有価証券報告書-第57期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 15:04
【資料】
PDFをみる
【項目】
118項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、当初は雇用環境の改善や企業収益の増加に伴い緩やかながら回復基調を示しました。輸出は、円安に下支えされる形で堅調な伸びを見せ、前回の消費増税の反動安も一巡し、個人消費にも持ち直しの動きが見られました。しかし、6月以降のエネルギー価格の下落や株安、また、中国や新興国の景気減速などが消費マインドの低下を加速させ、景気は回復基調から踊り場へと後退しました。
1月下旬の日銀金融政策決定会合では、景気刺激策としてわが国初のマイナス金利の導入が決定されたものの、円高、株安の流れは解消せず、日経平均は年度ベースでは5年ぶりに下落し、米ドル/円相場も4年ぶりに下落することとなりました。
外国為替相場において、前期末には1ドル=120円台だった米ドル/円相場は、期首は平成24年10月からの円安ドル高基調をさらに鮮明にし、好調な米国経済指標を背景とした利上げへの期待から、6月には13年ぶりの高値となる125.84円まで上昇する場面もありました。しかしながら、8月に中国人民銀行が3日連続で人民元の切り下げを行うと、中国経済に対する不透明感から安全資産の円を買い戻す動きが優勢となり、116円台まで急落しました。
年末には米国が約9年半ぶりに利上げを発表した一方で、1月29日に日本銀行がマイナス金利の導入を決定すると、発表直後こそ120円台を回復したものの、その後は世界的な株安から、今後の米国の利上げに対する悲観的な見方により円高が進行し、112円台で期末を迎えました。
このような環境の中で、当社は「シストレ24」や「トライオートFX」といった基軸サービスの拡大に努め、6月に両サービスの総口座数が合わせて10万口座を突破した後も、順調に推移しております。
「シストレ24」は、9,000種類以上の自動売買プログラム(=ストラテジー)を世界中から集めた国内最大級のシステムトレードプラットフォームであり、ストラテジーを選択するだけでシステムが自動で売買を行うため、FX初心者をはじめ、幅広い層から人気を集めております。
また、「トライオートFX」は、売りと買いといったお客様の相場感をもとに独自の自動売買注文機能(オートパイロット注文)を使って取引ができる当社が独自に開発した新しい裁量FXサービスです。
当期においては、お客様が実際の資金を使い損益を競う「リアルトレード!トライオートFXグランプリ」、年間最優秀ストラテジーを決定する「シストレ24 ストラテジーアワード2015」、為替のプロ集団、アナリストを倒して総額300万円相当の賞品を勝利者で山分けする「仕掛けWARS」など、工夫を凝らしたイベントを年間を通して開催したほか、お客様の利便性向上につながる新機能の追加、スプレッドの縮小といった様々な施策を実施いたしました。
オーストラリア連結子会社Invast Financial Services Pty Ltd.(IFS)においては、取引所約定型個別株証拠金取引「DMACFD」といった高付加価値型サービスの提供や、大手法人企業への新規顧客開拓等により、安定的な収益体制の構築に注力しました。
こうして、当社グループの当連結会計年度の営業収益は37億85百万円(前期比109.0%)、純営業収益は37億85百万円(同109.0%)となりました。
販売費・一般管理費は全体で34億74百万円(同96.7%)となり、純営業収益から販売費・一般管理費を差し引いた営業利益は3億11百万円(前期は1億19百万円の営業損失)、経常利益は2億82百万円(前期は74百万円の経常損失)となりました。
しかしながら、平成26年9月の資本・業務提携以降、当社が保有しているTradency社の株式について時価評価した結果、減損処理による投資有価証券評価損として4億86百万円を特別損失に計上したため、親会社株主に帰属する当期純損失は4億4百万円(前期は4億96百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
なお、Tradency社は、イスラエルに開発拠点を持つ革新的なトレーディングソリューションを提供するFinTech企業であり、「シストレ24」のプラットフォームとして採用している「ミラートレーダー」は、その性能の高さから選択型システムトレード分野における代表格として、全世界のユーザーに支持されております。当社は今後も、同社の持つ高い技術力と当社FX事業における業務ノウハウの融合によるシナジー効果を最大限に活かし、従来以上に高品質かつ付加価値の高いシステムの共同開発を継続してまいります。今回の投資有価証券評価損は、同社事業計画の遅れにより低下した株式価値を、日本の会計基準(JGAAP)に基づき特別損失として計上するもので、同社との業務提携に影響を及ぼすものではありません。
また、当社単体での営業収益は32億52百万円(前期比102.5%)、純営業収益は32億52百万円(同102.5%)、営業利益は4億64百万円(同380.1%)、経常利益は4億75百万円(同300.8%)となり、当期純損失は2億11百万円(前期は7億28百万円の当期純利益)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
セグメント名称事業の内容会社
報告
セグメント
取引所FX取引「くりっく365」インヴァスト証券㈱
店頭FX取引「FX24」、「シストレ24」、
「トライオートFX」
インヴァスト証券㈱
海外金融事業店頭FX、店頭CFD、証券取引Invast Financial Services Pty Ltd.
その他「くりっく株365」インヴァスト証券㈱

①取引所FX取引
取引所FX取引は、東京金融取引所における為替証拠金取引サービス「くりっく365」の提供を行っております。
取引所FX取引による純営業収益は10億79百万円(前期比91.7%)となり、セグメント利益は1億61百万円(同85.3%)となりました。
②店頭FX取引
店頭FX取引は、店頭外国為替証拠金取引「FX24」、「シストレ24」及び「トライオートFX」の提供を行っております。店頭FX取引による純営業収益は20億77百万円(前期比106.5%)となり、セグメント利益は2億81百万円(前期は55百万円のセグメント損失)となりました。
③海外金融事業
海外金融事業においては、子会社IFSが店頭FX取引、店頭CFD取引及び証券取引を行っております。
IFSの決算日は12月31日となっているため、当連結会計年度においては、平成27年1月から12月までの実績を反映しております。
海外金融事業の純営業収益は5億62百万円(前期比180.5%)となりましたが、セグメント損失は1億53百万円(前期は2億42百万円のセグメント損失)となりました。
④その他
その他、当社では東京金融取引所における株価指数証拠金取引「くりっく株365」のサービスを取り扱っております。当連結会計年度におけるその他の事業による純営業収益は95百万円(前期比204.6%)となり、セグメント利益は21百万円(前期は11百万円のセグメント損失)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べて1億30百万円減少し、当連結会計年度末の残高は59億71百万円となりました。
各項目別の増減内容は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは8億23百万円の資金増加となりました。
主な増加要因は、外為取引未払金の増加による88億97百万円、取引所・カバー先への短期差入保証金の減少による11億71百万円のほか、投資有価証券評価損の計上による4億86百万円及び減価償却費の計上による3億52百万円であります。
主な減少要因は、外為取引未収入金の増加による97億80百万円、税金等調整前当期純損失の計上2億30百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、3億39百万円の資金減少となりました。
主な減少要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出2億97百万円、投資有価証券の取得による支出72百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、6億51百万円の資金減少となりました。
これは、主として配当金の支払いによるものであります。