有価証券報告書-第107期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/21 16:41
【資料】
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【項目】
151項目
(2) 人的資本
「人的資本」に関する指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、当社グループに属するすべての会社では行われていないため、当社グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する及び実績は当社のものを記載しております。
①人財育成方針
a. 基本方針
・当社には、国内外の連結会社に約2万人の社員がおり、グループの最大の財産は人財と考えております。人財はグループの企業価値向上の原動力であり、人財育成に積極的に投資してまいります。
・当社グループが目指す人財像は、「自律的に行動し、変革にチャレンジし、新たな価値を創造する人財」であります。このような人財を継続的に輩出するよう、人財育成に取り組んでまいります。
・当社グループの強みである多様性を活かして組織を牽引することができる、多様なリーダーの育成に取り組んでまいります。経営をリードする人財、女性リーダーなどの育成を、グループ共同で進めてまいります。
b. 中期経営計画を踏まえた人財育成方針
・経営戦略を実現するのは人財であり、戦略実現のために必要なスキルを明確化し、リスキリングやアップスキルなどの人的資本への投資により社員の自律的な成長機会を拡充するとともに、外部人財を含めた専門人財の確保・活躍を推進し、最適な人財ポートフォリオを構築してまいります。
・特に、CSV×DXのグローバルな展開や、事業・リスクポートフォリオの変革などを担う「デジタル人財」「海外人財」については、KPIを設定し、人財育成の進捗を確認しながら、重点的に育成に注力してまいります。
・併せて、社員のコンプライアンス知識・意識の向上・徹底に取り組みます。
(a) デジタル人財の育成
・デジタルを活用した社会課題の解決につなげるアイデアを募集する「ビジネスイノベーションチャレンジプログラム」を通じて、全社員にデジタルの基本的な考え方やスキルを身につけさせ、また、社会課題への当社の貢献を「自ら考える」機運を醸成しております。
(2023年度 当社応募総数318件、グループ応募総数468件)
・全ての社員がベーシックなデジタルスキルを身につけることに加えて、大学等との連携育成プログラムなどを活用し、ビジネスサイド、データ分析サイドの両面からデジタル人財の育成を進めており、昨年より大幅に増加しております。
イ.ビジネスサイド :DXを活用してビジネスを創造・拡大することのできる人財
ロ.データ分析サイド:高度なデータ分析等、ビジネスを実現するための高いスキル・専門性を有し発揮できる人財
2025年度3,600人(上記イ.とロ.合計)
2023年4月2024年4月
デジタル人財1,667人4,057人

・ビジネスサイドの取組み
デジタルスキルに関するオンライン教育ツールの拡充や、デジタル人財認定制度、大学等(※)との連携講座などを活用して体系的に進めることで、多くの社員がスキルを身につけ、向上するよう取り組んでおります。
・データ分析サイドの取組み
大学等との連携講座や、データサイエンスに関する高度なスキルの認定制度を活用して育成に取り組んでおります。また、ジョブ型の社員区分を設け、外部専門人財の確保・活躍に適した環境を整備・活用しております。
(※)MS&ADデジタルアカデミー(INIAD:東洋大学情報連携学部)
累計参加人数 当社742人 グループ計935人(2018年度~2023年度)
MS&ADデジタルカレッジfrom京都(KUAS:京都先端科学大学)
累計参加人数 当社441人 グループ計582人(2020年度~2023年度)
(b) 海外人財の育成
海外事業を担う人財を、ポストに対して質・人数ともに十分に確保することを必要としております。世代交代を進めながら持続的に人財を育成・確保するためのプログラムに取り組んでおります。
2025年度730人
2023年4月時点2024年4月時点
海外人財694人735人

具体的には、海外事業に必要な「経営人財」や「専門人財(経理・財務、IT、リスク管理等)」について、次のような取組みを実施しており、多面的・計画的に人財を育成しております。
イ.指名型研修の実施
・経営人財育成:グローバルリーダー養成プログラム 2014~2023年度累計参加人数64人
・専門人財育成:グローバルエキスパート養成プログラム 2014~2023年度累計参加人数88人
・海外雇用社員の経営人財育成:グローバルマネジメント研修 2021~2023年度累計参加80人
ロ.海外派遣研修制度:2014~2023年度累計参加人数321人
・公募による海外派遣研修制度。派遣期間は原則1年以上で、海外事業展開を支える人財を中長期的視点で育成する取組み。
ハ.グローバルトレーニー制度:2014~2023年度累計参加人数1,119人
・1週間程度の外国人との協働プログラムを通じてグローバルビジネスを疑似体験することで、海外人財に求められるスキル・要素の習得を目指す取組み。
上記の他にも、海外駐在経験者への本社部門やマネジメント経験の付与、若手の海外赴任、海外雇用社員の日本での勤務など、グローバルな人財相互交流などにより、人財育成を進めております。
②社内環境整備方針
a. 基本方針
・経営戦略を実行するのは、社員一人ひとりであります。社員の能力・スキル・意欲を最大限発揮できる職場環境を整備することで、エンゲージメントを高め、経営戦略の実効性を高めてまいります。
・中期経営計画の目指す姿である「未来にわたって、世界のリスク・課題の解決でリーダーシップを発揮するイノベーション企業」の実現にあたっては、多様な人財の意見やアイデアを引き出し、活かすことが重要であります。
DE&Iを推進し、意思決定層の多様性を確保することで、当社グループの特長である多様性のメリットを最大化してまいります。
b. 中期経営計画を踏まえた社内環境整備方針
・人財戦略の特に重要な要素にKPIを設定して取組みを進め、社員がいきいきと活躍し、グループの多様性を企業価値向上に結びつける環境を整えてまいります。
(a) 魅力ある職場環境の整備
社員のエンゲージメントを向上させるためには、自律的なキャリア形成機会、柔軟で効率的・効果的な働き方、チャレンジを後押しする企業文化といった職場環境の整備が重要であり、それぞれ次のような取組みを進めております。
イ.自律的なキャリア形成機会の提供
自らが希望するポスト・部門に異動し、活躍のステージを広げるための公募制度(ポストチャレンジ)の活用を拡大し、部門間での人事異動、人財育成、キャリア形成取組みを活性化しております。また、自身を即戦力として、これまで培ってきた能力・スキル等を自ら指定する部署にアピールできる制度(フリーエージェント)の活用や、社員が既存組織の枠を超えて会社施策に参画する仕組みなど、自律的なキャリア形成機会の提供を拡充しております。
ポストチャレンジ応募実績:2023年度:227人
ロ.多様で柔軟な働き方の推進
・在宅勤務と出社を効率的に組み合わせ、リモートワークを活用した業務運営を進めております。また、ジョブ型雇用の導入や、副業・兼業の緩和により、スキル向上・活用の機会を拡大しております。
・キャリアビジョンやライフイベント等に応じた転居転勤の可否選択を柔軟に認めております。
ハ.新たなチャレンジを後押しするマネジメント
チャレンジを奨励し、社員の意欲を引き出し活かす意識改革・風土醸成につながるマネジメントを展開しております。
(b) ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
イ.意思決定層の多様化
(イ)女性の登用について、役員や管理職への登用のためのパイプライン整備の取組みを強化しております。また、2025年度末までのKPIとして、女性管理職比率を23%以上、組織の長となる「女性ライン長」の比率を20%以上と設定し、意思決定者の多様性を促進しております。
女性管理職比率 23%以上 (2025年度末)
女性ライン長比率20%以上 (2025年度末)
女性の管理職の割合は着実に増加しております。
2023年4月時点2024年4月時点
女性管理職比率21.4%23.7%
女性ライン長比率13.3%19.0%

当社におけるパイプライン整備の取組例は次のとおりであります。
・副部長・副支店長ポストへの女性の配置 (2023年4月時点 33名 2024年4月時点 35名)
(ロ)DX/CX分野をはじめとする高度専門領域や、当社経営の根幹を支える営業・損害サポート部門での採用(キャリア採用)を積極的に行っています。また、管理職の多様性の確保を進めるため、社外経験者を積極的に登用しています。
数値目標の設定は行っていませんが、実績は以下のとおりであります。
2023年4月時点2024年4月時点
管理職に占める社外カルチャー経験者比率26.8%28.1%

(注) 社外カルチャー経験者比率は、管理職に占める「キャリア採用者+社外出向等経験者」の比率であります。
ロ.社外カルチャー経験者の拡大
キャリア採用、副業・兼業、アルムナイの経験者比率を拡大し、多様な社外の知見を取り入れたイノベーション創出や他業の経験を踏まえたビジネス協業に取り組んでまいります。
ハ.男性労働者の育児休業
男性労働者の育児休業の促進は、企業の社会的責任・社会への貢献であるとともに、男性が育児や育児休業への理解を深める機会であります。多様な価値観を受け容れる職場環境整備の一環として、KPIを設定して取組みを進めております。
2025年度男性育児休業 取得率100%、取得日数暦日28日
実績は以下のとおりであります。
2023年3月時点2024年3月時点
男性労働者の育児休業取得率100.0%100.0%
男性労働者の育児休業取得日数暦日37日37日

(注)1 KPIの取得率は、以下の算式により算出しております。
取得率=対象期間中に養育する子の出生日から1年を経過し
その間に1日以上の育児休業を取得した男性労働者数
対象期間に養育する子の出生日から1年を経過した男性労働者数

取得日数暦日は、
「配偶者が出産した男性労働者による育児休業(有給)又は出生時育児休業(有給)計5日間及び有給休暇を含めた育児を目的とする休業・休暇日数(これらと連続する休日・祝日の日数を含む)」
であります。
2 育児・介護休業法で定められた基準に基づく2023年度の実績は、第1 企業の概況・5 従業員の状況・(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異・②男性労働者の育児休業取得率を参照ください。
ニ.意見やアイデアを積極的に引き出し活かすマネジメントノウハウの展開
当社グループの特長である多様性を活かすためには、様々な人財の知識・経験・価値観を引き出し、組織の意思決定に活かすインクルーシブな組織運営が不可欠であります。そのためのマネジメントノウハウである「インクルーシブ・リーダーシップ」の実践・浸透に取り組んでおります。
ホ.社員の交流・意見交換機会の提供
多様な人財が集まり、知識・経験の共有や、新たな気づきや価値観を創出する契機とするため、社員が部門横断で参加する交流・意見交換会などを実施し、多様性とインクルーシブな体験の機会を提供しております。
(c) 健康経営
社員が自律的にいきいきと働き、その能力を最大限発揮するためには、社員の「心身の健康」「働きがい」「働きやすさ」の維持・向上が不可欠であります。
労働時間や休暇等の時間管理の徹底、メンタル不調への対策強化・復帰支援などにより、社員の心身の健康を保持・増進するとともに、働きがいや働きやすさの向上につながる各種施策に取り組み、社員のWell-beingを推進しております。
イ.休暇取得を促進し、社員の心身の健康保持に取り組んでおります。
年次有給休暇取得日数:前年同水準以上(2023年度16.9日)
ロ.「1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施」の運動習慣のある社員の比率をKPIに設定し、健康保持・増進への意識を高めております。
運動習慣者比率:30%(2023年度29.8%)
ハ.上記のような環境整備を進め、以下の設問に対する回答スコアを社員のエンゲージメントを測る指標として、KPIを設定し、環境整備等の進捗を確認しております。
社員意識調査
・設問「私は、今の仕事に誇りと働きがいを持っている」
:スコア4.4以上(2023年度4.3)
・設問「私の職場は、年齢・経験・国籍・性別・障がいの有無等で差別することなく、多様な人財の多様な価値観や意見が受け入れられ、人権を尊重し、いきいきと活躍できる環境にある」
:スコア4.6以上(2023年度4.7)(6段階スコア)
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