリー・エクスポージャーを合算したものから、クレジット・バリュエーション・アジャストメント(CVA)を差し引いたものとなっています。
カウンターパーティ・エクスポージャーには、現金・現金同等物、中央清算機関への差入証拠金、デリバティブ取引の公正価値(受入証拠金の考慮後)、有価証券貸借取引、ファンデッド・ローンの公正価値、アンファンデッド・ローン・コミットメントの想定元本が含まれます。
また、インベントリー・エクスポージャーには、債券、株式、エクイティ・デリバティブ、クレジット・デリバティブの公正価値が含まれ、ロング・ポジションとショート・ポジションをネットしたものとなっています。
オペレーショナル・リスク管理
野村はオペレーショナル・リスクを、内部プロセス・人・システムが不適切であること、もしくは機能しないこと、または外生的事象が生起することから損失を被るリスクと定義しています。この定義には、戦略リスク(経営陣の不適切な意思決定により損失を被るリスク)は含まれませんが、オペレーショナル・リスクの顕在化の結果、法令や規制等の違反に至るリスク、および野村グループ各社の評判の悪化に至るリスクを含みます。
三段階管理
野村は、業界標準である、以下の三段階管理で、オペレーショナル・リスク管理を行うこととしております。
(1)第一段階:ビジネス・ユニットは自らリスク管理を行います。
(2)第二段階:オペレーショナル・リスク管理部署は、オペレーショナル・リスク管理の枠組みを策定し、その運用を推進します。
(3)第三段階:内部監査は、独立した立場でオペレーショナル・リスク管理の枠組みの確認を行います。
野村におけるオペレーショナル・リスク管理の枠組み
野村は、オペレーショナル・リスクの特定、評価、管理、モニタリング、報告が可能となるオペレーショナル・リスク管理の枠組みを整備しております。経営会議より委任を受けた統合リスク管理会議がこの枠組みに基づくオペレーショナル・リスク管理全般を監督しています。
オペレーショナル・リスク管理の枠組みは、以下のように構成されております。
・管理の枠組みの基盤
・ポリシー・フレームワークの構築と維持:オペレーショナル・リスク管理に関して定められた各種基本的事項をポリシー等として明文化します。
・研修および理解の促進:オペレーショナル・リスク管理について、野村内の認識を高めるための取組みです。
・主要な管理活動
・オペレーショナル・リスク事象等の報告: オペレーショナル・リスクに起因して損失または利益、もしくはその他の影響が発生した、あるいは発生する可能性があった事件および事故、あるいは他社事例についての情報を収集・報告するプロセスです。
・RCSA(Risk & Control Self Assessment、リスクとコントロールの自己評価):自らの業務におけるオペレーショナル・リスクや、リスク削減のために導入されているコントロールを特定、評価し、更なるリスク削減に向けた対応策を策定するために、ビジネス・ユニットが用いるプロセスです。オペレーショナル・リスク管理部署は、RCSAプロセスを構築し、ビジネス・ユニットへの導入を支援します。
・KRI(Key Risk Indicator、リスク指標):オペレーショナル・リスクにかかる主要な計数の収集と監視を行い、予め定めた水準を超えた場合には必要な対応を行うプロセスです。
・シナリオ分析 :テール・リスク(低頻度大規模損失が発生する可能性)を評価し、必要に応じて統制の改善を行うプロセスです。
・管理活動結果の活用
・分析および報告:オペレーショナル・リスク管理部署の主要な役割として、ビジネス・ユニットからもたらされるオペレーショナル・リスク情報について事実確認や原因分析を行ったうえで経営陣等へ報告を行います。
・所要資本の計算と配賦:バーゼル規制および地域規制当局の要件に基づき、オペレーショナル・リスクにかかる所要自己資本を計算しております。
オペレーショナル・リスクの所要自己資本額計算
野村は、金融庁告示に定められた粗利益配分手法によりオペレーショナル・リスクにかかる所要自己資本額を算出しております。粗利益配分手法では、業務区分に配分した粗利益に金融庁に定められた一定の掛目を乗じたものの過去3年間の平均値を計算し、オペレーショナル・リスク相当額としております。
野村では、所要自己資本額を算出する際に用いる粗利益として、連結ベースの金融費用控除後の収益を用います。ただし、一部の子会社については、売上総利益を粗利益として用いております。これら粗利益を、管理会計上のセグメント情報を用いて、下表の業務区分に配分します。
業務区分内容掛目
リテール・バンキングリテール向け預貸関連業務等12%
コマーシャル・バンキングリテール向け以外の預貸関連業務等15%
決済業務顧客の決済にかかる業務18%
リテール・ブローカレッジ主として小口の顧客を対象とする証券関連業務12%
トレーディングおよびセールス特定取引にかかる業務および主として大口の顧客を対象とする証券・為替・金利関連業務等18%
コーポレート・ファイナンス企業の合併・買収の仲介、有価証券の引受け・売出し・募集の取扱い、その他顧客の資金調達関連業務等18%
代理業務顧客の代理として行う業務15%
資産運用顧客のために資産の運用を行う業務12%

・各業務区分に配分された金融費用控除後の収益額と、上表のとおり各区分に設定された掛目をそれぞれ乗じることにより「業務区分配分値」を算出します。いずれの業務区分にも配分されない収益額については18%を乗じ、「配分不能値」を算出します。これらの業務区分配分値と配分不能値をすべての業務区分について合計することにより、「年間合計値」を算出します。この年間合計値を直近3年間について計算し、それらの平均値がオペレーショナル・リスクに相当する所要自己資本の額となります。年間合計値が負の場合にはゼロとして平均値を算出します。業務区分配分値を合計する際、ある業務区分配分値が負であった場合には、他の区分における正の業務区分配分値と相殺します。ただし、配分不能値が負の場合には、相殺は行わず、ゼロとして取り扱います。
・オペレーショナル・リスク所要自己資本額の計算基準時点は3月末と9月末であり、年2回計算されます。
モデル・リスク管理
モデル・リスクとは、モデルの誤謬、またはモデルの不正確若しくは不適切な適用により、財務的損失を被るリスク、意思決定を誤るリスク、または顧客からの信頼低下を引き起こすリスクをいいます。
野村では、モデル・リスクを効果的に管理するため、モデルの開発、管理、検証、承認、使用、継続的モニタリング、定期レビューを監督するモデル・リスク管理の枠組みを整備しています。また、規程および実施手続において、当社のリスク・アペタイトに照らしたモデル・リスクのモニタリングをはじめとする、モデルの開発、検証、使用、および維持管理に至るまでの各段階における各種手続きの要件を定めています。
新規モデルの導入および承認済みモデルの重要な変更にあたっては、正式使用の前に、モデル開発チームから独立したチームによる検証を受ける必要があります。モデル変更の重要度の判定基準は、モデル・リスク管理の実施手続に定めています。独立検証において、モデル検証チームは、複数の分析を通しモデルの適切性を評価、モデルの限界を特定し、モデル・リスクの定量化を図ります。モデル・リスクは、モデルの承認時にモデルの使用制限、モデル・リザーブ、資本調整等の条件を適用することにより低減されます。モデルが適切であることを継続的に評価するため、承認されたモデルに対して年次再承認手続き、およびモデルのパフォーマンスのモニタリングを実施しています。モデル・リスク管理を担う委員会において、全体の監督、精査、ガバナンス、検証済みモデルの最終承認を行います。

リスク計測と管理手法
リミット管理の枠組み
堅牢なリミット・モニタリングおよび管理を構築することは、リスクの適切なモニタリングおよび管理の要となります。リミット管理の枠組みにおいては、適正な水準の権限を有する組織階層においてリミットの承認が行われるように、明確なエスカレーションの方針が策定されます。リスク・マネジメント部門はリミットの承認、モニタリング、必要に応じた報告を含むリミット管理の枠組みの日々のオペレーションに責任を有します。ビジネス部門は、当該リミットを遵守する責任を有します。リミットは、市場リスク、信用リスク、オペレーショナル・リスクなどの定量的指標に適用されます。
ニュー・ビジネス・リスク管理
ニュー・ビジネス承認プロセスは、野村にとっての新規ビジネスに取り組む際の最初の手続きであり、経営陣の意思決定を支援し、新商品および案件に関連して確実にリスクを認識し適切な管理を行うためのものです。ニュー・ビジネス承認プロセスは以下のとおり2つのプロセスで構成されます。
(1)案件の承認プロセス:案件のレビューを実施し、意思決定をするプロセスであり、権限を有する各種の案件会議が設置されます。遵守されない場合の責任についても文書として明確に定められています。
(2)新商品承認プロセス:ビジネス部門のスポンサーが新商品の取扱を申請し、関連部署からさまざまな意見を得ることができるプロセスです。新商品の組成および取引を実施した結果生じるあらゆるリスクを横断的に把握し、分析することを目的とします。
ストレス・テスト
野村では、さまざまな階層におけるリスクを網羅し、さまざまなストレス期間、ショック水準、蓋然性、およびメソドロジーを使ったストレス・テストを実施しております。ストレス・テストの結果は、資本計画、資本の十分性評価、流動性の十分性評価、再建・破綻処理計画の策定、リスク・アペタイトの適切性の評価、および通常のリスク管理において利用します。
ストレス・テストは定期的に実施する他、外部環境、または野村のリスク・プロファイルに大きな変化が生じた場合には必要に応じ行います。ストレス・テストの結果は、ストレス・テストの種類に応じて、詳細な分析と共にシニア・マネジメントおよび他のステークホルダーへ適切に報告します。
ストレス・テストは大きく、以下の4つに分類されます。
・感応性分析は、他のリスク・モデルでは計測が容易でないリスクを補足するために、1種類、ないしは関連する2種類のリスク・ファクター(株価、または株価とそのボラティリティ等)における市場変動の影響を計測する目的で行われます。
・シナリオ分析は、複数の資産区分およびリスク区分にわたり定義されたイベントによる影響を計量化する目的で利用されます。また野村のさまざまな階層に対して行うストレス・テストやリバース・ストレス・テストを行う際の主たる方法として利用されます。
・野村グループの資本十分度を評価するための、厳しいが蓋然性が一定程度あるシナリオを採用したストレス・テストは、少なくとも四半期に一度実施されます。
・リバース・ストレス・テストは、当社の事業継続が困難となる状況を引き起こす可能性のある脆弱性がどこにあり、そのような状況でいかに対応するかを分析し、当該分析の結果を検証するプロセスで少なくとも年に一度実施されます。
ストレス・テストは、野村グループ全体のガバナンスにおける重要な機能と位置付け、フォワード・ルッキングなリスク管理、意思決定、およびリスク・マネジメント部門・フロント部門・経営陣の間の意思疎通を円滑に進めるためのツールとして活用されています。
(6)流動性資金調達と資本の管理
資金調達と流動性管理
概況
野村では、資金流動性リスクを野村グループの信用力の低下または市場環境の悪化により必要な資金の確保が困難になる、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクと定義しております。このリスクは、市場において有担保あるいは無担保調達が不可能になる、野村の信用格付けが低下する、予定外の資金需要の変化に対応できない、迅速かつ最小の損失での資産の流動化ができない、あるいは、グループ会社間の自由な資金移動が妨げられる規制資本上の制約に関する変化等、市場全体の事情や野村固有の事情により発生します。資金流動性リスク管理については、経営会議が定める流動性リスク・アペタイトに基づくことを基本方針としております。野村の資金流動性管理は、市場全体が流動性ストレス下にある場合において、またそれに加えて野村の信用リスクに過度なストレスを想定した場合においても、それぞれ1年間、および30日間にわたり、無担保による資金調達が困難な場合においても、保有資産を維持しつつ業務を継続することができる十分な資金流動性を常に確保することを主な目的としております。また、金融庁の定める流動性カバレッジ比率(「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性のうち流動性にかかる健全性の状況を表示する基準」)の充足が求められております。
野村は、主な流動性維持の目的を達成可能とする、さまざまな資金流動性リスク管理フレームワークを定めております。このフレームワークには、(1)余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持、(2)流動性ポートフォリオ以外の担保未提供資産の活用、(3)資産構成等に見合った資金調達ならびに調達手段の多様化および調達期間の分散、(4)野村グループ各社に対する与信枠の管理、(5)流動性ストレステストの実行、(6)コンティンジェンシー・ファンディング・プランに関することが含まれております。
経営会議は、野村の資金流動性に関する重要事項についての決定権を有しており、財務統括責任者(以下「CFO」)は、経営会議の決定に基づき、野村の資金流動性管理に関する業務を執行する権限と責任を有しております。
1.余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持
野村は、野村グループ内で資金流動性を有効に活用することを可能とするため、野村グループ各社の余剰資金の集中管理を行っております。資金の使用に関しても、野村では、無担保で提供される資金を一元的に管理しており、内部で上限を設けております。この上限は、CFOによって決定され、経営会議において各部門へ配分が行われます。ファイナンス部門において、資金流動性の管理を行う組織であるグローバル・トレジャリーは、使用状況についてモニタリングを行い、経営会議へ報告しております。
また、グループ会社間の資金移動を円滑なものにするため、規制対象ブローカーあるいは銀行における資金調達は限定的にしか行っておりません。野村は、無担保による資金調達の当社あるいは主要規制外発行体への集中を積極的に行っております。このことにより、野村は調達コストを最小化し、投資家からの認知度を高め、さまざまなグループ会社間の資金供給のフレキシビリティを高めております。
潜在的な資金流動性必要額を考慮し、十分な資金流動性を確保するために、野村は、現金ならびに売却や担保提供することで流動性資金を供給することができる流動性の高い担保未提供資産等で構成される流動性ポートフォリオを維持しており、グローバル・トレジャリーにて他の資産と区別して管理をしております。流動性ポートフォリオの金額は、2019年3月31日現在、4兆8,705億円となっており、ストレスシナリオを考慮した資金流動性必要額を満たしております。
以下の表は2018年3月31日、2019年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオの内訳をアセットタイプ別に表示したものです。年間平均は月末の残高を用いて算出されております。
(単位:十億円)
2018年3月31日
年間平均
2018年3月31日2019年3月31日
年間平均
2019年3月31日
現預金(1)2,116.61,902.92,280.32,113.1
国債2,393.82,354.72,553.02,424.6
その他(2)237.1370.8301.1332.8
流動性ポートフォリオ4,747.54,628.45,134.44,870.5

(1)現預金には、現金、現金同等物および必要に応じて即時利用可能な中央銀行、市中銀行への預金を含みます。
(2)その他にはMMF、米国政府機関債などのアセットタイプが含まれています。
以下の表は2018年3月31日、2019年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオの内訳を通貨別に表示したものです。年間平均は月末の残高を用いて算出されております。
(単位:十億円)
2018年3月31日
年間平均
2018年3月31日2019年3月31日
年間平均
2019年3月31日
1,498.81,309.61,696.81,570.7
USドル2,160.42,103.62,231.01,961.7
ユーロ629.7690.4734.0898.8
英国ポンド308.4379.9325.2265.7
その他(1)150.2144.9147.4173.6
流動性ポートフォリオ4,747.54,628.45,134.44,870.5

(1)その他には豪ドル、カナダドル、スイスフランなどの通貨が含まれています。
野村は流動性ポートフォリオの要件をグローバル基準、および各主要オペレーティングエンティティによって評価しています。野村は、主に当社および野村證券株式会社(以下「NSC」)、他の主要なブローカーディーラーおよび銀行子会社で流動性ポートフォリオを管理しています。流動性ポートフォリオの保有量とエンティティを決定する際に、野村グループ内で自由に流動性を移す能力に影響を及ぼすかもしれない法規制、税制を考慮しています。規制の制限の詳細については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 19 法的規制」を参照してください。
以下の表は2018年3月31日、2019年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオをエンティティ別に表示したものです。
(単位:十億円)
2018年3月31日2019年3月31日
当社およびNSC(1)901.31,142.9
他の主要なブローカーディーラー2,538.12,473.5
銀行子会社(2)719.4799.4
その他の関連会社469.6454.7
流動性ポートフォリオ4,628.44,870.5

(1)NSCは日本のブローカーディーラーであり、日本銀行に口座を維持し、日本銀行のロンバード貸付制度を直接利用することにより、同日資金調達が可能です。当社における余剰流動性資金は必要な時に即時解約可能な短期社内貸付により、NSCに貸し出しております。
(2)ノムラ・バンク・インターナショナル PLC(以下「NBI」)、ノムラ・シンガポールLIMITEDおよびノムラ・バンク・ルクセンブルグ S.A.
2.流動性ポートフォリオ以外の担保未提供資産の活用
流動性ポートフォリオに加えて、主にトレーディング資産で構成される有担保資金調達の際の追加担保として使用可能な担保未提供資産を2019年3月31日現在、2兆2,681億円所有しております。グローバル・トレジャリーは、その他担保未提供資産のモニタリングを行っており、流動性ストレス下においては、当該資産を現金化し、野村グループの流動性供給のために利用することができます。なお、流動性ポートフォリオとその他担保未提供資産の合計は、7兆1,386億円となりました。これは、野村の1年以内に満期の到来する無担保債務の合計に対して、283.4%に相当します。
(単位:十億円)
2018年3月31日2019年3月31日
その他担保未提供資産2,167.92,268.1
流動性ポートフォリオ4,628.44,870.5
合計6,796.37,138.6

3.資産構成等に見合った資金調達ならびに調達手段の多様化および調達期間の分散
野村は、保有資産を継続して維持していくうえで必要となる長期性資金を確保するために、長期無担保債務の額、および株主資本を十分な水準に維持するように努めております。また、無担保調達資金の借換えリスクを低減させるために、資金調達を行う市場やプロダクト、投資家、通貨および返済期限の分散にも努めております。
野村は、さまざまな種類の債券を発行することによって、資金調達手段の分散を図っております。これらには、仕組ローンや仕組債が含まれ、金利・為替・株式・コモディティやこれらのインデックスにリンクしたリターンが付いております。野村は、資金調達方法の多様性が増すように仕組ローンや仕組債を発行しております。これらについて、野村は、通常、デリバティブや原資産に対する支払い義務をヘッジすることにより、無担保調達債務と同様の効果を得ております。なお、日本円以外の長期債務比率は、2018年3月31日現在43.3%から2019年3月31日現在43.6%に増加しております。
3.1 短期無担保債務
野村の短期無担保債務は、短期銀行借入(長期銀行借入のうち、満期まで1年未満のものを含む)、その他の短期借入、コマーシャル・ペーパー、銀行業務受入預金、譲渡性預金、および償還まで1年以内の社債で構成されております。銀行業務受入預金および譲渡性預金は、銀行子会社の預金および譲渡性預金を表しております。短期無担保債務には、長期無担保債務のうち残存期間が1年以内となったものを含んでおります。
以下の表は、2018年3月31日、2019年3月31日現在の野村の短期無担保債務明細を表示したものです。
(単位:十億円)
2018年3月31日2019年3月31日
短期無担保債務2,107.02,518.8
短期銀行借入143.6107.0
その他の短期借入176.2231.4
コマーシャル・ペーパー179.3313.0
銀行業務受入預金925.81,149.1
譲渡性預金11.111.1
償還まで1年以内の社債671.0707.2

3.2 長期無担保債務
野村は、常に十分な長期性資金を確保し、適切なコストでの調達および適切な長期債務償還プロファイル維持を満たすために、満期や通貨の分散を行い定期的に長期性資金の調達を行っております。
野村の長期無担保債務には、米国発行登録および登録ミディアム・ターム・ノートプログラム、ユーロ・ミディアム・ターム・ノートプログラム、国内発行登録およびさまざまな発行プログラムより発行される普通社債や劣後社債が含まれております。
日本のグローバルな金融サービスグループとして、野村は、世界中のさまざまな市場と資金調達センターへのアクセスを持っております。主として当社、NSC、ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンスN.V.、NBIおよびノムラ・インターナショナル・ファンディング Pte. Ltd.が外部からの借入、債券発行その他資金調達を行っております。使用通貨や保有資産の流動性に合わせた資金調達や、必要に応じた為替スワップの使用により、調達構造の最適化を図っております。
野村は、市場や投資家のタイプごとに、効率的かつ十分に多様化された資金調達を行うために、さまざまなプロダクトや通貨による調達をしております。野村の無担保債務の大部分は、発行コストの上昇や債務償還満期を早める財務制限条項(格付け、キャッシュ・フロー、決算あるいは財務レシオ)は、付されておりません。
以下の表は、2018年3月31日、2019年3月31日現在の野村の長期無担保債務明細を表示したものです。
(単位:十億円)
2018年3月31日2019年3月31日
長期無担保債務5,218.96,483.5
長期銀行業務受入預金214.5232.5
長期銀行借入2,567.62,727.5
その他の長期借入118.687.9
社債(1)2,318.23,435.6

(1)編纂書810「連結」に定義される変動持分事業体の要件を満たす“連結変動持分事業体(VIE)が発行する社債”と編纂書860「譲渡とサービシング」により、会計上担保付金融取引として取り扱われる譲渡取消にともなう担保付借入を含んでおりません。
3.3 償還プロファイル
プレーン・バニラ物(プレーン・バニラ債および長期借入金)の調達に関しては、平均残存年数が3年以上となるように努めており、2019年3月31日現在の平均残存年数(残存期間1年超のものの平均)は、4.0年となっております。また、仕組ローンや仕組債については、その大部分が、金利・為替・株式・コモディティやこれらのインデックスにリンクしており、これらの償還確率は、内部数理モデルによって継続的に評価され、グローバル・トレジャリーによりモニターされております。予定された満期日以前に償還される可能性のあるものについては、野村の内部ストレスオプション評価モデルにより、評価されております。このモデルは、ストレス市場環境下で、いつその債券が償還される可能性があるかを評価します。下図は、このモデルにおいて評価された野村の長期債券と長期借入の満期の分散状況を示したものです。
上記のモデルに基づき評価された仕組ローンや仕組債の平均残存期間(残存期間1年超のものの平均)は、2019年3月31日現在で、8.0年となっており、プレーン・バニラ物を合わせた長期債務全体の平均残存期間(残存期間1年超のものの平均)は、2019年3月31日現在で、6.0年となっております。
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3.4 有担保資金調達
野村は、トレーディング業務のための資金調達活動は、担保付借入、レポ契約、日本の現先レポ取引によって、通常行っております。これらの有担保資金調達は、無担保資金調達に比べコストが低く、格付けの影響を受けにくいものと考えております。有担保資金調達は、担保資産の質や市場環境の影響を受けます。流動性の高い資産を担保として用いる場合は短期の契約で資金調達を行う一方で、流動性の低い資産を担保として用いる場合は、契約期間の長期化に努めております。野村は、有担保資金調達にともなう資金流動性リスクを低減させるために、カウンターパーティのグローバルな分散、担保の種類の多様化にも努めております。また、流動性の低い資産を用いた短期有担保資金調達の借り換えが難しくなる場合のリスクに備えて、流動性ポートフォリオを保有しております。詳細は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表注記] 5 担保付取引」をご参照ください。
4.野村グループ各社に対する与信枠の管理
野村は、資金調達の安定性を確保するために、金融機関から野村グループに対する与信枠の維持、拡大に努めております。また、資金流動性リスク管理の一環として、野村は、借入の契約満期日が一時期に集中しないように分散させております。
5.流動性ストレステストの実行
野村は、先に述べた流動性管理方針に沿うよう、一定のストレスシナリオ下でのキャッシュ流出をシミュレートする内部モデルに基づいて流動性ポートフォリオをモニターしております。
資金流動性必要額は、さまざまなストレスシナリオ下において、異なるレベルで、さまざまな時間軸に沿って見積もられております。そこでは、親会社や子会社レベルでの格下げといった野村固有および市場全体のイベント下で発生する資金流動性必要額を見積もっております。野村では、このリスク分析を「マキシマム・キュームレーティブ・アウトフロー(以下「MCO」)」と呼んでおります。
MCOフレームワークは、主たる資金流動性リスクを考慮したうえで構築し、以下の2つのシナリオに基づいて、将来のキャッシュ・フローをモデル化しております。
・ストレスシナリオ:市場全体が流動性ストレス下にある場合において、無担保による資金調達、資産の売却をすることなく1年間適切な流動性を維持すること。
・アキュートシナリオ:市場全体が流動性ストレス下にあることに加え、野村の信用リスクに過度なストレスを想定した場合において、無担保による資金調達、資産の売却をすることなく30日間適切な流動性を維持すること。
野村は、これらの各モデルで用いられている時間軸の中で、資産の流動化を行ったり、ビジネス・モデルを修正することはできないと想定しております。したがって、MCOフレームワークは、ストレス状況下においても、野村が適切と考える流動性リスク・アペタイトを満たすために必要な資金流動性額を定義するものです。
2019年3月末時点において、野村の流動性ポートフォリオは、上述のシナリオ下で想定された資金流出予想額を上回っておりました。
野村は、規制環境や市場の変化に基づいた資金流動性リスクの前提条件を継続的に評価し、調整をしております。ストレスの影響をシミュレートするために用いるモデルでは、以下のような事象を考慮、想定しております。
・資産の売却ができない状況
・追加の無担保調達を行うことができない状況
・既存の借入金の返済期日や発行済み社債の償還期日(1年以内)
・発行済み社債の買い取りの可能性
・流動性の低い資産を担保とする資金調達ラインの喪失
・通常の事業環境下での運転資金需要の変化
・ストレス時における受入銀行預金および担保の流出
・既存のレポ調達時の担保掛目の拡大
・決済銀行からの担保・預託金追加要求
・コミットメント提供先のドローダウン
・損失にともなう資金の喪失
・野村の信用格付けが2ノッチ格下げされた場合のデリバティブ取引にかかる契約上の追加担保要請、および清算・決済機関からの潜在的な追加担保要請
・グループ会社間の資金や証券の移動を制限する法規制を考慮した資金流出
6.コンティンジェンシー・ファンディング・プラン
野村は、詳細にわたるコンティンジェンシー・ファンディング・プラン(以下「CFP」)を定め、包括的リスク管理の枠組みに組み込むとともに、定量的なコントロールを強化しております。この中で、リクイディティ・イベントの範囲の分析と特定方法を記載しております。そのうえで、野村固有のあるいは市場全体の影響の可能性を見積もることや、リスクを低下させるために即座にとられるべき対応を特定しております。CFPは、キーとなる内部および外部の連絡先やどの情報を知らせるかを示すプロセスの詳細をリスト化しております。また、野村が規制上、法的、あるいは税務上の制限によって、グループ会社レベルにおける資金へのアクセスができなくなったことを想定し、グループ会社レベルで、個別の資金需要に応えうるように作られております。なお、野村は、定期的にさまざまな市場や野村固有のイベントに対して本CFPの有効性をテストしております。野村は、日本銀行等中央銀行が行うさまざまな証券に対して実施する資金供給オペレーションへのアクセスも持っております。これらのオペレーションは、通常のビジネスでも利用しておりますが、市場の悪化による不測のリスクを軽減させる重要な手段のひとつです。
流動性規制
2008年にバーゼル委員会は、流動性フレームワークの基盤となる「健全な流動性リスク管理およびその監督のための諸原則」を公表しました。続いて、バーゼル委員会は資金流動性にかかる2つの最低基準を策定し、流動性管理の枠組みをさらに強化しました。これらの基準は、それぞれ独立しているものの相互補完的な2つの目的を達成するために策定されております。
第1の基準の目的は、金融機関の流動性リスク態様の短期的強靭性を高めることにあり、その手段として、金融機関が流動性の高い資産を十分に保有し、30日間継続する強いストレスシナリオに耐える力を持っていることを確保することにあります。バーゼル委員会は、この目的を達成するために流動性カバレッジ比率(以下「LCR」)を策定しました。
第2の基準の目的は、長期的な強靭性を高めることにあり、その手段として、金融機関に対し、常により安定的な資金調達源を確保したうえで、業務を行うことを促すための追加的なインセンティブを設けました。安定調達比率(以下「NSFR」)は、対象期間を1年とし、資産・負債が持続可能な満期構造を保つよう策定されました。
これら2つの基準を構成するパラメータは、主として、国際的に統一された既定の数値です。しかしながら、各国固有の状況を反映させるため、一部のパラメータには各国裁量の要素が含まれております。LCRについては、本邦においてバーゼル委員会の国際合意文書に必要な修正を加えた金融庁告示が公布され、2015年3月末から最低基準として段階導入されております。当第4四半期連結会計期間におけるLCRの平均値は198.4%となっており、上記金融庁告示の定める要件についても満たしております。なお、NSFRについては、現時点で本邦において導入されておりません。
キャッシュ・フロー
野村のキャッシュ・フローは、主に顧客ビジネスフローやトレーディングからなる営業活動およびそれと密接な繋がりのある財務活動によりもたらされます。金融機関はビジネスを展開していくことにより営業活動および投資活動において現金支出となる傾向にあり、野村のキャッシュ・フローは以下に記載しておりますとおり2018年3月期および2019年3月期は、営業活動および投資活動において現金支出となり、財務活動において現金収入となりました。下の表は、野村の2018年3月期および2019年3月期の連結キャッシュ・フロー計算書の抜粋です。「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 1 会計処理の原則および会計方針の要旨」に記載しましたとおり、2018年3月期および2019年3月期の金額については、2024年3月期の第4四半期中に特定された誤りを修正して記載しております。
(単位:十億円)
2018年3月期
(修正後)
2019年3月期
(修正後)
営業活動に使用された現金(純額)△341.3△62.0
当期純利益(△損失)224.3△94.7
トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資△219.4923.6
トレーディング負債227.3△143.1
売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券(純額)△453.2△3,274.9
借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金(純額)763.31,987.3
信用取引貸付金および受取債権△920.7474.4
その他(純額)37.165.4
投資活動に使用された現金(純額)△296.7△420.5
定期預金の払戻による収入(△預入による支出)(純額)△108.817.8
貸付金の増加(純額)△232.0△392.2
トレーディング目的以外の負債証券の減少(純額)82.029.5
その他(純額)△37.9△75.6
財務活動から得た現金(純額)509.4770.0
長期借入の実行による収入(純額)467.4469.0
短期借入の実行による収入(純額)269.674.0
受入銀行預金の増加による収入(△減少による支出)(純額)△8.4254.3
その他(純額)△219.2△27.3
現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物に対する為替相場変動の影響額△53.544.7
現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の増加(△減少)額△182.2332.3
現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の期首残高2,537.12,354.9
現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の期末残高2,354.92,687.1

詳細につきましては、「第5 [経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] ⑤ 連結キャッシュ・フロー計算書」をご参照ください。
2019年3月期を通じて、野村の現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物は3,323億円増加し2兆6,871億円となりました。長期借入の実行による収入(純額)の増加により4,690億円の現金収入があり、財務活動から得た現金(純額)は7,700億円となりました。貸付金の増加(純額)により3,922億円の現金支出があり、投資活動に使用された現金(純額)は4,205億円となりました。トレーディングにおいては、トレーディング負債の減少による現金支出がありましたが、トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資の減少による現金収入の結果、7,805億円の現金収入となりました。一方、売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券や借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金のようなレポ取引、有価証券貸借取引から1兆2,875億円の現金支出がありました。また、信用取引貸付金および受取債権の減少による4,744億円の現金収入がありました。この結果、営業活動に使用された現金(純額)は620億円となりました。
2018年3月期を通じて、野村の現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物は1,822億円減少し2兆3,549億円となりました。長期借入の実行による収入(純額)により4,674億円の現金収入があり、財務活動から得た現金(純額)は5,094億円となりました。貸付金の増加(純額)により2,320億円の現金支出があり、投資活動に使用された現金(純額)は2,967億円となりました。トレーディングにおいては、トレーディング資産およびプライベート・エクイティ投資の増加による現金支出がありましたが、トレーディング負債の増加による現金収入の結果、79億円の現金収入となりました。一方、売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券や借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金のようなレポ取引、有価証券貸借取引から3,101億円の現金収入がありました。また、信用取引貸付金および受取債権の増加による9,207億円の現金支出がありました。この結果、営業活動に使用された現金(純額)は3,413億円となりました。
貸借対照表および財務レバレッジ
2019年3月31日現在の資産合計は、2018年3月31日現在の40兆3,439億円に対し、売戻条件付買入有価証券が増加したこと等により、6,255億円増加し、40兆9,694億円となりました。また、2019年3月31日現在の負債は、2018年3月31日現在の37兆5,441億円に対し、長期借入が増加したこと等により、7,445億円増加し、38兆2,886億円となりました。2019年3月31日現在の当社株主資本は、2018年3月31日現在の2兆7,493億円に対し、利益剰余金の減少にともない、前期末比1,183億円減少の2兆6,311億円となりました。
野村は、マーケットの極端な変動によってもたらされ得る大きな損失にも耐えられる規模の資本を維持することに努めております。野村の適正資本の維持にかかる基本方針は経営会議が決定し、その実践の責任を負います。適正資本の維持にかかる基本方針には、適正な総資産規模の水準やそれを維持するために必要な資本規模の決定などが含まれます。当社は、当社のビジネス・モデルに起因する経済的なリスクに耐え得る必要十分な資本を維持しているかにつき、定期的な確認を行っておりますが、こうした観点とは別に、銀行業や証券業を営む子会社は規制当局から要請される最低資本金額を満たす必要もあります。
レバレッジ・レシオは、野村と同様に他の金融機関でも、一般的に用いられており、当社のアニュアルレポートの利用者が野村のレバレッジ・レシオおよび調整後レバレッジ・レシオを他の金融機関と比較できるように、ベンチマークとする目的で、自主的に開示しております。調整後レバレッジ・レシオは、野村がレバレッジにかかる有用な補助的指標であると考える米国会計原則に基づかない指標です。
以下の表は、当社株主資本、総資産、調整後総資産と財務レバレッジの状況を示しています。
(単位:十億円)
2018年3月31日2019年3月31日
当社株主資本2,749.32,631.1
総資産40,343.940,969.4
調整後総資産(1)24,106.223,662.5
レバレッジ・レシオ(2)14.715.6
調整後レバレッジ・レシオ(3)8.89.0

(1)調整後総資産は米国会計原則に基づかない指標であり、総資産の額から売戻条件付買入有価証券および借入有価証券担保金の額を控除したものとなり、以下のように計算されます。
(単位:十億円)
2018年3月31日2019年3月31日
総資産40,343.940,969.4
控除:
売戻条件付買入有価証券9,853.913,194.5
借入有価証券担保金6,383.84,112.4
調整後総資産24,106.223,662.5

(2)レバレッジ・レシオは、総資産の額を当社株主資本の額で除して得られる比率です。
(3)調整後レバレッジ・レシオは、調整後総資産の額を当社株主資本の額で除して得られる比率です。
総資産は、主に売戻条件付買入有価証券が増加したことにより、1.6%増加しました。当社株主資本は、主に利益剰余金が減少したことにより、4.3%減少しました。この結果、野村の財務レバレッジは、2018年3月31日現在の14.7倍から2019年3月31日現在15.6倍に上昇しました。
調整後総資産が減少した理由は、トレーディング資産の減少によるものです。その結果、調整後レバレッジ・レシオは、2018年3月31日現在8.8倍、2019年3月31日現在9.0倍となりました。
連結自己資本規制
金融庁は2005年6月に「金融コングロマリット監督指針」を策定し、連結自己資本規制に関する規定を設けました。この「金融コングロマリット監督指針」に基づき、2005年4月から、当社は、連結自己資本規制比率のモニタリングを開始しました。
2011年4月から、当社は、親会社に対する連結自己資本規制の適用を受ける最終指定親会社の指定を受け、「最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準を定める件」(平成二十二年金融庁告示第百三十号、以下「川上連結告示」といいます。)により、バーゼルⅡに基づく連結自己資本規制比率の計測を開始しました。また、2011年12月末からは、マーケット・リスク相当額の計測方法を大幅に改定したバーゼル2.5に基づく連結自己資本規制比率の計測を開始しました。さらに、2013年3月末からは、より質の高い資本を具備させることを目的とした自己資本項目の再定義や、信用リスク・アセットの計測対象の大幅な追加を主な内容とするバーゼルⅢを受けて改正された川上連結告示の内容に基づいた連結自己資本規制比率の計測を行っております。
当社は、川上連結告示第2条の算式に従い、普通株式等Tier1資本の額、Tier1資本(普通株式等Tier1資本およびその他Tier1資本)の額、総自己資本(Tier1資本およびTier2資本)の額、信用リスク・アセットの額、マーケット・リスク相当額およびオペレーショナル・リスク相当額をもとに連結自己資本規制比率を測定しております。2019年3月31日現在の野村の連結普通株式等Tier1比率(普通株式等Tier1資本の額をリスク・アセットの額で除した比率)は17.11%、連結Tier1比率(Tier1資本の額をリスク・アセットの額で除した比率)は18.28%、連結総自己資本規制比率(総自己資本の額をリスク・アセットの額で除した比率)は18.60%となり、川上連結告示等の定める要件をそれぞれ満たしました。なお、2019年3月31日現在、川上連結告示等の定める要件は適用される最低連結資本バッファーを含み、連結普通株式等Tier1比率について7.61%、連結Tier1比率について9.11%、連結総自己資本規制比率について11.11%となっております。
2018年3月31日および2019年3月31日現在の連結自己資本規制比率について、以下に示しております。
(単位:億円)
2018年3月31日2019年3月31日
自己資本
普通株式等Tier1資本の額25,00024,397
Tier1資本の額26,66426,059
総自己資本の額27,32526,519
リスク・アセット
信用リスク・アセットの額77,36375,274
マーケット・リスク相当額を8%で除して得た値47,48342,111
オペレーショナル・リスク相当額を8%で除して得た値26,37725,131
リスク・アセット合計151,223142,516
連結自己資本比率
連結普通株式等Tier1比率16.53%17.11%
連結Tier1比率17.63%18.28%
連結総自己資本規制比率18.06%18.60%


信用リスク・アセットおよびオペレーショナル・リスク相当額は、金融庁の承認を得て2011年3月末から基礎的内部格付手法および粗利益配分手法によりそれぞれ算出しております。また、マーケット・リスク相当額は内部モデル方式により算出しております。
また、当社は川上連結告示で定められた要件の遵守状況を示す他に、バーゼルⅢが適用される他の金融機関との比較を容易にするため、連結自己資本規制比率を開示しております。当社の経営者はこれらに関する報告を定期的に受けております。
連結レバレッジ規制
金融庁は2015年3月に「金融庁長官が定める場合において、最終指定親会社が経営の健全性の状況を記載した書面に記載すべき事項を定める件」(平成二十二年金融庁告示第百三十二号、以下「開示告示」といいます。)を改正するとともに「金融庁長官が定める場合において、最終指定親会社が経営の健全性の状況を記載した書面に記載すべき事項を定める件第三条第一項の規定に基づき、金融庁長官が別に定める連結レバレッジ比率」(平成二十七年金融庁告示第十一号)を公表しました。また、金融庁は2019年3月に開示告示を改正するとともに「最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準」(平成三十一年金融庁告示第十三号、以下「連結レバレッジ比率告示」といいます。)を公表し、連結レバレッジ比率に関する算出および開示にかかる要件、ならびにレバレッジ比率3%の最低基準を定めました。当社は開示告示等に基づき、2015年3月末から連結レバレッジ比率の算出および開示を開始しました。さらに、2019年3月末からは、開示告示、連結レバレッジ比率告示および最低比率基準を下回った場合の早期是正措置を定めたその他の告示等の内容に基づいた連結レバレッジ比率の計測を開始しております。また、当社の経営者は同連結レバレッジ比率に関する報告を定期的に受けております。なお、2019年3月末現在の当社の連結レバレッジ比率は、5.03%となりました。
当社をめぐる規制動向
金融危機によって明らかになった脆弱性を踏まえ、規制資本の枠組みを強化するより広範な取組みについてバーゼル銀行監督委員会(以下「バーゼル委員会」)は一連の文書を公表しました。当社にとって関連が深いと思われる事項について、以下に概要を記載しております。
2010年12月16日にバーゼル委員会は銀行セクターの強靭性を高めるために、いわゆるバーゼルⅢテキスト「より強靭な銀行および銀行システムのための世界的な規制の枠組み」および「流動性リスク計測、基準、モニタリングのための国際的枠組み」を公表しました。これには、資本の質、一貫性および透明性の向上、店頭デリバティブ取引における信用評価調整(Credit Value Adjustment)の導入のような自己資本の枠組みにおけるリスク捕捉の強化、リスク・ベースの枠組みに対する補完的指標としてのレバレッジ比率の導入、現行の枠組みにおける「プロシクリカリティ(景気循環増幅効果)」に対する懸念を抑制する一連の措置、また、30日間の流動性カバレッジ比率と、それを補完するより長期的な構造の流動性比率を含む、最低限の流動性基準の導入が含まれています。これらのバーゼルⅢパッケージは、2013年より段階的に適用が開始されております。加えて、2012年7月25日に、清算機関(以下「CCP」)向けエクスポージャーに対する資本賦課についての暫定規則が公表され、バーゼルⅢの一部として2013年から実施されております。さらに、上記のとおり2015年3月末より開始した連結レバレッジ比率の算出および開示、ならびに2019年3月末より開始した連結レバレッジ比率の計測に加え、現在までに、バーゼル委員会から、ファンド向けエクイティ出資にかかる資本賦課、カウンターパーティ信用リスクエクスポージャーの計測にかかる標準的手法、CCP向けエクスポージャーに対する資本賦課、大口エクスポージャーの計測と管理のための監督上の枠組み、バーゼルⅢ安定調達比率、証券化商品の資本賦課枠組みの見直し、マーケット・リスクの最低所要自己資本等に関して一連の最終規則が公表されております。
また、2011年11月のG-20サミットにおいて、金融安定理事会とバーゼル委員会は、グローバルにシステム上重要な金融機関(以下「G-SIBs」)の監督手法および破綻処理計画の策定を含むG-SIBsに対する追加的要件を公表しました。同時に、G-SIBsのリストは毎年11月に金融安定理事会とバーゼル委員会により、更新されております。なお、2011年11月の公表以来、当社はG-SIBsには指定されておりません。一方で、G-SIBsの枠組みを国内のシステム上重要な金融機関(以下「D-SIBs」)まで拡張するようにとの要請を受け、バーゼル委員会は2012年10月、D-SIBsに関する評価手法およびより高い損失吸収力の要件に関する一連の原則を策定・公表しました。2015年12月、金融庁は当社をD-SIBsに指定し、2016年3月以降の追加的な資本賦課水準を0.5%(3年間の経過措置あり)といたしました。
2015年11月、金融安定理事会は、G-SIBsに対して総損失吸収力(以下「TLAC」)にかかる最終基準を公表しました。TLAC基準は、破綻したG-SIBsが、当局の秩序ある処理を実施するため、利用可能な十分な損失吸収力および資本増強能力を確保するように設計されています。金融庁は、金融安定理事会のTLAC基準の公表を受けて、2016年4月に本邦G-SIBsに適用される本邦TLACの枠組みを整備する方針を公表しましたが、その後、2018年4月に、本邦G-SIBsのみならず、(i)国際的な破綻処理対応の必要性が高く、(ii)破綻の際に我が国の金融システムに与える影響が特に大きいと認められる金融機関である本邦D-SIBsについても適用対象とする方針とされました。改訂された方針においては、本邦G-SIBsおよび野村(以下「本邦TLAC対象SIBs」)は、本邦TLAC規制の適用対象となりました。さらに、2019年3月には「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき最終指定親会社が最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める総損失吸収力及び資本再構築力に係る健全性の状況を表示する基準」(平成三十一年金融庁告示第十号)および「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」がそれぞれ公表および改訂されており、野村は現時点で本邦G-SIBsに選定されておりませんが、野村を含む本邦TLAC対象SIBsは、バーゼルⅢの枠組みに定められている最低要求水準に従ってTLACにかかる規制要件を満たすことが求められます。具体的には、野村は、2021年3月31日からリスク・アセットの16%、2024年3月31日以降は18%のTLACリスク・アセット最低基準を満たす必要があります。同様に、2021年3月31日からレバレッジエクスポージャーの6%、2024年3月31日以降は6.75%のTLACレバレッジエクスポージャー最低基準を満たす必要があります。
さらに、2018年4月に公表された金融庁の改訂後の方針によれば、将来の国際的な議論に基づき変更される可能性がありますが、本邦TLAC対象SIBsに適用される破綻処理戦略は、実際の処理は破綻時の本邦TLAC対象SIBsの実態を考慮のうえで個別事案毎に決定されるものの、金融庁のような、単一の当局が金融グループの最上位に位置する持株会社等に対して破綻処理権限を行使するシングル・ポイント・オブ・エントリー(以下「SPE」)とされました。SPE破綻処理戦略を実効的に実現するためには、金融庁は持株会社である本邦TLAC対象SIBsの国内における破綻処理対象会社(以下「国内処理対象会社」)について、(i)外部TLACの最低所要水準以上を確保すること、(ii)金融安定理事会によるTLAC合意文書による選定を踏まえて金融庁が指定した金融機関の主要子会社が調達する、損失吸収力を有すると認められる資本・負債を一定の水準以上引き受ける、即ち内部TLACの分配対象となることが求められます。
また、金融庁の改訂後の方針によれば、預金保険制度に鑑み、本邦TLAC対象SIBsの国内処理対象会社について規制導入時からリスク・アセットの2.5%相当分(野村は2021年3月31日)、規制導入後3年間以降はリスク・アセットの3.5%相当分(野村は2024年3月31日)を外部TLACとして算入することが認められる方針であります。
今後も、川上連結告示を始めとする各業態の自己資本規制、流動性規制、レバレッジ規制等の諸規制はバーゼル委員会、証券監督者国際機構または金融安定理事会等の一連の規制強化の動きに沿って改定される可能性があります。
格付会社による信用格付
無担保資金の調達コストおよび調達可能金額は一般的に格付会社による長期あるいは短期の信用格付の影響を受けます。当社および野村證券には、S&P Global Ratings、Moody's Investors Service、Fitch Ratings、格付投資情報センターおよび日本格付研究所より長期および短期の信用格付が付与されています。
2019年5月31日現在の当社および野村證券の格付会社による格付は以下のとおりです。
野村ホールディングス(株)短期債務長期債務
S&P Global RatingsA-2A-
Moody's Investors Service-Baa1
Fitch RatingsF1A-
格付投資情報センターa-1A+
日本格付研究所-AA-

野村證券(株)短期債務長期債務
S&P Global RatingsA-1A
Moody's Investors ServiceP-2A3
Fitch RatingsF1A-
格付投資情報センターa-1A+
日本格付研究所-AA-

(7)オフ・バランス・シート取引
非連結事業体との取引
野村は通常の業務において、将来の財政状態や業績に影響を与える可能性があるさまざまなオフ・バランス・シート取引を非連結事業体と行っております。
野村が行う非連結事業体とのオフ・バランス・シート取引には、以下のものが含まれます。
・債務保証契約上の義務
・譲渡した資産に対する留保持分または偶発的な持分、もしくは、譲渡した資産に関し信用リスク、流動性リスク、市場リスクを補完するような類似の取引
・デリバティブとして会計処理される契約による一切の義務(偶発債務を含む)
・非連結事業体が資金調達リスク、流動性リスク、市場リスク、信用リスクの補完を野村に対し提供している場合、またはリース、ヘッジ、研究開発契約を野村と結んでいる場合、野村が保有しかつ野村にとって重要な非連結事業体の変動持分から発生する一切の義務(偶発債務を含む)
非連結事業体は、会社、パートナーシップ、ファンド、信託、その他法的事業体の形態をとり、限定された特定の目的を履行するために、発起人によって設立されます。野村は、これらの事業体を設立または発起したり、第三者によって設立または発起された事業体と取引を行います。
野村の非連結事業体との関与は、マーケットの状況に応じて、これらの事業体が発行する負債証券および受益権を組成し、引受け、売出し、販売することが含まれております。また野村は通常の証券化およびエクイティデリバティブ業務の中で、これらの事業体に対する金融資産の譲渡、これらの事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。さらに野村は、マーケットメーク業務、投資業務、組成業務に関連し、特別目的事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。非連結事業体とのそのほかの関与には、債務保証やデリバティブ契約などが含まれます。これらの事業体との重要な関与は、たとえ期末日における損失の可能性が低くても、取引すべてに基づいて評価されています。
変動持分事業体との取引については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 7 証券化および変動持分事業体」をご参照ください。
(8)契約上の義務の開示
野村の業務の一部として、将来支払いが必要となるかもしれないさまざまな契約上の義務および偶発的コミットメントを有しております。これらの取引は以下のものを含んでおります。
スタンドバイ信用状およびその他の債務保証
野村は、通常の銀行もしくは金融業務の一環として、スタンドバイ信用状およびその他の債務保証の方法で取引相手とさまざまな債務保証を行っており、こうした債務保証には一般に固定満期日が設定されております。
長期借入および約定金利の支払
野村の業務に関連して、野村の資金調達政策に従い、日本円建ておよび日本円建て以外の長期借入、それにかかわる変動および固定金利の支払いを行っております。
オペレーティング・リース・コミットメント
野村は、国内外でオフィスおよび特定の従業員用住宅、施設等を解約可能リース契約により賃借しており、当該契約は契約期間満了時に更新されるのが慣行になっております。
野村は、国内外で特定の器具備品および施設を解約不能オペレーティング・リース契約により賃借しております。
キャピタル・リース・コミットメント
野村は、国内外で特定の器具備品および施設をキャピタル・リース契約により賃借しております。
購入義務
物品およびサービスを購入する義務には、建物設備等の工事、広告宣伝、コンピュータ・IT関連の維持管理などに関する契約が該当します。
貸出コミットメント
野村は、銀行もしくは金融業務の一環として、貸出コミットメントを行っており、こうした契約義務には一般に固定満期日が設定されております。
投資銀行業務に関連して、野村は顧客により発行されうる有価証券を引き受けることを保証する契約を結んでおります。
中央清算機関の会員として、野村は他の会員が債務不履行に陥った際に、国債および政府系機関債を裏付けとしたリバース・レポの取引相手になり、流動性資金の提供を行う確約をしております。
投資コミットメント
野村は、パートナーシップ等に投資するコミットメントおよび当該投資に関連してパートナーシップに資金提供するコミットメントを行っております。
「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 9 リース」に野村のオペレーティング・リース、キャピタル・リースにかかわる追加的情報を、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 11 借入」に野村の短期借入および長期借入にかかわる追加的情報を、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 21 コミットメント、偶発事象および債務保証」にこれらにかかわる追加的情報を記載しております。
こうした貸出コミットメントにかかる契約金額は、契約がすべて実行され、取引相手先が債務不履行の状態となり、既存担保が無価値になったと仮定した場合に想定される、野村の信用関連損失の最大値を表しております。締結された契約が実行されることなく契約義務が満期を迎える場合もあるため、こうした信用関連コミットメントの契約金額は将来の現金所要額を必ずしも表しているわけではありません。こうした契約義務にかかる信用リスクは、顧客の信用力および受入担保の価値によって異なったものになります。野村は、各顧客の信用力を個別に評価しております。信用供与に際して必要と考えられる場合に野村が取引相手から受け入れる担保の金額は、取引相手の信用力評価に基づいております。
下記の表は2019年3月31日現在での満期年限別の契約上の義務および偶発的コミットメントを表示しております。
(単位:百万円)
契約総額満期年限
1年以内1~3年3~5年5年超
スタンドバイ信用状およびその他の債務保証5,764113355,4171
長期借入(1)7,891,271801,2091,661,3221,333,8164,094,924
約定金利の支払(2)872,708124,898189,528144,279414,003
オペレーティング・リース・コミットメント106,55316,20722,30915,32452,713
キャピタル・リース・コミットメント(3)42,1973,8627,8987,60022,837
購入義務(4)69,00321,98534,31012,708-
貸出コミットメント(5)2,694,3681,737,30597,933225,151633,979
投資コミットメント14,413865236213,184
合計11,696,2772,706,3422,013,6371,744,6575,231,641

(1)長期借入で開示されている金額は、編纂書860にしたがって金融資産の譲渡を売却取引ではなく金融取引として会計処理されている金融負債を含んでおりません。これらは野村の資金調達を目的とした借入ではなく、したがって野村が現金を返済する実際の契約上の義務を表しておりません。
(2)約定金利の支払金額は、長期借入金に関連し、その償還期日および2019年3月31日現在適用される金利に基づいて見積もられる将来の支払金利の総額であります。
(3)キャピタル・リース・コミットメントの契約総額は利息を控除する前の最低支払リース料を記載しています。
(4)購入義務の金額は、重要な条件がすべて特定されている法的な強制力のある契約に基づく、契約上の義務となる最低金額が記載されています。購入義務の金額には、既に貸借対照表に負債または支払債務として計上されているものは除かれています。
(5)中央清算機関への流動性資金の提供を行う確約を含んでおります。
上記に記載されている契約上の義務および偶発的コミットメントには、通常の場合短期の義務の性格を有する短期借入、受入銀行預金、その他の支払債務、担保付契約および担保付調達(例えば、売戻条件付買入取引および買戻条件付売却取引)およびトレーディング負債などを含んでおりません。
上記の金額に加えて、野村は担保付契約および担保付調達に関連する金額を含む売戻契約および買戻契約を結ぶ義務を負っております。これらのコミットメントは2019年3月31日現在、売戻契約に対して1,071十億円および買戻契約に対して719十億円となっております。

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