訂正有価証券報告書-第119期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2024/04/12 15:20
【資料】
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【項目】
108項目
(5)野村の人的資本に関する戦略
① 人材マネジメント戦略の進化と持続的成長
野村グループが社会課題の解決を通じた持続的成長と企業価値向上を実現するためには、戦略的な成長投資による自己資本利益率(ROE)の向上が求められます。そのためには、野村グループの人材(人的資本)が、組織に対するエンゲージメントを高い水準に維持しながら、社会課題に対する最適解を追求するプロフェッショナル集団として付加価値を最大限に生み出し、生産性の向上、新たな価値の創造、リスク管理の高度化を追求し続けることが不可欠と考えます。
野村グループは、長期的な視点で人材マネジメント戦略を進化させることにより人材のエンゲージメントが向上し、人的資本がチームとしてもたらす知的資本の差別化を図り、野村グループが提供する付加価値を更に強化していくことを目指します。
(注)当社における知的資本とは、組織力、ノウハウ、顧客とのネットワーク、ブランド等、野村グループの競争力の源泉となるあらゆる無形資産を指します。
② 野村グループの人材マネジメント戦略
野村グループの人材マネジメント戦略は、野村グループの企業理念に掲げる「挑戦」「協働」「誠実」という価値観を基礎として、採用・育成・評価・配置という人材マネジメントサイクルの差別化と、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)、社員の働き方、ウェルビーイングおよび帰属意識の高度化を追求することを目的としています。
ⅰ 採用
採用に関しては、野村グループの「挑戦」「協働」「誠実」という価値観に賛同し、リスク管理の基礎となるリスクカルチャーを有する人材を獲得することを前提としています。その上で、入社後に高度な専門性を発揮できる人材を獲得・育成するために、日本を含むすべての地域、ならびに新卒採用およびキャリア採用の双方において、部門または職種別の採用を実践しています。
最も多くの社員数を要する日本においては、2021年度に続き2022年度もまたキャリア採用数が新卒採用数を上回り、人材の多様化が更に進展しています。
また、日本およびインドにおいては、野村グループの退職者(アルムナイ)をネットワーク化し、野村グループ外で活躍するアルムナイとの交流を深めながら、アルムナイの再雇用を積極的に促す仕組みを導入しています。
ⅱ 育成
野村グループは、以下に掲げる人材育成方針のもと、社員の成長を支援しています。
<人材育成方針>野村グループは、社会課題の解決を通じた持続的成長と企業価値向上を実現するため、社員一人ひとりが社会課題に対する最適解を追求するプロフェッショナルとして付加価値を生み出し、生産性の向上、新たな価値の創造、リスク管理の高度化を追求し続ける人材を輩出するよう、人材育成に取り組みます。

育成に関しては、人材が付加価値の源泉となる高度な専門性を加速度的に習得できるよう、各地域・部門において多様な自己研鑽プログラムを充実させています。グループワイドな自己研鑽プログラムの一例として、2021年度に「デジタルIQ」というプログラムを開始し、世界中のすべての社員に対してデジタル・トランスフォーメーション(DX)に資する啓蒙活動を行うと同時に、基礎から高度なレベルに至るまで多様なデジタルスキルの自主的な学習機会を提供しています。日本においては、ノムラ・ビジネス・アカデミー(NBA)という自己研鑽プラットフォームを提供し、社員が証券アナリストやファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士等の資格を取得することの他、語学、財務会計などの各種ビジネススキルを習得することをサポートしています。
加えて、日本の社員を対象とする自己応募・選抜型研修として、MBA(経営学修士)やLLM(法学修士)の修得を目標とする海外留学研修プログラムを60年以上にわたり提供してきた他、2022年度には新たに日本国内においてベンチャー企業研修プログラムも開始し、これらのプログラムを通じて外部経験を経た社員による多様な価値観の醸成を促進しています。
この他、ホールセール部門およびコーポレートにおいては、地域を超えてグローバルな人材による専門知識の習得を促すための仕組みを導入しています。例えば、インベストメント・バンキングはM&Aユニバーシティというナレッジマネジメント基盤を設立し、社員がM&Aアドバイザリー業務における専門知識を学び、実務に活かすことを可能としています。また、ITオペレーションおよびファイナンスは、テクノロジーとデジタルに関する専門知識に注力し、社員がこれらの知識を主体的に学び、付加価値と生産性の向上に活かすことを可能としています。
ⅲ 評価
評価に関しては、日本を含むすべての地域、すべての部門・職種において、各社員の業務内容に期待される生産性の水準に対する外部評価も参考に、適正な評価に基づく「ペイ・フォー・パフォーマンス」の更なる徹底を図っています。
同時に、「挑戦」「協働」「誠実」の価値観が人材により発揮されていることも評価対象としています。2020年度より、グローバルにすべての社員を対象に「未来への挑戦」を共通の評価課題とするとともに、「職業倫理、リスク管理、コンプライアンス及びコンダクト」も世界共通の評価課題としており、2022年度からは、リスクカルチャーの醸成に関しても組み込んでいます。
ⅳ 配置および登用
配置に関しては、社員の挑戦マインドを尊重し、社員による自律的なキャリア形成を尊重しています。以前よりグローバルに社内公募制度を有していましたが、日本において2020年度より同制度の適用範囲を大幅に拡大しています。さまざまなコーポレートタイトルを有する多くの社員が部門の垣根を超えて同制度に応募し、2022年度は合計200人超の社員が新たなキャリアにチャレンジするための異動を能動的に実現しています。
また、グループ内の重要なポジションへの人材の登用とそのための後継者育成という観点から、こうした重要なポジションを担う可能性を有する人材プールをグローバルに管理しています。これらの人材プールに対してアセスメントを実施し、各社員のリーダーシップ適性に応じて、「野村経営塾」という社内独自のプログラムの他、「野村マネジメント・スクール」など国内外の外部機関が提供するリーダーシップ開発プログラムを該当社員に提供しています。
ⅴ DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)
約90の国籍の社員が働く野村グループでは、多様な人材こそが競争力、イノベーション、高度なリスク管理の源泉と考え、2016年7月に「グループ・ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言」を採択し、すべての社員が自分の持つ独自の強みを最大限発揮できる職場環境づくりに取り組んでいます。また、2019年9月にはダイバーシティ経営の更なる推進を目指して、「ダイバーシティ&インクルージョン ステートメント」を制定し、2022年10月には「エクイティ=公平性」を追加して「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン ステートメント」に改定しました。エクイティ(Equity)とは、すべての人に同じ支援や機会を提供する(=平等、Equality)のではなく、個人ごとに異なる状況やニーズに応じて最適なリソースや機会を提供することで、一人ひとりが目標を達成するための公平な環境を作ることを意味します。多様な人材に公平な機会を提供し、社員一人ひとりが帰属意識を持って活躍できる職場づくりを野村グループは目指しています。
また、グループ各社、グローバル各地域の代表で構成されるDEI推進ワーキングにおいてトップダウンでグループ全体の環境づくりを進めるとともに、DEI社員ネットワークを通じてボトムアップによる取り組みも行われています。
ⅵ 働き方
働き方に関しては、2022年より時間や場所の制約に縛られることなくパフォーマンスを最大限発揮できる環境を整えることを目的として、グループ・グローバルのプロジェクト「Nomura Ways of Working」を開始しています。カルチャー、ピープル、ワークプレイス、テクノロジーの4つの軸から地域横断的にアプローチしグループ全体での変化を促進させていきます。
ⅶ ウェルビーイング
野村グループは、以下に掲げる社内環境整備方針のもと、社員のウェルビーイングの実現に取り組んでいます。
<社内環境整備方針>野村グループの最大の財産は、人材です。社員一人ひとりがもつ独自の強みを十分に発揮し、活躍するためには、心身ともに健康であることが重要です。
野村グループは、適正な労働条件と快適な職場環境の整備をはじめ、社員が意欲をもって働き続けられるよう、育児・介護支援等の福利厚生諸制度の充実や、社員の健康保持・増進に力を入れています。

ウェルビーイングに関しては、まずは社員自身が肉体的にも精神的にも、社会的にも満たされた状態になるために「アブセンティーイズムの低減」「プレゼンティーイズムの低減」「ワークエンゲージメントの向上」が必要との認識に基づき、これらを社員の健康保持・増進に取り組むうえでの指標とし、下記のとおり目標を定めています。
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(指標および目標)
指標実績値目標値
(2025年度)
2021年度2022年度
アブセンティーイズム(百万円)1109.7794.7-
プレゼンティーイズム(%)15.216.110
ワークエンゲージメント53.453.760

(注)1 アブセンティーイズム:傷病による欠勤にともなう損失額をいい、当該年度の平均年収に社員数と年間傷病休暇利用率を乗じて算出。ウェルビーイングの取組みを推進することにより低減させることが目標ではありますが、体調不良時に休みやすい環境整備も必要であるため、現時点では目標値は出さずモニタリングに努めます。
2 プレゼンティーイズム:出勤はしているものの、健康上の問題によって完全な業務パフォーマンスが出せない状況をいい、数値はSPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大1項目版)の回答により算出された、プレゼンティーイズムによる生産性損失割合になります。
3 ワークエンゲージメント:仕事に対してポジティブで充実した心理状態を示す値。全国平均を50とした偏差値で、ストレスチェックの回答により算出しています。
4 上記の目標値は野村グループ、実績値は主要な連結子会社である野村證券株式会社の数値になります。
また、社員が経済的に健全な状態(ファイナンシャル・ウェルネス)を保つため、従業員持株会や確定拠出年金制度など社員に対して資産形成に資する制度を提供しています。これらの制度をより効果的に活用できるよう、社員に対して資産形成に関する情報を提供しています。
ⅷ エンゲージメントサーベイ
以上の人材マネジメント戦略の効果を常に検証・改善するために、2013年度より「野村グループ従業員サーベイ」を実施しています。2022年度の同サーベイにおける「私は、当社で働くことを誇りに思う」という設問に対して、野村グループ従業員の回答者のうち85%が好意的回答を行っています。また、同サーベイの結果を受けて、マネジメントから従業員に対するメッセージを発信しています。
ⅸ リテンション
2022年は、金融業界に限らず多くの産業において世界的に人材の流動性が高まり、野村グループにおいても人材の離職率が高まりました。こうした離職率の上昇に対しては、組織に対するエンゲージメントを高めることが重要です。上記の取組みを行うとともに、「野村グループ従業員サーベイ」の結果を受けて、部門や組織ごとに職場環境の改善や労働生産性の向上などの具体的アクションに繋げています。

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