有価証券報告書-第119期(2022/04/01-2023/03/31)
(1)業績の概況
以下の業績の概況は、「第1[企業の概況] 1[主要な経営指標等の推移]」および「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表]」の部とあわせてご覧ください。また、以下の内容には、一部、将来に対する予測が含まれており、その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれています。野村の実際の経営成績はここに記載されている将来に対する予測と大きく異なる可能性があります。
エグゼクティブ・サマリー
《全体の業績について》
当期の収益合計(金融費用控除後)は、前期比2.1%減の1兆3,356億円、金融費用以外の費用は同4.3%増の1兆1,861億円となりました。税引前当期純利益は1,495億円、当社株主に帰属する当期純利益は928億円となりました。自己資本利益率は3.1%となり、また、当期のEPS(注)は前期の45.23円から29.74円となっております。なお、2023年3月末を基準日とする配当金は、1株当たり12円とし、年間での配当は1株につき17円といたしました。
(注)希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益
《当期の業績に特に影響を与えた事象の経営者評価》
当期は、地政学リスクの高まりや、世界的なインフレ、米国をはじめとした主要中央銀行による積極的な金融引き締めの動きなどを受け、世界経済の先行き不安が高まったことなどから、マーケットが大きく変動する局面が多く見られました。このような環境のなか、お客様一人ひとりのニーズにお応えするための体制整備および既存ビジネスの強化、新たな分野への挑戦に取り組んできました。
営業部門では、特に上半期は不透明な市場環境を受けお客様の投資マインドが低下し、フロー収入等(ブローカレッジ収入やコンサルティング関連収入など取引に付随して発生する収入、ローン関連以外の金融収益等)が低調となりました。一方、市場環境を踏まえた丁寧なコンサルティングと残高拡大の取組みが浸透し、ストック資産純増を継続することでストック収入(投資信託、投資一任、保険、ローン、レベルフィーなどの残高から発生する収入や継続的に発生する収入)は前期比2%の増加となりました。ストック収入費用カバー率(金融費用以外の費用に対するストック収入の比率)は2022年3月期の49%から2023年3月期は51%に伸長しています。
インベストメント・マネジメント部門では、成功報酬等の減収を、航空機リースを手掛ける野村バブコックアンドブラウン株式会社の業績改善で相殺し、事業収益は前年並みの水準を維持しました。コア投信やオルタナティブ運用資産への資金流入も継続しています。一方で、投資損益の減少により部門利益は前期比減益となりました。
ホールセール部門では、マクロ・プロダクト中心にフィクスト・インカムが増収、エクイティも米国顧客取引に起因する損失がなくなり、収益が回復しました。インベストメント・バンキングでは、株式発行やM&Aを中心にグローバル・フィープールが大幅に減少するという難しい環境のなか、エクイティ・プライベート・プレイスメント案件の貢献により、アドバイザリー収益は底堅く推移しています。一方で円安進行による影響およびインフレによる固定費の上昇により部門費用が増加し、利益を押し下げる要因となりました。
《資本政策と株主還元の考え方》
当社は、適正な資本比率を確保しつつ、最適な資本配分を通じて持続可能な成長を実現したいと考えております。経営ビジョン達成に向けた布石として、コスト水準は抑制しながらも、パブリックに加え、プライベート領域のビジネスを拡大する為の成長投資も行うことで、投資と株主還元のバランスを図るとともに、当社の生産性向上と収益源の拡大を通じた株主価値の最大化を目指しています。
配当については、半期毎の連結業績を基準として、連結配当性向30%を重要な指標の1つとして設定しており、また、自己株式取得による株主還元分を含めた総還元性向を50%以上とすることを、株主還元上の目処といたします。各期の株主還元の総額は、バーゼル規制強化をはじめとする国内外の規制環境の動向、連結業績をあわせて総合的に勘案し、決定することとしています。なお、2024年3月期以降の配当については、半期毎の連結業績を基準として、連結配当性向40%以上とすることを重要な指標の1つとする方針に変更いたしました。
詳細は「第4[提出会社の状況] 3[配当政策]」をご参照ください。
各部門の状況については以下のとおりです。
2023年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比8.5%減の3,002億円、金融費用以外の費用は同0.8%減の2,667億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同43.5%減の335億円となりました。営業部門では、「お客様の資産の悩みに応えて、お客様を豊かにする」という基本観のもと、お客様一人ひとりに寄り添い、「最も信頼できるパートナー」を目指して資産コンサルティング業への進化に取り組んでまいりました。当期は不透明な市場環境が継続し、株式・投資信託の買付が低水準に留まるなど、フロー収入等は低調でしたが、お客様の資産全体に対するコンサルティングが奏功し、ストック資産拡大に向けた取り組みが進捗しています。また、職域サービスによる接点拡大を通じて、持続的な顧客基盤の構築、部門の中長期的なサービス拡大を目指していますが、現役世代を含め、順調に職域サービスを提供するお客様を拡大することができております。今後は領域別アプローチを強化しながら、資産運用に加え、不動産・相続・資産承継といった多様な悩みの解決に向けた商品・サービスの充実を図ってまいります。
2023年3月期のインベストメント・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比13.1%減の1,286億円、金融費用以外の費用は同11.2%増の851億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同39.2%減の435億円となりました。インベストメント・マネジメント部門では、多様化するお客様の運用ニーズに応える商品ラインナップの拡充やサービスの向上を目的に、広義のアセット・マネジメント・ビジネスに取り組んでまいりました。運用資産残高が全体として微減となったものの、航空機リースを手掛ける野村バブコックアンドブラウン株式会社の業績の改善等が貢献し、事業収益は前年並みを維持しました。一方、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益と野村キャピタル・パートナーズ株式会社の投資先企業の評価益・売却益の減少により、投資損益は前期比で減少しました。当期は、プライベート領域への拡大の一環として、不動産やインフラへの投資運用を行う野村リアルアセット・インベストメント株式会社を野村不動産ホールディングス株式会社との合弁で新設しました。また、世界有数の森林アセットマネジメント事業者であるニューフォレスト Pty Limited.の株式を取得しました。さらに、ノムラ・プライベート・キャピタル LLCを設立し、米国でのプライベート資産運用ビジネスに着手しました。
2023年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比9.9%増の7,724億円、金融費用以外の費用は、同18.2%増の7,430億円となりました。その結果、税引前当期純利益は60.6%減の294億円となりました。グローバル・マーケッツは、リスク管理を強化しながら引き続きそれぞれの地域で強みのあるコアビジネスに注力するとともに、マクロ環境のパラダイムシフトによるマーケットの不透明感とボラティリティの高まりの中で投資家のポートフォリオのリバランス取引やヘッジ取引などに対して丁寧に流動性を提供しました。フロービジネスに加えて、ストラクチャード・ファイナンスやソリューションビジネスなど顧客ニーズへの適切な対応を通じて、収益を積み上げました。インベストメント・バンキングは、地政学リスクや金融政策をめぐる市場環境の不透明感から顧客の慎重姿勢が強まり、顧客アクティビティは前期比で低調となりました。これらの結果、エクイティファイナンスや買収ファイナンスに加えM&Aにおいても案件が減少し通期では減益となりましたが、顧客との丁寧な対話を行いながらニーズの把握に努め、エクイティ・プライベート・プレイスメントやプライベート型のファイナンスの他、顧客のヘッジやリスク管理ニーズに対応したソリューションビジネス等に注力しました。
主要なパフォーマンス指標の進捗
《経営指標》
自己資本利益率(ROE)
当社は、「社会課題の解決を通じた持続的成長の実現」を経営ビジョンとして掲げ、2025年3月期に向け自己資本利益率(ROE)を最も重視する指標の1つとして設定しています。国内でコーポレートガバナンス・コードが導入された後、日本企業においては資本コストを意識した経営の重要性が高まっております。加えて、金融業界においては、世界的な金融規制の枠組みのもとで、さらなる資本の有効活用が求められています。そのため、当社では、経営資源の最適配分という観点がより一層重要になるということに鑑み、2020年5月に開催された取締役会での決定を踏まえ「経営の基本方針」を改定するとともに、2021年3月期より、重要な経営指標として自己資本利益率(ROE)を用い、ビジネスの持続的な変革を図ることとしました。
ROEは当社株主に帰属する当期純利益を前期末当社株主資本合計および当期末当社株主資本合計の平均で除した値と定義しています。ROEの開示は、企業価値の向上や、投資家の皆様が当社の経営状況や資本の有効活用の状況を把握するためにも有益だと考えています。
ROEの目標水準としては、当社に求められる資本コストを意識し、2025年3月期において8~10%の水準を掲げております。一方で、ROEは必ずしも財務の健全性を反映するものではないと考えられることから、ROE向上を企図した過度な資本効率の追求を行うことのないよう、財務健全性に十分に配慮した上での企業価値の創造を重視し、ROEの向上に努めております。なお、2023年3月期のROEは、2022年3月期の5.1%から減少し、3.1%となりました。
普通株式等Tier1比率
野村グループが遵守しなくてはならないグローバル金融規制は複数ありますが、なかでもバーゼル委員会および金融庁が定める自己資本規制は、当社のビジネスの在り方に、直接影響を及ぼすものです。そのため当社は、連結普通株式等Tier1比率を11%以上に維持することを掲げ、厳しいマーケットストレス等がかかった際のバッファーを含む財務健全性についても考慮しております。なお、2023年3月期の連結普通株式等Tier1比率は、2022年3月期の17.22%から減少し、16.32%となりました。当社の普通株式等Tier1比率の詳細と算定方法については、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (5)流動性資金調達と資本の管理」の「連結自己資本規制」の項目をご参照ください。
《事業セグメント別の指標》
営業部門
営業部門の事業活動の成果を定量的に示す指標として、ストック資産、ストック資産純増、フロービジネス顧客数、職域サービス提供数の4項目を設定し、ビジネスの持続的な推進と発展を目指しています。これらの指標の開示は、営業部門のお客様との接点における進捗とともに持続可能な成長性を投資家の皆様が把握するに際して有益だと考えています。
(単位:兆円)
(単位:十億円)
(単位:千件)
ストック資産は、投資信託や投資一任など、お預り資産に対し運用管理費用等の手数料を頂戴する資産の総額に関連ローンを加算して算出しています。当該ローン金額は2023年3月期の連結財務諸表の貸付金として報告されているうちの約7,219億円です。2023年3月末時点のストック資産残高は18.7兆円であり、市場要因により2022年3月末より減少しています。
ストック資産純増は、ストック資産の買付・流入金額から売却・流出金額を差引した金額であり、時価変動を除いたストック資産の拡大を測るための指標です。2023年3月期においてストック資産純増の年度累計は3,337億円であり、投資信託、投資一任などを中心にストック資産の純増を実現しています。
フロービジネス顧客数は、フロービジネス(フロー収入が発生するビジネス)を提供している顧客数の合計であり、フロー収入の拡大を実現するために重要な顧客基盤の拡大を測るための指標です。2023年3月末時点のフロービジネス顧客数は144.6万件と2022年3月期を下回っており、顧客基盤の拡大が課題となっています。
職域サービス提供数は、持株会会員数、持株会由来口座数(現会員除く)、企業型DC加入者など、職域に関連するサービスの提供数を合算した数字であり、職域ビジネスを通じた顧客基盤の拡大を測るための指標です。2023年3月末時点の職域サービス提供数は348.9万件です。持株会会員数の増加を中心に、目標を上回る水準で拡大を実現しており、持続的な成長に繋がる顧客基盤の拡大を実現しています。
インベストメント・マネジメント部門
インベストメント・マネジメント部門の事業活動の成果を定量的に示す指標として、運用資産残高を設定しております。運用資産残高は、インベストメント・マネジメント部門における運用ビジネスの収益源であり、運用ビジネスの進捗状況を把握する上で有効であると考えております。また、運用プロダクトがどの程度投資家の皆様に受け入れられたか把握する上で、重要な指標になります。2022年3月期から資金純流入についてもインベストメント・マネジメント部門の成果を定量的に示す指標としております。資金純流入は、運用資産残高の増減から市場要因等を除いた運用ビジネスの進捗動向を把握する上で有効であると考えております。運用資産の拡大、それによる部門収益拡大目標の達成における施策の効果を確認する上で、重要な指標になります。
(単位:兆円)
(単位:十億円)
運用資産残高は、野村アセットマネジメント、ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント、ウエルス・スクエアの運用資産の単純合計(グロス)から重複資産を控除したものに加えて、野村スパークス・インベストメント、野村メザニン・パートナーズ、野村キャピタル・パートナーズおよび野村リサーチ・アンド・アドバイザリーに対する第三者による投資額を含むものとなります。資金純流入は、資金流入額から資金流出額を差し引いた額となります。なお当該資金流出額は、分配金による流出額を含まない額となります。
当期は、投資信託ビジネスでは、ETFから資金が流出したものの、日本株ファンドや安定的な資産形成に資するバランスファンド、確定拠出年金向けファンド等への資金流入により、ETF以外の公募投資信託の残高が増加しました。投資顧問・海外ビジネス他では、国内年金からまとまった資金流出があったほか、世界的な金融引き締めを受け、国内外の投資家によるリスク回避的な動きからの資金流出がありました。これらの資金増減や市場要因等により、全体の運用資産残高は微減となりました。
ホールセール部門
ホールセール部門では経費率と収益/調整リスクアセットを主要なパフォーマンス指標として採用しています。これらKPIの開示は投資家に対してコストおよびリソース運用の効率性を示すうえで有効であり、マネジメントはビジネスにおけるコスト削減と収益力の評価に活用しています。
経費率は、対象期間の金融費用以外の費用を同期間の収益合計(金融費用控除後、年換算)で除して算出しており、部門運営の効率性を確認するために使用しています。2023年3月期は、フィクスト・インカムの増収やエクイティの米国顧客取引に起因する損失が剥落したことで収益が増加した一方、マーケット環境の悪化によるインベストメント・バンキングの収益減収や円安の進行、インフレによる費用の増加により前期に比べて比率は増加しました。2022年3月期は、米国顧客取引に関する影響の減少により前期に比べて比率は減少しましたが、当社の採用に関する戦略および市場要因により費用が増加しています。
収益/調整リスクアセットは、対象期間の収益合計(金融費用控除後、年換算)を部門が使用する同期間の調整リスクアセット(各会計期間の日次平均)で除して算出しており、使用リソースに対する収益率をそれぞれ確認するために使用しています。調整リスクアセットは、(1)バーゼルⅢ規制のリスクアセットと、(2)バーゼルⅢ規制の資本調整項目を当社が内部で設定する最低資本比率で除したリスクアセット相当額の合計です。各部門の活動に起因する控除額は内部の最低資本比率(12.5%)で除したうえで各部門のリソース使用額にチャージしたものを、調整リスクアセットとしています。当社の収益/調整リスクアセットは、計算手法等の違いにより他社の提示している同様の指標とは定義が異なる可能性があります。当社の信用リスク・アセットおよびオペレーショナル・リスク相当額は金融庁の承認を経て基礎的内部格付手法および標準的手法によりそれぞれ算出しています。市場リスク相当額については、内部モデル方式により算出しています。ホールセール部門のリスクアセット(RWA)の調整RWAへの換算は、社内の最低自己資本比率目標を反映して調整しています。また、収益/調整リスクアセットは、RWAに適用される調整が当社の事業部門に帰属するRWAの適切な金額を(規制上の資本として計算されるRWAとは対照的に)把握することを目的としたものであり、当社内部でのリスク許容度を反映した推定値であるという点で、その有用性が制限される可能性があり、当該調整は実際のリソースの用途については正確に反映していない可能性もあります。2023年3月期の収益/調整リスクアセットの減少は、全体の収益は増加したものの、円安による調整リスクアセットが増加したことが主な要因です。2022年3月期の収益/調整リスクアセットの増加は、主に前述の米国顧客取引に関する損失の影響が減少したことおよび、投資銀行業務手数料が増加したことによるものです。
経営成績
損益概況
野村の主要な連結損益計算書情報は以下のとおりであります。
2023年3月期の収益合計(金融費用控除後)は減少しました。この減少は、主に営業部門において委託・投信募集手数料が減少したことおよび純金融収益が減少したことによります。委託・投信募集手数料は、株式買付や投資信託募集買付にかかる手数料が減少しました。投資銀行業務手数料は引受・売出手数料の減少が収益減少に寄与しました。アセットマネジメント業務手数料は若干増加したものの全体として横ばいに推移しました。トレーディング損益は、主に米国顧客との取引に起因する損失の剥落により増収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による損失額34億円が含まれております。この損失は主にクレジット・スプレッドが縮小したことによるものであります。投資持分証券関連損益は、株価の上昇が限定的で減収となりました。また投資持分証券関連損益には、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。その他は、関連会社売却益が減少しております。
2022年3月期の収益合計(金融費用控除後)は減少しました。この減少は、主に営業部門において委託・投信募集手数料が減少したことによります。委託・投信募集手数料は、株式買付や投資信託募集買付にかかる手数料が減少しました。投資銀行業務手数料はアドバイザリー・ビジネスが収益増加に貢献しました。アセットマネジメント業務手数料は営業部門におけるストック収入の増加やインベストメント・マネジメント部門における運用資産残高の増加による手数料の増加等を受けて増加しました。トレーディング損益は、主に米国顧客との取引に起因する損失の縮小により増収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による収益82億円が含まれております。この収益は主にクレジット・スプレッドが拡大したことによるものであります。投資持分証券関連損益は、株価の上昇が限定的で減収となりました。また投資持分証券関連損益には、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。その他は、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益などにより減少しております。
2021年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、ホールセール部門において米国顧客との取引に起因する損失を計
上したものの増加しました。この増加は、主に営業部門において委託・投信募集手数料が増加したことによります。
委託・投信募集手数料は、株式買付や投資信託募集買付にかかる手数料が増加しました。投資銀行業務手数料はМ&
Aやファイナンスに付随するソリューションビジネスが収益増加に貢献しました。アセットマネジメント業務手数
料は手数料率の低下等を受けて減少しました。トレーディング損益は、主に米国顧客との取引に起因する損失により
減収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による
損失額134億円が含まれております。この損失は主に新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年3月末に一時的に
拡大したクレジット・スプレッドが縮小したことによるものであります。投資持分証券関連損益は、2021年3月期中の株価の上昇を受け増収となりました。また投資持分証券関連損益には、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。その他は、日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業の権利変換にともなう一時的な利益711億円を計上したことなどにより増加しております。
純金融収益は、トレーディング資産およびレポ・リバースレポ取引を含む総資産・負債の水準と構成、ならびに、金利の期間構造とボラティリティに左右されます。純金融収益は、トレーディング業務と不可分な1つの要素であり、野村は、特にグローバル・マーケッツについて、純金融収益と金融収益以外の収益との合計額で、ビジネス全体の収益性を評価しております。2023年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比292%増加、また、金融費用も前期比400%増加し、その結果、2023年3月期の純金融収益は2022年3月期から減少しました。2022年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比20%減少、また、金融費用も前期比7%増加し、その結果、2022年3月期の純金融収益は2021年3月期から減少しました。
2023年3月期の金融費用以外の費用は、米国顧客との取引に起因する貸倒引当金の追加計上による損失の剥落があったものの人件費の増加により前年度比で増加しました。
2022年3月期の金融費用以外の費用は、米国顧客との取引に起因する貸倒引当金の追加計上による損失があったものの前年度比で減少、および前期に計上した当社の持分法適用関連会社である野村不動産ホールディングス株式会社に対する投資にかかる減損損失477億円の剥落などにより減少しました。
野村は、日本においてさまざまな税金を課されており、2022年4月1日より日本にて連結納税制度からグループ通算制度へ移行しております。このグループ通算制度は、国税だけを対象としています。国内の法定実効税率は、2021年3月期、2022年3月期、2023年3月期において、31%となっております。海外子会社は現地で課税を受けており、通常国内より低い税率が適用されています。そのため野村の各期の実効税率は、各地域での損益状況や、各地域で適用される特有の税務上の取扱いにも影響を受けています。
2023年3月期の実効税率は38.7%となりました。この実効税率38.7%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、益金に算入されない収益項目の影響により4.7%実効税率が引き下げられた一方で、評価性引当金の増減により11.3%実効税率が引き上げられたことがあげられます。
2022年3月期の実効税率は35.3%となりました。この実効税率35.3%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、海外の税制改正の影響により14.4%実効税率が引き下げられた一方で、評価性引当金の増減により18.0%実効税率が引き上げられたことがあげられます。
2021年3月期の実効税率は30.5%となりました。この実効税率30.5%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、子会社・関連会社株式等の評価減の税務上の認容見込みにより8.7%実効税率が引き下げられた一方で、評価性引当
金の増減により8.7%実効税率が引き上げられたことがあげられます。
事業セグメント別経営成績
2021年4月1日に、アセット・マネジメント部門およびマーチャント・バンキング部門を廃止し、インベストメント・マネジメント部門を新設いたしました。これにより、野村の業務運営および経営成績の報告は、営業部門、インベストメント・マネジメント部門、ホールセール部門の区分で行われており、この部門体制に基づき、事業別セグメント情報を開示しております。経済的ヘッジ取引に関連する損益、一部の営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社利益(損失)の持分額、本社勘定、その他財務調整項目等は、事業セグメント別情報においては、“その他”として表示されています。
営業目的で保有する投資持分証券評価損益の一部は、セグメント情報には含まれておりません。なお、事業セグメント別経営成績については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 20 セグメントおよび地域別情報」にも記載がございます。また、そこでは、連結財務諸表数値と事業セグメント別数値の調整計算についても説明がありますのでご参照ください。
営業部門
営業部門の経営成績
2023年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、主に委託・投信手数料の減少により、全体として減少しました。
2022年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、主に委託・投信手数料の減少により、全体として減少しました。
2023年3月期の金融費用以外の費用は、収益減少にともなう賞与の減少により、減少しました。
2022年3月期の金融費用以外の費用は、収益減少にともなう賞与の減少により、減少しました。
下の表は、2022年3月期、2023年3月期の商品別の金融収益以外の収益構成の内訳を示しています。
2023年3月期の委託・投信募集手数料は、主に株式委託手数料、投資信託募集手数料の減少により減少しました。2023年3月期のトレーディング損益は、若干増加しましたが前期から横ばいに推移しました。
営業部門顧客資産残高
下の表は、2022年3月末、2023年3月末の営業部門顧客資産残高と、その内訳を示しています。営業部門顧客資産には営業部門の顧客の預かり資産および変額年金保険商品に関連する資産が含まれています。
2023年3月末の営業部門顧客資産残高は、2022年3月末に比べ増加しました。2023年3月末の株式関連資産残高は、資金が流入し0.5兆円増加し、78.0兆円となりました。また、2023年3月末の投資信託残高は、2022年3月末の19.6兆円から1.4兆円減少し、18.2兆円となりました。
2022年3月末の営業部門顧客資産残高は、2021年3月末に比べ減少しました。2022年3月末の株式関連資産残高は、株価の下落により時価評価益が減少し、77.5兆円となりました。また、2022年3月末の投資信託残高は、2021年3月末の19.3兆円から0.3兆円増加し、19.6兆円となりました。
インベストメント・マネジメント部門
インベストメント・マネジメント部門の経営成績
2023年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益の減少により減少しました。
2022年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益の減少により減少しました。
2023年3月期の金融費用以外の費用は、主に為替の変動およびインフレにともなう費用の増加により増加しました。
2022年3月期の金融費用以外の費用は、主に事業収益の増加にともなう人件費の増加により増加しました。
インベストメント・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)の内訳は以下のとおりです。
(注)当期の開示様式に合わせて過年度の数値を組み替えて表示しております。
(1) 投資損益を除く部門収益であり、主にアセット・マネジメント事業からの収益(アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益を除く)、野村バブコックアンドブラウン株式会社の航空機リース関連事業収益およびプライベート・エクイティ等の投資事業における管理報酬により構成
(2) 部門収益のうち投資に起因するものであり、主にアメリカン・センチュリー・インベストメンツ社への投資、プライベート・エクイティ等の投資事業における投資にかかる損益(公正価値の変動、資金調達コストおよび配当金を含む)により構成
下の表は、2022年3月末、2023年3月末のインベストメント・マネジメント部門の運用会社別の運用資産残高を示しています。
2023年3月期の運用資産残高は、対前期比横ばいでした。
下の表は、2021年、2022年、2023年それぞれの3月末時点の、野村アセットマネジメントの日本の公募投資信託市場におけるシェア(純資産残高ベース)を示しています。
(出所)一般社団法人投資信託協会の統計データを基に作成
2023年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、48.0兆円と、対前期比横ばいでした。
2022年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、47.9兆円と、対前期比1.3兆円、3%増加しました。その内訳は、1.0兆円の資金流入と0.3兆円の運用増によるものです。主に「TOPIX連動型上場投信」といった上場投資信託で残高が増加しました。
ホールセール部門
ホールセール部門の経営成績
ホールセール部門の経営成績はグローバル・マーケッツとインベストメント・バンキングにより構成されています。また、グローバル・マーケッツはフィクスト・インカムとエクイティにより構成されています。
2023年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。グローバル・マーケッツにおけるフィクスト・インカムは、マクロ・プロダクトを中心に好調で増収となりました。グローバル・マーケッツにおけるエクイティは、米国顧客との取引に起因する損失が剥落し増収となりました。またインベストメント・バンキングは、引受・売出手数料の減少により減収となりました。
2022年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。グローバル・マーケッツにおけるフィクスト・インカムは、マクロ・プロダクトを中心に好調だった前期比で減収となりました。グローバル・マーケッツにおけるエクイティは、米国顧客との取引に起因する損失が縮小し増収となりました。またインベストメント・バンキングは、アドバイザリー・ビジネスにより増収となりました。
2023年3月期の金融費用以外の費用は、円安による海外拠点の円建て費用の増加および人件費の増加により、前期から増加しました。
2022年3月期の金融費用以外の費用は、前期の米国顧客との取引に起因する信用損失の剥落を、円安による海外拠点の円建て費用の増加が相殺し、前期からわずかに増加しました。
次の表は、ホールセール部門における収益合計(金融費用控除後)における、グローバル・マーケッツおよびインベストメント・バンキングの内訳表であります。
グローバル・マーケッツ
野村は長年にわたって主に国内外の機関投資家を対象として、債券・株式や為替およびそれらのデリバティブ商品のセールスとトレーディングをグローバルに展開してきました。近年では、より多様化・複雑化するお客様からのご要望にお応えするため、トレーディング能力と商品組成能力の強化に取り組み、国内外の機関投資家のみならず、営業部門およびインベストメント・マネジメント部門にさまざまな高付加価値商品を提供すると同時に、インベストメント・バンキングとも協働し、付加価値の高いソリューションを提供しています。また、国内外の機関投資家に加えて、国内の富裕層・諸法人や地域金融機関、国内外の政府機関や金融機関・事業法人などと強固な関係を構築し、ビジネスを拡大しております。これにより、お客様がどのような商品を求めているかを把握し、そのニーズに合わせた商品を国内外のプロダクトラインにおいて迅速に開発・提供することが可能となっております。
2023年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムの2023年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2022年3月期の3,269億円から4,024億円となりました。マクロ・プロダクトを中心に好調で前期比で増収となりました。エクイティの2023年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2022年3月期の2,295億円から2,539億円となりました。米国顧客との取引に起因する損失の剥落を主因として増収となりました。
2022年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムの2022年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2021年3月期の4,419億円から3,269億円となりました。マクロ・プロダクトを中心に好調だった前期比で減収となりました。エクイティの2022年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2021年3月期の1,336億円から2,295億円となりました。米国顧客との取引に起因する損失の縮小を主因として増収となりました。
インベストメント・バンキング
野村は、引受け、アドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しています。アジア、欧州、米国といった世界の主要な金融市場で、債券、株式、その他の引受業務を行っており、日本国内、クロスボーダーおよび海外のM&A/財務コンサルティング業務を継続的に強化してきました。また、グローバルでのオーダーメイド型サービス提供による、顧客との強固で長期的な関係を構築することを追求しております。
2023年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、引受・売出手数料により前期比で減収となりました。
2022年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、アドバイザリー・ビジネスにより前期比で増収となりました。
その他の経営成績
その他の経営成績には、経済的ヘッジ取引に関連する損益、一部の営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社損益の持分額、本社勘定、その他の財務調整が含まれております。詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 20 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。
その他の経営成績における税引前当期純利益(△損失)は、2021年3月期、2022年3月期、それぞれ△285億円、158億円、2023年3月期は主に株式会社野村総合研究所普通株式の売却関連利益約280億円を認識し、前年度に計上した、米国における世界金融危機(2007~2008年)以前の取引に関連した約620億円の法的費用(将来的な損失発生の軽減を目的とした一定の取引を含みます。)の剥落もあり、734億円となりました。
2023年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する損失54億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益47億円がその他の業績に含まれております。
2022年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する利益67億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する損失12億円がその他の業績に含まれております。
2021年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する損失121億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益120億円がその他の業績に含まれております。
地域別経営成績
地域別の収益合計(金融費用控除後)、税引前当期純利益(損失)については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 20 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。
キャッシュ・フロー
「(5)流動性資金調達と資本の管理」をご参照ください。
(2)トレーディング業務の概要
トレーディング目的資産負債
トレーディング目的資産および負債の内訳については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2 公正価値測定 および 3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」をご参照ください。
トレーディングのリスク管理
野村はトレーディング業務における市場リスクの測定方法として、バリュー・アット・リスク(VaR)を採用しております。
(1)VaRの前提
・信頼水準:95%
・保有期間:1日
・商品の価格変動等を考慮
野村は、開示に使用する保有期間1日のVaRの信頼水準は95%を使用しております。2023年3月31日期の保有期間1日のVaRデータは以下のとおりです。
(2)VaRの実績
(3)重要な会計方針および見積もり
重要な会計方針は当社の連結財務諸表の作成に最も重要な影響を与える会計方針であり、適用にあたって経営者による会計上の見積もりに関する最も困難かつ主観的で複雑な判断を必要とするものを指します。見積もりはその性質上、経営者の判断を必要とする仮定やその時点で利用可能な情報の範囲に依拠しています。将来の実績はこれらの見積もりと乖離する可能性があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。
下表は、重要な会計方針やこれらの会計方針の適用に含まれる重要な会計上の見積もり、見積もりの要素、経営者による仮定と判断、当連結会計年度における見積もりおよび仮定の変更の影響について当期特に重要なものを要約したものです。適用された重要な会計方針および重要な会計上の見積もりの詳細については「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][連結財務諸表注記]1 会計処理の原則および会計方針の要旨」および下表に含まれる各連結財務諸表注記をご参照ください。
一定の金融商品および取引先に対するエクスポージャー
市場環境は、野村が一定のエクスポージャーを有するさまざまな金融商品に影響を与え続けています。また、野村は通常の業務においても、特別目的事業体などの取引先に対し、一定のエクスポージャーを有しております。
レバレッジド・ファイナンス
野村は、顧客にレバレッジド・バイアウト、レバレッジド・バイインにかかる貸付金を提供しています。通常このような資金提供はコミットメントを通じて行われることが多く、野村は実行済および未実行コミットメントの双方においてエクスポージャーを有しております。次の表は、2023年3月31日現在において未実行コミットメントがあるレバレッジ・ファイナンスのエクスポージャーを実行済および未実行分に分けて、対象企業の地域別に表しております。
特別目的事業体
野村が行う特別目的事業体との関与は、これらの事業体を組成すること、またマーケットの状況に応じて、これらの事業体が発行する負債証券および受益権を引受け、売出し、販売することが含まれております。また野村は通常の証券化およびエクイティデリバティブ業務の中で、これらの事業体に対する金融資産の譲渡、これらの事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。さらに野村は、マーケットメーク業務、投資業務、組成業務に関連し、特別目的事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。特別目的事業体とのそのほかの関与には、債務保証やデリバティブ契約などが含まれます。
変動持分事業体への関与に関するより詳しい説明は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 6 証券化および変動持分事業体」をご参照ください。
新しい会計基準の公表
「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 1 会計処理の原則および会計方針の要旨:会計方針の変更および新しい会計基準の公表」をご参照ください。
(4)繰延税金資産の状況
1)繰延税金資産・負債の主な発生原因
2023年3月31日現在、連結貸借対照表上、その他の資産-その他として記載されている繰延税金資産、およびその他の負債として記載されている繰延税金負債の内訳は、以下のとおりであります。
2)繰延税金資産の算入根拠
繰延税金資産は、米国会計基準に基づき、将来において実現すると予想される範囲内で認識しており、将来において実現が見込まれない場合には評価性引当金を計上しております。なお、将来の課税所得の見積期間は納税単位ごとに個別に判断し、適正な期間見積もっております。
3)過去5年間の課税所得および見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額
当社は、2022年4月1日より日本にて連結納税制度からグループ通算制度へ移行し、野村證券を含む主要子会社は当制度に含まれております。上記1)に記載されている繰延税金資産のうち、日本の通算グループにおける繰延税金資産(負債)の純額は△63,247百万円となっており、野村の連結財務諸表における繰延税金資産(負債)の純額の大部分を占めております。
以下の過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)ではグループ通算制度への移行前の連結納税グループの合算数値を記載し、見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額では通算グループの合算数値を記載しております。
過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)
(注) 法人確定申告書上の繰越欠損金控除前の課税所得であり、その後の変動は反映しておりません。
見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額
日本の通算グループについては、5年を課税所得見積もり期間とし、見込み税引前当期純利益合計および見込み調整前課税所得合計はそれぞれ、569,450百万円、689,045百万円となっております。
(5)流動性資金調達と資本の管理
資金調達と流動性管理
概況
野村では、資金流動性リスクを野村グループの信用力の低下または市場環境の悪化により必要な資金の確保が困難になる、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクと定義しております。このリスクは、市場において有担保あるいは無担保調達が不可能になる、野村の信用格付が低下する、予定外の資金需要の変化に対応できない、迅速かつ最小の損失での資産の流動化ができない、あるいは、グループ会社間の自由な資金移動が妨げられる規制資本上の制約に関する変化等、市場全体の事情や野村固有の事情により発生します。資金流動性リスク管理については、経営会議が定める流動性リスク・アペタイトに基づくことを基本方針としております。野村の資金流動性管理は、市場全体が流動性ストレス下にある場合において、またそれに加えて野村の信用リスクに過度なストレスを想定した場合においても、それぞれ1年間、および30日間にわたり、無担保による資金調達が困難な場合においても、保有資産を維持しつつ業務を継続することができる十分な資金流動性を常に確保することを主な目的としております。また、金融庁の定める流動性カバレッジ比率および安定調達比率(「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性のうち流動性にかかる健全性の状況を表示する基準」)の充足が求められております。
野村は、主な流動性維持の目的を達成可能とする、さまざまな資金流動性リスク管理フレームワークを定めております。このフレームワークには、(1)余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持、(2)流動性ポートフォリオ以外の担保未提供資産の活用、(3)資産構成等に見合った資金調達ならびに調達手段の多様化および調達期間の分散、(4)野村グループ各社に対する与信枠の管理、(5)流動性ストレステストの実行、(6)コンティンジェンシー・ファンディング・プランに関することが含まれております。
経営会議は、野村の資金流動性に関する重要事項についての決定権を有しており、財務統括責任者(以下「CFO」)は、経営会議の決定に基づき、野村の資金流動性管理に関する業務を執行する権限と責任を有しております。
1.余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持
野村は、野村グループ内で資金流動性を有効に活用することを可能とするため、野村グループ各社の余剰資金の集中管理を行っております。資金の使用に関しても、野村では、無担保で提供される資金を一元的に管理しており、内部で上限を設けております。この上限は、CFOによって決定され、経営会議において各部門へ配分が行われます。ファイナンス部門において、資金流動性の管理を行う組織であるグローバル・トレジャリーは、使用状況についてモニタリングを行い、経営会議へ報告しております。
また、グループ会社間の資金移動を円滑なものにするため、規制対象ブローカーあるいは銀行における資金調達は限定的にしか行っておりません。野村は、無担保による資金調達の当社あるいは主要規制外発行体への集中を積極的に行っております。このことにより、野村は調達コストを最小化し、投資家からの認知度を高め、さまざまなグループ会社間の資金供給のフレキシビリティを高めております。
潜在的な資金流動性必要額を考慮し、十分な資金流動性を確保するために、野村は、現金ならびに売却や担保提供することで流動性資金を供給することができる流動性の高い担保未提供資産等で構成される流動性ポートフォリオを維持しており、グローバル・トレジャリーにて他の資産と区別して管理をしております。流動性ポートフォリオの金額は、2023年3月31日現在、7兆6,543億円となっております。
以下の表は2022年3月31日、2023年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオの内訳をアセットタイプ別に表示したものです。年間平均は月末の残高を用いて算出されております。
(1)現預金には、現金、現金同等物および必要に応じて即時利用可能な中央銀行、市中銀行への預金を含みます。
(2)その他にはMMF、米国政府機関債などのアセットタイプが含まれています。
以下の表は2022年3月31日、2023年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオの内訳を通貨別に表示したものです。年間平均は月末の残高を用いて算出されております。
(1)その他には豪ドル、カナダドル、スイスフランなどの通貨が含まれています。
野村は流動性ポートフォリオの要件をグローバル基準、および各主要オペレーティングエンティティによって評価しています。野村は、主に当社および野村證券株式会社(以下「NSC」)、他の主要なブローカーディーラーおよび銀行子会社で流動性ポートフォリオを管理しています。流動性ポートフォリオの保有量とエンティティを決定する際に、野村グループ内で自由に流動性を移す能力に影響を及ぼすかもしれない法規制、税制を考慮しています。規制の制限の詳細については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 17 法的規制」を参照してください。
以下の表は2022年3月31日、2023年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオをエンティティ別に表示したものです。
(1)NSCは日本のブローカーディーラーであり、日本銀行に口座を維持し、日本銀行のロンバード貸付制度を直接利用することにより、同日資金調達が可能です。当社における余剰流動性資金は必要な時に即時解約可能な短期社内貸付により、NSCに貸し出しております。
(2)ノムラ・バンク・インターナショナル PLC(以下「NBI」)、ノムラ・シンガポールLIMITEDおよびノムラ・バンク・ルクセンブルグ S.A.
2.流動性ポートフォリオ以外の担保未提供資産の活用
流動性ポートフォリオに加えて、主にトレーディング資産で構成される有担保資金調達の際の追加担保として使用可能な担保未提供資産を2023年3月31日現在、2兆8,425億円所有しております。グローバル・トレジャリーは、その他担保未提供資産のモニタリングを行っており、流動性ストレス下においては、当該資産を現金化し、野村グループの流動性供給のために利用することができます。なお、流動性ポートフォリオとその他担保未提供資産の合計は、10兆4,968億円となりました。これは、野村の1年以内に満期の到来する無担保債務の合計に対して、307.7%に相当します。
3.資産構成等に見合った資金調達ならびに調達手段の多様化および調達期間の分散
野村は、保有資産を継続して維持していくうえで必要となる長期性資金を確保するために、長期無担保債務の額、および株主資本を十分な水準に維持するように努めております。また、無担保調達資金の借換えリスクを低減させるために、資金調達を行う市場やプロダクト、投資家、通貨および返済期限の分散にも努めております。
野村は、さまざまな種類の債券を発行することによって、資金調達手段の分散を図っております。これらには、仕組ローンや仕組債が含まれ、金利・為替・株式・コモディティやこれらのインデックスにリンクしたリターンが付いております。野村は、資金調達方法の多様性が増すように仕組ローンや仕組債を発行しております。これらについて、野村は、通常、デリバティブや原資産に対する支払い義務をヘッジすることにより、無担保調達債務と同様の効果を得ております。なお、日本円以外の長期債務比率は、2022年3月31日現在51.4%から2023年3月31日現在55.9%に増加しております。
3.1 短期無担保債務
野村の短期無担保債務は、短期銀行借入(長期銀行借入のうち、満期まで1年未満のものを含む)、その他の短期借入、コマーシャル・ペーパー、銀行業務受入預金、譲渡性預金、および償還まで1年以内の社債で構成されております。銀行業務受入預金および譲渡性預金は、銀行子会社の預金および譲渡性預金を表しております。短期無担保債務には、長期無担保債務のうち残存期間が1年以内となったものを含んでおります。
以下の表は、2022年3月31日、2023年3月31日現在の野村の短期無担保債務明細を表示したものです。
3.2 長期無担保債務
野村は、常に十分な長期性資金を確保し、適切なコストでの調達および適切な長期債務償還プロファイル維持を満たすために、満期や通貨の分散を行い定期的に長期性資金の調達を行っております。
野村の長期無担保債務には、米国発行登録および登録ミディアム・ターム・ノートプログラム、ユーロ・ミディアム・ターム・ノートプログラム、国内発行登録およびさまざまな発行プログラムより発行される普通社債や劣後社債が含まれております。
日本のグローバルな金融サービスグループとして、野村は、世界中のさまざまな市場と資金調達センターへのアクセスを持っております。主として当社、NSC、ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンスN.V.、NBI、ノムラ・インターナショナル・ファンディング Pte. Ltd.、および野村グローバル・ファイナンス株式会社が外部からの借入、債券発行その他資金調達を行っております。使用通貨や保有資産の流動性に合わせた資金調達や、必要に応じた為替スワップの使用により、調達構造の最適化を図っております。
野村は、市場や投資家のタイプごとに、効率的かつ十分に多様化された資金調達を行うために、さまざまなプロダクトや通貨による調達をしております。野村の無担保債務の大部分は、発行コストの上昇や債務償還満期を早める財務制限条項(格付、キャッシュ・フロー、決算あるいは財務レシオ)は、付されておりません。
以下の表は、2022年3月31日、2023年3月31日現在の野村の長期無担保債務明細を表示したものです。
(1)編纂書810「連結」に定義される変動持分事業体の要件を満たす“連結変動持分事業体(VIE)が発行する社債”と編纂書860「譲渡とサービシング」により、会計上担保付金融取引として取り扱われる譲渡取消にともなう担保付借入を含んでおりません。
3.3 償還プロファイル
プレーン・バニラ物(プレーン・バニラ債および長期借入金)の調達に関しては、平均残存年数が3年以上となるように努めており、2023年3月31日現在の平均残存年数(残存期間1年超のものの平均)は、3.9年となっております。また、仕組ローンや仕組債については、その大部分が、金利・為替・株式・コモディティやこれらのインデックスにリンクしており、これらの償還確率は、内部数理モデルによって継続的に評価され、グローバル・トレジャリーによりモニターされております。予定された満期日以前に償還される可能性のあるものについては、野村の内部ストレスオプション評価モデルにより、評価されております。このモデルは、ストレス市場環境下で、いつその債券が償還される可能性があるかを評価します。下図は、このモデルにおいて評価された野村の長期債券と長期借入の満期の分散状況を示したものです。
上記のモデルに基づき評価された仕組ローンや仕組債の平均残存期間(残存期間1年超のものの平均)は、2023年3月31日現在で、8.3年となっており、プレーン・バニラ物を合わせた長期債務全体の平均残存期間(残存期間1年超のものの平均)は、2023年3月31日現在で、6.2年となっております。

3.4 有担保資金調達
野村は、トレーディング業務のための資金調達活動は、担保付借入、レポ契約、日本の現先レポ取引によって、通常行っております。これらの有担保資金調達は、無担保資金調達に比べコストが低く、格付の影響を受けにくいものと考えております。有担保資金調達は、担保資産の質や市場環境の影響を受けます。流動性の高い資産を担保として用いる場合は短期の契約で資金調達を行う一方で、流動性の低い資産を担保として用いる場合は、契約期間の長期化に努めております。野村は、有担保資金調達にともなう資金流動性リスクを低減させるために、カウンターパーティのグローバルな分散、担保の種類の多様化にも努めております。また、流動性の低い資産を用いた短期有担保資金調達の借り換えが難しくなる場合のリスクに備えて、流動性ポートフォリオを保有しております。詳細は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表注記] 5 担保付取引」をご参照ください。
4.野村グループ各社に対する与信枠の管理
野村は、資金調達の安定性を確保するために、金融機関から野村グループに対する与信枠の維持、拡大に努めております。また、資金流動性リスク管理の一環として、野村は、借入の契約満期日が一時期に集中しないように分散させております。
5.流動性ストレステストの実行
野村は、先に述べた流動性管理方針に沿うよう、一定のストレスシナリオ下でのキャッシュ流出をシミュレートする内部モデルに基づいて流動性ポートフォリオをモニターしております。
資金流動性必要額は、さまざまなストレスシナリオ下において、異なるレベルで、さまざまな時間軸に沿って見積もられております。そこでは、親会社や子会社レベルでの格下げといった野村固有および市場全体のイベント下で発生する資金流動性必要額を見積もっております。野村では、このリスク分析を「マキシマム・キュームレーティブ・アウトフロー(以下「MCO」)」と呼んでおります。
MCOフレームワークは、主たる資金流動性リスクを考慮したうえで構築し、以下の2つのシナリオに基づいて、将来のキャッシュ・フローをモデル化しております。
・ストレスシナリオ:市場全体が流動性ストレス下にある場合において、無担保による資金調達、資産の売却をすることなく1年間適切な流動性を維持すること。
・アキュートシナリオ:市場全体が流動性ストレス下にあることに加え、野村の信用リスクに過度なストレスを想定した場合において、無担保による資金調達、資産の売却をすることなく30日間適切な流動性を維持すること。
野村は、これらの各モデルで用いられている時間軸の中で、資産の流動化を行ったり、ビジネス・モデルを修正することはできないと想定しております。したがって、MCOフレームワークは、ストレス状況下においても、野村が適切と考える流動性リスク・アペタイトを満たすために必要な資金流動性額を定義するものです。
2023年3月末時点において、野村の流動性ポートフォリオは、上述のシナリオ下で想定された資金流出予想額を上回っておりました。
野村は、規制環境や市場の変化に基づいた資金流動性リスクの前提条件を継続的に評価し、調整をしております。ストレスの影響をシミュレートするために用いるモデルでは、以下のような事象を考慮、想定しております。
・資産の売却ができない状況
・追加の無担保調達を行うことができない状況
・既存の借入金の返済期日や発行済み社債の償還期日(1年以内)
・発行済み社債の買い取りの可能性
・流動性の低い資産を担保とする資金調達ラインの喪失
・通常の事業環境下での運転資金需要の変化
・ストレス時における受入銀行預金および担保の流出
・既存のレポ調達時の担保掛目の拡大
・決済銀行からの担保・預託金追加要求
・コミットメント提供先のドローダウン
・損失にともなう資金の喪失
・野村の信用格付が2ノッチ格下げされた場合のデリバティブ取引にかかる契約上の追加担保要請、および清算・決済機関からの潜在的な追加担保要請
・グループ会社間の資金や証券の移動を制限する法規制を考慮した資金流出
6.コンティンジェンシー・ファンディング・プラン
野村は、詳細にわたるコンティンジェンシー・ファンディング・プラン(以下「CFP」)を定め、包括的リスク管理の枠組みに組み込むとともに、定量的なコントロールを強化しております。この中で、リクイディティ・イベントの範囲の分析と特定方法を記載しております。そのうえで、野村固有のあるいは市場全体の影響の可能性を見積もることや、リスクを低下させるために即座にとられるべき対応を特定しております。CFPは、キーとなる内部および外部の連絡先やどの情報を知らせるかを示すプロセスの詳細をリスト化しております。また、野村が規制上、法的、あるいは税務上の制限によって、グループ会社レベルにおける資金へのアクセスができなくなったことを想定し、グループ会社レベルで、個別の資金需要に応えうるように作られております。なお、野村は、定期的にさまざまな市場や野村固有のイベントに対して本CFPの有効性をテストしております。野村は、日本銀行等中央銀行が行うさまざまな証券に対して実施する資金供給オペレーションへのアクセスも持っております。これらのオペレーションは、通常のビジネスでも利用しておりますが、市場の悪化による不測のリスクを軽減させる重要な手段のひとつです。
流動性規制
2008年にバーゼル委員会は、流動性フレームワークの基盤となる「健全な流動性リスク管理およびその監督のための諸原則」を公表しました。続いて、バーゼル委員会は資金流動性にかかる2つの最低基準を策定し、流動性管理の枠組みをさらに強化しました。これらの基準は、それぞれ独立しているものの相互補完的な2つの目的を達成するために策定されております。
第1の基準の目的は、金融機関の流動性リスク態様の短期的強靭性を高めることにあり、その手段として、金融機関が流動性の高い資産を十分に保有し、30日間継続する強いストレスシナリオに耐える力を持っていることを確保することにあります。バーゼル委員会は、この目的を達成するために流動性カバレッジ比率(以下「LCR」)を策定しました。
第2の基準の目的は、長期的な強靭性を高めることにあり、その手段として、金融機関に対し、常により安定的な資金調達源を確保したうえで、業務を行うことを促すための追加的なインセンティブを設けました。安定調達比率(以下「NSFR」)は、対象期間を1年とし、資産・負債が持続可能な満期構造を保つよう策定されました。
これら2つの基準を構成するパラメータは、主として、国際的に統一された既定の数値です。しかしながら、各国固有の状況を反映させるため、一部のパラメータには各国裁量の要素が含まれております。LCRについては、本邦においてバーゼル委員会の国際合意文書に必要な修正を加えた金融庁告示が公布され、2015年3月末から最低基準として段階導入されております。当第4四半期連結会計期間におけるLCRの平均値は203.8%となっており、上記金融庁告示の定める要件についても満たしております。また、NSFRについては金融庁より流動性比率規制に関する告示の改正が2021年3月31日付で公布され、2021年9月末から導入されております。当第4四半期連結会計期間末におけるNSFRは告示の定める要件を満たしております。
キャッシュ・フロー
野村のキャッシュ・フローは、主に顧客ビジネスフローやトレーディングからなる営業活動およびそれと密接な繋がりのある財務活動によりもたらされます。金融機関はビジネスを展開していくことにより営業活動および投資活動において現金支出となる傾向にあり、野村のキャッシュ・フローは以下に記載しておりますとおり2022年3月期は営業活動および投資活動において現金支出となり、2023年3月期は営業活動おいて現金支出である一方、投資活動において現金収入となりました。下の表は、野村の2022年3月期および2023年3月期の連結キャッシュ・フロー計算書の抜粋です。
詳細につきましては、「第5 [経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] ⑤ 連結キャッシュ・フロー計算書」をご参照ください。
2023年3月期を通じて、野村の現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物は5,044億円増加し3兆8,209億円となりました。長期借入の増加により1兆1,072億円の現金収入があり、財務活動から得た現金(純額)は1兆2,917億円となりました。トレーディングにおいては、主にトレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資の増加による現金支出の結果、1兆1,092億円の現金支出となりました。一方、売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券や借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金のようなレポ取引、有価証券貸借取引から2,440億円の現金収入がありました。この結果、営業活動に使用された現金(純額)は9,748億円となりました。
2022年3月期を通じて、野村の現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物は1,936億円減少し3兆3,164億円となりました。長期借入の増加により1兆2,250億円の現金収入があり、財務活動から得た現金(純額)は1兆707億円となりました。トレーディングにおいては、主にトレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資の減少による現金収入の結果、9,696億円の現金収入となりました。一方、売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券や借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金のようなレポ取引、有価証券貸借取引から1兆6,254億円の現金支出がありました。この結果、営業活動に使用された現金(純額)は1兆3,687億円となりました。
貸借対照表および財務レバレッジ
2023年3月31日現在の資産合計は、2022年3月31日現在の43兆4,122億円に対し、トレーディング資産が増加したこと等により、4兆3,596億円増加し、47兆7,718億円となりました。また、2023年3月31日現在の負債は、2022年3月31日現在の40兆4,394億円に対し、買戻条件付売却有価証券が増加したこと等により、4兆1,083億円増加し、44兆5,477億円となりました。2023年3月31日現在の当社株主資本は、2022年3月31日現在の2兆9,146億円に対し、累積的その他の包括利益の増加にともない、2,340億円増加の3兆1,486億円となりました。
野村は、マーケットの極端な変動によってもたらされ得る大きな損失にも耐えられる規模の資本を維持することに努めております。野村の適正資本の維持にかかる基本方針は経営会議が決定し、その実践の責任を負います。適正資本の維持にかかる基本方針には、適正な総資産規模の水準やそれを維持するために必要な資本規模の決定などが含まれます。当社は、当社のビジネス・モデルに起因する経済的なリスクに耐え得る必要十分な資本を維持しているかにつき、定期的な確認を行っておりますが、こうした観点とは別に、銀行業や証券業を営む子会社は規制当局から要請される最低資本金額を満たす必要もあります。
レバレッジ・レシオは、野村と同様に他の金融機関でも、一般的に用いられており、当社のアニュアルレポートの利用者が野村のレバレッジ・レシオおよび調整後レバレッジ・レシオを他の金融機関と比較できるように、ベンチマークとする目的で、自主的に開示しております。調整後レバレッジ・レシオは、野村がレバレッジにかかる有用な補助的指標であると考える米国会計原則に基づかない指標です。
以下の表は、当社株主資本、総資産、調整後総資産と財務レバレッジの状況を示しています。
(1)調整後総資産は米国会計原則に基づかない指標であり、総資産の額から売戻条件付買入有価証券および借入有価証券担保金の額を控除したものとなり、以下のように計算されます。
(2)レバレッジ・レシオは、総資産の額を当社株主資本の額で除して得られる比率です。
(3)調整後レバレッジ・レシオは、調整後総資産の額を当社株主資本の額で除して得られる比率です。
総資産は、主にトレーディング資産が増加したことにより、10.0%増加しました。当社株主資本は、主に累積的その他の包括利益が増加したことにより、8.0%増加しました。この結果、野村の財務レバレッジは、2022年3月31日現在14.9倍、2023年3月31日現在15.2倍となりました。
調整後総資産が増加した理由は、トレーディング資産の増加によるものです。この結果、調整後レバレッジ・レシオは、2022年3月31日現在9.1倍、2023年3月31日現在9.4倍となりました。
連結自己資本規制
金融庁は2005年6月に「金融コングロマリット監督指針」を策定し、連結自己資本規制に関する規定を設けました。この「金融コングロマリット監督指針」に基づき、2005年4月から、当社は、連結自己資本規制比率のモニタリングを開始しました。
2011年4月から、当社は、親会社に対する連結自己資本規制の適用を受ける最終指定親会社の指定を受け、「最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準を定める件」(平成二十二年金融庁告示第百三十号、以下「川上連結告示」といいます。)により、バーゼルⅡに基づく連結自己資本規制比率の計測を開始しました。また、2011年12月末からは、マーケット・リスク相当額の計測方法を大幅に改定したバーゼル2.5に基づく連結自己資本規制比率の計測を開始しました。さらに、2013年3月末からは、より質の高い資本を具備させることを目的とした自己資本項目の再定義や、信用リスク・アセットの計測対象の大幅な追加を主な内容とするバーゼルⅢを受けて改正された川上連結告示の内容に基づいた連結自己資本規制比率の計測を行っております。
当社は、川上連結告示第2条の算式に従い、普通株式等Tier1資本の額、Tier1資本(普通株式等Tier1資本およびその他Tier1資本)の額、総自己資本(Tier1資本およびTier2資本)の額、信用リスク・アセットの額、マーケット・リスク相当額およびオペレーショナル・リスク相当額をもとに連結自己資本規制比率を計測しております。2023年3月31日現在の野村の連結普通株式等Tier1比率は16.32%、連結Tier1比率は18.49%、連結総自己資本規制比率は18.49%となり、川上連結告示等の定める要件をそれぞれ満たしました。なお、2023年3月31日現在、川上連結告示等の定める要件は適用される最低連結資本バッファーを含み、連結普通株式等Tier1比率について7.62%、連結Tier1比率について9.12%、連結総自己資本規制比率について11.12%となっております。
また、当社は2021年3月より「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき最終指定親会社が最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める総損失吸収力及び資本再構築力に係る健全性の状況を表示する基準」(以下「TLAC告示」といいます。)に基づく計測を開始しました。TLAC告示第2条の算式に従い、リスク・アセットベース外部TLAC比率を計測しております。2023年3月31日現在の野村のリスク・アセットベース外部TLAC比率は31.78%となり、TLAC告示の定める要件を満たしました。
2022年3月31日および2023年3月31日現在の連結自己資本規制比率およびリスク・アセットベース外部TLAC比率について、以下に示しております。
信用リスク・アセットおよびオペレーショナル・リスク相当額は、金融庁の承認を得て2011年3月末から基礎的内部格付手法および粗利益配分手法によりそれぞれ算出しております。また、マーケット・リスク相当額は内部モデル方式により算出しております。
また、当社は川上連結告示で定められた要件の遵守状況を示す他に、バーゼルⅢが適用される他の金融機関との比較を容易にするため、連結自己資本規制比率を開示しております。当社の経営者はこれらに関する報告を定期的に受けております。
連結レバレッジ規制
金融庁は2019年3月に「金融庁長官が定める場合において、最終指定親会社が経営の健全性の状況を記載した書面に記載すべき事項を定める件」(平成二十二年金融庁告示第百三十二号、以下「開示告示」といいます。)を改正するとともに「最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準」(平成三十一年金融庁告示第十三号、以下「連結レバレッジ比率告示」といいます。)を公表し、連結レバレッジ比率に関する計測ならびに開示にかかる要件、および連結レバレッジ比率3%の最低基準を定めました。2020年6月に金融庁は、新型コロナウイルス感染症の影響拡大が懸念される中、日本銀行による金融政策と銀行等への健全性規制との調和を図るため、例外的なマクロ経済環境を勘案して金融庁長官が別に定める比率を適用する場合には連結レバレッジ比率を算定するにあたって日銀預け金を除外すること等を趣旨とした連結レバレッジ比率告示の一部改正を行いました。当社は開示告示等に基づき、2015年3月末から連結レバレッジ比率の計測および開示を開始しました。さらに2019年3月末からは、開示告示、連結レバレッジ比率告示および最低比率基準を下回った場合の早期是正措置を定めたその他の告示等の内容に基づいた連結レバレッジ比率の計測を行っております。なお、2023年3月31日現在の野村の連結レバレッジ比率は、5.63%となりました。
また、当社は2021年3月よりTLAC告示に基づく計測を開始しました。TLAC告示第2条の算式に従い、総エクスポージャーベース外部TLAC比率を計測しております。2023年3月31日現在の野村の総エクスポージャーベース外部TLAC比率は、10.63%となり、TLAC告示の定める要件を満たしました。
当社をめぐる規制動向
金融危機によって明らかになった脆弱性を踏まえ、規制資本の枠組みを強化するより広範な取組みについてバーゼル銀行監督委員会(以下「バーゼル委員会」)は一連の文書を公表しました。当社にとって関連が深いと思われる事項について、以下に概要を記載しております。
金融庁は、最終指定親会社のバーゼルⅢ規制最終化にともなう改正告示の実施日をさらに一年延期し、2025年3月31日とすることを2023年3月に公表しております。また、2024年3月末までの間、日本銀行に対する預け金の額をレバレッジ比率の分母である総エクスポージャーの額から除外する措置を2022年3月に公表しております。
2010年12月16日にバーゼル委員会は銀行セクターの強靭性を高めるために、いわゆるバーゼルⅢテキスト「より強靭な銀行および銀行システムのための世界的な規制の枠組み」および「流動性リスク計測、基準、モニタリングのための国際的枠組み」を公表しました。これには、資本の質、一貫性および透明性の向上、店頭デリバティブ取引における信用評価調整(Credit Value Adjustment)の導入のような自己資本の枠組みにおけるリスク捕捉の強化、リスク・ベースの枠組みに対する補完的指標としてのレバレッジ比率の導入、現行の枠組みにおける「プロシクリカリティ(景気循環増幅効果)」に対する懸念を抑制する一連の措置、また、30日間の流動性カバレッジ比率および資金調達構造の安定性を計測する安定調達比率といった流動性基準の導入が含まれています。これらのバーゼルⅢパッケージは、2013年より段階的に適用が開始されております。加えて、2012年7月25日に、清算機関(以下「CCP」)向けエクスポージャーに対する資本賦課についての暫定規則が公表され、バーゼルⅢの一部として2013年から実施されております。さらに、上記のとおり2015年3月末より開始した連結レバレッジ比率の算出および開示、ならびに2019年3月末より開始した連結レバレッジ比率の計測に加え、現在までに、バーゼル委員会から、ファンド向けエクイティ出資にかかる資本賦課、カウンターパーティ信用リスクエクスポージャーの計測にかかる標準的手法、CCP向けエクスポージャーに対する資本賦課、大口エクスポージャーの計測と管理のための監督上の枠組み、証券化商品の資本賦課枠組みの見直し、マーケット・リスクの最低所要自己資本等に関して一連の最終規則が公表されております。
また、2011年11月のG-20サミットにおいて、金融安定理事会とバーゼル委員会は、グローバルにシステム上重要な金融機関(以下「G-SIBs」)の監督手法および破綻処理計画の策定を含むG-SIBsに対する追加的要件を公表しました。同時に、G-SIBsのリストは毎年11月に金融安定理事会とバーゼル委員会により、更新されております。なお、2011年11月の公表以来、当社はG-SIBsには指定されておりません。一方で、G-SIBsの枠組みを国内のシステム上重要な金融機関(以下「D-SIBs」)まで拡張するようにとの要請を受け、バーゼル委員会は2012年10月、D-SIBsに関する評価手法およびより高い損失吸収力の要件に関する一連の原則を策定・公表しました。2015年12月、金融庁は当社をD-SIBsに指定し、2016年3月以降の追加的な資本賦課水準を0.5%(3年間の経過措置あり)といたしました。
2015年11月、金融安定理事会は、G-SIBsに対して総損失吸収力(以下「TLAC」)にかかる最終基準を公表しました。TLAC基準は、破綻したG-SIBsが、当局の秩序ある処理を実施するため、利用可能な十分な損失吸収力および資本増強能力を確保するように設計されています。金融庁は、金融安定理事会のTLAC基準の公表を受けて、2016年4月に本邦G-SIBsに適用される本邦TLACの枠組みを整備する方針を公表しましたが、その後、2018年4月に、本邦G-SIBsのみならず、(i)国際的な破綻処理対応の必要性が高く、(ii)破綻の際に我が国の金融システムに与える影響が特に大きいと認められる金融機関である本邦D-SIBsについても適用対象とする方針とされました。改訂された方針においては、本邦G-SIBsおよび野村(以下「本邦TLAC対象SIBs」)は、本邦TLAC規制の適用対象となりました。さらに、2019年3月には「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき最終指定親会社が最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める総損失吸収力及び資本再構築力に係る健全性の状況を表示する基準」(平成三十一年金融庁告示第十号)および「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」がそれぞれ公表および改訂されており、野村は現時点で本邦G-SIBsに選定されておりませんが、野村を含む本邦TLAC対象SIBsは、バーゼルⅢの枠組みに定められている最低要求水準に従ってTLACにかかる規制要件を満たすことが求められます。具体的には、野村は、2021年3月31日からリスク・アセットの16%、2024年3月31日以降は18%のTLACリスク・アセット最低基準を満たす必要があります。同様に、2021年3月31日からレバレッジエクスポージャーの6%、2024年3月31日以降は6.75%のTLACレバレッジエクスポージャー最低基準を満たす必要があります。
さらに、2018年4月に公表された金融庁の改訂後の方針によれば、将来の国際的な議論に基づき変更される可能性がありますが、本邦TLAC対象SIBsに適用される破綻処理戦略は、実際の処理は破綻時の本邦TLAC対象SIBsの実態を考慮のうえで個別事案毎に決定されるものの、金融庁のような、単一の当局が金融グループの最上位に位置する持株会社等に対して破綻処理権限を行使するシングル・ポイント・オブ・エントリー(以下「SPE」)とされました。SPE破綻処理戦略を実効的に実現するためには、金融庁は持株会社である本邦TLAC対象SIBsの国内における破綻処理対象会社(以下「国内処理対象会社」)について、(i)外部TLACの最低所要水準以上を確保すること、(ii)金融安定理事会によるTLAC合意文書による選定を踏まえて金融庁が指定した金融機関の主要子会社が調達する、損失吸収力を有すると認められる資本・負債を一定の水準以上引き受ける、即ち内部TLACの分配対象となることが求められます。
また、金融庁の改訂後の方針によれば、預金保険制度に鑑み、本邦TLAC対象SIBsの国内処理対象会社について規制導入時からリスク・アセットの2.5%相当分(野村は2021年3月31日)、規制導入後3年間以降はリスク・アセットの3.5%相当分(野村は2024年3月31日)を外部TLACとして算入することが認められる方針であります。
今後も、川上連結告示を始めとする各業態の自己資本規制、流動性規制、レバレッジ規制等の諸規制はバーゼル委員会、証券監督者国際機構または金融安定理事会等の一連の規制強化の動きに沿って改定される可能性があります。
格付会社による信用格付
無担保資金の調達コストおよび調達可能金額は一般的に格付会社による長期あるいは短期の信用格付の影響を受けます。当社および野村證券には、S&P Global Ratings、Moody's Investors Service、Fitch Ratings、格付投資情報センターおよび日本格付研究所より長期および短期の信用格付が付与されています。
2023年3月期には、重要な格付アクションはございませんでした。
2023年5月22日現在の当社および野村證券の格付会社による格付は以下のとおりです。
(6)オフ・バランス・シート取引
非連結事業体との取引
野村は通常の業務において、将来の財政状態や業績に影響を与える可能性があるさまざまなオフ・バランス・シート取引を非連結事業体と行っております。
野村が行う非連結事業体とのオフ・バランス・シート取引には、以下のものが含まれます。
・債務保証契約上の義務
・譲渡した資産に対する留保持分または偶発的な持分、もしくは、譲渡した資産に関し信用リスク、流動性リスク、市場リスクを補完するような類似の取引
・デリバティブとして会計処理される契約による一切の義務(偶発債務を含む)
・非連結事業体が資金調達リスク、流動性リスク、市場リスク、信用リスクの補完を野村に対し提供している場合、またはリース、ヘッジ、研究開発契約を野村と結んでいる場合、野村が保有しかつ野村にとって重要な非連結事業体の変動持分から発生する一切の義務(偶発債務を含む)
非連結事業体は、会社、パートナーシップ、ファンド、信託、その他法的事業体の形態をとり、限定された特定の目的を履行するために、発起人によって設立されます。野村は、これらの事業体を設立または発起したり、第三者によって設立または発起された事業体と取引を行います。
野村の非連結事業体との関与は、マーケットの状況に応じて、これらの事業体が発行する負債証券および受益権を組成し、引受け、売出し、販売することが含まれております。また野村は通常の証券化およびエクイティデリバティブ業務の中で、これらの事業体に対する金融資産の譲渡、これらの事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。さらに野村は、マーケットメーク業務、投資業務、組成業務に関連し、特別目的事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。非連結事業体とのそのほかの関与には、債務保証やデリバティブ契約などが含まれます。これらの事業体との重要な関与は、たとえ期末日における損失の可能性が低くても、取引すべてに基づいて評価されています。
変動持分事業体との取引については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 6 証券化および変動持分事業体」をご参照ください。
(7)契約上の義務の開示
野村の業務の一部として、将来支払いが必要となるかもしれないさまざまな契約上の義務および偶発的コミットメントを有しております。これらの取引は以下のものを含んでおります。
スタンドバイ信用状およびその他の債務保証
野村は、通常の銀行もしくは金融業務の一環として、スタンドバイ信用状およびその他の債務保証の方法で取引相手とさまざまな債務保証を行っており、こうした債務保証には一般に固定満期日が設定されております。
長期借入および約定金利の支払
野村の業務に関連して、野村の資金調達政策に従い、日本円建ておよび日本円建て以外の長期借入、それにかかわる変動および固定金利の支払いを行っております。
オペレーティング・リース・コミットメント
野村は、国内外でオフィス、特定の従業員用住宅、器具備品および情報・通信関連資産を通常業務の範囲内で主にオペレーティング・リースにより貸借しております。また、野村は、不動産および器具備品をオペレーティング・リースにより転貸借しております。
ファイナンス・リース・コミットメント
野村は、国内外で特定の器具備品および施設をファイナンス・リース契約により賃借しております。
購入義務
物品およびサービスを購入する義務には、建物設備等の工事、広告宣伝、コンピュータ・IT関連の維持管理などに関する契約が該当します。
貸出コミットメント
野村は、銀行もしくは金融業務の一環として、貸出コミットメントを行っており、こうした契約義務には一般に固定満期日が設定されております。
投資銀行業務に関連して、野村は顧客により発行されうる有価証券を引き受けることを保証する契約を結んでおります。
中央清算機関の会員として、野村は他の会員が債務不履行に陥った際に、国債および政府系機関債を裏付けとしたリバース・レポの取引相手になり、流動性資金の提供を行う確約をしております。
投資コミットメント
野村は、パートナーシップ等に投資するコミットメントおよび当該投資に関連してパートナーシップに資金提供するコミットメントを行っております。
「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 8 リース」に野村のオペレーティング・リース、ファイナンス・リースにかかわる追加的情報を、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 10 借入」に野村の短期借入および長期借入にかかわる追加的情報を、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 19 コミットメント、偶発事象および債務保証」にこれらにかかわる追加的情報を記載しております。
こうした貸出コミットメントにかかる契約金額は、契約がすべて実行され、取引相手先が債務不履行の状態となり、既存担保が無価値になったと仮定した場合に想定される、野村の信用関連損失の最大値を表しております。締結された契約が実行されることなく契約義務が満期を迎える場合もあるため、こうした信用関連コミットメントの契約金額は将来の現金所要額を必ずしも表しているわけではありません。こうした契約義務にかかる信用リスクは、顧客の信用力および受入担保の価値によって異なったものになります。野村は、各顧客の信用力を個別に評価しております。信用供与に際して必要と考えられる場合に野村が取引相手から受け入れる担保の金額は、取引相手の信用力評価に基づいております。
下記の表は2023年3月31日現在での満期年限別の契約上の義務および偶発的コミットメントを表示しております。
(1)長期借入で開示されている金額は、編纂書860にしたがって金融資産の譲渡を売却取引ではなく金融取引として会計処理されている金融負債を含んでおりません。これらは野村の資金調達を目的とした借入ではなく、したがって野村が現金を返済する実際の契約上の義務を表しておりません。
(2)約定金利の支払金額は、長期借入金に関連し、その償還期日および2023年3月31日現在適用される金利に基づいて見積もられる将来の支払金利の総額であります。
(3)割引前の年限別将来支払リース料を示しております。また、ファイナンス・リースの契約額は重要な金額ではありませんでした。
(4)購入義務の金額は、重要な条件がすべて特定されている法的な強制力のある契約に基づく、契約上の義務となる最低金額が記載されています。購入義務の金額には、既に貸借対照表に負債または支払債務として計上されているものは除かれています。また、日本橋地区の再開発不動産の一部を組合から購入する義務が含まれております。
(5)中央清算機関への流動性資金の提供を行う確約を含んでおります。
上記に記載されている契約上の義務および偶発的コミットメントには、通常の場合短期の義務の性格を有する短期借入、受入銀行預金、その他の支払債務、担保付契約および担保付調達(例えば、売戻条件付買入取引および買戻条件付売却取引)およびトレーディング負債などを含んでおりません。
上記の金額に加えて、野村は担保付契約および担保付調達に関連する金額を含む売戻契約および買戻契約を結ぶ義務を負っております。これらのコミットメントは2023年3月31日現在、売戻契約に対して1,143十億円および買戻契約に対して2,146十億円となっております。
以下の業績の概況は、「第1[企業の概況] 1[主要な経営指標等の推移]」および「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表]」の部とあわせてご覧ください。また、以下の内容には、一部、将来に対する予測が含まれており、その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれています。野村の実際の経営成績はここに記載されている将来に対する予測と大きく異なる可能性があります。
エグゼクティブ・サマリー
《全体の業績について》
当期の収益合計(金融費用控除後)は、前期比2.1%減の1兆3,356億円、金融費用以外の費用は同4.3%増の1兆1,861億円となりました。税引前当期純利益は1,495億円、当社株主に帰属する当期純利益は928億円となりました。自己資本利益率は3.1%となり、また、当期のEPS(注)は前期の45.23円から29.74円となっております。なお、2023年3月末を基準日とする配当金は、1株当たり12円とし、年間での配当は1株につき17円といたしました。
(注)希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益
《当期の業績に特に影響を与えた事象の経営者評価》
当期は、地政学リスクの高まりや、世界的なインフレ、米国をはじめとした主要中央銀行による積極的な金融引き締めの動きなどを受け、世界経済の先行き不安が高まったことなどから、マーケットが大きく変動する局面が多く見られました。このような環境のなか、お客様一人ひとりのニーズにお応えするための体制整備および既存ビジネスの強化、新たな分野への挑戦に取り組んできました。
営業部門では、特に上半期は不透明な市場環境を受けお客様の投資マインドが低下し、フロー収入等(ブローカレッジ収入やコンサルティング関連収入など取引に付随して発生する収入、ローン関連以外の金融収益等)が低調となりました。一方、市場環境を踏まえた丁寧なコンサルティングと残高拡大の取組みが浸透し、ストック資産純増を継続することでストック収入(投資信託、投資一任、保険、ローン、レベルフィーなどの残高から発生する収入や継続的に発生する収入)は前期比2%の増加となりました。ストック収入費用カバー率(金融費用以外の費用に対するストック収入の比率)は2022年3月期の49%から2023年3月期は51%に伸長しています。
インベストメント・マネジメント部門では、成功報酬等の減収を、航空機リースを手掛ける野村バブコックアンドブラウン株式会社の業績改善で相殺し、事業収益は前年並みの水準を維持しました。コア投信やオルタナティブ運用資産への資金流入も継続しています。一方で、投資損益の減少により部門利益は前期比減益となりました。
ホールセール部門では、マクロ・プロダクト中心にフィクスト・インカムが増収、エクイティも米国顧客取引に起因する損失がなくなり、収益が回復しました。インベストメント・バンキングでは、株式発行やM&Aを中心にグローバル・フィープールが大幅に減少するという難しい環境のなか、エクイティ・プライベート・プレイスメント案件の貢献により、アドバイザリー収益は底堅く推移しています。一方で円安進行による影響およびインフレによる固定費の上昇により部門費用が増加し、利益を押し下げる要因となりました。
《資本政策と株主還元の考え方》
当社は、適正な資本比率を確保しつつ、最適な資本配分を通じて持続可能な成長を実現したいと考えております。経営ビジョン達成に向けた布石として、コスト水準は抑制しながらも、パブリックに加え、プライベート領域のビジネスを拡大する為の成長投資も行うことで、投資と株主還元のバランスを図るとともに、当社の生産性向上と収益源の拡大を通じた株主価値の最大化を目指しています。
配当については、半期毎の連結業績を基準として、連結配当性向30%を重要な指標の1つとして設定しており、また、自己株式取得による株主還元分を含めた総還元性向を50%以上とすることを、株主還元上の目処といたします。各期の株主還元の総額は、バーゼル規制強化をはじめとする国内外の規制環境の動向、連結業績をあわせて総合的に勘案し、決定することとしています。なお、2024年3月期以降の配当については、半期毎の連結業績を基準として、連結配当性向40%以上とすることを重要な指標の1つとする方針に変更いたしました。
詳細は「第4[提出会社の状況] 3[配当政策]」をご参照ください。
各部門の状況については以下のとおりです。
2023年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比8.5%減の3,002億円、金融費用以外の費用は同0.8%減の2,667億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同43.5%減の335億円となりました。営業部門では、「お客様の資産の悩みに応えて、お客様を豊かにする」という基本観のもと、お客様一人ひとりに寄り添い、「最も信頼できるパートナー」を目指して資産コンサルティング業への進化に取り組んでまいりました。当期は不透明な市場環境が継続し、株式・投資信託の買付が低水準に留まるなど、フロー収入等は低調でしたが、お客様の資産全体に対するコンサルティングが奏功し、ストック資産拡大に向けた取り組みが進捗しています。また、職域サービスによる接点拡大を通じて、持続的な顧客基盤の構築、部門の中長期的なサービス拡大を目指していますが、現役世代を含め、順調に職域サービスを提供するお客様を拡大することができております。今後は領域別アプローチを強化しながら、資産運用に加え、不動産・相続・資産承継といった多様な悩みの解決に向けた商品・サービスの充実を図ってまいります。
2023年3月期のインベストメント・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比13.1%減の1,286億円、金融費用以外の費用は同11.2%増の851億円となりました。その結果、税引前当期純利益は同39.2%減の435億円となりました。インベストメント・マネジメント部門では、多様化するお客様の運用ニーズに応える商品ラインナップの拡充やサービスの向上を目的に、広義のアセット・マネジメント・ビジネスに取り組んでまいりました。運用資産残高が全体として微減となったものの、航空機リースを手掛ける野村バブコックアンドブラウン株式会社の業績の改善等が貢献し、事業収益は前年並みを維持しました。一方、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益と野村キャピタル・パートナーズ株式会社の投資先企業の評価益・売却益の減少により、投資損益は前期比で減少しました。当期は、プライベート領域への拡大の一環として、不動産やインフラへの投資運用を行う野村リアルアセット・インベストメント株式会社を野村不動産ホールディングス株式会社との合弁で新設しました。また、世界有数の森林アセットマネジメント事業者であるニューフォレスト Pty Limited.の株式を取得しました。さらに、ノムラ・プライベート・キャピタル LLCを設立し、米国でのプライベート資産運用ビジネスに着手しました。
2023年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は、前期比9.9%増の7,724億円、金融費用以外の費用は、同18.2%増の7,430億円となりました。その結果、税引前当期純利益は60.6%減の294億円となりました。グローバル・マーケッツは、リスク管理を強化しながら引き続きそれぞれの地域で強みのあるコアビジネスに注力するとともに、マクロ環境のパラダイムシフトによるマーケットの不透明感とボラティリティの高まりの中で投資家のポートフォリオのリバランス取引やヘッジ取引などに対して丁寧に流動性を提供しました。フロービジネスに加えて、ストラクチャード・ファイナンスやソリューションビジネスなど顧客ニーズへの適切な対応を通じて、収益を積み上げました。インベストメント・バンキングは、地政学リスクや金融政策をめぐる市場環境の不透明感から顧客の慎重姿勢が強まり、顧客アクティビティは前期比で低調となりました。これらの結果、エクイティファイナンスや買収ファイナンスに加えM&Aにおいても案件が減少し通期では減益となりましたが、顧客との丁寧な対話を行いながらニーズの把握に努め、エクイティ・プライベート・プレイスメントやプライベート型のファイナンスの他、顧客のヘッジやリスク管理ニーズに対応したソリューションビジネス等に注力しました。
主要なパフォーマンス指標の進捗
《経営指標》
自己資本利益率(ROE)
当社は、「社会課題の解決を通じた持続的成長の実現」を経営ビジョンとして掲げ、2025年3月期に向け自己資本利益率(ROE)を最も重視する指標の1つとして設定しています。国内でコーポレートガバナンス・コードが導入された後、日本企業においては資本コストを意識した経営の重要性が高まっております。加えて、金融業界においては、世界的な金融規制の枠組みのもとで、さらなる資本の有効活用が求められています。そのため、当社では、経営資源の最適配分という観点がより一層重要になるということに鑑み、2020年5月に開催された取締役会での決定を踏まえ「経営の基本方針」を改定するとともに、2021年3月期より、重要な経営指標として自己資本利益率(ROE)を用い、ビジネスの持続的な変革を図ることとしました。
ROEは当社株主に帰属する当期純利益を前期末当社株主資本合計および当期末当社株主資本合計の平均で除した値と定義しています。ROEの開示は、企業価値の向上や、投資家の皆様が当社の経営状況や資本の有効活用の状況を把握するためにも有益だと考えています。
ROEの目標水準としては、当社に求められる資本コストを意識し、2025年3月期において8~10%の水準を掲げております。一方で、ROEは必ずしも財務の健全性を反映するものではないと考えられることから、ROE向上を企図した過度な資本効率の追求を行うことのないよう、財務健全性に十分に配慮した上での企業価値の創造を重視し、ROEの向上に努めております。なお、2023年3月期のROEは、2022年3月期の5.1%から減少し、3.1%となりました。
普通株式等Tier1比率
野村グループが遵守しなくてはならないグローバル金融規制は複数ありますが、なかでもバーゼル委員会および金融庁が定める自己資本規制は、当社のビジネスの在り方に、直接影響を及ぼすものです。そのため当社は、連結普通株式等Tier1比率を11%以上に維持することを掲げ、厳しいマーケットストレス等がかかった際のバッファーを含む財務健全性についても考慮しております。なお、2023年3月期の連結普通株式等Tier1比率は、2022年3月期の17.22%から減少し、16.32%となりました。当社の普通株式等Tier1比率の詳細と算定方法については、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (5)流動性資金調達と資本の管理」の「連結自己資本規制」の項目をご参照ください。
《事業セグメント別の指標》
営業部門
営業部門の事業活動の成果を定量的に示す指標として、ストック資産、ストック資産純増、フロービジネス顧客数、職域サービス提供数の4項目を設定し、ビジネスの持続的な推進と発展を目指しています。これらの指標の開示は、営業部門のお客様との接点における進捗とともに持続可能な成長性を投資家の皆様が把握するに際して有益だと考えています。
(単位:兆円)
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 増減率 | 2023年3月期 | 増減率 | ||||||||||
| ストック資産 ……………………… | 18.2 | 19.6 | 7.7 | % | 18.7 | △4.6 | % | |||||||
(単位:十億円)
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 増減率 | 2023年3月期 | 増減率 | ||||||||||
| ストック資産純増 ………………… | △191.3 | 477.2 | - | % | 333.7 | △30.1 | % | |||||||
(単位:千件)
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 増減率 | 2023年3月期 | 増減率 | ||||||||||
| フロービジネス顧客数 …………… | 1,534 | 1,505 | △1.9 | % | 1,446 | △3.9 | % | |||||||
| 職域サービス提供数 ……………… | 3,242 | 3,357 | 3.5 | % | 3,489 | 3.9 | % | |||||||
ストック資産は、投資信託や投資一任など、お預り資産に対し運用管理費用等の手数料を頂戴する資産の総額に関連ローンを加算して算出しています。当該ローン金額は2023年3月期の連結財務諸表の貸付金として報告されているうちの約7,219億円です。2023年3月末時点のストック資産残高は18.7兆円であり、市場要因により2022年3月末より減少しています。
ストック資産純増は、ストック資産の買付・流入金額から売却・流出金額を差引した金額であり、時価変動を除いたストック資産の拡大を測るための指標です。2023年3月期においてストック資産純増の年度累計は3,337億円であり、投資信託、投資一任などを中心にストック資産の純増を実現しています。
フロービジネス顧客数は、フロービジネス(フロー収入が発生するビジネス)を提供している顧客数の合計であり、フロー収入の拡大を実現するために重要な顧客基盤の拡大を測るための指標です。2023年3月末時点のフロービジネス顧客数は144.6万件と2022年3月期を下回っており、顧客基盤の拡大が課題となっています。
職域サービス提供数は、持株会会員数、持株会由来口座数(現会員除く)、企業型DC加入者など、職域に関連するサービスの提供数を合算した数字であり、職域ビジネスを通じた顧客基盤の拡大を測るための指標です。2023年3月末時点の職域サービス提供数は348.9万件です。持株会会員数の増加を中心に、目標を上回る水準で拡大を実現しており、持続的な成長に繋がる顧客基盤の拡大を実現しています。
インベストメント・マネジメント部門
インベストメント・マネジメント部門の事業活動の成果を定量的に示す指標として、運用資産残高を設定しております。運用資産残高は、インベストメント・マネジメント部門における運用ビジネスの収益源であり、運用ビジネスの進捗状況を把握する上で有効であると考えております。また、運用プロダクトがどの程度投資家の皆様に受け入れられたか把握する上で、重要な指標になります。2022年3月期から資金純流入についてもインベストメント・マネジメント部門の成果を定量的に示す指標としております。資金純流入は、運用資産残高の増減から市場要因等を除いた運用ビジネスの進捗動向を把握する上で有効であると考えております。運用資産の拡大、それによる部門収益拡大目標の達成における施策の効果を確認する上で、重要な指標になります。
(単位:兆円)
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 増減率 | 2023年3月期 | 増減率 | ||||||||||
| 運用資産残高 ……………………… | 64.7 | 67.9 | 4.9 | % | 67.3 | △0.9 | % | |||||||
(単位:十億円)
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 増減率 | |||||
| 資金純流入 ………………………… | 2,066 | △760 | - | % | |||
運用資産残高は、野村アセットマネジメント、ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント、ウエルス・スクエアの運用資産の単純合計(グロス)から重複資産を控除したものに加えて、野村スパークス・インベストメント、野村メザニン・パートナーズ、野村キャピタル・パートナーズおよび野村リサーチ・アンド・アドバイザリーに対する第三者による投資額を含むものとなります。資金純流入は、資金流入額から資金流出額を差し引いた額となります。なお当該資金流出額は、分配金による流出額を含まない額となります。
当期は、投資信託ビジネスでは、ETFから資金が流出したものの、日本株ファンドや安定的な資産形成に資するバランスファンド、確定拠出年金向けファンド等への資金流入により、ETF以外の公募投資信託の残高が増加しました。投資顧問・海外ビジネス他では、国内年金からまとまった資金流出があったほか、世界的な金融引き締めを受け、国内外の投資家によるリスク回避的な動きからの資金流出がありました。これらの資金増減や市場要因等により、全体の運用資産残高は微減となりました。
ホールセール部門
ホールセール部門では経費率と収益/調整リスクアセットを主要なパフォーマンス指標として採用しています。これらKPIの開示は投資家に対してコストおよびリソース運用の効率性を示すうえで有効であり、マネジメントはビジネスにおけるコスト削減と収益力の評価に活用しています。
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 増減 | 2023年3月期 | 増減 | ||||||||||
| 経費率 ……………………………… | 91 | % | 89 | % | △2 | % | 96 | % | 7 | % | ||||
| 収益/調整リスクアセット ……… | 6.4 | % | 7.0 | % | 0.6 | % | 6.5 | % | △0.5 | % | ||||
経費率は、対象期間の金融費用以外の費用を同期間の収益合計(金融費用控除後、年換算)で除して算出しており、部門運営の効率性を確認するために使用しています。2023年3月期は、フィクスト・インカムの増収やエクイティの米国顧客取引に起因する損失が剥落したことで収益が増加した一方、マーケット環境の悪化によるインベストメント・バンキングの収益減収や円安の進行、インフレによる費用の増加により前期に比べて比率は増加しました。2022年3月期は、米国顧客取引に関する影響の減少により前期に比べて比率は減少しましたが、当社の採用に関する戦略および市場要因により費用が増加しています。
収益/調整リスクアセットは、対象期間の収益合計(金融費用控除後、年換算)を部門が使用する同期間の調整リスクアセット(各会計期間の日次平均)で除して算出しており、使用リソースに対する収益率をそれぞれ確認するために使用しています。調整リスクアセットは、(1)バーゼルⅢ規制のリスクアセットと、(2)バーゼルⅢ規制の資本調整項目を当社が内部で設定する最低資本比率で除したリスクアセット相当額の合計です。各部門の活動に起因する控除額は内部の最低資本比率(12.5%)で除したうえで各部門のリソース使用額にチャージしたものを、調整リスクアセットとしています。当社の収益/調整リスクアセットは、計算手法等の違いにより他社の提示している同様の指標とは定義が異なる可能性があります。当社の信用リスク・アセットおよびオペレーショナル・リスク相当額は金融庁の承認を経て基礎的内部格付手法および標準的手法によりそれぞれ算出しています。市場リスク相当額については、内部モデル方式により算出しています。ホールセール部門のリスクアセット(RWA)の調整RWAへの換算は、社内の最低自己資本比率目標を反映して調整しています。また、収益/調整リスクアセットは、RWAに適用される調整が当社の事業部門に帰属するRWAの適切な金額を(規制上の資本として計算されるRWAとは対照的に)把握することを目的としたものであり、当社内部でのリスク許容度を反映した推定値であるという点で、その有用性が制限される可能性があり、当該調整は実際のリソースの用途については正確に反映していない可能性もあります。2023年3月期の収益/調整リスクアセットの減少は、全体の収益は増加したものの、円安による調整リスクアセットが増加したことが主な要因です。2022年3月期の収益/調整リスクアセットの増加は、主に前述の米国顧客取引に関する損失の影響が減少したことおよび、投資銀行業務手数料が増加したことによるものです。
経営成績
損益概況
野村の主要な連結損益計算書情報は以下のとおりであります。
| 2021年3月期 (百万円) | 2022年3月期 (百万円) | 2023年3月期 (百万円) | |||
| 金融収益以外の収益: | 増減率 | 増減率 | |||
| 委託・投信募集手数料 | 376,897 | 332,344 | △11.8% | 279,857 | △15.8% |
| 投資銀行業務手数料 | 108,681 | 149,603 | 37.7% | 113,208 | △24.3% |
| アセットマネジメント業務手数料 | 230,047 | 269,985 | 17.4% | 271,684 | 0.6% |
| トレーディング損益 | 310,040 | 368,799 | 19.0% | 563,269 | 52.7% |
| プライベートエクイティ・デット 投資関連損益 | 12,734 | 30,768 | 141.6% | 14,504 | △52.9% |
| 投資持分証券関連損益 | 14,053 | 5,446 | △61.2% | △1,426 | - |
| その他 | 208,317 | 152,832 | △26.6% | 130,940 | △14.3% |
| 金融収益以外の収益合計 | 1,260,769 | 1,309,777 | 3.9% | 1,372,036 | 4.8% |
| 純金融収益 | 141,103 | 54,113 | △61.7% | △36,459 | - |
| 収益合計 (金融費用控除後) | 1,401,872 | 1,363,890 | △2.7% | 1,335,577 | △2.1% |
| 金融費用以外の費用 | 1,171,201 | 1,137,267 | △2.9% | 1,186,103 | 4.3% |
| 税引前当期純利益 | 230,671 | 226,623 | △1.8% | 149,474 | △34.0% |
| 法人所得税等 | 70,274 | 80,090 | 14.0% | 57,798 | △27.8% |
| 当期純利益 | 160,397 | 146,533 | △8.6% | 91,676 | △37.4% |
| 差引:非支配持分に帰属する当期純利益(△損失) | 7,281 | 3,537 | △51.4% | △1,110 | - |
| 当社株主に帰属する当期純利益 | 153,116 | 142,996 | △6.6% | 92,786 | △35.1% |
| 自己資本利益率(ROE) | 5.7% | 5.1% | 3.1% | ||
2023年3月期の収益合計(金融費用控除後)は減少しました。この減少は、主に営業部門において委託・投信募集手数料が減少したことおよび純金融収益が減少したことによります。委託・投信募集手数料は、株式買付や投資信託募集買付にかかる手数料が減少しました。投資銀行業務手数料は引受・売出手数料の減少が収益減少に寄与しました。アセットマネジメント業務手数料は若干増加したものの全体として横ばいに推移しました。トレーディング損益は、主に米国顧客との取引に起因する損失の剥落により増収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による損失額34億円が含まれております。この損失は主にクレジット・スプレッドが縮小したことによるものであります。投資持分証券関連損益は、株価の上昇が限定的で減収となりました。また投資持分証券関連損益には、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。その他は、関連会社売却益が減少しております。
2022年3月期の収益合計(金融費用控除後)は減少しました。この減少は、主に営業部門において委託・投信募集手数料が減少したことによります。委託・投信募集手数料は、株式買付や投資信託募集買付にかかる手数料が減少しました。投資銀行業務手数料はアドバイザリー・ビジネスが収益増加に貢献しました。アセットマネジメント業務手数料は営業部門におけるストック収入の増加やインベストメント・マネジメント部門における運用資産残高の増加による手数料の増加等を受けて増加しました。トレーディング損益は、主に米国顧客との取引に起因する損失の縮小により増収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による収益82億円が含まれております。この収益は主にクレジット・スプレッドが拡大したことによるものであります。投資持分証券関連損益は、株価の上昇が限定的で減収となりました。また投資持分証券関連損益には、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。その他は、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益などにより減少しております。
2021年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、ホールセール部門において米国顧客との取引に起因する損失を計
上したものの増加しました。この増加は、主に営業部門において委託・投信募集手数料が増加したことによります。
委託・投信募集手数料は、株式買付や投資信託募集買付にかかる手数料が増加しました。投資銀行業務手数料はМ&
Aやファイナンスに付随するソリューションビジネスが収益増加に貢献しました。アセットマネジメント業務手数
料は手数料率の低下等を受けて減少しました。トレーディング損益は、主に米国顧客との取引に起因する損失により
減収となりました。またトレーディング損益には、デリバティブ負債に対して認識する自社クレジットの変化による
損失額134億円が含まれております。この損失は主に新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年3月末に一時的に
拡大したクレジット・スプレッドが縮小したことによるものであります。投資持分証券関連損益は、2021年3月期中の株価の上昇を受け増収となりました。また投資持分証券関連損益には、野村が営業目的で保有する株式等の評価損益と売買損益が含まれます。これらの投資は、取引促進の目的で長期保有する関連会社以外の投資持分証券です。その他は、日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業の権利変換にともなう一時的な利益711億円を計上したことなどにより増加しております。
純金融収益は、トレーディング資産およびレポ・リバースレポ取引を含む総資産・負債の水準と構成、ならびに、金利の期間構造とボラティリティに左右されます。純金融収益は、トレーディング業務と不可分な1つの要素であり、野村は、特にグローバル・マーケッツについて、純金融収益と金融収益以外の収益との合計額で、ビジネス全体の収益性を評価しております。2023年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比292%増加、また、金融費用も前期比400%増加し、その結果、2023年3月期の純金融収益は2022年3月期から減少しました。2022年3月期においては、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ社からの配当を含む金融収益は前期比20%減少、また、金融費用も前期比7%増加し、その結果、2022年3月期の純金融収益は2021年3月期から減少しました。
2023年3月期の金融費用以外の費用は、米国顧客との取引に起因する貸倒引当金の追加計上による損失の剥落があったものの人件費の増加により前年度比で増加しました。
2022年3月期の金融費用以外の費用は、米国顧客との取引に起因する貸倒引当金の追加計上による損失があったものの前年度比で減少、および前期に計上した当社の持分法適用関連会社である野村不動産ホールディングス株式会社に対する投資にかかる減損損失477億円の剥落などにより減少しました。
野村は、日本においてさまざまな税金を課されており、2022年4月1日より日本にて連結納税制度からグループ通算制度へ移行しております。このグループ通算制度は、国税だけを対象としています。国内の法定実効税率は、2021年3月期、2022年3月期、2023年3月期において、31%となっております。海外子会社は現地で課税を受けており、通常国内より低い税率が適用されています。そのため野村の各期の実効税率は、各地域での損益状況や、各地域で適用される特有の税務上の取扱いにも影響を受けています。
2023年3月期の実効税率は38.7%となりました。この実効税率38.7%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、益金に算入されない収益項目の影響により4.7%実効税率が引き下げられた一方で、評価性引当金の増減により11.3%実効税率が引き上げられたことがあげられます。
2022年3月期の実効税率は35.3%となりました。この実効税率35.3%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、海外の税制改正の影響により14.4%実効税率が引き下げられた一方で、評価性引当金の増減により18.0%実効税率が引き上げられたことがあげられます。
2021年3月期の実効税率は30.5%となりました。この実効税率30.5%と法定実効税率31%の差異の重要な要因は、子会社・関連会社株式等の評価減の税務上の認容見込みにより8.7%実効税率が引き下げられた一方で、評価性引当
金の増減により8.7%実効税率が引き上げられたことがあげられます。
事業セグメント別経営成績
2021年4月1日に、アセット・マネジメント部門およびマーチャント・バンキング部門を廃止し、インベストメント・マネジメント部門を新設いたしました。これにより、野村の業務運営および経営成績の報告は、営業部門、インベストメント・マネジメント部門、ホールセール部門の区分で行われており、この部門体制に基づき、事業別セグメント情報を開示しております。経済的ヘッジ取引に関連する損益、一部の営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社利益(損失)の持分額、本社勘定、その他財務調整項目等は、事業セグメント別情報においては、“その他”として表示されています。
営業目的で保有する投資持分証券評価損益の一部は、セグメント情報には含まれておりません。なお、事業セグメント別経営成績については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 20 セグメントおよび地域別情報」にも記載がございます。また、そこでは、連結財務諸表数値と事業セグメント別数値の調整計算についても説明がありますのでご参照ください。
営業部門
営業部門の経営成績
| (単位:百万円) | |||||||
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 増減率(%) | 2023年3月期 | 増減率(%) | |||
| 金融収益以外の収益 | 366,271 | 324,642 | △11.4 | 297,496 | △8.4 | ||
| 純金融収益 | 2,538 | 3,343 | 31.7 | 2,695 | △19.4 | ||
| 収益合計(金融費用控除後) | 368,809 | 327,985 | △11.1 | 300,191 | △8.5 | ||
| 金融費用以外の費用 | 276,480 | 268,745 | △2.8 | 266,695 | △0.8 | ||
| 税引前当期純利益 | 92,329 | 59,240 | △35.8 | 33,496 | △43.5 | ||
2023年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、主に委託・投信手数料の減少により、全体として減少しました。
2022年3月期の営業部門の収益合計(金融費用控除後)は、主に委託・投信手数料の減少により、全体として減少しました。
2023年3月期の金融費用以外の費用は、収益減少にともなう賞与の減少により、減少しました。
2022年3月期の金融費用以外の費用は、収益減少にともなう賞与の減少により、減少しました。
下の表は、2022年3月期、2023年3月期の商品別の金融収益以外の収益構成の内訳を示しています。
| (単位:百万円) | ||||
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | 増減率(%) | ||
| 委託・投信募集手数料 | 138,525 | 112,455 | △18.8 | |
| 株式委託手数料 | 67,419 | 50,901 | △24.5 | |
| 投資信託募集手数料 | 43,537 | 30,183 | △30.7 | |
| その他手数料 | 27,569 | 31,371 | 13.8 | |
| トレーディング損益 | 43,981 | 44,171 | 0.4 | |
| 投資銀行業務手数料 | 19,003 | 16,184 | △14.8 | |
| 投資信託残高報酬 | 109,300 | 108,085 | △1.1 | |
| その他 | 13,833 | 16,601 | 20.0 | |
| 金融収益以外の収益 | 324,642 | 297,496 | △8.4 |
2023年3月期の委託・投信募集手数料は、主に株式委託手数料、投資信託募集手数料の減少により減少しました。2023年3月期のトレーディング損益は、若干増加しましたが前期から横ばいに推移しました。
営業部門顧客資産残高
下の表は、2022年3月末、2023年3月末の営業部門顧客資産残高と、その内訳を示しています。営業部門顧客資産には営業部門の顧客の預かり資産および変額年金保険商品に関連する資産が含まれています。
| (単位:兆円) | |||||||||
| 2022年3月31日 | |||||||||
| 期首顧客資産残高 | 資金流入額 | 資金流出額 | 時価評価損益 | 期末顧客資産残高 | |||||
| 株式 | 82.3 | 19.5 | △19.8 | △4.5 | 77.5 | ||||
| 債券 | 18.1 | 15.5 | △13.3 | △2.6 | 17.7 | ||||
| 株式型投資信託 | 10.2 | 2.4 | △2.1 | 0.3 | 10.8 | ||||
| 債券型投資信託 | 8.0 | 0.3 | △0.6 | △0.2 | 7.5 | ||||
| 外国投資信託 | 1.1 | 0.2 | 0.0 | 0.0 | 1.3 | ||||
| その他 | 6.9 | 1.1 | △0.5 | △0.2 | 7.3 | ||||
| 合計 | 126.6 | 39.0 | △36.3 | △7.2 | 122.1 | ||||
| (単位:兆円) | |||||||||
| 2023年3月31日 | |||||||||
| 期首顧客資産残高 | 資金流入額 | 資金流出額 | 時価評価損益 | 期末顧客資産残高 | |||||
| 株式 | 77.5 | 21.4 | △18.6 | △2.3 | 78.0 | ||||
| 債券 | 17.7 | 15.5 | △22.9 | 8.2 | 18.5 | ||||
| 株式型投資信託 | 10.8 | 2.8 | △2.6 | △0.8 | 10.2 | ||||
| 債券型投資信託 | 7.5 | 0.1 | △0.7 | △0.1 | 6.8 | ||||
| 外国投資信託 | 1.3 | 0.1 | △0.1 | △0.1 | 1.2 | ||||
| その他 | 7.3 | 1.0 | △0.5 | △0.3 | 7.5 | ||||
| 合計 | 122.1 | 40.9 | △45.4 | 4.6 | 122.2 | ||||
2023年3月末の営業部門顧客資産残高は、2022年3月末に比べ増加しました。2023年3月末の株式関連資産残高は、資金が流入し0.5兆円増加し、78.0兆円となりました。また、2023年3月末の投資信託残高は、2022年3月末の19.6兆円から1.4兆円減少し、18.2兆円となりました。
2022年3月末の営業部門顧客資産残高は、2021年3月末に比べ減少しました。2022年3月末の株式関連資産残高は、株価の下落により時価評価益が減少し、77.5兆円となりました。また、2022年3月末の投資信託残高は、2021年3月末の19.3兆円から0.3兆円増加し、19.6兆円となりました。
インベストメント・マネジメント部門
インベストメント・マネジメント部門の経営成績
| (単位:百万円) | |||||||
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 増減率(%) | 2023年3月期 | 増減率(%) | |||
| 金融収益以外の収益 | 153,523 | 129,848 | △15.4 | 120,096 | △7.5 | ||
| 純金融収益 | 9,627 | 18,145 | 88.5 | 8,463 | △53.4 | ||
| 収益合計(金融費用控除後) | 163,150 | 147,993 | △9.3 | 128,559 | △13.1 | ||
| 金融費用以外の費用 | 72,142 | 76,478 | 6.0 | 85,064 | 11.2 | ||
| 税引前当期純利益 | 91,008 | 71,515 | △21.4 | 43,495 | △39.2 | ||
2023年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益の減少により減少しました。
2022年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益の減少により減少しました。
2023年3月期の金融費用以外の費用は、主に為替の変動およびインフレにともなう費用の増加により増加しました。
2022年3月期の金融費用以外の費用は、主に事業収益の増加にともなう人件費の増加により増加しました。
インベストメント・マネジメント部門の収益合計(金融費用控除後)の内訳は以下のとおりです。
| (単位:百万円) | |||||||
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 増減率(%) | 2023年3月期 | 増減率(%) | |||
| 事業収益(1) | 111,946 | 119,920 | 7.1 | 120,664 | 0.6 | ||
| 投資損益(2) | 51,204 | 28,073 | △45.2 | 7,895 | △71.9 | ||
| 収益合計(金融費用控除後) | 163,150 | 147,993 | △9.3 | 128,559 | △13.1 | ||
(注)当期の開示様式に合わせて過年度の数値を組み替えて表示しております。
(1) 投資損益を除く部門収益であり、主にアセット・マネジメント事業からの収益(アメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益を除く)、野村バブコックアンドブラウン株式会社の航空機リース関連事業収益およびプライベート・エクイティ等の投資事業における管理報酬により構成
(2) 部門収益のうち投資に起因するものであり、主にアメリカン・センチュリー・インベストメンツ社への投資、プライベート・エクイティ等の投資事業における投資にかかる損益(公正価値の変動、資金調達コストおよび配当金を含む)により構成
下の表は、2022年3月末、2023年3月末のインベストメント・マネジメント部門の運用会社別の運用資産残高を示しています。
| (単位:十億円) | |||||||||
| 2022年3月31日 | |||||||||
| 期首運用 資産残高 | 資金流入額 | 資金流出額 | 時価評価 損益 | 期末運用 資産残高 | |||||
| 野村アセットマネジメント | 66,158 | 26,883 | △25,549 | 2,100 | 69,592 | ||||
| ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント他 | 3,300 | 944 | △690 | 313 | 3,867 | ||||
| 単純合計 | 69,458 | 27,827 | △26,239 | 2,413 | 73,459 | ||||
| グループ運用会社間の重複資産 | △4,792 | △1,462 | 1,163 | △455 | △5,546 | ||||
| 合計 | 64,666 | 26,365 | △25,076 | 1,958 | 67,913 | ||||
| (単位:十億円) | |||||||||
| 2023年3月31日 | |||||||||
| 期首運用 資産残高 | 資金流入額 | 資金流出額 | 時価評価 損益 | 期末運用 資産残高 | |||||
| 野村アセットマネジメント | 69,592 | 23,168 | △24,762 | 1,094 | 69,092 | ||||
| ノムラ・コーポレート・リサーチ・アンド・アセット・マネジメント他 | 3,867 | 1,040 | △1,074 | 35 | 3,868 | ||||
| 単純合計 | 73,459 | 24,208 | △25,836 | 1,129 | 72,960 | ||||
| グループ運用会社間の重複資産 | △5,546 | △1,409 | 1,382 | △115 | △5,688 | ||||
| 合計 | 67,913 | 22,799 | △24,454 | 1,014 | 67,272 | ||||
2023年3月期の運用資産残高は、対前期比横ばいでした。
下の表は、2021年、2022年、2023年それぞれの3月末時点の、野村アセットマネジメントの日本の公募投資信託市場におけるシェア(純資産残高ベース)を示しています。
| 2021年3月31日 | 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | |||
| 公募投資信託合計 | 28% | 27% | 27% | ||
| 株式型投資信託 | 26% | 25% | 25% | ||
| 公社債型投資信託 | 44% | 44% | 44% |
(出所)一般社団法人投資信託協会の統計データを基に作成
2023年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、48.0兆円と、対前期比横ばいでした。
2022年3月末における野村アセットマネジメントの運用資産残高に占める国内投資信託残高は、47.9兆円と、対前期比1.3兆円、3%増加しました。その内訳は、1.0兆円の資金流入と0.3兆円の運用増によるものです。主に「TOPIX連動型上場投信」といった上場投資信託で残高が増加しました。
ホールセール部門
ホールセール部門の経営成績
ホールセール部門の経営成績はグローバル・マーケッツとインベストメント・バンキングにより構成されています。また、グローバル・マーケッツはフィクスト・インカムとエクイティにより構成されています。
| (単位:百万円) | |||||||
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 増減率(%) | 2023年3月期 | 増減率(%) | |||
| 金融収益以外の収益 | 524,019 | 617,227 | 17.8 | 809,681 | 31.2 | ||
| 純金融収益 | 167,337 | 85,828 | △48.7 | △37,301 | - | ||
| 収益合計(金融費用控除後) | 691,356 | 703,055 | 1.7 | 772,380 | 9.9 | ||
| 金融費用以外の費用 | 627,051 | 628,563 | 0.2 | 743,011 | 18.2 | ||
| 税引前当期純利益 | 64,305 | 74,492 | 15.8 | 29,369 | △60.6 | ||
2023年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。グローバル・マーケッツにおけるフィクスト・インカムは、マクロ・プロダクトを中心に好調で増収となりました。グローバル・マーケッツにおけるエクイティは、米国顧客との取引に起因する損失が剥落し増収となりました。またインベストメント・バンキングは、引受・売出手数料の減少により減収となりました。
2022年3月期のホールセール部門の収益合計(金融費用控除後)は増加しました。グローバル・マーケッツにおけるフィクスト・インカムは、マクロ・プロダクトを中心に好調だった前期比で減収となりました。グローバル・マーケッツにおけるエクイティは、米国顧客との取引に起因する損失が縮小し増収となりました。またインベストメント・バンキングは、アドバイザリー・ビジネスにより増収となりました。
2023年3月期の金融費用以外の費用は、円安による海外拠点の円建て費用の増加および人件費の増加により、前期から増加しました。
2022年3月期の金融費用以外の費用は、前期の米国顧客との取引に起因する信用損失の剥落を、円安による海外拠点の円建て費用の増加が相殺し、前期からわずかに増加しました。
次の表は、ホールセール部門における収益合計(金融費用控除後)における、グローバル・マーケッツおよびインベストメント・バンキングの内訳表であります。
| (単位:百万円) | |||||||
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 増減率(%) | 2023年3月期 | 増減率(%) | |||
| ホールセール部門 収益合計 (金融費用控除後): | |||||||
| グローバル・マーケッツ | 575,533 | 556,417 | △3.3 | 656,298 | 18.0 | ||
| インベストメント・バンキング | 115,823 | 146,638 | 26.6 | 116,082 | △20.8 | ||
| 収益合計(金融費用控除後) | 691,356 | 703,055 | 1.7 | 772,380 | 9.9 | ||
グローバル・マーケッツ
野村は長年にわたって主に国内外の機関投資家を対象として、債券・株式や為替およびそれらのデリバティブ商品のセールスとトレーディングをグローバルに展開してきました。近年では、より多様化・複雑化するお客様からのご要望にお応えするため、トレーディング能力と商品組成能力の強化に取り組み、国内外の機関投資家のみならず、営業部門およびインベストメント・マネジメント部門にさまざまな高付加価値商品を提供すると同時に、インベストメント・バンキングとも協働し、付加価値の高いソリューションを提供しています。また、国内外の機関投資家に加えて、国内の富裕層・諸法人や地域金融機関、国内外の政府機関や金融機関・事業法人などと強固な関係を構築し、ビジネスを拡大しております。これにより、お客様がどのような商品を求めているかを把握し、そのニーズに合わせた商品を国内外のプロダクトラインにおいて迅速に開発・提供することが可能となっております。
2023年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムの2023年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2022年3月期の3,269億円から4,024億円となりました。マクロ・プロダクトを中心に好調で前期比で増収となりました。エクイティの2023年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2022年3月期の2,295億円から2,539億円となりました。米国顧客との取引に起因する損失の剥落を主因として増収となりました。
2022年3月期のグローバル・マーケッツの収益合計(金融費用控除後)のうち、フィクスト・インカムの2022年3月期の収益合計(金融費用控除後)は、2021年3月期の4,419億円から3,269億円となりました。マクロ・プロダクトを中心に好調だった前期比で減収となりました。エクイティの2022年3月期の収益合計(金融費用控除後)は2021年3月期の1,336億円から2,295億円となりました。米国顧客との取引に起因する損失の縮小を主因として増収となりました。
インベストメント・バンキング
野村は、引受け、アドバイザリー等、多様なインベストメント・バンキング・サービスを提供しています。アジア、欧州、米国といった世界の主要な金融市場で、債券、株式、その他の引受業務を行っており、日本国内、クロスボーダーおよび海外のM&A/財務コンサルティング業務を継続的に強化してきました。また、グローバルでのオーダーメイド型サービス提供による、顧客との強固で長期的な関係を構築することを追求しております。
2023年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、引受・売出手数料により前期比で減収となりました。
2022年3月期のインベストメント・バンキングの収益合計(金融費用控除後)は、アドバイザリー・ビジネスにより前期比で増収となりました。
その他の経営成績
その他の経営成績には、経済的ヘッジ取引に関連する損益、一部の営業目的で保有する投資持分証券の実現損益、関連会社損益の持分額、本社勘定、その他の財務調整が含まれております。詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 20 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。
その他の経営成績における税引前当期純利益(△損失)は、2021年3月期、2022年3月期、それぞれ△285億円、158億円、2023年3月期は主に株式会社野村総合研究所普通株式の売却関連利益約280億円を認識し、前年度に計上した、米国における世界金融危機(2007~2008年)以前の取引に関連した約620億円の法的費用(将来的な損失発生の軽減を目的とした一定の取引を含みます。)の剥落もあり、734億円となりました。
2023年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する損失54億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益47億円がその他の業績に含まれております。
2022年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する利益67億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する損失12億円がその他の業績に含まれております。
2021年3月期に生じたデリバティブ負債に対する自社クレジットの変化に起因する損失121億円、カウンターパーティ・クレジット・スプレッドの変化に起因する利益120億円がその他の業績に含まれております。
地域別経営成績
地域別の収益合計(金融費用控除後)、税引前当期純利益(損失)については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 20 セグメントおよび地域別情報」をご参照ください。
キャッシュ・フロー
「(5)流動性資金調達と資本の管理」をご参照ください。
(2)トレーディング業務の概要
トレーディング目的資産負債
トレーディング目的資産および負債の内訳については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2 公正価値測定 および 3 デリバティブ商品およびヘッジ活動」をご参照ください。
トレーディングのリスク管理
野村はトレーディング業務における市場リスクの測定方法として、バリュー・アット・リスク(VaR)を採用しております。
(1)VaRの前提
・信頼水準:95%
・保有期間:1日
・商品の価格変動等を考慮
野村は、開示に使用する保有期間1日のVaRの信頼水準は95%を使用しております。2023年3月31日期の保有期間1日のVaRデータは以下のとおりです。
(2)VaRの実績
| 2022年3月31日 (億円) | 2023年3月31日 (億円) | |
| 株式関連 | 14 | 33 |
| 金利関連 | 23 | 47 |
| 為替関連 | 9 | 14 |
| 小計 | 46 | 94 |
| 分散効果 | △19 | △32 |
| バリュー・アット・リスク(VaR) | 27 | 62 |
| 2023年3月期 | |||
| 最大値(億円) | 最小値(億円) | 平均値(億円) | |
| バリュー・アット・リスク(VaR) | 68 | 27 | 48 |
(3)重要な会計方針および見積もり
重要な会計方針は当社の連結財務諸表の作成に最も重要な影響を与える会計方針であり、適用にあたって経営者による会計上の見積もりに関する最も困難かつ主観的で複雑な判断を必要とするものを指します。見積もりはその性質上、経営者の判断を必要とする仮定やその時点で利用可能な情報の範囲に依拠しています。将来の実績はこれらの見積もりと乖離する可能性があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。
下表は、重要な会計方針やこれらの会計方針の適用に含まれる重要な会計上の見積もり、見積もりの要素、経営者による仮定と判断、当連結会計年度における見積もりおよび仮定の変更の影響について当期特に重要なものを要約したものです。適用された重要な会計方針および重要な会計上の見積もりの詳細については「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][連結財務諸表注記]1 会計処理の原則および会計方針の要旨」および下表に含まれる各連結財務諸表注記をご参照ください。
| 重要な会計方針 | 重要な会計上の 見積もり | 経営者による重要な主観的仮定または判断 | 当連結会計年度における見積もりおよび仮定の変更の影響 |
| 金融商品の公正価値評価 連結財務諸表 注記 2 公正価値測定 | 金融商品の公正価値の見積もり | 野村が保有する金融商品は主に公正価値で評価されております。これらの金融商品の公正価値は観察可能な市場価格のみならず、評価手法の選択や仮定といった判断をともなう要素の影響を受けます。 この判断は、特定の金融商品にかかる未実現損益の金額および計上時期に影響を与えます。 適切な評価手法の選択 ·活発な市場において観察可能な市場価格によって公正価値評価される金融商品については、野村は一般的に、当該金融商品の公正価値を決定するため、レベル1のインプットとして当該価格を使用します。 ·このような観察可能な価格が入手できない金融商品については、レベル2もしくは3のインプットにより公正価値が測定されます。異なる評価手法および仮定が適用された場合、公正価値の測定結果は異なりうるため、適切な評価手法の選択と評価手法に適用される仮定の検証に重要な判断が含まれます。評価手法を選択する際には、これらの金融商品が取引される特定の状況や市場、信頼性のあるインプットの利用可能性、関連する観察可能なインプットの使用の最大化、観察不能なインプットの使用の最小化などのさまざまな要因が考慮されます。 レベル3インプットの重要性 ·市場で観察不能なインプットが用いられる、公正価値レベル3の金融商品の公正価値評価は、より多くの判断を必要とします。 ·これらの金融商品の公正価値は、流動性、経済環境および特定の金融商品に影響を与えるリスクに対する認識を含む、市場参加者が価格を決定する際に使用する仮定についての経営者の判断に基づいて決定されます。 | 当社の評価手法および公正価値の階層における金融商品の分類に関する方針については、連結財務諸表注記2 「公正価値測定」を参照してください。 当連結会計年度において公正価値レベル3の金融商品(デリバティブ負債相殺後資産)の公正価値は前連結会計年度の792十億円から868十億円に増加しました。毎期経常的に公正価値評価される資産の合計に対するレベル3に分類された資産の比率は、2023年3月31日現在で5%(2022年3月31日現在で6%)となりました。 レベル3インプットに関する定性的、定量的な情報およびそれらが公正価値測定に与える影響についての詳細については連結財務諸表注記2 「公正価値測定」を参照してください。 |
| 重要な会計方針 | 重要な会計上の 見積もり | 経営者による重要な主観的仮定または判断 | 当連結会計年度における見積もりおよび仮定の変更の影響 |
| 訴訟引当金 連結財務諸表 注記 19 コミットメント、偶発事象および債務保証 | 損失の蓋然性の判定および、引当金と合理的に発生する可能性のある損失の測定 | 野村は通常の業務を行う過程で訴訟およびその他の法的手続き(以下「法的事案」)に関与することがあり、その結果、違約金や和解金等を負担し、当該損失が野村の経営成績に重要な影響を与える可能性があります。法的事案による損失の発生可能性や最終的な損失額を見積もる際には、経営者によるさまざまな判断や仮定が要求されます。 損失の蓋然性の判断 ·訴訟引当金の計上は、損失発生の蓋然性が高く、金額を合理的に見積もることができる場合に必要とされます。 ·法的事案について、損失が生じる蓋然性が高いか、損失が生じる合理的な可能性はあるがその蓋然性が高いとまではいえないか、または損失が生じる可能性がほとんどないかどうかの決定には重要な判断が要求されます。 ·このような判断には、通常、外部の弁護士の見解、裁判または類似案件に関する当社の過去の経験、規制当局による調査または訴訟手続きの進捗状況、および和解に対する当社または相手方の意向を考慮します。 ·損失発生の蓋然性が高いとまではいえないか、または可能性がほとんどない場合、引当金の計上は不要です。 蓋然性が高いまたは合理的に発生する可能性のある損失の測定 ·損失が発生する蓋然性が高いと判断された場合で、かつ当該損失の金額または範囲を合理的に見積もることができる場合に引当金を計上します。 ·損失が生じる合理的な可能性はあるものの、その蓋然性が高いとまではいえないような場合で、かつ発生し得る損失の範囲を合理的に見積もることができる場合には、既に計上している引当金を超えて合理的に発生する可能性のある最大損失額を開示しております。 ·上記の可能性や金額を決定することは難しく、とりわけ、これら法的手続き等が初期段階にある場合や、新たな法的論点が争われている場合は特に困難です。 ·損失が生じる蓋然性が高い、または損失が発生する合理的な可能性はあるものの、複雑性やその他の理由によりその金額を見積もることができない場合にはその旨を開示します。 | 引当金を計上している、または損失発生の可能性が合理的な場合を含む、野村が現在関与している法的事案の詳細については、連結財務諸表注記19「コミットメント、偶発事象および債務保証」を参照してください。 2023年6月28日現在、合理的に発生する可能性のある損失の範囲を見積もることができる法的事案において発生の蓋然性が高いと判断された場合、約510億円の追加的費用が計上されます。ただし、当該金額には損失の金額を合理的に見積もることができないものによる影響は含まれておりません。 |
一定の金融商品および取引先に対するエクスポージャー
市場環境は、野村が一定のエクスポージャーを有するさまざまな金融商品に影響を与え続けています。また、野村は通常の業務においても、特別目的事業体などの取引先に対し、一定のエクスポージャーを有しております。
レバレッジド・ファイナンス
野村は、顧客にレバレッジド・バイアウト、レバレッジド・バイインにかかる貸付金を提供しています。通常このような資金提供はコミットメントを通じて行われることが多く、野村は実行済および未実行コミットメントの双方においてエクスポージャーを有しております。次の表は、2023年3月31日現在において未実行コミットメントがあるレバレッジ・ファイナンスのエクスポージャーを実行済および未実行分に分けて、対象企業の地域別に表しております。
| (単位:百万円) | |||||
| 実行済残高 | 未実行コミットメント残高 | 合計 | |||
| 欧州 | 14,654 | 58,606 | 73,260 | ||
| 米州 | 24,684 | 187,334 | 212,018 | ||
| アジア・オセアニア | 6,230 | 3,718 | 9,948 | ||
| 合計 | 45,568 | 249,658 | 295,226 |
特別目的事業体
野村が行う特別目的事業体との関与は、これらの事業体を組成すること、またマーケットの状況に応じて、これらの事業体が発行する負債証券および受益権を引受け、売出し、販売することが含まれております。また野村は通常の証券化およびエクイティデリバティブ業務の中で、これらの事業体に対する金融資産の譲渡、これらの事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。さらに野村は、マーケットメーク業務、投資業務、組成業務に関連し、特別目的事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。特別目的事業体とのそのほかの関与には、債務保証やデリバティブ契約などが含まれます。
変動持分事業体への関与に関するより詳しい説明は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 6 証券化および変動持分事業体」をご参照ください。
新しい会計基準の公表
「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 1 会計処理の原則および会計方針の要旨:会計方針の変更および新しい会計基準の公表」をご参照ください。
(4)繰延税金資産の状況
1)繰延税金資産・負債の主な発生原因
2023年3月31日現在、連結貸借対照表上、その他の資産-その他として記載されている繰延税金資産、およびその他の負債として記載されている繰延税金負債の内訳は、以下のとおりであります。
| (単位:百万円) | |
| 2023年3月31日 | |
| 繰延税金資産 | |
| 減価償却、その他の償却、および固定資産の評価 | 38,596 |
| 子会社・関連会社株式投資 | 7,458 |
| 金融商品の評価差額 | 123,841 |
| 未払退職・年金費用 | 17,308 |
| 未払費用および引当金 | 74,043 |
| 繰越欠損金 | 414,084 |
| リース負債 | 48,329 |
| その他 | 19,645 |
| 繰延税金資産小計 | 743,304 |
| 控除:評価性引当金 | △515,068 |
| 繰延税金資産合計 | 228,236 |
| 繰延税金負債 | |
| 子会社・関連会社株式投資 | 100,335 |
| 金融商品の評価差額 | 118,314 |
| 海外子会社の未分配所得 | 2,936 |
| 固定資産の評価 | 22,540 |
| 使用権資産 | 47,775 |
| その他 | 7,524 |
| 繰延税金負債合計 | 299,424 |
| 繰延税金資産(負債)の純額 | △71,188 |
2)繰延税金資産の算入根拠
繰延税金資産は、米国会計基準に基づき、将来において実現すると予想される範囲内で認識しており、将来において実現が見込まれない場合には評価性引当金を計上しております。なお、将来の課税所得の見積期間は納税単位ごとに個別に判断し、適正な期間見積もっております。
3)過去5年間の課税所得および見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額
当社は、2022年4月1日より日本にて連結納税制度からグループ通算制度へ移行し、野村證券を含む主要子会社は当制度に含まれております。上記1)に記載されている繰延税金資産のうち、日本の通算グループにおける繰延税金資産(負債)の純額は△63,247百万円となっており、野村の連結財務諸表における繰延税金資産(負債)の純額の大部分を占めております。
以下の過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)ではグループ通算制度への移行前の連結納税グループの合算数値を記載し、見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額では通算グループの合算数値を記載しております。
過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)
| (単位:百万円) | |||||
| 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
| 日本の連結納税グループ合算値 | 79,397 | 61,984 | 134,721 | 214,001 | 233,508 |
(注) 法人確定申告書上の繰越欠損金控除前の課税所得であり、その後の変動は反映しておりません。
見積もりの前提とした税引前当期純利益、調整前課税所得の見込額
日本の通算グループについては、5年を課税所得見積もり期間とし、見込み税引前当期純利益合計および見込み調整前課税所得合計はそれぞれ、569,450百万円、689,045百万円となっております。
(5)流動性資金調達と資本の管理
資金調達と流動性管理
概況
野村では、資金流動性リスクを野村グループの信用力の低下または市場環境の悪化により必要な資金の確保が困難になる、または通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクと定義しております。このリスクは、市場において有担保あるいは無担保調達が不可能になる、野村の信用格付が低下する、予定外の資金需要の変化に対応できない、迅速かつ最小の損失での資産の流動化ができない、あるいは、グループ会社間の自由な資金移動が妨げられる規制資本上の制約に関する変化等、市場全体の事情や野村固有の事情により発生します。資金流動性リスク管理については、経営会議が定める流動性リスク・アペタイトに基づくことを基本方針としております。野村の資金流動性管理は、市場全体が流動性ストレス下にある場合において、またそれに加えて野村の信用リスクに過度なストレスを想定した場合においても、それぞれ1年間、および30日間にわたり、無担保による資金調達が困難な場合においても、保有資産を維持しつつ業務を継続することができる十分な資金流動性を常に確保することを主な目的としております。また、金融庁の定める流動性カバレッジ比率および安定調達比率(「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社およびその子法人等の経営の健全性のうち流動性にかかる健全性の状況を表示する基準」)の充足が求められております。
野村は、主な流動性維持の目的を達成可能とする、さまざまな資金流動性リスク管理フレームワークを定めております。このフレームワークには、(1)余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持、(2)流動性ポートフォリオ以外の担保未提供資産の活用、(3)資産構成等に見合った資金調達ならびに調達手段の多様化および調達期間の分散、(4)野村グループ各社に対する与信枠の管理、(5)流動性ストレステストの実行、(6)コンティンジェンシー・ファンディング・プランに関することが含まれております。
経営会議は、野村の資金流動性に関する重要事項についての決定権を有しており、財務統括責任者(以下「CFO」)は、経営会議の決定に基づき、野村の資金流動性管理に関する業務を執行する権限と責任を有しております。
1.余剰資金の集中管理と流動性ポートフォリオの維持
野村は、野村グループ内で資金流動性を有効に活用することを可能とするため、野村グループ各社の余剰資金の集中管理を行っております。資金の使用に関しても、野村では、無担保で提供される資金を一元的に管理しており、内部で上限を設けております。この上限は、CFOによって決定され、経営会議において各部門へ配分が行われます。ファイナンス部門において、資金流動性の管理を行う組織であるグローバル・トレジャリーは、使用状況についてモニタリングを行い、経営会議へ報告しております。
また、グループ会社間の資金移動を円滑なものにするため、規制対象ブローカーあるいは銀行における資金調達は限定的にしか行っておりません。野村は、無担保による資金調達の当社あるいは主要規制外発行体への集中を積極的に行っております。このことにより、野村は調達コストを最小化し、投資家からの認知度を高め、さまざまなグループ会社間の資金供給のフレキシビリティを高めております。
潜在的な資金流動性必要額を考慮し、十分な資金流動性を確保するために、野村は、現金ならびに売却や担保提供することで流動性資金を供給することができる流動性の高い担保未提供資産等で構成される流動性ポートフォリオを維持しており、グローバル・トレジャリーにて他の資産と区別して管理をしております。流動性ポートフォリオの金額は、2023年3月31日現在、7兆6,543億円となっております。
以下の表は2022年3月31日、2023年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオの内訳をアセットタイプ別に表示したものです。年間平均は月末の残高を用いて算出されております。
| (単位:十億円) | ||||
| 2022年3月31日 年間平均 | 2022年3月31日 | 2023年3月31日 年間平均 | 2023年3月31日 | |
| 現預金(1) | 3,151.6 | 2,997.5 | 3,155.5 | 3,229.3 |
| 国債 | 3,629.8 | 3,674.2 | 4,073.8 | 3,984.0 |
| その他(2) | 298.3 | 402.5 | 416.9 | 441.0 |
| 流動性ポートフォリオ | 7,079.7 | 7,074.2 | 7,646.2 | 7,654.3 |
(1)現預金には、現金、現金同等物および必要に応じて即時利用可能な中央銀行、市中銀行への預金を含みます。
(2)その他にはMMF、米国政府機関債などのアセットタイプが含まれています。
以下の表は2022年3月31日、2023年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオの内訳を通貨別に表示したものです。年間平均は月末の残高を用いて算出されております。
| (単位:十億円) | ||||
| 2022年3月31日 年間平均 | 2022年3月31日 | 2023年3月31日 年間平均 | 2023年3月31日 | |
| 円 | 1,913.7 | 1,409.8 | 1,613.6 | 1,852.0 |
| 米ドル | 3,567.3 | 3,924.1 | 4,326.0 | 3,953.3 |
| ユーロ | 792.3 | 868.5 | 869.3 | 964.5 |
| 英国ポンド | 578.3 | 597.5 | 505.7 | 522.4 |
| その他(1) | 228.1 | 274.3 | 331.6 | 362.1 |
| 流動性ポートフォリオ | 7,079.7 | 7,074.2 | 7,646.2 | 7,654.3 |
(1)その他には豪ドル、カナダドル、スイスフランなどの通貨が含まれています。
野村は流動性ポートフォリオの要件をグローバル基準、および各主要オペレーティングエンティティによって評価しています。野村は、主に当社および野村證券株式会社(以下「NSC」)、他の主要なブローカーディーラーおよび銀行子会社で流動性ポートフォリオを管理しています。流動性ポートフォリオの保有量とエンティティを決定する際に、野村グループ内で自由に流動性を移す能力に影響を及ぼすかもしれない法規制、税制を考慮しています。規制の制限の詳細については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 17 法的規制」を参照してください。
以下の表は2022年3月31日、2023年3月31日現在の野村の流動性ポートフォリオをエンティティ別に表示したものです。
| (単位:十億円) | ||
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | |
| 当社およびNSC(1) | 1,395.4 | 1,806.4 |
| 他の主要なブローカーディーラー | 3,118.5 | 3,012.6 |
| 銀行子会社(2) | 1,008.5 | 1,178.6 |
| その他の関連会社 | 1,551.8 | 1,656.7 |
| 流動性ポートフォリオ | 7,074.2 | 7,654.3 |
(1)NSCは日本のブローカーディーラーであり、日本銀行に口座を維持し、日本銀行のロンバード貸付制度を直接利用することにより、同日資金調達が可能です。当社における余剰流動性資金は必要な時に即時解約可能な短期社内貸付により、NSCに貸し出しております。
(2)ノムラ・バンク・インターナショナル PLC(以下「NBI」)、ノムラ・シンガポールLIMITEDおよびノムラ・バンク・ルクセンブルグ S.A.
2.流動性ポートフォリオ以外の担保未提供資産の活用
流動性ポートフォリオに加えて、主にトレーディング資産で構成される有担保資金調達の際の追加担保として使用可能な担保未提供資産を2023年3月31日現在、2兆8,425億円所有しております。グローバル・トレジャリーは、その他担保未提供資産のモニタリングを行っており、流動性ストレス下においては、当該資産を現金化し、野村グループの流動性供給のために利用することができます。なお、流動性ポートフォリオとその他担保未提供資産の合計は、10兆4,968億円となりました。これは、野村の1年以内に満期の到来する無担保債務の合計に対して、307.7%に相当します。
| (単位:十億円) | ||
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | |
| その他担保未提供資産 | 2,665.7 | 2,842.5 |
| 流動性ポートフォリオ | 7,074.2 | 7,654.3 |
| 合計 | 9,739.9 | 10,496.8 |
3.資産構成等に見合った資金調達ならびに調達手段の多様化および調達期間の分散
野村は、保有資産を継続して維持していくうえで必要となる長期性資金を確保するために、長期無担保債務の額、および株主資本を十分な水準に維持するように努めております。また、無担保調達資金の借換えリスクを低減させるために、資金調達を行う市場やプロダクト、投資家、通貨および返済期限の分散にも努めております。
野村は、さまざまな種類の債券を発行することによって、資金調達手段の分散を図っております。これらには、仕組ローンや仕組債が含まれ、金利・為替・株式・コモディティやこれらのインデックスにリンクしたリターンが付いております。野村は、資金調達方法の多様性が増すように仕組ローンや仕組債を発行しております。これらについて、野村は、通常、デリバティブや原資産に対する支払い義務をヘッジすることにより、無担保調達債務と同様の効果を得ております。なお、日本円以外の長期債務比率は、2022年3月31日現在51.4%から2023年3月31日現在55.9%に増加しております。
3.1 短期無担保債務
野村の短期無担保債務は、短期銀行借入(長期銀行借入のうち、満期まで1年未満のものを含む)、その他の短期借入、コマーシャル・ペーパー、銀行業務受入預金、譲渡性預金、および償還まで1年以内の社債で構成されております。銀行業務受入預金および譲渡性預金は、銀行子会社の預金および譲渡性預金を表しております。短期無担保債務には、長期無担保債務のうち残存期間が1年以内となったものを含んでおります。
以下の表は、2022年3月31日、2023年3月31日現在の野村の短期無担保債務明細を表示したものです。
| (単位:十億円) | |||
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | ||
| 短期無担保債務 | 2,932.1 | 3,411.2 | |
| 短期銀行借入 | 148.0 | 203.3 | |
| その他の短期借入 | 228.1 | 256.8 | |
| コマーシャル・ペーパー | 131.9 | 300.0 | |
| 銀行業務受入預金 | 1,520.7 | 1,705.0 | |
| 譲渡性預金 | 127.8 | 224.2 | |
| 償還まで1年以内の社債 | 775.6 | 721.9 | |
3.2 長期無担保債務
野村は、常に十分な長期性資金を確保し、適切なコストでの調達および適切な長期債務償還プロファイル維持を満たすために、満期や通貨の分散を行い定期的に長期性資金の調達を行っております。
野村の長期無担保債務には、米国発行登録および登録ミディアム・ターム・ノートプログラム、ユーロ・ミディアム・ターム・ノートプログラム、国内発行登録およびさまざまな発行プログラムより発行される普通社債や劣後社債が含まれております。
日本のグローバルな金融サービスグループとして、野村は、世界中のさまざまな市場と資金調達センターへのアクセスを持っております。主として当社、NSC、ノムラ・ヨーロッパ・ファイナンスN.V.、NBI、ノムラ・インターナショナル・ファンディング Pte. Ltd.、および野村グローバル・ファイナンス株式会社が外部からの借入、債券発行その他資金調達を行っております。使用通貨や保有資産の流動性に合わせた資金調達や、必要に応じた為替スワップの使用により、調達構造の最適化を図っております。
野村は、市場や投資家のタイプごとに、効率的かつ十分に多様化された資金調達を行うために、さまざまなプロダクトや通貨による調達をしております。野村の無担保債務の大部分は、発行コストの上昇や債務償還満期を早める財務制限条項(格付、キャッシュ・フロー、決算あるいは財務レシオ)は、付されておりません。
以下の表は、2022年3月31日、2023年3月31日現在の野村の長期無担保債務明細を表示したものです。
| (単位:十億円) | |||
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | ||
| 長期無担保債務 | 7,898.1 | 8,770.7 | |
| 長期銀行業務受入預金 | 112.3 | 208.8 | |
| 長期銀行借入 | 2,820.5 | 3,004.9 | |
| その他の長期借入 | 219.5 | 265.5 | |
| 社債(1) | 4,745.8 | 5,291.5 | |
(1)編纂書810「連結」に定義される変動持分事業体の要件を満たす“連結変動持分事業体(VIE)が発行する社債”と編纂書860「譲渡とサービシング」により、会計上担保付金融取引として取り扱われる譲渡取消にともなう担保付借入を含んでおりません。
3.3 償還プロファイル
プレーン・バニラ物(プレーン・バニラ債および長期借入金)の調達に関しては、平均残存年数が3年以上となるように努めており、2023年3月31日現在の平均残存年数(残存期間1年超のものの平均)は、3.9年となっております。また、仕組ローンや仕組債については、その大部分が、金利・為替・株式・コモディティやこれらのインデックスにリンクしており、これらの償還確率は、内部数理モデルによって継続的に評価され、グローバル・トレジャリーによりモニターされております。予定された満期日以前に償還される可能性のあるものについては、野村の内部ストレスオプション評価モデルにより、評価されております。このモデルは、ストレス市場環境下で、いつその債券が償還される可能性があるかを評価します。下図は、このモデルにおいて評価された野村の長期債券と長期借入の満期の分散状況を示したものです。
上記のモデルに基づき評価された仕組ローンや仕組債の平均残存期間(残存期間1年超のものの平均)は、2023年3月31日現在で、8.3年となっており、プレーン・バニラ物を合わせた長期債務全体の平均残存期間(残存期間1年超のものの平均)は、2023年3月31日現在で、6.2年となっております。

3.4 有担保資金調達
野村は、トレーディング業務のための資金調達活動は、担保付借入、レポ契約、日本の現先レポ取引によって、通常行っております。これらの有担保資金調達は、無担保資金調達に比べコストが低く、格付の影響を受けにくいものと考えております。有担保資金調達は、担保資産の質や市場環境の影響を受けます。流動性の高い資産を担保として用いる場合は短期の契約で資金調達を行う一方で、流動性の低い資産を担保として用いる場合は、契約期間の長期化に努めております。野村は、有担保資金調達にともなう資金流動性リスクを低減させるために、カウンターパーティのグローバルな分散、担保の種類の多様化にも努めております。また、流動性の低い資産を用いた短期有担保資金調達の借り換えが難しくなる場合のリスクに備えて、流動性ポートフォリオを保有しております。詳細は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表注記] 5 担保付取引」をご参照ください。
4.野村グループ各社に対する与信枠の管理
野村は、資金調達の安定性を確保するために、金融機関から野村グループに対する与信枠の維持、拡大に努めております。また、資金流動性リスク管理の一環として、野村は、借入の契約満期日が一時期に集中しないように分散させております。
5.流動性ストレステストの実行
野村は、先に述べた流動性管理方針に沿うよう、一定のストレスシナリオ下でのキャッシュ流出をシミュレートする内部モデルに基づいて流動性ポートフォリオをモニターしております。
資金流動性必要額は、さまざまなストレスシナリオ下において、異なるレベルで、さまざまな時間軸に沿って見積もられております。そこでは、親会社や子会社レベルでの格下げといった野村固有および市場全体のイベント下で発生する資金流動性必要額を見積もっております。野村では、このリスク分析を「マキシマム・キュームレーティブ・アウトフロー(以下「MCO」)」と呼んでおります。
MCOフレームワークは、主たる資金流動性リスクを考慮したうえで構築し、以下の2つのシナリオに基づいて、将来のキャッシュ・フローをモデル化しております。
・ストレスシナリオ:市場全体が流動性ストレス下にある場合において、無担保による資金調達、資産の売却をすることなく1年間適切な流動性を維持すること。
・アキュートシナリオ:市場全体が流動性ストレス下にあることに加え、野村の信用リスクに過度なストレスを想定した場合において、無担保による資金調達、資産の売却をすることなく30日間適切な流動性を維持すること。
野村は、これらの各モデルで用いられている時間軸の中で、資産の流動化を行ったり、ビジネス・モデルを修正することはできないと想定しております。したがって、MCOフレームワークは、ストレス状況下においても、野村が適切と考える流動性リスク・アペタイトを満たすために必要な資金流動性額を定義するものです。
2023年3月末時点において、野村の流動性ポートフォリオは、上述のシナリオ下で想定された資金流出予想額を上回っておりました。
野村は、規制環境や市場の変化に基づいた資金流動性リスクの前提条件を継続的に評価し、調整をしております。ストレスの影響をシミュレートするために用いるモデルでは、以下のような事象を考慮、想定しております。
・資産の売却ができない状況
・追加の無担保調達を行うことができない状況
・既存の借入金の返済期日や発行済み社債の償還期日(1年以内)
・発行済み社債の買い取りの可能性
・流動性の低い資産を担保とする資金調達ラインの喪失
・通常の事業環境下での運転資金需要の変化
・ストレス時における受入銀行預金および担保の流出
・既存のレポ調達時の担保掛目の拡大
・決済銀行からの担保・預託金追加要求
・コミットメント提供先のドローダウン
・損失にともなう資金の喪失
・野村の信用格付が2ノッチ格下げされた場合のデリバティブ取引にかかる契約上の追加担保要請、および清算・決済機関からの潜在的な追加担保要請
・グループ会社間の資金や証券の移動を制限する法規制を考慮した資金流出
6.コンティンジェンシー・ファンディング・プラン
野村は、詳細にわたるコンティンジェンシー・ファンディング・プラン(以下「CFP」)を定め、包括的リスク管理の枠組みに組み込むとともに、定量的なコントロールを強化しております。この中で、リクイディティ・イベントの範囲の分析と特定方法を記載しております。そのうえで、野村固有のあるいは市場全体の影響の可能性を見積もることや、リスクを低下させるために即座にとられるべき対応を特定しております。CFPは、キーとなる内部および外部の連絡先やどの情報を知らせるかを示すプロセスの詳細をリスト化しております。また、野村が規制上、法的、あるいは税務上の制限によって、グループ会社レベルにおける資金へのアクセスができなくなったことを想定し、グループ会社レベルで、個別の資金需要に応えうるように作られております。なお、野村は、定期的にさまざまな市場や野村固有のイベントに対して本CFPの有効性をテストしております。野村は、日本銀行等中央銀行が行うさまざまな証券に対して実施する資金供給オペレーションへのアクセスも持っております。これらのオペレーションは、通常のビジネスでも利用しておりますが、市場の悪化による不測のリスクを軽減させる重要な手段のひとつです。
流動性規制
2008年にバーゼル委員会は、流動性フレームワークの基盤となる「健全な流動性リスク管理およびその監督のための諸原則」を公表しました。続いて、バーゼル委員会は資金流動性にかかる2つの最低基準を策定し、流動性管理の枠組みをさらに強化しました。これらの基準は、それぞれ独立しているものの相互補完的な2つの目的を達成するために策定されております。
第1の基準の目的は、金融機関の流動性リスク態様の短期的強靭性を高めることにあり、その手段として、金融機関が流動性の高い資産を十分に保有し、30日間継続する強いストレスシナリオに耐える力を持っていることを確保することにあります。バーゼル委員会は、この目的を達成するために流動性カバレッジ比率(以下「LCR」)を策定しました。
第2の基準の目的は、長期的な強靭性を高めることにあり、その手段として、金融機関に対し、常により安定的な資金調達源を確保したうえで、業務を行うことを促すための追加的なインセンティブを設けました。安定調達比率(以下「NSFR」)は、対象期間を1年とし、資産・負債が持続可能な満期構造を保つよう策定されました。
これら2つの基準を構成するパラメータは、主として、国際的に統一された既定の数値です。しかしながら、各国固有の状況を反映させるため、一部のパラメータには各国裁量の要素が含まれております。LCRについては、本邦においてバーゼル委員会の国際合意文書に必要な修正を加えた金融庁告示が公布され、2015年3月末から最低基準として段階導入されております。当第4四半期連結会計期間におけるLCRの平均値は203.8%となっており、上記金融庁告示の定める要件についても満たしております。また、NSFRについては金融庁より流動性比率規制に関する告示の改正が2021年3月31日付で公布され、2021年9月末から導入されております。当第4四半期連結会計期間末におけるNSFRは告示の定める要件を満たしております。
キャッシュ・フロー
野村のキャッシュ・フローは、主に顧客ビジネスフローやトレーディングからなる営業活動およびそれと密接な繋がりのある財務活動によりもたらされます。金融機関はビジネスを展開していくことにより営業活動および投資活動において現金支出となる傾向にあり、野村のキャッシュ・フローは以下に記載しておりますとおり2022年3月期は営業活動および投資活動において現金支出となり、2023年3月期は営業活動おいて現金支出である一方、投資活動において現金収入となりました。下の表は、野村の2022年3月期および2023年3月期の連結キャッシュ・フロー計算書の抜粋です。
| (単位:十億円) | |||
| 2022年3月期 | 2023年3月期 | ||
| 営業活動に使用された現金(純額) | △1,368.7 | △974.8 | |
| 当期純利益 | 146.5 | 91.7 | |
| トレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資 | 1,254.3 | △1,576.5 | |
| トレーディング負債 | △284.7 | 467.3 | |
| 売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券(純額) | △2,220.5 | △590.4 | |
| 借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金(純額) | 595.1 | 834.4 | |
| その他(純額) | △859.4 | △201.3 | |
| 投資活動から得た (△投資活動に使用された)現金(純額) | △45.3 | 38.9 | |
| 財務活動から得た現金(純額) | 1,070.7 | 1,291.7 | |
| 長期借入の増加(純額) | 1,225.0 | 1,107.2 | |
| 短期借入の減少(純額) | △475.5 | △81.9 | |
| 受入銀行預金の増加(純額) | 448.1 | 326.3 | |
| その他(純額) | △126.9 | △59.9 | |
| 現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物に対する為替相場変動の影響額 | 149.7 | 148.6 | |
| 現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の増加額 | △193.6 | 504.4 | |
| 現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の期首残高 | 3,510.0 | 3,316.4 | |
| 現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物の期末残高 | 3,316.4 | 3,820.9 | |
詳細につきましては、「第5 [経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] ⑤ 連結キャッシュ・フロー計算書」をご参照ください。
2023年3月期を通じて、野村の現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物は5,044億円増加し3兆8,209億円となりました。長期借入の増加により1兆1,072億円の現金収入があり、財務活動から得た現金(純額)は1兆2,917億円となりました。トレーディングにおいては、主にトレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資の増加による現金支出の結果、1兆1,092億円の現金支出となりました。一方、売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券や借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金のようなレポ取引、有価証券貸借取引から2,440億円の現金収入がありました。この結果、営業活動に使用された現金(純額)は9,748億円となりました。
2022年3月期を通じて、野村の現金、現金同等物、制限付き現金および制限付き現金同等物は1,936億円減少し3兆3,164億円となりました。長期借入の増加により1兆2,250億円の現金収入があり、財務活動から得た現金(純額)は1兆707億円となりました。トレーディングにおいては、主にトレーディング資産およびプライベートエクイティ・デット投資の減少による現金収入の結果、9,696億円の現金収入となりました。一方、売戻条件付買入有価証券および買戻条件付売却有価証券や借入有価証券担保金および貸付有価証券担保金のようなレポ取引、有価証券貸借取引から1兆6,254億円の現金支出がありました。この結果、営業活動に使用された現金(純額)は1兆3,687億円となりました。
貸借対照表および財務レバレッジ
2023年3月31日現在の資産合計は、2022年3月31日現在の43兆4,122億円に対し、トレーディング資産が増加したこと等により、4兆3,596億円増加し、47兆7,718億円となりました。また、2023年3月31日現在の負債は、2022年3月31日現在の40兆4,394億円に対し、買戻条件付売却有価証券が増加したこと等により、4兆1,083億円増加し、44兆5,477億円となりました。2023年3月31日現在の当社株主資本は、2022年3月31日現在の2兆9,146億円に対し、累積的その他の包括利益の増加にともない、2,340億円増加の3兆1,486億円となりました。
野村は、マーケットの極端な変動によってもたらされ得る大きな損失にも耐えられる規模の資本を維持することに努めております。野村の適正資本の維持にかかる基本方針は経営会議が決定し、その実践の責任を負います。適正資本の維持にかかる基本方針には、適正な総資産規模の水準やそれを維持するために必要な資本規模の決定などが含まれます。当社は、当社のビジネス・モデルに起因する経済的なリスクに耐え得る必要十分な資本を維持しているかにつき、定期的な確認を行っておりますが、こうした観点とは別に、銀行業や証券業を営む子会社は規制当局から要請される最低資本金額を満たす必要もあります。
レバレッジ・レシオは、野村と同様に他の金融機関でも、一般的に用いられており、当社のアニュアルレポートの利用者が野村のレバレッジ・レシオおよび調整後レバレッジ・レシオを他の金融機関と比較できるように、ベンチマークとする目的で、自主的に開示しております。調整後レバレッジ・レシオは、野村がレバレッジにかかる有用な補助的指標であると考える米国会計原則に基づかない指標です。
以下の表は、当社株主資本、総資産、調整後総資産と財務レバレッジの状況を示しています。
| (単位:十億円) | ||||
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | |||
| 当社株主資本 | 2,914.6 | 3,148.6 | ||
| 総資産 | 43,412.2 | 47,771.8 | ||
| 調整後総資産(1) | 26,535.8 | 29,654.3 | ||
| レバレッジ・レシオ(2) | 14.9 | 倍 | 15.2 | 倍 |
| 調整後レバレッジ・レシオ(3) | 9.1 | 倍 | 9.4 | 倍 |
(1)調整後総資産は米国会計原則に基づかない指標であり、総資産の額から売戻条件付買入有価証券および借入有価証券担保金の額を控除したものとなり、以下のように計算されます。
(2)レバレッジ・レシオは、総資産の額を当社株主資本の額で除して得られる比率です。
(3)調整後レバレッジ・レシオは、調整後総資産の額を当社株主資本の額で除して得られる比率です。
| (単位:十億円) | ||
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | |
| 総資産 | 43,412.2 | 47,771.8 |
| 控除: | ||
| 売戻条件付買入有価証券 | 11,879.3 | 13,834.5 |
| 借入有価証券担保金 | 4,997.1 | 4,283.0 |
| 調整後総資産 | 26,535.8 | 29,654.3 |
総資産は、主にトレーディング資産が増加したことにより、10.0%増加しました。当社株主資本は、主に累積的その他の包括利益が増加したことにより、8.0%増加しました。この結果、野村の財務レバレッジは、2022年3月31日現在14.9倍、2023年3月31日現在15.2倍となりました。
調整後総資産が増加した理由は、トレーディング資産の増加によるものです。この結果、調整後レバレッジ・レシオは、2022年3月31日現在9.1倍、2023年3月31日現在9.4倍となりました。
連結自己資本規制
金融庁は2005年6月に「金融コングロマリット監督指針」を策定し、連結自己資本規制に関する規定を設けました。この「金融コングロマリット監督指針」に基づき、2005年4月から、当社は、連結自己資本規制比率のモニタリングを開始しました。
2011年4月から、当社は、親会社に対する連結自己資本規制の適用を受ける最終指定親会社の指定を受け、「最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準を定める件」(平成二十二年金融庁告示第百三十号、以下「川上連結告示」といいます。)により、バーゼルⅡに基づく連結自己資本規制比率の計測を開始しました。また、2011年12月末からは、マーケット・リスク相当額の計測方法を大幅に改定したバーゼル2.5に基づく連結自己資本規制比率の計測を開始しました。さらに、2013年3月末からは、より質の高い資本を具備させることを目的とした自己資本項目の再定義や、信用リスク・アセットの計測対象の大幅な追加を主な内容とするバーゼルⅢを受けて改正された川上連結告示の内容に基づいた連結自己資本規制比率の計測を行っております。
当社は、川上連結告示第2条の算式に従い、普通株式等Tier1資本の額、Tier1資本(普通株式等Tier1資本およびその他Tier1資本)の額、総自己資本(Tier1資本およびTier2資本)の額、信用リスク・アセットの額、マーケット・リスク相当額およびオペレーショナル・リスク相当額をもとに連結自己資本規制比率を計測しております。2023年3月31日現在の野村の連結普通株式等Tier1比率は16.32%、連結Tier1比率は18.49%、連結総自己資本規制比率は18.49%となり、川上連結告示等の定める要件をそれぞれ満たしました。なお、2023年3月31日現在、川上連結告示等の定める要件は適用される最低連結資本バッファーを含み、連結普通株式等Tier1比率について7.62%、連結Tier1比率について9.12%、連結総自己資本規制比率について11.12%となっております。
また、当社は2021年3月より「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき最終指定親会社が最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める総損失吸収力及び資本再構築力に係る健全性の状況を表示する基準」(以下「TLAC告示」といいます。)に基づく計測を開始しました。TLAC告示第2条の算式に従い、リスク・アセットベース外部TLAC比率を計測しております。2023年3月31日現在の野村のリスク・アセットベース外部TLAC比率は31.78%となり、TLAC告示の定める要件を満たしました。
2022年3月31日および2023年3月31日現在の連結自己資本規制比率およびリスク・アセットベース外部TLAC比率について、以下に示しております。
| (単位:億円) | |||
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | ||
| 自己資本 | |||
| 普通株式等Tier1資本の額 | 27,264 | 28,288 | |
| Tier1資本の額 | 31,030 | 32,037 | |
| 総自己資本の額 | 31,034 | 32,041 | |
| リスク・アセット | |||
| 信用リスク・アセットの額 | 83,012 | 83,858 | |
| マーケット・リスク相当額を8%で除して得た値 | 48,990 | 62,706 | |
| オペレーショナル・リスク相当額を8%で除して得た値 | 26,297 | 26,675 | |
| リスク・アセット合計 | 158,299 | 173,239 | |
| 連結自己資本比率 | |||
| 連結普通株式等Tier1比率 | 17.22% | 16.32% | |
| 連結Tier1比率 | 19.60% | 18.49% | |
| 連結総自己資本規制比率 | 19.60% | 18.49% | |
| 連結レバレッジ比率 | 5.98% | 5.63% | |
| 外部TLAC比率 | |||
| リスク・アセットベース外部TLAC比率 | 30.72% | 31.78% | |
| 総エクスポージャーベース外部TLAC比率 | 10.30% | 10.63% |
信用リスク・アセットおよびオペレーショナル・リスク相当額は、金融庁の承認を得て2011年3月末から基礎的内部格付手法および粗利益配分手法によりそれぞれ算出しております。また、マーケット・リスク相当額は内部モデル方式により算出しております。
また、当社は川上連結告示で定められた要件の遵守状況を示す他に、バーゼルⅢが適用される他の金融機関との比較を容易にするため、連結自己資本規制比率を開示しております。当社の経営者はこれらに関する報告を定期的に受けております。
連結レバレッジ規制
金融庁は2019年3月に「金融庁長官が定める場合において、最終指定親会社が経営の健全性の状況を記載した書面に記載すべき事項を定める件」(平成二十二年金融庁告示第百三十二号、以下「開示告示」といいます。)を改正するとともに「最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準」(平成三十一年金融庁告示第十三号、以下「連結レバレッジ比率告示」といいます。)を公表し、連結レバレッジ比率に関する計測ならびに開示にかかる要件、および連結レバレッジ比率3%の最低基準を定めました。2020年6月に金融庁は、新型コロナウイルス感染症の影響拡大が懸念される中、日本銀行による金融政策と銀行等への健全性規制との調和を図るため、例外的なマクロ経済環境を勘案して金融庁長官が別に定める比率を適用する場合には連結レバレッジ比率を算定するにあたって日銀預け金を除外すること等を趣旨とした連結レバレッジ比率告示の一部改正を行いました。当社は開示告示等に基づき、2015年3月末から連結レバレッジ比率の計測および開示を開始しました。さらに2019年3月末からは、開示告示、連結レバレッジ比率告示および最低比率基準を下回った場合の早期是正措置を定めたその他の告示等の内容に基づいた連結レバレッジ比率の計測を行っております。なお、2023年3月31日現在の野村の連結レバレッジ比率は、5.63%となりました。
また、当社は2021年3月よりTLAC告示に基づく計測を開始しました。TLAC告示第2条の算式に従い、総エクスポージャーベース外部TLAC比率を計測しております。2023年3月31日現在の野村の総エクスポージャーベース外部TLAC比率は、10.63%となり、TLAC告示の定める要件を満たしました。
当社をめぐる規制動向
金融危機によって明らかになった脆弱性を踏まえ、規制資本の枠組みを強化するより広範な取組みについてバーゼル銀行監督委員会(以下「バーゼル委員会」)は一連の文書を公表しました。当社にとって関連が深いと思われる事項について、以下に概要を記載しております。
金融庁は、最終指定親会社のバーゼルⅢ規制最終化にともなう改正告示の実施日をさらに一年延期し、2025年3月31日とすることを2023年3月に公表しております。また、2024年3月末までの間、日本銀行に対する預け金の額をレバレッジ比率の分母である総エクスポージャーの額から除外する措置を2022年3月に公表しております。
2010年12月16日にバーゼル委員会は銀行セクターの強靭性を高めるために、いわゆるバーゼルⅢテキスト「より強靭な銀行および銀行システムのための世界的な規制の枠組み」および「流動性リスク計測、基準、モニタリングのための国際的枠組み」を公表しました。これには、資本の質、一貫性および透明性の向上、店頭デリバティブ取引における信用評価調整(Credit Value Adjustment)の導入のような自己資本の枠組みにおけるリスク捕捉の強化、リスク・ベースの枠組みに対する補完的指標としてのレバレッジ比率の導入、現行の枠組みにおける「プロシクリカリティ(景気循環増幅効果)」に対する懸念を抑制する一連の措置、また、30日間の流動性カバレッジ比率および資金調達構造の安定性を計測する安定調達比率といった流動性基準の導入が含まれています。これらのバーゼルⅢパッケージは、2013年より段階的に適用が開始されております。加えて、2012年7月25日に、清算機関(以下「CCP」)向けエクスポージャーに対する資本賦課についての暫定規則が公表され、バーゼルⅢの一部として2013年から実施されております。さらに、上記のとおり2015年3月末より開始した連結レバレッジ比率の算出および開示、ならびに2019年3月末より開始した連結レバレッジ比率の計測に加え、現在までに、バーゼル委員会から、ファンド向けエクイティ出資にかかる資本賦課、カウンターパーティ信用リスクエクスポージャーの計測にかかる標準的手法、CCP向けエクスポージャーに対する資本賦課、大口エクスポージャーの計測と管理のための監督上の枠組み、証券化商品の資本賦課枠組みの見直し、マーケット・リスクの最低所要自己資本等に関して一連の最終規則が公表されております。
また、2011年11月のG-20サミットにおいて、金融安定理事会とバーゼル委員会は、グローバルにシステム上重要な金融機関(以下「G-SIBs」)の監督手法および破綻処理計画の策定を含むG-SIBsに対する追加的要件を公表しました。同時に、G-SIBsのリストは毎年11月に金融安定理事会とバーゼル委員会により、更新されております。なお、2011年11月の公表以来、当社はG-SIBsには指定されておりません。一方で、G-SIBsの枠組みを国内のシステム上重要な金融機関(以下「D-SIBs」)まで拡張するようにとの要請を受け、バーゼル委員会は2012年10月、D-SIBsに関する評価手法およびより高い損失吸収力の要件に関する一連の原則を策定・公表しました。2015年12月、金融庁は当社をD-SIBsに指定し、2016年3月以降の追加的な資本賦課水準を0.5%(3年間の経過措置あり)といたしました。
2015年11月、金融安定理事会は、G-SIBsに対して総損失吸収力(以下「TLAC」)にかかる最終基準を公表しました。TLAC基準は、破綻したG-SIBsが、当局の秩序ある処理を実施するため、利用可能な十分な損失吸収力および資本増強能力を確保するように設計されています。金融庁は、金融安定理事会のTLAC基準の公表を受けて、2016年4月に本邦G-SIBsに適用される本邦TLACの枠組みを整備する方針を公表しましたが、その後、2018年4月に、本邦G-SIBsのみならず、(i)国際的な破綻処理対応の必要性が高く、(ii)破綻の際に我が国の金融システムに与える影響が特に大きいと認められる金融機関である本邦D-SIBsについても適用対象とする方針とされました。改訂された方針においては、本邦G-SIBsおよび野村(以下「本邦TLAC対象SIBs」)は、本邦TLAC規制の適用対象となりました。さらに、2019年3月には「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき最終指定親会社が最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める総損失吸収力及び資本再構築力に係る健全性の状況を表示する基準」(平成三十一年金融庁告示第十号)および「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」がそれぞれ公表および改訂されており、野村は現時点で本邦G-SIBsに選定されておりませんが、野村を含む本邦TLAC対象SIBsは、バーゼルⅢの枠組みに定められている最低要求水準に従ってTLACにかかる規制要件を満たすことが求められます。具体的には、野村は、2021年3月31日からリスク・アセットの16%、2024年3月31日以降は18%のTLACリスク・アセット最低基準を満たす必要があります。同様に、2021年3月31日からレバレッジエクスポージャーの6%、2024年3月31日以降は6.75%のTLACレバレッジエクスポージャー最低基準を満たす必要があります。
さらに、2018年4月に公表された金融庁の改訂後の方針によれば、将来の国際的な議論に基づき変更される可能性がありますが、本邦TLAC対象SIBsに適用される破綻処理戦略は、実際の処理は破綻時の本邦TLAC対象SIBsの実態を考慮のうえで個別事案毎に決定されるものの、金融庁のような、単一の当局が金融グループの最上位に位置する持株会社等に対して破綻処理権限を行使するシングル・ポイント・オブ・エントリー(以下「SPE」)とされました。SPE破綻処理戦略を実効的に実現するためには、金融庁は持株会社である本邦TLAC対象SIBsの国内における破綻処理対象会社(以下「国内処理対象会社」)について、(i)外部TLACの最低所要水準以上を確保すること、(ii)金融安定理事会によるTLAC合意文書による選定を踏まえて金融庁が指定した金融機関の主要子会社が調達する、損失吸収力を有すると認められる資本・負債を一定の水準以上引き受ける、即ち内部TLACの分配対象となることが求められます。
また、金融庁の改訂後の方針によれば、預金保険制度に鑑み、本邦TLAC対象SIBsの国内処理対象会社について規制導入時からリスク・アセットの2.5%相当分(野村は2021年3月31日)、規制導入後3年間以降はリスク・アセットの3.5%相当分(野村は2024年3月31日)を外部TLACとして算入することが認められる方針であります。
今後も、川上連結告示を始めとする各業態の自己資本規制、流動性規制、レバレッジ規制等の諸規制はバーゼル委員会、証券監督者国際機構または金融安定理事会等の一連の規制強化の動きに沿って改定される可能性があります。
格付会社による信用格付
無担保資金の調達コストおよび調達可能金額は一般的に格付会社による長期あるいは短期の信用格付の影響を受けます。当社および野村證券には、S&P Global Ratings、Moody's Investors Service、Fitch Ratings、格付投資情報センターおよび日本格付研究所より長期および短期の信用格付が付与されています。
2023年3月期には、重要な格付アクションはございませんでした。
2023年5月22日現在の当社および野村證券の格付会社による格付は以下のとおりです。
| 野村ホールディングス(株) | 短期債務 | 長期債務 |
| S&P Global Ratings | A-2 | BBB+ |
| Moody's Investors Service | - | Baa1 |
| Fitch Ratings | F1 | A- |
| 格付投資情報センター | a-1 | A |
| 日本格付研究所 | - | AA- |
| 野村證券(株) | 短期債務 | 長期債務 |
| S&P Global Ratings | A-2 | A- |
| Moody's Investors Service | P-2 | A3 |
| Fitch Ratings | F1 | A- |
| 格付投資情報センター | a-1 | A+ |
| 日本格付研究所 | - | AA- |
(6)オフ・バランス・シート取引
非連結事業体との取引
野村は通常の業務において、将来の財政状態や業績に影響を与える可能性があるさまざまなオフ・バランス・シート取引を非連結事業体と行っております。
野村が行う非連結事業体とのオフ・バランス・シート取引には、以下のものが含まれます。
・債務保証契約上の義務
・譲渡した資産に対する留保持分または偶発的な持分、もしくは、譲渡した資産に関し信用リスク、流動性リスク、市場リスクを補完するような類似の取引
・デリバティブとして会計処理される契約による一切の義務(偶発債務を含む)
・非連結事業体が資金調達リスク、流動性リスク、市場リスク、信用リスクの補完を野村に対し提供している場合、またはリース、ヘッジ、研究開発契約を野村と結んでいる場合、野村が保有しかつ野村にとって重要な非連結事業体の変動持分から発生する一切の義務(偶発債務を含む)
非連結事業体は、会社、パートナーシップ、ファンド、信託、その他法的事業体の形態をとり、限定された特定の目的を履行するために、発起人によって設立されます。野村は、これらの事業体を設立または発起したり、第三者によって設立または発起された事業体と取引を行います。
野村の非連結事業体との関与は、マーケットの状況に応じて、これらの事業体が発行する負債証券および受益権を組成し、引受け、売出し、販売することが含まれております。また野村は通常の証券化およびエクイティデリバティブ業務の中で、これらの事業体に対する金融資産の譲渡、これらの事業体が発行したリパッケージ金融商品の引受け、売出し、販売を行っております。さらに野村は、マーケットメーク業務、投資業務、組成業務に関連し、特別目的事業体にかかる変動持分の保有、購入、販売を行っております。非連結事業体とのそのほかの関与には、債務保証やデリバティブ契約などが含まれます。これらの事業体との重要な関与は、たとえ期末日における損失の可能性が低くても、取引すべてに基づいて評価されています。
変動持分事業体との取引については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 6 証券化および変動持分事業体」をご参照ください。
(7)契約上の義務の開示
野村の業務の一部として、将来支払いが必要となるかもしれないさまざまな契約上の義務および偶発的コミットメントを有しております。これらの取引は以下のものを含んでおります。
スタンドバイ信用状およびその他の債務保証
野村は、通常の銀行もしくは金融業務の一環として、スタンドバイ信用状およびその他の債務保証の方法で取引相手とさまざまな債務保証を行っており、こうした債務保証には一般に固定満期日が設定されております。
長期借入および約定金利の支払
野村の業務に関連して、野村の資金調達政策に従い、日本円建ておよび日本円建て以外の長期借入、それにかかわる変動および固定金利の支払いを行っております。
オペレーティング・リース・コミットメント
野村は、国内外でオフィス、特定の従業員用住宅、器具備品および情報・通信関連資産を通常業務の範囲内で主にオペレーティング・リースにより貸借しております。また、野村は、不動産および器具備品をオペレーティング・リースにより転貸借しております。
ファイナンス・リース・コミットメント
野村は、国内外で特定の器具備品および施設をファイナンス・リース契約により賃借しております。
購入義務
物品およびサービスを購入する義務には、建物設備等の工事、広告宣伝、コンピュータ・IT関連の維持管理などに関する契約が該当します。
貸出コミットメント
野村は、銀行もしくは金融業務の一環として、貸出コミットメントを行っており、こうした契約義務には一般に固定満期日が設定されております。
投資銀行業務に関連して、野村は顧客により発行されうる有価証券を引き受けることを保証する契約を結んでおります。
中央清算機関の会員として、野村は他の会員が債務不履行に陥った際に、国債および政府系機関債を裏付けとしたリバース・レポの取引相手になり、流動性資金の提供を行う確約をしております。
投資コミットメント
野村は、パートナーシップ等に投資するコミットメントおよび当該投資に関連してパートナーシップに資金提供するコミットメントを行っております。
「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 8 リース」に野村のオペレーティング・リース、ファイナンス・リースにかかわる追加的情報を、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 10 借入」に野村の短期借入および長期借入にかかわる追加的情報を、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 19 コミットメント、偶発事象および債務保証」にこれらにかかわる追加的情報を記載しております。
こうした貸出コミットメントにかかる契約金額は、契約がすべて実行され、取引相手先が債務不履行の状態となり、既存担保が無価値になったと仮定した場合に想定される、野村の信用関連損失の最大値を表しております。締結された契約が実行されることなく契約義務が満期を迎える場合もあるため、こうした信用関連コミットメントの契約金額は将来の現金所要額を必ずしも表しているわけではありません。こうした契約義務にかかる信用リスクは、顧客の信用力および受入担保の価値によって異なったものになります。野村は、各顧客の信用力を個別に評価しております。信用供与に際して必要と考えられる場合に野村が取引相手から受け入れる担保の金額は、取引相手の信用力評価に基づいております。
下記の表は2023年3月31日現在での満期年限別の契約上の義務および偶発的コミットメントを表示しております。
| (単位:百万円) | |||||
| 契約総額 | 満期年限 | ||||
| 1年以内 | 1~3年 | 3~5年 | 5年超 | ||
| スタンドバイ信用状およびその他の債務保証 | 1,544,159 | 1,517,287 | 15,903 | 10,258 | 711 |
| 長期借入(1) | 9,985,597 | 619,672 | 3,605,633 | 1,614,747 | 4,145,545 |
| 約定金利の支払(2) | 1,623,599 | 238,543 | 379,912 | 245,268 | 759,876 |
| オペレーティング・リース・コミットメント(3) | 203,898 | 44,455 | 64,222 | 42,474 | 52,747 |
| 購入義務(4) | 99,134 | 21,501 | 10,886 | 64,806 | 1,941 |
| 貸出コミットメント(5) | 2,634,229 | 1,823,017 | 289,991 | 338,978 | 182,243 |
| 投資コミットメント | 21,994 | 195 | 1,292 | 5,003 | 15,504 |
| 合計 | 16,112,610 | 4,264,670 | 4,367,839 | 2,321,534 | 5,158,567 |
(1)長期借入で開示されている金額は、編纂書860にしたがって金融資産の譲渡を売却取引ではなく金融取引として会計処理されている金融負債を含んでおりません。これらは野村の資金調達を目的とした借入ではなく、したがって野村が現金を返済する実際の契約上の義務を表しておりません。
(2)約定金利の支払金額は、長期借入金に関連し、その償還期日および2023年3月31日現在適用される金利に基づいて見積もられる将来の支払金利の総額であります。
(3)割引前の年限別将来支払リース料を示しております。また、ファイナンス・リースの契約額は重要な金額ではありませんでした。
(4)購入義務の金額は、重要な条件がすべて特定されている法的な強制力のある契約に基づく、契約上の義務となる最低金額が記載されています。購入義務の金額には、既に貸借対照表に負債または支払債務として計上されているものは除かれています。また、日本橋地区の再開発不動産の一部を組合から購入する義務が含まれております。
(5)中央清算機関への流動性資金の提供を行う確約を含んでおります。
上記に記載されている契約上の義務および偶発的コミットメントには、通常の場合短期の義務の性格を有する短期借入、受入銀行預金、その他の支払債務、担保付契約および担保付調達(例えば、売戻条件付買入取引および買戻条件付売却取引)およびトレーディング負債などを含んでおりません。
上記の金額に加えて、野村は担保付契約および担保付調達に関連する金額を含む売戻契約および買戻契約を結ぶ義務を負っております。これらのコミットメントは2023年3月31日現在、売戻契約に対して1,143十億円および買戻契約に対して2,146十億円となっております。