日本経済は、新型コロナウイルスの影響を受けて大きく落ち込みました。2020年4-6月期には、感染拡大を抑制するための経済活動制限が世界的に広がったため、輸出が大きく減少しました。国内でも、4月に緊急事態宣言が発令され、人々が外出を控えたことで個人消費が減少した他、先行き不透明感が強まる中で企業も設備投資を抑制しました。これらの結果、4-6月期の実質GDP(国内総生産)は前期比年率28.6%の減少と、大幅な落ち込みとなりました。感染が落ち着くと、国内外で経済活動再開の動きが拡がり、実質GDPは7-9月期に輸出と個人消費主導で同22.9%増の高い成長を記録、10-12月期には設備投資も増加に転じて同11.6%の増加となりました。2020年夏場の感染第2波は、政府や地方自治体による自粛要請で鎮静化しましたが、年末にかけて感染第3波が到来、2021年1月には2度目の緊急事態宣言が発令されました。世界的には製造業活動の持ち直しが続き、輸出は増加を維持したものの、国内個人消費が再び減少した結果、2021年1-3月期の実質GDPは同5.1%減となりました。同期の実質GDPの水準は、1度目の緊急事態宣言が出された2020年4-6月期と比べれば6.8%高いものの、感染拡大直前にあたる2019年10-12月期を2.3%下回っています。この間政府は、2020年4月と5月に合計事業規模233.9兆円の大型経済対策を策定、企業の資金繰りや雇用を下支えました。加えて12月には、追加的に73.6兆円の経済対策を策定、公共投資などによる需要喚起に加え、環境・デジタル分野での構造改革への取組みを始めています。
企業業績については、新型コロナウイルス感染症の影響が幅広い業種に及びましたが、2020年度半ばからは製造業の回復が著しく、主要企業の経常利益は2019年度比で小幅な増益となりました。ただし、一部企業の投資事業における利益拡大の影響を除くと、実質的には減益でした。2019年度に計上した一過性損失や減損損失の反動増を除くと、増益を牽引した業種は電機・精密とソフトウエアでした。電機・精密は、ゲームなど巣ごもり需要の増加、5G化が進むスマートフォン向けや自動車向けなど、幅広い分野における電子部品・半導体の需要増加が増益に寄与しました。ソフトウエアは、巣ごもり需要の増加と、デジタル化等の取組みが奏功しているアミューズメントが増益の中心となりました。他方で、緊急事態宣言の発令にともなう休業要請や、訪日外客数の激減等により、小売りやサービス、運輸などの業種では業績が悪化しました。2021年3月期の主要企業(Russell/Nomura Large Cap)の推定経常利益は前期比4.4%増益と、2年ぶりの増益に転じました。2021年3月期の推定ROE(株主資本利益率)は7.2%で、2020年3月期の6.7%から改善しました。
株式市場では、年度を通じて新型コロナウイルス感染症の感染状況に一喜一憂しながらも、経済活動の正常化に向けた動きを好感する株価推移となりました。国内外の経済対策や金融緩和、新型コロナ感染症向けワクチンの開発・普及に対する期待もあり、主要な日本株指数は年度ベースで3年ぶりの上昇となりました。2020年4月に国内で緊急事態宣言が発令されましたが、国内外で新型コロナウイルス感染症の感染拡大の勢いが鈍化したことで、経済活動再開を好感して日本株は上昇しました。政府の財政・金融両面による支援策への期待感もあり、その後も日本株の上昇が続きました。2020年後半には国内外で一時的に新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が増加する場面もありましたが、日本株への悪影響は限定的でした。11月に米国大統領選挙が終わって米国政治の不透明感が後退すると、米国の追加経済対策への期待から米国株が上昇、日本株も再び上昇基調に入りました。2021年2月15日には、日経平均株価が約30年半ぶりに一時30,000円台を回復しました。その後は、米国長期金利の上昇や、欧州における新型コロナ感染症の感染者数の増加に対する懸念から、日本株の上値が抑えられましたが、年度を通じて日本株の上昇基調は崩れませんでした。代表的な株価指数である東証株価指数(以下「TOPIX」)は2020年3月末の1,403.04ポイントから、2021年3月末には1,954.00ポイントと39.3%上昇しました。また、日経平均株価は2020年3月末の18,917.01円から、2021年3月末には29,178.80円と54.2%上昇しました。
2024/06/25 12:55